(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、配線パターンのずれ検出用のマークは、貫通孔の全周に亘って、貫通孔の外縁近傍に形成されているので、マークが、例えば、金メッキなどの白色系の材料を用いて形成される場合、貫通孔検出のための画像処理時に、マークに照射された光が貫通孔の外縁で膨張、散乱する。この結果、貫通孔とマークとの境界が不鮮明となり、貫通孔の検出精度が低下して、分割時の位置決めや電子部品の実装時の位置決めの精度が低下するおそれがある。
【0006】
一方、マークと貫通孔とを個別に設けるには、配線基板領域を囲むように設けられている周辺領域の面積を広くしなければならず、製造コストが増大するおそれがある。
【0007】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、配線基板において、分割時の位置決めや電子部品の実装時の位置決めに用いられる貫通孔の検出精度を低下させることなく、配線パターンの印刷ずれ検出用マークを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[形態1]
内部に配線パターンを備える複数の配線基板領域が縦横に配列された第1の領域と、前記第1の領域の周囲に設けられている第2の領域と、前記第2の領域の第1の面側に形成されている窪み部と、前記窪み部の底面を貫通し、前記第1の領域の前記配線基板領域の位置決めに用いられる貫通孔と、を備える配線基板であって、前記窪み部の底面には、前記貫通孔の中心と同一の中心を有し、前記貫通孔の半径より大きく、前記窪み部の半径より小さい半径を有する第1の円の円弧を少なくとも含むマークが配置されている
前記配線パターンのずれ検出用のマーク部と、前記貫通孔の外縁から前記窪み部の外縁に亘る幅を有し、かつ前記貫通孔の円弧に沿って延伸する、前記底面が露出している露出部と、を有し、前記第1の円の円弧は、前記マークの外縁のうちの前記窪み部に最も近い外縁を形成し、前記第1の円の円弧と前記貫通孔の外縁との間に、前記貫通孔の半径方向に幅を有する間隙が形成され、前記間隙において前記底面が露出している、配線基板。
【0009】
[適用例1]
複数の配線基板領域が縦横に配列された第1の領域と、前記第1の領域の周囲に設けられている第2の領域と、前記第2の領域の第1の面側に形成されている窪み部と、前記窪み部の底面を貫通し、前記第1の領域の前記配線基板領域の位置決めに用いられる貫通孔とを備える配線基板であって、前記窪み部の底面には、前記貫通孔の中心と同一の中心を有し、前記貫通孔の半径より大きく、前記窪み部の半径より小さい半径を有する第1の円の円弧を少なくとも含むマークが配置されているマーク部と、前記貫通孔の外縁から前記窪み部の外縁に亘る幅を有し、かつ前記貫通孔の円周に沿って延伸する、前記底面が露出している露出部と、を有する配線基板。
【0010】
適用例1の配線基板によれば、配線基板領域の位置決め用の貫通孔が形成されている窪み部の底面に、貫通孔の中心と同一の中心を有し、貫通孔の半径より大きく、窪み部の半径より小さい半径を有する第1の円の円弧を少なくとも含むマーク部が設けられているので、マーク部の円弧の位置ずれを検出することにより、配線基板の配線パターンのずれを容易に検出できる。また、窪み部の底面に、貫通孔の外縁から窪み部の外縁に亘る幅を有し、かつ、貫通孔の円周に沿って延伸する露出部が設けられているので、貫通孔検出のための画像処理時に、貫通孔の外縁を鮮明に検出することができ、貫通孔の検出精度を向上できる。従って、窪み部の底面に、露出部が形成されるようにマーク部を形成することにより、配線パターンのずれを検出することができるとともに、貫通孔を精度よく検出できる。また、貫通孔の周囲にマーク部が形成されているので、貫通孔とマーク部とを離間させて別々に形成する場合に比して、第2の領域の面積を縮小でき、製造コストを抑制できる。
【0011】
[適用例2]
適用例1記載の配線基板であって、前記露出部の面積と前記マーク部の面積は、ほぼ同一である、配線基板。
【0012】
適用例2の配線基板によれば、露出部と、マーク部とは、それぞれの面積がほぼ同一となるように形成される。従って、配線パターンのずれ検出と、貫通孔の検出を、偏りなく行うことができる。
【0013】
[適用例3]
適用例1または適用例2記載の配線基板であって、前記露出部と前記マーク部とが、前記貫通孔の周囲に周回方向にそって交互に設けられている、配線基板。
【0014】
適用例3の配線基板によれば、露出部とマーク部とは、貫通孔の周囲に周回方向に沿って交互に設けられている。周回方向とは、貫通孔の中心を軸として、貫通孔の円周に沿って回転する方向を意味する。従って、露出部とマーク部とが、窪み部の全面に亘り設けられているので、配線パターンのずれ、および、貫通孔の検出精度を向上できる。
【0015】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の配線基板であって、前記窪み部の底面には、前記マーク部が4つ配置されており、前記4つのマーク部のうち、第1のマーク部と第2のマーク部は、平面視で前記貫通孔を挟んで向かい合って配置されており、前記4つのマーク部のうち、第3のマーク部と第4のマーク部は、平面視で前記貫通孔を挟んで向かい合って、前記第1及び第3のマーク部とは重ならないように配置されている、配線基板。
【0016】
適用例4の配線基板によれば、第1のマーク部と第2のマーク部、および、第3のマーク部と第4のマーク部は、それぞれ、平面視で貫通孔を挟んで向かい合って配置されているとともに、第1及び第3のマーク部は重ならないように配置されている。すなわち、窪み部の底面を、貫通孔の中心を通り直交する2本の直線で4等分に分割した各領域に、マーク部が一つずつ含まれるように、各マーク部が配置される。従って、配線パターンのずれ検出の精度を向上できる。
【0017】
[適用例5]
適用例4の配線基板であって、前記第1のマーク部と前記第2のマーク部は、前記貫通孔の中心を対称点として、点対称に配置され、前記第3のマーク部と前記第4のマーク部は、前記貫通孔の中心を対称点として、点対称に配置され、記第1のマーク部の前記円弧の中点と、前記第2のマーク部の前記円弧の中点とを結ぶ第1の直線と、前記第3のマーク部の前記円弧の中点と、前記第4のマーク部の前記円弧の中点とを結ぶ第2の直線は、直交する、配線基板。
【0018】
適用例5の配線基板によれば、第1のマーク部と第2のマーク部、および、第3のマーク部と第4のマーク部は、それぞれ点対称に配置されているとともに、互いに隣接するマークは、周回方向に90度ずれて配置されている。従って、配線パターンのずれを容易に精度よく検出できる。
【0019】
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれかに記載の配線基板であって、前記マーク部は、前記貫通孔の中心と同一の中心を有し、前記貫通孔の半径より大きく、前記窪み部の半径以下、かつ、前記第1の円の半径とは異なる第2の円の円弧と、前記第1の円の円弧と、前記第1の円の円弧および前記第2の円の円弧の夫々の両端を結ぶ2本の直線とで囲まれた領域であり、前記露出部は、前記貫通孔の中心から半径方向に伸びる2本の直線と、該2本の直線の間に存在する前記貫通孔の外縁および窪み部の外縁と、からなる領域である、配線基板。
【0020】
適用例6の配線基板によれば、マーク部の形状は、第1の円の円弧、第2の円の円弧、第1の円の円弧および第2の円の円弧の夫々の両端を結ぶ2本の直線によって規定されており、露出部の形状は、貫通孔の中心から半径方向に伸びる2本の直線と、該2本の直線の間に存在する貫通孔の外縁および窪み部の外縁により規定されている。従って、マーク部、露出部の形状を簡易に規定できる。
【0021】
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか記載の配線基板であって、前記貫通孔は、前記第1の領域を前記配線基板領域ごとに分割する際の位置決めに用いられる、配線基板。
【0022】
適用例7の配線基板によれば、貫通孔は、第1の領域を配線基板領域ごとに分割する際の位置決め(基準)に利用される。従って、分割精度を向上できる。
【0023】
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれかに記載の配線基板であって、更に、配線パターンを備え、
前記マーク部は、前記配線パターンの形成と同時に、前記底面に形成される、配線基板。
【0024】
適用例8の配線基板によれば、マーク部は配線パターンと同時に形成される。従って、配線パターンとマーク部とのずれ量が一致するので、配線パターンの位置ずれの検出精度を向上できる。
【0025】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
A.第1実施例:
A1.配線基板概略構成:
図1は、第1実施例における配線基板10の概略構成を例示する説明図である。
図1(a)は配線基板10の下面側からの平面図であり、
図1(b)は、
図1(a)で示すA−A断面における配線基板10の断面図である。配線基板10は、いわゆる多数個取り配線基板である。
【0028】
配線基板10は、第1の領域35と、第1の領域35の周囲に設けられている第2の領域36と、を有する。また、
図1(b)に示すように、配線基板10は、複数のセラミックス層12、14、16が積層されて構成されている。セラミックス層12、14、16は、例えば、酸化アルミニウムやガラスセラミックなどの材料から形成されており、図示しないビア導体や配線パターン、電極などの構成を備える。第1の領域35には、半導体素子などの電子部品を搭載するための配線基板領域30が縦横に配列されている。各配線基板領域30は、キャビティ32を有する。キャビティ32は、配線基板10の上面12a側に、電子部品を実装するために窪み状に形成されている。配線基板領域30は、分割され、個別の小型配線基板(配線基板領域30)となる。第2の領域36には、貫通孔18と窪み部20とが形成されている。実施例において、上面12aは、特許請求の範囲における「第2の面」に当たる。
【0029】
窪み部20は、配線基板10の下面16a側に形成されており、セラミックス層14、16を貫通する深さを有する。また、窪み部20は、天面100を有する。天面100は、下面16a側から視認した際には、窪み部20の底面となるため、以降、本明細書では、説明の便宜上、窪み部20の天面100を、底面100と表す。底面100には、配線基板10の配線パターン(図示せず)の印刷ずれを検出するためのマーク110が形成されている。マーク110は、配線パターンを形成する材料と同一の材料、例えば、WとMoからなる合金によって形成されている。実施例において、下面16aは、特許請求の範囲における「第1の面」に当たる。
【0030】
貫通孔18は、配線基板10の上面12a側に、窪み部20の底面100の中心を貫通して形成されており、配線基板領域30の位置決めに用いられる。本実施例では、配線基板領域30の位置決めとは、第1の領域35を個別の配線基板領域30ごとに分割(切断)する際の位置決めや、配線基板領域30のキャビティ32への電子部品の実装時における位置決めなど、種々の位置決め手段を含む。
【0031】
図2は、第1実施例における窪み部20の底面100について説明する拡大平面図である。
図2に示すように、貫通孔18と底面100は、同一の中心Oを有する同心円である。底面100には、配線基板10に形成された配線パターン(図示せず)の印刷ずれを検出するための第1のマーク110a、第2のマーク110b、第3のマーク110c、および、第4のマーク110dと、窪み部20の底面100であって、セラミックス層12の表面が露出した露出部120a〜120dとが設けられている。以降、実施例では、説明の便宜上、第1のマーク110a〜第4のマーク110dを単にマーク110と記載すること、および、露出部120a〜120dを単に露出部120と記載することがある。
【0032】
マーク110と露出部120とは、貫通孔18の周囲に周回方向Zに沿って交互に設けられている。実施例では、周回方向とは、貫通孔18の中心Oを軸として、貫通孔18の円周(外縁)に沿って回転する方向を意味する。また、マーク110と露出部120は、ほぼ同一の面積となるように形成されている。
【0033】
マーク110は、貫通孔18の中心Oと同一の中心を有し、貫通孔18の半径d1より大きく、窪み部20の半径d2より小さい半径d3を有する第1の円70の円弧115を少なくとも含む形状に形成されており、配線基板10の配線パターンと同時に底面100にスクリーン印刷によって形成される。具体的には、第1実施例では、マーク110は、第1の円70の円弧115と、第1の円70の半径d3より大きく、窪み部20の半径d2以下の半径d4を有する第2の円80の円弧118と、円弧115および円弧118のそれぞれの両端を結ぶ2本の直線(直線116、直線117)とで囲まれた領域である。例えば、第1のマーク110aは、第1の円70の円弧115aと、第2の円80の円弧118aと、円弧115aおよび円弧118aのそれぞれの両端を結ぶ直線116a、直線117aとで囲まれた、略扇形状の領域である。このような形状に形成することにより、マーク110の貫通孔18側の円弧115と貫通孔18の外縁122との間に、貫通孔18の半径方向に幅d5の間隙130が形成される。間隙130が存在することにより、貫通孔18に対する円弧115のずれ(例えば、方向や位置など)を簡易に確認することができ、マーク110と同時に形成される印刷パターンの位置ずれを容易に検出できる。
【0034】
また、第1のマーク110aと第2のマーク110bは、貫通孔18の中心Oを対称点として点対称に配置されており、第3のマーク110cと第4のマーク110dは、貫通孔18の中心Oを対称点として、点対称に配置されている。更に、第1のマーク110a〜第4のマーク110dは、第1のマーク110aの円弧115aの中点m1と、第2のマーク110bの円弧115bの中点m2とを結ぶ第1の直線Xと、第3のマーク110cの円弧115cの中点m3と、第4のマーク110dの円弧115dの中点m4とを結ぶ第2の直線Yが直交するように配置されている。すなわち、4つのマーク110のそれぞれは、互いに隣接するマーク110と、貫通孔18の周回方向に90度ずれて配置されている。なお、第1の直線Xは、配線基板領域30の配列方向の縦方向に沿った直線であり、第2の直線Yは、配線基板領域30の配列方向の横方向に沿った直線である。なお、第1の直線Xと第2の直線Yは仮想直線であって、実際の配線基板上には設けられていない。
【0035】
露出部120は、貫通孔18の外縁から窪み部20の外縁に亘る幅w1を有し、かつ、貫通孔18の円弧に沿って延伸してセラミックス層12の底面100が露出している領域である。具体的には、露出部120は、貫通孔18の中心Oから半径方向に伸びる2本の直線(直線116、直線117)と、当該2本の直線116、117の間に存在する貫通孔18の外縁122および窪み部の外縁124とにより囲まれた、略扇形形状の領域(点P1、P2、P3、P4によって囲まれた領域)である。露出部120を設けることにより、貫通孔18の円弧から、貫通孔18の半径方向に、配線パターンの印刷ずれ検出用のマーク110が存在しない領域が存在するので、貫通孔18を検出する際の画像処理時に、貫通孔18のエッジ(外縁122)が鮮明となり、貫通孔18の検出精度を向上できる。
【0036】
なお、第1実施例では、露出部120を構成する直線116、直線117と、マーク110を構成する直線116、117は、同一の直線であるが、露出部120を構成する直線と、マーク110を構成する直線は、異なる直線であってもよい。
【0037】
A2.製造工程:
図3〜
図6を参照して、配線基板10の製造工程について説明する。
図3は、第1実施例における配線基板10の製造工程を説明する工程図である。
【0038】
配線基板10となる、セラミックスからなるグリーンシートを成形する(ステップS10)。具体的には、グリーンシートの材料となるセラミックス粉末を、所定の割合で混合した後、可塑剤、溶剤を加えてスラリーとし、生成したスラリーを、ドクターブレード法、圧延法、カレンダロール法、金型プレス法などにより、厚さ数100μmのシート状に成形する。グリーンシートの材料となるセラミックス粉末には、例えばAl
2O
3、Al
2O
3−SiO
2−ZrO
2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiO
2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、スピネル、ムライト・コージェライトなど、が含まれる。
【0039】
成形されたグリーンシートに、図示しない導体ビアを配置するための貫通孔や、配線基板領域30の位置決め用の貫通孔18、キャビティ32、窪み部20を形成する(ステップS12)。具体的には、ステップS10において成形されたグリーンシートに、打ち抜き加工を施して貫通孔や窪みを形成する。
【0040】
図4は、第1実施例における貫通孔18およびキャビティ32用の貫通孔の形成について説明する説明図である。
図5は、第1実施例における窪み部20およびキャビティ32用の貫通孔の形成について説明する説明図である。
図6は、窪み部20用の貫通孔の形成について説明する説明図である。
図4(a)に示すように、セラミックス層12となるグリーンシート212をダイ302の上に配置し、金型300でグリーンシート212をプレスして打ち抜き加工を行う。金型300は、貫通孔18を形成するための第1パンチングピン304と、キャビティ32を形成するための第2パンチングピン306、および、図示しない導体ビアを配置するための貫通孔を形成するための、図示しないパンチングピンを備える。打ち抜き加工により、
図4(b)に示すように、第1の領域35に、キャビティ32となる貫通孔230が形成され、第2の領域36に、貫通孔18が形成される。このように、配線基板領域30の位置決め用の貫通孔18、キャビティ32となる貫通孔230は、同一の金型300を用いて、同時に打ち抜き加工され形成されることにより、貫通孔18とキャビティ32との位置ずれが抑制される。なお、
図4では、説明の便宜上、貫通孔18と貫通孔230とが、同一の断面内に形成されるように記載されている。
【0041】
次に、
図5(a)に示すように、セラミックス層14となるグリーンシート214をダイ312の上に配置し、金型310でグリーンシート214をプレスして打ち抜き加工を行う。金型310は、窪み部20となる貫通孔を形成するための第1パンチングピン314と、キャビティ32となる貫通孔を形成するための第2パンチングピン316を備える。打ち抜き加工により、
図5(b)に示すように、第1の領域35に、キャビティ32となる貫通孔232が形成され、第2の領域36に、窪み部20となる貫通孔220が形成される。なお、第2パンチングピン316の径(パンチングピンの形状が方形の場合は幅に相当)は、
図4に示す金型300の第2パンチングピン306の径(幅)よりも若干大きい。
【0042】
次に、
図6(a)に示すように、セラミックス層16となるグリーンシート216をダイ322の上に配置し、金型320でグリーンシート216をプレスして打ち抜き加工を行う。金型320は、窪み部20となる貫通孔を形成するためのパンチングピン324を備える。打ち抜き加工により、
図6(b)に示すように、第2の領域36に、窪み部20となる貫通孔220が形成される。
【0043】
グリーンシート212、214,216の、図示しない配線ビア導体配置用の貫通孔に配線ビア導体となる導体ペーストを充填する(ステップS14)。
【0044】
導体ペーストが充填されたグリーンシート212、216の表面に、配線パターンとなるメタライズペーストの印刷とともに、配線パターンの印刷ずれを検出するためのマーク110となるメタライズペーストを印刷する(ステップS16)。
図7は、第1実施例におけるマーク110となるメタライズペースト印刷について説明する説明図である。グリーンシート212の表面における、窪み部20の底面100に対応する部分に、マーク110となるメタライズペースト210をスクリーン印刷等により塗布する。メタライズペースト210は、タングステン、モリブデン、銀、銅などを材料とするペーストである。
【0045】
以上のように形成されたグリーンシート212、214、216を積層する(ステップS18)。グリーンシート212、214、216が積層されると、貫通孔230、232はキャビティ32となり、貫通孔220は窪み部20となる。
【0046】
積層されたグリーンシート212、214、216を焼成する(ステップS20)。第1実施例では、グリーンシート212、214、216のセラミック粉末は、Al
2O
3系を用いているので、約1400℃〜1600℃で焼成する。
【0047】
ステップS20における焼成により、グリーンシート212、214、216はセラミックス層12、14、16となり、メタライズペースト210はマーク110となる。
【0048】
以上説明したように、配線基板10が製造される。配線基板10の表面には、ニッケル(Ni)や金(Au)のメッキ処理が施されてもよい。
【0049】
以上説明した第1実施例の配線基板10によれば、配線基板領域30の位置決め用の貫通孔18が形成されている窪み部20の底面100に、貫通孔18の中心Oと同一の中心を有し、貫通孔18の半径d1より大きく、窪み部20の半径d2より小さい半径を有する第1の円70の円弧115を少なくとも含むマーク110が設けられている。従って、マーク110の円弧115の位置ずれを検出することにより、配線基板領域30の配線パターンのずれを容易に検出できる。また、窪み部20の底面100に、貫通孔18の外縁122から窪み部20の外縁124に亘る幅w1を有し、かつ、貫通孔18の円周に沿って延伸する露出部120が設けられている。従って、貫通孔18の検出のための画像処理において、貫通孔18の外縁122を鮮明に検出することができ、貫通孔18の検出精度を向上できる。従って、窪み部20の底面100に、露出部120が形成されるようにマーク110を形成することにより、貫通孔18の検出精度を低下させることなく、配線パターンの位置ずれを検出することができる。
【0050】
また、第1実施例の配線基板10によれば、露出部120と、マーク110とは、それぞれの面積がほぼ同一となるように形成される。従って、配線パターンのずれ検出と、貫通孔の検出を、偏りなく行うことができる。
【0051】
また、第1実施例の配線基板10によれば、露出部120とマーク110とは、貫通孔18の周囲に周回方向Zに沿って交互に繰り返し設けられている。従って、露出部120とマーク110とが、窪み部20の全面に亘り設けられるので、配線パターンのずれ、および、貫通孔18の検出精度を向上できる。
【0052】
また、第1実施例の配線基板10によれば、第1のマーク110aと第2のマーク110b、および、第3のマーク110cと第4のマーク110dは、それぞれ、貫通孔18の中心Oを対称点として、点対称に配置されているとともに、互いに隣接するマーク110a〜110dは、周回方向Zに90度ずれて配置されている。従って、配線パターンのずれを容易に視認(検出)できる。
【0053】
また、第1実施例の配線基板10によれば、マーク110の形状は、第1の円70の円弧115、第2の円80の円弧118、円弧115および円弧118のそれぞれの両端を結ぶ2本の直線116、117によって規定されており、露出部120の形状は、貫通孔18の中心Oから半径方向に伸びる2本の直線116、117と、該2本の直線116、117の間に存在する貫通孔18の外縁122および窪み部20の外縁124により規定されている。従って、マーク110、露出部120の形状を簡易に規定できる。
【0054】
また、第1実施例の配線基板10によれば、貫通孔18は、第1の領域35を配線基板領域30ごとに分割(切断)する際の位置決めに利用される。従って、配線基板領域30を所望の形状に精度よく分割(切断)することができる。
【0055】
B.変形例:
以下に、配線基板の窪み部の底面におけるマークの種々の態様について、変形例として説明する。なお、以下の変形例では、セラミックス層12など、第1実施例と同様の機能、構成を備える部材は、第1実施例と同一の符号により示す。
【0056】
B1.変形例1:
図8は、変形例1における配線基板の窪み部の底面400について説明する拡大平面図である。底面400には、変形例1の配線基板の配線パターン(図示せず)の印刷ずれを検出するための4つの第1のマーク410a、第2のマーク410b、第3のマーク410c、および、第4のマーク410dと、セラミックス層12の表面が露出した露出部420とが設けられている。第1のマーク410a、第2のマーク410b、第3のマーク410c、および、第4のマーク410dは、貫通孔18の半径より大きく底面400の半径(換言すれば、窪み部の半径である)以下の半径を有する円弧を含む。例えば、第1のマーク410aは、円弧415を含む。貫通孔18の外縁と、円弧415の間には、第1実施例において説明したように間隙430が存在する。
【0057】
第1のマーク410aと第2のマーク410bは、平面視で貫通孔18を挟んで向かい合って配置されており、第3のマーク410cと第4のマーク410dは、平面視で貫通孔18を挟んで向かい合って配置されている。また、第1のマーク410a及び第3のマーク410cとは重ならないように配置されている。すなわち、
図8に示すように、第1のマーク410a〜第4のマーク410dは、貫通孔18および底面400の中心Oを通り直交する2本の直線X1、Y1により等分に4分割された領域に、それぞれ一つずつ配置される。
【0058】
また、露出部420は、貫通孔18の中心Oから貫通孔18の半径方向に伸びる2本の直線416、417と、直線416、417の間に存在する貫通孔18の外縁と底面400(窪み部)の外縁とにより囲まれた領域であり、第1のマーク410a〜第4のマーク410dと重ならないように配置されている。
【0059】
以上説明した変形例1の配線基板によれば、第1のマーク410a〜第4のマーク410dは、貫通孔18の中心Oを通り直交する2本の直線X1、Y1で窪み部の底面400を4等分に分割した各領域に、各マークが一つずつ含まれるように、底面400面内にバランスよく配置される。従って、配線パターンのずれ検出の精度を向上できる。
【0060】
B2.変形例2:
図9は、変形例2における配線基板の窪み部の底面500について説明する拡大平面図である。底面500には、変形例2の配線基板の配線パターン(図示せず)の印刷ずれを検出するためのマーク510と、セラミックス層12の表面が露出した露出部520とが設けられている。
【0061】
露出部520は、貫通孔18の中心Oから貫通孔18の半径方向に伸びる2本の直線516、517と、直線516、517の間に存在する貫通孔18の外縁522と底面500(窪み部)の外縁524とにより囲まれた、略扇形形状の領域である。
【0062】
マーク510は、貫通孔18の半径より大きく底面500の半径(換言すれば、窪み部の半径である)以下の半径を有する円の円弧515を含む。貫通孔18の外縁522と、円弧515の間には、間隙530が存在する。
【0063】
以上説明した変形例2の配線基板によれば、マーク510は、貫通孔18の半径より大きく底面500の半径(換言すれば、窪み部の半径である)以下の半径を有する円弧515を含むので、マーク510の面積が、露出部520に比して小さい場合であっても、配線パターンの印刷ずれを確認できる。一方、露出部520の面積の拡大に伴い、貫通孔18の検出精度を向上できる。また、マーク510の面積、第1実施例や変形例1に比して小さいので、マーク510となるメタライズペーストの使用量を低減でき、製造コストを抑制できる。
【0064】
B3.変形例3:
図10は、変形例3における配線基板の窪み部の底面600について説明する拡大平面図である。底面600には、変形例3の配線基板の配線パターン(図示せず)の印刷ずれを検出するためのマーク610と、セラミックス層12の表面が露出した露出部620とが設けられている。
【0065】
変形例3のマーク610は、貫通孔18の半径より大きく底面600の半径(換言すれば、窪み部の半径である)以下の半径を有する円の円弧615と、円弧615の両端のそれぞれを通る2本の直線618、619とにより囲まれた略三角形形状の領域である。
【0066】
露出部520は、貫通孔18の中心Oから貫通孔18の半径方向に伸びる2本の直線616、617と、直線616、617の間に存在する貫通孔18の外縁622と底面600(窪み部)の外縁624とにより囲まれた、略扇形形状の領域である。
【0067】
上述した第1実施例や他の変形例では、マークは略扇形形状とされているが、変形例3に示すように、マーク610は、貫通孔18の半径より大きく窪み部の半径より小さい半径を有する円の円弧615を含んでいれば、どのようなマーク(図形)であってもよい。
【0068】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。