【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 2011年12月 美津濃株式会社発行 「Autumn & Winter MIZUNO ATHLETIC APPAREL 2012collection」 に発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記容器収納部と前記第1と第2の固定部との間に、前記容器収納部が設けられた部分における前記本体部より柔軟性を有する、軟質部をさらに備える、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のウエストバッグ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ランニング等体の揺れを伴う移動時や運動時に収納具を携行する場合は、装着者の体の揺れに伴ってウエストバッグの揺れも大きくなりやすい。これは、運動時の動作を妨げ、装着者の体に負荷を掛けることに繋がる。
【0006】
特開2010−188093号公報、および特許第4549257号公報は、ベルトに対して垂直方向に携帯用飲料容器を配置しおり、かつベルトと収納部とが広く面接触するように考慮されて設けられていない。これにより、揺れを伴う移動時や運動時等において、従来の容器収納具は、ベルトに対して平行方向にも、垂直方向にも揺れやすい。さらに、特開2010−188093号公報に開示されたボトルホルダーは、ボトルの中央部をベルト1本で固定する構成であり、特許第4549257号公報に開示された容器収納具は、容器を下から直接もしくは間接的に支持する構成であり、いずれも収納された容器の揺れについて考慮されていない。よって、特にランニング等の運動時には、容器収納部本体の揺れに加えて、収納部内の容器の揺れも激しくなる。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。この発明の主たる目的は、移動時や運動時等のウエストバッグ本体の揺れのみならず、ウエストバッグに収納した容器の揺れをも抑制できるウエストバッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るウエストバッグは、
長手方向を有する本体部と、
該本体部の長手方向の両側に設けられた固定具と、本体部に設けられ開口部を有する容器収納部と、容器収納部の
長手方向の両側に位置して装着者の骨盤に沿うように設けられた第1と第2の固定部とを備える。容器収納部は、容器の外周を支持可能な支持部と、容器を内部に受け入れ可能なカバーとを含み、カバーは伸縮性を有する伸縮部と、低伸縮部より伸縮性の低い
2つの低伸縮部とを有する。
2つの低伸縮部は、長手方向に垂直な方向において伸縮部を挟むとともに、当該垂直な方向におけるける各一端が本体部に接続され、各他端が伸縮部に接続されている。
【0009】
上記容器収納部が設けられた部分における本体部は、カバーよりも剛性が高いほうが好ましい。上記伸縮部は、カバーの一端から他方端に達するように、本体部の長手方向に延在してもよい。上記容器収納部の開口部の幅は、容器収納部の内部の幅よりも広くできる。容器収納部と第1と第2の固定部との間には、容器収納部が設けられた部分における本体部より柔軟性を有する、軟質部を備えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のウエストバッグは、支持部と、伸縮部および低伸縮部を有するカバーとを含む容器収納部を備えるので、容器を締め付けて拘束することができ、移動時や運動時等においてもウエストバッグに収納した容器の揺れを抑制できる。また、装着者の骨盤に沿うように設けられた第1と第2の固定部を備えるので、移動時や運動時等においてもウエストバッグ本体の揺れを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には、同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について説明する。はじめに、
図1〜
図3を参照して実施の形態1に係るウエストバッグ1の構成について説明する。
図1および
図2に示すように、実施の形態1に係るウエストバッグ1は、容器収納部5を含む本体部3と、装着者の体に固定するための固定具2とを備える。
【0014】
固定具2としては、装着者の体にウエストバッグ1を固定可能な構造を有するものであれば、任意の素材、構造を採用可能である。
図1および
図2の例では、固定具2は、本体部3の両側から延びる2本のベルトと、それぞれに設けられた接続部品により構成されている。
【0015】
本体部3は、開口部8を有し容器を収納可能な容器収納部5と、容器収納部5の両側に、装着者の骨盤に沿うように設けられた第1と第2の固定部4a,4bとを備える。
【0016】
容器収納部5は、容器の外周を支持可能な支持部7と、容器を内部に受け入れ可能なカバー6とを含み、開口部8を有する。
図3に示すように、支持部7とカバー6とは、いずれも本体部3上に設けられる。
【0017】
支持部7は、複数設けられ、該支持部7とカバー6との間に容器を収納した際に、容器の外表面を複数箇所で支持することができる。また、支持部7とカバー6とで容器を拘束し、ウエストバッグ1を装着時に、容器の揺れや回転を抑制することができる。
図1および
図2の例では、支持部7とカバー6とは、容器収納部5の長手方向の一端から他方端に達するよう延在しているが、支持部7とカバー6とで、装着時の容器の揺れや回転を抑制可能に構成できる限りにおいて、本体部3の長手方向に一体として形成されていなくてもよい。容器収納部5を、本体部3の長手方向に沿って、本体部3上に設けることで、長手方向への容器の揺れを抑制できる。
【0018】
支持部7は、容器の形状に合わせて任意の形状を採用可能であり、かつ任意の数で構成可能である。
図1〜
図3の例では、円柱形の容器を収納する目的で設計しており、凸部を2箇所に設けている。支持部7の素材としては、可撓性を有する任意の素材を使用可能であるが、
図1〜
図3の例ではポリエチレンを採用している。
【0019】
カバー6は、伸縮性を有する伸縮部6aと、伸縮部6aより伸縮性の低い低伸縮部6bとを有する。これにより、カバー6は、容器の外周を締め付け可能となる。低伸縮部6bの伸長率は10%以下が好ましい。一方、伸縮部6aの伸長率は20%以上が好ましい。それにより、支持部7に対し容器を押し付けることができ、容器を拘束できる。その結果、ウエストバッグ1装着時の容器の揺れや回転を低減することができる。
【0020】
伸縮部6aは、カバー6の一端から他方端に達するように、本体部の長手方向に延在するのが好ましい。この場合には、カバー6の長手方向全体が容器の外周を締め付ける機能を有することになる。また、
図1〜
図3の例では、カバー6は、伸縮部6aを低伸縮部6bで挟んだ構成を採用しているが、伸縮部6aと低伸縮部6bとを有し、装着時の容器の揺れや回転を低減可能であれば、任意の構成を選択可能である。
【0021】
伸縮部6aの素材としては、伸縮性を有する任意の素材を使用可能であるが、
図1〜
図3の例では、ナイロン83%、ポリウレタン17%の合成素材よりなるパワーメッシュ生地を採用している。低伸縮部6bの素材としては、伸縮部6aより伸縮性の低い任意の素材を使用可能であるが、
図1〜
図3の例では、ポリエステルを採用している。
【0022】
容器収納部5が設けられた部分における本体部3は、カバー6よりも剛性が高いほうが好ましい。これにより、容器を収納時に、容器収納部5が設けられた部分における本体部3が、容器の形状に沿って変形することを抑制することができる。つまり、装着者の装着部とウエストバッグ1の本体部3との接触面積を大きく取ることができ、ウエストバッグ1は、ウエストバッグ1の揺れや位置ずれを抑制できる。移動時や運動時においてもウエストバッグ1を安定させることができ、装着者の動きを妨げない。容器収納部5が設けられた部分における本体部3の素材としては、剛性を有する任意の素材が使用可能であるが、
図1〜
図3の例では、ポリエチレン板を採用している。
【0023】
容器収納部5は、開口部8を有するが、容器収納部5の開口部8の幅W1は、容器収納部5の中間部の幅W2より広く設けることができる。ここで、容器収納部5の幅とは、本体部3とカバー6との接合部間の距離をいうものと定義する。開口部8の幅W1を、容器収納部5中間部の幅W2より広くすることで、容器収納部5内部の容器に対して締め付ける効果を有しながら、容器の出し入れを容易にすることができる。
【0024】
第1と第2の固定部4a,4bは、装着者の骨盤に沿うように設けられる。これにより、本体部3が装着者の体に適合するため、本体部3を装着者の体に強固に固定することができる。このことも、運動時におけるウエストバッグ1の揺れ抑制に寄与し得る。
図1および
図2の例では、ウエストバッグ1の形状は骨盤の形をもとに設計している。骨盤の形は男女で異なるため、ウエストバッグ1の形状は、装着者を男女に区別して異なる形状とするのが好ましい。
【0025】
装着者の骨盤に沿うような第1と第2の固定部4a,4bの構成として、例えば、装着者の骨盤に引っ掛ける構成や、骨盤を挟みこむ構成を採ることができる。装着時のウエストバッグ1の、本体部3の長手方向および長手方向に垂直な方向への揺れや位置ずれを抑制するためには、第1と第2の固定部4a,4bは、前記骨盤を挟み込む構成とするのが好ましい。また、第1と第2の固定部4は、2以上の複数部位で構成されてもよいし、クッション性を有する素材で設けられてもよい。第1と第2の固定部4の素材としては、エーテル系ウレタンエラストマー、エステル系ウレタンエラストマーなどのウレタン系エラストマー、ポリスチレンエラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)エラストマーなどのスチレン系エラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーなどのオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーまたはポリアミド系エラストマーといった、クッション性を有する任意の素材を使用可能であるが、
図1と
図2の例ではポリエチレンを採用している。
【0026】
容器収納部5の両側であって、第1と第2の固定部4a,4bと容器収納部5との間の本体部3には、容器収納部5が設けられた部分における本体部3よりも柔軟性のある、軟質部9を設けている。剛性の高い容器収納部5が設けられた部分における本体部3と、第1と第2の固定部4との接続部に、容器収納部5が設けられた部分における本体部3より柔軟性を有す軟質部9を設けることにより、ウエストバッグ1と装着者における装着部位との適合性をより向上させることができる。
【0027】
軟質部9は、上記柔軟性に加えて、容器収納部5が設けられた部分における本体部3より伸縮性を有してもよい。これにより、ウエストバッグ1と装着者における装着部位との適合性をさらに向上させることができる。軟質部9の素材としては、例えば、ポリウレタンやゴムといった伸縮性を有する任意の素材を使用可能であるが、
図1と
図2の例では、ポリエステルのダブルラッセル生地を採用している。
【0028】
図4を参照して、本発明の実施の形態1に係るウエストバッグ1の装着例を示す。具体的には、
図4は、ウエストバッグ1に円筒形の容器10を収納し、装着者の腰部に装着した状態を示す。
【0029】
図4に示すように、本体部3の剛性がカバー6より高いために、本体部3が容器10の外周に沿う大きな曲率となることを抑制できる。そのため、装着者の体と本体部3とが線接触したような状態を回避でき、接触面積を増大させることができる。これにより、装着者の体の揺れに伴うウエストバッグ1の揺れ、特に本体部3長手方向に垂直な方向への揺れを低減でき、ウエストバッグ1の位置ずれを低減できる。その上、カバー6は、伸縮部6aと低伸縮部6bとを有するので、容器10の外周に当接して、締め付けることができる。これにより、支持部7に対し容器を押し付けて支持部7を変形させることができ、カバー6と支持部7とで容器10を拘束することができる。その結果、容器10の揺れや回転を抑制できる。
【0030】
なお、本発明の実施の形態1に係るウエストバッグ1が収納可能な容器としては、固体、液体、気体の三態いずれかを収めた容器でもよいし、混合物を収めた容器でもよい。容器の形状は、カバー6と支持部7の形状および構成を変更することで、略円筒形に限らず、適用可能である。
【0031】
以上のように、本実施の形態1に係るウエストバッグ1は、ウエストバッグ1自体の揺れや位置ずれを抑制可能とするために、容器収納部5が設けられた部分における本体部3の剛性をカバー6より高くし、さらに装着者の骨盤に沿うように設けられた第1と第2の固定部4を備えている。また、本実施の形態1に係るウエストバッグ1は、容器10の揺れや回転を抑制するために、支持部7と、伸縮部6aと低伸縮部6bとを有するカバー6とで、容器10を締め付けて拘束可能に構成されている。
【0032】
本願の発明者らは、本発明の実施の形態1に係るウエストバッグ1における容器収納時の揺れを評価したので、その結果について説明する。本発明例として、
図1〜
図3に示すウエストバッグ1を準備した。比較例として、支持部が形成されておらず、容器収納部全体が伸縮性部材からなり、容器収納部が設けられた部分における本体部は剛性を有さない、市販ボトルポーチを準備した。容器には、500mlの液体を収めた略円筒形ペットボトルを用いた。
【0033】
装着者の背中と、ウエストバッグ1のカバー上とに、それぞれ1点ずつ測定用の定点を定め、2点間の距離の変化をランニング時に測定した。男女2名ずつの4名の被験者が5分間ランニングし、ランニング開始から3分経過時から、1歩の動作における2点間の距離の最長と最短の差を算出し、これを5回繰り返して5歩の平均値を求め、ウエストバッグ1の揺れとして評価した。
【0034】
評価の結果、被験者4名中3名で、本発明の実施の形態1に係るウエストバッグ1は、比較例に比べ揺れを小さく抑制できていることが確認できた。なお、1名については、本発明例と比較例との揺れの差を確認できなかったが、4名中3名については揺れの差を確認できたので、本発明例の方が比較例よりも揺れを抑えられるといえる。
【0035】
また、本願の発明者らは、本発明の実施の形態1に係るウエストバッグ1における揺れに対して、容器収納部が設けられた部分における本体部の剛性が与える効果を評価した。本発明例として、容器収納部が設けられた部分における本体部を構成するポリエチレン板の厚みのみが異なる
図1〜
図3に示すウエストバッグ1を2つ準備した。具体的には、ポリエチレン板の厚みが1.0mmと1.5mmの2種を用意した。
【0036】
なお、ポリエチレン板の剛性をガーレ式試験機にて、荷重取付孔と支点間距離100mm、錘200g、試験片長さ25mm、試験片幅6mmの条件で測定したところ、ポリエチレン板厚が1.0mmでは、剛軟度指数値1.3mN、ポリエチレン板厚が1.5mmでは、剛軟度指数値4.6mNであった。また、本発明例において、容器として略円筒上のペットボトル(直径約70mm)を収納したときの、容器収納部が設けられた部分における本体部を構成するポリエチレン板の曲率半径はR定規で測定し、カバーの伸縮部の伸長率はオートグラフにより測定した。結果は、ポリエチレン板の厚みが1.0mmでは、曲率半径Rは100mm、伸縮部の伸長率は20〜30%であり、ポリエチレン板の厚みが1.5mmでは、曲率半径Rは150mm、伸縮部の伸長率は20〜50%であった。比較例として、支持部が形成されておらず、容器収容部全体が非伸縮性部材からなり、容器収納部が設けられた部分における本体部が剛性を有する市販ボトルポーチと、支持部が形成されておらず、容器収容部全体が伸縮性部材からなり、容器収納部が設けられた部分における本体部が剛性を有さない市販ボトルポーチとを準備した。
【0037】
揺れの評価方法は実施例1と同じ手法である。男性0名、女性3名の3名の被験者が、5分間ランニングし、ランニング開始から3分経過時から、1歩の動作における2点間の距離の最長と最短の差を算出し、これを3回繰り返して3歩の平均値を求め、揺れとして評価した。
【0038】
評価の結果、被験者3名中3名で、本発明の実施の形態1に係るウエストバッグ1は、比較例と比べて概ね揺れを抑制でき、特にポリエチレン板が1.5mmと厚い場合に揺れを抑制する効果が大きいことが確認できた。ポリエチレン板を厚くすることで容器収納時の容器収納部が設けられた部分における本体部の曲率を抑え、装着者の体との接触面積を大きく取ることができ、ウエストバッグ1の揺れを抑制できるといえる。
【0039】
以上のように、本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲のすべての変更が含まれることが意図される。