【課題を解決するための手段】
【0009】
当初に記載したタイプの方法を基礎として、本発明による金属プレートの製造方法、即ち、他のプレート本体部に対向する側の面上に、少なくとも1層のアルミニウムまたはアルミニウム合金の層を含む、少なくとも2つのプレート本体部は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の再結晶温度に等しいかそれ以上である温度で熱により前処理され、次いで、ローラで圧延することにより相互に押圧されて、前記プレート本体部に加熱要素が埋め込まれ、かつ前記アルミニウムまたはアルミニウム合金の層はそれぞれの相互に接触する側において相互拡散接合してその厚さが減少し、それによって前記プレート本体部は、確実に結合されるようにそれらの接触し合う全面において相互に接合されて、金属プレートが形成されることを特徴とする方法によって上記の課題は解決される。
【0010】
当初に記載したタイプの金属プレートを基礎として、本発明による金属プレート、即ち、プレート本体部が、それぞれの、他の前記プレート本体部に対向する側の面上に、少なくとも1層のアルミニウムまたはアルミニウム合金の層を含み、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金の層が、前記プレート本体部と加熱要素との接触点以外で、相互拡散接合により確実に接合されるようにそれらの接触し合う全面において接合されていることを特徴とする金属プレートによって上記の課題は解決される。
【0011】
金属プレートにおいて、プレート本体部は他のプレート本体部と、それに対向する側の面の全体で確実な結合により接合され、完成した金属プレートが熱伝導率に影響を及ぼし得るエアギャップを全く持たないようにされる。本発明による方法を適用すると、この接合が、2つのプレート本体部を、埋め込み加熱要素を含む一体構造の金属プレートに変換する望ましい相互拡散接合をもたらすように厚さを減少させることによって可能となる。
【0012】
本発明による方法では、加熱要素のための凹部がない2つのプレート本体部が、圧延処理によって相互に押圧される。加熱要素が挟みこまれるプレート本体部は、圧縮力が圧延ラインに沿って各々のプレート本体部に作用するローラギャップを通して供給される。この結果、加熱要素がプレート本体部に埋め込まれるときに、加熱要素には小さな力しか作用しないことになる。ローラギャップを形成する各ローラの作用を及ぼすことになる表面は、最大その外周の12分の1程度である。従って、プレート本体部に圧力を加える表面は、特許文献1による押圧がプレート本体部の全表面に適用される既知の方法の場合より実質的に小さいものとになる。
【0013】
本発明の方法で得られ、相互拡散接合をもたらす、少なくとも2つのアルミニウムまたはアルミニウム合金の層の厚さの減少は、既知の金属被覆方法に基づく。
【0014】
1921年及び1949年の米国特許第1392416号及び第2468206号を先例とする、John B.Ulamに付与された米国特許第2718690号(特許文献5)には、被覆された金属材料の製造方法が開示されている。この既知の方法では、個々の金属層の間において、接着材料が使われることはない。代わりに、金属の分子構造が相互に結合される。個々の金属層は、表面のあらゆる酸化物、汚染等を除去する機械的処理によってクリーニングされる。この処理は、金属の分子格子構造を露出させるために必要である。次に、金属層を適切な温度まで加熱し、金属の隣接面が圧力を加えることで相互に拡散できるようにする。
【0015】
本発明により、凹部を備えていない金属プレートに加熱要素を埋め込み、かつ完成した金属プレートにおいてエアギャップの存在を防止することを可能とする、上記の既知の方法の有利な利用方法が達成できる。
【0016】
本発明の有利な実施形態は、特許請求の範囲の各従属請求項に記載されている。
【0017】
本発明の方法の一実施形態では、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金の層の厚さの減少量が、相互に押圧される前の全体の厚さに対して最大25%である。この厚さの減少量及びこれを達成するために必要な圧延力は、層の拡散接合を問題なく達成するのに十分なものである。
【0018】
本発明の方法の別の実施形態では、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金の層が、2つのカバー層の間のコア層として配置され、前記カバー層は、鋼鉄、ステンレス鋼、銅またはチタンなどの別の金属の層である。適切なカバー層を用いることによって、例えば、耐腐食性の用途、耐熱性の用途、耐食品性の用途、耐塩水性の用途等の金属プレートの用途に応じて最適な性質をもつようにカスタマイズすることができる。
【0019】
本発明の方法の別の実施形態では、前記金属プレートが、熱仕上げ処理によって、さらなる機械的再形成処理が可能となるような状態にされる。このようにして、例えば、加熱要素の能力を損なうことなく、異なる形状の金属プレートを製造することができる。
【0020】
本発明の方法の別の実施形態では、少なくとも1つの行をなす独立した前記加熱要素の群が、前記プレート本体部に埋め込まれる。このようにして、多数の連続して配置された別々の加熱要素、または金属プレートの長さ方向にわたって連続して延びる1本の加熱要素を備えた長い金属プレートを、連続的な圧延プロセスで製造することが可能となる。
【0021】
本発明の方法の別の実施形態では、前記加熱要素の1つあたり少なくとも1つの温度センサが、前記プレート本体部に埋め込まれる。これによって、後で、例えば本発明の金属プレートを加熱用プレートとして使用する際に、その温度制御が容易になる。
【0022】
本発明の方法の別の実施形態では、前記加熱要素として、管状加熱要素が使用され、前記管状加熱要素においては、管状金属シースに外囲された無機物コアのなかに少なくとも1つの発熱導体埋め込まれ、これによって加熱要素と加熱要素管との間にエアギャップが存在しないようにされる。この実施形態では、発熱導体の電気的絶縁と管への良好な熱伝導とが永久的に確保され、かつ金属プレート内での電気的短絡が排除される。加えて、管状金属シース内に埋め込まれた複数の発熱導体どうしの短絡が防止される。即ち、発熱導体相互の絶縁も永久的に確保される。
【0023】
本発明の方法の別の実施形態では、圧延中または圧延の後に、少なくとも1つの前記加熱要素を既存の隣接する加熱要素から分離するための切り込み部が、前記プレート本体部の1つに形成される。このようにして、連続的な圧延プロセスにおいて、複数の加熱要素を単純な方式で金属プレート中に埋め込むことが可能となる。さらに、完成した金属プレートを独立した加熱要素の群に分けたとき、各加熱要素の群内の個々の加熱要素が相互に熱的に分離されることになる。そのような加熱要素群は、例えば、誘導的に加熱される、または放射線式加熱要素によって加熱されるセラミック式調理器の代わりに用いることができる。この場合、本発明の金属プレートは、少なくとも上側面にステンレス鋼のカバー層を設け、切り込み部がこのカバー層のした側の近傍まで、またはその下側まで達するように形成するのが有用である。尚、ここでは調理器の設計として、EP1553863B8(特許文献6)に記載のものを参照した。
【0024】
本発明の方法の別の実施形態では、前記加熱要素が、らせん状または蛇行するように曲げられる形で、前記プレート本体部の間に配置される。このようにして、独立した加熱プレートを容易に製造し、かつ電気的な接続をなさしめることができる。少なくとも2つの発熱導体が埋め込まれた加熱要素が、ここでは用いられるのが好ましい。蛇行するまたはらせん状の加熱要素は、単純に金属プレート内部に末端を有し得る。
【0025】
本発明の方法の別の実施形態では、前記加熱要素が、前記金属プレートの厚さ方向において一方の側に偏る形で埋め込まれる。この方式は、加熱要素が、熱が必要な側の表面に近い位置に埋め込まれた形になる点で有利である。このようにして、加熱が必要な面の真下で熱が発生されることになる。加熱パネルの場合は、熱を放射すべき面がその両面であり得る。この目的のため、少なくとも2層の一方の面側に偏った位置の層において金属プレート内に加熱要素を配置することが適切である。このようにして、熱出力を増加させることができる。バーベキューグリルの場合、バーベキューにするための熱を放射するのは、その表面である。しかし、この表面の下に2層以上の加熱要素は、バーベキューのための熱出力を増加させるために、金属プレートを一方の面側に偏った位置に配置され得る。本発明による連続的な圧延方法の場合、この配置は、金属プレートの厚さ方向の中心に加熱要素を圧延で埋め込まないようにすることで、簡単に達成することができる。
【0026】
本発明の方法の別の実施形態では、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金の層として、アルミニウムより熱伝導率の高い別の金属に対してアルミニウムまたはアルミニウム合金が貼られた、アルミニウムまたはアルミニウム合金の被覆層が用いられる。この別の金属は、例えば銅である。この実施形態では、拡散接合の補助により、アルミニウムまたはアルミニウム合金の層の良好な接合性と同時に、他の金属の良好な熱伝導性を利用して、加熱プレートとしての用途における金属プレートの効率を向上させられる。
【0027】
本発明による金属プレートの一実施形態では、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金の層が、2つのカバー層の間のコア層として配置され、前記カバー層は、鋼鉄、ステンレス鋼、銅またはチタンなどの別の金属の層である。適切なカバー層を使用することにより、上述のように、例えば、耐腐食性の用途、耐熱性の用途、耐食品性の用途、耐塩水性の用途等の金属プレートの用途に応じて最適な性質をもつように適合させることができる。
【0028】
本発明による金属プレートの別の実施形態では、前記金属プレートが、熱仕上げ処理によって、さらなる機械的再形成処理が可能となるような状態にされる。このようにして、上述のように、例えば、加熱要素の能力を損なうことなく、異なる形状の金属プレートを製造することができる。
【0029】
本発明による金属プレートの別の実施形態では、前記金属プレートが、円筒状に巻かれた製品として製造される。このような円筒状に巻かれた製品は、連続的な圧延プロセスによって製造することができる。金属プレートは、必要に応じて、交互に配置された任意の数の加熱要素または連続的に長く延びる加熱要素を含み得る。このようにして、円筒状の巻かれた製品として製造された金属プレートを、後に適切に切断することで、同形の加熱要素を作りだすことができる。
【0030】
本発明による金属プレートの別の実施形態では、前記加熱要素が、電気的絶縁部を備えた少なくとも1つの金属ワイヤである。この実施形態では、本発明による金属プレートの製造中の熱と圧力負荷に耐えられる電気的絶縁が金属ワイヤ上に存在していれば、非常に簡単に実現することができる。
【0031】
本発明による金属プレートの別の実施形態では、前記加熱要素が管状加熱要素からなり、前記管状加熱要素においては、管状金属シースに外囲された無機物コアのなかに少なくとも1つの発熱導体が埋め込まれる。対応する加熱要素の既知の最も単純な形態は、少なくとも1つの発熱導体が埋め込まれた無機物コアを含む管状金属シースから形成された管状加熱要素である。同様に、2以上の発熱導体を、この無機物コアのなかに互いに離隔された形で埋め込むこともできる。この管状加熱要素の全体の設計は、ワイヤのように巻くことができ、巻かれた形で輸送できるように構成される。そのような管状加熱要素の通常の直径は3mm程度であるが、直径はそれより大きくても小さくてもよい。
【0032】
本発明による金属プレートの別の実施形態では、少なくとも1つの行をなす独立した前記加熱要素の群が、前記プレート本体部に埋め込まれる。このようにして、例えば、上述のように、独立した加熱プレートまたは加熱プレート群に単に切り分けることができる、帯状の金属プレートを製造することができる。
【0033】
本発明による金属プレートの別の実施形態では、前記加熱要素の1つあたり少なくとも1つの温度センサが、前記金属プレートに埋め込まれる。これにより、上述のように、例えば本発明の金属プレートをホットプレートとして使用する際に、その温度制御が容易になる。
【0034】
本発明による金属プレートの別の実施形態では、前記金属プレートに形成された切り込み部を有し、それによって、少なくとも1つの前記加熱要素が、既存の隣接する加熱要素から熱的に分離可能に構成される。このようにして、上述のように、複数の加熱面を有するセラミック式調理器の代わりに、それぞれ少なくとも1つの加熱要素を含む複数の加熱面が設けられ、各加熱面が切り込み部によって隣接した加熱面の加熱要素から熱的に分離される本発明の金属プレートを用いることができる。
【0035】
本発明による金属プレートの別の実施形態では、前記加熱要素が、らせん状または蛇行するように曲げられる形で、前記金属プレートに埋め込まれる。この実施形態では、加熱要素の形状を、金属プレートの用途に応じて選択することが可能となる。
【0036】
本発明による金属プレートの別の実施形態では、前記加熱要素が、前記金属プレートの厚さ方向において一方の側に偏って埋め込まれる。このようにして、金属プレートの他方の面よりより強い熱が必要な面に熱を伝えることが可能となる。
【0037】
本発明による金属プレートの別の実施形態では、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金の層が、アルミニウムより熱伝導率の高い別の金属に対してアルミニウムまたはアルミニウム合金が貼られた、アルミニウムまたはアルミニウム合金の被覆層である。このようにして、上述のように、アルミニウムの良好な拡散接合性と、例えば銅など他の金属の良好な熱伝導性とを組み合わせることが可能となる。
【0038】
本発明の実施形態については、以下の図面を参照しながらより詳細に説明する。