特許第5946522号(P5946522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5946522シフト装置における作動ユニットの初期化方法,並びにパワーシフト変速機用のシフト装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946522
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】シフト装置における作動ユニットの初期化方法,並びにパワーシフト変速機用のシフト装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/28 20060101AFI20160623BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20160623BHJP
   F16H 61/682 20060101ALI20160623BHJP
   F16D 11/10 20060101ALI20160623BHJP
   F16D 28/00 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   F16H61/28
   F16H61/02
   F16H61/682
   F16D11/10 Z
   F16D28/00 Z
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-511786(P2014-511786)
(86)(22)【出願日】2012年3月20日
(65)【公表番号】特表2014-515462(P2014-515462A)
(43)【公表日】2014年6月30日
(86)【国際出願番号】EP2012054879
(87)【国際公開番号】WO2012159795
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年2月13日
(31)【優先権主張番号】102011076388.0
(32)【優先日】2011年5月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ドライボルツ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ライッシュ
【審査官】 稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0193847(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00−61/12
61/16−61/24
61/28
61/66−61/70
63/40−63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機パワーフローに2個の歯車(5a, 5b)を交互に接続するためにシフト軸(6)に沿って両操作方向に移動可能なシフト装置(8)における作動ユニット(9)を初期化する方法であって,シフト装置(8)の位置を検出するために作動ユニット(9)のセンサ(11)を使用し,そのためにシフト装置(8)を順次に両操作方向に,各歯車(5a, 5b)における端側ブロック位置まで移動させる方法において,
シフト装置の前記移動に基づいて両ブロック位置間の移動経路(X)を判定し,判定した移動経路を格納された4つの可能な移動経路(XNB, XGB, XLI, XRE)と比較し,その比較結果に基づいてシフト装置(8)の現在位置を判定し,両操作方向におけるシフト経路(S4〜S2, S1〜S3)が異なる場合に作動ユニットを初期化し、
シフト装置(8)のそれぞれの位置に対応する,作動ユニット(9)のアクチュエータとしての電気モータ(10)のモータ軸回転位置を,各シフトプロセス後に判定して保存することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において,シフト装置(8)を両操作方向に複数回移動させた後,シフト装置(8)の現在位置に関する各比較結果を平均化することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において,判定した移動経路(X)と格納された最短移動経路(XNL)との一致を,シフト装置(8)の両側における両歯車(5a, 5b)の歯同士の突き合わせ位置として評価することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において,判定した移動経路(X)と格納された最長移動経路(XGB)との一致を,シフト装置(8)の両側における両歯車(5a, 5b)の噛み合い位置として評価することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において,判定した移動経路(X)と格納された移動経路(XRE)との一致を,シフト装置(8)の右側のみにおける両歯車(5a, 5b)の歯同士の突き合わせ位置として評価することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において,判定した移動経路(X)と格納された移動経路(XLI)との一致を,シフト装置(8)の左側のみにおける両歯車(5a, 5b)の歯同士の突き合わせ位置として評価することを特徴とする方法。
【請求項7】
作動ユニット(9)を有するパワーシフト変速機用のシフト装置(8)であって,変速機パワーフローに2個の歯車(5a, 5b)を交互に接続するためにシフト軸(6)に沿って移動可能なシフト装置(8)を,初期化のために順次に両操作方向に,それぞれの歯(5a, 5b)における端側のブロック位置まで移動させ,シフト装置(8)の位置を検出するためのセンサ(11)が作動ユニット(9)に設けられているシフト装置(8)において,
電子式評価ユニット(12)を備え,該評価ユニットにより,前記センサ(11)で検出した両ブロック位置に基づいて両ブロック位置間の移動経路(X)を判定し,その移動経路をシフト装置(8)の格納された4つの可能な移動経路(XNB, XGB, XLI, XRE)と比較し,その比較結果に基づいてシフト装置(8)の現在位置を判定し,両操作方向におけるシフト経路(S4〜S2, S1〜S3)が異なる場合に作動ユニット(9)を初期化し、
シフト装置(8)のそれぞれの位置に対応する,作動ユニット(9)のアクチュエータとしての電気モータ(10)のモータ軸回転位置を,各シフトプロセス後に判定して保存することを特徴とするシフト装置。
【請求項8】
請求項に記載のシフト装置において,シフト要素(7)の作動ユニット(9)が,電気機械的なシフト手段として構成されると共に,アクチュエータとしての電気モータ(10)を有することを特徴とするシフト装置。
【請求項9】
請求項に記載のシフト装置において,前記電気モータ(10)がブラシレス直流モータであることを特徴とするシフト装置。
【請求項10】
請求項に記載のシフト装置において,前記電気モータ(10)が,実際の回転位置を検出するためのセンサ(11)を有することを特徴とするシフト装置。
【請求項11】
請求項10の何れか一項に記載したシフト装置(8)で構成したシフト装置を備えるパワーシフト変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,パワーシフト変速機のパワーフローに対して2個の歯車を交互に切り替え接続するための作動ユニットを有するシフト装置に関する。このシフト装置は,シフト軸に沿って移動可能なシフト装置を,初期化のために各歯車の端側ブロック位置まで両操作方向に順次に移動させるものであり,シフト装置の位置を検出するために作動ユニットのセンサが設けられている。本発明は,更に,パワーシフト変速機自体と,上記シフト装置の作動ユニットを初期化する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の適用対象は,主としてデュアルクラッチ変速機である。この形式の変速機は,原則的に少なくとも2系統の並列接続された個別的な変速部で構成され,これらの変速部がそれぞれ少なくとも1つのパワーシフト要素及び一組の噛み合い切り替え式シフト要素を備えている。従って,シフト要素は,作動ユニットも備えたシフト装置の構成要素である。デュアルクラッチ変速機における無負荷状態の各分岐ギアにおいては,噛み合い切り替え式シフト要素の挿入によってギアの切り替えを行うことができる。噛み合い切り替え式のシフト要素の切り替えは,作動ユニットによって,例えば油圧的又は空気圧に,あるいは電気機械を使用して行われる。しかしながら,本発明は,主に自動的に作動する他の形式のパワーシフト変速機に適用することも可能である。
【0003】
電気機械式作動ユニット,いわゆるシフトコントローラの使用に際しては,作動ユニットの係合位置と非係合位置とを区別するために現在位置を知っておく必要がある。通常,作動ユニットは電気モータを有し,これはシフト軸の外側又は内側に配置されている。その回転運動は,機械的な変換機構により,噛み合い切り替え式シフト装置における操作用シフト軸に沿う並進運動に変換される。シフト装置の数を少なく維持するため,既知の方法では,常にシフト軸上で互いに隣接配置されている2個の歯車を,シフト装置により変速機パワーフローに対して交互に切り替える構成としている。
【0004】
ドイツ特許第19731842号明細書は,パワーシフト変速機の切り替え可能な変速段を開示しており,上述したように,シフト軸として構成された出力軸に隣接配置された2個の歯車がシフト装置によりパワーフローに対して交互に切り替えられ,変速比の異なる2つのギア段の一方を作用させる。軸線方向位置を可変としたシフト装置は,変速段を適正な軸線方向位置に修正するものである。適正な軸線方向位置に到達しなければ有効な噛合い係合が行われず,変速機に不具合が生じる。このような不具合は,車両において変速機の制御プロセスが自動的又はほぼ自動的に行われる場合に潜在的に生じるものであり,制御プロセスに対して望ましくない影響を及ぼす点で致命的である。これは,この種の不具合に対するドライバーの介入が制約されているからである。
【0005】
このような理由から,シフト装置の現在位置を監視して突合せ状態又は中間位置となるのを回避することにより,確実な歯の係合が達成される場合にのみ負荷の変更を行う必要がある。
【0006】
上記の機能監視を実現するため,従来技術では,センサによりシフト装置の出口位置を検出し,センサの出力側に接続された演算装置で検出結果を格納することが提案されている。次に,シフト装置を別の切り替え位置まで操作する。続いてシフト装置が占める端位置をセンサによって検出し,それを演算装置に順次保存する。それぞれの端位置に対応する位置情報は,所定の評価基準に基づき,その後演算装置によって評価する。引き続いて,所定の評価基準が満たされるまで,そして歯同士の好適な係合が得られるまで上記のサイクルを繰り返す。この場合,評価基準として,変速機に入力され,又は変速機から出力されるトルクや,エンジン回転数の低下を使用するが,その制御技術は非常に複雑である。
【0007】
従来技術において既知の他の解決法は,既存の電気モータ作動ユニットのセンサを利用することにより,シフト装置の絶対位置の更なる検出を行わないものである。しかしながら,この方法では,システムのスイッチを入れると,変速機の少なくとも一つの作動ユニットの実際の絶対位置が判定不能になるという問題がある。
【0008】
ドイツ特許出願公開第102008000641号明細書は,これに対する技術的な解決法を提供しており,これは,変速機における作動ユニットの初期化という特別な方法によるものである。即ち,作動装置の位置検出を利用し,シフト装置によって,両操作方向の各々において,ブロック位置まで少なくとも一つの操作を順次に行うものであり,ブロック位置におけるそれぞれの終端位置を,作動装置の位置検出によって判定する。検出された終端位置から,シフトゲート内における経路幅(GB)又はニュートラル幅(NB)の各端部に関連する絶対位置(S1,S2,S3,S4)を,検出位置と,シフトゲートの経路幅(GB)又はニュートラル幅(NB)との間隔との比較によって判定する。
【0009】
しかしながら,この技術的な解決法は,同一のシフト経路に沿う両方向への移動を前提としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許第19731842号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第102008000641号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
よって本発明の課題は,シフト軸に沿って両操作方向に移動可能なシフト装置における作動ユニットを,異なるシフト経路についても初期化可能とし,その際,シフトゲートにおける絶対位置を検出するために作動装置の位置検出を利用可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は,請求項1に記載した作動ユニットの初期化方法,並びに請求項8に記載したシフト装置により解決される。また,請求項12は,特別な適用対象として,本発明の解決法に基づくパワーシフト変速機を特定している。
【0013】
本発明は,センサによって予め判定された両操作方向におけるシフト装置のブロック位置を,2個のブロック位置間の移動経路について判定した後,これを保存された4通りの可能性な移動経路と比較し,その比較結果に基づいてシフト装置の現在位置を判定し,両操作方向におけるシフト経路が異なる場合に初期化するものである。
【0014】
本発明の利点は,特に,シフト装置の爪の切り替えを行うために変速機軸の回転運動を必要としないという点である。シフト装置の実際の絶対位置を判定するための位置センサも不要である。これは,移動経路の判定には,作動ユニットの位置検出を利用するからである。好適にはシフト装置の作動ユニット内で使用される電気モータを制御するためには,モータ軸上に設置された回転位置センサを必要とする。
【0015】
モータ軸とシフト装置のシフト要素とを直結することにより,直線的な接続によってモータ位置からシフト要素の位置までを締結する。シフト要素の全移動経路をカバーするには,複数のモータ回転が必要である。モータ位置から直線的な経路へ直接的な締結を戻すことができないため,本発明に基づく解決法を適用して絶対位置を参照する。各シフト装置の位置が不明の場合には,上位の変速制御ユニットにより絶対位置として一定の開始位置を定める。この位置は,例えば,メンテナンス又は欠陥後のテープエンドの取り付け,又は診断結果によるものであってもよい。絶対位置を参照するための境界条件の一つに,変速機の部分的なトルク自由度がある。
【0016】
本発明による方法のステップを実行すれば,シフト装置の実際の位置を迅速かつ確実に判定することができる。しかしながら,精度に関しては,本発明により改善された更なる手段によって高めることができる。この手段においては,両操作方向に複数回移動させることにより,シフト装置の現在位置に関するそれぞれの比較結果を平均化する。
【0017】
一つのシフトゲートに適用される可能な4通りの移動経路と,センサによって判定される移動経路Xとの比較ルーチンは,好適には,以下の評価ロジックに基づいて行う;
・判定した移動経路Xと,格納された最短移動経路XNLとの一致を,シフト装置の両側における両歯車の突合せ位置として評価する。
・判定した移動経路Xと,格納された最長移動経路XGBとの一致を,シフト装置の両側における両歯車の噛み合い位置として評価する。これは,ギアチェンジ後の公称目標位置に相当する。
・判定した移動経路Xと,格納された移動経路XREとの一致を,シフト装置の右側のみにおける歯車の突合せ位置として評価し,これは,右側の定義されていないシフト位置に相当する。
・判定した移動経路Xと,格納された移動経路XLIとの一致を,シフト装置の左側のみにおける歯車の突合せ状態として評価し,これは,左側の定義されていないシフト位置に相当する。
【0018】
本発明の更に改善したステップを,図面を参照して,本発明の好適な実施形態の説明と共に,以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】作動ユニットで電動的に操作するシフト装置を有するパワーシフト変速機における切り替え可能なギア段を例示する略図である
図2】シフト装置の位置検出の際の第1の可能な移動経路XNBの説明図である。
図3】シフト装置の位置検出の際の第2の可能な移動経路XGBの説明図である。
図4】シフト装置の位置検出の際の第3の可能な移動経路XLIの説明図である。
図5】シフト装置の位置検出の際の第4の可能な移動経路XREの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,パワーシフト変速機を例示として本発明を更に説明する。これは,パワーシフト変速機の基本要素としてのみ示すものであり,本発明は,複数のシフト変速機を組み合わせて構成することができる。「シフト変速機」という用語は,入力回転数が歯車の噛み合いを介して出力回転数に変換される変速機を指す。従って,入力回転数と出力回転数との比は段階的に変化する。本明細書では,同軸及び非同軸のマニュアル変速機,シーケンシャル変速機,ドグ変速機及び,特にデュアルクラッチ変速機などを取り上げている。説明を容易にする為に,以下の実施形態に関してはマニュアル変速機について説明するが,本発明が他の形式のシフト変速機にも適用できることは言うまでもない。
【0021】
図1は,図示しないエンジン(内燃エンジン等)の出力側に配置されシフト変速機を示す。エンジンは,変速機の入力軸1に接続することができる。変速機の出力は,出力軸2によって行われる。変速機ハウジング3内で,入力軸1には,第1はすば歯車4aと第2はずば歯車4bが設けられている。はずば歯車4aは対応する第3はすば歯車5aと噛み合い,はすば歯車4bは対応する第4はすば歯車5bと噛み合う。2個のはすば歯車5a, 5bは,本例ではシフト歯車として使用され,出力軸2のシフト軸6に緩く回転可能に取り付けられている。シフト軸6は変速機ハウジング3内に配置されている。両方の出力側に緩く取り付けられたはずば歯車5a及び5bの間には,シフトスリーブとして構成されたシフト要素7が配置され,シフト装置8におけるシフト要素7は,両方のはすば歯車5a及び5bを変速機のパワーフローに対して交互に切り替え接続するために使用される。
【0022】
シフト要素7の端面には端面歯(図示せず)が形成されており,これは両方の歯車5a, 5bの対応する軸線方向の端面歯と係合させることができる。その結果,歯車5a, 5bは,軸線方向に摺動できるようシフト軸6上に配置されたシフト要素7と共回転可能に係合される。
【0023】
そのために,組み込まれている作動ユニット9を使用する。本例において電気機械的なシフト位置として構成されるシフト要素7の作動ユニット9は,アクチュエータとして電気モータ10を備えている。電気モータ10は,ブラシレス直流モータとして構成され,モータ軸の実際の回転位置を検出する組み込み型センサ11を有する。
【0024】
センサ11の出力側に接続されている電子的評価ユニット12は,シフト装置8のそれぞれの測定位置から,両方の歯車5a, 5bにおけるシフト要素7の2つのブロック位置間の移動経路Xを判定する。ここで判定された移動経路Xは,その後に4通りの可能な移動経路XNB,XGB, XLI, XREと比較し,これによって評価ユニット12はシフト装置8の現在位置を判定し,両操作方向におけるシフト経路が異なる場合に作動ユニット9を初期化する。これによって,評価ユニット12に接続された上位制御ユニット(図示せず)に,シフト装置8の実際の絶対位置に関する情報が与えられる。
【0025】
図2図5は,シフト装置の移動によって発生する可能性のある4通りの異なる移動経路XNB,XGB, XLI, XREを示す線図である。
【0026】
図2は,シフト要素7が両方の歯車5a及び5bに対して突合せ状態で衝接する場合の移動経路XNBを示している。この移動経路XNBは,シフトゲートS1, S2間の幅に相当する。この状態において,パワー係合は行われない。
【0027】
これに対して,図3はゲート幅全体に相当する移動経路XGBを示している。この移動経路XGBはS3とS4の間にシフトゲートを生成し,両方の歯車5a又は5bにより,シフト要素7の両側での切り替えが可能になる。
【0028】
他方,図4はシフト要素7の左側のみで突合せ状態となる移動経路XLIを示し,図5は歯車5bにおけるシフト要素7の右側のみでの突合せ状態を示している。
【0029】
本発明による比較を行うことにより,制御のためのシフト要素7の現在位置を判定して,例えば中央同期装置を有するデュアルクラッチ変速機を操作することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 入力軸
2 出力軸
3 変速機ハウジング
4 歯車(入力側)
5 歯車(出力側)
6 シフト軸
7 シフト要素
8 シフト装置
9 作動ユニット
10 電気モータ
11 センサ
12 評価ユニット
図1
図2
図3
図4
図5