(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の組織穿刺部閉鎖装置において、前記圧密化部材アセンブリは、圧密化管及びコイルを有し、該コイルは、前記圧密化管に対して軸線方向への圧縮力を加えて前記圧密化管を駆動し、これにより自動的に前記封止プラグを前記アンカーに向けて圧密化する構成及び配置とした、組織穿刺部閉鎖装置。
請求項1に記載の組織穿刺部閉鎖装置において、前記スプールはカム部分を有し、前記フィラメントの一部を前記カム部分周りに巻き付け、前記フィラメントを前記スプールから繰り出すことにより、可変回転力を前記駆動プレートに加える構成とした、組織穿刺部閉鎖装置。
請求項1に記載の組織穿刺部閉鎖装置において、前記フォロワを、前記スプールに取り付け、かつ前記駆動プレートに対して押し付ける構成とした、組織穿刺部閉鎖装置。
請求項1に記載の組織穿刺部閉鎖装置において、前記駆動プレートは、該駆動プレートの外周面に画定したコイルトラックを有し、前記圧密化部材アセンブリの一部を前記コイルトラック内に配置する構成とした、組織穿刺部閉鎖装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面にわたり、同一参照符号は類似の要素を示すが、必ずしも同一要素を示すわけではない。
【0020】
上述したように、脈管処置は世界中で行われ、穿刺による血管へのアクセスを必要とする。最も多くは、この血管は大腿動脈である。処置完了後に穿刺部を閉鎖するため、多くの場合、閉鎖装置を使用して穿刺部をアンカーと封止プラグとの間に挟み込む。しかし場合により、封止プラグを封止装置から脱出させることが困難であり、動脈切開部の外側部位に対して適切に着座しないことがある。プラグが動脈切開部に対して適切に着座しない場合、出血が長時間に及ぶおそれがある。
【0021】
本発明においては、封止プラグの脱出及び封止プラグの適切な配置を容易にする方法並びに装置を記載する。本発明の一態様は、血管閉鎖装置内のカム構造を、自動駆動アセンブリ又は半自動駆動アセンブリの一部として使用することを意図する。このカム構造は、封止プラグを圧密化する(締め固める)のに使用する圧密化部材圧密化アセンブリに接触又は連結することができ、この圧密化部材アセンブリは、圧密化管を有し、この圧密化管は、封止プラグに接触するよう構成する。圧密化部材アセンブリは、さらに、圧密化管ドライバ(例えばコイル状構体)を有することもでき、この圧密化管ドライバは、圧密化管とカム構造との間に配置する。カム構造は少なくとも1個のカム面を有し、カム構造の回転により、カム面が圧密化管ドライバに接触し、これにより圧密化管を前進させる。カム部材は、縫合糸の一部を周囲に巻き付けるスプールに連結することができ、この縫合糸を使用して、封止プラグ及び血管閉鎖装置のアンカーを互いに連結する。カム部材は、スプールが回転する際に、圧密化アセンブリの基端部に可変駆動力を加えることができる。いくつかの実施形態において、カム部材は、駆動プレートとして構成し、この駆動プレートは、スプールと同軸状に配置し、またスプールの回転に伴い回転するよう構成する。カム部材は、ほぼ薄く、平坦な構造とすることができる。カム部材は、例えば圧密化アセンブリの基端部に接触することにより圧密化アセンブリと連係動作し、又は締まり嵌め部、クランプ又はその他のタイプの接触部材と圧密化アセンブリの基端部における末端箇所の接触界面部で連係動作する。本発明においては、クラッチを、駆動プレートとスプールとの間で動作可能にする。
【0022】
図示し、また以下に説明する脈管器具は、処置シース及び穿刺部封止装置を含むが、本明細書に記載する原理の用途は、以下に示す特定の装置に限定されるものではない。本明細書に記載する原理は、任意の医療機器に適用することができる。従って以下の説明は、主に動脈処置及び脈管閉鎖装置における若干の実施形態に関するが、本発明の方法及び装置は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する用語「圧密化する(compact)」又は「圧密化(compaction/compacting)」とは概して、過度な力を込めずに1回の若しくは一連の、突き(ブロー)若しくはタップ(軽打)により、又はスムーズで一定の圧力により、締め固めて圧縮することを意味する。用語「タンプ(tamp)」および「タンピング(tamping)」は、「圧密化」の一種に関する。「係合する(engage)」及び「係合可能(engagable)」とは、広義に、2個の装置間における連動、噛合、又は接触を意味する。同様に、「離脱する(disengage)」又は「離脱可能(disengagable)」とは、連動状態、噛合状態、又は接触状態を解除する、又は解除可能であることを意味する。「管」とは、通路を有する細長い器具である。この通路は、閉鎖型又は開放型(例えばトラフ状(溝状))とすることができる。「管腔(ルーメン)」とは、人体器官、特に血管内における任意の空間又は空洞を意味する。特許請求の範囲を含む本明細書で使用する「含む」及び「有する」は、「備える」と同義とする。
【0024】
図1〜
図4は、従来技術による脈管穿刺部閉鎖器具100を示す。閉鎖器具に関するいくつかの例は、米国特許出願公開第2005/0085851号明細書、及び米国特許第7,618,438号明細書並びに米国特許第7,618,436号明細書に公開されている。これら特許文献の全体は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。脈管穿刺部閉鎖器具100は、キャリア管102を備え、このキャリア管102内にフィラメント又は縫合糸104を少なくとも部分的に延在させる。さらに閉鎖器具100は、第1端部又は基端部106及び第2端部又は末端部107を有する。キャリア管102における末端部107の外部にはアンカー108を設ける。このアンカーは、細長くて硬い低丈輪郭(ロープロファイル)の部材とすることができ、中央部に形成した眼口部(アイ)109を有する。アンカー108は、一般的に生体再吸収可能ポリマーで構成する。
【0025】
縫合糸104は、アンカー108に通してコラーゲンパッド110に戻す。コラーゲンパッド110は、例えばランダムな配向の繊維状材料を化学的手段により互いに結合して構成する。コラーゲンパッド110は、縫合糸104がキャリア管102から末端方向に抜け出るときに縫合糸104に摺動可能に取り付ける。縫合糸104をアンカー108に通過させて再びキャリア管102内に進入させるとき、縫合糸104はコラーゲンパッドの基端部において確実に引き結びノットを形成し、これにより閉鎖器具100を適切に配置し、またアンカー108を展開するとき(
図4参照)にコラーゲンパッド110の締め上げが容易になる。
【0026】
キャリア管102は、一般的にその内部に配置した圧密化部材112を有する。圧密化部材112は摺動可能に縫合糸104上に取り付け、オペレータ(施術者)が使用することにより、適切な時点でコラーゲンパッド110をアンカー108に向けて圧密化し、これにより経皮的組織穿刺部を封止することができる。
【0027】
アンカー108を血管(例えば動脈)内に展開する前、アンカー108の眼口部109は、キャリア管102の末端部107の外部に休止する。アンカー108は、バイパス管114を使用して、一時的にキャリア管102と同一平面上の所定位置に保持することができ、バイパス管114は、キャリア管102の末端部107上に配置する。
【0028】
アンカー108及びキャリア管102を同一平面上に配置することにより、アンカー108を
図2〜
図4に示すような挿入シース116内に挿入し、さらに組織(例えば動脈)穿刺部118内に挿入することができるようになる。
図2〜
図4に示すように、挿入シース116は、経皮的切開部119を通して血管128内に挿入する。バイパス管114(
図1参照)は過大ヘッド部120を有し、この過大ヘッド部120によりバイパス管114が挿入シース116の内部通路に通過することを回避する。脈管閉鎖器具100を挿入シース116内に挿入すると、過大ヘッド部120は挿入シース116の表面122に圧着する。
【0029】
脈管閉鎖器具100をさらに挿入すると、キャリア管102とバイパス管114との間に滑り運動が生じ、これによりアンカー108がバイパス管114から釈放される(
図1参照)。アンカー108は、一般的にバイパス管114からの釈放に続いて、挿入シース116により運動が制限された状態で、
図1に示す同一平面上の位置に留まる。
【0030】
挿入シース116には、その第2端部又は末端部126に単一折り曲げ部124を設けることができる。この単一折り曲げ部は、アンカー108の一方向弁として機能する。単一折り曲げ部124は、一般的に挿入シース116の一部が塑性変形したものであり、アンカー108が挿入シース116の末端部126から押し出されるときに弾性的に屈曲する。一般的にアンカー108が挿入シース116の末端部126を通り抜けて血管128内に進入した後、アンカー108はキャリア管102に対して同一平面上の位置に拘束されることがなくなり、
図2に示す位置に展開し、回転する。
【0031】
挿入シース116は、1対の閉鎖器具連結用開孔(図示せず)及びキャリア管開孔(図示せず)を基端部の表面122(
図2参照)に設けることができる。脈管閉鎖器具100を挿入シース116に組み付けるとき、キャリア管102はキャリア管開孔内に挿入され、シース連結部材120が閉鎖器具連結用開孔内に挿入されて、シース連結部材130は釈放可能に閉鎖器具連結用開口に係合する。
【0032】
次に
図3及び
図4につき説明する。アンカー108が展開した状態で、脈管閉鎖器具100及び挿入シース116を一緒に引き出し、これによりコラーゲンパッド110をキャリア管112から経皮的切開部119内に脱出させると共に、圧密化部材112を露出させる。
図4に示すように圧密化部材112が完全に露出することにより、コラーゲンパッド110を手動で圧密化し、アンカー108及びコラーゲンパッド110を共に締め上げ、これにより縫合糸104の自己締め付け引き結びノットにより所定位置に保持する。組織穿刺部は、アンカー108とコラーゲンパッド110との間に挟み込み、これにより組織穿刺部118を封止する。その後、縫合糸104を切断して経皮的切開部119を閉鎖することができる。縫合糸104、アンカー108及びコラーゲンパッド110は、基本的に再吸収性材料で構成するため、穿刺部118が治癒する間にわたって所定位置に留まる。
【0033】
しかし上述した代表的な脈管閉鎖器具100を使用して、コラーゲンパッド110を脱出させまた圧密化するのは困難である。挿入シース116は、コラーゲンパッド110がキャリア管から脱出する際の変形に抵抗し、また圧密化は、挿入シース116を取り外し、手で掴めるよう圧密化部材112を露出させるまで開始することができない。条件によっては、コラーゲンパッド110の圧密化前における挿入シース116の取り外しにより、コラーゲンパッド110を組織穿刺部118の基端部側に後退又は変位させ、これによりコラーゲンパッド110と組織穿刺部118との間に望ましくない隙間が生ずることがある。
【0034】
切開部からアクセス可能な内部組織壁における組織穿刺部を封止するために使用する組織穿刺部閉鎖装置の大まかな構造及び機能は、当該技術分野でよく知られている。本明細書に記載の実施原理を有する閉鎖装置の用途としては、生体を2つの内部部分に分断する、組織における経皮的な穿刺部又は切開部の閉鎖があり、このような穿刺部又は切開部は、例えば血管、導管又は内腔(ルーメン)、胆嚢、肝臓、心臓などにおけるものがある。
【0035】
図5A〜5Hは、医療装置、例えば本発明の一実施形態による組織穿刺部閉鎖装置200(以下「閉鎖装置200」と略称することがある)を示す。閉鎖装置200は、
図5A及び
図5Bに分解図で示す。
図5C〜
図5Hは、閉鎖装置200を組み立て、また処置シース216を通して管腔232内に挿入した状態で示す。閉鎖装置200は、血管(例えば動脈)の穿刺部で即時に止血するよう設計するため、血管内処置との関連で使用した場合は特に有用であり、このような血管内処置には、血管造影剤注射、心臓カテーテル法、バルーン血管形成術及び他のタイプのアテローム硬化性動脈再疎通などがある。ただし言うまでもなく、以下の好適な実施形態の説明は動脈における経皮的穿刺部の封止に関するが、この装置はより広範囲な用途を有するものであり、他の組織壁における穿刺部又は切開部を封止ために使用することもできる。従って、本明細書に示す血管における経皮的穿刺部の封止は、本発明の原理に従って、閉鎖装置200における特定の一用途を例示しただけのものである。
【0036】
閉鎖装置200は、第1端部又は基端部206及び第2端部又は末端部207を備える。キャリア管202は、基端部206から末端部207まで延在させ、末端部207に出口213を有する。末端部207には、スリット209を設けることができる。
【0037】
キャリア管202はプラスチック又は他の材料で構成することができ、処置シース216内に挿通するよう設計する。処置シース216は、組織層230における経皮的切開部219から管腔232内に挿入するよう設計する。
図5B〜
図5Hによれば、管腔232は、血管228(例えば大腿動脈)の内部を構成する。
【0038】
キャリア管202の末端部207には、アンカー208及び封止プラグ210を設ける。
図5の実施形態におけるアンカー208は、細長く硬い低丈輪郭の部材であり、血管228内の組織穿刺部218に隣接する血管壁234に対して着座するよう構成する。好適には、アンカー208は、生体再吸収可能ポリマーで構成する。封止プラグ210は、圧縮可能なスポンジ、発砲体又は繊維質マットから形成し、これらはコラーゲンなどの非止血性の生体再吸収可能材料で構成する。封止プラグ210は、組織穿刺部218の封止を容易にする任意の形状に形成することができる。
【0039】
封止プラグ210及びアンカー208は、コネクタ、例えば生体再吸収可能なフィラメント又は縫合糸204により互いに連結する。アンカー208、封止プラグ210及び縫合糸204は、以下、集合的に「閉鎖要素」と称する。
図5Aに示すように、アンカー208は、初期的にはキャリア管202における末端部207の外側に隣接して配置するのに対して、封止プラグ210は、初期的にはキャリア管202内に配置する。アンカー208は、管腔232内への挿入を容易にするため、
図5A及び
図5Bにおいて、キャリア管202に沿う低丈輪郭で収納される状態を示し、
図5C〜5Hにおいて、アンカー208は、展開して血管壁234に当接した状態を示す。
【0040】
縫合糸204は、閉鎖装置200の基端部206からキャリア管202を通って末端方向に延在させる。縫合糸204は、封止プラグ210における1個以上の孔、及びアンカー208における1個の孔に通した後、キャリア管212の封止プラグ210まで基端方向に逆戻りさせる。好適には、縫合糸204は、封止プラグ210における1個又は複数個の孔に再度通す。さらに縫合糸204を縫合糸204自体の周りに通過させ、自己締め付け引き結びノットを形成することもできる。縫合糸214はこのように、プーリ状構成にしてアンカー208及び封止プラグ210を連結し、従ってキャリア管202をアンカー208及び封止プラグ210から離れる方向に引っ張るとき、アンカー208及び封止プラグ210を共に締め上げる。アンカー208及び封止プラグ210は、縫合糸204により、組織穿刺部218を挟み込こんで互いにロックし、これにより組織穿刺部218を封止する。
【0041】
キャリア管202は、圧密化器具又は圧密化部材、例えば圧密化管212を収容することができ、これにより封止プラグ210を縫合糸204に沿ってアンカー208に向けて前進させる。圧密化管212は、部分的にキャリア管202内に位置し、また封止プラグ210の基端側に位置する状態で示す。しかし、圧密化管212はさらに、閉鎖装置200のハンドル又はハウジング252内に延在させることもできる。好適には、圧密化管212は、細長い管状部材又は半管状部材であり、剛性又は可撓性を有し、かつ任意の適切な材料で構成することができる。例えば一実施形態によれば、圧密化管212はポリウレタンで形成する。縫合糸204は、圧密化管212内の少なくとも一部に延在させる。例えば
図5A〜
図5Hに示すように、縫合糸204は、圧密化管212に沿って基端部206と末端部207との間に延在させる。しかし縫合糸104は、圧密化管212に直接連結しない。従って、縫合糸204及び圧密化管212は、互いに対して摺動することができる。
【0042】
図5A〜
図5Hの実施形態によれば、縫合糸204は、自動駆動アセンブリ260に取り付ける。この自動駆動アセンブリ260は、ベース262、駆動プレート264、スプールアセンブリ266、コイル268、釈放部材270、及びクラッチアセンブリを有し、このクラッチアセンブリは、フォロワ272及びフォロワ押圧部材274を含む。自動駆動アセンブリ260は、若干の実施形態において、圧密化管212及びキャリア管202も有する。他の実施形態において、自動駆動アセンブリ260における特徴部、例えばコイル268は排除する又は組織穿刺部閉鎖装置200とは個別の特徴部として設けることができる。
【0043】
ベース262には、末端部275、コネクタ用凹部276、コイル用凹部278、取り付けハブ279、スプール用凹部280、第1釈放部材用開孔281,及び第2釈放部材用開孔282を設けることができる。ベース262は、ハウジング252内で可動とする。
図5Eに示すように、ベース262は、末端部275がストッパ、例えばハウジング252内の表面に接触するまでハウジング252内で前方に摺動することができる。
【0044】
連結造作部用凹部276は、連結造作部を収容する寸法にし、この連結造作部を使用して、キャリア管202を自動駆動アセンブリ260に固定する。コイル凹部278は、コイル268の一部を収容する寸法とすることができる。スプール用凹部280は、駆動プレート264、スプールアセンブリ266、釈放部材270及び自動駆動アセンブリ260における他の造作部を少なくとも部分的に収容する寸法とすることができる。第1及び第2の釈放部材用開孔281,282は、釈放部材270の一部、例えば接触部分271を収容する寸法及び構成とすることができる。この接触部分271は、スプール用凹部280に出入りするよう回転して、駆動プレート264の一部に接触する。取り付けハブ279は、駆動プレート264及びスプールアセンブリ266をスプール用凹部280内で支持するよう構成することができる。
【0045】
駆動プレート264は、コイルトラック284、コイル止め285、連結部用開孔286、プレート連結部287、複数個のフォロワ用凹部288を有することができる(
図5B、
図9及び
図10参照)。コイルトラック284は、コイル268の一部を受容する寸法とすることができる。コイルトラック284は、駆動プレート264の外周部に画定することができる。一実施形態において、コイルトラック284は、駆動プレート264の外周部全体にわたって延在させる。他の実施形態において、コイルトラック284は、駆動プレート264における他の部分、例えば駆動プレート264の頂面若しくは底面における凹部として、又はベース262若しくはスプールアセンブリ266の表面に画定することができる。
【0046】
コイル止め285は、コイルトラック284に配置することができる。コイル止め285は接触面を画定し、この接触面に対して圧密化管アセンブリの一部(例えばコイル268の基端部)が密着することにより、駆動プレート264の回転力を圧密化管アセンブリの長手方向運動に変換する。一般的に駆動プレート264の回転力は、圧密化管アセンブリの基端部(例えばコイル268の基端部又は圧密化管212の基端部)に力を加えることにより、圧密化管アセンブリを前進させる。他の実施形態においては、駆動プレート264における他の特徴部、例えばコイル268とコイルトラック284との間の圧迫嵌合を使用して、駆動プレート264の回転力を変換して圧密化管アセンブリを前進させる。
【0047】
連結部用開孔286は、スプールアセンブリ266の連結造作部を収容する寸法とすることができる。駆動プレート264とスプールアセンブリ266との間に画定される、少なくとも部分的には連結部用開孔286による相互作用部(インタフェース)は、駆動プレート264とスプールアセンブリ266との間の位置合わせ(整列)及び連結を生ずる。
【0048】
プレート連結部287は、駆動プレート264をベース262に連結するのに使用することができる。一実施形態において、プレート連結部287は、取り付けハブ279に挿入可能であり、これにより駆動プレート264とベース262との間で連結を行う。プレート連結部287は、このプレート連結部287により、ベース262に対して釈放可能な又は釈放不能である恒久的な連結にすることができる。
【0049】
駆動プレート264には、少なくとも1個のフォロワ用凹部288を設け、このフォロワ用凹部288は、フォロワ272を収容する寸法及び構成とする。フォロワ272は、スプールアセンブリ266により支持し、かつ押圧部材274により駆動プレート264に向けて偏倚させることができる。フォロワ272は、縫合糸204をスプールアセンブリ266から繰り出すことにより、閾値ねじり力が加わるまでフォロワ用凹部288に位置決めされた状態に留まるよう構成することができる。縫合糸204は、アンカー208が血管228内に保持されるとき(以下に、より詳細に説明する)、ハウジング252を後退させることにより、スプールアセンブリ266から繰り出される。
【0050】
フォロワ用凹部288及びフォロワ272は、他の実施形態において、逆の配置とすることができ、従ってフォロワ用凹部288をスプールアセンブリ266に画定し、フォロワ272を駆動プレート264により支持する。フォロワ用凹部288は、連結部用開孔286周りに円形パターンで配列することができる。フォロワ272は、駆動プレート264及びスプールアセンブリ266が相対回転するときに、フォロワ用凹部288に対して出入りする移動をすることができる。
【0051】
フォロワ用凹部288は、異なる寸法及び形状とすることができ、これによりスプールアセンブリ266により加わるねじり力であって、フォロワ272をフォロワ凹部288から離脱移動させるのに必要なねじり力を異ならせる。フォロワ用凹部288は、円形の断面形状とすることができる。フォロワ用凹部288は、フォロワ272の断面形状に適合する断面形状とすることができる。フォロワ用凹部288の断面形状は、その長さに沿って断面が変化する形状とすることができる。フォロワ用凹部288は、テーパ付けすることができる。代表的には、フォロワ用凹部288は、フォロワ272の全長よりも短い深さを有し、これによりフォロワ272がフォロワ用凹部288内に位置決めされるとき、フォロワ272は少なくとも部分的にスプールアセンブリ266内に位置決めされるようにする。
【0052】
スプールアセンブリ266は、頂面291を画定するトッププレート290、底面293を画定するボトムプレート292、中央開孔294、フォロワ用空洞部295、カム部材296、スプール連結部298を有することができる。カム部材296は、カム面297を画定する。トッププレート290及びボトムプレート292並びにカム部材296は、アセンブリ(組立体)として互いに連結する個別ピースとして画定することができる。代替的には、トッププレート290及びボトムプレート292並びにカム部材296は、単一ピースとして一体的に形成することができる。カム面297には、スプールアセンブリ266の周縁からアクセス可能であり、これにより縫合糸204を巻き付けることができる。縫合糸204の基端部は、スプールアセンブリ266の縫合糸連結部205(
図5B参照)に固定することができる。
【0053】
図12は、カム部材296における構成の一例を示す。カム部材296は可変半径を有し、この可変半径は中央開孔294(この周りをスプールアセンブリが回転する)からカム面297までを測定したものである。この可変半径は、縫合糸がカム面297に沿って巻き付くとき、最小寸法R
1からより大きな寸法R
2,R
3に変化する。縫合糸204をスプールアセンブリ266から繰り出すと、カム部材296の可変半径R
1〜R
3に起因して、可変ねじり力を生ずる。カム部材296に関しては、他の多数の形状及び寸法とすることができる。いくつかの実施形態において、縫合糸204を巻付けるカム部材297は、少なくとも部分的に、例えばトッププレート290及びボトムプレート292、又は何からの他の造形部で確定されるスプールアセンブリ266の周面にのうち1つ又はそれ以上で画定することができる。
【0054】
スプール連結部298は、駆動プレート264の連結部用開孔286(
図9及び
図10参照)内に突入する寸法とすることができる。若干の実施形態において、スプールアセンブリ266は、駆動プレート264に対して、スプール連結部298と連結部用開孔286との間におけるしばり嵌め連結又はスナップ嵌合連結により、連結することができる。他の実施形態において、スプール連結部298及び連結部用開孔286は逆の構成配置にすることができ、従ってこの場合、スプール連結部298が駆動プレート264から突出して、スプールアセンブリ266に画定した連結部用開孔内に突入する。
【0055】
釈放部材270には、接触部分271(
図5B参照)を設けることができる。この接触部分271は、釈放部材270を回転させて駆動プレート264に接触させる際に、第2釈放部材開孔282からスプール用凹部280に対して出入りする移動をすることができる。駆動プレート264に接触するとき、釈放部材270は、ベース262に対する駆動プレート264の回転を制限する。駆動プレート264との接触から離れるとき、釈放部材270は駆動プレート264の回転をもはや制限しなくなり、これにより、駆動プレート264及びスプールアセンブリ266は回転して縫合糸204を繰り出すことができるようになる。
【0056】
コイル268は、末端部267及び基端部269(
図6参照)を有する。末端部267は、圧密化管212(例えば圧密化管212の基端部)に当接する。基端部269は、駆動プレート264のコイル止め285に当接する。スプールアセンブリ266が回転するときに縫合糸204が追随するカム面297のカム形状は、駆動プレート264により、可変直線力をコイル268に付与し、これにより圧密化管212を封止プラグ210に向けて前進させる。
【0057】
いくつかの実施形態において、自動駆動アセンブリ260は、圧密化管212を含むことができる。圧密化管212及びコイル268は、一緒に圧密化管アセンブリを構成することができる。この圧密化管アセンブリは、封止プラグ210の基端部に隣接して配置することができる。圧密化管212を含む自動駆動アセンブリ260全体は、
図5C及び
図5Eの対比で示されるように、ハウジング252内で一緒に長手方向に移動することができる。
【0058】
自動駆動アセンブリ260は、ハウジング252内において閉鎖装置200の基端部206に位置する。自動駆動アセンブリ260の実施形態は、選択的に離脱可能にすることができる。例えば、釈放部材用開孔281からハウジング252内に突入する釈放部材270の操作により、スプールアセンブリ266を釈放して、縫合糸204の繰り出しを可能にする。釈放部材270を操作することにより、縫合糸204の少なくとも若干の長さをハウジング252から釈放することができる。封止プラグ210を圧密化した後に、縫合糸204の若干の長さを繰り出す又は釈放することにより、オペレータは、封止プラグ210をそれ以上圧密化することなく、組織穿刺部閉鎖装置200を引き出すことができるようになる。
【0059】
組織穿刺部閉鎖装置200を経皮的切開部219から一層引き出すことにより、オペレータは、縫合糸204をより容易に封止プラグ210の基端側箇所で切断することができる。
【0060】
図9及び
図10に示すように、駆動プレート264は、スプールアセンブリ266に連結することができる。縫合糸214は、スプールアセンブリ266に連結し、また少なくとも部分的にスプールアセンブリ266周りに巻き付ける。駆動プレート264は、スプールアセンブリ266と同一の角速度で回転しようとする。このことは、駆動プレート264とスプール連結部298を有するスプールアセンブリ266との間における連結に基づく。
【0061】
閉鎖装置200を組織穿刺部218から引き出す(アンカー208が展開し、また自動駆動アセンブリ260がハウジング252における止め部に接触した場合(
図5E及び
図5G参照)に)ことにより、縫合糸204がスプールアセンブリ266から繰り出される。スプールアセンブリ266は、縫合糸204の繰り出しに伴って回転することでねじり原動力を生じ、このねじり原動力が直線的な圧密化力に変換される。
【0062】
スプールアセンブリ266によるねじり原動力は、駆動プレート264、コイル268及び圧密化管212によって、直線的な圧密化力に変換される。駆動プレート264は、スプールアセンブリ266と同軸状に配置することができる。スプールアセンブリ266が回転するとき、駆動プレート264を駆動し、この駆動プレート264はコイル268を駆動する。コイル268は、圧密化管212を駆動し、この圧密化管212が封止プラグ210を圧密化する。
【0063】
好適には、圧密化管212は、好適には、管状又半管状とし、縫合糸204の軸線に沿って、縫合糸204周りに部分的に配置する。コイル268が圧密化管212も構成するいくつかの実施形態において、コイル268はほぼU字状断面の半管状形状にすることができ、この形状により、縫合糸204が側方から出入りできるトラフを生ずる。開放したトラフ構造によれば、スプールアセンブリ266の繰り出しに伴って、縫合糸204及びコイル268の合流が可能になる。したがって、アンカー208が展開した状態で閉鎖装置200を第1方向又は基端部方向に後退させると、縫合糸204がスプールアセンブリ266から繰り出され、これにより駆動プレート264を駆動する。駆動プレート264はコイル268を駆動し、このコイル268は圧密化管212を第1方向とは逆の第2方向又は末端部方向に駆動させる。圧密化管212は、封止プラグ210をアンカー208に向けて締め固める圧密化を行う。
【0064】
実際には、(上述した閉鎖要素を有する)閉鎖装置200のキャリア管202は、既に血管228内に挿入されている処置シース216内に挿入する(
図5C及び
図5D参照)。閉鎖装置200及び付随する閉鎖要素を処置シース216内に挿入するとき、アンカー208は処置シース216の末端部を通過して抜け出し、管腔232内に挿入される。上述しまた
図5A及び
図5Bに示したように、アンカー208は、初期的にはキャリア管とほぼ同一平面状に配置し、これによりアンカー208を経皮的切開部219及び管腔232内に挿入し易くしている。
【0065】
アンカー208が処置シース216の末端部から抜け出た後、アンカー208は
図5C及び5Dに示す位置に展開又は回転する。閉鎖装置200を処置シース216から部分的に引き出すと、アンカー208を処置シース216の末端部に捕捉した状態で、
図5C及び
図5Dに示す位置に回転させることができる。好適には、閉鎖装置200は、バイアスを付与した1対のフィンガ215を備え、これらフィンガ215は、処置シース216における1対の整合凹部217によってロック可能に収容される。バイアスを付与したフィンガ215と整合する凹部217との間におけるこのロック構成により、処置シース216に対するハウジング252の位置を固定することができるようになる。
【0066】
アンカー208の展開後、ハウジング252及び処置シース216を一緒に引き出す。
図5C及び
図5Dに示すように、ハウジング252を引き出すことで、アンカー208自体を血管228内の血管壁234に対して係留する。
図5E及び
図5Fに示すように、ハウジング252をさらに引き出すことで、自動駆動アセンブリ260をハウジング252内で前方に摺動させる。機能的には、アンカー208、封止プラグ210、キャリア管202、処置シース206及び自動駆動アセンブリ260は、上述したハウジング252のさらなる引き出しに際して、同一の軸線方向位置を維持しつつ、処置シース216及びハウジング252は基端方向に移動する(
図5E及び
図5F参照)。
【0067】
図5E及び
図5Fにおいて、キャリア管202の末端部207は、ハウジング252及び処置シース216の後退に伴い、経皮的切開部219内で露出する。キャリア管202は、ハウジング252及び処置シース216が所定距離にわたって後退するまで、組織穿刺部218に対する相対位置を保つことができる。ハウジング252/処置シース216とキャリア管202との間における相対運動は、自動駆動アセンブリ260とハウジング252との間における摺動可能な取り付け構成により容易にすることができる。ただし、いくつかの実施形態によれば、自動駆動アセンブリ260はハウジング252に固定する。
【0068】
図5C〜
図5Cの全体で示すように、キャリア管202に取り付けた自動駆動アセンブリ260は、自由に浮動又は変位可能とすることができ、ハウジング252及び処置シース216の後退に伴い、ハウジング252に対して摺動することができる。しかし、
図5Cに示すように、自動駆動アセンブリ260は、初期的にはハウジング252に対して第1ポジションに保持することができる。例えば
図5Cに示すように、組織穿刺部閉鎖装置200は保留用戻り止め255のような一時的ホルダを備えることができ、この保留用戻り止め255は、自動駆動アセンブリ20とハウジング252との間で釈放可能に動作する。保留用戻り止め255には突出部を有するフィンガ257を設けることができ、このフィンガがハウジング252内における水かき状構造部(webbing structure)に接触することで、自動駆動アセンブリ260を
図5Cに示す第1ポジションに少なくとも一時的に保持する。他の実施形態において、保留用戻り止め255はハウジング252に取り付けることができ、釈放可能に自動駆動アセンブリ260に接触する。保留用戻り止め255は、ハウジング内で所望の箇所に配置することができる。例えば保留用戻り止め255は、自動駆動アセンブリ260の底面に連結し、またハウジング252の表面に形成したスロット内で動作可能に配置することができる。さらに、少なくとも1個のスロット及びフォロワ部材を自動駆動アセンブリ260及びハウジング252に配置することにより、保留用戻り止めによる釈放後、自動駆動アセンブリ260とハウジング252との間における相対的な軸線方向運動の維持を支援する。
【0069】
フィンガ257は、自動駆動アセンブリ260を
図5Cに示す第1ポジションに保持又は一時的に固定しようとするが、十分な所定力がハウジング252と自動駆動アセンブリ260との間に加わると、フィンガ257は釈放する。例えば、アンカー208が展開した状態で使用者がハウジング252に与える後退力により、フィンガ257は内方に転向しまた釈放させる。その後、フィンガ257は自動駆動アセンブリ260とハウジングとの間における摺動運動に対して抵抗力を及ぼすことはほぼない。したがってハウジング252の後退は、ハウジング252にしっかりと連結した処置シース216を後退させることができるが、自動駆動アセンブリ260及びキャリア管202はハウジング252に対して摺動し、したがって、組織穿刺部218に対する位置に留まる(
図5E参照)。自動駆動アセンブリ260は、止め部(例えばハウジング252の末端側内壁)に到達するまで、ハウジング252に対して所定距離にわたって摺動することができる。この所定距離は、少なくともキャリア管202のスリット209(
図5A参照)を露出させるのに十分な長さとすることができる。これにより、後で封止プラグ210をキャリア管202から取り出すのを容易にする。
【0070】
自動駆動アセンブリ260が止め部に達するとき、ハウジング252をさらに後退させることにより、キャリア管202も一緒に引き出し、その結果封止プラグ210が自動的に脱出する。スプールアセンブリ266が回転し始め、スプールから縫合糸204の若干を繰り出す。
図5G及び
図5Hに示すように、一般的には、スプールアセンブリ266と一緒に回転する駆動プレート264は、一定量を繰り出すことでコイル268及び圧密化管212を前進させ、かつ封止プラグ210を締め固める圧密化を行う。ハウジング252をさらに一層後退させることにより、スプールアセンブリ266及び駆動プレート264をさらに回転させ、これによりコイル268及び圧密化管を前進させ、封止プラグ210の圧密化が完了する。
【0071】
ハウジング252をさらに後退させると、駆動プレート264とスプールアセンブリ266との間におけるねじり力閾値を超える。この閾値超えにより、フォロワ272を駆動プレート264のフォロワ用凹部288から離脱移動させる。これにより、駆動プレート264及びスプールアセンブリ266は、さらに封止プラグ210を圧密化することなく、互いに相対回転できるようになる。このフォロワ272とフォロワ用凹部288との間における相互作用により、クラッチ機能をもたらす。フォロワ272及びフォロワ用凹部288は、自動駆動アセンブリのクラッチ又はクラッチアセンブリと称することができる。
【0072】
封止プラグ210の圧密化が完了した際に、オペレータは釈放部材270を操作して、縫合糸204をスプールアセンブリ266から繰り出すことができる。このとき、縫合糸204は組織層近傍で切断するためにより好適に露出することができ、この縫合糸204の切断によりハウジング252をアンカー208/封止プラグ210から釈放することができる。
【0073】
封止プラグ210の配置に続く個別のまた手作業による圧密化処置を必要とする従来の閉鎖装置とは異なり、本発明の閉鎖装置200は、ハウジング252に後退力を加えることにより自動的に封止プラグ210を圧密化する。封止プラグ210は、キャリア管202の引き出し中又は引き出し後に圧密化することができるため、そうしないと、封止プラグ210と血管228における組織穿刺部218との間に生ずるおそれのある隙間を縮小又は排除できるようになる。
【0074】
さらに、経皮的切開部219から離れる方向に縫合糸204に張力を加える又は引っ張ることにより、縫合糸204は、(スリップノット等で)アンカー208及び封止プラグ210を共に締め上げ、かつ固定し、アンカー208と封止プラグ210との間に血管壁234を挟み込む。また、圧密化管212により加わる力、及び縫合糸204によりアンカー208及び封止プラグ210を共に締め上げることは、封止プラグ210を経皮的切開部219内で半径方向外方に変形させ、また
図5G及び
図5Hに示すように、組織穿刺部218の基端側でアンカーとして機能させる。
【0075】
組織穿刺部閉鎖装置200の特徴的造作部に関して、多くの変更が可能である。いくつかの実施形態において、コイル268は、駆動プレート264に常時連結することができる。駆動プレート264は、圧密化管212に直接連結することができる。全般的に、(周りに縫合糸を巻き付ける)スプール部材の回転により駆動され、圧密化部材を前進させて封止プラグ圧密化する離脱可能なカム構造を使用するあらゆる装置又は構体も、本発明の精神及び範囲に含まれるものである。
【0076】
図5A〜
図5Hに示す実施形態の操作は、以下の通りである。
図5Cに示すように、閉鎖装置200のハウジング252を経皮的切開部219から後退させるとき、保留用戻り止め255が釈放される。自動駆動アセンブリ260及びキャリア管202は、静止した状態を維持し、したがって、ハウジング252に対して浮動する。処置シース216は、ハウジング252の引き出しに伴って後退し、その結果キャリア管202の末端部207が露出する。自動駆動アセンブリ260はその後、止め部に接触し(又は実施形態によっては、自動駆動アセンブリは固定されている)、さらに後退させることにより、自動駆動アセンブリ260及びキャリア管202も後退する。自動駆動アセンブリ260の後退に伴い、アンカー208に通した縫合糸204は、カムの縫合糸経路に沿ってスプールアセンブリから繰り出され、これによりスプールアセンブリ266及び駆動プレート264を可変回転力で回転させる。
【0077】
駆動プレート264の駆動に伴い、コイル268が前進し、圧密化管212を前進させる。いくつかの実施形態において、コイル268は十分に長くし、従ってコイル268が圧密化管212として機能するよう構成することができる。この圧密化管212により、封止プラグ210を圧密化する。したがって、閉鎖装置200を経皮的切開部219から後退させるとき、処置シース216(
図5E及び
図5F参照)を後退させ、キャリア管202を後退させ、封止プラグ210を自動的に圧密化する(
図5G及び
図5H参照)。この封止プラグ210は、個別的かつ手作業による圧密化処置において生じる可能性のある隙間をアンカー208に対して生じさせることなく、より確実に動脈に対する十分な封止を実現する。
【0078】
封止プラグ210の圧密化は、フォロワ272がフォロワ用凹部288から離脱移動して、駆動プレート264とスプールアセンブリ266との間における相対回転(自動駆動アセンブリ260のクラッチ動作とも称される)が可能になるまでハウジング252をさらに後退させることで確実に行われる。この相対回転は、触知的若しくは可聴的な「クリック」、又は他のインジケータにより、組織穿刺部閉鎖装置200のオペレータに知らせることができる。駆動プレート264とスプールアセンブリ266との間におけるクラッチ動作により、血管内228内に封止プラグ210が過度に圧密化される可能性を制限することができる。
【0079】
封止プラグ210が十分に圧密化されたとき、自動駆動アセンブリ260を離脱することができ、これにより付加的な圧密化をすることなく閉鎖装置200をさらに後退させることができるようになる。自動駆動アセンブリ260は、釈放部材270を操作して駆動プレート264に対して接触しないようにすることにより、有利に無効化することができる。釈放部材270を操作することにより、縫合糸204は、圧密化管212を駆動することなく少なくとも部分的にスプールアセンブリ266から繰り出される。スプールアセンブリ266を繰り出すことにより、縫合糸204が十分な長さで圧密化管212の末端部において露出し、これによりオペレータは縫合糸204を切断し、封止プラグ210及びアンカー208を閉鎖装置200の残部から分離することができる。
【0080】
図13に示す代替的な構成において、自動駆動アセンブリ360は複数個のフォロワ372を備え、これらフォロワ372はスプールアセンブリ366に支持し、これらフォロワ372は、駆動プレート364に画定した複数個のフォロワ用凹部388に相互作用する。駆動アセンブリ360はベース362を備え、このベース362は、末端部375、連結部用凹部376、コイル用凹部378、取り付けハブ379、スプール用凹部380、並びに第1釈放部材用開孔381及び第2釈放部材用開孔382を有する。ベース362の動作及び機能は、本明細書に記載したベース262と同一又は類似のものとすることができる。駆動プレート364は、連結部用開孔386、複数個のフォロワ用凹部388、及び本明細書に記載した駆動プレート264と同一又は類似の機能を有する他の特徴的造作部を有する。スプールアセンブリ366は、複数個のフォロワ用空洞部395を有することができ、これらフォロワキャビティ395は、複数個のフォロワ372及び押圧部材374を収容する。スプールアセンブリ366は、本明細書に記載したスプールアセンブリ266と同一又は類似の機能を有することができる。
【0081】
駆動プレート364において対応するフォロワ用凹部388に出入り移動するよう独立的に動作する複数個のフォロワ372の利用により、特定の利点を生ずることができる。例えば(これに限定されることなく)、複数個のフォロワ372の利用により、フォロワ372をフォロワ用凹部388から離脱移動させて、駆動プレート364とスプールアセンブリ366との間における相対回転を可能にするために必要なねじり力の閾値レベルをより一定にすることができる。さらに、複数個のフォロワ372の利用により、使用中の操作に関する高い安全性及びより確実性をもたらすことができる。複数個のフォロワ372及び/又は複数個のフォロワ用凹部388の利用により、1個以上のフォロワ372が1個以上のフォロワ用凹部388から離脱移動した後、駆動プレート364に対するスプールアセンブリ366の自由回転量に関する精度及び制御を付加的に
高めることができる。
【0082】
上述の記載は、本発明の例示的な実施形態を示し、かつ説明するためのものにすぎない。上述の記載は、本発明を包括する又は本発明を記載した特定の実施形態に限定するものではない。上述の教示により、多くの変更及び改変が可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定されるものとする。