(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動力伝達部は、前記駆動用車輪の回転に伴って回転する第1スプロケットと、前記回転体を回転させる第2スプロケットと、前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとの間に設けられているチェーンと、を有し、
前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとは、前記駆動用車輪の周速度と前記回転体の周速度とを同じとする歯数比に設定されている請求項2又は3に記載の車両台車の搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のように、作業車と車両台車のフレームとをワイヤーロープで連結する場合、その連結のための時間及び手間を要することから作業効率が悪い。特に、車両の連結数が多い場合は、車両台車も多くなるので、全ての車両台車を車両本体下から引き出し、検査等の後、車両本体下に引き込むためには、多くの時間を要する。
【0006】
また、鉄道車両では、例えば環境性能及び走行性能等に関する技術の発達に伴い、新型が次々と開発されており、型式が異なると車両台車のフレームの形状も異なる場合がある。したがって、従来のように、作業車が有しているフックを車両台車のフレームに掛ける場合、車両台車のフレームの形状に応じて、そのフックの位置及び形状などを変更する必要があるので、作業効率が悪い。
【0007】
そこで、本発明は、車両台車を搬送する作業の効率を高めることが可能となる車両台車の搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、鉄道車両の車両本体と切り離された車両台車を軌条に沿って搬送する車両台車の搬送装置であって、前記軌条の長手方向に沿って走行可能である作業車と、前記車両台車の車輪の外周と接触する回転体を有し、当該車輪に接触させた当該回転体によって当該車輪を回転可能の状態で捕捉する、前記作業車と一体の捕捉ユニットとを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、作業車と一体である捕捉ユニットが車両台車の車輪を捕捉した状態で、作業車を軌条に沿って走行させることにより、車輪を軌条に沿って転がり移動させることができ、車両台車を搬送することが可能となる。
そして、車両台車(鉄道車両)の型式が様々であっても、その車輪は円形で共通しており、本発明では、この車輪の外周と接触する回転体によって車輪を捕捉していることから、様々な型式の車両台車(鉄道車両)に適用することができ、車両台車を搬送する作業の効率を高めることが可能となる。
【0010】
(2)また、前記捕捉ユニットは、前記回転体としての一対のプーリ及びこれらプーリ間に架けられ前記車輪の上側外周の一部に沿って接触するベルトと、前記回転体を前記車輪の中心側に向かって押し付けるためのアクチュエータとを有しているのが好ましい。
この場合、ベルトが車輪の外周に対して上から円弧状に接触し、さらに、このベルト及びプーリが車輪の中心側に向かって押し付けられることで車輪を捕捉することができる。しかも、ベルトは車輪に対して点で接触するのではなく広い範囲(円弧部)で接触することから、車輪とベルトとの間の滑りの発生を低減することが可能となり、車輪を安定して捕捉することができる。また、車輪の直径が異なっていても、その車輪にベルトを押し付けて、車輪を簡単に捕捉することが可能となる。
【0011】
(3)また、前記車両台車の搬送装置は、前記作業車の走行に伴って回転する駆動用車輪と、前記駆動用車輪の回転力を前記回転体の回転力として伝達すると共に、前記軌条の上を転がる前記車輪の周速度と同じ周速度で当該回転体を回転させる動力伝達部とを更に備えているのが好ましい。
この場合、作業車が走行すると、捕捉ユニットに捕捉されている車輪は軌条の上を転がり移動すると共に、駆動用車輪が回転し動力伝達部によって回転体を回転駆動させる。この際、回転体は、軌条の上を転がる車輪の周速度と同じ周速度で回転することから、この車輪に同調して回転体を回転させながら、車両台車を作業車に同調して軌条に沿って搬送することができる。
【0012】
(4)また、前記(3)の搬送装置において、同じ軌条を転がる車輪と駆動用車輪とは同じ周速度で転がり回転することから、前記動力伝達部は、前記駆動用車輪の回転に伴って回転する第1スプロケットと、前記回転体を回転させる第2スプロケットと、前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとの間に設けられているチェーンとを有し、前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとは、前記駆動用車輪の周速度と前記回転体の周速度とを同じとする歯数比に設定されているのが好ましい。
この構成により、軌条の上を転がる車輪の周速度と同じ周速度で回転体を回転させることが可能となる。
【0013】
(5)また、前記作業車は、軌条外を走行可能なゴムタイヤ、このゴムタイヤを回転駆動する駆動部、及び、ステアリング装置を有し、更に、前記作業車は、前記車輪を前記軌条に沿って転がり移動させる際に、当該軌条の上を転がって当該作業車を当該軌条に沿って走行させるためのガイド車輪を有しているのが好ましい。
この場合、ゴムタイヤによって作業車は走行することができ、また、ステアリング装置によって、例えば、作業車は軌条外の領域から軌条の存在領域に自走して進入することができる。そして、車輪を軌条に沿って転がり移動させる際、ガイド車輪をこの軌条に沿って転がり移動させることで、搬送装置は軌条に沿って安定して走行することができる。つまり、蛇行するのを防止することができ、直進性が向上する。
【0014】
(6)また、前記捕捉ユニットは、前記回転体を支持する捕捉フレームと、この捕捉フレームを降下させ前記回転体を前記車輪に上から接触させる昇降装置とを有しているのが好ましい。
この場合、車輪に対して回転体を上から接触させることで、簡単に車輪を捕捉することが可能となる。また、前記(2)に記載の搬送装置の場合、車輪に対してベルトを上から接触させ、ベルトを車輪の中心側に向かって押し付けることで、車輪を簡単に捕捉することが可能となる。また、車輪の直径が異なっていても、車輪に対してベルトを上から接触させ、押し付けて、車輪を簡単に捕捉することが可能となる。なお、この場合、前記アクチュエータを昇降装置に兼用することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両台車の型式が様々であっても、その車輪は円形で共通していることから、この車輪の外周と接触する回転体によって車輪を捕捉しており、様々な型式の車両台車(鉄道車両)に適用することができ、車両台車を搬送する作業の効率を高めることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、鉄道車両の車両台車1と、本発明の搬送装置10とを示す側面図である。
図2は、車両台車1と搬送装置10とを示す平面図である。車両台車1は、鉄道車両の車両本体(図示せず)を上に載せる台車部分であり、フレーム3及びこのフレーム3に回転自在に支持されている4つの車輪2を有している。
【0018】
図1は、車両台車1との結合が解除された車両本体が、図示しないジャッキ装置によって持ち上げられた状態であり、軌条5上に、車両台車1が残された状態を示している。
そして、本発明の搬送装置10は、このように車両本体と切り離された車両台車1を、軌条5に沿って搬送する装置である。なお、軌条5は、鉄道車両の整備工場の床に敷設されたものであり、その床の上面(床面4)と、軌条5の上面5aとはほぼ同じ高さとされている。
【0019】
搬送装置10は、走行する作業車11と、この作業車11と一体である捕捉ユニット30とを備えている。本実施形態では、捕捉ユニット30は、作業車11の前部に搭載されていることで、作業車11と一体となっている。
【0020】
作業車11は、
図1に示しているように、軌条5外及び軌条5内の床面4を走行可能なゴムタイヤ12、このタイヤ12を回転駆動するための駆動部、及び、ステアリング装置14を有している。前記駆動部は、モータ15及びバッテリ16からなり、さらに、本実施形態では、作業車11は、従動タイヤ13を有しており、ステアリング装置14はこの従動タイヤ13の転がり方向を変更することができ、ゴムタイヤ12を駆動部によって回転駆動することによって、作業車11は任意の位置へと走行可能である。また、本実施形態の作業車11は、遠隔操作によってステアリング装置14及びモータ15が駆動制御される。
【0021】
このため、作業車11は、自走することにより、
図2に示しているように、軌条5が存在していない領域(軌条外の領域)8から、軌条5が存在している領域(軌条5の存在領域)9に進入可能であると共に、領域9から領域8へと退出することも可能である。また、作業車11は、領域9に進入してから直進することで、軌条5の長手方向に沿って走行可能である。
【0022】
作業車11の前部には、アタッチメント部17が設けられており、このアタッチメント部17に捕捉ユニット30が取り付けられている。この搬送装置10では、捕捉ユニット30側を前とし、作業車11側を後ろとする。ゴムタイヤ(駆動タイヤ)12が後輪となり、従動タイヤ13が前輪となる。
【0023】
捕捉ユニット30は、アタッチメント部17に固定された支柱31と、この支柱31に設置されている第1アクチュエータ32及び第2アクチュエータ33と、第1アクチュエータ32によって昇降移動する第1昇降部材34と、第2アクチュエータ33によって昇降移動する第2昇降部材35とを有している。アクチュエータ32,33は油圧シリンダからなり、作業車11の油圧ユニット18から油圧の供給を受けて伸縮動作する。昇降部材34,35は、支柱31に設けられているリニアガイドに沿って上下に直線移動する。
【0024】
図3は、作業車11の前部を主に示している側面図である。アクチュエータ32,33の双方は短縮した状態にあり、昇降部材34,35と共に、後述する捕捉フレーム36及び回転体(プーリ38,39及びベルト40)と、駆動用車輪42とは上昇位置にある。そして、
図4は、アクチュエータ32,33の双方が伸張した状態を示しており、昇降部材34,35と共に、捕捉フレーム36及び回転体(プーリ38,39及びベルト40)と、駆動用車輪42とは降下位置にある。
【0025】
〔捕捉ユニット30(その1)〕
図3と
図4に示す捕捉ユニット30は、更に、支柱31から前方へ突出している捕捉フレーム36と、支柱31に隣接して設けられている上下方向に長いガイドフレーム37とを有している。捕捉フレーム36は、第1昇降部材34に固定され、一体となって上下に移動する。捕捉フレーム36は、上桁部材36aと、下桁部材36bとを有している。ガイドフレーム37は、第2昇降部材35に固定され、一体となって上下に移動する。
【0026】
捕捉ユニット30は、更に、一対のプーリ38,39と、これらプーリ38,39間に架けられている無端ベルト40とを有しており、本実施形態では、車両台車1の車輪2を捕捉するための主要部となる回転体が、これらプーリ38,39とベルト40とによって構成される。
なお、
図2に示しているように、捕捉フレーム36及びガイドフレーム37は、作業車11の左右両側に設けられており、プーリ38,39、ベルト40、後述する(
図1参照)ガイド車輪19、駆動用車輪42及び動力伝達部43も、左右両側に設けられている。特に、プーリ38,39及びベルト40は、車両台車1の左右の車輪2と同じ間隔で、左右それぞれに配置されている。
【0027】
図3において、プーリ38,39は、前後離れて捕捉フレーム36に設置されており、軸受(図示せず)を介して捕捉フレーム36に取り付けられ回転可能である。ベルト40は環状であり、例えばゴムベルトからなる。
図3から
図4に示すように、第1アクチュエータ32が伸張動作して、捕捉フレーム36を降下させることで、ベルト40を車輪2の上側外周の一部(円弧部2a)に沿って、上から接触させることができ、さらに、ベルト40を車輪2の中心C側に向かって押し付けることができる。つまり、第1アクチュエータ32は、ベルト40及びプーリ38,39を支持する捕捉フレーム36を降下させる昇降装置となる。
【0028】
第1プーリ38は、後述する駆動用車輪42が回転すると、後述する動力伝達部43の働きによって回転する構成であり、ベルト40をその周方向に回転させる。ベルト40のうち車輪2に接触する側となる下側部分40aの回転方向は、作業車11の走行方向と一致する。例えば、
図4において、作業車11が右側へ走行すれば、下側部分40aも右側へ移動するようにベルト40は回転する。
第2プーリ39は、ばね41によって第1プーリ38から離れる方向に付勢された状態にあり、ベルト40に張力を付与していると共に、このベルト40を車輪2に接触させた際に、第2プーリ39を第1プーリ38側へ接近させることができ、ベルト40が車輪2の一部に沿って円弧形状となるのを許容する。第2プーリ39は、第1プーリ38が回転することによって回転する従動プーリである。
【0029】
車輪2の上端2bを前後から挟む位置に、プーリ38,39を位置させることで、ベルト40は上に凸となる円弧形状に変形することができ、車輪2の上端2bを含む上部を、ベルト40を介してプーリ38,39が前後から挟む構成となり、ベルト40は、この上端2bを含む上部に接触する。このため、搬送装置10が静止している状態では、車輪2の前後方向の移動が規制され、捕捉ユニット30に捕捉された状態となる。
【0030】
そして、作業車11が軌条5に沿って移動すれば、この移動に伴って、車輪2は捕捉ユニット30によって捕捉された状態で作業車11と共に軌条5の上を転がり移動することができる。例えば、作業車11が右側へ走行すれば、車輪2は第1プーリ38によって押されて右側へ転がり移動する。そして、前記のとおりベルト40の下側部分40aも右側へ移動するように回転し、車輪2の転がり移動を妨げない。
作業車11が走行を停止すると、捕捉ユニット30によって車輪2の転がり移動が規制され、車輪2は静止した状態となる。例えば、右側へ転がり移動していた車輪2は、第2プーリ39によってその移動が規制され、静止した状態となる。また、作業車11が走行を停止すると、ベルト40の回転も停止され、このベルト40が車輪2に対して回転力を与えない。
【0031】
以上より、捕捉ユニット30は、回転体として、プーリ38,39と、このプーリ38,39間に架けられ車輪2の上側外周と接触するベルト40とを有しており、この車輪2に接触させたベルト40及びこのベルト40を保持しているプーリ38,39によって、車輪2を捕捉することができる。作業車11が停止している状態では、車輪2の回転は拘束され軌条5の上を転がり移動することは不可能であるが、作業車11の走行に伴って、車輪2は、軌条5の上を転がり移動することができる。
【0032】
さらに、本実施形態の搬送装置10は、更に、作業車11の走行に伴って回転する駆動用車輪42と、この駆動用車輪42の回転力をベルト40の回転力として伝達する動力伝達部43とを備えている。
駆動用車輪42は、軌条5の上を転がり移動することができる小車輪であって、ガイドフレーム37の下部に回転可能として取り付けられている。駆動用車輪42は、車輪2と同様に、円錐踏面と、この円錐踏面から径方向に拡大しているフランジ部とを有している。ガイドフレーム37は、前記のとおり、第2アクチュエータ33によって昇降可能であり、このアクチュエータ33によって駆動用車輪42を、軌条5に対して上に離れた退避位置(
図3参照)と、軌条5の上面5aに載った転がり位置との間を昇降させる(
図4参照)。
【0033】
また、アクチュエータ33は、作業車11の前輪である従動タイヤ13が床面4から小寸法だけ浮いた状態(
図4参照)とさせるまで駆動用車輪42を降下させる。これにより、作業車11の自重を駆動用車輪42に分担させることができ、軌条5に対する駆動用車輪42の接触圧(摩擦力)を大きくし、作業車11の走行に伴って駆動用車輪42が確実に回転するようにしている。
なお、作業車11の走行による駆動用車輪42の周速度と、この作業車11によって押され、軌条5の上を転がる車輪2の周速度とは同じである。そこで、動力伝達部43は、軌条5の上を転がる車輪2の周速度と同じ周速度で、ベルト40(第1プーリ38)を回転させる構成とする。なお、ベルト40とプーリ38との周速度は同じである。
【0034】
このための構成を具体的に説明する。上記のとおり同じ軌条5を転がる車輪2と駆動用車輪42とは当然に同じ周速度で転がり回転することから、動力伝達部43は、駆動用車輪42の回転に伴って回転する第1スプロケット44と、回転体を構成している第1プーリ38を回転させる第2スプロケット45と、これら第1スプロケット44と第2スプロケット45との間に設けられているチェーン46とを有しており、第1スプロケット44と第2スプロケット45とは、駆動用車輪42の周速度と第1プーリ38の周速度とを同じとする歯数比に設定されている。
なお、
図4に示すように、第2スプロケット45と第1プーリ38とは、同軸上に設けられており一体回転可能であり、これらの回転数は同じである。これに対して、第1スプロケット44と駆動用車輪42とは異なる軸上に設けられているが、両者は、駆動用車輪42と同軸のギヤ45aと、このギヤ45aと噛み合うと共に第1スプロケット44と同軸のギヤ45bとを介して回転力が伝達され、しかも、第1スプロケット44が駆動用車輪42と同じ回転数で回転するように、ギヤ45a,45bは同じものからなる。
【0035】
また、本実施形態では、駆動用車輪42(軌条5に接触する部分)の直径と、第1プーリ38の直径とが同寸法とされていることから、駆動用車輪42の周速度と第1プーリ38の周速度とを同じとするために、第1スプロケット44と第2スプロケット45との歯数比を同じ(1:1)としている。つまり、第1スプロケット44と第2スプロケット45とは同じものである。
なお、駆動用車輪42(軌条5に接触する部分)の直径と、第1プーリ38の直径とが異なる場合、例えば、第1プーリ38の直径が、駆動用車輪42の直径の1.5倍である場合、第1スプロケット44と第2スプロケット45との歯数比を、この直径比に応じて設定する(1:1.5とする)必要がある。
以上より、駆動用車輪42の周速度と第1プーリ38の周速度とが同じとなる。
【0036】
また、スプロケット44,45の間に、チェーン46と噛み合う中間スプロケット47,48,49,50が、動力伝達部43の一部として設けられており、このうち中間スプロケット47,48は、ガイドフレーム37に取り付けられており、中間スプロケット49,50は、捕捉フレーム36に取り付けられている。
【0037】
以上の実施形態に係る動力伝達部43によれば、作業車11が走行すると、捕捉ユニット30に捕捉されている車輪2は軌条5の上を転がり移動すると共に、駆動用車輪42が回転し動力伝達部43によってプーリ38,39及びベルト40を回転駆動させる。この際、ベルト40は、転がる車輪2の周速度と同じ周速度で回転することから、この車輪2に同調してベルト40を回転させながら、車両台車1を作業車11に同調して軌条5に沿って搬送することができる。
【0038】
また、中間スプロケット49,50がアイドルスプロケットとして機能することができ、アクチュエータ32,33の動作に基づいて捕捉フレーム36とガイドフレーム37との相対的な位置が変化しても、駆動用車輪42の回転力を第1プーリ38へと伝達することが可能となる。
【0039】
また、
図1に示すように、作業車11は、車両台車1の車輪2を軌条5に沿って転がり移動させる際に、この軌条5の上を転がって作業車11を軌条5に沿って走行させるためのガイド車輪19と、このガイド車輪19を昇降させるアクチュエータ20とを有している。ガイド車輪19は、駆動用車輪42と同様に、左右両側に設けられており、左右の軌条5の上に置かれる。ガイド車輪19は、車輪2と同様に、円錐踏面と、この円錐踏面から径方向に拡大しているフランジ部とを有している。アクチュエータ20は、油圧ユニット18によって伸縮する。
【0040】
作業車11が、ゴムタイヤ(駆動タイヤ12)によって軌条外の領域8を走行する際、軌条外の領域8から軌条5の存在領域9に自走して進入する際、及び、領域9から領域8へ退出する際には、アクチュエータ20によってガイド車輪19を上昇させ、ガイド車輪19を軌条5から上に離した状態とする。
そして、作業車11が軌条の存在領域9において走行し、車両台車1を軌条5に沿って搬送する際、アクチュエータ20によってガイド車輪19を軌条5の上に降下させ、このガイド車輪19を軌条5に沿って転がり移動させる。さらに、この際、駆動用車輪42を軌条5に接触させ、
図4に示すように、従動タイヤ13を床面4から離した状態とする。この状態で、ガイド車輪19及び駆動用車輪42によれば、搬送装置10(作業車11)は、軌条5に沿って安定して走行することができる。つまり、直線状に敷設されている軌条5に対して、蛇行するのを防止することができ、直進性が向上する。
【0041】
以上の本実施形態に係る搬送装置10によれば、ベルト40が車輪2の外周に対して円弧状に接触し、さらに、このベルト40が車輪2の中心側に向かって押し付けられることで車輪2を捕捉することができる。しかも、ベルト40は車輪2に対して点で接触するのではなく、広い範囲(円弧部2a)で接触することから、車輪2とベルト40との間の滑りの発生を低減することが可能となり、車輪2を安定して捕捉することができる。例えば、加速・減速がスムーズとなる。また、車輪2の直径が異なっていても、その車輪2の上からベルト40を接触させ、さらに、ベルト40を押し付けて、車輪2を簡単に捕捉することが可能となる。
【0042】
〔捕捉ユニット(その2)〕
図5は、搬送装置10の第2の実施形態を示す側面図であり、
図6は、その平面図である。第2の実施形態(
図5)と第1の実施形態(
図3)とを比較すると、作業車11はほぼ同じであり、捕捉ユニットの具体的な構成が異なる。本実施形態(
図5)に係る捕捉ユニット60は、作業車11のアタッチメント部17に連結されることで、作業車11と一体となっている。
【0043】
捕捉ユニット60は、アタッチメント部17に連結されている下部フレーム61と、この下部フレーム61の前端部に設けられている左右方向に伸縮する第1アクチュエータ62と、このアクチュエータ62の両端部に設けられている第1ローラ63と、下部フレーム61の基部から立設したスタンド64と、このスタンド64に揺動可能に取り付けられているアーム65と、このアーム65の先端に取り付けられている第2ローラ66と、アーム65を上下揺動させる第2アクチュエータ67とを有している。
【0044】
搬送装置10が車両台車1の車輪2を捕捉するために、作業車11を車輪2に接近させるが、この際、第1アクチュエータ62を短縮させる。このアクチュエータ62が短縮した状態で、左右両端部のローラ63の間隔は、左右の車輪2の間隔よりも狭く、下部フレーム61は、車両台車1の車軸6(
図6参照)の下を通過することができる。そして、アクチュエータ62が伸張すると、左右両端部のローラ63の間隔は、左右の車輪2の間隔とほぼ同じとなり、これらローラ63は車輪2に接触可能となる(
図5参照)。
【0045】
また、第2アクチュエータ67を伸縮させることで、アーム65の先端を上下方向に揺動させることができ、その先端の第2ローラ66を、車輪2に接触させることができる。
以上より、左右の車輪2それぞれに対して、第1ローラ63が前方側(
図5では右側)から接触し、第2ローラ66が後方側(
図5では左側)から接触した状態が得られ、これらローラ63,66が車輪2を前後から挟んだ状態となる。
【0046】
第1ローラ63は、軌条5の上面5aを転がり移動することができる高さに位置していることから、作業車11が後方側(
図5では左側)へ走行すると、このローラ63は、軌条5を走行しながら車輪2を後方へ押すことが可能となる。そして、この作業車11が走行を止めると、第2ローラ66が車輪2の転がりを規制し、車輪2(車両台車1)を静止させる。
【0047】
以上より、本実施形態に係る捕捉ユニット60は、ローラ63,66を、車輪2の外周と接触する回転体としており、ローラ63,66によって、車輪2を回転可能の状態で捕捉することができる。
【0048】
〔捕捉ユニット(その3)〕
図7は、搬送装置10の第3の実施形態を示す側面図である。本実施形態(
図7)の搬送装置10は、作業車11としてフォークリフト(リーチリフト)79と、この作業車11と一体の捕捉ユニット70とを備えている。フォークリフト79は、自由に走行であり、軌条外の領域から軌条5の存在領域に進入可能であると共に、軌条5の長手方向に沿って走行可能である。
【0049】
本実施形態に係る捕捉ユニット70は、フォークリフト79の昇降部79aに固定された前後方向に長いフレーム71と、このフレーム71の前部に設けられた第1ローラ72と、フレーム71の途中部に設けられた第2ローラ73とを有している。
フォークリフト79が昇降部79aを降下させることで、ローラ72,73は、車輪2に上から接触することができ、さらに、ローラ72,73を車輪2の中心側へ向かって押し付けることが可能となる(
図7の状態)。
フレーム71は、左右の車輪2とほぼ同じ間隔で左右両側に設けられており、各フレーム71に、ローラ72,73が設置されている。
【0050】
以上より、左右の車輪2それぞれに対して、第1ローラ72が前方側(
図7では右側)から接触し、第2ローラ73が後方側(
図7では左側)から接触した状態が得られ、これらローラ72,73が車輪2の上部を前後から挟んだ状態となる。
フォークリフト79が前方へ走行すると、第2ローラ73は、車輪2を前方へ押すことが可能となる。そして、フォークリフト79が走行を止めると、第1ローラ72が車輪2の転がりを規制し、車輪2(車両台車1)を静止させる。また、フォークリフト79を後方へ走行させた場合も、同様に、車輪2を転がり移動させたり、静止させたりすることができる。
【0051】
本実施形態に係る捕捉ユニット70は、ローラ72,73を、車輪2の外周と接触する回転体としており、ローラ72,73によって、車輪2を回転可能の状態で捕捉することができる。なお、作業車については、フォークリフト79以外に、前記各実施形態で説明した作業車11(例えば
図1参照)であってもよい。
【0052】
〔捕捉ユニット(その4)〕
図8は、搬送装置10の第4の実施形態を示す側面図であり、
図9は、その平面図である。この搬送装置10は、本体フレーム81と、この本体フレーム81に設けられ前後方向(
図9では左右方向)に移動するためのタイヤ82及び左右方向に移動するためのタイヤ83と、タイヤ82を回転駆動するモータ84と、本体フレーム81に取り付けられ前後方向に伸縮するアクチュエータ85と、このアクチュエータ85の前後両端部に取り付けられている第1と第2のローラ86,87とを備えている。なお、タイヤ83による左右方向の走行は、作業員が本体フレーム81を押すことによって行われる。
【0053】
本実施形態では、本体フレーム81、タイヤ82,83及びモータ84によって、作業車が構成され、アクチュエータ85及びローラ86,87によって、捕捉ユニット80が構成されている。つまり、タイヤ82,83を転がすことで、この作業車は、軌条外の領域から軌条5の存在領域に進入可能であると共に、軌条5の長手方向(前後方向)に沿って走行可能となる。
【0054】
そして、この作業車は、車両台車1の一つのフレーム3の前後それぞれに設けられている車輪2の間に進入することができ、この進入の際、アクチュエータ85は短縮状態にあって、ローラ86,87は、これら前後の車輪2に接触しない。しかし、本体フレーム81が、左右の軌条5の間に進入すると、アクチュエータ85を伸張させ、第1ローラ86を前方の車輪2に対して後方から接触させることができ、また、第2ローラ87を後方の車輪2に対して前方から接触させる。
【0055】
また、本実施形態においても、第2実施形態(
図5)の第1ローラ63と同様に、軌条5の上面5aを転がり移動することができる高さに位置していてもよく、この場合、作業車が前後方向の一方へ走行すると、このローラ86(87)は、軌条5を走行しながら車輪2を押すことが可能となる。
例えば、本体フレーム81を前方側(
図8の右側)へ走行させると、第1ローラ86が前方の車輪2を押し、車輪2を転がり移動させ、車両台車1を搬送することができる。
【0056】
そして、作業車が走行を止めると、第2ローラ87が後方の車輪2の転がりを規制し、車両台車1を静止させる。また、作業車を後方へ走行させた場合も、同様に、車輪2を転がり移動させたり、静止させたりすることができる。
本実施形態に係る捕捉ユニット80は、ローラ86,87を、車輪2の外周と接触する回転体としており、ローラ86,87によって、前後の車輪2をその前後方向内側から突っ張り、前後の車輪2を回転可能の状態で捕捉することができる。
【0057】
以上、前記各実施形態に係る捕捉ユニットを備えた搬送装置10によれば、作業車と一体である捕捉ユニットが、車両台車1の車輪2を捕捉した状態で、作業車を軌条5の長手方向に沿って走行させることにより、車輪2を軌条5上に沿って転がり移動させることができ、車両台車1を搬送することが可能となる。また、作業車が停止すれば、車輪2の転がりを停止させ、車両台車1の搬送を停止させることができる。
そして、前記各実施形態に係る捕捉ユニットによれば、車両台車1(鉄道車両)の型式が様々であっても、その車輪2は円形で共通していることから、この車輪2の外周と接触する各種形態の回転体によって車輪2を捕捉することができる。つまり、搬送装置10を、様々な型式の車両台車1(鉄道車両)に適用することができ、この結果、車両台車1を搬送する作業の効率を高めることが可能となる。
【0058】
また、本発明の搬送装置10は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。例えば、
図1と
図5の実施形態において、図示しないが、作業車11に作業員が搭乗し、ハンドルによってステアリング装置14を操舵し、アクセルとブレーキによってタイヤ12の回転駆動を制御する構成であってもよい。つまり、
図7に示した実施形態のように、フォークリフトを作業車として用いてもよい。
また、
図4の実施形態では、駆動用車輪42を、軌条5の上を転がる車輪として説明したが、軌条5と関係なく床面4を転がる車輪であってもよい。