(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの製造方法は、予備成形工程と加硫工程とを備える。予備成型工程では、未加硫の部材が貼り合わされてローカバーが得られる。加硫工程では、このローカバーが金型に投入される。このローカバーは、金型とブラダーとに加圧されつつ加熱される。この加圧と加熱とにより、ゴムが架橋反応を起こし、ローカバーから空気入りタイヤが得られる。
【0003】
図11には、加硫工程で使用される金型2の断面が例示されている。この断面は、円周方向に垂直な断面である。この金型2は、所謂、割モールドと称される。この金型2は、多数のセグメント4と、上下一対のサイドプレート6と、上下一対のビードリング8とを備えている。多数のセグメント4が円周方向に並べられて、リング状に連結される。セグメント4の数は通常3以上20以下である。サイドプレート6及びビードリング8は、実質的にリング状である。
図11において、符号Rはローカバーを示している。
【0004】
図示されないブラダーが、ローカバーの内側から、ローカバーをセグメント4、サイドプレート6及びビードリング8に押しつける。ローカバーは加熱と加圧により架橋反応を起こし、空気入りタイヤが得られる。
【0005】
この金型2のセグメント4は、鋳造されたセグメント鋳物から削り出されている。このセグメント鋳物を鋳造する方法として、重力鋳造や低圧鋳造が用いられている。
【0006】
特開2006−130537公報には、重力鋳造の例が示されている。この鋳造方法では、金型に溶湯金属が流し込まれる。この金型に流し込まれた
溶湯金属が凝固して、セグメント鋳物が得られる。
溶湯金属が自重で加圧され、セグメント鋳物が得られる。
【0007】
特開昭57−58968公報には、低圧鋳造の例が示されている。この鋳造方法では、
溶湯金属が比較的低圧で加圧されて金型に
溶湯金属が充填される。充填された
溶湯金属が凝固して、鋳物が得られる。この低圧鋳造を用いてセグメント鋳物が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特開2006−130537公報の重力鋳造では、タンクが傾動して、ホッパーに貯められた
溶湯金属が金型内に重力で充填される。重力鋳造では、
溶湯金属の自重で金型内の
溶湯金属を加圧するため、ホッパーに、大量の
溶湯金属が準備される。鋳造毎に、
溶湯金属の充填がされる。この鋳造方法は、生産性に劣る。更に、溶解炉からこのホッパーに移された
溶湯金属が金型に充填されるので、金型に充填される
溶湯金属の温度調節が容易にできない。この金型への充填速度の制御が容易にできない。
【0010】
特開昭57−58968公報の低圧鋳造によれば、タンクの傾動が必要無く、一回の鋳造で複数のセグメント鋳物を鋳造しうる。また、るつぼから金型に
溶湯金属が充填されるので、温度調節が比較的に容易にされる。圧力により
溶湯金属を充填するので、充填速度の制御が比較的に容易にされる。
【0011】
しかしながら、この低圧鋳造では、複数のセグメント鋳物を同時に鋳込むため、大量の
溶湯金属を必要とする。また、大量の
溶湯金属を充填するため、るつぼから金型に至る湯道が大きい。湯道が大きいので、鋳物として大量の不要部が生じる。また、複数のセグメント鋳物を少スペースで鋳込むため、セグメント鋳物がリング状に配置されて鋳造される。トレッド面を成形するトレッドセグメント面が上下方向に延びる姿勢で鋳込まれる。このトレッドセグメント面に歪みが生じ易い。更に、1回の鋳造で大量の
溶湯金属を使用するため、頻繁に
溶湯金属をるつぼに補充する必要がある。この低圧鋳造でも、生産性に劣る。
【0012】
本発明の目的は、生産性に優れたセグメントの鋳造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るセグメントの鋳造方法は、金型に
溶湯金属が加圧充填される充填工程と、この金型でセグメント鋳物が成形される成形工程と、このセグメント鋳物が金型から取り出される取出工程とを備えている。このセグメント鋳物からセグメントが得られる。このセグメントがタイヤを加硫成型する割りモールドに使用される。このセグメント鋳物は、タイヤのトレッド面を成形するトレッドセグメント面を備えている。この成形工程において、金型のキャビティの上面にトレッドキャビティ面が配置されている。このトレッドキャビティ面がトレッドセグメント面を形成している。この金型がセグメント鋳物1個を成形する。
【0014】
好ましくは、この鋳造方法では、上記金型に
溶湯金属を充填する加圧炉と、この加圧炉に
溶湯金属を補充する保持炉と、加圧炉と保持炉との連通を開閉する弁とが準備されている。上記充填工程では、弁が加圧炉と保持炉との連通を閉じている。加圧炉の炉内が加圧されて金型に
溶湯金属が充填されている。
【0015】
好ましくは、上記金型は、上型と下型とを備えている。上記充填工程では、下型に形成された湯道から
溶湯金属が充填されている。上記取出工程では、下型から上型とセグメント鋳物とが一体で取り出されている。
【0016】
好ましくは、上記金型は、鋳型を備えている。この鋳型は、上型に着脱可能に取り付けられている。この鋳型にトレッドキャビティ面が形成されている。上記取出工程では、上型から鋳型とセグメント鋳物とが一体で取り出されている。
【0017】
好ましくは、下型に形成された湯道を加熱するヒーターが準備されている。上記取出工程では、このヒーターが湯道を加熱している。
【0018】
好ましくは、上記ヒーターが加熱している湯道が括れている。
【0019】
本発明に係るセグメントの鋳造設備は、金型と、金型に連通しており加圧可能にされている加圧炉と、加圧炉に連通する保持炉と、加圧炉と保持炉との連通を開閉する弁とを備えている。この金型は、セグメント鋳物を成形している。このセグメント鋳物からセグメントが得られる。このセグメントは、タイヤを加硫成型する割りモールドに使用されるものである。このセグメント鋳物は、タイヤのトレッド面を成形するトレッドセグメント面を備えている。この金型は、上型と下型とを備えている。この下型に加圧炉から連通する湯道が形成されており、この上型に、トレッドセグメント面を形成するトレッドキャビティ面が形成されている。
【0020】
好ましくは、このセグメントの鋳造設備の金型は、上型に着脱可能に取り付けられる鋳型を備えている。この鋳型にトレッドキャビティ面が形成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る鋳造方法では、タイヤの割モールドのセグメントを効率よく生産しうる。本発明に係る鋳造設備は、このセグメントを効率よく生産しうる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0024】
図1及び
図2には、本発明にかかる鋳造設備12が例示されている。鋳造設備12は、金型14、加圧炉16、保持炉18、弁20、搬送装置22、台車24及び架台26を備えている。ここでは、
図1の左右方向が鋳造設備12の左右方向として、紙面に垂直な方向が鋳造設備12の前後方向として、説明がされる。
図1では、左右一対の金型14、加圧炉16、保持炉18及び弁20が示されている。この鋳造設備12は、金型14、加圧炉16、保持炉18及び弁20のそれぞれが左右いずれか一方のみで構成されてもよい。
【0025】
図3に示される様に、金型14は、加圧炉16と連通している。加圧炉16は、保持炉18と連通している。保持炉18は、図示されない溶解炉に連通している。この保持炉18に、溶解炉から溶解金属が補充される。この加圧炉16及び保持炉18には、それぞれ炉内ヒーター28が配置されている。それぞれのヒーター28は、
溶湯金属を所定の温度に保持する。加圧炉16及び保持炉18は、ヒーター28より
溶湯金属を
溶湯状態で保持しうる。加圧炉16は、図示されないが、加圧装置を備えている。この加圧装置により、加圧炉16内が加圧可能にされている。弁20は、加圧炉16と保持炉18との間に位置している。弁20が加圧炉16と保持炉18との連通を開閉する。
【0026】
金型14は、下型30、上型32及び鋳型34を備えている。下型30は、金型14の下側に位置する。下型30は、加圧炉16の上方に固定されている。下型30には、加圧炉16に連通する湯道36が形成されている。上型32は、下型30の上に重ね合わされる。鋳型34は、上型32と下型30の内部に配置されている。鋳型34は、上型32に着脱可能に取り付けられている。
【0027】
この鋳造設備12は、湯道ヒーター38を備えている。この湯道ヒーター38は、湯道36を加熱する。湯道ヒーター38は、湯道36に位置する
溶湯金属を
溶湯状態で保持する。湯道ヒーター38は、溶融金属の凝固を抑制する。
【0028】
図4及び
図5に示される様に、下型30は、合わせ面40及び凹部42を備えている。凹部42は、合わせ面40から下方に凹んでいる。凹部42は、下方の底面42aと底面42aから合わせ面40まで延びる壁面42bとを備えている。湯道36は、底面42aに形成されている。壁面42bは、底面42aから合わせ面40に向かって凹部42の開口が大きくなるように傾斜している。言い換えれると、下型30の凹部42は、抜き勾配に形成されている。
【0029】
湯道36には、底面42aと加圧炉16との間で括れ44が形成されている。底面42aから括れ44に向かって、徐々にその開口が狭くなっている。加圧炉16から括れ44に向かって、徐々にその開口が狭くなっている。この湯道36の開口は、括れ44の位置で、最も狭くなっている。湯道ヒーター38は、この括れ44の周辺を加熱する位置に配置されている。
【0030】
上型32は、合わせ面46及び凹部48を備えている。凹部48は、合わせ面46から上方に凹んでいる。凹部48は、上方の底面48aと底面48aから合わせ面46まで延びる壁面48bとを備えている。壁面48bは、底面48aから合わせ面46に向かって凹部48の開口が大きくなるように傾斜している。言い換えれると、上型30の凹部48は、抜き勾配に形成されている。上型32には、一対のピン孔50が形成されている。一対のピン孔50は、底面48aに上型32を貫通して形成されている。
【0031】
鋳型34は、本体52と、一対の取付ピン54とを備えている。本体52は、下面52a、上面52b、左右側面52c及び前後側面52dとを備えている。本体52には、トレッドキャビティ面55が形成されている。このトレッドキャビティ面55は、下面52aに形成されている。トレッドキャビティ面55は、下型30に面している。上面52bは、上方に面している。左右側面52cと前後側面52dは、トレッドキャビティ面55(下面52a)から上面52bまで延びている。
【0032】
トレッドキャビティ面55は、空気入りタイヤのトレッド面と同様の形状を備えている。トレッドキャビティ面55に、溝が形成されていてもよい。左右側面52cは、上下方向に対して傾斜している。
図5に示される様に、左右側面52c間の距離は、トレッドキャビティ面55から上面52bに向かって徐々に狭くなっている。上面52bには、図示されないが、一対のねじ孔が形成されている。
【0033】
取付ピン54は、軸部54aと、頭部54bと、図示されないねじ部を備えている。軸部54aは円柱形状で上下方向に延びている。軸部54aの上端に頭部54bが位置している。軸部54aの下端にねじ部が位置している。頭部54bは、軸部54aより半径方向に大きくされている。取付ピン54の外周面に、頭部54bと軸部54aとの間で段差54cが形成されている。一対の取付ピン54は、本体52に着脱可能に取り付けられている。この取付ピン54では、ねじ部が上面52bのねじ孔にねじ込まれて固定されている。
【0034】
搬送装置22は、搬送台56、支持フレーム58、係止板60、支持シリンダー62及び支持板64を備えている。この搬送装置22では、搬送台56は上下方向及び左右方向(
図1の左右方向)に移動可能にされている。搬送台56には貫通孔56aが形成されている。この搬送台56の下面に、上型32が取り付けられている。上型32は、搬送台56に固定されている。
【0035】
支持フレーム58は、搬送台56の上面に取り付けられている。上下方向において、支持フレーム58と搬送台56との間に、係止板60と支持板64とが位置している。支持フレーム58には貫通孔58aが形成されている。
【0036】
係止板60は、上下方向において、支持フレーム58と支持板64との間に位置している。係止板60には切り欠き60aが形成されている。この切り欠き60aに、取付ピン54の軸部54aを位置させている。
図4及び
図5に示される様に、係止板60の上面は、取付ピン54の段差54cに当接している。
【0037】
支持板64は、上下方向において、搬送台56と係止板60との間に位置している。支持板64には、貫通孔64aが形成されている。支持シリンダー62は、支持フレーム58に取付されている。支持シリンダー62のロッド62aが支持板64に連結されている。
【0038】
支持シリンダー62は、支持フレーム58に対して、支持板64を上下方向に移動させうる。
図4及び
図5では、この支持シリンダー62により、係止板60が支持フレーム58と支持板64とに挟まれている。これにより、係止板60は、支持フレーム58に押し付けられている。
【0039】
図4及び
図5に示される様に、取付ピン54は、ピン孔50、貫通孔56a、貫通孔64a、切り欠き60a及び貫通孔58aに通されている。支持シリンダー62により、支持板64が係止板60を支持フレーム58に押しつけている。係止板60が、取付ピン54の頭部54bを上方に押し上げている。取付ピン54を介して、鋳型34の本体52が上方に押し上げられている。本体52の上面52bが、上型32の底面48aに押しつけられている。これにより、鋳型34は上型32に取り付けられている。
【0040】
図6から
図10を参照しつつ、この鋳造設備12を例に、セグメントの鋳造方法が説明される。これらの図の符号Cはセグメント鋳物を示し、符号Sはセグメントを示す。この鋳造は、所謂、低圧鋳造である。この鋳造方法では、セグメント鋳物が鋳造される。このセグメント鋳物からセグメントが得られる。この鋳造方法は、金型準備工程と、
溶湯金属の充填工程と、セグメント鋳物の成形工程と、セグメント鋳物の取出工程と、セグメントの加工工程とを備えている。このセグメント鋳物及びセグメントは、例えばアルミ合金からなる。この
溶湯金属は、例えば
溶湯状態のアルミ合金である。
【0041】
この鋳造方法では、予め、下型30は、加圧炉16の上部に固定されている。上型32は、搬送装置22の搬送台56に固定されている。
【0042】
金型準備工程では、鋳型34の本体52と、取付ピン54とが準備される。
図6(a)及び
図6(b)に示される様に、本体52に取付ピン54が取り付けられる。
【0043】
図1に示された台車24に、この鋳型34が載置される。この台車24が、所定の位置に移動する。搬送装置22の搬送台56は、この所定位置の上方に移動する。搬送装置22は、鋳型34に向かって搬送台56を下降させる。取付ピン54が、ピン孔50、貫通孔56a、64a及び58aに通される。このとき、係止板60は、取付ピン54と干渉しない位置に後退している。この様にして、
図7(a)に示される状態に至る。
【0044】
更に、搬送台56が下降して、上型32の底面48aと鋳型34の上面52bとが当接する。係止板60が取付ピン54に向かって前進する。この前進により、係止板60の切り欠き60aに取付ピン54の軸部54aが位置させられる。この様にして、
図7(b)に示される状態に至る。図示されないが、
図7(b)の状態では、台車24が鋳型34を支持している。この状態では、台車24の弾性体(例えばエアーシリンダー等)が弾性変形して、鋳型34を上方に付勢している。
【0045】
支持シリンダー62により、支持板64が上昇する。係止板60が、支持フレーム58に当接する。係止板60と共に、取付ピン54が上方に押し上げられる。これにより、上型32の底面48aに、鋳型34の上面52bとが押し当てられる。上型32に鋳型34が固定される。この様にして、
図7(c)に示される状態に至る。
【0046】
この搬送台56が上昇する。上昇した搬送台56は、左右方向に移動して、下型30の上に移動する。この様にして、
図8(a)の状態に至る。搬送台56が、下型30に向かって下降する。下型30の合わせ面40と上型32の合わせ面46と当接する。
図8(b)に示される様に、金型14がその内部にキャビティ66を形成する。
【0047】
溶湯金属の充填工程では、弁20が加圧炉16と保持炉18との連通を閉じる(
図3参照)。加圧炉16内が加圧される。例えば、加圧装置により、乾燥空気が加圧炉16内に送り込まれる。加圧炉16内が加圧される。
溶湯金属が湯道36を通って、
図8(b)に示された、金型14のキャビティ66に充填される。このとき、湯道ヒーター38は湯道36の
溶湯金属を加熱している。
溶湯金属の凝固を抑制している。
【0048】
セグメント鋳物の成形工程では、キャビティ66の
溶湯金属が凝固させられる。例えば、金型14を冷却水が循環する。
溶湯金属が冷却されて凝固する。
溶湯金属がキャビィティ66の形状にされて、セグメント鋳物が得られる。
【0049】
この取り出し工程では、加圧炉16が減圧されて、元の圧力に戻される。弁20が加圧炉16と保持炉18との連通を開く、保持炉18から加圧炉16に、
溶湯金属が補充される。保持炉18には、溶解炉から
溶湯金属が補充される。
【0050】
加圧炉16の減圧後に、搬送台56が上昇する。
図9(a)に示される様に、下型30から、上型32、鋳型34及びセグメント鋳物が一体で取り出される。湯道36には括れ44が形成されている。湯道ヒーター38が
溶湯金属の凝固を抑制している。これにより、下型30から、上型32、鋳型34及びセグメント鋳物を分離することが容易にされている。
【0051】
この搬送台56は、左右方向に移動する。搬送台56は、台車24上の所定に位置に移動する。搬送台56が降下して、台車24にセグメント鋳物が接地する。前述の金型準備工程と逆の手順で、上型32から鋳型34及びセグメント鋳物が外される。このとき、台車24がクランプ治具を備え、このクランプ治具がセグメント鋳物をクランプしてもよい。
【0052】
具体的には、支持シリンダー62の付勢が解除される。支持板64が下降する。係止板60が、支持フレーム58から離れる。係止板60が後退する。この後退により、切り欠き60aから取付ピン54の軸部54aが外れる。係止板60が取付ピン54と干渉しない位置に後退する。搬送台56が上昇する。取付ピン54が、ピン孔50、貫通孔56a、64a及び58aから抜かれる。この様にして、
図9(b)の状態に至る。
【0053】
更に、取付ピン54が外される。この様にして、
図9(c)に示される様に、鋳型34の本体52とセグメント鋳物とが、台車24に載置されて取り出される。
図10(a)及び(b)に示される様に、セグメント鋳物は、本体52を鋳ぐるんでいる。この本体52とセグメント鋳物が、セグメントの加工工程に送られる。
【0054】
セグメントの加工工程では、本体52からセグメント鋳物が外される。セグメント鋳物から、セグメントが削り出される。
図10に示される様に、このセグメントには、タイヤのトレッド面を成形するトレッドセグメント面68が形成されている。このトレッドセグメント面68は、本体52のトレッドキャビティ面55で形成されている。このトレッドセグメント面68は、トレッドキャビティ面55の形状から得られている。この様にして、一回の鋳造で、1個のセグメントが製造される。
【0055】
この鋳造方法は、金型14で、セグメント鋳物を1個ずつ鋳造する。一回の鋳造に使用する
溶湯金属の量が少ない。少スペースで、鋳造しうる。鋳造設備12も省力化でき、従来の設備に比べ小型化できる。この鋳造方法は、自動化に適している。
【0056】
また、1個ずつ鋳造することで、湯道36等で凝固する不要部の体積が小さくできる。一回の鋳造に使用する
溶湯金属の量も少なくできる。更に、下型30の底面42aは、キャビティ66において、加圧炉16に最も近い。この湯道36が下型30の底面42aに形成されているので、湯道36は短くされている。これにより、凝固する不要部の体積が一層小さくできる。
【0057】
この鋳造方法では、金型14のトレッドキャビティ面55がキャビティ66の上面に配置されている。
溶湯金属が凝固する時間は、上下方向でずれる。セグメント鋳物は上下方向に歪みが生じやすい。このトレッドキャビティ面55は、上下方向において比較的に狭い範囲に位置している。トレッドキャビティ面55で成形されるトレッドセグメント面68の歪みが小さい。このトレッドセグメント面68を備えるセグメントは、空気入りタイヤの品質の向上に寄与する。
【0058】
この鋳造方法では、弁20が加圧炉16と保持炉18との連通を閉じて、加圧炉16が加圧される。加圧炉16から金型14に
溶湯金属が充填されている。加圧炉16が減圧された後に、弁20が加圧炉16と保持炉18との連通を開く。保持炉18から加圧炉16に
溶湯金属が補充される。保持炉18には、図示されない溶解炉から
溶湯金属が補充される。この鋳造方法は、セグメント鋳物の連続鋳造が容易にできる。
【0059】
下型30の湯道36から
溶湯金属が充填されるので、上型32は取り外しが容易にされている。下型30から上型32と鋳型34とセグメント鋳物を一体で取り出せる。セグメント鋳物の取り出しが容易にされている。セグメント鋳物の取り出しの自動化が容易にできる。
【0060】
更に、湯道36を加熱する湯道ヒーター38を備えているので、上型32からセグメント鋳物の取り出しが容易になっている。この湯道36に括れ44が形成されているので、上型32からセグメント鋳物の取り出しが容易になっている。
【0061】
上型32に鋳型34が着脱可能に取り付けられているので、上型32から鋳型34とセグメント鋳物とが一体で取り出せる。セグメント鋳物の取り出しが一層容易にされている。
【0062】
更に、この上型32に、他の鋳型34を取り付けて、連続してセグメントの鋳造をしうる。具体的には、搬送台56が台車に一の鋳型34とセグメント鋳物とを載置する。上型32からこの鋳型34とセグメント鋳物とが取り外される。搬送台56は、台車24に載置された他の鋳型34の上に移動する。上型32にこの鋳型34が取り付けられる。その後、この上型32は、下型30の上方に移動して、次のセグメント鋳物が鋳造されうる。
【0063】
本発明に係る鋳造方法及び鋳造設備12によれば、セグメントを効率よく製造できる。セグメントの製造を自動化できる。また、製造されるセグメントの品質も向上しうる。