特許第5946736号(P5946736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946736
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】ロールスクリーン
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/44 20060101AFI20160623BHJP
   E06B 9/174 20060101ALI20160623BHJP
   E06B 9/50 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   E06B9/44
   E06B9/174
   E06B9/50
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-214121(P2012-214121)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-66118(P2014-66118A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義
(72)【発明者】
【氏名】林 和弥
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−204452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00− 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁(51)、窓枠又は天井(11)に水平方向に間隔をあけて取付けられる一対のブラケット(12,13)と、前記一対のブラケット(12,13)に回転可能に保持されスクリーン本体(18)を引出し可能に巻取る巻取パイプ(14)とを備えたロールスクリーンにおいて、
前記一対のブラケット(12,13)のうち一方のブラケット(12)と前記巻取パイプ(14)の一端との間に、前記巻取パイプ(14)を水平にするための角度調整装置(21)と、前記一方のブラケット(12)の取付部の向きに対して前記角度調整装置(21)の向きを切換える切換装置(22)とが介装され、
前記角度調整装置(21)が前記巻取パイプ(14)の一端の軸心を略鉛直方向に段階的に変更可能に構成され、
前記切換装置(22)が前記角度調整装置(21)を回転可能に構成された
ことを特徴とするロールスクリーン。
【請求項2】
前記一方のブラケット(12)がL字状に形成され、壁(51)、窓枠又は天井(11)に取付けられる取付部(12a)と、この取付部(12a)と一体的に形成され前記巻取パイプ(14)の一端を保持するパイプ保持部(12b)とを有し、
前記パイプ保持部(12b)にベース部材(23)が取付けられ、
前記ベース部材(23)に嵌入されたリング部材(24)が前記ベース部材(23)に対して90度毎に節度感を持って回転可能に構成され、
前記リング部材(24)に取付けられ中央から可動軸(26b)が突設された軸保持部材(26)が前記リング部材(24)に対してピン(26c)を中心に所定の角度毎に段階的に回動可能に構成され、
前記可動軸(26b)が前記巻取パイプ(14)の一端に挿入されるとともに前記可動軸(26b)の軸線が前記ピン(26c)の軸線に対して所定の間隔をあけて平行に設けられ、
前記切換装置(22)が前記ベース部材(23)と前記リング部材(24)とにより構成され、
前記角度調整装置(21)が前記リング部材(24)と軸保持部材(26)とにより構成された請求項1記載のロールスクリーン。
【請求項3】
前記巻取りドラム(14)の外周面に長手方向に延びるスクリーン挿入溝(14a)が形成され、
前記スクリーン挿入溝(14a)の端部から前記スクリーン本体(18)の上端を固定するフラットバー(19)を前記巻取パイプ(14)の長手方向にスライドさせて挿入可能に構成され、
前記角度調整装置(21)により前記巻取パイプ(14)の一端の軸心を前記ピン(26c)を中心に前記一方のブラケット(12)の取付部(12a)から最も離れた位置に回転させたときに、前記スクリーン挿入溝(14a)の端面が前記一方のブラケット(12)のパイプ保持部(12b)から露出するように構成された請求項2記載のロールスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のサイドホルダにより回転可能に保持された巻取パイプにスクリーン本体を繰出し可能に巻取るロールスクリーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、巻取軸の両端が一対の支持ブラケットを介して取付面に回動可能に支持されるロールブラインドにおいて、巻取軸の一端が支軸で回転可能に支持され、支軸の基端が軸受固定プレートに固定され、軸受固定プレートが支持ブラケットに上下動可能に支持され、支持ブラケットから軸受固定プレートに貫通されるネジ軸にナットが螺合されて、軸受固定プレートが支持ブラケットに締付固定されたロールブラインドが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このロールブラインドでは、軸受固定プレートに、第1及び第2ガイド孔が設けられ、ガイド孔にネジ軸がそれぞれ貫通され、第1及び第2ガイド孔に沿って軸受固定プレートを回動させることにより、支軸が支持ブラケットに対し上下方向に位置調節可能に構成される。
【0003】
このように構成されたロールブラインドでは、軸受固定プレートを支持ブラケットに対し回動させることにより、巻取軸の一端の高さを微調整できる。従って、支持ブラケット間で巻取軸が水平方向に支持されるように、巻取軸の一端の高さを容易に微調整できる。また軸受固定プレートを支持ブラケットに対してナットで締付けるので、スクリーン昇降動作時の振動により、軸受固定プレートの固定状態が容易に緩むことはない。更に支持ブラケットに調整ネジを設ける必要がないので、巻取軸と支持ブラケットとの間のスペースを縮小できる。従って、支持ブラケットを巻取軸の軸方向に小型化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3967261号公報(請求項1、段落[0026]、図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の特許文献1に示されたロールブラインドでは、軸受固定プレートを支持ブラケットに対してナットで締付けるときに、スパナ等の工具を必要とするため、この工具の挿入スペースを確保しなければならない不具合があった。また、上記従来の特許文献1に示されたロールブラインドでは、支持ブラケットを窓枠の内側の狭い場所に取付ける場合、軸受固定プレートの支持ブラケットに対する角度の調整作業が難しい問題点もあった。更に、上記従来の特許文献1に示されたロールブラインドでは、このロールブラインドを天井に取付ける場合と壁に取付ける場合とでブラケットの形状や孔位置等を変更しなければならず、部品点数が増大する問題点もあった。
【0006】
本発明の第1の目的は、ナットの締付作業を行わず、また工具を用いずに、巻取パイプの角度調整作業を行うことができ、これにより工具の挿入スペースを確保しなくて済み、角度調整装置をコンパクトに構成できる、ロールスクリーンを提供することにある。本発明の第2の目的は、ブラケットを天井や窓枠の上枠部下面に取付ける場合と壁に取付ける場合とで、形状や孔位置等の異なるブラケットを使い分ける必要がなく、同一のブラケットを用いることができ、部品点数を削減できる、ロールスクリーンを提供することにある。本発明の第3の目的は、巻取パイプをブラケットから取外さずに、スクリーン本体を巻取パイプに対して容易に脱着できる、ロールスクリーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点は、図1図4に示すように、壁11、窓枠又は天井に水平方向に間隔をあけて取付けられる一対のブラケット12,13と、一対のブラケット12,13に回転可能に保持されスクリーン本体18を引出し可能に巻取る巻取パイプ14とを備えたロールスクリーンにおいて、一対のブラケット12,13のうち一方のブラケット12と巻取パイプ14の一端との間に、巻取パイプ14を水平にするための角度調整装置21と、一方のブラケット12の取付部12aの向きに対して角度調整装置21の向きを切換える切換装置22とが介装され、角度調整装置21が巻取パイプ14の一端の軸心を略鉛直方向に段階的に変更可能に構成され、切換装置22が角度調整装置21を回転可能に構成されたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図1図4及び図7に示すように、一方のブラケット12がL字状に形成され、壁11、窓枠又は天井に取付けられる取付部12aと、この取付部12aと一体的に形成され巻取パイプ14の一端を保持するパイプ保持部12bとを有し、パイプ保持部12bにベース部材23が取付けられ、ベース部材23に嵌入されたリング部材24がベース部材23に対して90度毎に節度感を持って回転可能に構成され、リング部材24に取付けられ中央に可動軸26bが突設された軸保持部材26がリング部材24に対してピン26cを中心に所定の角度毎に段階的に回動可能に構成され、可動軸26bが巻取パイプ14の一端に挿入されるとともに可動軸26bの軸線がピン26cの軸線に対して所定の間隔をあけて平行に設けられ、切換装置22がベース部材23とリング部材24とにより構成され、角度調整装置21がリング部材24と軸保持部材26とにより構成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の観点は、第2の観点に基づく発明であって、更に図1図4図7及び図9に示すように、巻取りドラム14の外周面に長手方向に延びるスクリーン挿入溝14aが形成され、スクリーン挿入溝14aの端部からスクリーン本体18の上端を固定するフラットバー19を巻取パイプ14の長手方向にスライドさせて挿入可能に構成され、角度調整装置21により巻取パイプ14の一端の軸心をピン26cを中心に一方のブラケット12の取付部12aから最も離れた位置に回転させたときに、スクリーン挿入溝14aの端面が一方のブラケット12のパイプ保持部12bから露出するように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の観点のロールスクリーンでは、巻取パイプを水平にするための角度調整装置により巻取パイプの一端の軸心を略鉛直方向に段階的に変更するので、ナットの締付作業を行わず、また工具を用いずに、巻取パイプの軸線を略水平に調整することができる。この結果、スクリーン本体の巻取パイプに対する巻乱れが発生することなく、スクリーン本体を巻取パイプに整然と巻取ることができるとともに、工具の挿入スペースを確保しなくて済み、角度調整装置をコンパクトに構成できる。また切換装置により角度調整装置を回転させるので、一方のブラケットの取付部の向きに対して角度調整装置の向きを切換えることができる。この結果、ブラケットを天井や窓枠の上枠部下面に取付ける場合と壁に取付ける場合とで、形状や孔位置等の異なるブラケットを使い分ける必要がなく、同一のブラケットを用いることができ、部品点数を削減できる。
【0011】
本発明の第2の観点のロールスクリーンでは、角度調整装置の軸保持部材をリング部材に対してピンを中心に所定の角度毎に段階的に回転させることにより、巻取パイプの一端に挿入された可動軸の軸線を略鉛直方向に移動させるので、ナットの締付作業を行わず、また工具を用いずに、巻取パイプの軸線を略水平に調整することができる。この結果、上記と同様に、スクリーン本体の巻取パイプに対する巻乱れが発生することなく、スクリーン本体を巻取パイプに整然と巻取ることができるとともに、工具の挿入スペースを確保しなくて済み、角度調整装置をコンパクトに構成できる。また切換装置のリング部材をベース部材に対して90度毎に節度感を持って回転させると、一方のブラケットの取付部の向きに対して角度調整装置の向きを切換えることができる。この結果、上記と同様に、ブラケットを天井や窓枠の上枠部下面に取付ける場合と壁に取付ける場合とで、形状や孔位置等の異なるブラケットを使い分ける必要がなく、同一のブラケットを用いることができ、部品点数を削減できる。
【0012】
本発明の第3の観点のロールスクリーンでは、角度調整装置により巻取パイプの一端の軸心をピンを中心に一方のブラケットの取付部から最も離れた位置に回転させると、スクリーン挿入溝の端面が一方のブラケットのパイプ保持部から露出するので、フラットバーをスクリーン挿入溝の長手方向の端部から抜き差しできる。この結果、巻取パイプをブラケットから取外さずに、スクリーン本体を巻取パイプに対して容易に脱着できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明実施形態のロールスクリーンの角度調整装置及び切換装置を一方のブラケットから取外した状態であって軸保持部材をピンを中心に最も上方に回転させた状態を示す正面図である。
図2】軸保持部材をピンを中心に最も下方に回転させた状態を示す図1に対応する正面図である。
図3】そのロールスクリーンを天井に取付けた状態を示す側面図である。
図4】そのロールスクリーンを天井に取付けた状態を示す正面図である。
図5】ベース部材にリング部材を組込んだ状態を示すである。
図6】軸保持部材をピンを中心に最も上方に回転させた状態と最も下方に回転させた状態の中間に位置させた状態を示す図1に対応する正面図である。
図7】一方のブラケットにリング部材とベース部材と軸保持部材を取付ける直前の状態を示す分解側面である。
図8】角度調整装置及び切換装置を一方のブラケットに取付けた状態を示す図6のA−A線断面図である。
図9】角度調整装置により巻取パイプの一端の軸心をピンを中心に一方のブラケットの取付部から最も離れた位置に回転させて、スクリーン挿入溝の端面を一方のブラケットのパイプ保持部から露出させた状態を示す要部側面図である。
図10】本発明第2実施形態のロールスクリーンを壁に取付けるために角度調整装置を切換装置により一方のブラケットに対して90度回転させている状態を示す側面図である。
図11】そのロールスクリーンを壁に取付けた状態を示す側面図である。
図12】そのロールスクリーンを壁に取付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
【0015】
図3及び図4に示すように、ロールスクリーン10は、天井11に水平方向に間隔をあけて取付けられる一対のブラケット12,13と、一対のブラケット12,13に回転可能に保持された巻取パイプ14とを備える。上記一対のブラケット12,13は一対の取付金具16,16及び単一のセットバー17を介して天井11に取付けられる。具体的には、一対の取付金具16,16が天井11に間隔をあけて取付けられる。また一対の取付金具16,16に着脱可能なセットバー17の長手方向の両端に一対のブラケット12,13がそれぞれ取付けられる。更に巻取パイプ14にはスクリーン本体18が引出し可能に巻取られるように構成される。即ち、巻取パイプ14の外周面にはこの巻取パイプ14の長手方向に延びるスクリーン挿入溝14aが形成され、このスクリーン挿入溝14aの端部からスクリーン本体18の上端を固定するフラットバー19を巻取パイプ14の長手方向にスライドさせて挿入可能に構成される(図9)。
【0016】
一方、一対のブラケット12,13のうち一方のブラケット12と巻取パイプ14の一端との間には、巻取パイプ14を水平にするための角度調整装置21と、一方のブラケット12の取付部12aの向きに対して角度調整装置21の向きを切換える切換装置22とが介装される(図1図4及び図7)。一方のブラケット12はL字状に形成される(図7)。そして一方のブラケット12は、セットバー17の端部に取付けられる取付部12aと、この取付部12aと一体的に形成され巻取パイプ14の一端を保持するパイプ保持部12bとを有する(図3図4及び図7)。上記一方のブラケット12のパイプ保持部12bにはベース部材23が取付けられ(図8)、このベース部材23にはリング部材24が嵌入される(図1図2図5及び図6)。ベース部材23は円柱状に形成される。そしてベース部材23は、中央に形成された長四角状の角状凹部23aと、この角状凹部23aの底面に略十字状に形成された通孔23bと、外周面に一体的に形成されたフランジ部23cと、通孔23bの孔心を中心とする同一円周上に90度毎に円弧状に形成された4つの円弧状凹部23dと、第1ビス31を螺合可能な2つの第1ねじ孔23eとを有する(図1図2及び図5図7)。このベース部材23は、一方のブラケット12のパイプ保持部12bに載せた状態で2本の第1ビス31,31を上記2つの第1ねじ孔23eに螺合することにより、パイプ保持部12bに固定される(図3図7及び図8)。
【0017】
またリング部材24は、ベース部材23を回転可能に挿入する大径の孔24aと、上記ベース部材23の4つの円弧状凹部23dに係合する4つの円柱部24bと、これらの円柱部24bを保持する4本の腕部24cと、後述するピン26cが回動可能に挿入されるピン孔24dと、大径の孔24aに対してピン孔24dとは反対側の外周面に形成された複数の第1歯部24eとを有する(図1図2及び図5図8)。上記腕部24cは弾性変形可能に形成され、円柱部24bを腕部24cの弾性力により円弧状凹部23dに挿入する方向に圧接するととも、円柱部24bが腕部24cの弾性力に抗して円弧状凹部23dから離脱可能に構成される。これによりリング部材24はベース部材23に対して90度毎に節度感を持って回転可能に構成される。また上記複数の第1歯部24eのピッチ円はピン孔24dを中心とする円に一致するように形成される。
【0018】
一方、リング部材24には軸保持部材26が取付けられる。この軸保持部材26は、ベース部材23に当接する板部26aと、板部26aの中央に突設され巻取パイプ14の一端に挿入可能な可動軸26bと、板部26aの一端に可動軸26bとは反対方向に突設され上記ピン孔24dに回動可能に挿入可能なピン26cと、板部26aの中央に可動軸26b内に向って形成され第2ビス32を螺合可能な第2ねじ孔26dと、第2ねじ孔26dに対してピン26cとは反対側の外周面に形成された円弧状壁部26eと、この円弧状壁部26eの内側に形成され複数の第1歯部24eに選択的に係止可能な複数の第2歯部26fとを有する(図1図3及び図6図8)。上記可動軸26bの軸線はピン26cの軸線に対して所定の間隔をあけて平行に設けられる。また上記複数の第2歯部26fのピッチ円直径は複数の第1歯部24eのピッチ円直径と略同一に形成される。
【0019】
軸保持部材26のピン26cをリング部材24のピン孔24dに挿入して複数の第2歯部26fを複数の第1歯部24eに噛合させた状態で、軸保持部材26をリング部材24に対してピン26cを中心に回転させると、板部26a、円弧状壁部26c又はリング部材24が弾性変形して、所定の角度毎、好ましくは2〜4度毎、更に好ましくは約4度毎に段階的に回動可能に構成される。また軸保持部26のリング部材24に対する上方への最大回転角度θ1及び軸保持部26のリング部材24に対する下方への最大回転角度θ2は、好ましくは4〜12度、更に好ましくは約12度にそれぞれ設定される(図1図4)。これにより可動軸26bの上方への最大移動距離T1及び可動軸26bの下方への最大移動距離T2は、それぞれ好ましくは0.8〜2mm、更に好ましくは約2mmとなる。ここで、上記所定の角度毎を2〜4度の範囲内に限定したのは、2度未満では第1及び第2歯部24e,26fが小さくなり過ぎて第1及び第2歯部24e,26fの強度が弱くなり、4度を越えると第1及び第2歯部24e,26fが大きくなり過ぎて軸保持部材26をリング部材24に対して回動し難くなるからである。また最大回転角度θ1及びθ2を4〜12度の範囲内に限定したのは、4度未満では巻取パイプ14を水平に調整できない場合が発生し、12度を越えると角度調整装置21が大型化してしまうからである。
【0020】
上記切換装置22はベース部材23とリング部材24とにより構成され、上記角度調整装置21はリング部材24と軸保持部材26とにより構成される。これにより角度調整装置21は巻取パイプ14の一端の軸心を略鉛直方向に段階的に変更可能に構成され、切換装置22は角度調整装置21を90度毎に節度感を持って回転可能に構成される。また角度調整装置21により巻取パイプ14の一端の軸心をピン26cを中心に一方のブラケット12の取付部12aから最も離れた位置に回転させたときに、スクリーン挿入溝14aの端面が一方のブラケット12のパイプ保持部12bから露出するように構成される(図9)。なお、図6図8中の符号27はベース部材23の角状凹部23aに挿入され第2ビス32に遊嵌されたスライドワッシャである。このスライドワッシャ27は長方形状に形成されるとともに、中央に長孔27a(図6及び図8)が形成される。これにより軸保持部材26とともに回動する第2ビス32の頭部がベース部材23に引っ掛かることなく、第2ビス32の頭部がベース部材23に対してスムーズに摺動できるようになっている。また、図3及び図4中の符号28はスクリーン本体18を巻取パイプ14に巻取ったり或いは巻取パイプ14から繰出すために操作する操作チェーンである。更に上記ベース部材23、軸保持部材26及びスライドワッシャ27はポリアセタール樹脂により形成されることが好ましく、リング部材24はポリカーボネート樹脂により形成されることが好ましい。
【0021】
このように構成されたロールスクリーン10を天井11に取付ける手順を説明する。先ず天井11に一対の取付金具16,16を所定の間隔をあけて取付ける。次にベース部材23にリング部材24及び軸保持部材26を組付け、第2ビス32をスライドワッシャ27の長孔27a及びベース部材23の通孔23bに挿通した後に軸保持部材26の第2ねじ孔26dに螺合して第1仮組み体を組立てる。そして第1仮組み体を第1ビス31により一方のブラケット12のパイプ保持部12bに取付ける(図8)。更に一方のブラケット12に取付けた軸保持部26の可動軸26bに巻取パイプ14の一端を挿入し、他方のブラケット13に巻取パイプ14の他端を取付けた状態で、一対のブラケット12,13を単一のセットバー17の両端に取付けて第2仮組み体を組立てた後に、この第2仮組み体を一対の取付金具16,16に取付ける(図3及び図4)。
【0022】
そして操作チェーン28を操作して、スクリーン本体18を巻取パイプ14から繰出した後に巻取パイプ14に巻取ったときに、スクリーン本体18の巻乱れが発生すると、巻取パイプ14が水平になっていないと判断し、巻取パイプ14を水平にするための角度調整装置21により巻取パイプ14の一端の軸心を略鉛直方向に段階的に変更する。具体的には、角度調整装置21の軸保持部材26をリング部材24に対してピン26cを中心に所定の角度(例えば、約4度)だけ上方に回転させることにより、巻取パイプ14の一端に挿入された可動軸26bの軸線を略鉛直方向に所定の距離だけ移動させる。そして再び操作チェーン28を操作して、スクリーン本体18を巻取パイプ14から繰出した後に巻取パイプ14に巻取ったときに、スクリーン本体18の巻乱れが発生するか否かを調べる。このときスクリーン本体18の巻乱れが減少したけれども未だ発生する場合には、軸保持部材26をリング部材24に対してピン26cを中心に更に所定の角度(例えば、約4度)だけ上方に回転させる。そして再び操作チェーン28を操作して、スクリーン本体18を巻取パイプ14から繰出した後に巻取パイプ14に巻取ったときに、スクリーン本体18の巻乱れが発生するか否かを調べる。一方、スクリーン本体18の巻乱れが増大した場合には、軸保持部材26をリング部材24に対してピン26cを中心に角度(例えば、約8度)だけ下方に回転させる。そして再び操作チェーン28を操作して、スクリーン本体18を巻取パイプ14から繰出した後に巻取パイプ14に巻取ったときに、スクリーン本体18の巻乱れが発生するか否かを調べる。上記操作をスクリーン本体18の巻乱れが発生しなくなるまで行う。このように比較的簡単な作業で、ナットの締付作業を行わず、また工具を用いずに、巻取パイプ14の軸線を略水平に調整することができる。この結果、スクリーン本体18の巻取パイプ14に対する巻乱れが発生することなく、スクリーン本体18を巻取パイプ14に整然と巻取ることができるとともに、工具の挿入スペースを確保しなくて済み、角度調整装置21をコンパクトに構成できる。
【0023】
また、スクリーン本体18を巻取パイプ14から取外して選択したり、或いは交換するときには、角度調整装置21により巻取パイプ14の一端の軸心をピン26cを中心に一方のブラケット12の取付部12aから最も離れた位置に回転させる(図9)。具体的には、軸保持部材26をリング部材24に対してピン26cを中心に最大回転角度θ2になるまで下方に回転させる。これによりスクリーン挿入溝14aの端面が一方のブラケット12のパイプ保持部12bから露出するので、フラットバー19をスクリーン挿入溝14aの長手方向の端部から抜き差しできる。この結果、巻取パイプ14をブラケット12,13から取外さずに、スクリーン本体18を巻取パイプ14に対して容易に脱着できる。
【0024】
<第2の実施の形態>
図10図12は本発明の第2の実施の形態を示す。図10図12において図6図3及び図4と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、天井に取付けられていた第1の実施の形態のロールスクリーン10を壁51に取付ける。この場合、先ず一対の取付金具16,16から第2仮組み体を取外す。次に一対の取付金具16,16を天井から外し水平方向に間隔をあけて壁51に取付ける。そして、図10に示すように、切換装置22により角度調整装置21を一方のブラケット12に対して90度だけ節度感を持って回転させる。具体的には、切換装置22のリング部材24をベース部材23に対して90度だけ回転させると、リング部材24の円柱部24bがベース部材23の円弧状凹部23dに係合するので、リング部材24をベース部材23に対して節度感を持って回転させることができる。更にこの第2仮組み体を一対の取付金具16,16に取付けた後に(図11及び図12)、第1の実施の形態と同様にして、角度調整装置21により巻取パイプ14が水平になるように調整する。このような簡単な作業で、一方のブラケット12の取付部12aの向きに対して角度調整装置21の向きを切換えることができる。この結果、ブラケット12を天井に取付ける場合と壁51に取付ける場合とで、形状や孔位置等の異なるブラケット12を使い分ける必要がなく、同一のブラケット12を用いることができ、部品点数を削減できる。上記以外の取付手順やスクリーン本体の着脱手順は第1の実施の形態と同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0025】
なお、上記第1の実施の形態では、天井に取付金具及びセットバーを介して一対のブラケットを取付けたが、窓枠の上枠部下面に取付金具及びセットバーを介して一対のブラケットを取付けてもよく、或いは天井又は窓枠の上枠下面に一対のブラケットを直接取付けてもよい。また、上記第2の実施の形態では、壁に取付金具及びセットバーを介して一対のブラケットを取付けたが、壁に一対のブラケットを直接取付けてもよい。
【符号の説明】
【0026】
10 ロールスクリーン
11 天井
12 一方のブラケット
12a 取付部
12b パイプ保持部
13 他方のブラケット
14 巻取パイプ
14a スクリーン挿入部
18 スクリーン本体
19 フラットバー
21 角度調整装置
22 切換装置
23 ベース部材
24 リング部材
26 軸保持部材
26b 可動軸
26c ピン
51 壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12