(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端認識部は、前記シート状部材に形成されたエッジラインであり、前記情報読取装置による読取り方向に略直交する方向に形成されている、請求項1または2に記載の柱状体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
[薬剤投与装置の外部構成]
はじめに、本実施の形態の薬剤投与装置の外部構成から説明する。
図1及び
図2において、1は薬剤投与装置を示している。この薬剤投与装置1は、手で握る略直方体形状の筐体2と、この筐体2の先端側に装着された先端キャップ3とを備えている。
【0010】
また、先端キャップ3の外周面には、長円形状の確認窓4が設けられている。さらに、筐体2の外周面には電源ボタン5、エア抜きボタン6、完了ボタン7、薬剤投与ボタン8、及び表示部9が設けられている。
なお、
図1においては、薬剤シリンジ10が薬剤投与装置1に装着された状態が示されている。この状態は、確認窓4から薬剤シリンジ10を目視することにより確認することが出来る。
【0011】
前記先端キャップ3は、筐体2の先端に着脱可能である。
図2に示すように、薬剤シリンジ10を筐体2内に設けられたインナーケース11内に装着する時並びにインナーケース11内から取り外す時や、薬剤シリンジ10に薬剤を注入する注射針12を装着する時並びに取り外す時に、この先端キャップ3は筐体2の先端から着脱される。
図1に示すように、先端キャップ3は、上述のように内部確認用の確認窓4を有しているため、薬剤シリンジ10の有無や種類、薬剤の残量等を視覚的に確認することができる。
【0012】
また、
図2に示すように、先端キャップ3は、薬剤投与用の注射針12の先端が、この先端キャップ3より露出しないようにカバーする役割を有している。
さらに、薬剤投与時においては、この先端キャップ3の先端面が皮膚に当接される。そして、薬剤投与用の注射針12が、先端キャップ3の前面に設けられている先端開口部13から、皮膚に向けて突出させられる。この状態で前記注射針12を皮膚に刺して、薬剤シリンジ10内にある薬剤が人体内に投与される。
【0013】
つまり、先端キャップ3は、注射針12などの先端が尖った鋭利な部材をカバーして、操作時における安全性を確保するために設けられている。
図1に示す確認窓4は、上述のように、先端キャップ3内に装着されている薬剤シリンジ10の有無や種類、薬剤の残量等を視覚的に確認する内部確認用の窓である。
図1に示す電源ボタン5は、筐体2の端部に設けられ、薬剤投与装置1の電源をON/OFFするためのものである。
【0014】
エア抜きボタン6は、薬剤シリンジ10内の空気抜きを行うときに使用するものである。つまり、薬剤シリンジ10の薬剤を投与する前に、薬剤シリンジ10内や投与するための注射針12(内部が空洞である中空針)内にエアが入っている場合がある。このような時には、エア抜きボタン6を操作することにより、注入駆動部の一例として用いる
図3に示すピストン駆動用モータ14を駆動し、ピストンユニット15によってエアが薬剤シリンジ10及び注射針12の外部に押し出される。
【0015】
再び、
図1及び
図2に戻って説明を続ける。完了ボタン7は、エア抜きボタン6によりエア抜き動作を行った後や、表示部9の表示内容の確認等が完了した後、制御処理を次のステップに進めるために操作するボタンである。
また、薬剤投与ボタン8は、薬剤を投与する準備が完了した後、薬剤投与時に押すボタンである。この薬剤投与ボタン8を押せば、上述のように、注射針12が皮膚に穿刺され、薬剤シリンジ10内の薬剤が人体内に注入投与される。
【0016】
さらに、表示部9は、薬剤の投与量、内部に搭載した充電式電池(
図4の16参照)の電池残量やエア抜き操作等の各種の必要な情報を表示するときに使用され、LCDまたは有機ELで構成されている。
[薬剤投与装置の内部構成]
次に、
図2及び
図3を用いて、本実施形態の薬剤投与装置1の内部構成について説明する。
【0017】
図2及び
図3に示すように、筐体2の内部には、薬剤シリンジ10の装着部であるインナーケース11が設けられ、上述のように、このインナーケース11内に薬剤シリンジ10が装着されるように構成されている。
インナーケース11は、筐体2内及び先端キャップ3内において前後方向(
図3において、左右方向)にスライド動作可能に構成されている。インナーケース11の内部後方には、ピストンユニット15が収納されており、薬剤シリンジ10内の薬剤を前方に押し出すことが可能である。
【0018】
薬剤シリンジ10は、インナーケース11に対して位置規制(装着時に着脱自在に固定)されている。
図5に示すように、この薬剤シリンジ10の後部(
図5において右方向)外周面に貼付された情報記録媒体17の情報シンボル18(後述する)は、
図3に示す情報読取装置19により読取られる。尚、この情報記録媒体17及び情報読取装置19については、詳しくは後述する。
次に、
図3に示す位置検出手段20は、反射型または透過型のフォトセンサ21、22を所定間隔で2箇所に配置することで構成されている。
【0019】
この内、フォトセンサ21はインナーケース11が刺針位置にある事を検出する。また、フォトセンサ22はインナーケース11が抜針位置にある事を検出する。
23は遮蔽板であり、前後方向にスライド動作した際、フォトセンサ21、22の光を遮蔽したり開放したりする事でインナーケース11の位置が検出される。遮蔽板23はピストン駆動用モータ14を収納したケース24と一体で形成されている。このケース24はインナーケース11とスライドモータ25と連係され、スライドモータ25を回転することにより、ケース24は前後方向にスライドする構成となっている。
【0020】
[薬剤投与装置の制御構成]
次に、本実施の形態の薬剤投与装置1の制御ブロックについて説明する。
図4は、電気的な制御ブロックを示しており、
図4に示すように前記電源ボタン5、エア抜きボタン6、完了ボタン7,薬剤投与ボタン8、表示部9、及び情報読取装置19は、制御部26に接続されている。また、ピストン駆動モータ14、スライドモータ25、位置検出手段20は、モータドライブ回路27を介して制御部26に接続されている。なお、ピストン駆動モータ14の駆動量はエンコーダ28を介して制御部26に伝達されるようになっている。また、充電式電池16の電池量も、制御部26に伝達されるようになっている。さらに、制御部26には、警報手段として、サウンダ29、バイブレータ30が接続されている。
【0021】
そして、制御部26には、情報読取装置19の制御を行う読取制御部261と、読取った情報に基づいて薬剤投与の制御を行う薬剤投与制御部262が設けられている。読取った情報から薬剤を投与することが不適切と判断した場合には、薬剤投与制御部262はサウンダ29、バイブレータ30から警報を発するとともに、薬剤投与ボタン8を制御し、薬剤投与動作を停止させる。
[薬剤投与装置の動作]
次に、本実施の形態の薬剤投与装置の動作について
図1〜
図4を参照して説明する。
【0022】
つまり、薬剤を投与する時には、まず、エア抜きボタン6を押すことで、スライドモータ25が駆動する。すると、ケース24が前方に押し出されることで、インナーケース11が薬剤シリンジ10とともに前方に移動する。これにより、注射針12が先端キャップ3の先端開口部13から突出させられる。そして、次の瞬間に、ピストン駆動モータ14によりピストンユニット15が前方に押し出される。これにより、薬剤シリンジ10内の薬剤の一部が注射針12の先端から噴出され、エア抜きが完了する。
【0023】
このエア抜きが完了すると、スライドモータ25が反転し、インナーケース11も後退する。これにより、注射針12は先端キャップ3内に収納される。ここで、エア抜きが完了したので、完了ボタン7を押し、次に、薬剤投与のための薬剤投与ボタン8が押される。すると、スライドモータ25が駆動され、ケース24が前方に押し出され、インナーケース11が薬剤シリンジ10とともに前方に移動する。これにより、注射針12が先端キャップ3の先端開口部13から突出させられ、注射針12が患者に穿刺される。
【0024】
そして、次の瞬間に、ピストン駆動モータ14によりピストンユニット15が前方に押し出される。これにより、薬剤シリンジ10内の薬剤の一部が注射針12の先端から所定量噴出され、薬剤の投与が完了する。
この薬剤の投与が完了すると、スライドモータ25が反転し、インナーケース11も後退する。これにより、注射針12は先端キャップ3内に収納されることになる。
以上の動作で薬剤の投与が完了したので、電源ボタン5を押すことで、電源をオフの状態とする。
【0025】
次の薬剤投与については、電源ボタン5を押すことで、電源をオンの状態とし、上述した動作が繰り返されることになる。
以下に、投与する薬剤の種類・量等を薬剤投与動作の前に確認するための情報記録媒体17、この情報記録媒体17が貼り付けられている薬剤シリンジ10、及びこの情報記録媒体17を読取る情報読取装置19等について説明する。
[薬剤シリンジ]
さて、
図5(a)に示すように、柱状体の一例である薬剤シリンジ10は、柱状本体の一例である薬剤シリンジ本体100と、薬剤シリンジ本体100の後部外周面に巻き付けるようにして貼り付けられた情報記録媒体17を備えている。ここで後部とは、薬剤投与装置1に装着した際に薬剤シリンジ10の注射針12が設けられている側を前部とし、ピストンユニット15が設けられている側を後部とする。
【0026】
[情報読取装置]
そして、本実施の形態においては、薬剤シリンジ10の情報記録媒体17の情報シンボル(
図6(a),(b)の18参照)が、
図3に示す情報読取装置19により読取られる。
具体的には、
図5(b)に示すように、情報読取装置19は、柱状本体の一例である薬剤シリンジ本体100の外周面に貼付された帯状の情報記録媒体17に光を照射する発光素子31と、前記情報記録媒体17からの反射光を受光する受光素子32と、この受光素子32に接続された前記制御部26(読取制御部261を含む)とを備えている。
【0027】
[情報記録媒体]
また、情報記録媒体17は、
図6(a)に示すように、帯状のシート状部材33と、このシート状部材33の表面33aに複数個表示された同一の前記情報シンボル18とを備え、前記帯状のシート状部材33の長手方向の一端側と他端側の少なくとも一方には、長手方向に対して直交する方向に形成されたエッジライン34が設けられた構成となっている。
【0028】
さらに、情報記録媒体17は、前記シート状部材33の長手方向の中心軸部分に、前記エッジライン34に略直交するセンターライン35が設けられるとともに、このセンターライン35の両側に前記情報シンボル18が複数個配置された構成となっている。
さらにまた、前記センターライン35の両側には、それぞれスタートマーク36が設けられている。前記センターライン35の両側において、それぞれのスタートマーク36から、
図6(a)に示すように、情報シンボル18が表示された構成となっている。本実施の形態では、スタートマーク36から右方向に情報シンボル18が表示されている。一例を挙げると、
図6(a)に示す情報シンボル18Xのスタートマーク36は、36Xで示されている。
【0029】
このような情報記録媒体17を構成する帯状のシート状部材33を、柱状の薬剤シリンジ本体100に貼付した場合、
図6(b)に示すように、この帯状のシート状部材33の一端側と他端側が重なることで、エッジライン34が一部の情報シンボル18上に重なった状態となる。
図6(a)、(b)に示す点線で囲まれた四角は、情報読取装置19の読取エリア37を示しており、この内に存在する情報シンボル18が情報読取装置19によって読み出される。
【0030】
ここで、薬剤シリンジ本体100への情報記録媒体17の貼り付けについて説明する。尚、
図6(a)に示すように、情報記録媒体17の右側の端が33R、左側の端が33Lと示されている。
図7(a)に示すように、シート状部材33の右端33R側が薬剤シリンジ本体100の表面に貼り付けられ、その後、
図7(b)に示すように左端33L側が表面33aに重なるように、シート状部材33が薬剤シリンジ本体100に巻き付けられて貼り付けられる。尚、
図7(a)のS部を拡大した
図7(c)に示すように、シート状部材33の裏面側には接着層33bが設けられており、薬剤シリンジ本体100の表面に貼り付けることが可能である。
【0031】
又、
図7(d)は、情報読取装置19の読取エリア37における薬剤シリンジ10の断面を示したもので、この
図7(d)に示すように、薬剤シリンジ10は、上述のように柱状体(円柱状態)となっているので、読取エリア37内も球面状態となっている。従って、この読取エリア37内に存在する複数の情報シンボル18であっても、できるだけ中心部分の情報シンボル18を読み出すことが、読取の安定性を発揮するために重要になる。すなわち、情報読取装置19が読取エリア37の中央に配置されており、複数の情報シンボル18のうち出来るだけより情報読取装置19の受光素子32に近い情報シンボル18を読み出すことで、出来るだけ平面に近い情報シンボルを選択することになるため読取の安定性を図ることが出来る。
【0032】
しかしながら、
図6(b)及び
図7(b)に示すように、たまたまエッジライン34が読取エリア37内に存在していた場合には、このエッジライン34を避けて、その近傍に存在する情報シンボル18を読み出すこととする。
つまり、読取エリア37内の中心部分に存在する情報シンボル18であったとしても、エッジライン34で覆われた状態となっていれば、情報シンボル18として不完全なものとなる。ので、そのためエッジライン34で覆われた情報シンボル18を避けて、近傍に存在するエッジライン34によって被覆されていない状態の情報シンボル18が読み出される。尚、エッジライン34によって被覆されるとは、情報シンボル18の少なくとも一部がエッジライン34によって覆われている状態を含み、更に情報シンボル18の少なくとも一部の上にエッジライン34が印刷または塗布などされている状態も含む。
【0033】
この情報シンボル18には薬剤名や使用期限などが記録されている。そのため、読み取った制御部26は、薬剤名や使用期限が適切であれば、上述した薬剤の投与を許可するが、薬剤名や使用期限が不適切であれば、警報手段として用いた、サウンダ29、バイブレータ30から警報を発するとともに、薬剤の投与動作を停止させてしまう。より詳細には、上述したように読取制御部261に情報シンボル18の薬剤名や使用期限などが読取られ、薬剤投与制御部262によって、サウンダ29、バイブレータ30から警報が発せられるとともに、薬剤の投与動作が停止させられる。
【0034】
[情報読取り方法]
このような情報読取装置の動作を、
図8のフロー図を用いてさらに具体的に説明する。
制御部26内の読取制御部261は、読取エリア37から受光素子32で読み取ったデータ内にセンターライン35が存在するか否かを検索する(
図8のS1)。次に、スタートマーク36が未検出の状態であるとの設定と、上段から読取りを開始するという設定が行われる(
図8のS2)。なお、スタートマーク36の検出作業は、上段も下段も読取エリア37の
図6における左端から右端までのエリアを400個に分割したものを左側から右側に向けて1エリアごとに順次検出するものである。そのため、結論として上段も下段も400回のスタートマーク36の検出作業が行われることとなる。尚、本明細書では、読取エリア37を400分割して得られる400個の分割エリアにおいて、左側からn番目の分割エリアはn/400として記載される。
【0035】
S2において上記設定が行われると、制御処理はS3に移行する。S3では分割エリアの繰上げが行われる。すなわち、分割エリアを1つの繰り上げることによって、情報読取装置によって読取られる分割エリアが右側に1つ分移動する。はじめは、n=0であるため、S3において繰り上げられn=1となり、読取りエリア37内において最も左側に位置する分割エリアの検出が行われる。
S4は、上段及び下段の検出をそれぞれ400回行うためのものである。まずは、S2で上段からの読取りを開始することが設定(S2において、FLAG1=0)されているので、上段側において、次に、制御処理がS5へと移行する。
【0036】
S5では、毎回、その検出部分にスタートマーク36が存在するか否かの検出が行われる。
図6(b)の状態では、左端の部分には、スタートマーク36が存在しないので、次に、制御処理がS6へと移行する。
S6では、その1/400の分割エリアにエッジライン34が存在するか否かの判定が行われる。
図6(b)の状態では、左端の部分にエッジライン34が存在しないので、制御処理はS7へと移行する。
【0037】
S7では、コード終了位置(コード終了位置とは、スタートマーク36から情報シンボル18が終了する位置、つまり、情報シンボル18の幅)の確認が行われる。ここで、コード終了位置の確認とは、情報シンボル18の終了位置が反射率の差によって検出されることであり、スタートマーク36からの距離(情報シンボル18の幅)を考慮した検出が行われるものではない。これは、例え、距離を考慮した演算を行おうとしても、シート状部材33が円柱形状の薬剤シリンジ本体100に貼り付けられているため、撮像素子で撮影すると、読取りエリア37のセンター37aから左右に離れるほど画像が圧縮されることになり、正確な距離を計測することが困難となるためである。
【0038】
図6(b)に示す読取エリア37の左端の状態では、情報シンボル18のコード終了位置が存在しないので、その時、制御処理はS3へと移行する。
次に、S3では、読取りが行われる分割エリアが、1番目(1/400)から2番目(2/400)に移動される。そして、S4では、400個の分割エリア全ての読み取りが終了したか否かが判定されるため、制御処理はS5へと移動する。
続いて、S6では、2回目の検出ということで2/400の分割エリアにエッジライン34が存在するか否かの判定が行われる。
図6(b)の状態では、この2/400の分割エリアにも、エッジライン34が存在しないので、制御処理はS7へと移行する。S7では、コード終了位置の確認が行われるが、この左端の状態では、情報シンボル18のコード終了位置が存在しないので、制御処理はS3へと移行する。
【0039】
このようにして、400回の検出が行われることになる。
そして、この400回の検出の途中(S3、S4、S5、S6、S7から再びS3へと戻る制御ループによって検出エリアが順次右側に移動する中)において、S5で、
図6(b)のスタートマーク36aが検出された場合には、制御処理はS5からS8へと移行される。S8では、スタートマーク36aが検出済とされ(FLAG0=1)、再び制御処理はS3へと移行する。
【0040】
次に、S3、S4、S5、S6、及びS7を経て再びS3へと戻るループを繰り返すことによって、検出される分割エリアが順次右側に移動する中で、S7においてコード終了位置が確認された場合、制御処理はS9へと移行する。S9では、スタートマーク36aが確認済(FLAG0=1)か否かの検出が行われる。ここで、スタートマーク36aが確認済みであると判定された場合、制御処理はS11へと移行し、有効な情報シンボル18であるとして、読取制御部261内のデータベースに登録される。しかしながら、
図6(b)の状態では、スタートマーク36aが検出された後、右方向に順次移動しながら分割エリアの読取りが行われる中で、S6において、エッジライン34の存在が確認される。そのため、S10においてフラグが0と設定され、スタートマーク36aは検出されなかった(FLAG0=0)とされ、制御処理はS3へと戻る。
【0041】
その後、右方向に移動しながら分割エリア内の読取りが行われていくと、上段におけるスタートマーク36bが再び検出される。すると、続いて右方向に移動しながら分割エリア内の読取りが行われる中で、制御処理はS5からS6、S7、S9へと移行し、S11で、上段の情報シンボル18が登録される。
このようにして、上段における400回の検出が完了すると、制御処理はS4からS12へと移行される。S12では、下段の検出中か否かの判定が行われる。上段の400回の検出が終わった時点では、下段の検出を行っていたものではないので、このS12では下段の検出中ではないという判定がされる。そのため、制御処理はS13へと移行し、下段の検出中にするためフラグ1が1(FLAG1=1)へと変換される。続いて、S10において、フラグ0が0(FLAG0=0)とされ、制御処理がS4からS11へと適宜移行することで下段の検出が行われる。
【0042】
この
図6(b)の状態では、読取エリア37の下段に存在する情報シンボル18のうち、左右の端部分に位置するものは、読取エリア37内に一部しか存在できていない。また、内方のものは、エッジライン34で覆われた状態となる。詳しく述べると、下段の左端に存在する情報シンボル18oは、その左部分が読み取りエリア37内に存在しないため、スタートマーク36が読取られない。下段の右端に存在する情報シンボル18pは、その右部分が欠けているため、スタートマーク36は読取られているがコード終了位置が確認されない。エッジライン34の右側に配置されている情報シンボル18qは、エッジライン34が上に重ねて印刷されており、端によって、その一部が途切れた状態でシート状部材33に印刷されているため、スタートマーク36が読取られない。又、エッジライン34の左側に配置されている情報シンボル18rは、シート状部材33のエッジライン34が存在する左端33L側の部分で、その一部が覆われているため、スタートマーク36が読取られた後エッジライン34が読取られる。以上のように下段の情報シンボル18o、18p、18q、18rがデータベースに登録されない。
【0043】
このため、下段には、S11において登録できる情報シンボル18は存在しない。
以上より、上段のエッジライン34よりも右側に配置されている情報シンボル18がデータベースに登録される(図中c参照)。尚、この登録される情報シンボル18を選択するS2〜S13が、第1情報シンボル選択工程の一例に対応する。
また、これとは異なり、下段においても情報シンボル18を登録することができた場合には、下段における400回の検出が終わった後に、S14において上段の情報シンボル18と下段の情報シンボル18のいずれが読取エリア37の中心に近いかということを判断基準として、情報シンボル18の選択が行われる。このS14における選択が、第2情報シンボル選択工程の一例に対応する。
【0044】
つまり、
図7(d)に示したように、読取エリア37において情報シンボル18は曲面となっているので、読取エリア37の中心(
図6(a)(b)に示すセンター37a参照)近いものほど、平面的に情報読取装置19で読取ることができるのである。そして、このようにして選択された上段あるいは下段の情報シンボル18のデータは、S15において誤り訂正の確認が行われる。そして、誤り訂正が不適切であれば、S16において次の候補を選択するために、制御処理はS14に戻る。つまり、S14において選択された情報シンボル18が、例えば汚れてしまっていた場合には、そこから適切なデータを読取ることができない。そのため、S14において、先ほど選択された情報シンボル18の次に読取エリア37の中心に近い情報シンボル18が選択され、そのデータが読取られることになる(S16)。尚、S14におけるデコード処理が、情報取得工程の一例に対応する。
【0045】
具体的には、それぞれの情報シンボル18のスタートマーク36のX座標がデータベースに登録される。このデータベースには、各情報シンボル18のスタートマーク36のX座標が示されており、このスタートマーク36のX座標から、各情報シンボル18の読取エリア37のセンター37aからの距離が演算される。具体的には、読取エリア37は400分割されているため、センター37aのX座標は200となる。そして、センター37aよりも右側に位置する情報シンボル18では、そのスタートマーク36の位置がセンターとの距離を示している。具体的には、
図6(a)におけるcで示されている情報シンボル18のスタートマーク36のX座標が、例えば240である場合、その情報シンボル18のセンター37aからの距離は240−200で求められ、40となる。
【0046】
一方、センターよりも左側に位置するコード領域では、スタートマーク36側でなく、コード領域の右側がセンターとの距離となる。例えば、情報シンボル18の幅は152に設定され、スタートマーク36のX座標が3である情報シンボル18が存在していたとすると、その情報シンボル18のセンター37aからの距離は、200−(3+152)で求められ、45となる。このため、センター37aからの距離が40の情報シンボル18がセンター37aに近い情報シンボル18として選択されることになる。
【0047】
また、S16において、次の候補が存在しない場合には、S18において異常ということで、動作は終了する。この時には、表示部9に薬剤シリンジ10の内容が確認できない旨の表示がなされる。また、当然のこととして、薬剤の投与は行うことができない。
さらに、データを読取ることができたとしても、薬剤の種類が異なる場合や使用期限が過ぎてしまった場合には、この時も、その状態を表示部9に表示するとともに、薬剤の投与が行えないように制御が行われる。すなわち、薬剤投与不可の指示が薬剤投与制御部262になされると、例えば薬剤投与ボタン8が押されてもスライドモータ25が動作しないように制御が行われる。
【0048】
[作用効果]
以上のように、帯状のシート状部材と、このシート状部材の表面に、複数個表示された同一の情報シンボルとを備え、前記シート状部材の一端側と他端側の少なくとも一方には、エッジラインを設けたものであるので、情報シンボルを適切に読取ることができる。
すなわち、シート状部材の一端側と他端側の少なくとも一方には、エッジラインを設けたものであるので、エッジラインで非被覆状態の情報シンボルを読取ることができるようになり、その結果として、情報シンボルを適切に読取ることができる。
【0049】
又、エッジライン34が存在しない場合、
図6(b)を用いて説明すると、情報シンボル18rのスタートマーク36が検出された後に、情報シンボル18qのコード終了位置が検出されることになるため、情報が欠けている情報シンボル18rと情報シンボル18qを合体した情報シンボルが、1つの情報シンボルとして有効であると判断され、デコードの対象となるおそれが生じる。
しかしながら、本実施の形態のようにエッジライン34を設け、エッジライン34を検出することによって、情報シンボル18rと情報シンボル18qは、データベースに登録に登録されないため、デコードの対象とならず、適切に情報を読取ることが可能となる。
【0050】
又、複数選択された場合には、より情報読取装置19の受光素子32に近い位置に存在する情報シンボルを選択して読取りを行うことで、より正確な情報の読取りを行うことが出来る。
また、誤りが発見された場合に再選択処理を行うことによって、薬剤シリンジ10の装着を再度行ったり、薬剤シリンジを回転させるなどといった動作をユーザーが行う必要がないため、ユーザーにかける負担を減少させることが出来る。
【0051】
(実施の形態2)
図9から
図16は、本発明の実施の形態2を示す図である。
この実施の形態2では、情報シンボル18が4つのコード領域(情報シンボルの領域の一例)に分割されている。以降の説明を理解しやすくするために、読取エリア37に存在する情報シンボル18はA(コード領域A1、A2、A3、A4)、B(コード領域B1、B2、B3、B4)、C(コード領域C1、C2、C3、C4)、D(コード領域D1、D2、D3、D4)、E(コード領域E1、E2、E3、E4)、F(コード領域F1、F2、F3、F4)、G(コード領域G1、G2、G3、G4)と表示する。すなわち、コード領域A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1は、同じ情報を示す領域であり、コード領域A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2は、同じ情報を示す領域であり、コード領域A3、B3、C3、D3、E3、F3、G3は、同じ情報を示す領域であり、コード領域A4、B4、C4、D4、E4、F4、G4は、同じ情報を示す領域である。
【0052】
この情報記録媒体17では、その帯状のシート状部材33を、柱状の薬剤シリンジ本体100に貼付した場合、
図9(b)に示すように、この帯状のシート状部材33の一端側と他端側が重なることで、エッジライン34が一部の情報シンボル18上に重なった状態となる。
また、各情報シンボル18が4分割されているので、上段には、コード領域A2、A3、A4、B1、C1、C2、C3、C4が存在し、また、下段には、コード領域D4、E1、E2、E3、F3、F4、G1、G2が存在している。なお、このように、情報シンボル18を4分割した場合には、スタートマーク36は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1は同じもの、また、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2は同じもの、さらに、A3、B3、C3、D3、E3、F3、G3は同じもの、さらにまた、A4、B4、C4、D4、E4、F4、G4は同じものとしている。もちろん、Aグループ、Bグループ、Cグループ、Dグループ、Eグループ、Fグループ、Gグループ内では、スタートマーク36は、
図9に示されるように、異なる(シート状部材33の長手方向の幅が異なる)ものとなっている。
【0053】
尚、この
図9においても、読取エリア37の中心(
図9(a)のセンター37a参照(
図9(b)では図が見難くなるためセンター37aを示していない))に近い情報シンボル18から情報を読取るようにしている。ただし、この実施の形態2においては、情報シンボル18が4分割されているので、1番目のコード領域(A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1)としては、B1が選択され、次に、2番目のコード領域(A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2)としては、E2が選択され、さらに、3番目のコード領域(A3、B3、C3、D3、E3、F3、G3)としては、E3が選択され、さらにまた、4番目のコード領域(A4、B4、C4、D4、E4、F4、G4)としては、A4が選択される。そして、それらを統合することで、情報シンボル18を読取ることが出来る。尚、選択されたコード領域が、情報領域として選択された情報シンボルの領域の一例に対応する。
【0054】
[情報読取り動作]
次に、この読取動作について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、読取制御部261(
図4参照)は、読取エリア37から受光素子32で読み取ったデータ内に、
図9のセンターライン35が存在するか否かの検索を行う(
図10のS101)。次に、データベース作成処理(
図10のS102)が行われる。前記データベース作成処理は、具体的には、
図11に示すフローが実行される。この
図11に示すように、データベース作成処理では、開始後にスタートマーク36が未検出の状態であるとの設定と、上段から読取りを開始するという設定が行われる(
図11のS201)。
【0055】
なお、スタートマーク36の検出作業は、上段も下段も、読取エリア37の
図9における左端から右端までのエリアを400個に分割した分割エリアを、左側から右側に向けて1エリアごとに順次検出するものである。そのため、結論として、上段も下段も400回のスタートマーク36の検出作業が行われることとなる。
S201において上記設定が行われると、制御処理がS202に移行する。S202では分割エリアの繰上げが行われる。すなわち、分割エリアを1つ繰り上げることによって、情報読取装置19によって読取られる分割エリアが1つ分右側に移動する。
【0056】
S203は、上段及び下段の検出をそれぞれ400回行うためのステップである。まずは、S201で、上段からの読取りを開始することが設定(S201において、FLAG1=0)されているので、上段側において、次に、制御処理はS204へと移行する。
S204では、毎回、その検出部分に、Aグループ、Bグループ、Cグループ、Dグループ、Eグループ、Fグループ、Gグループのいずれかのスタートマーク36が存在するか否かの検出が行われる。
図9(b)の状態では、左端の部分には、Aグループ、Bグループ、Cグループ、Dグループ、Eグループ、Fグループ、及びGグループのいずれのスタートマーク36も存在しないので、次に、制御処理はS205へと移行する。
【0057】
S205では、その1/400の分割エリアにエッジライン34が存在するか否かの判定が行われる。
図9(b)の状態では、左端の部分に、エッジライン34が存在しないので、制御処理はS206へと移行する。
S206では、コード終了位置(コード終了位置とは、情報シンボル18が終了する位置、つまり、情報シンボル18の幅)の確認が行われる。ここで、コード終了位置の確認とは、情報シンボル18の終了位置が反射率の差によって検出されることであり、スタートマーク36からの距離(情報シンボル18の幅)を考慮した検出が行われるものではない。
【0058】
図9(b)に示す読取エリア37の左端の状態では、4分割されたAグループ、Bグループ、Cグループ、Dグループ、Eグループ、Fグループ、Gグループのいずれかに対応するコード終了位置が存在しないので、その時は、制御処理はS202へと移行する。
次に、S202では、読取りが行われる分割エリアが、1番目(1/400)から2番目(2/400)に移動される。そして、S203では、400の分割エリア全ての読み取りが終了したか否かが判定されるが、未だ全ての分割エリアの読取りが終了していないため、制御処理はS204へと移動する。
【0059】
続いて、S205では、2回目の検出ということで2/400の分割エリアにエッジライン34が存在するか否かの判定が行われる。
図9(b)の状態では、この2/400の分割エリアにも、エッジライン34が存在しないので、制御処理はS206へと移行する。S206では、コード終了位置の確認が行われるが、この左端の状態では、コード終了位置が存在しないので、制御処理はS202へと移行する。
このようにして、400回の検出が行われることになる。
【0060】
そして、この400回の検出の途中(S202、S203、S204、S205、及びS206から再びS202へと戻る制御ループによって検出される分割エリアが右側に順次移動する中)において、S204でスタートマーク36が検出されると、制御処理はS214へと進む。S214では、検出されたスタートマーク36が1番目のコード領域のスタートマーク36cであるか否かの判定が行われる。そして、1番目のコード領域のスタートマーク36cである場合には、制御処理はS207へと移行され、スタートマーク36が検出済み(FLAG0=1)に設定される。そして、制御処理は再びS202へと移行される。一方、S214において、検出されたスタートマーク36が1番目のコード領域のスタートマーク36cでないと判定された場合には、制御処理はS215へと移行し、スタートマーク検出済みのフラグ(FLAG0=1)が設定されているか否かの判定が行われる。スタートマーク検出済みのフラグ(FLAG0=1)が設定されていない場合には、制御処理はS207へと移行し、スタートマーク検出済みのフラグ(FLAG0=1)が設定される。一方、S215においてスタートマーク検出済みフラグ(FLAG0=1)が設定されていると判定された場合、今回検出されたスタートマークの左側に位置するコード領域が有効なものであるとして読取制御部261内のデータベースに登録される。
【0061】
図9(b)に示す状態では、S204において
図9(b)に示す4分割された情報シンボル18Aの2番目のコード領域A2のスタートマーク36dが検出される。すると、制御処理はS204からS214へと移行される。検出されたスタートマークが1番目のコード領域のスタートマーク36cではないため、制御処理はS207へと移行され、スタートマーク36が検出済み(FLAG0=1)に設定される。そして、2番目のコード領域A2のスタートマーク36dが検出された後、S202、S203、S204、S205及びS206を経て再びS202へと戻るループの繰り返しの中でS204において3番目のコード領域A3のスタートマーク36eが検出される。そして、検出されたスタートマーク36eは3番目のコード領域のスタートマークであるため、S214からS215へと制御処理が移行する。ここで、2番目のコード領域A2のスタートマーク36dを検出した際に、スタートマークが検出済み(FLAG0=1)に設定されているため、制御処理がS216へと移行し、2番目のコード領域A2が有効なものであるとして読取制御部261内のデータベースに登録される。続いて、S202、S203、S204、S205及びS206を経て再びS202へと戻るループが繰り返され、このループの繰り返しの中で、S204においてスタートマーク36fが確認され、上記と同様のステップで3番目のコード領域A3が有効なものであるとして読取制御部261内のデータベースに登録される。
【0062】
次に、S202、S203、S204、S205及びS206を経て再びS202へと戻るループが繰り返される。このループの繰り返しの中で、S206においてコード終了位置(情報シンボル18の終了位置)が確認された場合、制御処理はS208へと移行する。
図9(b)に示す状態では、情報シンボルAの終了位置(コード領域A4の終了位置ともいえる)が確認される。
そして、S208では、スタートマーク36が確認済(FLAG0=1)か否かの検出が行われる。ここで、スタートマーク36が検出済みであると判定された場合、制御処理はS210へと移行し、有効なコード領域であるとして読取制御部261内のデータベースに登録される。
図9(b)に示す状態では、スタートマーク36fの検出時にS207においてスタートマーク検出済み(FLAG0=1)に設定されているため、コード領域A4が有効なコード領域であるとしてデータベースに登録される。
【0063】
その後、制御処理はS209へと移行し、スタートマーク36未検出の状態(FLAG0=0)の設定が行われる。
このように本実施の形態2では、1〜3番目のコード領域については、次に読取られるコード領域(2〜4番目のコード領域)のスタートマークを用いてコード領域の終了が検出される。また、4番目のコード領域については、実施の形態1と同様に情報シンボル18(A、B、C、D、E、F、G)の終了位置を用いてコード領域の終了が検出される。
【0064】
次に、
図9(b)に示す状態では、S202、S203、S204、S205及びS206を経て再びS202へと戻るループの繰り返しの中で、S204においてコード領域B1のスタートマーク36cが検出され、制御処理はS214へと移行する。検出されたスタートマークは1番目のコード領域のスタートマーク36cであるため、制御処理はS207へと移行し、スタートマーク検出済みのフラグ(FLAG0=1)が設定される。続いて、上記ループの繰り返しの中でS204においてコード領域B2のスタートマーク36dが検出されると、制御処理はS214、S215、S216へと移行し、コード領域B1が有効としてデータベースに登録される。
【0065】
以上のように上段の400回の検出を繰り返すことによって、具体的には、コード領域A2、A3、A4、B1、C1、C2、C3、C4が上段の4分割された情報シンボル18として登録される。尚、
図9(b)の状態では、コード領域A2、A3、A4、及びB1の検出後に、コード領域B2のスタートマーク36dが検出されるが、続く分割エリアの検出でS205においてエッジライン34の存在が確認される。そのため、S209においてスタートマーク36dは検出されなかった(FLAG0=0)とされ、制御処理はS202へと戻る。
【0066】
このようにして、上段における400回の検出が完了すると、制御処理はS203からS211へと移行される。S211では、下段の検出中か否かの判定が行われる。上段の400回の検出が終わった時点では、下段の検出を行っていたものではないので、S211では下段の検出中ではないという判定が行われる。そのため、制御処理はS212へと移行し、下段の検出中にするため、フラグ1が1(FLAG1=1)へと変換される。続いて、S209でフラグ0が0(FLAG0=0)とされ、制御処理がS202からS210へ、S202からS216へと適宜移行することで下段の検出が行われる。
【0067】
この
図9(b)の状態では、読取エリア37の下段に存在する情報シンボル18のうち、左右の端に位置するコード領域D3、及びG3は、一部しか存在できておらず、また、内方のE4及びF2は、エッジライン34で覆われた状態となるので、下段からは、S210において、4分割された情報シンボル18のうちD3、G3、F2、及びE4は登録することができない。詳しく述べると、コード領域D3は、その左部分が読み取りエリア37内に存在しないためスタートマーク36eが読取られない。コード領域G3は、その右部分が欠けているため、スタートマーク36eは読取られるが、次のスタートマーク36fが読取られない。エッジライン34の右側に配置されているコード領域F2は、エッジライン34が重ねて印刷されており、その一部が端によって途切れた状態でシート状部材33に印刷されているため、スタートマーク36dが読取られない。又、エッジライン34の左側に配置されているコード領域E4は、シート状部材33のエッジライン34が存在する左端33L側の部分で、その一部が覆われているため、エッジライン34が読取られる。従って、コード領域D3、G3、F2、及びE4は、データベースに登録されない。
【0068】
しかし、下段において、コード領域D4、E1、E2、E3、F3、F4、G1、及びG2は、情報シンボル18として登録することができる。尚、以上のように、登録されるコード領域を選択するS205〜S210及びS214〜S216が、第1情報領域選択工程の一例に対応する。
次に、
図11のS213において、登録された前記上段のコード領域A2、A3、A4、B1、C1、C2、C3、C4と、下段のコード領域D4、E1、E2、E3、F3、F4、G1、G2から、4つのコード領域毎に最も読取領域37のセンター37aに近いものが選択される。
【0069】
具体的には、
図9に示す状況下においては、1番目のコード領域(A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1)としては、コード領域B1、C1、E1、G1が登録されているので、その内から最も読取エリア37のセンター37aに近いコード領域B1が選択される。
次に、2番目のコード領域(A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2)としては、コード領域A2、C2、E2、G2)が登録されているので、その内から最も読取エリア37のセンター37aに近いコード領域E2が選択される。
【0070】
さらに、3番目のコード領域(A3、B3、C3、D3、E3、F3、G3)としては、コード領域A3、C3、E3、F3が登録されているので、その内から最も読取エリア37のセンター37aに近いコード領域E3が選択される。
さらにまた、4番目のコード領域(A4、B4、C4、D4、E4、F4、G4)としては、コード領域A4、C4、D4、F4が登録されているので、その内から最も読取エリア37のセンター37aに近いコード領域A4が選択される。
【0071】
つまり、登録された1番目のコード領域B1、C1、E1、G1は、
図13(a)のデータベース38に示すようにデータベース化されているので、この内から読取エリア37におけるセンター37aのX座標(200)に近いものとして、コード領域B1が選択される。
ここで、
図13(a)のデータベース38には、各コード領域のスタートマークのX座標が示されており、このスタートマークのX座標から、各コード領域の、読取エリア37のセンター37aからの距離が演算される。具体的には、読取エリア37は400分割されているため、センターのX座標は200となる。そして、センター37aよりも右側に位置するコード領域では、そのスタートマークの位置がセンター37aとの距離を示している。具体的には、
図13(a)では、コード領域C1がセンター37aよりも右側に位置し、そのセンター37aからの距離は、238−200で求められ、38となる。又、コード領域G1もセンター37aよりも右側に位置し、そのセンター37aからの距離は、314−200で求められ、114となる。
【0072】
一方、センター37aよりも左側に位置するコード領域では、スタートマーク側でなく、コード領域の右側がセンターとの距離となる。本実施の形態では、情報シンボル18が4分割された各コード領域の幅は38に設定されている。具体的には、
図13(a)では、コード領域B1がセンター37aよりも左側に位置し、そのセンター37aからの距離は、200−(162+38)で求められ、0となる。又、コード領域E1もセンター37aより左側に位置し、そのセンター37aからの距離は、200−(76+38)で求められ、86となる。
【0073】
すなわち、
図13(b)に示すように、
図13(a)に示す例では、コード領域B1、C1、E1、G1の順にセンターからの距離が近いことが分かる。尚、後述する
図14、
図15、
図16においても同様に登録されているコード領域のセンター37aからの距離が演算され、センター37aからの距離が近い順番が判断される。
また、登録された2番目のコード領域A2、C2、E2、G2は、
図14のデータベース39に示すようにデータベース化されているので、この内から読取エリア37におけるセンター37aのX座標(200)に近いものとして、コード領域E2が選択される。
【0074】
さらに、登録された3番目のコード領域A3、C3、E3、F3は、
図15のデータベース40に示すようにデータベース化されているので、この内から読取エリア37におけるセンターの37aX座標(200)に近いものとして、コード領域E3が選択される。
さらにまた、登録された4番目のコード領域A4、C4、D4、F4は、
図16のデータベース41に示すようにデータベース化されているので、この内から読取エリア37におけるセンター37aのX座標(200)に近いものとして、コード領域A4が選択される。
【0075】
S213において選択されたコード領域B1、E2、E3、A4が、S103において1〜4番目のコード領域として設定される。このようにデータベースに登録されたコード領域から、1〜4番目のコード領域として設定されるコード領域を選択するS213のステップが、本発明の第2情報領域選択工程の一例に対応する。
次に、
図10のS104において、選択されたB1、E2、E3、A4のデコード処理が行われる。その後、
図10のS105において、誤り訂正が行われ、誤りがなければ正常終了(
図10のS106)される。このS104におけるステップが、情報取得工程の一例に対応する。
【0076】
しかし、
図10のS105において誤りが発生したときには、
図10のS107を経て、一度だけ
図10のS108、S109、S110、及びS111のステップが行われ、上述のように選択されたB1、E2、E3、及びA4の再選択処理が行われる。尚、S107では再選択処理を行った場合に行われるエリアフラグの設定が行われているか否かの検出が行われる。
[再選択処理]
例えば、
図10のS108においては、
図12に示すように選択したコード領域B1が判定対象とされ、
図13において読取エリア37におけるセンターのX座標(200)に近いコード領域C1と比較される(
図12のS301)。そして、B1とC1の情報が一致すれば、左側から1番目のコード領域1はB1で正しいとされる(
図12のS307)。そして、
図12のS308でコード領域1の確認が完了する。
【0077】
次に2番目のコード領域2が
図10のS109で確認され、次に、3番目のコード領域3が
図10のS110で確認され、次に、4番目のコード領域4が
図10のS111で確認される。そして、このようなコード領域1〜4の確認が終了すると、
図10のS112でエリアフラグが1(AREA_FLG1=1)に変換される。
続いて、制御処理は
図10のS104へと戻り、再び、
図10のS104、及びS105で誤り訂正が行われる。その結果、誤りがあれば、制御処理は
図10のS107へと進むが、このときは2回目であるので、
図10のS113へと移行し、異常終了ということになる。
【0078】
さて、
図12のS301でB1=C1でなかった場合には、
図12のS302において、C1の次にセンター37aに近いE1がB1と比較される。そして、B1=E1であれば、上述した
図12のS307からS308へと制御処理が移行する。
しかし、
図12のS302においてB1=E1でない場合には、
図12のS303において、E1の次にセンター37aに近いG1がB1と比較される。そして、B1=G1であれば、上述した
図12のS307からS308へと制御処理が移行する。
【0079】
しかし、
図12のS303においてB1=G1でない場合には、
図12のS304において、判定対象をB1からC1に変更する作業が実行される。具体的には、
図12のS304において、C1と、その次にセンター37aに近いE1との比較が行われる。そして、C1=E1であれば、
図12のS310においてコード領域1をC1とし、上述した
図12のS308へと制御処理が移行する。
また、
図12のS304において、C1=E1でない場合には、
図12のS305において、C1と、E1の次にセンター37aに近いG1が比較される。そして、C1=G1であれば、
図12のS310においてコード領域1をC1とし、上述した
図12のS308へと制御処理が移行する。
【0080】
しかし、
図12のS305においてC1=G1でない場合には、
図12のS306において判定対象をC1からE1に変更する作業が実行される。具体的には、
図12のS306において、E1と、その次にセンター37aに近いG1が比較され、E1=G1であれば、
図12のS311において、コード領域1をE1とし、上述した
図12のS308へと制御が移行する。
また、S306において、E1=G1でなければ、S308において、再選択処理の終了が行われる。
【0081】
このようなデータ領域1の選択処理と同様の処理が、
図10のS109においてコード領域2の選択として実行され、さらに、
図10のS110において、コード領域3の選択として実行され、さらにまた、
図10のS111において、コード領域4の選択として実行される。
[作用効果]
以上のように、本実施の形態では情報シンボルを分割することにより、より情報読取装置の受光素子に近い位置(読取りセンターに近く)に存在するコード領域を選択して情報の読取りことが出来るため、より正確に情報を読取ることが可能となる。すなわち、実施の形態1において選択された情報シンボル18は
図6(b)においてcで示されたものであるが、cの右端近傍の領域は湾曲が大きい。対して、本実施の形態2では情報シンボル18の右端近傍の領域(コード領域4)は、コード領域A4を用いて読取られるため、より平面に近い状態で情報を読取ることが可能となる。
【0082】
又、エッジライン34が存在しない場合、
図9(b)を用いて説明すると、コード領域E4のスタートマーク36fが検出された後に、コード領域F2のコード終了位置が検出されることになるため、情報が欠けているコード領域E4とコード領域F2を合体したコード領域が、4番目のコード領域として有効であると判断され、デコードの対象となるおそれが生じる。
しかしながら、本実施の形態のようにエッジライン34を設け、エッジライン34を検出することによって、コード領域E4とコード領域F2は、データベースに登録に登録されないため、デコードの対象とならず、適切に情報を読取ることが可能となる。
【0083】
また、誤りが発見された場合に再選択処理を行うことによって、薬剤シリンジ10の装着を再度行ったり、薬剤シリンジを回転させるなどといった動作をユーザーが行う必要がないため、ユーザーにかける負担を減少させることが出来る。
また、誤りが発見された際の再選択処理においても、よりセンターに近い位置のコード領域を選択することによって、より正確な読取りを行うことが出来る。
(実施の形態3)
図17及び
図18は、本発明の実施の形態3を示すものである。この実施の形態3では、情報シンボル18を16のコード領域に分割したものである。以降の説明を理解しやすくするために、読取エリア37に存在する情報シンボル18はA(A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16)、B(B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、B15、B16)、C(C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16)、D(D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8、D9、D10、D11、D12、D13、D14、D15、D16)、E(E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8、E9、E10、E11、E12、E13、E14、E15、E16)、F(F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10、F11、F12、F13、F14、F15、F16)、G(G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9、G10、G11、G12、G13、G14、G15、G16)と表示する。
【0084】
つまり、この実施形態3においては、
図17に示すように、情報シンボル18を縦横に16分割し、この16分割されたエリアに上記16分割されたA〜Gの情報シンボル18(A1〜A16、B1〜B16、C1〜C16、D1〜D16、E1〜E16、F1〜F16、G1〜G16)が、適宜分散配置された状態となっている。このため、情報シンボル18の情報を読取るためには、A〜Gの情報シンボル18のいずれの組み合わせでもよいが、
図17(b)に示すように、16分割されたコード領域(1〜16)を選択する必要がある。
【0085】
さて、このようになった情報記録媒体17は、
図17に示すように、上記実施の形態1、2と同じように、そのシート状部材33は帯状となっている。そして、このように帯状となったシート状部材33を薬剤シリンジ10に貼付した場合、
図17(b)に示すように、この帯状のシート状部材33の一端側と他端側が重なることで、エッジライン34が一部の情報シンボル18上に重なった状態となる。
また、各情報シンボル18が16分割されているので、上段には、A2、A3、A4、B1、C1、C2、C3、C4、A6、A7、A8、B5、C5、C6、C7、C8、A10、A11、A12、B9、C9、C10、C11、C12、A14、A15、A16、B13、C13、C14、C15、C16が存在している。
【0086】
また、下段には、D4、E1、E2、E3、F3、F4、G1、G2、D8、E5、E6、E7、F7、F8、G5、G6、D12、E9、E10、E11、F11、F12、G9、G10、D16、E13、E14、E15、F15、F16、G13、G14が存在している。
なお、このように、情報シンボル18を16分割した場合には、スタートマーク36(36b、36c、36d、36e、36f)は、上下のエリアにおいて、シート状部材33の長手方向の区分を示すだけのものとなっている。
【0087】
この
図17においても、読取エリア37の中心に近い情報シンボル18から情報を読取るようにしている。ただし、この実施形態3においては、情報シンボル18が16分割されているので、1番目のコード領域(A1〜G1)としては、B1が選択され、次に、2番目のコード領域(A2〜G2)としては、E2が選択される。
さらに、3番目のコード領域(A3〜G3)としては、E3が選択され、また、4番目のコード領域(A4〜G4)としては、A4が選択される。
【0088】
5番目のコード領域(A5〜G5)としては、B5が選択され、6番目のコード領域(A6〜G6)としては、E6が選択される。
7番目のコード領域(A7〜G7)としては、E7が選択され、8番目のコード領域(A8〜G8)としては、A8が選択される。
9番目のコード領域(A9〜G9)としては、B9が選択され、10番目のコード領域(A10〜G10)としては、E10が選択される。
【0089】
11番目のコード領域(A11〜G11)としては、E11が選択され、12番目のコード領域(A12〜G12)としては、A12が選択される。
13番目のコード領域(A13〜G13)としては、B13が選択され、14番目のコード領域(A14〜G14)としては、E14が選択される。
15番目のコード領域(A15〜G15)としては、E15が選択され、16番目のコード領域(A16〜G16)としては、A16が選択される。
【0090】
そして、それらを統合することで、情報シンボル18(16分割された1〜16)を読取ることとしている。
なお、この読取動作の詳細については、実施の形態2とほぼ同様な構成で行われるので、適宜省略して説明する。
図18は、本発明にかかる実施の形態3における情報読取装置の動作のフローチャートである。
図18に示すように、S401(S101と同様)のステップが実行され、S402においてデータベース作成処理が行われる。ここで、16分割されたコード領域1〜16に対応させるコード領域の選択が行われる。
【0091】
実施の形態2と対応させて説明すると、実施の形態2でははじめにコード領域A2が有効なデータとしてデータベース登録されるが、実施の形態3ではコード領域A2、A6、A10、A14がまとめてデータベース登録される。次に、同様にコード領域A3、A7、A11、A15がまとめてデータベース登録される。次に、コード領域A4、A8、A12、A16がまとめてデータベース登録される。次に、コード領域B1、B5、B9、B13がまとめてデータベース登録される。順次、コード領域C1、C5、C9、C13がまとめてデータベース登録され、コード領域C2、C6、C10、C14がまとめてデータベース登録され、コード領域C3、C7、C11、C15がまとめてデータベース登録され、コード領域C4、C8、C12、C16がまとめてデータベース登録される。
【0092】
続いて、下段において、コード領域D4、D8、D12、D16がまとめてデータベース登録され、コード領域E1、E5、E9、E13がまとめてデータベース登録され、コード領域E2、E6、E10、E14がまとめてデータベース登録され、コード領域E3、E7、E11、E15がまとめてデータベース登録される。そして、エッジライン34を跨いで、コード領域F3、F7、F11、F15がまとめてデータベース登録され、コード領域F4、F8、F12、F16がまとめてデータベース登録される。更に続いて、コード領域G1、G5、G9、G13がまとめてデータベース登録され、コード領域G2、G6、G10、G14がまとめてデータベース登録される。
【0093】
そして、データベース登録されたコード領域から、コード領域1〜16に設定されるコード領域が選択される。この選択は、まとめてデータベース登録される4つのコード領域単位で行われても良いし、16分割されたコード領域毎に行っても良く、どちらの方法で選択を行っても同様の結果となる。この選択は、読み取りセンターに近い座標が選択されるため、読取り方向と垂直な方向の座標は選択結果に影響を与えないためである。尚、読み取りセンターに近い座標という選択条件に加えて、センターライン35に近い座標のコード領域が選択されるという条件を付加しても良い。この場合は、16分割されたコード領域毎に選択を行う必要がある。
【0094】
このようにして選択されたコード領域が、S403においてコード領域1〜16として設定される。
次に、S404において二次元デコード処理が行われ、S405において誤り訂正が行われ、誤りがなければS406において正常終了される。尚、センターライン36と垂直な方向における各コード領域の座標は予め設定されており、その設定に従って各コード領域がデコードされる。
【0095】
一方、S405において誤りが発生したときは、S407において既に再選択処理が1回行われているか否かの判定が行われる。具体的には、再選択処理を行った場合に行われるエリアフラグの設定が行われているか否かの検出が行われる。
続いて、S408〜S424において、コード領域1〜16の再選択処理が行われる。このコード領域の再選択処理は、16個に分割されたコード領域一つずつに対して行われる。この再選択処理は、実施の形態2と同様であるため省略する。
【0096】
本実施の形態3では、センターライン35(読取り方向)と垂直方向にも情報シンボル18を分割することにより、例えば、情報シンボル18の一部が汚れ読取り難い場合でも、再選択処理によって、その一部分のみを他のコード領域に変更することが出来るため、読取り性能を向上させることが出来る。
すなわち、本実施の形態3では、実施の形態2よりも更に細かく分割されているため、再選択処理時に、より小さい領域で再選択を行うことが出来るので、ゴミや汚れの影響が小さくなる。
【0097】
なお、上記(実施の形態1から3)においては、帯状のシート状部材33の長手方向の一端側と他端側の少なくとも一方には、長手方向に対して直交する方向のエッジライン34を設けた。このエッジライン34は端認識部の一例に対応するが、帯状のシート状部材33の長手方向の一端側と他端側の少なくとも一方の端部が、発光素子31と受光素子32による読取時に、例えば、影を感じて擬似的にエッジライン34を検出できるときには、このエッジライン34を特別に設ける必要もない。また、ライン状に形成されていなくてもよく、例えば、丸、四角、半円等のマークが設けられていてもよい。
図19には、半円のマーク50がシート状部材33の左端33Lに形成されている情報記録媒体17が示されている。いずれにせよ、端認識部は、帯状のシート状部材33の長手方向の一端側と他端側の少なくとも一方の端部を検出できるようにすることが重要であり、一端側と他端側の少なくとも一方の端部を検出できさえすればよい。この端部を検出できることが端認識部の一例であるエッジライン34の特徴である。
【0098】
また、上記実施の形態1〜3で説明したシート状部材33の長手方向が、読み取り装置の読取り方向の一例に対応するが、シート状部材33の形状が帯状ではなく、例えば縦長形状の場合には、短手方向であってもよい。要するに、シート状部材の一端側と他端側の少なくとも一方に、情報読取装置にシート状部材の端を認識させるための端認識部が設けられておりさえすればよい。
また、上記(実施の形態1から3)においては、センターライン35の両側に前記情報シンボル18を複数個配置したが、帯状のシート状部材33の長手方向に複数の情報シンボル18を複数個配置してもよい。この場合、センターライン35は、長手方向に並んだ複数の情報シンボル18の上辺側もしくは下辺側に設けられることとなる。
【0099】
さらに、上記(実施の形態1から3)においては、柱状体となった薬剤シリンジ10の外周面に、帯状の情報記録媒体17を貼付したが、薬剤シリンジ10の外周面にカバーを一体に被せたものであった場合には、このカバーの外周面に、帯状の情報記録媒体17を貼付してもよい。
また、上記実施の形態1〜3では、情報記録媒体を貼り付ける対象である柱状本体として薬剤シリンジ本体100を例に挙げて説明したが、薬剤シリンジに限らなくてもよい。例えば、血液試料、化学試料、サンプルなどを入れるための試験管等に、上述した情報記録媒体が貼り付けられても良い。さらに、柱状本体として内容物を入れる容器に限らず、製品自体であってもよい。すなわち、製品の識別番号、ロット番号等の情報が記録されている情報記録媒体が製品自体に巻きつけられていてもよい。また、柱状本外としては筒状に限られず、四角柱、六角柱等であってもよい。
【0100】
又、上記実施の形態1〜3では、情報記録媒体17を薬剤シリンジ本体100に貼り付けたとき、一端側と他端側が重なると説明しているが、情報記録媒体の読取り方向の長さによっては、一端側又は他端側とシート状部材33の中央側が重なる場合もありえる。要するに、シート状部材33の一端(例えば左端33L)又は他端(例えば、右端33R)が表面33a上に重なるように薬剤シリンジ本体100に巻き付けられていればよい。
又、上記実施の形態1では、第1情報シンボル選択工程において選択された情報シンボルが複数あった場合、第2情報シンボル選択工程において読取エリア37のセンター37aに近い情報シンボルが選択されているが、第1情報シンボル選択工程において選択された情報シンボルが1つの場合には、第2情報シンボル選択工程が行われなくてもよい。又、第1情報シンボル選択工程において、1つの情報シンボルが選択されると、例え、登録可能な情報シンボルが存在していたとしても第1情報シンボル選択工程を終了し、その選択された情報シンボルのデコード処理が行われてもよい。
【0101】
要するに、シート状部材33の端と重なっている又はシート状部材33の端で途切れている情報シンボル18を選択せず、シート状部材33の端と重なっていない且つシート状部材33の端で途切れていない情報シンボル18を選択することが出来さえすればよい。
又、上記実施の形態2では、第1情報領域選択工程において情報領域として選択された領域が複数あった場合、第2情報領域選択工程において読取エリア37のセンター37aに近い領域(コード領域)が選択されているが、第1情報領域選択工程において選択された領域(コード領域)が1つの場合には、第2情報領域選択工程が行われなくてもよい。又、第1情報領域選択工程で、情報シンボルの所定の情報領域として、1つの領域(コード領域)が選択された場合、例え他に登録可能な領域が存在していたとしても第1情報シンボル選択工程を終了し、第2情報領域選択工程も行われなくてもよい。要するに、シート状部材33の端と重なっている又はシート状部材33の端で途切れている情報領域(コード領域)を選択せず、シート状部材33の端と重なっていない且つシート状部材33の端で途切れていない情報領域(コード領域)を選択することが出来さえすればよい。
【0102】
又、上記実施の形態では、情報シンボル18又は情報シンボルが読取エリア37のセンター37aよりも右側に存在する場合には、それらのセンター37aからの距離は、それぞれのスタートマークの位置とセンター37との距離とし、情報シンボル18又は情報シンボルが読取エリア37のセンター37aよりも左側に存在する場合には、それらのセンター37aからの距離は、情報シンボル又は情報シンボルの領域の右端(スタートマークの反対側の端)の位置とセンター37との距離としていた。しかしながら、これに限らなくてもよい。情報シンボル又は情報シンボルの領域の中心位置を基準に、センター37aからの距離を判断しても良い。例えば、
図13(a)のC1とE1を比較する場合、C1の中心の位置とセンター37aとの距離は、(238+38/2)−200で求められ、57となる。一方、E1の中心の位置は、200−(76+38/2)で求められ、105となる。これによりC1の方がE1よりもセンター37aに近いと判断することが出来る。
【0103】
又、4分割されたコード領域のそれぞれにおいて、
図12に示す再選択処理が正常に終了したか否かのフラグが設定されてもよい。例えば、S306においてE1=G1でない場合、異常終了のフラグを立てる処理が行われ、異常フラグが立った場合には、
図10においてS108からS109へと移動せず、S113へと移動するような制御処理が行われてもよい。
尚、上述した実施の形態の情報読取り方法の各ステップ、処理、工程等の全部または一部は、例えばプログラムを用いて実現されてもよい。そして、上記実施の形態1〜3の情報読取り方法の各ステップ、処理、工程等の全部または一部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われても良い。上記プログラムはコンピュータと協働して動作する。
【0104】
又、上記プログラムの利用形態としては、例えばコンピュータにより読取り可能なROM等の記録媒体に記録されていてもよい。更に、プログラムの利用形態として、例えばインターネット等の伝送媒体、光、電波などの伝送媒体中を伝送し、コンピュータによって読取られる態様であってもよい。例えば、上記実施の形態の薬剤注入装置がUSB等によってコンピュータと接続され、上述した情報読取り方法を実現するプログラムがインターネットを通じて伝送されてもよい。このコンピュータはCPU等のハードウェアに限らなくてもよく、ファームウェアや、OSであってもよい。また、実施の形態の情報読取り方法の各ステップ、処理、工程等の全部または一部をハードウェアにより実現しても良いし、ソフトウェアにより実現しても良い。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0105】
本実施形態は、さらに以下のように表現可能である。
(1)
シート状部材と、
前記シート状部材の表面に複数個表示され、それぞれ同一の情報を有する情報シンボルと、
前記シート状部材の一端側と他端側の少なくとも一方に設けられた、前記情報シンボルを読取る情報読取装置に前記シート状部材の端を認識させるための端認識部とを備えた、情報記録媒体。
【0106】
(2)
前記端認識部は、前記シート状部材に形成されたエッジラインである、上記(1)に記載の情報記録媒体。
(3)
前記エッジラインは、前記情報読取装置による読取り方向に略直交する方向に形成されている、上記(2)に記載の情報記録媒体。
【0107】
(4)
前記シート状部材の前記情報読取装置による読取り方向に沿った中心軸部分には、前記エッジラインに略直交する方向に形成されたセンターラインが設けられ、
前記センターラインの両側に前記情報シンボルが配置された、上記(2)に記載の情報記録媒体。
(5)
前記センターラインの両側には、それぞれスタートマークが設けられ、
前記センターラインの両側において、それぞれの前記スタートマークから前記情報シンボルが表示されている、上記(4)に記載の情報記録媒体である。
【0108】
(6)
前記情報シンボルは、複数個の領域に分割されている、上記(1)から(5)のいずれか一つに記載の情報記録媒体。
(7)
前記情報シンボルは、前記情報読取装置の読取り方向に向けて、複数個の領域に分割されている、上記(6)に記載の情報記録媒体。
【0109】
(8)
前記情報シンボルは、前記情報読取装置の読取り方向と略直交する方向に向けて、複数個の領域に分割されている、上記(1)から(7)のいずれか一つに記載の情報記録媒体。
(9)
前記シート状部材の裏面側に、接着層が設けられた、上記(1)から(8)のいずれか一つに記載の情報記録媒体。
【0110】
(10)
上記(1)から(9)のいずれか一つに記載の情報記録媒体と、
外周面に前記情報記録媒体が貼り付けられる柱状本体とを備え、
前記情報記録媒体は、前記シート状部材の一端又は他端が、その表面に重なるように前記柱状本体に巻き付けられている、柱状体。
(11)
前記柱状本体は、筒状である、上記(10)に記載の柱状体。
【0111】
(12)
上記(10)または(11)に記載の柱状体の情報記録媒体に光を照射する発光素子と、
前記情報記録媒体からの反射光を受光する受光素子と、
前記受光素子に接続された読取制御部とを備え、
前記読取制御部は、前記シート状部材の前記端と重なっていない且つ前記端によって途切れていない前記情報シンボルからの読取情報を有効とする、情報読取装置。
【0112】
(13)
前記読取制御部は、前記受光素子に近接する前記情報シンボルからの読取情報を有効とする、上記(12)に記載の情報読取装置。
(14)
上記(12)または(13)に記載の情報読取装置を用い、前記情報読取装置による読取情報から薬剤投与制御を行う薬剤投与制御部を備えた、薬剤投与装置。
【0113】
(15)
シート状部材と、前記シート状部材の表面に複数個表示され、それぞれ同一の情報を有する情報シンボルと、前記シート状部材の一端側と他端側の少なくとも一方に設けられ、前記情報シンボルを読取る情報読取装置に前記シート状部材の端を認識させるための端認識部とを有する情報記録媒体と、外周面に前記情報記録媒体が貼付けられる柱状本体とを備え、前記情報記録媒体は、前記シート状部材の一端又は他端が、その表面に重なるように前記柱状本体に巻き付けられている、柱状体の前記情報記録媒体の情報を読取る情報読取り方法であって、
前記シート状部材の端と重なっている又は前記シート状部材の端で途切れている前記情報シンボルを選択せず、前記シート状部材の端と重なっていない且つ前記シート状部材の端で途切れていない情報シンボルを選択する第1情報シンボル選択工程と、
前記第1情報シンボル選択工程において選択された前記情報シンボルからの読取情報を有効とする情報取得工程とを備えた、情報読取り方法。
【0114】
(16)
前記第1情報シンボル選択工程において選択された情報シンボルが複数存在する場合、前記受光素子に最も近接して配置されている前記情報シンボルを更に選択する第2情報シンボル選択工程を更に備え、
前記情報取得工程は、前記第2情報シンボル選択工程において選択された前記情報シンボルからの読取情報を有効とする、上記(15)に記載の情報読取り方法。
【0115】
(17)
シート状部材と、前記シート状部材の表面に複数個表示され、それぞれ同一の情報を有する情報シンボルと、前記シート状部材の一端側と他端側の少なくとも一方に設けられ、前記情報シンボルを読取る情報読取装置に前記シート状部材の端を認識させるための端認識部とを有する情報記録媒体と、外周面に前記情報記録媒体が貼付けられた柱状本体とを備え、前記情報記録媒体は、前記シート状部材の一端又は他端が、その表面に重なるように前記柱状本体に巻き付けられており、前記情報シンボルは、前記情報読取装置の読取り方向に向けて、複数個の領域に分割されている、柱状体の前記情報記録媒体の情報を読取る情報読取り方法であって、
前記シート状部材の端と重なっている又は前記シート状部材の端で途切れている前記情報シンボルの領域を選択せず、前記シート状部材の端と重なっていない且つ前記シート状部材の端で途切れていない前記情報シンボルの領域を情報領域として選択する第1情報領域選択工程と、
前記第1情報領域選択工程において選択された情報領域を組み合わせて得られた前記情報シンボルからの読取情報を有効とする情報取得工程とを備えた、情報読取り方法。
【0116】
(18)
前記分割された各々の領域において、前記第1情報領域選択工程において選択された情報領域が複数存在する場合、前記受光素子に最も近接して配置されている前記情報領域を選択する第2情報領域選択工程を更に備え、
前記情報取得工程は、前記第2情報領域選択工程において選択された情報領域を組み合わせて得られた前記情報シンボルからの読取情報を有効とする、上記(17)に記載の情報読取り方法。
【0117】
(19)
上記(15)に記載の情報読取り方法の、前記第1情報シンボル選択工程と、前記情報取得工程をコンピュータに実行させるプログラム。
(20)
上記(17)に記載の情報読取り方法の、前記第1情報領域選択工程と、前記情報取得工程とをコンピュータに実行させるプログラム。
【0118】
(21)
上記(19)又は(20)に記載のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体。