【実施例】
【0023】
[コチニール色素製剤の調製]
(1)原材料
1)コチニール色素粉末(商品名:CA−90;クリスチャンハンセン社製;色価1500)
2)酸化カルシウム(貝殻焼成カルシウム;商品名:貝殻焼成カルシウム;カワイマテリアル社製;酸化カルシウム含有量91%)
3)乳酸カルシウム(商品名:乳酸カルシウム;太平化学産業社製)
4)硫酸アルミニウムカリウム(商品名:タイエースK−150;大明化学工業社製)
5)リンゴ酸ナトリウム(商品名:DL−リンゴ酸ナトリウム;扶桑化学工業社製)
6)炭酸ナトリウム(商品名:炭酸ナトリウム;高杉製薬社製)
7)デキストリン(商品名:パインデックス#2;松谷化学工業社製)
【0024】
(2)製剤の配合
上記原材料を用いて調製したコチニール色素製剤1および2の配合組成を表1に示した。この内、製剤1は本発明に係る実施例であり、製剤2はそれに対する比較例である。
【0025】
【表1】
【0026】
(3)製剤の調製方法
表1に示した原材料の配合割合に基づいて、全ての原材料を均一に混合し、粉状のコチニール色素製剤1および2各100gを調製した。
【0027】
[試験例1]
[魚骨片への直接の染着性試験]
(1)試験液の調製
コチニール色素製剤1若しくは2または酸化カルシウムを含有しない市販のコチニール色素製剤(下記市販品AおよびB)各10gに80℃の水40mLを各々加え、同温度の温水浴中でマグネチックスターラーを用いて、2時間攪拌・溶解し、色素液1〜4を得た。得られた色素液に20℃の水を加えて希釈し、各30gの試験液1〜4を得た。なお、希釈の割合は表2に従い、試験液1〜4の色価が同一になるよう調整した(ただし、色素液4は希釈せずにそのまま試験液4とした)。
【0028】
<市販のコチニール色素製剤>
市販品A:リケカラーCP−61(商品名;理研ビタミン社製)
市販品B:五色の華(桜)CP−400(商品名;理研ビタミン社製)
【0029】
【表2】
【0030】
(2)魚骨片の調製
シャークボーン・フォルテ(乾燥鮫軟骨)粉末タイプ(商品名;吉切鮫の中骨粉末;カラーズ社製)10gを0.1w/v%水酸化ナトリウム水溶液100mLに24時間浸漬して脱色処理した後、水洗いして自然乾燥し、魚骨片9.5gを得た。
【0031】
(3)魚骨片の着色
(1)で得た試験液1〜4各20gに対し、(2)で得た魚骨片0.1gを添加し、30秒間攪拌した後、室温にて24時間静置した。その後、分析用ろ紙No.2(直径125mm;アドバンテック社製)で自然ろ過し、該ろ紙上に残った魚骨片の染着の程度を目視にて確認した。結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
表3の結果から、本発明のコチニール色素製剤1を使用することにより、魚骨片に対する直接の染着が抑制されることが明らかである。これに対し、比較例の製剤(コチニール色素製剤2並びに市販品AおよびB)は、いずれもかなりの染着がみられた。
【0034】
[試験例2]
[着色すり身中での魚骨片の染着性試験]
(1)着色すり身の調製
冷凍魚肉すり身(大冷社製)を解凍したもの100gに対し、試験例1で得た魚骨片0.1gを加え、ゴムベラで均一になるまで混合し、さらに試験例1で得た色素液1〜4を各々加えてゴムベラで均一になるまで混合した。得られた混合物をレトルトパウチに入れてプレート状(約7cm×12cm)に整形して充填密封し、120℃、4分間レトルト加熱処理して着色すり身1〜4各約95gを得た。なお、着色すり身100質量部に対する色素液1〜4の添加量は表4に従い、着色すり身1〜4の着色の程度が同一になるよう調整した。
【0035】
【表4】
【0036】
(2)評価方法および結果
(1)で得た着色すり身1〜4をレトルトパウチに入れたまま5℃の冷蔵庫内で1週間保存し、着色すり身の表面上の染着した魚骨片(赤色斑点)の数を確認し、その単位面積当たりの数(個/cm
2)を算出した。結果を表5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】
表5の結果から、本発明のコチニール色素製剤1の使用により着色すり身中の赤色斑点の発生が抑制されることが明らかである。これに対し、比較例の製剤(コチニール色素製剤2並びに市販品AおよびB)では、いずれもかなりの赤色斑点が確認された。
【0039】
[試験例3]
[魚肉ソーセージ中での魚骨片の染着性試験]
(1)魚肉ソーセージの調製
表6の配合処方に従い、解凍した冷凍魚肉すり身とその他の各原材料をゴムベラで均一になるまで混合し、さらに試験例1で得た色素液1〜4を各々加えてゴムベラで均一になるまで混合した。得られた混合物をポリエチレン製の袋に入れて脱気し、着色すり身各約100gを得た。得られた着色すり身を袋から取り出して塩化ビニル製ケーシングに充填したものを120℃、4分間でレトルト加熱処理して、魚肉ソーセージ1〜4を得た。なお、原材料100質量部に対する色素液1〜4の添加量は表7に従い、魚肉ソーセージ1〜4の着色の程度が同一になるよう調整した。
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】
(2)評価方法および結果
(1)で得た魚肉ソーセージ1〜4をケーシングから取り出して、魚肉ソーセージの長手方向に対して垂直にカットし、その切断面上の染着した魚骨片(赤色斑点)の数を確認し、その単位面積当たりの数(個/cm
2)を算出した。結果を表8に示す。
【0043】
【表8】
【0044】
表8の結果から、本発明のコチニール色素製剤1の使用により魚肉ソーセージ中の赤色斑点の発生が抑制されることが明らかである。これに対し、比較例の製剤(コチニール色素製剤2並びに市販品AおよびB)では、いずれもかなりの赤色斑点が確認された。
【0045】
[試験例4]
[着色カマボコの色流れ試験]
(1)着色カマボコの調製
表9の配合処方に従い、解凍した冷凍魚肉すり身とその他の各原材料をサイレントカッターに入れ、らい潰・調味し、カマボコベースを得た。このカマボコベースの一部に試験例1で得られた色素液1〜3を各々加えてゴムベラで均一になるまで混合して着色すり身とした。なお、カマボコベース100質量部に対する色素液1〜3の添加量は、表10に従い、着色すり身の着色の程度が同一になるよう調整した。
続いて、未着色のカマボコベースを箱型のステンレス枠に充填して厚さ20mmに成形し、その上部分約3mmを削り取り、そこへ着色すり身を各々載せ、スチームオーブンにて95℃で30分間蒸しあげた後、冷却して、着色カマボコ1〜3を得た。
【0046】
【表9】
【0047】
【表10】
【0048】
(2)評価方法および結果
(1)で得た着色カマボコ1〜3を着色面に対して垂直に切り分け、真空包装し、80℃で20分間殺菌した後、冷凍、解凍し、着色部分と非着色部分との境界面の色のにじみを目視にて観察し、色流れを評価した。結果を表11に示す。
【0049】
【表11】
【0050】
表11の結果から、本発明のコチニール色素製剤1の使用により着色かまぼこの色流れが抑制されることが明らかである。これに対し、比較例の製剤(コチニール色素製剤2および市販品A)では色流れが確認された。