【実施例】
【0013】
実施例に係る横形製袋充填機である包装機10は、運転操作を行うための操作装置12を夫々備えている(
図1および
図2参照)。操作装置12は、WANやLAN等の通信回線Lに接続可能な通信制御部14を備えており、通信回線Lに接続された同一種(同一形式)の他の包装機10の中から、接続先として任意の包装機10を通信制御部14により選択し得るようになっている。すなわち、離れた場所に設置された複数の包装機10は、操作装置12の通信制御部14が通信回線Lを介して互いに接続され、ネットワークに属する他の同一種の包装機10の操作装置12同士が相互にアクセス可能になっている。なお、ネットワークを構成する包装機10が設置される離れた場所としては、例えば、同じ工場で建屋が異なる場所に設置されている包装機10など、主として、同一工場内で、直線距離では比較的近くて目の届く範囲であるが、包装ラインに設置された各種処理装置が障害となって目的の場所へ通路を経て到着するには時間がかかるような場所などが好ましい。また、必要に応じて社内ネットワークで接続可能な他の地域の工場あるいはインターネット接続された他国の工場に設置された同一種の包装機10であってもよい。
【0014】
実施例の操作装置12は、包装機10の作動機構として構成される供給コンベヤ、フィルム搬送機構、エンドシール機構などの各作動機構に対応した動作データやその他の各種制御データに基づいて、包装機10を運転するようになっている。操作装置12は、各作動機構を所定の動作パラメータで作動制御するためのデータ値の入力など、包装機10を運転する各種動作データを設定するための入力手段と、その設定されたデータ値や包装機10の運転に係る様々な設定情報などを表示する表示手段とからなる操作手段であるタッチパネル16を備えている。タッチパネル16は、操作盤18に配設されており、この操作盤18には、包装機10の運転開始を行う起動ボタン20、包装機10の運転停止を行う停止ボタン22、およびボタン操作中のみに包装機10が通常の包装速度より低速で運転される寸動ボタン24などからなる各種運転動作スイッチも配設されている。また、タッチパネル16は、表示制御部26に接続され、この表示制御部26によって各種設定や運転状況など情報からなる操作画面がタッチパネル16に表示される。
【0015】
前記操作装置12には、作業者の熟練度や運転管理権限など、包装機10の運転操作条件に関して複数の操作レベルを定め、その何れかに設定した操作レベル毎に包装機10の運転を行う上で必要な操作を規制するようにした操作制限モードが設けられている。この操作制限モードは、IDやパスワードなどの各人の作業者に設定した識別コード(識別情報)に、操作レベルの内の何れか1つを関連付けしたデータを操作装置12の記憶部(図示せず)に記憶しておくことで、作業者は、割り振られた操作レベルに対する運転管理権限の範囲内で包装機10の操作機能が使用できるようになっている。なお、運転管理権限の中には、通信回線Lを介して接続している他の包装機10をリモート操作し得る操作条件が含まれ、このリモート操作は、熟練度が高い作業者や生産に関する運転管理権限を持つ作業者などの管理責任者が関連付けられる操作レベルで可能とされる。
【0016】
前記操作制限モードにおいてリモート操作可能に設定された操作レベルの管理責任者が操作装置12にログインし、タッチパネル16で所定の操作を行うことで、
図3および4に示すように、タッチパネル16にリモート操作画面28が表示されるようになっている。リモート操作画面28には、該リモート操作画面28の全画面エリアより小さく設定された接続先操作画面表示エリア30と、共通のネットワークに接続された包装機10に対応した識別名を一覧表示するネットワーク表示エリア32とが、互いに区画して配置されている。接続先操作画面表示エリア30の左右の何れか一側方に配置されたネットワーク表示エリア32には、ネットワーク接続された全ての包装機10が個体識別ボタン34に夫々表示されている。そして、個体識別ボタン34の何れかにタッチ操作することで、その個体識別ボタン34に対応付けて行頭に配置された指定状態表示部36にチェックマークが付された表示に変化するなどにより、当該個体識別ボタン34が選択状態にあることが認識できる表示となる。なお、ネットワークに接続されている同一種の包装機10の夫々にIPアドレスが割り振られて、個体識別ボタン34に前記識別名として、そのIPアドレスが初期設定されている。
【0017】
前記リモート操作画面28には、接続先操作画面表示エリア30の下方に、接続先設定エリア38が区画配置されており、この接続先設定エリア38には、接続ボタン40と、複数(実施例では3つ)の接続先切替ボタン42とが設けられている。個体識別ボタン34をタッチ操作して選択状態にすることで、選択された個体識別ボタン34に対応して割り振られた包装機10が、接続先切替ボタン42に自動的に1つずつ割り付けられ、実施例では個体識別ボタン34で選択した3基の包装機10までが3つの接続先切替ボタン42に夫々割り付けられる。また、接続先設定エリア38の夫々の接続先切替ボタン42には、前記個体識別ボタン34に表示された識別名が表示される。そして、複数の接続先切替ボタン42の何れか1つをタッチ操作して選択した後に、接続ボタン40をタッチ操作することで、その識別名として登録された包装機10の操作装置12との通信が開始される。その指定した接続先の包装機10のタッチパネル16に表示された画面と同一の画面が接続先操作画面表示エリア30に表示される。異なる接続先切替ボタン42をタッチ操作することで、その接続先切替ボタン42の識別名に対応する包装機10のタッチパネル16に表示されている画面と同一の画面が、接続先操作画面表示エリア30に切り替え表示される。なお、接続先切替ボタン42は、背景色を変色させる等により、どの包装機10と通信状態にあるかを視認し得るようになっている。
【0018】
前記リモート操作画面28には、ネットワーク表示エリア32より下側であって、画面左下隅に設定ボタン44が配置されており、この設定ボタン44をタッチ操作して文字入力用ウィンドウを表示させるなどによって、前記個体識別ボタン34に初期値として設定された識別名をIPアドレスから任意の識別名に変更し得るようになっている。識別名としては、包装機10の形式番号や、ライン1,ライン2などの固有の包装ライン名や、あるいは○○包装機など、使用者が普段用いる通称を交えた任意の名称や記号の入力設定により登録することができる。なお、
図3および
図4に示すように、個体識別ボタン34には、この登録された識別名に加えて、前記接続先の包装機10に割り付けられたIPアドレスを併せて表示(実施例では接続先切替ボタン42の下方に表示)させるようにすることが好ましい。
【0019】
前記接続先操作画面表示エリア30に表示された操作画面をタッチ操作することで、接続先の包装機10の運転開始や終了を含む各駆動機構の動作の開始および終了に係る操作を除いて、接続先の包装機10をリモート操作可能になっている。すなわち、接続元の包装機10からのリモート操作に直結して、接続先の包装機10を動作させたりまたは動作停止させたりするような操作は規制されている。例えば、
図3に示すように、接続先操作画面として表示したHOME画面46は、最上部にはリモート操作画面28と同様に複数のツールボタンを表示するツールバー48が表示され、その下段には、ホーム切替タブボタンや製品切替タブボタンなどのタブボタン50が表示される。また、HOME画面46には、包装機10の現在の運転状況に応じた操作案内などを文字とアイコンとで表示するメッセージ表示エリア52が表示され、包装機10の包装能力、レジマーク補正表示、生産情報、シール体の動作情報などが表示される運転情報表示枠54等が配置された画面構成となっている。そして、接続元のタッチパネル16においてHOME画面46に設定された操作ボタンをタッチ操作することで、接続先の包装機10の包装能力を変更設定したり、フィルム印刷位置のずれを補正(レジマーク補正)することなどができる。
【0020】
また、リモート操作では、前記接続先操作画面におけるHOME画面46の左下側に設定された生産情報ボタン56をタッチ操作することで、接続先操作画面として生産情報画面58を切り替え表示することができる。生産情報画面58には、包装品種毎の生産数や、稼動率、フィルム使用量などが表示され、タブボタン60を実績一覧に切り替えることで、包装品種毎の総生産数や、フィルム使用量や、異常発生時に停止した異常停止時間などが一覧表示される。そして、生産情報画面58で生産情報を確認して、これに基づいて接続先の包装機10の生産数などの設定データを、接続元のタッチパネル16によって適宜に変更設定するなどができる。また、リモート操作における接続先操作画面には、異常発生時のエラー情報が表示されると共に、エラー信号の解除操作画面も表示される。すなわち、異常発生時に接続先の包装機10と同様の異常復帰操作を行うことができる。なお、接続元の包装機10にログインした作業者に設定された運転管理権限の範囲内で、接続先の包装機10の操作機能をリモート操作できるようにしてもよいが、運転管理権限にかかわらず、リモート接続時に共通に適用される操作許可項目のみを操作画面に表示させるようにしてもよい。
【0021】
前記リモート操作画面28には、ネットワーク表示エリア32の下側に、操作ロックボタン62が配置されており、この操作ロックボタン62をタッチ操作することで、現在接続してリモート操作中の包装機10でのタッチパネル16のタッチ操作による信号入力を許可しないように設定することができる。これにより、接続先からの不用意な操作信号を受け付けることなく、操作ミスを未然に防止できる。
【0022】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係る包装機10の操作装置12の作用について説明する。
図1に示すように、同一種の包装機10A、包装機10B、包装機10Cの夫々が通信回線Lで接続されたネットワークにある場合に、包装機10Aが接続元になって接続先の包装機10Bの操作画面を操作したり、包装機10Bが接続元になって包装機10Aの操作画面を操作したり、包装機Cが接続元になって包装機10Aの操作画面を操作することができる。要するに、通信回路Lで接続された同一種の何れの包装機10であっても接続元にすることができ、その他の任意の包装機10を接続先に設定して、その接続先の包装機10の操作を行うことができる。
【0023】
このように実施例の操作装置12によれば、包装機10同士で直接通信を行って、自分の持ち場や近くにある等、管理責任者にとって都合のよい任意の包装機10から離れた場所に設置された他の包装機10の操作画面を呼び出して、接続先となる他の包装機10の運転状況などを接続元のタッチパネル16の接続先操作画面表示エリア30に表示させることができる。すなわち、接続先の包装機10の生産情報や設定情報などの各種情報を送受信したり、異常発生時のエラー情報をリモート操作画面28の接続先操作画面表示エリア30に表示するなどにより、接続元の包装機10から接続先の包装機10で発生している問題を直ちに確認することができる。また、接続先の包装機10の生産情報や運転データなどを接続元のタッチパネル16から入力設定したり、生産情報や設定情報などの各種情報を送受信するなど、接続元の包装機10のタッチパネル16により接続先の包装機10を離れた場所から操作することができる。従って、包装ラインの現場責任者などが、自分の担当する持ち場である包装機10の設置場所を離れることなく、他の包装機10をリモート操作することで、他の包装機10の設定および操作に係る諸問題に対処できる。また、任意の包装機10からその他の任意の包装機10をリモート操作することができるので、不慣れな作業者が担当する包装機10に異常が発生したときに、熟練作業者が自身の担当する包装機10を離れることなく、異常の発生した他の包装機10の復帰を支援することができる。このように、現場責任者や熟練作業者などの管理責任者が、離れた場所にある包装機10の問題を迅速に確認して対応できるから、対応の遅れによって多くの包装不良が産出されたり、重大な故障に発展するなどを回避でき、管理責任者が問題が発生した包装機10まで移動したり、管理用端末装置の設置場所まで移動して問題に対処する従来の対応よりも生産効率を高めることができる。
【0024】
前記接続先操作画面表示エリア30は、接続元のタッチパネル16においてリモート操作画面28の全画面エリアより狭く設定されているから、リモート接続の際に接続先操作画面表示エリア30に表示される接続先操作画面と接続元の操作画面とを区別して認識することができる。リモート操作画面28におけるネットワーク表示エリア32には、通信回線Lを介して接続している全ての包装機10が一覧表示されるから、同じネットワークに属してアクセス可能な包装機10が判り易く、接続対象となる包装機10を簡単に探し出すことができる。また、ネットワーク表示エリア32に一覧表示される個体識別ボタン34を選択して接続ボタン40をタッチ操作するだけで、他の包装機10が接続先切替ボタン42に自動的に割り付けられると共に、割り付けられた他の包装機10との間で接続が確立されるから、手間がかからない。そして、ネットワーク表示エリア32で選んだ包装機10が割り付けられた接続先切替ボタン42を選択してタッチ操作することで、接続先の包装機10を切り替えることができ、例えばある包装機10の設定データを確認した後に別の包装機10の操作画面を切り替え表示して設定変更するなど操作性が良好である。ネットワーク表示エリア32の夫々の個体識別ボタン34に表示される包装機10の識別名を、使用者が普段使用している通称などに変更設定することができ、この固有の識別名が包装機10が割り付けられた対応の接続先切替ボタン42に必要に応じてIPアドレスと共に併せて表示されるから、接続先の間違いなどを未然に防止することができる。
【0025】
接続元のリモート操作画面28に設けられた操作ロックボタン62のタッチ操作により、接続先の包装機10のタッチ操作による信号入力を許可しないことで、接続元の包装機10からのリモート操作を行っている際に、誤って接続先でのタッチパネル16の誤接触などに起因して操作ミスを招くなどの操作の混乱を未然に防ぐことができる。
【0026】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1)実施例で挙げた操作機能名や操作画面名は、説明のための一例であり、実施例に限定されるものではない。
(2)操作画面の画面構成は、実施例に限定されず、複数の画面を所定の配列で並べたり、あるいは、画面の一部を重ねるようにして表示したり、複数の操作画面を切り替え表示するなど、あるいは、文字、数値、記号、などの入力補助キーを操作画面の内側や一部に重ねてポップアップウィンドウとして表示するなど、適宜の画面表示方法で選択的に表示するようになっているものであればよい。
(3)包装機は実施例として横形製袋充填機に適用した場合で説明したが、例えば、縦形製袋充填機、ケーサー、カートナーなど、同一種の包装機間であればよく、本願発明に係る操作装置を有するものであれば、本願発明を適用してリモート操作が可能である。