(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第一実施形態に係る液剤希釈散水装置1について説明する。
この液剤希釈散水装置1は、園芸、農業、洗車、清掃、その他の液剤を希釈して散布する様々な用途に用いることができる。
【0022】
液剤としては、園芸用または農業用の液肥や殺虫剤、除草剤その他の農薬、洗車用または清掃用の洗剤、薬品、その他水以外の液体を使用することができる。さらに、これらの液体を予め水で一定濃度まで希釈したものも含む。
液剤を希釈する溶媒としては、上水道等の給水設備から供給される水が代表的であるが、その他の溶媒を用いてもよい。この溶媒は、例えば、液剤希釈散水装置で希釈する液剤以外の物質を予め水に溶かした混合水でもよい。
【0023】
図1、
図2に示すように、この液剤希釈散水装置1は、給水設備(図示せず)から導入した水に液剤を希釈する希釈装置本体2と、液剤を収容するとともに希釈装置本体2に着脱可能に取り付けられる液剤容器3と、ホース4を介して希釈装置本体2に接続され、液剤を希釈した水を散布する散水ノズル5とからなる。
【0024】
図3、
図10(a)に示すように、希釈装置本体2には、水を導入する水導入口6と、この水導入口6から導入した水を導出する水導出口7と、水導入口6から水導出口7まで水を通過させる主流路8とが形成されている。
図1、
図2に示すように、散水ノズル5は、ホース4によって水導出口7と接続される接続口9と、接続口9から流入した水を放出する散水口10と、接続口9から散水口10まで水を通過させるノズル流路と、ノズル流路内に配置されて散水口10への通水および止水を切り換えるノズル止水弁11とを有している。
【0025】
給水設備は、上水道の蛇口からの給水のほか、井戸や貯水タンクからの給水等でもよく、特に限定されない。
図10に示すように、水導入口6から希釈装置本体2に導入された水は、主流路8を通過し、途中に設けられた液剤希釈部12で液剤を希釈された後、水導出口7から散水ノズル5へと送出され、散水ノズル5の散水口10から散布される。
【0026】
<希釈装置本体>
以下、希釈装置本体2について詳しく説明する。
図3、
図10に示すように、この希釈装置本体2は、上部に水を通過させる主流路8を内蔵するとともに、下部に液剤容器3を収納して、所定の倍率で液剤を水に希釈して散水ノズル5へ送出している。
【0027】
図3、
図4に示すように、希釈装置本体2の一方の側面の上部には、ホース4等(図示せず)を接続して上流の給水設備(図示せず)から水を導入する水導入口6を形成したホースニップル13が突設されている。
希釈装置本体2の反対側面の上部には、水を導出する水導出口7を形成したホースコネクタ14が形成されている。
水導入口6と水導出口7とは、希釈装置本体2の内部を
図4(c)、
図10(a)で右から左へ貫通する主流路8によって接続されている。
【0028】
下側の液剤容器収納部は、内部に液剤容器3を収納する空間(液剤容器収納部)を形成し、この空間の正面部を液剤容器3の出し入れ用に切り欠いているとともに背面部の上半分にも開口を設けた筐体として形成されている。
液剤容器収納部の左右の側面部および背面部は、収納される液剤容器3を覆って衝撃等から保護する機能を有している。
液剤容器3は、全体が液剤容器収納部に収納されている必要はなく、一部が液剤容器収納部から露出あるいは突出していてもよい。
【0029】
また、液剤容器収納部の下方には、液剤容器収納部よりも拡張された土台15を形成して、希釈装置本体2の転倒を防止している。
図3(a)に示すように、この土台15の中心部は、漏れ水や埃が溜まらないように円形に切り欠かれている。
【0030】
土台15の左右幅は、80〜400mmとするのが好ましい。
80mm未満とすると、主流路8が短くなりすぎて、液剤希釈部12を設けることが難しくなってしまう。100mm以上とするのがより好ましく、120mm以上とするのが特に好ましい。
また、400mmよりも大きくすると、希釈装置本体2が大型化して使用者の手による持ち運びや取り回しがしにくくなってしまう。350mm以下とするのがより好ましく、300mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由から、第一実施形態では土台15の左右幅を180mmとした。
【0031】
また、土台15の奥行きは、60〜400mmとするのが好ましい。
60mm未満とすると、主流路8が細くなりすぎて液剤希釈部12を設けることが難しくなるとともに、小さな液剤容器3しか使用できなくなってしまう。80mm以上とするのがより好ましく、100mm以上とするのが特に好ましい。
また、400mmよりも大きくすると、希釈装置本体2が大型化して使用者の手による持ち運びや取り回しがしにくくなってしまう。300mm以下とするのがより好ましく、250mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由から、第一実施形態では土台15の左右幅を118mmとした。
【0032】
図3、
図6に示すように、希釈装置本体2は、液剤容器収納部の高さで上側部材16と下側部材17とに二分割可能になっている。
上側部材16と下側部材17とは、レバー固定具18によって一体に固定され、レバー固定具18を外すことで分解できる。希釈装置本体2に液剤容器3を取り付けるときには、上側部材16と下側部材17とに分解し、間に液剤容器3を挟みこんだ上で、レバー固定具18により希釈装置本体2を一体に組み立てる。
【0033】
希釈装置本体2の材料には、プラスチック、金属、ガラスを使用することができる。
これらのうちでは、軽量で持ち運びに適し、錆び等の劣化が少なく、壊れにくく、加工がしやすいとの理由から、プラスチック、あるいは、ステンレス、真鍮、亜鉛、アルミ等の金属が好ましい。また、原料や生産コストが安価であることから、特にプラスチックが好ましい。
第一実施形態では、上記の理由からプラスチックを用いた。
なお、液剤として錆、腐食、ケミカルストレスクラック等を引き起こすものが予定されている場合には、主流路8、液剤流路19(
図10参照)、その他の希釈装置本体2の部品には耐薬品性に優れた材料を用いることが望ましい。
【0034】
図6に示すように、希釈装置本体2において、液剤容器収納部の上方には、液剤容器3を連結するための容器取付部20が形成されている。
図6(b)に示すように、この容器取付部20は、液剤容器3の先端の口に対して内接し、摩擦力によって保持できるような径寸法に形成されている。
【0035】
また、
図7(b)に示すように、液剤容器3の離脱防止部として、容器取付部20の外周面に弾性材料からなる環状のOリング21を周設してもよい。
容器取付部20に液剤容器3の先端が差し込まれると、このOリング21が弾性変形しながら液剤容器3の内周面に当接し、Oリング21の弾性力と摩擦力とで液剤容器3を保持し、離脱を防止することができる。
離脱防止部としてのOリング21を設けたことにより、容器取付部20の外周面または液剤容器3の内周面の寸法精度がそれほど高くなくても、液剤容器3を容器取付部20に強固に取り付けることができる。
【0036】
Oリング21の直径(外径)は5〜80mmとするのが好ましい。
直径を5mm未満に設定すると、後述する液剤導入口22やストロー管23の口径を小さく設定せざるをえなくなり、液剤を十分に吸引することができなくなってしまう。
また、直径を80mmよりも大きく設定すると、液剤容器3の口や希釈装置本体2が大型化することになり、液剤容器3の着脱や取り扱いがしにくくなってしまう。
直径を10〜50mmとするのがより好ましく、直径を17〜22mmとするのがさらに好ましい。上記の理由から、第一実施形態では、直径19mmのOリング21を使用した。
【0037】
Oリング21の材料には、ゴムまたはエラストマーを使用することができる。
希釈装置本体2に取り付ける液剤容器3は、容量や形状の異なる複数種類の規格を用意することが好ましいため、これらに合わせてOリング21も複数の規格を用意できることが好ましい。このような理由から、本実施形態では、汎用性が高く複数の規格が市販されているゴム製のOリング21を使用した。
【0038】
このようなOリング21を設けるほかに、液剤容器3の離脱防止部として、容器取付部20の外周面と液剤容器3の内周面との一方に凹溝を周設し、他方に凸条を周設して、この凹溝と凸条が嵌合することにより液剤容器3の離脱を防止する構造としてもよい。
このとき、容器取付部20と液剤容器3との少なくとも一方を弾性材料から形成すれば、弾性変形によって凹溝と凸条との着脱を容易にすることができる。
【0039】
また、第一実施形態とは逆に、容器取付部20が液剤容器3の口に対して外接して保持する構成としてもよい。
もっとも、容器取付部20が液剤容器3に外接する構成とすると、液剤容器3の口の外周面にゴム等の弾性材料からなる離脱防止部を周設することになり、容器取付部20と液剤容器3との取り付け不良が生じやすくなるので、容器取付部20が液剤容器3に外接する構成とするほうが好ましい。
【0040】
図6(b)、
図7(b)に示すように、容器取付部20の中心には、液剤を希釈装置本体2の内部に導入するための液剤導入口22が設けられている。
この液剤導入口22には下方に延びるストロー管23が装着されて、液剤容器3の内部から液剤を吸い出せるようになっている。このストロー管23は、長さの異なるストロー管23を複数本用意し、液剤容器3の深さに応じて付け替えるようにしてもよく、また、弾性のある螺旋状に形成して一本で多数の液剤容器3に適用可能としてもよい。
ストロー管23の下端には、微細なゴミを除去するために金網からなるストレーナ28を取り付けている。このストレーナ28は必要がなければ設けなくてもよい。
【0041】
このストレーナ28に、笛のような構造を付加して、空気を吸い込んだときに振動して音を出す機能をもたせることもできる。このような機能をもたせた場合には、液剤容器3の液剤が尽きたときにストレーナ28に空気が吸い込まれて音が鳴ることにより、使用者に液剤の有無を知らせることができる。
【0042】
図6に示すように、また、容器取付部20の周囲には、液剤容器3の外周面に沿って下方に延びる容器制振部としての制振カバー24が設けられている。この制振カバー24は、液剤容器3の外周面に当接して、液剤容器3が水平方向に揺れるのを制止する。
【0043】
液剤導入口22からは、
図7(b)には表れない経路によって上方の主流路8に連通する液剤流路19が延設されている。
図10(b)に示すように、液剤流路19の上端は、縮径しながら主流路8に合流するように形成されている。
主流路8の経路中には小径の部分が設けられるとともに、その下流側に大径の部分が形成され、当該大径の部分で液剤流路19が主流路8に合流している。
【0044】
主流路8と液剤流路19との合流部分である液剤希釈部12では、主流路8の小径の部分で流速の増大した水が大径の部分を通過する際に負圧を発生させ、この負圧によって液剤流路19から液剤を吸引して水に希釈することができる。
【0045】
図3(a)に示すように、希釈装置本体2の上部には、持ち運び用の取っ手25が形成されている。
この取っ手25を含めた希釈装置本体2の高さは、100〜700mmとするのが好ましい。
100mm未満とすると、主流路8が細くなりすぎて液剤希釈部12を設けることが難しくなるとともに、小さな液剤容器3しか使用できなくなってしまう。150mm以上とするのがより好ましく、200mm以上とするのが特に好ましい。
また、700mmよりも大きくすると、希釈装置本体2が大型化して使用者の手による持ち運びや取り回しがしにくくなってしまう。550mm以下とするのがより好ましく、450mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由から、第一実施形態では、365.5mmとした。
【0046】
希釈装置本体2の取っ手25を除いた部分の高さは、60〜600mmとするのが好ましい。
60mm未満とすると、主流路8が細くなりすぎて液剤希釈部12を設けることが難しくなるとともに、小さな液剤容器3しか使用できなくなってしまう。100mm以上とするのがより好ましく、200mm以上とするのが特に好ましい。
また、600mmよりも大きくすると、希釈装置本体2が大型化して使用者の手による持ち運びや取り回しがしにくくなってしまう。500mm以下とするのがより好ましく、400mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由から、第一実施形態では、315.5mmとした。
【0047】
図3(b)に示すように、取っ手25は断面U字状に形成されて、この凹み部分に散水ノズル5を挟み込むことができるようになっている。これにより、散水ノズル5を取っ手25に固定し、液剤希釈散水装置1全体を持って、じょうろのように希釈した液剤を散布することもできる。
図3(a)に示すように、また、取っ手25のうち、希釈装置本体2に接合されている根元付近では、U字状部分に補強用のリブ25aを設けている。
【0048】
取っ手25の幅W1は、15〜100mmとするのが好ましい。
15mm未満とすると、取っ手25が細すぎて使用者が手で持ちにくくなるとともに、希釈装置本体2を支えきれずに破損するおそれがある。18mm以上とするのがより好ましく、21mm以上とするのが特に好ましい。
100mmよりも大きくすると、取っ手25が太すぎて使用者が手で持ちにくくなる。80mm以下とするのがより好ましく、50mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由により、第一実施形態では取っ手の幅W1を26mmとした。
【0049】
取っ手25断面の高さH1は、10〜80mmとするのが好ましい。
10mm未満とすると、取っ手25が細すぎて使用者が手で持ちにくくなるとともに、希釈装置本体2を支えきれずに破損するおそれがある。12mm以上とするのがより好ましく、15mm以上とするのが特に好ましい。
80mmよりも大きくすると、取っ手25が太すぎて使用者が手で持ちにくくなる。60mm以下とするのがより好ましく、40mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由により、第一実施形態では取っ手25断面の高さH1を20mmとした。
【0050】
取っ手25の肉厚は、0.6〜3.5mmとするのが好ましい。
0.6mm未満とすると、成形時の充填不良を起こしやすくなって製品精度が低下する。また、取っ手35の強度が低下するため、補強用のリブ25aが多数必要になって形状が複雑化し、外観が悪化するとともに金型費用が増加してしまう。1.5mm以上とするのがより好ましく、2.0mm以上とするのが特に好ましい。
また、3.5mmよりも厚くすると、材料コストや成形時間が増大するとともに、ヒケ等の成形不良が発生しやすくなる。3.2mm以下とするのがより好ましく、3.0mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由により、第一実施形態では取っ手35の肉厚を2.5mmとした。
【0051】
取っ手25に形成される凹み部分の幅W2は、12〜90mmとするのが好ましい。
12mm未満とすると、上記肉厚の関係から必然的に取っ手25全体の幅W1も細くなり、使用者が手で持ちにくくなるとともに、希釈装置本体2を支えきれずに破損するおそれがある。
90mmよりも大きくすると、必然的に取っ手25全体の幅W1も太くなり、使用者が手で持ちにくくなる。55mm以下とするのがより好ましく、35mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由により、第一実施形態では凹み部分の幅W2を21mmとした。
【0052】
取っ手25に形成される凹み部分の深さD2は、7〜75mmとするのが好ましい。
7mm未満とすると、上記肉厚の関係から必然的に取っ手25断面の高さH1も小さくなり、使用者が手で持ちにくくなるとともに、希釈装置本体2を支えきれずに破損するおそれがある。10mm以上とするのがより好ましく、12mm以上とするのが特に好ましい。
75mmよりも大きくすると、必然的に取っ手25断面の高さH1も大きくなり、使用者が手で持ちにくくなる。55mm以下とするのがより好ましく、35mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由により、第一実施形態では凹み部分を17.5mmとした。
【0053】
取っ手25には、必ずしも凹み部分を設けなくてもよい(
図8(a)、
図11(a)参照)。
取っ手25を樹脂成形によって形成する場合には、凹み部分を設けることにより、材料となる樹脂の使用量を低減し、成形時間を短縮化し、ヒケ等の成形不良を防止することができる。
【0054】
また、
図3(a)、
図10(a)に示すように、希釈装置本体2の上面からは、流路切換弁の操作用つまみ26が突出している。
この流路切換弁では、操作用つまみ26を操作することによって、弁体27(
図10(a)参照)を動かし、液剤希釈部12を通過する主流路8と、この主流路8から分岐して液剤希釈部12を通過せずに水導入口6と水導出口7とを接続する原水流路(図示せず)とのいずれか一方のみを開放するようになっている。
液剤を含まない水を撒く場合には、この流路切換弁を操作して原水流路を開放することにより、給水設備から供給される水をそのまま散水することができる。
【0055】
<ホース等の弾性管>
給水設備(図示せず)から水導入口6までのホース(図示せず)および水導出口7から散水ノズル5までのホース4には、ゴム製の単層ホースのほか、二層ホース、網入り耐圧ホース、コイル入り耐圧ホース、フレキシブルホース等、あらゆるホースを用いることができる。給水設備から水導入口6までのホースと、水導出口7から散水ノズル5までのホース4とは、同種のホースを使用してもよいし、また、互いに異なる種類のホースを用いてもよい。また、ホース以外の弾性管を用いてもよく、たとえば蛇腹管等であってもよい。このような弾性管を用いることにより、使用者は散水ノズル5を自由に取り回して散水を行うことができる。
給水設備から水導入口6へ給水するホースは、前述のような弾性管のほか、硬性管等で代用してもよい。散水ノズル5の代わりに取り回しの必要のないスプリンクラー等を用いる場合には、水導出口7から散水ノズル5までのホース4も硬性管等で代用してよい。また、硬性管を2以上の分割部材を組み合わせて形成するとともに、その1以上の分割位置を屈曲可能としたものを用いてもよい。
なお、水導出口7と散水ノズル5とを直結することも可能であるが、散水時の作業性を向上させるためにホース等の弾性管を用いるのが好ましい。
【0056】
後述する散水ノズル5のノズル止水弁11の開閉によって水撃作用(ウォーターハンマー)が発生するため、水導出口7から散水ノズル5までのホース4は、耐圧性に優れた網入りホース等の補強材入りのホースを用いるのが好ましい。さらに、散水時の中折れやねじれを防止するため、折れ防止やねじれ防止の効果も有する補強材を用いたホースが好ましい。内巻補強糸と外巻補強糸との打込み数が異なりねじれにくい構造のホース、折れにくくねじれにくいコイル入り耐圧ホース、フレキシブルホース等が特に好ましい。
また、液剤の種類によっては、耐薬品性(耐食性)に優れたものを用いるのが好ましい。
なお、有色の液剤を用いる場合に、透明なホースを用いると、液剤を希釈した水の色によって、液剤が確実に希釈されていることを目視したり、長時間使用時に希釈倍率にばらつきが出ないかを監視したりすることができる。
第一実施形態では、耐圧性、折れ防止機能、取り回しのしやすさ、およびコストの節減に優れた、内巻補強糸と外巻補強糸との打込み数が異なりねじれにくい構造のホースを使用した。
【0057】
水導出口7から散水ノズル5までのホース4の内径は、5〜20mmとするのが好ましい。
ホース4の内径を5mm未満とすると、散水時の圧力損失が大きくなり、液剤の希釈倍率のばらつきが大きくなってしまう。7mm以上とするのがより好ましく、9mm以上とするのが特に好ましい。
また、ホース4の内径を20mmより大きくすると、散水ノズル5を取り回す際にホース4が妨げとなり、操作性が悪化してしまう。18mm以下とするのがより好ましく、15mm以下とするのが特に好ましい。
第一実施形態では、内径12mmのホース4を用いた。
【0058】
水導出口7から散水ノズル5までのホース4の長さは、300〜3000mmとするのが好ましい。
300mm未満とすると、ホース4が短すぎて散水ノズル5の取り回しが制限されてしまう。500mm以上とするのがより好ましく、800mm以上とするのが特に好ましい。
また、3000mmよりも大きくすると、ホース4にたるみが発生するとともに、散水ノズル5を取り回す際にホース4が妨げになってしまう。2500mm以下とするのがより好ましく、2000mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由から、第一実施形態では、長さ1200mmのホース4を使用した。
【0059】
<液剤容器>
図6(a)、
図10(a)に示すように、液剤容器3は、先端の口の部分を小径に形成したボトル状容器であり、内部に液剤を収容している。
液剤容器3は、収容する液剤の性質、希釈倍率、散水の頻度に応じて、求められる容積が異なるため、大きさの異なるものを複数本用意しておくことが好ましく、言い換えると容積および/または大きさの異なるボトルを使用できる。
【0060】
液剤容器3の口の部分の内径は、5〜100mmとするのが好ましい。
内径を5mm未満とすると、液剤導入口22やストロー管23の口径を小さく設定せざるをえなくなり、液剤を十分に吸引することができなくなってしまう。10mm以上とするのがより好ましく、17mm以上とするのが特に好ましい。
また、内径を100mmより大きくすると、口の部分が大型化して、液剤入り液剤容器3を別売りとする場合に、液剤容器3の口を密封するキャップが外しづらくなってしまう。50mm以下とするのがより好ましく、25mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由から、第一実施形態では、口の内径を18〜19mmとした。
【0061】
液剤容器3の液剤を収容する部分の最大直径(外径)は、20〜300mmとするのが好ましい。
最大直径を20mm未満とすると、内容量が低下して消耗が早く、液剤容器3の補充または取替えが煩わしくなってしまう。30mm以上とするのがより好ましく、40mm以上とするのがさらに好ましい。
また、最大直径を300mmより大きくすると、液剤容器3が大型化して重くなり、使用者の手による持ち運びや着脱作業をしにくくなってしまう。150mm以下とするのがより好ましく、100mm以下とするのがさらに好ましい。
上記の理由から、第一実施形態では、複数の液剤容器3の最大直径を55〜80mmとした。
【0062】
液剤容器3の高さは、30〜500mmとするのが好ましい。
高さを30mm未満とすると、内容量が低下して消耗が早く、液剤容器3の補充または取替えが煩わしくなってしまう。40mm以上とするのがより好ましく、50mm以上とするのが特に好ましい。
また、高さを500mmより大きくすると、液剤容器3が大型化して重くなり、使用者の手による持ち運びや着脱作業をしにくくなってしまう。400mm以下とするのがより好ましく、300mm以下とするのが特に好ましい。
上記の理由から、第一実施形態では、複数の液剤容器3の高さを138〜260mmとした。
【0063】
また、液剤容器3の水平断面形状は円形には限られず、楕円、多角形、その他直線および/または曲線を組み合わせてなる任意の形状を採用してよい。その場合には、上記の直径とは、外周上で互いに最も遠い位置にある2点間の距離を指すものとする。
【0064】
液剤容器3の材料には、プラスチック、金属、ガラスを使用することができる。
これらのうちでは、軽量で持ち運びに適し、錆び等の劣化が少なく、壊れにくく、加工がしやすいとの理由から、プラスチック、あるいは、ステンレス、アルミ等の金属が好ましい。また、原料や生産コストが安価であることから、特にプラスチックが好ましい。
第一実施形態では、上記の理由からプラスチックを用いた。
【0065】
<散水ノズル>
図1、
図2に示すように、ホース4等の弾性管を介して希釈装置本体2から水を供給される散水ノズル5は、ホース4に接続される接続口9を形成したホースコネクタ29を基端に形成し、水を放出する散水口10を先端に形成するとともに、接続口9と散水口10とを接続するノズル流路を内部に設けている。
散水ノズル5は、全体として略一直線状に形成されている。
【0066】
散水口10から放出される水の形状は、シャワー状、ストレート状、扇状等、任意の形状となるようにしてよい。
水の形状をシャワー状とすれば広範囲に散水する用途に好適であり、ストレート状とすれば鉢植え植物の根本部分など狭い範囲に集中して散水する用途に好適である。
また、複数種類の散水口10を設けて、水の形状を切換可能としてもよい。
散水ノズル5の基端側には使用者が把持可能な把持部30を設けて、使用者が散水時に自由に取り回すことができるようにしている。この把持部30には、凹凸を連続させた滑り止めが形成されている。
【0067】
散水ノズル5の略中央には、散水口10への通水と止水とを切り換えるノズル止水弁11が配設されている。
このノズル止水弁11は、ノズル流路と直交する方向に突出形成される部材であって、ノズル流路と直交する方向に往復動可能となっている。
ノズル止水弁11の内部には、ノズル流路に平行な弁孔(図示せず)が穿設されている。
ノズル止水弁の一端に形成されたボタン11aを押し込んで、弁孔をノズル流路に合致させると、供給される水が散水口から放出される通水状態となる。この通水状態からノズル止水弁11の反対端に形成されたボタン11bを押し込んで、弁孔をノズル流路からずらすと、ノズル流路がノズル止水弁11によって閉鎖される止水状態となる。
【0068】
散水ノズル5のその他の態様として、スプリンクラー等の灌水用散水器具を用いることもできる。
【0069】
<ボトルホルダー>
図5、
図6、
図7のように、液剤容器3を希釈装置本体2に取り付けたときに、液剤容器3の底面部の高さが希釈装置本体2の底面部の高さと略等しくなる場合には、容器取付部20およびOリング21で液剤容器3の離脱を防止することができる。
しかし、液剤容器3が小さく、液剤容器3の底面部が希釈装置本体2の底面部よりかなり上方に位置する場合には、液剤容器3が下方に脱落するのを防止するために、液剤容器3の下面に当接して液剤容器3を上方に支持する部材である液剤容器下面保持部材(離脱防止部)を備えるのがよい。また、異なる高さの液剤容器3を保持可能とするように、この液剤容器下面保持部材は高さ変更が可能となるように構成するのがよい。
第一実施形態では、
図8、
図10のように、液剤容器3の底面部および側面部の少なくとも一方に当接して保持するボトルホルダー31を使用している。
【0070】
このボトルホルダー31は、
図9に示すように、液剤容器3に外接する保持部31aと、保持部31aから両側方に延設されて希釈装置本体2に内嵌する内嵌部31b、31bとを有する。
保持部31aは、液剤容器3の底面部および側面部に当接する有底円筒形状に形成され、漏れ水や埃が溜まり防止および材料コストの節減のために中心部が円形に切り欠かれている。円筒部分の内径は、液剤容器3の外径に略等しく設定されている。
保持部31aの形状は必ずしも有底円筒形状には限定されないが、液剤容器3の底面部と側面部との少なくとも一方に当接して支持できる内面形状を備える必要がある。
また、
図9(a)(e)のように、保持部31aの裏側には、保持部31aと底面を共通にして反対方向に延設される大径の有底円筒形状の大径保持部31cが形成されている。
【0071】
内嵌部31b、31bは、保持部31aの両側方に突出形成され、それぞれ円弧状の側端面を有している。
他方、
図1、
図3(a)に示すように、希釈装置本体2の液剤容器収納部の左右の側面部には、高さ中央の位置に内嵌部31bの形状に合わせたホルダー用溝32aが刻設されている。また、希釈装置本体2の土台15には、正面部および背面部の上部に内嵌部の形状に合わせたホルダー用溝32bが刻設されている。
【0072】
ボトルホルダー31を具備することにより、希釈装置本体2では、大きい液剤容器3を用いるときにはボトルホルダーを使用せず(
図5(a))、中ほどの大きさの液剤容器3を用いるときにはボトルホルダー31を土台15に設けたホルダー用溝32bに内嵌し、小さい液剤容器3を用いるときにはボトルホルダー31を液剤容器収納部に設けたホルダー用溝32aに内嵌する(
図8(a))ことで、大中小の3種類の液剤容器3の底面部および側面部を支持して、振動を制止することができる。これにより、液剤容器3の口や容器取付部20の破損を防止するとともに、液剤容器を希釈装置本体2から離脱しないように保持することができる。
【0073】
また、保持部31aよりも大径な液剤容器3を希釈装置本体2に取り付けるときには、ボトルホルダー31の上下を裏返して、大径保持部31cを上向きにして使用することで、大径保持部31cによって液剤容器3を当接支持することができる。
ボトルホルダー31は、液剤容器3の希釈装置本体2からの離脱を防止する離脱防止部としての役割と、液剤容器3の水平方向および上下方向の揺れを防止する容器制振部としての役割とを兼ねている。
【0074】
ボトルホルダー31の材料には、プラスチック、金属、ガラスを使用することができる。
これらのうちでは、軽量で持ち運びに適し、錆び等の劣化が少なく、壊れにくく、加工がしやすいとの理由から、プラスチック、あるいは、ステンレス、真鍮、亜鉛、アルミ等の金属が好ましい。また、原料や生産コストが安価であることから、特にプラスチックが好ましい。
また、プラスチックの中でも、射出成形ができ、低コストで生産できる熱可塑性樹脂(ハードセグメントとソフトセグメントとからなる熱可塑性エラストマーを含む)を用いるのが好ましい。さらに、熱可塑性樹脂の中では、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合)樹脂およびPP(ポリプロピレン)を用いると外観がよくなり、PPを用いると特に低コストで生産できる。
第一実施形態では、上記の理由からプラスチック、特にPPを用いた。
【0075】
また、内嵌部31bを用いたボトルホルダー31の取付構造を設ける代わりに、希釈装置本体2の液剤容器収納部の内面に雌ネジを刻設し、内嵌部31bの側端面には雄ネジを形成することにより、ボトルホルダー31を雌ネジの溝に沿って回転させ、高さを自由に調節できるように希釈装置本体2に螺着する構造としてもよい。
【0076】
第一実施形態の液剤希釈散水装置1では、使用者が希釈装置本体2を近くに置いて散水ノズル5を取り回して散水したり、片手で希釈装置本体2を持つとともに他方の手で散水ノズル5を取り回して散水したりして、容易に液剤を希釈した水を散布することができる。
また、液剤容器3を収納した希釈装置本体2と散水ノズル5とを、ホース4等の弾性管で接続する構造としたことにより、散水ノズル5が小型化、軽量化して、使用者が容易に取り回すことができる。
【0077】
また、液剤容器3を希釈装置本体2に収納したことにより、散水ノズル5の向きの変更に伴って液剤容器3の液面が変動し、液剤希釈部12への液剤の吸入量が変化して、希釈倍率にばらつきを生じることがなく、液剤を安定的に希釈して散布することができる。
さらに、液剤容器3を希釈装置本体2に収納したことにより、散水ノズル5を振り回しても、液剤容器3と希釈装置本体2との連結部分に負荷がかかって破損を生じることがない。
【0078】
また、液剤容器3と希釈装置本体2の容器取付部20とは、ネジ結合ではなく、弾性材料からなる離脱防止部としてのOリング21によって連結されるため、希釈装置本体2に振動や衝撃があっても、Oリング21の弾性変形によって吸収することができ、容器取付部20および液剤容器3の口の破損を防止することができる。
【0079】
さらに、液剤容器3の側面部および底面部の少なくとも一方に当接して保持する容器制振部としてボトルホルダー31、制振カバー24を設けたことにより、希釈装置本体2に振動や衝撃があっても、ボトルホルダー31が液剤容器3の振動を制止して、液剤容器3の破損を防止することができる。
【0080】
<第二実施形態>
図11、
図14に示すように、第二実施形態の液剤希釈散水装置1は、希釈装置本体2が上下二分割可能に形成されるとともに、容器取付部20および液剤導入口22が希釈装置本体2の接地部分に対して上下に位置調整可能に形成されていることを特徴とする。
図11に示すように、希釈装置本体2は、上側部材16と下側部材17とを組み合わせてなる。
上側部材16は、取っ手25と、主流路8と、液剤容器収納部の上部とを含んでいる。
下側部材17は、液剤容器収納部の下部と、土台15とを含んでいる。
【0081】
下側部材17は上側部材16よりも水平方向に一回り大きく形成されているため、希釈装置本体2を組み立てると上側部材16が下側部材17に内接して上下動することが可能となっている。
下側部材17の左右の両側面には、高さ調整ボルト33を貫通させるためのボルト孔34(
図13(b)参照)を設けている。上側部材16の左右の両側面には、高さ調整ボルト33を貫通させてスライドさせる縦長のボルトスリット35が形成されている。
【0082】
ボルト孔34とボルトスリット35を重ねて高さ調整ボルト33を挿通し、液剤容器収納部の内部からナット36(
図13(b)参照)を取り付けて、高さ調整ボルト33とナット36とを締め付けることにより、希釈装置本体2を組み立てることができる。
この状態から、ナット36を緩め、高さ調整ボルト33をボルトスリット35内でスライドさせることにより、上側部材16が下側部材17に対して上下動し、接地部分に対する容器取付部20の高さを調整することができる。次いで、任意の高さで再度高さ調整ボルト33とナット36とを締め付けることにより、容器取付部20および液剤導入口22の高さを固定することができる。
【0083】
第二実施形態の液剤希釈散水装置1では、大きい液剤容器3を用いるときには容器取付部20および液剤導入口22を高い位置で固定して使用し(
図11、
図12参照)、小さい液剤容器3を用いるときには容器取付部20および液剤導入口22を低い位置で固定して使用する(
図14参照)。これにより、
図14のように、小さい液剤容器3を用いるときにも重心を低くすることができるため、希釈装置本体2の安定性が向上して転倒しにくくなる。
【0084】
<第三実施形態>
第三実施形態は、
図8、
図9に示す第一実施形態のボトルホルダー31と希釈装置本体2のホルダー用溝32a、32bの形状を変更している。
第三実施形態のボトルホルダー31では、内嵌部31b、31bの上部の形状と下部の形状とを互いに異ならせている。
また、ホルダー用溝32aの形状とホルダー用溝32bの形状とも互いに異ならせている。
【0085】
これにより、ボトルホルダー31は、保持部31aを上に向けた状態ではホルダー用溝32aにしか内嵌することができず、小径で縦に短い液剤容器3を保持する。また、大径保持部31cを上に向けた状態ではホルダー用溝32bにしか内嵌することができず、大径で縦に長い液剤容器3を保持する。
そのため、大径で縦に長い液剤容器3を用いる場合に、使用者が誤ってボトルホルダー31の保持部31aを上に向けた状態でホルダー用溝32bに取り付けるなどの逆組みを防止することができる。
【0086】
<第四実施形態>
第四実施形態では、
図15に示すボトルホルダー40を用いている。
ボトルホルダー40では、保持部40aと大径保持部40cとが、同じ面に段階的に形成されている。
大径保持部40cの両側方には、一対の内嵌部40b、40bが突出形成されている。内嵌部40b、40bは、ホルダー用溝32aとホルダー用溝32bとの両方に内嵌することができる。
また、内嵌部40b、40bの上端には、平板状のつば部40d、40dが張り渡されている。
【0087】
ボトルホルダー31は、
図16(a)のように小径で縦に短い液剤容器3を用いるときにも、
図16(b)のように大径で縦に長い液剤容器3を用いるときにも、保持部40aおよび大径保持部40cを上に向けて、ホルダー用溝32aまたはホルダー用溝32bに取り付けることができる。
また、使用者が誤って、保持部40aおよび大径保持部40cを下に向け、ホルダー用溝32aまたはホルダー用溝32bに取り付けようとすると、つば部40d、40dがぶつかって取り付けることができないため、逆組みを防止することができる。
【0088】
<第五実施形態>
第五実施形態は、
図17に示すように、上側部材16の両側面に、バックル41を回動可能に取り付けている。バックル41の先端には、内方に突出するツメ部41aが形成されている。
また、下側部材17の両側面には、バックル41を収容すべき溝が形成されているとともに、この溝に棒状の取付バー42が橋架されている。
第五実施形態では、バックル41を回動させてツメ部41aを取付バー42の下に係合させることで上側部材16と下側部材17とを一体に固定することができ、バックル41を回動させて取付バー42から外すことで上側部材16と下側部材17とに分解することができる。
【0089】
<第六実施形態>
図3に示すように、第一実施形態では取っ手25を断面U字状に形成して、凹み部分に散水ノズル5を挟み込めるようにしていたが、第六実施形態では、
図18(a)に示すように、取っ手25を上側部材16に対して回動可能に取り付けて横倒しにできるようにし、この取っ手25に散水ノズル5を取り付けられるようにしている。
【0090】
図18(a)に示すように、散水ノズル5の外面にはフック43が突設されている。
また、取っ手25の上面には、フック43より大きい2つの受け口44、44と、2つの受け口44、44の間に形成されたフック43より細い形状の細溝45とが形成されている。取っ手25を横倒しにすると、受け口44、44の一方が上方を向き、他方が下方を向くようになっている。
【0091】
取っ手25を横倒しにして、受け口44の上方からフック43を差し込むと、フック43が細溝45に挟まれる位置で保持されることにより、散水ノズル5を希釈装置本体2に取り付けることができる。
取っ手25を反対側に横倒しにしたときにも、他方の受け口44からフック43を差し込んで保持させることにより、散水ノズル5を希釈装置本体2に取り付けることができる。
【0092】
第六実施形態の他の例では、
図18(b)に示すように、散水ノズルの外面に球形状の球形フック46を突設している。また、散水ノズルの反対側の面には、もう1つの球形フック46を突設している。
この例でも、取っ手25には、球形フック46より大きい2つの受け口44、44と、2つの受け口44、44の間に形成された球形フック46より細い形状の細溝45とが形成されている。
この例でも、受け口44の上方から球形フック46を差し込むと、球形フック46が細溝45に挟まれる位置で保持されることにより、散水ノズル5を希釈装置本体2に取り付けることができる。
【0093】
また、取っ手25をどちらの方向に横倒しにしても散水ノズル5を取り付けることができる。
さらに、2つの球形フック46、46のうち任意の片方を取っ手25の受け口44に差し込んで保持させることができるので、散水ノズル5の取付角度を選択できて、ホース4の捩れや潰れを防止することができる。
また、破損しにくい球形状の球形フック46を設けたことにより、受け口44および細溝45への取り付けおよび取り外しを容易にすることができる。
【0094】
また、第六実施形態のさらに他の例では、
図19(a)(b)に示すように、取っ手25の2つの受け口44、44を略円筒状に形成するとともに、この受け口44の内周面に内接しうる2つの擬似円柱形状の円柱フック47、47を散水ノズル5の互いに反対の面に形成している。
2つの受け口44,44の間には、円柱フック47、47より細い形状の細溝45が形成されている。
第六実施形態においても、通常は円柱フック47を受け口44の上方(
図19(a)のように取っ手25を横倒しにしたときの上方をいう)から差し込み、上方に抜き取ることにより出し入れするが、円柱フック47を取っ手25で保持しているときに使用者が散水ノズル5を前方(細溝45のある方向)に強く引っ張ると、取っ手25のうち細溝45の周囲の一部分が弾性変形して円柱フック47を逃がし、その後取っ手25は元の形状に戻る。
このようなスナップフィット形状としたことにより、散水ノズル5を取っ手25から容易に取り外せるとともに、取り外しに伴う取っ手25の破損を防止することができる。
【0095】
フック43の幅、球形フック46の直径、円柱フック47の直径は、3〜20mmとするのが好ましい。
上記幅または直径を3mm未満にすると、受け口に引っ掛かる力が弱くなって脱落するおそれがある。
上記幅または直径を20mmよりも大きくすると、それに伴い散水ノズル5が大型化し、扱いにくくなってしまう。上記幅または直径を8mm以下とするのがより好ましい。
【0096】
この例でも、受け口44の上方から円柱フック47を差し込むと、円柱フック47が細溝45に挟まれる位置で保持されることにより、散水ノズル5を希釈装置本体2に取り付けることができる。
これにより、取っ手25をどちらの方向に横倒しにしても散水ノズル5を取り付けることができる。さらに、2つの円柱フック47、47のうち任意の片方を取っ手25の受け口44に差し込んで保持させることができるので、散水ノズル5の取付角度を選択できて、ホース4の捩れや潰れを防止することができる。
また、円筒状の受け口44へ擬似円柱形状の円柱フック47を取り付けることにより、散水ノズル5を希釈装置本体2に強固に固定することができるとともに、破損しにくくすることができる。
【0097】
<第七実施形態>
第七実施形態は、希釈装置本体2に取り付けられるホースニップル13(
図1、
図6参照)に水の逆止弁を内蔵して水の逆流を防止するとともに、希釈装置本体2に対してネジ結合で着脱可能としている。
これにより、逆止弁の故障時にホースニップル13を交換することができ、液剤希釈散水装置1のメンテナンスを容易にすることができる。
【0098】
<第八実施形態>
図1、
図2に示すように、第一実施形態では散水ノズル5の延在方向に対して斜めに散水をするように散水口10を傾けて形成しているが、第八実施形態では、散水口10を傾けずに、散水ノズル5の延在方向に向けて散水をするようにしている。
このときには、通水用のボタン11aと止水用のボタン11bとの一方にマークや凹凸を設けて区別できるようにすることが好ましい。
これにより、散水ノズル5に散水方向に上下の向きによる差異がなくなるため、散水ノズル5の操作の自由度を向上させることができる。
【0099】
第六実施形態、第七実施形態、第八実施形態においても、取っ手25の幅W1、高さH1、散水ノズル5を取り付ける箇所以外に形成される凹み部分の幅W2、深さD2、肉厚は、第一実施形態と同様に設定することが好ましい。