特許第5947553号(P5947553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浜松ホトニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5947553-撮像装置及び撮像装置の製造方法 図000002
  • 特許5947553-撮像装置及び撮像装置の製造方法 図000003
  • 特許5947553-撮像装置及び撮像装置の製造方法 図000004
  • 特許5947553-撮像装置及び撮像装置の製造方法 図000005
  • 特許5947553-撮像装置及び撮像装置の製造方法 図000006
  • 特許5947553-撮像装置及び撮像装置の製造方法 図000007
  • 特許5947553-撮像装置及び撮像装置の製造方法 図000008
  • 特許5947553-撮像装置及び撮像装置の製造方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5947553
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】撮像装置及び撮像装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/02 20060101AFI20160623BHJP
   G03B 17/02 20060101ALI20160623BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20160623BHJP
   G03B 15/05 20060101ALI20160623BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20160623BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   G03B15/02 E
   G03B17/02
   H04N5/225 C
   G03B15/05
   G03B15/00 U
   G03B15/02 J
   G02B21/00
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-15380(P2012-15380)
(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公開番号】特開2013-156347(P2013-156347A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124291
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 太加之
【審査官】 高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−209035(JP,A)
【文献】 特開2003−243856(JP,A)
【文献】 特開2008−078066(JP,A)
【文献】 特開平04−241476(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3171344(JP,U)
【文献】 特表2010−530082(JP,A)
【文献】 特開2001−358987(JP,A)
【文献】 特開2004−361552(JP,A)
【文献】 特開2009−300871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/02
G02B 21/00
G03B 15/00
G03B 15/05
G03B 17/02
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に開口部を有する放熱性の台座と、
前記台座の一面側に配置され、前記台座の開口部と連通する開口部と、当該開口部周りに形成された配置片とを有する可撓性の基板と、
前記配置片の一面側に配置され、被撮像体に向けて光を照射する光源と、
前記台座の開口部の中心軸と同軸に配置され、前記被撮像体からの光像を前記台座の開口部の奥で撮像する撮像手段と、を備え、
前記台座の一面側は、前記台座の開口部を底部とする凹部が形成されるような傾斜面となっており、
前記配置片が前記傾斜面に沿って固定されることにより、前記光源の光軸が前記台座の開口部の中心軸と交差していることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記基板は、複数の配置片と、これらの配置片を前記基板の開口部の縁で連結する連結部と、を有していることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記台座は、角度の異なる複数の傾斜面を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記角度の異なる傾斜面は、前記台座の開口部周りに同心円状に配置されていることを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記角度の異なる傾斜面は、前記台座の開口部周りに周方向に配置されていることを特徴とする請求項3又は4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記台座と前記基板とは、熱伝導性を有する接着テープによって固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像手段は、撮像を行う撮像素子と、前記撮像素子のフォーカスを調整するフォーカスレンズとを有し、
前記フォーカスレンズの位置を検出するレンズ位置検出手段と、
前記レンズ位置検出手段の検出結果に基づいて、角度の異なる傾斜面に配置された光源間のオン・オフを切り替える光源切替手段と、を備えたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項記載の撮像装置。
【請求項8】
中心に開口部を有する放熱性の台座と、
前記台座の一面側に配置され、前記台座の開口部と連通する開口部と、当該開口部周りに形成された配置片とを有する可撓性の基板と、
前記配置片の一面側に配置され、被撮像体に向けて光を照射する光源と、
前記台座の開口部の中心軸と同軸に配置され、前記被撮像体からの光像を前記台座の開口部の奥で撮像する撮像手段と、を備えた撮像装置の製造方法であって、
前記台座の一面側に、前記台座の開口部を底部とする凹部が形成されるような傾斜面を形成し、
前記配置片を前記傾斜面に沿って固定することにより、前記光源の光軸を前記台座の開口部の中心軸と交差させることを特徴とする撮像装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生体観察に用いられる撮像装置及び撮像装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の分野の技術として、例えば特許文献1に記載の照明装置がある。この従来の照明装置は、複数のセグメントを構成する屈曲可能なプリント配線基板を保持枠の内部に取り付けて立体的なドーム形状を形成している。そして、各基板における光源の配設面の角度を調整することにより、所望の照度分布で被検査体に光を照射するようになっている。
【0003】
また、特許文献2には、複数の励起発光ダイオードが、カメラの前方において、イメージピックアップ光軸を基準とした照明中心軸の角度が各々互いに相違するように配置された光学診断装置が開示されている。特許文献3には、半球型のフードの内側に複数の光源が設けられ、その上部に観察用窓部を備えた観察用装置が開示されている。この装置では、ポリウレタン等の弾性材料によってフードを形成している。特許文献4では、半球状の基板にLEDアレイを配置した照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−153808号公報
【特許文献2】特開2008−183394号公報
【特許文献3】特開2003−190103号公報
【特許文献4】特開平4−241476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような装置では、被撮像体に対して光源からの光を均一に照射する場合だけに限られず、特定の部位のみに光を照射する場合や、被撮像体と撮像手段との間の距離を変えて撮像を行う場合も想定される。そのため、装置における各光源の光軸を予め精度良く調整する必要があるが、複数の光源を個別に調整しようとすると、作業工程が複雑化したり、再現性が低下してしまうという問題がある。また、例えばLEDを光源として用いる場合、使用によって光源に熱が溜まると出力の安定性が低下するおそれがあるため、光源の放熱を考慮する必要もある。
【0006】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、光源の光軸調整が容易であると共に光源の放熱性に優れる撮像装置、及びこのような撮像装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決のため、本発明に係る撮像装置は、中心に開口部を有する放熱性の台座と、台座の一面側に配置され、台座の開口部と連通する開口部と、当該開口部周りに形成された配置片とを有する可撓性の基板と、配置片の一面側に配置され、被撮像体に向けて光を照射する光源と、開口部の中心軸と同軸に配置され、被撮像体からの光像を開口部の奥で撮像する撮像手段と、を備え、台座の一面側は、開口部を底部とする凹部が形成されるような傾斜面となっており、配置片が傾斜面に沿って固定されることにより、光源の光軸が開口部の中心軸と交差していることを特徴としている。
【0008】
この撮像装置では、台座の一面側に傾斜面を形成し、光源が配置された可撓性の基板を台座の傾斜面に沿って固定することで、撮像手段の光軸と光源による照明位置とが調整されている。このように、各光源の光軸を個別に調整するのではなく、基板を傾斜面に沿わせることで光源の光軸を一度に調整することで、照明位置の調整が容易となる。また、光源で発生した熱が台座を通して放熱されるので、光源の放熱性にも優れたものとなる。
【0009】
また、基板は、複数の配置片と、これらの配置片を開口部の縁で連結する連結部と、を有していることが好ましい。配置片が連結部で連結されることにより、各光源の制御回路等を共通化できるので、構成の簡単化が図られる。
【0010】
また、台座は、角度の異なる複数の傾斜面を有していることが好ましい。これにより、傾斜面の角度のパターン数に応じて、撮像手段の光軸方向に対する光源の照明位置を複数設定することが可能となる。
【0011】
また、角度の異なる傾斜面は、開口部周りに同心円状に配置されていることが好ましい。この場合、角度の異なる傾斜面を容易に形成できる。
【0012】
また、角度の異なる傾斜面は、開口部周りに周方向に配置されていることが好ましい。この場合、角度の異なる傾斜面を容易に形成できる。
【0013】
また、台座と基板とは、熱伝導性を有する接着テープによって固定されていることが好ましい。これにより、基板と台座との間の熱伝導性が確保され、光源の熱を一層効率的に放熱できる。
【0014】
また、撮像手段は、撮像を行う撮像素子と、撮像素子のフォーカスを調整するフォーカスレンズとを有し、フォーカスレンズの位置を検出するレンズ位置検出手段と、レンズ位置検出手段の検出結果に基づいて、角度の異なる傾斜面に配置された光源間のオン・オフを切り替える光源切替手段と、を備えたことが好ましい。これにより、撮像素子のフォーカスに合わせて光源の照明位置を切り替えることができ、操作性を向上できる。
【0015】
また、本発明に係る撮像装置の製造方法は、中心に開口部を有する放熱性の台座と、台座の一面側に配置され、台座の開口部と連通する開口部と、当該開口部周りに形成された配置片とを有する可撓性の基板と、配置片の一面側に配置され、被撮像体に向けて光を照射する光源と、開口部の中心軸と同軸に配置され、被撮像体からの光像を開口部の奥で撮像する撮像手段と、を備えた撮像装置の製造方法であって、台座の一面側に、開口部を底部とする凹部が形成されるような傾斜面を形成し、配置片を傾斜面に沿って固定することにより、光源の光軸を開口部の中心軸と交差させることを特徴としている。
【0016】
この撮像装置の製造方法では、台座の一面側に傾斜面を形成し、光源が配置された可撓性の基板を台座の傾斜面に沿って固定することで、撮像手段の光軸と光源による照明位置とを調整する。各光源の光軸をそれぞれ調整するのではなく、基板を傾斜面に沿わせることで光源の光軸を一度に調整するので、照明位置の調整が容易となる。また、光源で発生した熱を台座を通して放熱できるので、光源の放熱性にも優れたものとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る撮像装置及び撮像装置の製造方法によれば、光源の光軸調整が容易であると共に光源の放熱性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る撮像装置の一実施形態を示す図である。
図2】撮像装置に内蔵される台座を示す図である。
図3】基板及び光源を展開状態で示す図である。
図4図1に示した撮像装置の製造工程を示す図である。
図5】台座の変形例を示す図である。
図6】台座の更なる変形例を示す図である。
図7】基板の変形例を示す図である。
図8】台座の傾斜面の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る撮像装置及び撮像装置の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る撮像装置の一実施形態を示す図である。同図に示すように、撮像装置1は、筐体2と、台座3と、基板4と、光源5と、撮像部(撮像手段)6とによって構成されている。この撮像装置1は、例えば組織表面下に存在するリンパ節やリンパ管、血管、細胞などを含む被撮像体Sに対して所定波長の励起光を照射し、これに応じて被撮像体Sから発せられる蛍光像を観察することによって、組織表面下の画像を取得する装置として構成されている。このような画像取得においては、例えば予め被撮像体Sに蛍光色素などの色素や光増感剤、バイオマーカーを注入し、リンパ節などに蓄積させる。蛍光色素などの色素や光増感剤、バイオマーカーの例としては、インドシアニングリーンやインドシアニンブルー、5ALA、メチレンブルー、フルオレセイン、レザフリン、フォトフリン、パテントブルー、インジコカルミン、Qdot(登録商標)、Genhance(登録商標)などが挙げられる。
【0021】
筐体2は、例えばアルミ、銅、マグネシウム、鉄などの放熱性に優れる金属等の部材によって略円筒形状に形成されている。筐体2の先端部2aは、後端部2bに比べて大径となっており、その先端には円形の開口部2cが設けられている。また、開口部2cを覆うように、透明な窓部材7が取り付けられている。
【0022】
台座3は、図2に示すように、筐体2と同様に、例えば金属などの放熱性に優れる部材によって形成されている。台座3は、略円盤状の支持体8と、円筒状の遮光壁9とを有している。台座3の中心には、被撮像体Sからの蛍光像を撮像部6に向けて通過させるための円形の開口部3aが形成され、遮光壁9は、開口部3aの縁部に形成されている。支持体8の一面側には、遮光壁9の周囲に円環状に配置された平面部11と、平面部11よりも外周側に同心円状に配置された傾斜面12とが形成されている。平面部11の任意の箇所には、光源5を制御するための信号線を接続するコネクタ(不図示)が形成されている。遮光壁9の先端には、黒色で柔軟性のある遮光部材(不図示)が設けられており、この遮光部材を介して窓部材7と接している。
【0023】
傾斜面12は、開口部3aの中心側から順に互いに角度が異なる傾斜面12a,12bとなっており、傾斜面12bは、傾斜面12aよりも傾斜角度が大きくなっている。また、傾斜面12bは、傾斜面12aよりも窓部材7に近くなっている。これにより、台座3の一面側には、開口部3aを底部とするような凹部が形成されている。台座3の外周部は、筐体2の先端部2a内に配置され、例えばエポキシ系などの熱伝導性を有する接着剤、熱伝導性を有する両面テープを用いた接着、或いはネジ止め等によって筐体2に対して強固に固定されている。なお、熱伝導性を有するグリースを台座3と筐体2との間に塗布してもよい。
【0024】
基板4は、例えばフレキシブル基板やメンブレン基板といった可撓性を有する基板である。基板4には、光源5用の回路パターン、光源5の取付用ランド、外部配線用コネクタランド等が適宜設けられている。この基板4は、図3に示すように、台座3の径よりも大径で略円盤状に形成されている。基板4の中心には、台座3の開口部3aの径よりも大径の開口部4aが形成されている。
【0025】
この基板4には、開口部4aの周りに所定の角度毎に複数の切込部21が形成されている。切込部21は、開口部4aの中心に向かって凸となる略三角形状をなしており、切込部21の先端から開口部4aの縁までの間隔が台座3の平面部11の幅と概ね一致するようになっている。このような切込部21の形成により、基板4の切込部21,21間には、光源5を配置するための複数の配置片22が形成されている。この配置片22は、開口部4aの周りに所定の間隔で形成されている。また、切込部21が開口部4aに達しないことにより、開口部4aの縁には、各配置片22同士を連結する連結部23が形成されている。なお、切込部21は、略三角形状に限らず、略長方形状であってもよい。
【0026】
光源5は、カラー画像用の白色光源5aと、近距離用の第1の励起光源5bと、遠距離用の第2の励起光源5cとを含んで構成されている。白色光源5aは、例えば白色発光ダイオード等であり、基板4の連結部23において、切込部21の先端と開口部4aとの間の位置にそれぞれ環状に配置されている。
【0027】
第1の励起光源5b及び第2の励起光源5cは、例えば発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)等であり、被撮像体Sに注入される蛍光色素を励起可能な波長のものが選択される。蛍光色素として、上述したインドシアニングリーンを用いる場合、その光吸収帯域は近赤外波長帯域であり、その波長帯域内の波長(例えば波長760nm)の光源が用いられる。第1の励起光源5bは、配置片22の基端側にそれぞれ複数個が面実装され、全体として開口部4a周りに環状に配置されている。また、第2の励起光源5cは、配置片22の先端側にそれぞれ複数個が面実装され、全体として開口部4a周りに環状に配置されている。なお、第1の励起光源5bと第2の励起光源5cは、同じ波長帯の光源でもよいし、異なる波長帯の光源でもよい。
【0028】
基板4を台座3に取り付けるにあたっては、図4(a)に示すように、光源5が配置された基板4と台座3とをそれぞれ準備する。そして、開口部3a,4a同士が連通すると共に、連結部23が平面部11に一致し、かつ配置片22が傾斜面12に一致するように位置合わせした状態で、例えば放熱性を有する両面テープ、もしくはエポキシ系などの熱伝導性を有する接着剤等によって基板4を台座3の一面側に沿わせながら密着固定する。このとき、基板4は可撓性を有し、かつ切込部21が存在するため、図4(b)に示すように、各配置片22は、白色光源5aの近傍が平面部11に追従し、第1の励起光源5bの近傍が傾斜面12aの傾斜角度に追従して傾斜し、第2の励起光源5cの近傍が傾斜面12bの傾斜角度に追従して傾斜する。
【0029】
そして、傾斜面12aおよび傾斜面12bの傾斜によって、各配置片22が傾斜し、図1に示すように、第1の励起光源5bの光軸が撮像部6から見て近距離側で開口部3aの中心軸Lと交差して第1の照明位置P1を形成し、第2の励起光源5cの光軸が撮像部6から見て遠距離側で開口部3aの中心軸Lと交差して第2の照明位置P2を形成することとなる。
【0030】
撮像部6は、撮像を行う撮像素子31と、撮像素子31のフォーカスを調整するフォーカスレンズ32とを含んで構成され、その光軸が台座3における開口部3aの中心軸Lと一致するように、筐体2において台座3の奥側に配置されている。撮像素子31は、例えば2次元画像を取得可能なCCDセンサやCMOSセンサが用いられる。この撮像装置1においては、蛍光像の波長帯域に対して高い感度を有する素子を用いることが好ましい。
【0031】
また、フォーカスレンズ32には、例えばレンズマウント等の駆動手段が設けられている。この駆動手段によってフォーカスレンズ32が中心軸Lに沿う方向に駆動することにより、撮像部6のフォーカスを動かすことが可能となっている。撮像素子31の光軸に対するフォーカスレンズ32の位置は、レンズ位置検出部(レンズ位置検出手段)33によって検出され、検出結果を含む信号が調整装置41に出力される。なお、駆動手段としては、ステッピングモータ等を用いてもよい。
【0032】
撮像装置1は、図1に示すように、出力する観察画像を調整する調整装置41を備えている。この調整装置41は、撮像装置1から出力された観察画像の画像データを自動又は手動にて調整する装置である。調整装置41は、機能的な構成要素として、調整指示部42と、輝度調整部43と、コントラスト調整部44と、光源切替部(光源切替手段)45とを有している。
【0033】
調整指示部42は、自動又はユーザからの入力に応じて観察画像の調整条件を設定する部分である。輝度調整部43は、設定した条件に応じて輝度調整部43及びコントラスト調整部44に指示を行い、輝度調整部43及びコントラスト調整部44は、それぞれ観察画像の輝度及びコントラストを調整する。
【0034】
また、調整指示部42は、レンズ位置検出部33からの信号を受信し、撮像部6のフォーカスが第1の照明位置P1と第2の照明位置P2とのいずれに近いかを判断する。そして、調整指示部42は、フォーカスに近い方の照明位置を形成する光源5をオンとし、フォーカスに遠い方の照明位置を形成する光源5をオフとする旨の指示信号を光源切替部45に出力する。光源切替部45は、受信した指示信号に応じて、角度の異なる傾斜面12a,12bに配置された第1の励起光源5b及び第2の励起光源5c間のオン・オフの切り替えを行う。
【0035】
なお、調整条件が固定の場合や、光源5のオン・オフ切り替えが不要な場合には、このような調整指示部42は設けなくてもよい。また、撮像装置1から調整装置41への画像データの伝送は、有線方式であっても無線方式であってもよい。
【0036】
また、調整装置41には、画像表示装置46と、画像記録装置47とが接続されている。画像表示装置46は、調整装置41で調整された観察画像を表示部48に表示させる。画像表示装置46としては、例えばCRTモニタや、撮像部6に取り付けられた液晶ディスプレイ等を用いることができる。画像記録装置47は、調整装置41で調整された観察画像のデータを記録する装置である。画像記録装置47としては、例えばビデオテープレコーダ等を用いることができる。
【0037】
以上説明したように、撮像装置1では、台座3の一面側に傾斜面12を形成し、光源5が配置された可撓性の基板4を台座3の傾斜面12に沿って固定することで、撮像部6の光軸と光源5による照明位置とが調整されている。このように、各光源5の光軸を個別に調整するのではなく、基板4を台座3の傾斜面12に沿わせることで光源5の光軸を一度に調整することで、照明位置の調整が容易となる。また、光源5で発生した熱が台座3を通して放熱されるので、光源5の放熱性にも優れたものとなる。これにより、光源5の出力安定性が良好に保たれる。
【0038】
また、基板4には、切込部21の形成によって、複数の配置片22と、これらの配置片22を開口部4aの縁で連結する連結部23とが形成されている。配置片22が連結部23で連結されることにより、各光源5の制御回路等を共通化できるので、撮像装置1の構成の簡単化が図られる。
【0039】
また、台座3には、角度の異なる複数の傾斜面12a,12bが形成され、各傾斜面12a,12bにそれぞれ近距離用の第1の励起光源5bと、遠距離用の第2の励起光源5cとが配置されている。このような傾斜面12の形成により、傾斜面12の角度のパターン数に応じて、撮像部6の光軸方向に対する光源5の照明位置を複数設定することが可能となる。本実施形態では、角度の異なる傾斜面12a,12bが、開口部3a周りに同心円状に配置されており、角度の異なる傾斜面12を容易に形成できる。
【0040】
また、撮像装置1では、台座3と基板4とが、熱伝導性を有する両面接着テープによって固定されており、台座3の外周部が熱伝導性の接着剤によって筐体2に固定されている。これにより、基板4から台座3を通って筐体2に至る熱伝導性が確保され、光源5の熱を一層効率的に放熱できる。また、台座3と基板4とを両面接着テープによって接着することで、接着剤を用いる場合に比べて、台座3と基板とを均一に(凹凸を抑えて)接着できる。
【0041】
さらに、撮像部6は、撮像を行う撮像素子31と、撮像素子31のフォーカスを調整するフォーカスレンズ32とを有し、撮像装置1は、フォーカスレンズ32の位置を検出するレンズ位置検出部33と、レンズ位置検出部33の検出結果に基づいて、角度の異なる傾斜面12に配置された光源5間のオン・オフを切り替える光源切替部45と、を備えている。これにより、撮像素子31のフォーカスに合わせて光源5の照明位置を切り替えることができ、操作性を向上できる。
【0042】
また、台座3には、遮光壁9が形成され、遮光壁9の先端と窓部材7との間に遮光部材が介在している。これにより、光源5から照射された光が窓部材5に反射して、撮像部6に入射されることを防止できる。さらに、遮光壁9の周りに平面部11が形成され、平面部11の外側に傾斜面12が形成されている。これにより、傾斜面12上に配置された光源5からの光が遮光壁9に直接照射されることを抑制できる。
【0043】
また、傾斜面12は、互いに傾斜角度が異なる傾斜面12a,12bを有しており、遮光壁9から遠い傾斜面12bの傾斜角度が、遮光壁9に近い傾斜面12aの傾斜角度よりも大きくなっている。これにより、光源5からの光が遮光壁9に直接照射されることを一層抑制できる。
【0044】
また、撮像装置1では、窓部材7から遠い傾斜面12a上に近距離用の第1の励起光源5bが配置され、窓部材7に近い傾斜面12b上に遠距離用の第2の励起光源5cが配置されている。これにより、第1の励起光源5bから照明位置P1まで距離と、第2の励起光源5cから照明位置P2まで距離が同程度となるため、照明位置P1での照明強度と照明位置P2の照明強度を同程度にすることができる。ただし、この構成に限らず、窓部材7に近い傾斜面12b上に近距離用の第1の励起光源5bを配置し、窓部材7から遠い傾斜面12a上に遠距離用の第2の励起光源5cを配置してもよい。
【0045】
また、撮像装置1では、台座3において傾斜面12aの外側に傾斜面12bを同心円状に設け、傾斜面12a上に近距離用の第1の励起光源5bを配置し、傾斜面12b上に遠距離用の第2の励起光源5cを配置している。このように、より面積の大きい傾斜面12bに遠距離用の第2の励起光源5cを多く配置することで、第2の照明位置P2での照明強度を確保できる。
【0046】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、台座3の一面側に、平面部11と傾斜面12a,12bとを同心円状に設けているが、傾斜面12の角度パターンは仕様に応じて適宜変更可能であり、図5(a)に示すように、台座3Aに1種類の傾斜面12cのみを設けてもよく、図5(b)に示すように、台座3Bに平面部11と3種類の傾斜面12d,12e,12fとを同心円状に設けてもよい。
【0047】
また、傾斜面12の配置パターンは、同心円状に限られず、図6(a)に示すように、傾斜面12が開口部3a周りに周方向に配置された台座3Cを用いてもよい。図6(a)に示す例では、角度の異なる2種類の傾斜面12g,12hを設けているが、角度パターンを更に増やしてもよく、開口部3a周りに平面部11と同様の平面部を設けてもよい。
【0048】
更に、図6(b)に示すように、台座3Dを扁平な円盤状とし、開口部3a周りに所定の位相角をもって複数の切込部21を形成して台座片51を設け、各台座片51の基端部にヒンジ52を取り付けて任意の角度に傾斜可能としてもよい。このような構成では、台座片51の角度調整によって台座3に固定される基板4の配置片22の傾斜角度を調整できるので、光源5の照明位置を自在に調整することが可能となる。なお、各台座片51において、ヒンジ52よりも中心側の部分は平面部11としてもよい。
【0049】
一方、可撓性の基板4の形状も種々の変形を適用できる。例えば図7(a)に示すように、切込部21を任意の1箇所に開口部4aまで到達するように形成し、一繋がりの配置片22を有する基板4Aを用いてもよく、図7(b)に示すように、開口部4a周りに複数の配置片22を形成した基板4B,4B同士を重ね合わせて図3と同様の平面形状をなす基板を構成してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、台座3において、外周側の傾斜面12bの傾斜角度が開口部3a側の傾斜面12aの傾斜角度よりも大きくなっているが、図8に示すように、開口部3a側の傾斜面12aの傾斜角度が外周側の傾斜面12bの傾斜角度よりも大きくなっていてもよい。この場合、傾斜角度の小さい傾斜面12aに近距離用の第1の励起光源5bを配置し、傾斜角度の大きい傾斜面12bに遠距離用の第2の励起光源5cを配置することで、第1の照射位置P1及び第2の照明位置P2の双方に光を照射易くなる。ただし、傾斜面12aに遠距離用の第2の励起光源5cを配置し、傾斜面12bに近距離用の第1の励起光源5bを配置してもよい。
【0051】
なお、本実施形態では、蛍光観察用の撮像装置を例示したが、本発明に係る撮像装置は、蛍光観察用に限られるものではなく、例えば発光観察、吸収光観察、及び反射光観察といった他の用途にも適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…撮像装置、3,3A〜3D…台座、3a…開口部、4,4A,4B…基板、4a…開口部、5(5a〜5c)…光源、6…撮像部(撮像手段)、12(12a〜12h)…傾斜面、22…配置片、23…連結部、31…撮像素子、32…フォーカスレンズ、33…レンズ位置検出部(レンズ位置検出手段)、L…中心軸、S…被撮像体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8