特許第5946846号(P5946846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946846
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】鞍乗型電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 99/00 20090101AFI20160623BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20160623BHJP
   B62J 25/00 20060101ALI20160623BHJP
   B62H 1/02 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   B62J99/00 K
   B62J23/00 A
   B62J25/00 B
   B62H1/02 F
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-550269(P2013-550269)
(86)(22)【出願日】2012年12月17日
(86)【国際出願番号】JP2012082653
(87)【国際公開番号】WO2013094559
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年6月18日
(31)【優先権主張番号】特願2011-280753(P2011-280753)
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-265124(P2012-265124)
(32)【優先日】2012年12月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮代 幣彦
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−063051(JP,A)
【文献】 特開2010−241234(JP,A)
【文献】 特開平04−358980(JP,A)
【文献】 特開2004−210074(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101428665(CN,A)
【文献】 特表2005−502531(JP,A)
【文献】 特開2011−063066(JP,A)
【文献】 特開2011−063074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 23/00,99/00
B62K 11/06
B62M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪および後輪と、
前記後輪より前方に少なくとも一部が配置されたシートと、
前記前輪より後方で前記後輪より前方に設けられ、前記シートに着座した乗員の脚を下方から支える足載せ部と、
前記前輪と前記後輪の間で揺動可能に支持され、前部を支点として下方に回動された状態で車両を直立状態に支持するスタンドと、
前記足載せ部と前記前輪の間に設けられ、上下方向に延びる面を有するレッグシールドと、
前記レッグシールドに設けられた開口部に臨むように設けられたレセプタクルと、
前記前輪、前記後輪、前記シート、前記スタンド、前記レッグシールドおよびレセプタクルを支持する車体フレームと、を備え、
前記レセプタクルは、前記スタンドが下方に回動された状態での前記前輪の接地点と前記レッグシールドの間に配置され、上方、左方または左上方向に開口する接続口を有し、充電プラグを嵌め込む時に前記車体フレームを介して前記レセプタクルが受けた力を前記前輪に伝えるように設けられている、鞍乗型電動車両。
【請求項2】
前記レセプタクルは、車両中心に対して右方または左方にオフセットした位置に設けられている、請求項1に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項3】
前記車体フレームは、前記前輪の接地点と前記レッグシールドの間で車両中心線上に配置される車体フレーム前部を含み、
前記レセプタクルは、前記車体フレーム前部に支持されている、請求項1または2に記載の鞍乗型電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動モータを動力源とした鞍乗型電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータを動力源とした電動二輪車は、バッテリへの充電用のレセプタクルを備えている。バッテリへ充電する際には、充電器から延びるコードの端部に設けられた充電プラグをレセプタクルへ接続する。
【0003】
このような電動二輪車として、足載せ部と前輪の間に設けられ、上下方向に延びるフロントカバーの後面に開口が形成され、その開口から臨む位置に前記バッテリを充電するためのレセプタクル(給電部)を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾特許公開公報201102284号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような電動二輪車を充電するには、車両を固定させる必要がある。そこで、車両に設けられたスタンドを下げて、車両を固定させる。その後、蓋を開いてレセプタクルを露出させ、充電プラグをレセプタクルに嵌め込む。
特許文献1に記載の電動二輪車では、レセプタクルがシートに着座した乗員の脚の前方に設けられるカバーに設けられているため、充電作業が容易である。
ところが、電動二輪車は、電気自動車とは異なり、車両が軽量である。そのため、レセプタクルに充電プラグを嵌め込む時に車両に力が作用すると、場合によっては車両が動く恐れがある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、レセプタクルに充電プラグを嵌め込む時に車両に力が作用しても車両の動きを抑制し、充電作業を行いやすい鞍乗型電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の鞍乗型電動車両は、
前輪および後輪と、
前記後輪より前方に少なくとも一部が配置されたシートと、
前記前輪より後方で前記後輪より前方に設けられ、前記シートに着座した乗員の脚を下方から支える足載せ部と、
前記前輪と前記後輪の間で揺動可能に支持され、前部を支点として下方に回動された状態で車両を直立状態に支持するスタンドと、
前記足載せ部と前記前輪の間に設けられ、上下方向に延びる面を有するレッグシールドと、
前記レッグシールドに設けられた開口部に臨むように設けられたレセプタクルと、前記前輪、前記後輪、前記シート、前記スタンド、前記レッグシールドおよびレセプタクルを支持する車体フレームと、を備え、
前記レセプタクルは、前記スタンドが下方に回動された状態での前記前輪の接地点と前記レッグシールドの間に配置され、上方、左方または左上方向に開口する接続口を有し、充電プラグを嵌め込む時に前記車体フレームを介して前記レセプタクルが受けた力を前記前輪に伝えるように設けられている。
【0008】
本発明に係る鞍乗型電動車両によれば、前記前輪の接地点と前記レッグシールドの間に配置されたレセプタクルを備え、レセプタクルの接続口は上方、左方または左上方向に開口し、充電プラグを嵌め込む時に車体フレームを介してレセプタクルが受ける下方、右方または右下方向の力を前輪に伝えるように設けられている。スタンドを下ろした状態では前輪が接地状態にある。したがって、充電プラグを嵌め込む時に、前輪の接地点とレッグシールドの間に配置されたレセプタクルが受ける力が前輪に下方、右方または右下方向の力として作用し、前輪の接地状態が良好に保たれる。また、レセプタクルが受ける前方方向の力が相対的に小さくなるため、車体に作用するスタンドを上げる方向に作用する力を小さくすることができる。したがって、充電作業の開始時に車両に力が作用しても車両の動きが抑制され、充電作業を始めやすい鞍乗型電動車両を提供することができる。
【0009】
また、上記本発明に係る鞍乗型電動車両において、
前記レセプタクルは、車両中心に対して右方または左方にオフセットした位置に設けられていてもよい。
【0010】
上記本発明に係る鞍乗型電動車両によれば、左右方向の車体の中心線上に配置される車体フレームを避けて、前輪に近い位置にレセプタクルを配置することができる。したがって、充電プラグ接続時の力を前輪に伝えやすい。このため、充電プラグをレセプタクルに嵌め込む時に車両に力が作用しても車両の動きを抑制でき、充電作業を始めやすい鞍乗型電動車両を提供することができる。
【0011】
また、上記本発明に係る鞍乗型電動車両において、
前記車体フレームは、前記前輪の接地点と前記レッグシールドの間で車両中心線上に配置される車体フレーム前部を含み、
前記レセプタクルは、前記車体フレーム前部に支持されていてもよい。
【0012】
上記本発明に係る鞍乗型電動車両によれば、前輪に近い車体フレーム前部にレセプタクルが支持されている。このため、車体フレーム前部を介して前輪に充電プラグ接続時の荷重を伝えやすい。したがって、レセプタクルに充電プラグを嵌め込む時に車両に力が作用しても車両の動きを抑制でき、充電作業がやりやすい鞍乗型電動車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る電動二輪車の側面図である。
図2図1に示した電動二輪車を矢印II方向から見た上面図である。
図3図1に示した電動二輪車の接地点およびレセプタクルを上方から示した模式図である。
図4図1に示した電動二輪車のサイドスタンドを下ろした状態を示す側面図である。
図5】サイドスタンドを下ろした状態での図3と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下には、図面を参照して、この発明の第1実施形態について具体的に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の鞍乗型電動車両である電動二輪車の左側面図である。図2は、図1に示した電動二輪車を矢印II方向から見た上面図である。
【0015】
なお、以下の説明における前後、上下および左右の各方向は、電動二輪車が水平面に置かれ、かつ運転者が前方を向いているときの当該運転者の視点を基準とする。図1に、前後方向を矢印X1、上下方向を矢印Y1方向で示し、図2で、左右方向を矢印Z1で示す。また、垂直に起立し、メインスタンドが下ろされて駐車されている状態の電動二輪車を基準として、電動二輪車の構成を説明する。
【0016】
電動二輪車は、車体フレーム2、前輪3、後輪4、電動モータが収められたパワーユニット5、バッテリ6、車体カバー7およびシート29を備えている。電動二輪車は、バッテリ6から供給される電力によって、電動モータを駆動し、電動モータの出力によって後輪4を駆動する。以下、電動二輪車の全体の構造を車体前方から順に説明する。
【0017】
電動二輪車は、この電動二輪車の前上部に配置されたヘッドパイプ8を有している。ヘッドパイプ8内には、ステアリング軸が回動自在に挿入されている。ステアリング軸の下端部には、左右一対のフロントフォーク10が取り付けられている。前輪3は、フロントフォーク10に取り付けられ、車体フレーム2に支持されている。
【0018】
ステアリング軸の上端部には、ハンドル11が取り付けられている。運転者は、ハンドル11を操作することにより、ステアリング軸、フロントフォーク10および前輪3をステアリング軸の軸線回りに回すことが可能である。
【0019】
ハンドル11の左右両端部には、それぞれ、グリップ12が設けられている(図2参照)。右側のグリップはスロットルグリップを構成している。運転者は、このスロットルグリップを回すことにより、電動モータの出力を調整することが可能である。また、ハンドル11の中央付近にはメータ13が設けられている。
【0020】
電動二輪車は、ヘッドパイプ8から後方に延びる車体フレーム2を含んでいる。車体フレーム2は、鋼鉄製のパイプ部材などを用いて形成されている。車体フレーム2は、ダウンチューブ19と、ダウンチューブ19の後方に配置されたフレーム本体20と、を含んでいる。ヘッドパイプ8とダウンチューブ19は、車体フレーム前部を構成している。
【0021】
ダウンチューブ19は、左右方向に関して車両中心線上に配置されている。ダウンチューブ19は、ヘッドパイプ8の下部から後斜め下方に延びている。側面視において、フレーム本体20は、ダウンチューブ19の下端部から後方に延びており、車両の前後方向X1の途中部がS字状に形成されている。
【0022】
フレーム本体20は、左右一対設けられている。フレーム本体20は、第1フレーム部21と、第2フレーム部22と、第3フレーム部23と、を含んでいる。
【0023】
第1フレーム部21は、ダウンチューブ19の下端部から後方に略真っ直ぐに延びており、わずかに後斜め上方に傾斜している。第1フレーム部21の左側には、下方に回動可能にサイドスタンド53が取り付けられている。このサイドスタンド53は前輪3と後輪4の間に配置されている。
【0024】
第2フレーム部22は、側面視においてS字状に形成されている。第2フレーム部22は、下方から上方に向かって湾曲した形状である。第2フレーム部22の前端は第1フレーム部21の後端部から連続し、中間部で斜め後ろ上方に真っ直ぐ延び、後端部は第3フレーム部23と連続している。側面視において、第1フレーム部21に対する第2フレーム部22の中間部の傾斜角度は、例えば、45度程度である。第3フレーム部23は、上端部から直線状に延びており、わずかに後斜め上方に傾斜している。
【0025】
図1に示すように、電動二輪車は、車体フレーム2に取り付けられた車体カバー7を含んでいる。車体カバー7は、ヘッドパイプ8を覆う前カバー25と、レッグシールド18と、底カバー26と、後カバー27と、シート下カバー28と、を含んでいる。
【0026】
底カバー26は、前カバー25の下部から後方に延びて第1フレーム部21を覆っている。前輪3より後方で後輪4より前方に設けられた底カバー26の上端部には、足載せ部26aが形成されている。足載せ部26aは略平坦に形成されており、シート29に着座した乗員の足を下方から支える。
【0027】
レッグシールド18は、足載せ部26aと前輪3との間に設けられ、上下方向に延びる面を有する。このレッグシールド18は、前カバー25の後側に設けられ、前カバー25とともにダウンチューブ19を覆っている。レッグシールド18は、前カバー25の後側から足載せ部26aへ連続するように形成されている。
【0028】
図2に示すように、レッグシールド18は、車両の左右方向における中央にフレーム覆い部18aと、フレーム覆い部18aの左右に設けられた足保護部18bと、を有する。足保護部18bは、レッグシールド18の左右方向端部に設けられ、シート29に着座したユーザの足部を保護する。フレーム覆い部18aは、ヘッドパイプ8から後ろ斜め下方へ延びるダウンチューブ19を覆うように、足保護部18bよりも後方へ突き出すように形成されている。
【0029】
また、図1に示すように、後カバー27は、第2フレーム部22および第3フレーム部23を覆っている。後カバー27は、全体として、底カバー26の後部から後斜め上方に延びた形状に形成されている。後カバー27は、第2フレーム部22の中間部から第3フレーム部23を、左右両側方から覆っている。
【0030】
シート下カバー28は、シート29の下方で後カバー27の前方に、底カバー26の後部から立ち上がるように形成されている。
【0031】
シート下カバー28および後カバー27の上方には、シート29が配置されている。このシート29の前部は、後輪4よりも車両の前方に設けられている。電動二輪車の走行中、シート29に座った運転者の足は、足載せ部26aに載せられる。前後方向X1において、足載せ部26aは、レッグシールド18と、シート下カバー28との間に配置される。
【0032】
また、このシート29は、前部がヒンジを介してシート下カバー28に取り付けられている。これにより、シート29の下方に設けられた収容空間が開閉可能とされている。
【0033】
シート29の下方には、電動モータの電源としてのバッテリ6が配置されている。バッテリ6は、左右一対の第2フレーム部22の間に固定されている。バッテリ6は、充電可能な二次電池である。なお、バッテリ6は、車両に対して取り外し可能な構成としてもよい。
【0034】
また、第1フレーム部21の後方で、第3フレーム部23の下方には、パワーユニット5が設けられている。パワーユニット5は、懸架装置9を介して、第3フレーム部23に揺動可能に取り付けられている。このパワーユニット5の下部には、メインスタンド51が取り付けられている。メインスタンド51は、図1に示したように、前輪3と後輪4との間に配置されている。
【0035】
メインスタンド51は、車両の左右方向に突き出した支持部52を有している。このメインスタンド51は、その前部51aを支点として下方に回動可能に車両に支持されている。車両の走行中は、メインスタンド51は前部51aを支点として上方に回動されて、支持部52はパワーユニット5に沿うように上方位置に上げられている。一方、駐車時にはメインスタンド51は前部51aを支点として下方に回動されて、図1に示したように、後輪4を接地面A1から離間させ、電動二輪車を直立状態に支持する。
【0036】
(レセプタクル)
上述のように構成される電動二輪車は、バッテリ6と電気的に接続されるレセプタクル30を有している。このレセプタクル30には、充電プラグ40が接続可能である。レセプタクル30は、充電プラグ40の先端が挿入可能な接続口31を備えている。レセプタクル30は、レッグシールド18に設けられた開口部18dに接続口31が臨むように設けられている。レセプタクル30は、ダウンチューブ19に固定されている。
【0037】
また、このレセプタクル30には、接続口31を閉塞可能なキャップ32が設けられている。非充電時には、キャップ32が接続口31を覆うことにより、雨水や埃がレセプタクル30内部に侵入することを防止する。
【0038】
図2に示すように、レッグシールド18の左側の足保護部18bには、足保護部18bから後方に突出したレセプタクル収容部18cが設けられている。レセプタクル収容部18cの上面は上方に面した平坦面に形成されている。開口部18dはこのレセプタクル収容部18cに設けられている。
【0039】
(作用)
図3は、図1に示した電動二輪車の接地点およびレセプタクルを上方から示した模式図である。以下、図1および図3を用いてバッテリ6の充電開始時における充電プラグ40からの力の作用を説明する。本実施形態に係る電動二輪車は、メインスタンド51を下げた状態で充電プラグ40をレセプタクル30に嵌め込み、バッテリ6への充電を開始する。
【0040】
メインスタンド51を下方に回動させて支持部52を下げた状態では、図3に示したように、前輪3が設地状態にある。またこの状態で電動二輪車は、前輪3の接地点3aと、支持部52の左右一対の接地点52a,52aの二箇所で接地している。このとき、電動二輪車を上方から見ると、レセプタクル30は前輪3の接地点3aとレッグシールド18の間に配置されており、前輪3に近い位置に配置されている。
【0041】
また、図1に示したように、レセプタクル30の接続口31は上方に開口している。このため、バッテリ6を充電するために、充電プラグ40の先端をレセプタクル30の接続口41に嵌め込む時には、充電プラグ40はレセプタクル30に下方に向かう力を作用させる。
【0042】
レセプタクル30はダウンチューブ19に固定されているため、レセプタクル30に作用した力はダウンチューブ19を下方に押すように作用する。また、前輪3はフロントフォーク10を介してダウンチューブ19と一体のヘッドパイプ8に固定されている。このため、ダウンチューブ19に作用した外力は、前輪3を下方に押すように作用する。
【0043】
したがって、充電プラグ40をレセプタクル30に嵌め込む時には、レセプタクル30に作用する力が、車体フレーム2を介して、前輪3を下方へ押すように作用することになる。このため、前輪3が動かず、前輪3の接地状態が良好に保たれる。
【0044】
また、レセプタクル30が受ける力は、下方への力が支配的であり、前方方向の力が相対的に小さい。このため、車体を前方に動かそうとする力が小さく、メインスタンド51を上げる方向に車体に作用する力を小さくすることができる。このため、充電の開始時にメインスタンド51が上がりにくく、車両の姿勢が良好に保たれる。したがって、充電作業の開始時に車両にレセプタクル30から力が作用しても、車両の動きが抑制され、充電作業を始めやすい。
【0045】
なお、本実施形態ではレセプタクル30がレッグシールド18のうち、フレーム覆い部18aではなく、左側の足保護部18bに設けられている。つまり、レセプタクル30は、前後方向に延びる車両中心線B1に対して右方または左方にオフセットした位置に設けられている。
【0046】
レセプタクル30をフレーム覆い部18aに設けた場合には、図3において、前輪3の接地点3aからレセプタクル30が遠くに離間してしまうため、充電プラグ40をレセプタクル30に接続する際に、前輪3に下方へ押す力を伝えにくい。
【0047】
しかし、本実施形態では、足保護部18bにレセプタクル収容部18cを設けて、レセプタクル収容部18cにレセプタクル30を配置している。これにより、図3に示したように、レセプタクル30を前輪3に近づけて配置することができ、充電プラグ40をレセプタクル30に接続する際に、充電プラグ40を挿入するときの力を前輪3に伝えやすい。したがって、メインスタンド51に力が作用せず、車両が動かない。このため、充電作業をより始めやすい電動二輪車を提供することができる。
【0048】
なお、以上の説明では、メインスタンド51の支持部52を下ろした状態でバッテリ6へ充電する例を挙げて説明したが、サイドスタンド53の支持部54を下ろした状態で充電しても良い。図4は、サイドスタンド53の支持部54を下ろした状態を示す車両の側面図である。また、図5は、図4に示した電動二輪車の接地状態を示す模式図である。
【0049】
図4,5に示したように、サイドスタンド53を下ろした状態では、電動二輪車は、前輪3の接地点3bと、後輪4の接地点4aと、サイドスタンド53の接地点53aの3点で接地している。この状態で充電プラグ40をレセプタクル30に接続した場合でも、充電プラグ40からレセプタクル30に作用した力は、車体フレーム2を介して前輪3を下方へ押す力として伝えられる。このため、前輪3が動かず、前輪3の接地状態が良好に保たれる。
【0050】
また、レセプタクル30が受ける力は、下方への力が支配的であり、前方方向の力が相対的に小さい。このため、車体を前方に動かそうとする力が小さく、サイドスタンド53を上げる方向に車体に作用する力を小さくすることができる。このため、充電の開始時にサイドスタンド53が上がりにくく、車両の姿勢が良好に保たれる。したがって、充電作業の開始時に車両にレセプタクル30から力が作用しても、車両の動きが抑制され、充電作業を始めやすい。
【0051】
なお、上述の実施形態では、レセプタクル30の接続口31が上方に開口した例を挙げて説明したが、本発明はこの例に限られない。接続口31は左方または左上方向に開口するように設けても良い。
【0052】
例えば、接続口31を左方に開口するようにレセプタクル30を配置した場合でも、レセプタクル30は前輪3の近傍に配置されている。このため、車体フレーム2を介して前輪3に右方の力が作用し、前輪3が前後方向に動かず、前輪3の接地状態が良好に保たれる。
【0053】
また、レセプタクル30が受ける力は右方の力が支配的であり、前方方向の力が相対的に小さい。このため、車体を前方に動かそうとする力が小さく、メインスタンド51やサイドスタンド53を上げる方向に車体に作用する力を小さくすることができる。このため、充電の開始時にメインスタンド51やサイドスタンド53が上がりにくく、車両の姿勢が良好に保たれる。したがって、充電作業の開始時に車両にレセプタクル30から力が作用しても、車両の動きが抑制され、充電作業を始めやすい。
【0054】
接続口41を左上方向に開口させた場合も、同様に、前輪3が前後方向に動かず、前輪3の接地状態を良好に保たれる。また、車体を前方に動かそうとする力が小さく、充電の開始時にメインスタンド51やサイドスタンド53が上がりにくく、車両の姿勢が良好に保たれる。
【0055】
また、接続口31を左方に開口させた場合には、車両の左側に立って充電作業を開始しようとするユーザにとって、充電プラグ40をレセプタクル30に接続しやすくなる。
【0056】
また、上述の実施形態では、レセプタクル30をダウンチューブ19に直接的に固定した例を挙げて説明したが、レセプタクル30は間接的に車体フレーム2に支持されるように構成してもよい。
【0057】
例えば、レセプタクル30をレッグシールド18に固定しても良い。レッグシールド18は車体フレーム2に固定されているため、充電プラグ40をレセプタクル30に嵌め込む時には、レセプタクル30に作用した力はレッグシールド18を介して車体フレーム2に作用し、前輪3を下方に押す力として作用する。
【0058】
また、上述の実施形態では充電プラグとして、ガンタイププラグを例に挙げて説明したが、ガンタイププラグに代えて、直方体状の充電プラグを採用しても良い。
【0059】
また、上述の実施形態では、電動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明は、鞍乗型の車両であれば、電動三輪車等の電動二輪車以外に適用しても良い。
【0060】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0061】
本出願は、2011年12月22日出願の日本特許出願(特願2011-280753)および2012年12月4日出願の日本特許出願(特願2012-265124)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、レセプタクルに充電プラグを嵌め込む時に車両に力が作用しても車両の動きを抑制し、充電作業を行いやすい鞍乗型電動車両が提供される。
【符号の説明】
【0063】
2:車体フレーム、3:前輪、3a:前輪の接地点、4:後輪、18:レッグシールド、18d:開口部、26a:足載せ部、29:シート、30:レセプタクル、31:接続口、40:充電プラグ、51:メインスタンド、53:サイドスタンド、B1:車両中心線
図1
図2
図3
図4
図5