(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項3記載の給湯システムであって、前記燃焼給湯器の下流側であって前記出湯バイパス管の下流端よりも上流側の前記出湯管と浴槽とを接続して浴槽の湯張りを行う湯張り管と、該湯張り管を開閉する湯張り弁とを備え、前記給湯制御手段が、出湯管の出口からの出湯停止時に湯張り弁を開弁して浴槽に湯水を供給する湯張り制御を実行可能であるものにおいて、
前記給湯制御手段は、前記第1の所定時間内に湯張り制御を行うとき、湯張り弁の開弁時から第3の所定時間が経過するまで、前記バイパス弁を出湯管の出口からの出湯が停止される直前の開度に維持して、第3の所定時間が経過した後にバイパス弁を閉弁させ、
第3の所定時間は、燃焼給湯器の下流側であって出湯バイパス管の下流端よりも上流側の出湯管内の湯水が湯張り管内に送り出される所要時間に基づいて予め設定されていることを特徴とする給湯システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、貯湯タンクに湯切れが生じて燃焼給湯器による追い加熱を行う場合には、バイパス弁を閉弁して燃焼給湯器の流通経路に貯湯タンクの湯水を送る必要があり、この場合には、圧損を低減することができない。
【0008】
上記の点に鑑み、本発明は、貯湯タンクに湯切れが生じて燃焼給湯器による追い加熱を行う場合であっても、湯水の流通経路における圧損を減少させることができる給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明は、貯湯タンクと、貯湯タンクに貯める湯水を加熱生成する加熱手段と、貯湯タンクの湯水を導出する出湯管と、貯湯タンク及び出湯管に接続された給水管と、貯湯タンクから導出された出湯管の湯水と、給水管から出湯管に供給される水との混合比を変更する混合比変更手段と、貯湯タンクの湯切れを検出する湯切れ検出手段と、出湯管と
給水管との接続部より下流側の出湯管の途中に設けられて出湯管の湯水をバーナにより加熱する燃焼給湯器と、燃焼給湯器をバイパスして、出湯管を燃焼給湯器の上流側と下流側とで連通させる出湯バイパス管と、出湯バイパス管を開閉するバイパス弁と、出湯管の出口から得られる給湯温度を設定する給湯温度設定手段と、湯切れ検出手段により貯湯タンクの湯切れが検出されない場合は、バイパス弁を開弁状態とし、給湯設定温度の湯が得られるように、混合比変更手段により混合比を調節する混合温調制御を行い、湯切れ検出手段により貯湯タンクの湯切れが検出された場合は、給湯設定温度の湯が得られるように、出湯管の湯水を燃焼給湯器により加熱する加熱温調制御を行う給湯制御手段とを備える給湯システムにおいて、給湯制御手段は、加熱温調制御を行うとき、給湯設定温度の湯が得られるように、バイパス弁の開度を調節して燃焼給湯器の下流側の出湯管の湯水に出湯バイパス管からの湯水を混合するバイパス温調制御が実行可能とされて
おり、前記給湯制御手段は、前記バイパス温調制御を行うとき、前記給湯設定温度より高い所定温度を目標加熱温度として燃焼給湯器の運転を制御する第1の給湯器運転制御と、前記給湯設定温度を目標加熱温度として燃焼給湯器の運転を制御する第2の給湯器運転制御とを選択的に実行することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、前記給湯制御手段が前記バイパス温調制御を行うことにより、加熱温調制御を行うとき、即ち、貯湯タンクに湯切れが生じて燃焼給湯器により出湯管の湯水を加熱するとき、燃焼給湯器の下流側の出湯管に対して出湯バイパス管からの湯水が合流するので、燃焼給湯器を経由した湯水の圧損を、出湯バイパス管からの湯水により低減することができる。
【0012】
本発明によれば、前記給湯制御手段が前記バイパス温調制御を行うときに、第1の給湯器運転制御と第2の給湯器運転制御との何れか一方が選択される。これにより、燃焼給湯器を経た湯水の圧損が比較的大きい場合には、第1の給湯器運転制御を選択して出湯バイパス管から出湯管に混合する湯水の量を増加させて十分に圧損を低減させることができ、燃焼給湯器を経た湯水の圧損が比較的小さい場合には、第2の給湯器運転制御を選択して燃焼給湯器の燃料消費を抑えることが可能となる。
【0013】
なお、燃焼給湯器の出湯管を通過するときの湯水の流量が比較的多い場合には、出湯管における湯水の通過抵抗も大きくなる。一方、燃焼給湯器の出湯管を通過するときの湯水の流量が比較的少ない場合には、出湯管における湯水の通過抵抗も小さくなる。このことから、具体的には、例えば、出湯管における湯水の流量が比較的多い場合に第1の給湯器運転制御を選択し、出湯管における湯水の流量が比較的少ない場合に第2の給湯器運転制御を選択することが挙げられる。
【0014】
また、前記給湯制御手段は、前記第1の給湯器運転制御と前記第2の給湯器運転制御とを一方から他方に変更するとき、前記バイパス弁の開閉動作が追従可能となる速度で、第1の給湯器運転制御における目標加熱温度と第2の給湯器運転制御における目標加熱温度とを一方から他方に徐々に変更することが好ましい。
【0015】
燃焼給湯器において目標加熱温度を急激に変更すると、バイパス温調制御中のバイパス弁の開閉動作が追従できず、出湯管の出口から所望の給湯温度が得られない場合がある。そこで、バイパス弁の開閉動作が燃焼給湯器側の加熱による湯水の温度変化に追従して確実にバイパス温調制御が行えるようにゆっくりと燃焼給湯器の目標加熱温度を変更することで、出湯管の出口からの給湯温度の不安定な状態を抑えることができ、バイパス温調制御を精度良く行うことができる。
【0016】
また、本発明において、前記給湯制御手段は、前記バイパス温調制御の実行時に出湯管の出口からの出湯が停止されたとき、当該出湯停止時から第1の所定時間が経過するまで、前記バイパス弁を出湯管の出口からの出湯が停止される直前の開度に維持し、第1の所定時間内に出湯管の出口からの出湯が再開された場合には、当該出湯再開時から第2の所定時間が経過するまで、前記バイパス弁を出湯管の出口からの出湯が停止される直前の開度に維持し、第1の所定時間は、前記燃焼給湯器の下流側であって前記出湯バイパス管の下流端よりも上流側の出湯管内に滞留する湯水が放熱により所定温度低下するまでの所要時間に基づいて予め設定されており、第2の所定時間は、燃焼給湯器の下流側であって出湯バイパス管の下流端よりも上流側の出湯管内の湯水が出湯管の出口から排出される所要時間に基づいて予め設定されていることを特徴とする。
【0017】
前記バイパス温調制御の実行時に出湯管の出口からの出湯が停止されると、前記燃焼給湯器の下流側であって前記出湯バイパス管の下流端よりも上流側の出湯管内には、比較的高温の湯水が滞留する。そして、当該位置の出湯管内に滞留する比較的高温の湯水は、出湯管の出口からの出湯が再開されると、比較的高温のまま出湯管の出口から給湯されるおそれがある。
【0018】
そこで、本発明においては、前記給湯制御手段により、前記バイパス弁の開度を、出湯管の出口からの出湯が停止される直前の開度に維持するので、上記位置の出湯管内に滞留する比較的高温の湯水に対して、前記バイパス温調制御による前記出湯バイパス管からの比較的低温の湯水の混合を即座に実行することができる。これにより、比較的高温のまま出湯管の出口から給湯される事態を確実に回避することができる。
【0019】
更に、本発明において、前記燃焼給湯器の下流側であって前記出湯バイパス管の下流端よりも上流側の前記出湯管と浴槽とを接続して浴槽の湯張りを行う湯張り管と、該湯張り管を開閉する湯張り弁とを備え、前記給湯制御手段が、出湯管の出口からの出湯停止時に湯張り弁を開弁して浴槽に湯水を供給する湯張り制御を実行可能である場合、前記給湯制御手段は、前記第1の所定時間内に湯張り制御を行うとき、湯張り弁の開弁時から第3の所定時間が経過するまで、前記バイパス弁を出湯管の出口からの出湯が停止される直前の開度に維持して、第3の所定時間が経過した後にバイパス弁を閉弁させ、第3の所定時間は、燃焼給湯器の下流側であって出湯バイパス管の下流端よりも上流側の出湯管内の湯水が湯張り管内に送り出される所要時間に基づいて予め設定されていることを特徴とする。
【0020】
本発明においては、前記燃焼給湯器の下流側であって前記出湯バイパス管の下流端よりも上流側の出湯管内に比較的高温の湯水が滞留していても、前記給湯制御手段により湯張り制御が行われたときには、上記位置の出湯管に滞留している高温の湯水を湯張り管に送り出すことができる。
【0021】
これにより、前記位置の出湯管内の比較的高温の湯水を、例えば出湯バイパス管の下流端から燃焼給湯器方向に逆流させて比較的低温の湯水に置換することができ、比較的高温の湯水が出湯管の出口から給湯される事態を確実に回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施の形態について、
図1を参照して説明する。本実施形態の給湯システムは、ヒートポンプユニット1が接続されたタンクユニット2に、更に瞬間加熱式の燃焼給湯器3を直列に接続することにより構成されている。
【0024】
ヒートポンプユニット1は、圧縮機4、水熱交換器(凝縮器)5、膨張弁(減圧器)6、及び空気熱交換器(蒸発器)7を、冷媒循環路8により接続してなるヒートポンプ9(加熱手段)を備えている。水熱交換器5は、後述する貯湯タンク10の上部及び下部に接続されたタンク循環路11に接続され、冷媒循環路8の冷媒(例えば、R410A等のHFC系冷媒)とタンク循環路11の湯水とを熱交換させることによって、タンク循環路11の湯水を加熱する。
【0025】
タンク循環路11には、貯湯タンク10に貯められた湯水をタンク循環路11に循環させるための循環ポンプ12と、水熱交換器5から貯湯タンク10に向かう湯水の温度を検出するサーミスタ13と、貯湯タンク10から水熱交換器5に向かう湯水の温度を検出するサーミスタ14とが設けられている。
【0026】
また、ヒートポンプユニット1は、マイクロコンピュータ等により構成されたヒートポンプコントローラ15を備え、ヒートポンプコントローラ15から出力される制御信号によって、ヒートポンプ9及び循環ポンプ12の作動が制御される。
【0027】
ヒートポンプコントローラ15は、後述するタンクコントローラ16と通信可能に接続され、タンクコントローラ16から加熱指示信号を受信したときに、タンク循環路11に設けられているサーミスタ13,14の検出温度に基づいて、循環ポンプ12とヒートポンプ9とを作動させ、貯湯タンク10の湯水を沸き上げ設定温度に沸き上げる。
【0028】
タンクユニット2は、湯水が充填された貯湯タンク10と、マイクロコンピュータ等により構成されたタンクコントローラ16とを備えている。貯湯タンク10の上部には出湯管17が接続されている。出湯管17は、その始端が貯湯タンク10に接続され、終端が図示しないカラン等の出湯栓に接続される。
【0029】
貯湯タンク10の下部には給水管18が接続されている。給水管18は始端が水道に接続され、下流側が2つに分岐して一方の終端が貯湯タンク10に接続されると共に、他方の終端が出湯管17の途中に接続されている。
【0030】
出湯管17は給水管18との接続部(後述する湯水混合弁28が設けられている)の下流からタンクユニット2の外部に延びて燃焼給湯器3の後述する給湯器回路19を経た後、再びタンクユニット2の内部に延びるが、その途中には、燃焼給湯器3の給湯器回路19の入口側と出口側とで連通させる出湯バイパス管20が接続されている。
【0031】
出湯バイパス管20にはバイパス弁21が設けられている。バイパス弁21は全開から全閉まで無段階或いは多数段階で開閉させることができるものが採用される。
【0032】
バイパス弁21が全閉であるとき、貯湯タンク10からの湯水は燃焼給湯器3の給湯器回路19を流れ、バイパス弁21が全開であるとき、貯湯タンク10からの湯水は出湯バイパス管20を流れて出湯管17の終端に設けられたカランやシャワー等の出湯栓へ向かう。
【0033】
タンクユニット2における出湯管17と給水管18との接続部の上流側には、出湯量センサ22が設けられている。給水管18には、その通水流量を検出する水量センサ23、タンク側逆止弁24、出湯管側逆止弁25、及び減圧弁26が設けられている。出湯管17との接続部に向かって延びる給水管18には、入水サーミスタ27が設けられている。
【0034】
また、タンクユニット2における出湯管17と給水管18との接続部には湯水混合弁28(混合比変更手段)が設けられている。湯水混合弁28は、出湯管17側の開度と給水管18側の開度とを可変とするものであり、出湯管17側と給水管18側とで一方側の開動作に伴い他方側が閉動作するように構成されている。そして、湯水混合弁28が作動することにより、貯湯タンク10からの湯水と、給水管18からの水とが、出湯管17側の開度と給水管18側の開度とに応じた比率で混合される。
【0035】
湯水混合弁28と出湯バイパス管20の上流端との間の出湯管17には混合サーミスタ29が設けられており、出湯バイパス管20の下流端の出湯管17にはカラン等の出湯栓へ向かう湯水の温度を検出する給湯出口サーミスタ30が設けられている。
【0036】
貯湯タンク10の上部位置には、貯湯タンク10に貯められた湯水の温度を検出する貯湯サーミスタ31が設けられている。また、貯湯タンク10の貯湯サーミスタ31よりも所定距離を存した下方位置には中間サーミスタ32が設けられている。貯湯サーミスタ31及び中間サーミスタ32は、本発明の湯切れ検出手段を構成するものである。
【0037】
タンクコントローラ16は、貯湯サーミスタ31、中間サーミスタ32、出湯量センサ22、入水サーミスタ27、混合サーミスタ29、給湯出口サーミスタ30、及びタンク循環路11のサーミスタ14により検出された温度と、水量センサ23により検出された給水管18の通水流量とに基づいて、湯水混合弁28及びバイパス弁21の作動を制御すると共に、燃焼給湯器3に対して加熱を禁止する信号、又は加熱を許可する信号を発信する。
【0038】
また、タンクコントローラ16には、使用者の操作に応じて、所望の給湯温度(カランやシャワー等の出湯栓から供給される湯の温度)を設定するための温度スイッチ等の複数の操作スイッチ(図示省略)を備えたリモコン33(給湯温度設定手段)が接続されている。
【0039】
ここで、貯湯タンク10内部に充填された湯の状態を説明すれば、出湯管17は貯湯タンク10の上部に接続され、給水管18は貯湯タンク10の下部に接続されているため、貯湯タンク10の湯が給湯使用されると、出湯管17から湯が導出されて貯湯タンク10の湯が減少したぶん、貯湯タンク10の下部の給水管18から水が供給される。それに応じて、貯湯タンク10内では、上部に高温の湯層が形成され、下部に低温の水層が形成される。また、湯層と水層とは上下に互いに接しているため、湯層と水層との接触部分には湯層よりも温度が低く水層よりも温度の高い中間層が形成される。中間層の温度は湯層に接する部分から水層に接する部分にかけて、次第に温度が低くなっている。
【0040】
貯湯タンク10の湯層が減少すると、出湯管17が接続された貯湯タンク10の出口近傍の温度が低くなる。そして、貯湯タンク10から所定の温度の湯が得られなくなったとき、一般に湯切れと言われる状態となる。即ち、貯湯タンク10で湯切れが生じると、貯湯タンク10からは温度の低い湯水が導出される。
【0041】
湯切れ状態は、貯湯サーミスタ31の検出温度によって判断することができる。また、中間サーミスタ32の検出温度によって、貯湯タンク10内の湯層の残量が予測できる。即ち、貯湯サーミスタ31の検出温度により湯層が確認されても、中間サーミスタ32の検出温度により中間層或いは水層が確認されれば、貯湯タンク10の湯切れが近づいていることが判断でき、中間サーミスタ32の検出温度により湯層が確認されれば、貯湯タンク10には十分な湯が貯められていることが判断できる。
【0042】
タンクコントローラ16は、貯湯タンク10の湯切れの有無に応じて、混合温調制御とバイパス温調制御とを実行する。混合温調制御は、湯水混合弁28における出湯管17側の開度と給水管18側の開度とを制御することにより、混合サーミスタ29又は給湯出口サーミスタ30の検出温度がリモコン33で設定された給湯設定温度になるように、貯湯タンク10からの湯水と給水管18からの水との混合比を調節する。バイパス温調制御は、バイパス弁21の開度を制御することにより、給湯出口サーミスタ30の検出温度がリモコン33で設定された給湯設定温度になるように、後述の燃焼給湯器3により加熱された温度の高い湯水に、出湯バイパス管20からの温度の低い湯水を混合する。
【0043】
燃焼給湯器3は、瞬間加熱式として周知の構成のものを採用することができる。即ち、燃焼給湯器3は、出湯管17に接続された給湯器回路19(出湯管17の一部を構成する)と、マイクロコンピュータ等により構成された給湯器コントローラ42とを備えている。給湯器コントローラ42は、タンクコントローラ16と通信可能に接続されている。タンクコントローラ16と給湯器コントローラ42とは、本発明の給湯制御手段を構成するものである。
【0044】
給湯器回路19には、熱交換器43と、熱交換器43を加熱するバーナ44と、熱交換器43をバイパスする給湯バイパス管45とが設けられており、給湯器回路19の下流側には、給湯器回路19から分岐して浴槽(図示しない)へ延びる湯張り管46が接続されている。
【0045】
また、給湯器回路19には、熱交換器43への湯水の流量と給湯バイパス管45への湯水の流量との分配比を変更するバイパスサーボ47と、燃焼給湯器3に供給される湯水の流量を調節する絞り弁である水量サーボ48とが設けられている。
【0046】
更に、給湯器回路19には、熱交換器43及び給湯バイパス管45に供給される湯水の流量を検出する給湯器流量センサ49と、給湯バイパス管45の下流側に流れる湯の温度を検出する給湯器サーミスタ50とが設けられている。
【0047】
また、湯張り管46には、湯張り管46の通水流量を検出する湯張り流量センサ51と、湯張り管46を開閉する湯張り弁52とが設けられている。
【0048】
そして、給湯器コントローラ42には、給湯器サーミスタ50による温度検出信号と、給湯器流量センサ49による通水流量の検出信号と、湯張り流量センサ51による通水流量の検出信号とが入力される。また、給湯器コントローラ42から出力される制御信号によって、バイパスサーボ47、水量サーボ48、バーナ44、及び湯張り弁52の各作動が制御される。
【0049】
給湯器コントローラ42は、タンクコントローラ16から加熱許可を指示する信号を受信したときに加熱許可状態となる。そして、給湯器流量センサ49により所定の下限流量以上の通水が検出されているときに、給湯器サーミスタ50の検出温度が目標給湯温度となるように、バーナ44の燃焼量を制御する加熱温調制御を実行する。また、タンクコントローラ16から加熱禁止を指示する信号を受信したときに加熱禁止状態となり、加熱温調制御の実行が禁止される。
【0050】
給湯器コントローラ42による加熱温調制御は、第1の給湯器運転制御と第2の給湯器運転制御とが選択的に実行される。第1の給湯器運転制御は、給湯設定温度より高い温度を目標加熱温度として燃焼給湯器3の運転を制御する。
【0051】
ここで、タンクコントローラ16及び給湯器コントローラ42による本発明の要旨に係る作動について
図2〜
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0052】
図2〜
図4はタンクコントローラ16の作動を示している。
図2のSTEP1でタンクユニット2の電源がONされるとSTEP2へ進み、タンクコントローラ16は、給湯器コントローラ42に対して加熱禁止を指示する信号を送信し、これにより燃焼給湯器3による加熱温調制御の実行が禁止される。更にSTEP3へ進んでバイパス弁21を全開にし、STEP4へ進んで湯水混合弁28による混合温調制御を停止させる。
【0053】
次のSTEP5で、タンクコントローラ16は、出湯バイパス管20の下流端と燃焼給湯器3の下流側の出湯管17との間(
図1参照)の湯水が放熱されたか否かを判断し、放熱されていればSTEP6へ進んでバイパス弁21を全開にする。また、放熱されていなければSTEP7へ進んでバイパス弁21をバイパス温調制御後の止水直前の開度で停止させた状態とする。
【0054】
バイパス温調制御が行われて止水されたときには、出湯バイパス管20の下流端と燃焼給湯器3の下流側の出湯管17との間に比較的高温の湯水が滞留することがある。STEP5における放熱の判断は、この出湯管17内に滞留する高温の湯水が放熱するのに必要な時間が経過した否かにより行われる。
【0055】
次いで、タンクコントローラ16は、STEP8で通水の有無を判断する。STEP8においては、出湯量センサ22及び水量センサ23により下限流量以上の通水が検出されたときを通水有りとする。STEP8で通水が無ければSTEP9へ進み、STEP9でリモコン33により湯張りの指示がされていなければ、STEP8へ戻る。STEP9において湯張りの指示がされた場合には
図3のSTEP21へ進むが、これについては後述する。
【0056】
図2のSTEP8で通水が検出されると、STEP10へ進んで貯湯タンク10における湯切れの有無を判断する。STEP10における貯湯タンク10の湯切れの有無の判断は、中間サーミスタ32の検出温度に基づいて、貯湯タンク10内が所定の残湯量(例えば12リットル)以上となっているか否かを判定する。そして、所定の残湯量以上である場合には、湯切れ無しとしてSTEP11へ進み、所定の残湯量未満である場合には湯切れが生じている或いは短時間で湯切れするおそれがあるとしてSTEP17へ進む。
【0057】
タンクコントローラ16は、STEP11へ進んだとき、給湯器コントローラ42に対して加熱禁止を指示する信号を送信し、STEP12へ進んでバイパス弁21を全開とする。そして、STEP13へ進んで混合温調制御を行う。混合温調制御においては、タンクコントローラ16は、湯水混合弁28の出湯管17側(湯側)と給水管18側(水側)との開度を制御し、給湯出口サーミスタ30に検出温度がリモコン33で設定された給湯設定温度となるように、出湯管17の湯と給水管18の水との混合比を調節する。
【0058】
次いで、タンクコントローラ16は、STEP14で、貯湯サーミスタ31の検出温度によって貯湯タンク10が湯切れしたか否かを判定する。貯湯タンク10に湯切れが生じた場合にはSTEP17へ進み、貯湯タンク10に湯切れが生じていない場合にはSTEP15へ進む。
【0059】
STEP15では、タンクユニット2における給湯エラー(各センサ類や弁等の部品の故障)の有無を判断する。タンクユニット2に給湯エラーにが生じていない場合には、タンクコントローラ16は、STEP16へ進む。タンクユニット2に給湯エラーが生じている場合には、
図4のSTEP29へ進むが、これについては後述する。
【0060】
図2のSTEP16では、出湯量センサ22及び水量センサ23により下限流量以上の通水が検出されない止水状態であればSTEP5へ戻り、止水状態でないときにはSTEP12へ戻る。即ち、タンクコントローラ16は、止水状態となるまでSTEP12〜STEP16を繰り返す。
【0061】
また、タンクコントローラ16は、STEP10又はSTEP14で貯湯タンク10に湯切れが生じているとき、STEP17へ進む。STEP17では、タンクコントローラ16は、給湯器コントローラ42に対して加熱許可を指示する信号を送信してSTEP18へ進む。この信号を受けた給湯器コントローラ42は、バーナ44の燃焼させて加熱温調制御を開始するが、これについては後述する。
【0062】
STEP18へ進むと、タンクコントローラ16は、バイパス温調制御を実行する。バイパス温調制御は、給湯出口サーミスタ30の検出温度がリモコン33で設定された給湯設定温度となるように、バイパス弁21の開度を調節して、燃焼給湯器3において加熱された出湯管17の高温の湯水に出湯バイパス管20からの低温の湯水を混合する。このとき、出湯バイパス管20からの湯水が、燃焼給湯器3を経た湯水に合流するので、燃焼給湯器3を経た湯水に圧損が生じても、出湯バイパス管20の下流端よりも下流側の出湯管17においては、圧損の発生が低減される。
【0063】
そして、STEP19においてタンクユニット2に給湯エラーが生じていない場合には、STEP20で出湯量センサ22及び水量センサ23により下限流量以上の通水が検出されない止水状態となるまでSTEP18でのバイパス温調制御の実行が継続される。止水状態となるとSTEP20からSTEP5へ戻る。STEP19でタンクユニット2の給湯エラーが生じた場合には、STEP15と同様に
図4のSTEP29へ進む。
【0064】
ここで、給湯器コントローラ42の作動について
図5を参照して説明する。
図5のSTEP39で燃焼給湯器3の電源がONされるとSTEP40へ進む。燃焼給湯器3の電源はタンクユニット2に連動してONとなる。STEP40へ進むと、給湯器コントローラ42は、続くSTEP41で通水状態となるまで、バーナ44の燃焼を停止状態とする。STEP41においては、給湯器流量センサ49により下限流量以上の通水が検出されたときを通水有りとする。
【0065】
STEP41で通水有りと判断されると、給湯器コントローラ42は、STEP42に進んでタンクコントローラ16からの加熱許可を指示する信号を受信するまで(加熱が禁止されているとき)STEP40〜STEP42を繰り返す。
【0066】
給湯器コントローラ42は、タンクコントローラ16から加熱許可を指示する信号を受信すると、STEP42からSTEP43へ進む。前述の通り、タンクコントローラ16は、給湯器コントローラ42に加熱許可を指示する信号を送信すると、バイパス温調制御を行う(
図2のSTEP18)。
【0067】
STEP43では、給湯器流量センサ49の検出水量が12リットル/分以上となったか否かを判断する。本実施形態においては、燃焼給湯器3側の出湯管17に圧損が生じる湯水の流量(燃焼給湯器3への給水量)を12リットル/分以上としている。従って、STEP43では、燃焼給湯器3側の出湯管17に圧損が生じるか否かを判断している。なお、STEP43での判断に用いる水量は、燃焼給湯器3側の出湯管17の長さや出湯管17に介装される部品等に応じて予め設定される。
【0068】
STEP43で給水量が12リットル/分以上であった場合(圧損が生じる状況であった場合)には、給湯器コントローラ42は、STEP44でバーナ44を燃焼させ、STEP45でリモコン33により設定された給湯設定温度より高い所定温度を目標加熱温度として燃焼給湯器3の運転を制御する第1の給湯器運転制御を行う。なお、本実施形態において第1の給湯器運転制御で用いる目標加熱温度は、55℃を上限として設定される。
【0069】
こうすることにより、燃焼給湯器3によって加熱された出湯管17の高温の湯水にバイパス温調制御による出湯バイパス管20からの低温の湯水が比較的多く混合され、出湯管17における圧損が低減される。
【0070】
一方、STEP43で給水量が12リットル/分未満であった場合(圧損の発生が小さい状況であった場合)には、給湯器コントローラ42は、STEP46でバーナ44を燃焼させ、STEP47でリモコン33により設定された給湯設定温度を目標加熱温度として燃焼給湯器3の運転を制御する第2の給湯器運転制御を行う。これによれば、燃焼給湯器3のバーナ44の燃焼による湯水の加熱を効率良く行うことができる。
【0071】
ここで、STEP43の判断により、燃焼給湯器3の運転が、第1の給湯器運転制御と第2の給湯器運転制御との一方から他方に変更されるとき、目標加熱温度が急激に変更されると、バイパス温調制御中のバイパス弁21の開閉動作が追従できないおそれがある。そこで、本実施形態においては、第1の給湯器運転制御と第2の給湯器運転制御との一方から他方に変更されるときには、ゆっくりと燃焼給湯器3の目標加熱温度を変更し、バイパス弁21の開閉動作が燃焼給湯器3側の加熱による湯水の温度変化に追従して確実にバイパス温調制御が行えるようにしている。
【0072】
そして、給湯器コントローラ42は、STEP48で止水有りとなるまで(給湯器流量センサ49により下限流量以上の通水が検出されなくなるまで)、STEP42〜STEP48を繰り返し、STEP48で止水有りとなったとき、STEP40へ戻る。
【0073】
次に、
図2のSTEP9において湯張りの指示がされた場合について
図3を参照して説明する。タンクコントローラ16における
図3の動作は、湯張り弁52を開弁させることにより湯張り動作の初期段階で、湯張り管46の上流端よりも下流側の出湯管17内に滞留する湯水を逆流させて湯張り管46に導入させるものである。
【0074】
図2のSTEP9から
図3のSTEP21へ進むと、タンクコントローラ16は、給湯器コントローラ42を介して燃焼給湯器3の湯張り弁52を開弁させる。続いて、STEP22へ進むと、タンクコントローラ16は、給湯器コントローラ42に対して加熱を許可又は禁止する。即ち、タンクコントローラ16は、貯湯タンク10に湯切れが生じていなければ、給湯器コントローラ42に対する加熱許可を示す信号の送信を行わず(加熱禁止)、貯湯タンク10からの湯水を湯張り管46を介して浴槽へ送る。貯湯タンク10に湯切れが生じているときは、給湯器コントローラ42に対する加熱許可を示す信号を送信し、燃焼給湯器3により加熱された湯水を湯張り管46を介して浴槽へ送る。
【0075】
そして、STEP23で湯張り管46の上流端よりも下流側の出湯管17内に滞留する湯水が湯張り管46から浴槽に向かって排水されたか否かを判断する。この判断は、本実施形態においては、湯張り弁52を開弁した時点から所定時間(湯張り管46の上流端よりも下流側の出湯管17内に滞留する湯水が湯張り管46から抜け出す時間であって、本実施形態においては約20秒)が経過している場合に排水済とする。なお、このとき用いる時間は、湯張り管46の上流端と、出湯バイパス管20の下流端との間の出湯管17の長さ(容量)に応じて設定される。
【0076】
タンクコントローラ16は、STEP23において上記排水済であるとき、STEP24へ進んでバイパス弁21を閉弁し、排水済でない(上記出湯管17内に高温の湯水が滞留しているおそれがある)ときは、STEP25へ進んで、前回バイパス温調制御で止水直前の開度でバイパス弁21を停止させておく。STEP25を設けることにより、出湯バイパス管20を介して湯水の流動が許容され、出湯バイパス管20の下流端から湯張り管46へ向かって円滑に湯水を逆流させることができる。
【0077】
STEP24又はSTEP25を経た後、STEP26でカラン等からの通水が検出されず、STEP27で浴槽への湯張り完了により湯張りの要求が無くならなければ、STEP22へ戻って湯張り動作が継続される。なお、カラン等からの通水は、出湯量センサ22と水量センサ23とが検出する合計流量と、湯張り流量センサ51が検出する流量との差が所定流量以上となったことにより検出される。
【0078】
STEP26でカラン等からの通水が検出された場合、或いは、STEP27で浴槽への湯張り完了により湯張りの要求が無くなった場合、タンクコントローラ16は、STEP28へ進んで給湯器コントローラ42を介して湯張り弁52を閉弁し、これによって湯張り動作を中断して、
図2のSTEP5へ戻る。
【0079】
このように、湯張り動作を利用して出湯管17に滞留する高温の湯水を排出することができるので、カラン等から高温の湯水が不用意に出湯されるのを防止することができる。
【0080】
次に、
図2のSTEP15又はSTEP19においてタンクユニット2における給湯エラー(各センサ類や弁等の部品の故障)が生じていた場合について
図4を参照して説明する。タンクコントローラ16における
図4の動作は、貯湯タンク10の湯を用いた混合温調制御が一時的に行えなくなった場合に、出湯バイパス管20の下流端よりも上流側の出湯管17内に滞留する比較的高温の湯水がカラン等から不用意に出湯される事態を防止するために設けられている。
【0081】
図2のSTEP15又はSTEP19から
図4のSTEP29へ進むと、貯湯タンク10からの給湯が行えない状態であることにより、タンクコントローラ16は、給湯器コントローラ42に対して加熱許可を示す信号を送信する。次いで、STEP30へ進んで、タンクコントローラ16は、湯水混合弁28の出湯管17側(湯側)を閉じて給水管18側(水側)を開く。これにより、出湯管17には給水管18からの水を流通させることができる状態となる。
【0082】
その後、STEP31で出湯量センサ22及び水量センサ23の検出流量により通水が検出されると、燃焼給湯器3の運転(バーナ44の燃焼)が開始され、タンクコントローラ16はSTEP32へ進む。STEP32で、出湯バイパス管20の下流端よりも上流側の出湯管17内に滞留する湯水が排水済である場合には、カラン等から高温の湯水が出湯されるおそれがないことにより、STEP33でバイパス弁21を全閉とする。一方、STEP32で、出湯バイパス管20の下流端よりも上流側の出湯管17内に滞留する高温の湯水が排水済でない場合には、STEP34へ進んで、バイパス弁21をバイパス温調制御後の止水直前の開度で停止させた状態とする。これにより、出湯バイパス管20の下流端よりも上流側の出湯管17内に滞留する高温の湯水に給水管18からの水が出湯バイパス管20を介して混合されるので、カラン等から高温の湯水が出湯される事態を防止することができる。
【0083】
そして、タンクコントローラ16はSTEP35へ進み、タンクユニット2における給湯エラーが解除された場合には
図2のSTEP5へ戻り、タンクユニット2における給湯エラーが解除されない場合には
図4のSTEP31へ戻る。
【0084】
また、STEP31で通水が検出されない場合には、タンクコントローラ16はSTEP36へ進む。STEP36で、出湯バイパス管20の下流端よりも上流側の出湯管17内に滞留する湯水が放熱済である場合には、カラン等から高温の湯水が出湯されるおそれがないことにより、STEP37でバイパス弁21を全閉とする。一方、STEP36で、出湯バイパス管20の下流端よりも上流側の出湯管17内に滞留する高温の湯水が放熱されていない場合には、STEP38へ進んで、バイパス弁21をバイパス温調制御後の止水直前の開度で停止させた状態とする。これにより、出湯バイパス管20の下流端よりも上流側の出湯管17内に滞留する高温の湯水に給水管18からの水が出湯バイパス管20を介して混合することが可能な状態、即ち、カラン等から高温の湯水が出湯される事態が防止された状態となる。
【0085】
そして、タンクコントローラ16はSTEP35へ進み、タンクユニット2における給湯エラーが解除された場合には
図2のSTEP5へ戻り、タンクユニット2における給湯エラーが解除されない場合には
図4のSTEP31へ戻る。