(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技価値を使用することで遊技が進行する複数の遊技機が設置された遊技島が形成されていると共に、遊技者が所持している遊技価値の大きさを計数し、計数した値を記録媒体に記録して遊技者に発行する発行手段が各遊技機に対応して設けられ、さらに遊技機の上側に遊技情報を表示する遊技情報表示装置が設置された遊技場における遊技情報表示システムにおいて、
前記遊技島を撮像して当該遊技島の画像情報を生成する撮像手段と、
前記撮像手段が生成した画像を表示する表示手段と、
前記画像中の前記遊技情報表示装置を検出することで、前記表示手段が表示している遊技機を抽出し、抽出した各遊技機に台番号を割り付ける抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した遊技機にて遊技者が所持している遊技価値の大きさを特定する遊技情報特定手段と、
前記遊技情報特定手段が特定した遊技価値の大きさに対応した特別情報を、前記遊技島の画像情報における遊技機の位置に対応させて前記表示手段に合成表示させる合成表示手段と、を備えたことを特徴とする遊技情報表示システム。
前記合成表示手段は、前記遊技情報特定手段が特定した前記遊技価値の大きさに応じた数の箱を遊技機の位置に対応させて前記表示手段に合成表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技情報表示システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例)
本例は、遊技機5の遊技情報を表示する遊技情報表示システム1に関する例である。この内容について、
図1〜
図14を用いて説明する。
【0018】
本例の遊技情報表示システム1は、
図1のごとく、複数の遊技場の場内システム2、遊技者が所持するスマートフォンなどの携帯端末4、及びサーバ管理装置10を含めて構成されたシステムである。この遊技情報表示システム1においては、サーバ管理装置10と場内システム2とが、通信可能な状態でインターネット等の公衆通信回線100に接続されている。また、サーバ管理装置10に対しては、公衆通信回線100に接続可能な携帯端末4からのアクセスが可能になっている。
【0019】
場内システム2は、パチンコ遊技機などの複数の遊技機5を管理するための各遊技場の管理システムであり、遊技場管理装置20を中心としてシステム構成されている。遊技場では、遊技情報表示装置3及び貸出装置52が各遊技機5毎に個別に設置されている。例えば、遊技情報表示装置3は、遊技機5の上側に配置され、貸出装置52は、隣り合う遊技機5との間の隙間のスペースに配置される。
【0020】
場内システム2では、遊技場管理装置20のほか、隣り合う2台の遊技機5毎に設置された中継器53が場内ネットワーク200に接続されている。場内システム2では、遊技機5、遊技情報表示装置3、貸出装置52及び図示しない玉回収装置等が、中継器53を介して通信可能な状態で遊技場管理装置20に接続されている。
【0021】
遊技場では、通路に挟まれる形で遊技島が形成されている。各遊技島では、両側の通路に面して、それぞれ、遊技機5の配列面が形成されている。具体的には、遊技機5が並べて配置されており、隣り合った遊技機5が同じ方向を向いている。また、2つの遊技島の間の通路を挟んだ各島の遊技機5の配列面が向かい合っている。2つの遊技島の間の通路の突き当たりの柱あるいは壁(特別撮像対象物)には、2つの遊技島の識別情報である島特定情報の表示パネル(島特定情報表示手段)2Pが固定されている(
図2参照。)。本例では、黒く縁取りされた正方形の枠内に島特定情報が表示された表示パネル2Pを採用している。
【0022】
本例の島特定情報は、遊技場の識別情報である遊技場IDと、通路の両側の遊技島をそれぞれ特定する2つの島IDと、を表す記号コードである。本例の島IDには、遊技島自体を識別する情報のほか、その通路に対してどちらの配列面が面しているかを識別する情報が含まれている。例えば、第1の遊技島の第1の配列面の島IDが11、同じ遊技島の第2の配列面の島IDが12、第2の遊技島の第1の配列面の島IDが21・・・というように、各島IDは、上の桁の遊技島の識別コードと、下の桁の配列面の識別コードと、により構成されている。
【0023】
本例の遊技情報表示システム1は、遊技島を撮像した携帯端末4の表示画面450上で各遊技機5の出玉状況を合成表示するに当たって、この表示パネル2Pに表示された島特定情報を利用して撮像対象の遊技島を特定する。
【0024】
本例の遊技機5は、
図3のごとく、いわゆるセブン機と呼ばれるパチンコ機である。遊技機5は、始動ロ501への入賞に応じて大当たり抽選を行い、その抽選結果を図柄変動表示部50に表示する。大当たりに当選すると、大入賞口503が開放されるラウンド処理が15回繰り返される大当たり状態が開始される。出玉率が大幅に高くなる大当たり状態では、消費される玉に対して払い出される玉が圧倒的に多くなり、入賞に応じた玉が下皿505に次々に払い出される。この下皿505の底面には、下皿レバー507の操作に応じて開口する孔(図示略)が設けられている。
【0025】
図1及び
図3の貸出装置(発行手段)52は、遊技に必要な玉を貸し出す(払い出す)機能に加えて、遊技で獲得された玉の計数機能を具備する装置である。貸出装置52は、各遊技機5に個別に対応するように隣り合う他の遊技機5との台間スペースに設置されている。
【0026】
貸出装置52は、貨幣投入口521を介して貨幣を投入可能であるほか、カードスリット523を介して遊技カード(記録媒体)を受け付け可能である。貸出装置52は、投入された現金、遊技カードにチャージされた貨幣価値、あるいは遊技カードに記録された獲得玉数に当たる遊技媒体を対価として、遊技に使用する玉を払出可能である。本例の貸出装置52は、100円相当25個の玉を払い出す毎に売上信号を1回出力する。
【0027】
貸出装置52は、計数部520から延設された案内腕520Aの先端に可動玉受皿520Bを有している。この可動玉受皿520Bは、案内腕520Aの回動に応じて遊技機5の下皿505の真下に位置できる。遊技機5の下皿レバー507の操作等に応じて可動玉受皿520Bに流下した玉は、管状の案内腕520Aを介して計数部520に供給されて計数される。計数部520による計数玉数は、受付中の遊技カードの獲得玉数に随時加算される。遊技カードを挿入せずに遊技を開始した場合、計数部520による計数に応じて貸出装置52の内部でビジター用の遊技カードが準備され、そのときの計数玉数がその遊技カードの獲得玉数に記録される。なお、遊技カードに記録された獲得玉数に当たる遊技媒体は、当日に限って再遊技のための払出が可能であり、遊技を終了する際には景品に交換する必要がある。
【0028】
図1の中継器53は、遊技機5、玉回収装置及び貸出装置52が出力する遊技信号を遊技情報表示装置3に中継するほか、遊技情報表示装置3が集計等した遊技情報を遊技場管理装置20に送出する。
【0029】
中継器53が遊技情報表示装置3に中継する遊技信号としては、少なくとも以下の信号がある。
(1)アウト信号:使用玉を回収する玉回収装置が出力する遊技信号。回収(使用、消費、打込)玉10玉毎に1パルス。アウト(使用媒体数、消費媒体数)は、アウト信号数×10玉となる。なお、アウト信号を出力可能な遊技機5であれば、玉回収装置を省略することも可能である。
(2)セーフ信号:遊技機5が出力する遊技信号。払出玉10玉毎に1パルス。セーフ(払出媒体数)は、セーフ信号数×10玉となる。なお、遊技機5に玉を補給する図示しない玉補給装置からの補給信号をセーフ信号として利用することも可能である。
(3)スタート信号:遊技機5が出力する遊技信号。始動ロ501への入賞、あるいは始動口501への入賞により変動(動作)する図柄変動表示部(役物)50における図柄変動(役物作動、スタート処理)1回につき1パルス。
(4)大当たり信号:遊技機5が出力する遊技信号。大当たり中にレベル出力される状態信号。
(5)確変信号:遊技機5が出力する遊技信号。確変中にレベル出力される特別遊技状態信号。
(6)売上信号:貸出装置52が出力する遊技信号。遊技者に貸し出された貸出玉(貸出媒体)のうち、貨幣等の有価価値を対価とした貸出玉25玉(100円分)毎に1パルス。
(7)再遊技信号:貸出装置52が出力する遊技信号。貸出装置52が受付中の遊技カードに記録された獲得玉数の中から払い出す再遊技玉25玉毎に1パルス。
【0030】
図4の遊技情報表示装置3は、対応する遊技機5の各種の遊技情報を表示する装置である。遊技情報表示装置3は、遊技機5の上側の化粧パネルに埋め込まれるように配設されている。遊技情報表示装置3の正面は、液晶ディスプレイからなるデータ表示部33の表示画面330によって大部分が専有され、遊技者から見て表示画面330の左側に操作部34Rが配置されている。遊技情報表示装置3の側面は、従業員の呼出ランプ(図示略)等の発光面により形成されている。
【0031】
操作部34Rには、従業員の呼出ボタン345のほか、グラフ表示に切り換えるグラフ切換ボタンなどの表示切換ボタン(操作手段)340が配置されている。表示切換ボタン340が操作されない通常状態の遊技情報表示装置3は、当日分の遊技情報を表示する本日データ画面を表示している。いずれかの表示切換ボタン340が操作されると、前日データ画面や、グラフ表示画面等の各種の表示画面が切換表示される。
【0032】
この遊技情報表示装置3は、
図5のごとく、制御部31を中心として電気的に構成されている。制御部31に対しては、呼出ランプ等のランプ部32、データ表示部33、呼出ボタン345や表示切換ボタン340等の各種ボタン34が電気的に接続されている。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)311、記憶素子であるROM(Read Only Memory)312・RAM(Random Access Memory)314、及び入出力インタフェースをなすI/O部315等を備えている。
ROM312は、CPU311に実行させる各種の処理プログラムを記憶している。
RAM314は、CPU311のワークエリアや一時書き込みにも利用される読み書き可能な記憶素子である。
【0033】
制御部31は、ROM312から読み出したプログラムをCPU311に実行させることにより、遊技情報生成手段301、遊技情報記憶手段302、遊技情報送信手段303としての機能を実現する。
【0034】
遊技情報生成手段301は、遊技機5や玉回収装置等が出力する遊技信号の取込回数を集計等することで、各種の遊技情報を生成する手段である。
遊技情報記憶手段302は、遊技情報生成手段301が生成した遊技情報を記憶する手段である。
遊技情報送信手段303は、中継器53経由で遊技場管理装置20に遊技情報を送信する手段である。本例の遊技情報送信手段303は、対応する遊技機5の識別情報である台番ID(本例では遊技場内の台番を利用している。)を対応付けた状態で遊技情報を送信する。
【0035】
遊技情報生成手段301によって生成され遊技場管理装置20に向けて出力される遊技情報としては、以下の各遊技データがある。
(1)只今スタート数:直近の大当たり状態が終了してから現時点までのスタート回数。大当たり状態が終了した後、ゼロスタートで計数開始し、スタート信号を受信する毎に1回ずつ加算する。
(2)本日累計スタート数:非大当たり状態下で実行された当日の累計スタート数。当日の営業開始後、ゼロスタートで計数開始し、スタート信号を受信する毎に1回ずつ加算する。
(3)本日大当たり回数:BB状態の発生回数(当日の累計)。大当たり信号を非受信の状態から受信状態へ切り替わる毎に1回ずつ加算する。
(4)確変回数:確変状態の発生回数(当日の累計)。確変信号を非受信の状態から受信状態に切り替わる毎に1回ずつ加算する。
(5)出玉数:遊技を通じて遊技者が獲得し、所持している玉の数量。対応する遊技機5での遊技開始に応じてゼロスタートで計数が開始され、セーフ信号、売上信号、再遊技信号を受信する毎に、それぞれ、10玉、25玉、25玉加算され、アウト信号を受信する毎に10玉ずつ減算される。
【0036】
次に、遊技場管理装置20及びサーバ管理装置10について説明する。これらの管理装置20、10(
図1)は、計算処理能力や記憶容量等の規模に相違があるもののシステム構成は似通っている。いずれもの管理装置20、10も、液晶ディスプレイや図示しないプリンタ等を含む出力部と、各種の演算処理を実行する装置本体と、キーボード及び図示しないマウスを含む入力部と、を備えている。装置本体は、演算処理を実行するCPUを中心とした制御機能、ハードディスクドライブ(HDD)、ROM、RAM等を利用する記憶機能、及び各種信号あるいは情報を送受信する通信機能等を有している。
【0037】
遊技場管理装置20では、
図6に示すごとく、各遊技機5が属する遊技島の識別情報である島IDと台番IDとを対応付けた状態で上記(1)〜(5)の当日の遊技情報が管理されている。これらの遊技情報は、遊技場管理装置20が備える遊技情報出力手段によって遊技場IDが対応付けられ、サーバ管理装置10に向けて送信される。
【0038】
サーバ管理装置10では、各遊技場管理装置20から受信した遊技情報が遊技場毎に区別して管理されている。特に、本例のサーバ管理装置10は、
図7のごとく、管理対象の各遊技場について、各遊技機5の出玉数を島ID毎に区別して管理している。遊技場を識別する遊技場ID及び島IDを利用して
図7の遊技情報を参照すれば、特定の遊技場の特定の遊技島のいずれかの配列面に設置された各遊技機5の出玉数を抽出可能である。
【0039】
次に、
図8〜
図10に示す携帯端末4は、厚さ1cm程度の平板状の端末である。その正面(
図8)には、液晶表示部451の表示画面450が配置され、その右側に電源ボタン421が配置されている。携帯端末4の背面(
図9)には、撮像手段408を構成するカメラ基板440(
図10)に固定されたレンズの開口部441が設けられている。液晶表示部451の表示画面450には、タッチセンサシート453(
図10)が積層され、これによりタッチ操作可能なタッチパネルが形成されている。
【0040】
携帯端末4の内部には、制御部40をなす電気回路が形成された制御基板が収容されている。制御部40に対しては、CMOS素子やレンズ等が実装されたカメラ基板440、スピーカ431を駆動するアンプ基板433のほか、電源ボタン421、タッチセンサシート453、液晶表示部451等が電気的に接続されている。液晶表示部451は、撮像手段408により撮像した遊技島の画像情報である島画像を表示する表示手段407としての機能を備えている。
【0041】
制御部40は、CPU41、記憶素子であるROM42・RAM43、及び入出力インタフェースをなすI/O部44等を備えている。
ROM42は、CPU41に実行させる各種の処理プログラムを記憶している。
RAM43は、CPU41のワークエリアや一時書き込みにも利用される読み書き可能な記憶素子である。
【0042】
制御部40は、ROM42から読み出したプログラムをCPU41に実行させることにより、撮像対象の遊技島を特定する遊技島特定手段401、遊技島の各遊技機5を抽出する抽出手段403、各遊技機5の出玉数(遊技者が所持している遊技価値の大きさ)を特定する遊技情報特定手段405、各遊技機5の出玉数を表す出玉表示(特別情報)を島画像に合成表示する合成表示手段406としての機能を実現する。なお、これらの機能を実現する専用のアプリケーションプログラムは、例えば、サーバ管理装置10がインターネット上で提供するホームページにアクセスしてダウンロード可能である。
【0043】
合成表示手段406は、各遊技機5の出玉数に応じた特別情報である出玉表示を島画像に合成表示する手段である。本例は、獲得した遊技媒体の計数機能が台毎に設けられていない遊技場において、玉やメダル等を収容するために用いられる玉箱のイラスト画像である箱マーク110(
図12)を含む出玉表示11を採用した例である。本例では、1箱当たり1500個の出玉を表す箱マーク110を採用している。
【0044】
以上のような構成の本例の遊技情報表示システム1の動作について、携帯端末4の動作を示す
図11及び
図12を参照しながら説明する。
本例の遊技情報表示システム1においては、専用のアプリケーションプログラムがインストールされた携帯端末4を利用して各遊技機5の出玉状況を把握可能である。
【0045】
各遊技機5の出玉状況を把握するためには、まず、携帯端末4のカメラ機能を利用して遊技島を撮像する必要がある。具体的には、島特定情報の表示パネル2Pを視認可能な通路の端から遊技島を撮像することで
図11に例示する島画像1Aを取得する。なお、本例では、通路正面に掲示された表示パネル2Pが表示画面450のほぼ中央に位置するように遊技島を撮像する必要がある。
【0046】
本例の遊技情報表示システム1では、遊技島を撮像した携帯端末4が(1)島画像1A中の通路両側の遊技島の特定、(2)各遊技機5の抽出、(3)各遊技機5の出玉数の特定、及び(4)各遊技機5に対する出玉表示の合成表示、の各処理を実行する。
【0047】
(1)遊技島の特定
携帯端末4は、まず、島画像1Aから表示パネル2Pを検出する。表示パネル2Pの検出は、島画像1Aの中央付近で正方形の枠を探索して実現される。検出された表示パネル2Pの画像領域では、内部に表示された島特定情報が認識され、遊技場ID及び島IDが読み出される。
【0048】
(2)島画像1A中の各遊技機5の抽出
本例では、各遊技機5の上側に設置され、遊技者が遊技することによって遮蔽される可能性が低い遊技情報表示装置3を検出することで、対応する各遊技機5の抽出を実現している。本例では、島画像中の通路両側の各遊技島について、手前の遊技機51を1番、奥側に向かって2番、3番・・・というように抽出した各遊技機5に抽出番号を割り付ける。このような抽出番号の昇順は、各遊技島における台番IDの昇順と同様となっている。
【0049】
本例では、上記のように撮像された島画像1Aが備えている画像的特徴を利用して遊技情報表示装置3の検出を実現している。この画像的特徴は、遊技情報表示装置3の設置仕様に基づく特徴である。遊技情報表示装置3は、遊技機5の上側の無地白色系の化粧パネルに埋め込まれて配設されている。それ故、島画像1Aでは、化粧パネルに対応する画像領域であって画素値(画像を構成する画素の明るさ)の変化が少ない平滑領域が、各遊技情報表示装置3の上側及び左右を取り囲むように配置されている。
【0050】
このような画素値の変化が少ない平滑領域では、画素値の急激な変化を表すエッジ成分が低密度となる。一方、遊技情報表示装置3等に対応する画像領域では、ボタンや表示文字の輪郭等によって画素値の急激な変化が生じており、これにより、エッジ成分が高密度となる傾向にある。また、
図2では図示を省略しているが、照明等が配設された遊技場の天井部分に対応する画像領域においても、照明や照明器具等の輪郭等によるエッジ成分が比較的高密度となっている。
【0051】
本例では、島画像1A中のエッジ成分の密度に着目し、まず、化粧パネルに対応する平滑領域を検出している。そして、島画像1A中、この平滑領域に上側及び左右を取り囲まれ、かつ、エッジ成分の密度が高い画像領域を、遊技情報表示装置3に対応する画像領域として特定することで、各遊技情報表示装置3を検出している。なお、画像の中心(表示パネル2Pの近傍)を通過し、左右に向かって斜め上方に延びる仮想ライン1Cに沿って両側の遊技情報表示装置3が配列されているという画像的特徴を利用すれば、上記のような考え方に基づく遊技情報表示装置3の検出をより確実にできる。また、実空間において各遊技情報表示装置3が等間隔で配列されているという事実は、島画像1A中の個々の遊技情報表示装置3の検出精度を高めるために有効に利用できる。
【0052】
なお、例えば、奥の方の遊技情報表示装置3など、検出信頼性を十分に確保できない場合もある。そのような場合については、検出信頼性が高い遊技情報表示装置3の画像上の位置や、表示パネル2Pの画像上の位置等を基準位置として活用して、他の遊技情報表示装置3の位置を推定することも良い。
【0053】
(3)各遊技機5の出玉数の特定
携帯端末4は、表示パネル2Pから読み出した遊技場ID及び島IDを指定した上で、対応する遊技島の各遊技機5の遊技情報(
図7参照。)をサーバ管理装置10に要求する。そして、この要求に対してサーバ管理装置10からダウンロードされた遊技情報のうちの出玉数を利用して、島画像1A中の各遊技機5の出玉数を特定する。
【0054】
上記のダウンロード要求に際して携帯端末4が指定する島IDは2つである。第1の島IDは、島画像1A中の左側の遊技島に対応し、第2の島IDは、右側の遊技島に対応している。本例では、島ID毎に各遊技機5の出玉数がダウンロードされる。携帯端末4は、島画像1A中の左列の各遊技機5に対して上記第1の島IDに対応する各遊技機5の出玉数を割り付けると共に、右列の各遊技機5に対して上記第2の島IDに対応する各遊技機5の出玉数を割り付けることにより、島画像1A中の各遊技機5の出玉数を特定する。
【0055】
なお、上記のごとく、本例では、島画像1Aから抽出された各遊技機5に対して、台番IDと同様の昇順で抽出番号が割り付けられている。そこで、島画像1A中の各遊技機5の出玉数の特定に当たっては、各遊技機5の抽出番号の昇順と、島IDに対応する各遊技機5の台番IDの昇順と、を一致させるように各遊技機5に対する出玉数の割り付けを行えば良い。抽出番号の昇順と台番IDの昇順を一致させるとは、例えば、抽出番号1に対して最も小さい(若い)台番IDを対応付け、抽出番号2に対して2番目に小さい台番IDを対応付け、抽出番号3に対して3番目に小さい台番IDを対応付ける・・・という対応付けを意味している。
【0056】
(4)出玉表示の合成表示
携帯端末4では、
図12のごとく、各遊技機5の出玉数を表す出玉表示11が島画像1Aに合成表示される。箱マーク110は、島画像1A中の各遊技機5の遊技椅子の後ろ側の通路部分に合成表示される。玉箱が実際に利用される遊技場において遊技椅子の後ろ側の通路に玉箱が積み上げられる様子を模した本例の合成表示には、遊技機5と出玉表示11との対応関係を把握し易いという利点がある。
【0057】
以上の通り、本例の遊技情報表示システム1は、遊技島の撮像画像中の各遊技機5について、出玉数を表す出玉表示11の合成表示を可能としたシステムである。この遊技情報表示システム1では、専用のアプリケーションをインストールした携帯端末4のカメラ機能を利用して遊技島を撮像するだけで、上記のような出玉表示11の合成画像を表示させることができる。計数機能を備えた貸出装置52が台毎に設置され遊技者の周囲に大量の遊技媒体が留め置かれることがない遊技場であっても、本例の遊技情報表示システム1を導入すれば、遊技島の出玉状況を遊技者に把握させることが可能になる。
【0058】
本例に代えて、遊技島の配置を表示するための
図13のレイアウト表示22を島特定情報表示手段として利用することも良い。このレイアウト表示22は、例えば、遊技場内の壁面に掲示されたり、図示しない場内表示装置等の表示画面に表示される。このレイアウト表示22では、島特定情報を表すコード画像225が遊技島222毎に配置されている。このレイアウト表示22を撮像したレイアウト画像22Aでは、
図14のごとく、出玉数を棒の高さで表す出玉表示11Bが各遊技機5に対応して合成表示されている。なお、各遊技島毎のコード画像225を省略し、レイアウト表示22における遊技島の配置に基づいて、携帯端末4側で遊技島を特定する構成を採用することもできる。
【0059】
本例では、出玉表示11として、玉箱をイメージさせる箱マーク110を採用している。出玉表示としては、
図14の出玉表示11Bのほか、出玉数が多くなるにつれて寒色系から暖色系の色に変化させることで出玉数を色合いで表示する出玉表示であっても良い。さらに、各遊技機5に対して出玉数を表す数字そのものを合成表示することも良い。
【0060】
なお、本例では、島特定情報として記号コードを採用している。記号コードに代えて、QRコード(R)等の2次元コードや、バーコード等の1次元コードを採用しても良く、文字コードを採用することも良い。
島特定情報の表示位置は、本例の柱や壁には限定されない。通路の床や天井に表示することも良いし、遊技島の手前側の壁面に表示することも良い(遊技島が島特定情報を表示するようにしても良い。)。
【0061】
本例では、表示パネル2Pが略中央に位置するように撮像された島画像1Aを対象として、各遊技機5に対応する出玉表示11を実現している。島画像中の表示パネル2Pの位置は、本例の通りでなくても良い。島画像中のどこかの位置に表示パネル2Pが撮像されていれば、例えば、画像処理の分野において周知なテンプレートマッチング手法等を利用して表示パネル2Pを検出し、内部に表示された島特定情報を認識することも可能である。
【0062】
島画像1Aから遊技機5を抽出するに際して、本例では遊技情報表示装置3を利用している。これに代えて、島画像1Aから遊技機5を直接検出することも良い。このように遊技機5を直接検出する場合には、遊技情報表示装置3の設置仕様など遊技島の態様に関わらず、様々な態様の遊技島に対して本例のシステムを適用できる。遊技機5を検出する方法としては、テンプレートマッチング手法等によって遊技機5を検出する方法や、円形の遊技領域など遊技機5の特徴的な形状を検出する方法等がある。さらに、遊技島の遊技椅子を検出し、対応する各遊技機5を抽出することも考えられる。
【0063】
撮像方向が異なっていたり、遊技島全体が撮像されていない等、様々な撮像パターンの島画像が対象であっても良い。遊技情報表示装置3について、撮像角度等が異なる様々なパターンのテンプレート画像を予め準備しておけば、島画像の撮像パターンによらず、テンプレートマッチング手法等を利用した遊技情報表示装置3の検出が可能になる。なお、この点については、遊技機5を直接検出する場合についても同様である。
【0064】
様々な撮像パターンの島画像に対応できるように、遊技島の所定の2箇所に表示パネル2Pを掲示しておくことも良い。この場合には、島画像中の2箇所の表示パネル2Pの位置を基準として撮像方向や撮像範囲を特定できる。さらに、特定された撮像方向や撮像範囲に基づいて、島画像中の各遊技機5の画像領域を特定することも良い。
撮像手段としてステレオカメラを備えた携帯端末を利用することも有効である。ステレオカメラによる島画像であれば、島画像中の各位置の3次元位置を容易に算出でき、これにより、遊技島の配列面や、配列面に設置された各遊技機の抽出が一層容易になる。
【0065】
さらに、携帯端末のGPS機能を利用して遊技場を特定する一方、島画像1A中に映り込んだ場内構造から撮像対象の遊技島を特定することも考えられる。
高指向性のRFIDタグや、赤外線送信手段等を、遊技島を撮像する場所の周辺に配設すると共に、無線や赤外線で島特定情報を受信する構成を携帯端末に含めることも良い。
【0066】
本例では、各遊技機5の上側に配置された遊技情報表示装置3を検出することで、その下側の遊技機5の抽出を実現している。これに代えて、各遊技機5を直接、検出して抽出することも良い。
【0067】
本例では、遊技開始毎に出玉数をゼロスタートで集計している。これに代えて、遊技者の交替があってもリセットされない当日の累計出玉数を集計し、その累計出玉数を出玉表示することも良い。貸出装置52が受付中の遊技カードに記録された獲得媒体数を、出玉数として利用することもできる。
本例では、出玉数を集計するに当たって、貸出装置52が払い出した玉数を集計対象に加えている。貸出装置52による払出玉数を無視して出玉数を集計しても良い。
【0068】
本例では、遊技情報表示装置3が集計等した遊技情報を、遊技場管理装置20を介してサーバ管理装置10に出力している。これに代えて、遊技場管理装置20を介することなく、遊技情報表示装置3がサーバ管理装置10に遊技情報を直接出力しても良い。
本例の遊技情報表示装置3が備える遊技情報送信手段303の機能については、中継器53に具備させても良い。
【0069】
本例は、計数機能を備えた貸出装置52が台毎に設置された遊技場への適用例である。これに代えて、パチンコ玉の払出を伴わない、いわゆる封入式のパチンコ遊技機や、メダル等の遊技媒体を利用しない、いわゆる完全クレジット式のスロットマシンなどが導入された遊技場に対して、本例の遊技情報表示システム1を適用することも有効である。封入式のパチンコ遊技機や、完全クレジット式のスロットマシンの場合、遊技者が獲得した遊技価値が遊技機側で計数され、遊技カード等の記録媒体に記録される。
【0070】
なお、本例に代えて、計数機能を持たない貸出装置と、計数機能を有する計数装置と、を、各遊技機5に対応して設置することも良い。また、貸出装置及び計数装置の一方又は両方を隣り合う2台の遊技機で1台の装置を共有することも良い。つまり、複数の遊技機5に対して一の貸出装置や計数装置が対応するようにしても良い。
【0071】
なお、本例では、計数玉数を遊技カードに記録して発行する構成を採用しているが、この構成には限定されない。例えば、遊技場にて配布した携帯端末に計数玉数を記憶させても良く、遊技者が所持する携帯電話等に計数玉数を記憶させることも可能である。この場合、貸出装置52に携帯端末(携帯電話)をかざしたときに、計数玉数のデータが転送されるように構成すると使い勝手が良好になる。このような構成においては、遊技者が所持する携帯端末が「記録媒体」に相当し、貸出装置(発行手段)52がこの携帯端末にデータを記憶させることが「記録媒体の発行」に相当している。
【0072】
本例では、携帯端末4として、スマートフォン等の携帯端末(多機能携帯電話)を例示している。携帯端末4としては、公衆通信回線100にアクセス可能な端末であれば良く、本例のスマートフォン等に代えて、あるいは加えて、スマートフォンとは異なる携帯電話、携帯ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)等の端末を利用することもできる。
【0073】
本例では、公衆通信回線100を介して携帯端末4からサーバ管理装置10にアクセスして、各遊技機5の遊技情報(出玉数)をダウンロードしている。これに代えて、無線LAN、Wi−Fiなどによって場内ネットワークにアクセスして、遊技場管理装置20から各遊技機5の遊技情報をダウンロードすることもできる。
【0074】
本例では、遊技機5としてパチンコ遊技機を例示している。遊技機5は、スロットマシンであっても良く、パチンコ遊技機とスロットマシンとの両方であっても良い。
なお、インターネット等の公衆通信回線100を採用する場合には、例えば、VPN(Virtual Private Network)技術等を利用すれば、セキュリティレベルを高く確保可能である。さらに、公衆通信回線100としては、ISDN回線や、電話回線等、他の公衆通信回線を採用することもできる。
【0075】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。