【実施例】
【0025】
以下に、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
Ref.Brixは、屈折計(アタゴ社製、「RX−5000α」)を用いて20℃で測定した。
pHは、pHメーター(堀場製作所「F52」)を用いて、20℃の液を測定した。
タンパク質はマクロケルダール法により測定した。
ミネラルは550℃で灰化後、塩酸で溶解したものをICP発光分光により測定した。
【0026】
(米糖化液の調整)
[調製例1]
ジャケット付のステンレス製容器に純水26.2kgを入れ、これに米粉13.8kg、液化型α−アミラーゼを添加してスターラーで分散させた。ジャケットに90℃以上の温水を廻して液温を徐々に上げて、液温を90℃以上にして液化した。次にジャケットに水を廻して60℃に冷却後、β−アミラーゼを添加して12時間反応させることにより、Ref.Brix32%(w/w)の米糖化液Aを調製した。得られた米糖化液Aのタンパク質、ミネラルを測定した結果、タンパク質は2.9%(w/v)、カリウム140mg/L、カルシウム30mg/L、リン60mg/L、マグネシウム30mg/Lであった。
【0027】
[調製例2]
米糖化液をエバポレーターでRef.Brix50%(w/w)まで濃縮し、米糖化液Bを調製した。
【0028】
(風味飲料)
<風味飲料の官能評価>
得られた風味飲料について、パネラー16名により、「美味しさ」と「マッコリらしさ」について官能評価を実施した。
「美味しさ」の評価は、1:すごく不味い、2:不味い、3:どちらでもない、4:美味しい、5:すごく美味しい、の5段階で評価し、16人の平均値を官能評価とした。
「マッコリらしさ」の評価も、1:著しくマッコリらしくない、2:マッコリらしくない、3:どちらでもない、4:マッコリらしい、5:著しくマッコリらしい、の5段階で評価し、16人の平均値を官能評価とした。
【0029】
<Ref.Brixの影響について>
[実施例1]
1000mLメスフラスコにて、米糖化液A281gと純水約650gを混合した後、乳酸を適量加えてpH4.0とした。pH調整後、エチルアルコール500μLとイソアミルアルコール125μLを添加した後、純水を加えて全体量を1000mLに調製した。調製後、メジウム瓶に充填し蓋をしめて、沸騰水中で30分間殺菌し、風味飲料を得た。
【0030】
[実施例2]
米糖化液A375gと純水約550gを混合した以外は実施例1と同様にして風味飲料を得た。
【0031】
[実施例3]
米糖化液A469gと純水約500gを混合した以外は実施例1と同様にして風味飲料を得た。
【0032】
[実施例4]
米糖化液A625gと純水約350gを混合した以外は実施例1と同様にして風味飲料を得た。
【0033】
[実施例5]
米糖化液A781gと純水約200gを混合した以外は実施例1と同様にして風味飲料を得た。
【0034】
[実施例6]
米糖化液A938gと純水約60gを混合した以外は実施例1と同様にして風味飲料を得た。
【0035】
[実施例7]
米糖化液B700gと純水約250gを混合した以外は実施例1と同様にして風味飲料を得た。
【0036】
[比較例1]
米糖化液A156gと純水約800gを混合した以外は実施例1と同様にして風味飲料を得た。
【0037】
[比較例2]
米糖化液B900gと純水約50gを混合した以外は実施例1と同様にして風味飲料を得た。
【0038】
実施例1〜7及び比較例1〜2で得られた風味飲料のRef.Brix、pHを測定し、エチルアルコールの含有量、イソアミルアルコールの含有量、アルコール分を香気成分の添加量から算出した。また、得られた風味飲料の官能評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示すとおり、Ref.Brixが本発明の範囲内の実施例1〜7では、Ref.Brixが本発明の範囲外の比較例1及び2に比べて、官能評価の「美味しさ」と「マッコリらしさ」が共に優れていることが確認できた。
なお、実施例で使用した糖化液には、タンパク質及びミネラル分が豊富に含まれるため、製造した風味飲料もこれらが豊富に含まれる。
【0041】
<pH、及び酸種の影響について>
[実施例8]
乳酸を適量加えてpHを3.7に調整した以外は実施例5と同様にして風味飲料を得た。
【0042】
[実施例9]
乳酸を適量加えてpHを4.4に調整した以外は実施例5と同様にして風味飲料を得た。
【0043】
[実施例10]
DL−リンゴ酸を適量加えてpHを4.4に調整した以外は実施例5と同様にして風味飲料を得た。
【0044】
[実施例11]
クエン酸を適量加えてpHを4.4に調整した以外は実施例5と同様にして風味飲料を得た。
【0045】
[実施例12]
塩酸を適量加えてpHを4.4に調整した以外は実施例5と同様にして風味飲料を得た。
【0046】
[比較例3]
乳酸を適量加えてpHを3.0に調整した以外は実施例5と同様にして風味飲料を得た。
【0047】
[比較例4]
乳酸を適量加えてpHを3.4に調整した以外は実施例5と同様にして風味飲料を得た。
【0048】
[比較例5]
乳酸を適量加えてpHを4.6に調整した以外は実施例5と同様にして風味飲料を得た。
【0049】
[比較例6]
乳酸を適量加えてpHを5.0に調整した以外は実施例5と同様にして風味飲料を得た。
【0050】
実施例9〜12及び比較例3〜6で得られた風味飲料のRef.Brix、pHを測定し、エチルアルコールの含有量、イソアミルアルコールの含有量、アルコール分を香気成分の添加量から算出した。また、得られた風味飲料の官能評価を行った。これらの結果及び参考として実施例5の結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
表2に示すとおり、pHが本発明の範囲内の実施例5、8〜12では、pHが本発明の範囲外の比較例3〜6に比べて、官能評価の「美味しさ」と「マッコリらしさ」が共に優れていることが確認できた。
また、実施例9〜12において、pH調整の酸の種類を変更しても、官能評価が優れていることが確認できた。
【0053】
<エチルアルコール及びイソアミルアルコールの含有量の影響について>
[実施例13]
エチルアルコール100μLとイソアミルアルコール125μLを添加すること以外は実施例4と同様にして風味飲料を得た。
【0054】
[実施例14]
エチルアルコール250μLとイソアミルアルコール125μLを添加すること以外は実施例4と同様にして風味飲料を得た。
【0055】
[実施例15]
エチルアルコール1,000μLとイソアミルアルコール125μLを添加すること以外は実施例4と同様にして風味飲料を得た。
【0056】
[実施例16]
エチルアルコール4,000μLとイソアミルアルコール125μLを添加すること以外は実施例4と同様にして風味飲料を得た。
【0057】
[実施例17]
(参考例)
エチルアルコール500μLとイソアミルアルコール50μLを添加すること以外は実施例4と同様にして風味飲料を得た。
【0058】
[実施例18]
エチルアルコール500μLとイソアミルアルコール750μLを添加すること以外は実施例4と同様にして風味飲料を得た。
【0059】
[実施例19]
エチルアルコール750μL、イソアミルアルコール500μL、酢酸イソアミル60μLとβ−フェネチルアルコール60μLとイソアミルアルコール125μLを添加すること以外は実施例4と同様にして風味飲料を得た。
【0060】
[比較例7]
エチルアルコールを添加せず、イソアミルアルコール125μLのみを添加すること以外は実施例4と同様にしてマッコリ風味飲料を得た。
【0061】
[比較例8]
エチルアルコールを60μLとイソアミルアルコール125μLを添加すること以外は実施例4と同様にして風味飲料を得た。
【0062】
[比較例9]
エチルアルコール8,000μLとイソアミルアルコール125μLを添加すること以外は実施例4と同様にして風味飲料を得た。
【0063】
[比較例10]
エチルアルコール500μLを添加し、イソアミルアルコールを添加しないこと以外は実施例4と同様にして風味飲料を得た。
【0064】
[比較例11]
エチルアルコール500μLとイソアミルアルコール1,500μLを添加すること以外は実施例4と同様にして風味飲料を得た。
【0065】
実施例13〜19及び比較例8〜11で得られた風味飲料のRef.Brix、pHを測定し、エチルアルコールの含有量、イソアミルアルコールの含有量、アルコール分を添加量から算出した。また、得られた風味飲料の官能評価を行った。これらの結果及び参考として実施例4の結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
【0067】
表3に示すとおり、エチルアルコールの含有量及びイソアミルアルコールの含有量が本発明の範囲内の実施例4、13〜19では、これらの含有量が本発明の範囲外の比較例7〜11に比べて、官能評価の「美味しさ」と「マッコリらしさ」が共に優れていることが確認できた。
また、他の香気成分を加えた実施例19では、加えない実施例4と比べて、官能評価の「美味しさ」と「マッコリらしさ」が共により優れていることが確認できた。
【0068】
以上より、農産物糖化品を原料として用い、Ref.Brixが8%(w/w)以上40%(w/w)未満、pHが3.5以上4.6以下、エチルアルコールの含有量が100μL/L以上4,000μL/L以下、イソアミルアルコールの含有量が50μL/L以上1,000μL/L以下のすべての条件を満たせば、十分な香味を持つアルコール分1%未満のマッコリ風味飲料を得ることができる。
しかし、これらの条件のどれか一つでも満たさなければ、十分な香味を持つマッコリ風味飲料を得ることができない。