(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態のハイブリッド自動車(自動車)10について、
図1乃至
図3を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態であるハイブリッド自動車10を模式的に示し、このハイブリッド自動車10を車両上下方向における上方側から目視した状態を示す平面図である。
【0019】
また、
図2は、本発明の一実施の形態であるハイブリッド自動車10を模式的に示し、このハイブリッド自動車10を車幅方向における左方側から目視した状態を示す側方図であり、
図3は、
図1における線I−I´を示す断面図である。
【0020】
図1乃至
図3に例示されるように、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、このハイブリッド自動車10の進行方向における前方側にエンジン(内燃機関)11を備えて構成されている。このエンジン11には、図示しないクラッチが接続されている。そして、クラッチには、トランスミッション12が接続されている。
【0021】
すなわち、ハイブリッド自動車10は、トランスミッション12にクラッチを介してエンジン11からの駆動力を伝達している。このトランスミッション12は、無段変速機等を用いて構成されている。そして、トランスミッション12には、図示しない前差動歯車が接続されている。なお、本実施の形態において、
図1及び
図2に示したトランスミッション12の部位には、このトランスミッション12に限らず、例えば、モータ等の他の機器を配設しても良い。
【0022】
この前差動歯車には、図示しない左右の前輪駆動軸が接続されている。すなわち、ハイブリッド自動車10は、左右の前輪駆動軸に前差動歯車を介してエンジン11の駆動力を伝達している。
【0023】
そして、トランスミッション12には、プロペラシャフト13が接続されている。このトランスミッション12は、図示しないギアを備えて構成されている。そして、トランスミッション12のギアが前差動歯車のリングギアに噛み合っているため、駆動力の一部がプロペラシャフト13に伝達されている。
【0024】
このプロペラシャフト13は、車両上下方向におけるフロアパネル14の下面側に車両前後方向に沿って延設されている。そして、プロペラシャフト13の車両前後方向における後方側には、図示しない後差動歯車が接続されている。この後差動歯車には、図示しない左右の後輪駆動軸が接続されている。すなわち、駆動力の一部は、プロペラシャフト13から後差動歯車を介して左右の後輪駆動軸に伝達されている。
【0025】
また、車両上下方向におけるフロアパネル14の下面側には、プロペラシャフト13とともに、エンジン11から発生する排ガスを排出するための排気管9が配設されている。このように、車両上下方向におけるフロアパネル14の下面側には、上述したように、少なくともプロペラシャフト13及び排気管9が配設されている。
【0026】
本実施の形態において、ハイブリッド自動車10は、プロペラシャフト13及び排気管9の他に、車両上下方向におけるフロアパネル14の下面側にバッテリパック15を備えて構成されている。
【0027】
このバッテリパック15は、バッテリモジュール16、BCU(バッテリコントロールユニット)17、配線ケーブル18及びジャンクションボックス19をまとめ、アッセンブリとしての役目を果たしている。
【0028】
すなわち、本実施の形態のバッテリパック15は、一体型で構成されている。ここで、ハイブリッド自動車10は、上述したように、フロアパネル14の下面に車両前後方向に沿ってプロペラシャフト13を備えて構成されている。
【0029】
このため、従来のハイブリッド自動車10は、FR駆動方式及び4WD駆動方式の車両のフロアパネル14の下面にバッテリパック15を搭載する場合、車幅方向でプロペラシャフトを挟んで分けて構成されている。
【0030】
これに対し、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、上述したように、FR駆動方式及び4WD駆動方式のようなプロペラシャフト13を必要とする車両に一体型のバッテリパック15を搭載している。
【0031】
具体的には、このバッテリパック15は、車両前後方向で前方側、中央及び後方側に分けて前方側領域21、中央領域22及び後方側領域23から構成されている。さらに、バッテリパックの中央領域22は、この中央領域22とともに、車幅方向で中央領域22を挟んで右方側及び左方側に右方側領域24及び左方側領域25から構成されている。
【0032】
すなわち、バッテリパック15は、前方側領域21、中央領域22、後方側領域23、右方側領域24及び左方側領域25からなる5つの領域に分けて構成されている。そして、バッテリパック15は、これら前方側領域21、中央領域22、後方側領域23、右方側領域24及び左方側領域25の何れかに、バッテリモジュール16、BCU(バッテリコントロールユニット)17、配線ケーブル18及びジャンクションボックス19を配設し、上述したように、アッセンブリとしての役目を果たしている。
【0033】
ここで、本実施の形態のバッテリパック15を構成するバッテリモジュール16、BCU(バッテリコントロールユニット)17、配線ケーブル18及びジャンクションボックス19については、既知の技術であるため、詳細な説明は省略し、簡易的な説明で留める。
【0034】
バッテリモジュール16は、バッテリパック15の右方側領域24及び左方側領域25の夫々に配設されている。このバッテリモジュール16は、駆動モータにこの駆動モータの駆動源である電力を供給する役目を果たしている。
【0035】
なお、本実施の形態において、バッテリパック15は、上述したように、車幅方向でプロペラシャフト13を挟んだ左右の夫々に2個のバッテリモジュール16を備えて構成されているが、例えば、左右の夫々に1個の大型のバッテリモジュール16を備えても良い。また、左右の夫々に3個の小型のバッテリモジュール16を備えても良い。
【0036】
BCU17は、バッテリパック15の中央領域22に配設されている。このBCU17は、バッテリモジュール16を制御する役目を果たしている。すなわち、BCU17は、バッテリモジュール16の状態を把握するために、このバッテリモジュール16の電圧、電流及び温度等を測定している。また、BCU17は、バッテリモジュール16から駆動モータへの電力の入力を監視している。
【0037】
配線ケーブル18は、BCU17と同様にバッテリパック15の中央領域22に配設されている。この配線ケーブル18は、各バッテリモジュール16を繋ぐ役目を果たしている。
【0038】
そして、配線ケーブル18には、ジャンクションボックス19が配設されている。このジャンクションボックス19は、各配線ケーブル18同士を結合、分岐、中継する役目を果たしている。
【0039】
このように、本実施の形態のバッテリパック15は、前方側領域21、中央領域22、後方側領域23、右方側領域24及び左方側領域25の各領域にバッテリモジュール16、BCU(バッテリコントロールユニット)17、配線ケーブル18及びジャンクションボックス19を配設し、一体型で構成されている。
【0040】
したがって、本実施の形態のハイブリッド自動車10によれば、BCU17、配線ケーブル18及びジャンクションボックス19等の部品点数を軽減させることが可能になり、コストを低減させることができる。
【0041】
また、バッテリパック15は、上述したように、一体型で構成されているため、このバッテリパック15を取り付ける際、フロアパネル14にピンを挿通させて取り付けることが可能になるため、取り付け作業を容易に行うことが可能になる。
【0042】
また、本実施の形態において、バッテリパック15は、エンジン11のカバー部材にバッテリパック15の前方側を連結させている。このように、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、一体型のバッテリパック15で構成しているため、分離型のタイプよりも連結個所を容易に増やすことが可能になり、バッテリパック15を強固に連結することが可能なる。
【0043】
このように、本実施の形態のハイブリッド自動車10によれば、プロペラシャフト13を必要とする車両のフロアパネル14の下方面に一体型のバッテリパック15を搭載することで、このバッテリパック15の着脱時の作業性を向上させることが可能になる。
【0044】
また、本実施の形態のハイブリッド自動車10によれば、フロアパネル14の下面側のうち、前列シートの下方にバッテリパック15を搭載している。ここで、前列シートの下方は、車輪から最も離れた位置であるため、他の部位よりも比較的、広いスペースとなっている。
【0045】
このため、本実施の形態のハイブリッド自動車10によれば、フロアパネル14の下方側にバッテリパック15を配設しても、車室内空間を狭めることを抑止し、車室内空間への影響を低減させることが可能になる。
【0046】
そして、一体型で構成されたバッテリパック15は、フロアパネル14の下方側面にプロペラシャフト13を覆って配置されている。また、バッテリパック15は、プロペラシャフト13を収容する凹部26を備えて構成されている。すなわち、バッテリパック15は、凹部26によりプロペラシャフト13を避けてフロアパネル14の下面側に配設されている。
【0047】
ここで、本実施の形態のバッテリパック15は、車両上下方向における最も下方側に配設されている。すなわち、バッテリパック15は、例えば、リアシートの背面側等のような凹凸をなして形成された部位に設置されていないため、車両上下方向における下方面を任意の形状に形成することが可能になる。
【0048】
したがって、バッテリパック15は、このバッテリパック15の底面を平滑に形成されている。このため、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、バッテリパック15を構成するバッテリモジュール16、BCU(バッテリコントロールユニット)17、配線ケーブル18及びジャンクションボックス19の配設、特に、BCU17、配線ケーブル18及びジャンクションボックス19の配線を容易に行うことが可能になり、作業性を向上させることができる。
【0049】
また、本実施の形態のバッテリパック15の凹部26は、この凹部26のプロペラシャフト13に対向する対向面に断熱部材を備えて構成されている。この断熱部材は、例えば、凹部面自体を断熱板で構成している。
【0050】
これにより、本実施の形態のバッテリパック15は、バッテリパック15から発生する熱の凹部26への伝達を抑制することが可能になる。一方で、バッテリパック15は、凹部26内に収容された排気管から発生する熱のバッテリパック15への伝達を抑制することが可能になる。
【0051】
また、バッテリパック15は、上述したように、フロアパネル14の下方側面にプロペラシャフト13を覆って配置され、すなわち、車両上下方向における下方側からプロペラシャフト13を覆うように配設されているため、プロペラシャフト13を受け持つ受け部として機能させることが可能なる。
【0052】
これにより、本実施の形態のバッテリパック15は、プロペラシャフト13の脱落を抑止することが可能になる。ここで、プロペラシャフト13が脱落すると、このプロペラシャフト13の張力により車両を浮き上がらせてしまう、いわゆる、棒高跳び現象が生じてしまう可能性がある。
【0053】
すなわち、本実施の形態のバッテリパック15は、プロペラシャフト13を受け持つことで、棒高跳び現象の発生を予防することが可能になり、安全性を高めることができる。
【0054】
また、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、バッテリパック15の後方側領域23に、このバッテリパック15内に冷却風を供給するための冷却装置30を接続させている。
【0055】
この冷却装置30は、冷却風を導出する冷却ファン31と、バッテリパック15に冷却ファン31の冷却風を送風する冷却ダクト32と、を備えて構成されている。この冷却装置30を構成する冷却ファン31及び冷却ダクト32は、既知の技術であるため、説明を省略する。
【0056】
ここで、本実施の形態のバッテリパック15は、上述したように、一体型で構成されている。すなわち、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、バッテリパック15内に冷却ファン31から送風された冷却風を分散させることなく送風しているため、バッテリパック15内に均一に送風させることが可能になる。
【0057】
これにより、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、バッテリパック15内のバッテリモジュール16の温度のバラつきを抑制することが可能になる。
【0058】
このように、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、プロペラシャフト13を必要とする車両に一体型のバッテリパック15を配設させることが可能になることで、バッテリパック15内の温度のバラつきを抑制することができる。
【0059】
本実施の形態において、ハイブリッド自動車10は、フロアパネル14にバッテリパック15を摺動可能に支持する摺動支持部40を備えて構成されている。そして、ハイブリッド自動車10は、フロアパネル14及びバッテリパック15に跨ってサービスプラグ55を設けて構成されている。これら摺動支持部40及びサービスプラグ55について
図4乃至
図6を用いて説明する。
【0060】
図4は、本発明の一実施の形態であるハイブリッド自動車10におけるバッテリパック15を模式的に示し、このバッテリパック15の外観を示す外観斜視図であり、
図5は、本発明の一実施の形態であるハイブリッド自動車10における摺動支持部40を模式的に示し、この摺動支持部40の第1の状態を
図4におけるA部を拡大して示す拡大外観斜視図である。
【0061】
また、
図6は、本発明の一実施の形態であるハイブリッド自動車10における摺動支持部40を模式的に示し、この摺動支持部40の第2の状態を
図4におけるA部を拡大して示す拡大外観斜視図である。
【0062】
図4乃至
図6に例示されるように、本実施の形態の摺動支持部40は、上述したように、車両への衝突により生じる衝撃に応じて、バッテリパック15を摺動可能となるよう支持する役目を果たしている。
【0063】
具体的には、摺動支持部40は、フロアパネル14にバッテリパック15を連結させるための支持部材41と、この支持部材41を摺動させるための摺動レール42と、を備えて構成されている。
【0064】
本実施の形態において、支持部材41は、この支持部材41を構成する円柱状の基部43の一端側に矩形状の矩形状部44を備えて構成されている。また、支持部材41は、基部43の他端側にフロアパネル14との連結部を備えて構成されている。
【0065】
また、摺動レール42は、この摺動レール42を車両上下方向における上方側から正面視すると、十字形状を呈して形成されている。この十字形状を呈して形成された摺動レール42は、中心部に円形状を呈して形成された円形状部45を備えて構成されている。
【0066】
そして、この円形状部45に基部43を挿通させ、円形状部45に矩形状部44を引っ掛けることで、フロアパネル14にバッテリパック15が吊下されている。
【0067】
なお、本実施の形態において、基部43及び円形状部45は、上述したように、円形状を呈して形成されているが、基部43及び支持部材41の形状が互いにほぼ同形状のものであれば、特に限定されず、例えば、矩形状、楕円形状等で形成しても良い。
【0068】
また、摺動レール42は、円形状部45の他に、円形状部45から車両前後方向及び車幅方向の夫々に延設して形成された第1直線状部46、第2直線状部47、第3直線状部48及び第4直線状部49を備えて構成されている。
【0069】
この際、これら第1直線状部46、第2直線状部47、第3直線状部48及び第4直線状部49は、支持部材41の基部43の外径よりも小さい幅を呈して形成されている。そして、これら第1直線状部46、第2直線状部47、第3直線状部48及び第4直線状部49の端部には、支持部材41の外径とほぼ同形状の第1楕円形状部50、第2楕円形状部51、第3楕円形状部52及び第4楕円形状部53が形成されている。
【0070】
すなわち、本実施の形態の摺動支持部40は、通常時には、摺動レール42の円形状部45に支持部材41を位置させている。一方、摺動支持部40は、衝撃時には、第1直線状部46、第2直線状部47、第3直線状部48及び第4直線状部49に円形状部45を通過させて、摺動レール42の第1楕円形状部50、第2楕円形状部51、第3楕円形状部52及び第4楕円形状部53に支持部材41を位置させている。
【0071】
ここで、これら第1楕円形状部50、第2楕円形状部51、第3楕円形状部52及び第4楕円形状部53は、上述したように、楕円形状を呈して形成されているため、これら第1楕円形状部50、第2楕円形状部51、第3楕円形状部52及び第4楕円形状部53の何れかに支持部材41を位置させた際、僅かに隙間を持たせているため、反力を低減させることが可能になる。
【0072】
なお、本実施の形態の第1楕円形状部50、第2楕円形状部51、第3楕円形状部52及び第4楕円形状部53は、上述したように、楕円形状を呈して形成されているが、移送された支持部材を受け入れ可能なものであれば、この形状に限定されず、円形状、矩形状等で形成しても良い。
【0073】
このように、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、摺動支持部40により、車両への衝突により生じる衝撃に応じて、この衝撃方向にバッテリパック15を移動させることで、バッテリパック15自体の圧潰を抑制している。これにより、ハイブリッド自動車10は、車両への側突により生じる衝撃に対し、この衝撃を吸収している。
【0074】
これにより、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、車両への衝突により生じる衝撃に対し、バッテリパック15の破損を抑制することが可能になる。このため、ハイブリッド自動車10は、バッテリパック15の破損を抑制することで、バッテリパック15を構成するバッテリモジュール16を保護することができる。
【0075】
なお、本実施の形態において、摺動支持部40は、車両前後方向及び車幅方向の何れにもバッテリパック15を摺動可能となるよう形成された摺動レール42を備えて構成されているが、例えば、車両前後方向のみに摺動可能となるよう支持しても良いし、車幅方向のみに摺動可能となるよう支持しても良い。また、さらには、摺動支持部40は、例えば、車両斜め方向でバッテリパック15を摺動可能となるよう支持しても良い。
【0076】
また、本実施の形態において、摺動支持部40は、上述したように、支持部材41及び摺動レール42により構成されているが、バッテリパック15を摺動可能となるよう支持するものであれば、特に限定されない。
【0077】
また、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、摺動支持部40によるバッテリパック15の移送を契機として離設可能となるように配設されたサービスプラグ55を備えて構成されている。
【0078】
このサービスプラグ55は、バッテリモジュール16から生じる高電圧を遮断する役目を果たしている。このため、サービスプラグ55は、バッテリパック15の着脱時に、高電圧を遮蔽することで、安全に作業を行えるようにしている。
【0079】
そして、サービスプラグ55は、フロアパネル14及びバッテリパック15を跨って配設されている。これにより、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、衝撃時に、摺動支持部40によるバッテリパック15の移送を契機として離設可能となる。
【0080】
このため、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、衝撃時にバッテリモジュール16の電圧を遮断させているため、安全性を高めることができる。
【0081】
また、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、バッテリパック15に脆弱部54を備えて構成されている。この脆弱部54は、他の部位よりも耐衝撃性能を落としている。そして、この脆弱部54は、プロペラシャフトの下方に位置している。
【0082】
すなわち、脆弱部54は、BCU、配線ケーブル及びジャンクションボックスを収容している中央領域22に位置している。一方、バッテリモジュール16を収容している右方側領域24及び左方側領域25は、中央領域22よりも剛性を高めて強固にしている。
【0083】
このため、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、脆弱部54から圧壊するように構成されている。これにより、ハイブリッド自動車10は、右方側領域24及び左方側領域25に配設されたバッテリモジュール16を保護することが可能になる。したがって、ハイブリッド自動車10は、バッテリモジュール16からバッテリ液の漏れを予防することができ、例えば、バッテリモジュール16の破損を予防することができる。
【0084】
次に、本発明の一実施の形態であるハイブリッド自動車10における車幅方向からの側突時のバッテリパック15の作用について、
図6乃至
図8を用いて説明する。
図7は、本発明の一実施の形態であるハイブリッド自動車10の第1の状態を模式的に示し、この第1の状態の
図1における線I−I´を示す断面図であり、
図8は、本発明の一実施の形態であるハイブリッド自動車10の第2の状態を模式的に示し、この第2の状態の
図1における線I−I´を示す断面図である。
【0085】
図6及び
図7に例示されるように、本実施の形態のハイブリッド自動車10において、車両左側方からの衝撃を受けた場合、バッテリパック15が右側に向かって移動する。すなわち、ハイブリッド自動車10は、衝撃方向に向かってバッテリパック15を移動させている。
【0086】
これにより、ハイブリッド自動車10は、車両に衝撃を受けた場合、バッテリパック15自体で吸収することが可能になる。このとき、ハイブリッド自動車10は、バッテリパック15を移動させているため、フロアパネル14及びバッテリパック15を跨いで配設されたサービスプラグ55を破断させている。これにより、ハイブリッド自動車10は、高電圧を抑制することが可能になり、安全性を高めることができる。
【0087】
図8に例示されるように、ハイブリッド自動車10は、さらに車両に強い衝撃を受けた場合、衝撃方向に向かってバッテリパック15を移動させ、フレームにバッテリパック15を当接させた後に、中央領域22に位置する脆弱部54から圧壊させている。
【0088】
これにより、ハイブリッド自動車10は、右方側領域24及び左方側領域25に位置するバッテリモジュール16を保護することが可能になる。このように、本実施の形態のハイブリッド自動車10によれば、バッテリモジュール16を保護することが可能になることで、例えば、バッテリモジュール16の破損を予防することができる。
【0089】
なお、本実施の形態のハイブリッド自動車10は、上述したように、摺動支持部40によりバッテリパック15を移動させた後に、脆弱部54により中央領域22を圧壊させているが、これに限定されず、例えば、フロアパネル14にバッテリパック15を固定させ、脆弱部54のみで衝撃を吸収することも可能である。
【0090】
以上のように、本実施の形態のハイブリッド自動車10によれば、車両の重量を増加させずに車両への衝突により生じる衝撃からバッテリモジュール16を保護することが可能になる。特に、本実施の形態のハイブリッド自動車10によれば、車幅方向からの側突により生じる衝撃からバッテリモジュール16を保護することが可能になる。
【0091】
これにより、本実施の形態のハイブリッド自動車10によれば、上述したように、側突により生じる衝撃からバッテリモジュール16を保護することで、バッテリモジュール16の破損を抑制することが可能になり、例えば、バッテリモジュール16の液漏れを予防することができる。
【0092】
また、本実施の形態のハイブリッド自動車10によれば、車両の重量を増加させずに、上述したような効果を奏するため、例えば、燃費効率の向上に大きく貢献ことができる。