(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5947611
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】ケミカルメカニカルポリッシング組成物及びゲルマニウム−アンチモン−テルル合金を研磨する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20160623BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20160623BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20160623BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
H01L21/304 622W
H01L21/304 621D
B24B37/00 H
B24B37/00 R
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-98807(P2012-98807)
(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公開番号】特開2012-235110(P2012-235110A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2015年4月20日
(31)【優先権主張番号】13/096,740
(32)【優先日】2011年4月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125793
【弁理士】
【氏名又は名称】川田 秀美
(74)【代理人】
【識別番号】100149412
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 雅俊
(74)【代理人】
【識別番号】100151828
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 将市
(74)【代理人】
【識別番号】100173772
【弁理士】
【氏名又は名称】角野 ゆり子
(74)【代理人】
【識別番号】100116919
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 房幸
(72)【発明者】
【氏名】ジェソク・イ
(72)【発明者】
【氏名】イ・グォ
(72)【発明者】
【氏名】カンチャーラ−アルン・クマール・レディ
(72)【発明者】
【氏名】グアンユン・ツァン
【審査官】
鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−525615(JP,A)
【文献】
特開2010−114446(JP,A)
【文献】
特開2009−16829(JP,A)
【文献】
米国特許第7678605(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
B24B 37/24
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、以下:
基板を提供すること(ここで、基板は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金を含む);
ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として:
水;
0.1〜5重量%の砥粒(ここで、砥粒は、110〜130nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒である);
0.001〜5重量%の、エチレンジアミン四酢酸及びその塩より選択される材料;
0.001〜3重量%の酸化剤(ここで、酸化剤は、過酸化水素である);から実質的になり、
ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、7.1〜12のpHを有する);
ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の接触面に動的接触を作り出すこと;ならびに
ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の接触面又は近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入すること(ここで、少なくとも幾らかのゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金が、基板から除去される);を含み、
そして、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機でプラテン速度毎分60回転、キャリア速度毎分55回転、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速200ml/分、及び名目ダウンフォース8.27kPa(1.2psi)で、1,000Å/分以上のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を示し、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、高分子中空コア微粒子及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含有するポリウレタン研磨層を含み、
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、研磨後のSP1欠陥(>0.16μm)数300以下と同時に1,000Å/分以上のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を促進する、方法。
【請求項2】
基板が、さらにSi3N4を含み;少なくとも幾らかのSi3N4が基板から除去され;そして、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:Si3N4除去速度選択比が≧10:1を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基板が、さらにオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を含み;そして、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:TEOS除去速度選択比が≧10:1を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:Si3N4除去速度選択比が≧15:1を示す、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
基板が、さらにオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を含み;少なくとも幾らかのTEOSが基板から除去され;そして、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:TEOS除去速度選択比が≧15:1を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
研磨後のSP1欠陥の200以下が、テルル残渣欠陥である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基板が、さらにSi3N4を含み;少なくとも幾らかのSi3N4が基板から除去され;そして、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:Si3N4除去速度選択比が≧15:1を示す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基板が、さらにオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を含み;少なくとも幾らかのTEOSが基板から除去され;そして、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:TEOS除去速度選択比が≧15:1を示す、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルメカニカルポリッシング組成物及びそれを使用する方法に関する。より詳細には、本発明は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金を有する基板を研磨するためのケミカルメカニカルポリッシング組成物に関する。
【0002】
一般に非晶質状態である絶縁と、一般に結晶状態である導電との間の電気的転移が可能な相変化材料を用いる相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)デバイスが、次世代メモリデバイスの主導的な候補となった。これらの次世代PRAMデバイスは、各メモリビットごとに超小型電子回路素子を用いる従来の固体状態メモリデバイス、例えばダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイス;スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)デバイス、イレイザブルプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)デバイス及び電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)デバイスに取って代わる可能性がある。これらの従来の固体状態メモリデバイスは、多量のチップスペースを消費して情報を保存するため、チップ密度が限定され、プログラミングするのも比較的遅い。
【0003】
PRAMデバイスに有用な相変化材料としては、カルコゲナイド材料、例えばゲルマニウム−テルル(Ge−Te)及びゲルマニウム−アンチモン−テルル(Ge−Sb−Te)相変化合金が挙げられる。PRAMデバイスの製造は、カルコゲナイド相変化材料を選択的に除去してデバイス表面を平坦化する、ケミカルメカニカルポリッシング工程を含む。
【0004】
テルルは、カルコゲナイド相変化合金膜において比較的可動性となる傾向がある。CMP条件下で、テルルは平坦化の間に、ウェーハの表面に移動して塊になる傾向がありうる。これは、非均質の組成及びウェーハのある位置から別の位置で異なる表面特性を有する膜につながる。
【0005】
カルコゲナイド相変化物質を有する基板を研磨するための一つのポリッシング組成物は、Dysardらの米国特許出願公開第20070178700号に開示されている。Dysardらは、相変化合金を含有する基板を研磨するためのケミカルメカニカルポリッシング組成物を開示し、該組成物は:(a)約3重量パーセント以下の量の、粒子状の砥粒材料;(b)相変化合金、その成分又はケミカルメカニカルポリッシングの間に相変化合金材料から生じた物質をキレート化することができる、少なくとも一種のキレート化剤;及び(c)それらのための水性担体を含む。
【0006】
高い除去速度で選択的に相変化物質の除去ができ、その一方でまた、総欠陥及びTe残渣欠陥の減少をもたらす、新規なケミカルメカニカルポリッシング(CMP)組成物を開発することの必要性が継続して存在したままである。
【0007】
本発明は、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、以下:基板を提供すること(ここで、基板は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金を含む);ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として:水;0.1〜5重量%の砥粒;0.001〜5重量%の、エチレンジアミン四酢酸及びその塩より選択される材料;0.001〜3重量%の酸化剤(ここで、酸化剤は、過酸化水素である)から実質的になり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、7.1〜12のpHを有する);ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の接触面に動的接触を作り出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の接触面又は近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み;ここで、少なくとも幾らかのゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金が、基板から除去される方法を提供する。
【0008】
本発明はまた、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、以下:基板を提供すること(ここで、基板は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金を含む);ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として:水;0.1〜5重量%の砥粒;0.001〜5重量%のエチレンジアミン四酢酸又はその塩;0.001〜3重量%の酸化剤(ここで、酸化剤は、過酸化水素である)から実質的になり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、7.1〜12のpHを有する);ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の接触面に動的接触を作り出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の接触面又は近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み;ここで、少なくとも幾らかのゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金が、基板から除去され;ここで、砥粒が、110〜130nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒であり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機でプラテン速度毎分60回転、キャリア速度毎分55回転、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速200ml/分、及び名目ダウンフォース(nominal down force)8.27kPa(1.2psi)で、1,000Å/分以上のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を示し、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、高分子中空コア微粒子及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含有するポリウレタン研磨層を含む、方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、以下:基板を提供すること(ここで、基板は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金を含む);ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として:水;0.1〜5重量%の砥粒;0.001〜5重量%のエチレンジアミン四酢酸又はその塩;0.001〜3重量%の酸化剤(ここで、酸化剤は、過酸化水素である)から実質的になり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、7.1〜12のpHを有する);ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の接触面に動的接触を作り出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の接触面又は近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み;ここで、少なくとも幾らかのゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金が、基板から除去され;ここで、砥粒が、110〜130nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒であり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機でプラテン速度毎分60回転、キャリア速度毎分55回転、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速200ml/分、及び名目ダウンフォース8.27kPa(1.2psi)で、1,000Å/分以上のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を示し、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、高分子中空コア微粒子及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含有するポリウレタン研磨層を含み;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、研磨後のSP1欠陥(>0.16μm)数300以下と同時に1,000Å/分以上のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を促進する、方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、以下:基板を提供すること(ここで、基板は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金を含む);ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として:水;0.1〜5重量%の砥粒;0.001〜5重量%の、エチレンジアミン四酢酸又はその塩;0.001〜3重量%の酸化剤(ここで、酸化剤は、過酸化水素である)から実質的になり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、7.1〜12のpHを有する);ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の接触面に動的接触を作り出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の接触面又は近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み;ここで、少なくとも幾らかのゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金が、基板から除去され;ここで、砥粒が、110〜130nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒であり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機でプラテン速度毎分60回転、キャリア速度毎分55回転、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速200ml/分、及び名目ダウンフォース8.27kPa(1.2psi)で、1,000Å/分以上のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を示し、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、高分子中空コア微粒子及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含有するポリウレタン研磨層を含み;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、研磨後のSP1欠陥(>0.16μm)数300以下と同時に1,000Å/分以上のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を促進し;ここで、研磨後のSP1欠陥の200以下が、テルル残渣欠陥である、方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、以下:基板を提供すること(ここで、基板は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金を含む);ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として:水;0.1〜5重量%の砥粒;0.001〜5重量%の、エチレンジアミン四酢酸又はその塩;0.001〜3重量%の酸化剤(ここで、酸化剤は、過酸化水素である)から実質的になり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、7.1〜12のpHを有する);ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の接触面に動的接触を作り出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の接触面又は近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み;ここで、少なくとも幾らかのゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金が、基板から除去され;ここで、砥粒が、110〜130nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒であり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機でプラテン速度毎分60回転、キャリア速度毎分55回転、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速200ml/分、及び名目ダウンフォース8.27kPa(1.2psi)で、1,000Å/分以上のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を示し、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、高分子中空コア微粒子及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含有するポリウレタン研磨層を含み;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、研磨後のSP1欠陥(>0.16μm)数300以下と同時に1,000Å/分以上のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を促進し;ここで、研磨後のSP1欠陥の200以下が、テルル残渣欠陥であり;ここで、基板がさらにSi
3N
4を含み;ここで、少なくとも幾らかのSi
3N
4が基板から除去され;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:Si
3N
4除去速度選択比が≧15:1を示す、方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、以下:基板を提供すること(ここで、基板は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金を含む);ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として:水;0.1〜5重量%の砥粒;0.001〜5重量%の、エチレンジアミン四酢酸又はその塩;0.001〜3重量%の酸化剤(ここで、酸化剤は、過酸化水素である)から実質的になり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、7.1〜12のpHを有する);ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の接触面に動的接触を作り出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の接触面又は近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み;ここで、少なくとも幾らかのゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金が、基板から除去され;ここで、砥粒が、110〜130nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒であり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機でプラテン速度毎分60回転、キャリア速度毎分55回転、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速200ml/分、及び名目ダウンフォース8.27kPa(1.2psi)で、1,000Å/分以上のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を示し、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、高分子中空コア微粒子及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含有するポリウレタン研磨層を含み;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、研磨後のSP1欠陥(>0.16μm)数300以下と同時に1,000Å/分以上のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を促進し;ここで、研磨後のSP1欠陥の200以下が、テルル残渣欠陥であり;ここで、基板がさらにオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を含み;ここで、少なくとも幾らかのTEOSが基板から除去され;そしてここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:TEOS除去速度選択比が≧15:1を示す、方法を提供する。
【0013】
詳細な説明
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法は、カルコゲナイド相変化合金を含む基板の研磨に有用である。本発明の方法で使用するケミカルメカニカルポリッシング組成物は、基板上の追加の材料に対して有利な選択性で、かつ低総欠陥及び低Te残渣欠陥にて、カルコゲナイド相変化合金の高い除去速度を提供する。
【0014】
ケミカルメカニカルポリッシングのための本発明の方法に使用するために適切な基板は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル(GST)相変化合金を含む。
【0015】
ケミカルメカニカルポリッシングのための本発明の方法に使用するために適切な基板は、場合により、さらにリンケイ酸塩ガラス(PSG)、ホウリンケイ酸塩ガラス(BPSG)、非ドープのケイ酸塩ガラス(USG)、スピンオンガラス(SOG)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、プラズマ強化TEOS(PETEOS)、流動性酸化物(FOx)、高密度プラズマ化学蒸着(HDP−CVD)酸化物及び窒化ケイ素(例えばSi
3N
4)より選択される追加の材料を含む。好ましくは、基板は、さらにSi
3N
4及びTEOSより選択される追加の材料を含む。
【0016】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物において使用するのに適切な砥粒は、例えば、無機酸化物、無機水酸化物、無機水酸化物酸化物、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、ポリマー粒子及び前述の少なくとも一種を含む混合物を含む。適切な無機酸化物は、例えば、シリカ(SiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、ジルコニア(ZrO
2)、セリア(CeO
2)、酸化マンガン(MnO
2)、酸化チタン(TiO
2)又は前述の酸化物の少なくとも一種を含む組み合わせを含む。これらの無機酸化物の改質形、例えば有機ポリマーで被覆した無機酸化物粒子及び無機被覆粒子もまた、所望であれば利用することができる。適切な金属炭化物、ホウ化物及び窒化物は、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭窒化ケイ素(SiCN)、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ホウ化アルミニウム、炭化タンタル、炭化チタン又は前述の金属炭化物、ホウ化物及び窒化物の少なくとも一種の組み合わせを含む。好ましくは、使用される砥粒は、コロイダルシリカ砥粒である。より好ましくは、使用される砥粒は、周知のレーザー光散乱技術によって測定される、1〜200nm(より好ましくは100〜150nm、最も好ましくは110〜130nm)の平均粒径を有するコロイダルシリカである。
【0017】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法で使用するケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは、初期成分として、0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜4重量%、さらにより好ましくは1〜4重量%、なおさらにより好ましくは3〜4重量%の砥粒を含む。好ましくは、砥粒は、コロイダルシリカ砥粒である。最も好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、110〜130nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒を3〜4重量%含む。
【0018】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法で使用するケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.001〜5重量%(より好ましくは0.01〜5重量%、最も好ましくは0.15〜0.25重量%)の、エチレンジアミン四酢酸及びその塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸二カリウム塩二水和物)から選択される材料を含む。
【0019】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法で使用するケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.001〜3重量%(より好ましくは0.01〜3重量%、さらにより好ましくは0.05〜1重量%、最も好ましくは0.25〜0.75重量%)の酸化剤を含む。好ましくは、酸化剤は、過酸化水素である。最も好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法で使用するケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.25〜0.75重量%の過酸化水素を含む。
【0020】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法で使用するケミカルメカニカルポリッシング組成物において使用する水は、付随する不純物を制限するため、脱イオン化及び蒸留の少なくとも一方を施されている。
【0021】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法で使用するケミカルメカニカルポリッシング組成物は、場合により、更にpH調整剤、分散剤、界面活性剤、緩衝剤及び殺生物剤から選択される追加の添加剤を含む。
【0022】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法で使用するケミカルメカニカルポリッシング組成物は、7.1〜12(好ましくは7.5〜10、より好ましくは7.5〜9、最も好ましくは7.5〜8.5)のpHを有する。ケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHの調整に適切な酸は、例えば、硝酸、硫酸及び塩酸を含む。ケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHの調整に適切な塩基は、例えば、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム及び重炭酸塩;好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む。
【0023】
場合により、本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法において、基板はさらにSi
3N
4を含み;ここで、少なくとも幾らかのSi
3N
4が基板から除去され;ここで、使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:Si
3N
4除去速度選択比が≧10:1(より好ましくは≧15:1;最も好ましくは≧18:1)を示す。
【0024】
場合により、本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法において、基板はさらにオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を含み;ここで、少なくとも幾らかのTEOSが基板から除去され、ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:TEOS除去速度選択比が≧10:1(好ましくは≧15:1)を示す。
【0025】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法は、以下:基板を提供すること(ここで、基板はゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金を含む);ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること[ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として:水;0.1〜5重量%(好ましくは0.5〜4重量%、より好ましくは1〜4重量%、最も好ましくは3〜4重量%)の砥粒(好ましくは、ここで、砥粒は、1〜200nm、より好ましくは100〜150nm、最も好ましくは110〜130nmの平均粒径を有するコロイダルシリカ砥粒である);0.001〜5重量%(好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.15〜0.25重量%)の、エチレンジアミン四酢酸及びその塩より選択される材料;及び、0.001〜3重量%(好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.05〜1重量%、最も好ましくは0.25〜0.75重量%)の酸化剤(ここで、酸化剤は、過酸化水素である)から実質的になり;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、7.1〜12(好ましくは7.5〜10、より好ましくは7.5〜9、最も好ましくは7.5〜8.5)のpHを有する];ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の接触面に動的接触を作り出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の接触面又は近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み;ここで、少なくとも幾らかのゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金が基板から除去され;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機でプラテン速度毎分60回転、キャリア速度毎分55回転、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速200ml/分、及び名目ダウンフォース8.27kPa(1.2psi)で、1,000Å/分以上(好ましくは1,200Å/分以上)のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を示し、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、高分子中空コア微粒子及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含有するポリウレタン研磨層を含み;ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、研磨後のSP1欠陥(>0.16μm)数300以下(より好ましくは0〜300、最も好ましくは0〜270)と同時に1,000Å/分以上(好ましくは1,200Å/分以上)のゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金の除去速度を促進し;ここで、研磨後のSP1欠陥の200以下(より好ましくは0〜200、最も好ましくは0〜185)が、テルル残渣欠陥であり;場合により、ここで、基板がさらにSi
3N
4を含み、ここで少なくとも幾らかのSi
3N
4が基板から除去され、ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:Si
3N
4除去速度選択比が≧15:1(好ましくは≧18:1)を示し;場合により、ここで基板がさらにオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を含み、ここで少なくとも幾らかのTEOSが基板から除去され、ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、ゲルマニウム−アンチモン−テルル相変化合金:TEOS除去速度選択比が≧15:1を示す。
【0026】
本発明の幾つかの実施態様は、以下の実施例において詳細に説明されるであろう。
【0027】
実施例
ケミカルメカニカルポリッシング組成物
試験されるケミカルメカニカルポリッシング組成物(CMPC)は、表1に記載されている。ケミカルメカニカルポリッシング組成物A〜Dは、比較の配合物であり、これらは請求する発明の範囲内に含まれない。
【0028】
【表1】
【0029】
研磨試験
研磨実験は、SKW Associates Inc.製ゲルマニウム−アンチモン−テルル(GST)ブランケットウェーハ(Si/1kÅ熱酸化物/200Å TiN/1500Å GST膜)上で、表1に記載したケミカルメカニカルポリッシング組成物を使用して実施した。研磨実験は、ISRM検出器を備えたApplied Materials, Inc.のMirra(商標)200mm研磨機を使用し、IC1010(登録商標)ポリウレタンポリッシングパッド(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.より市販されている)を使用して、ダウンフォース1.2psi(8.27kPa)、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速200ml/分、プラテン速度60rpm及びキャリア速度55rpm下で実施した。Diagrid(商標)AD3BG-150855ダイアモンドパッド調節器(Kinik社から市販されている)を、ポリッシングパッドの調整に用いた。ポリッシングパッドは研磨の前に、調整器を用いて、ダウンフォース14.0lbs(6.35kg)で20分間、次にダウンフォース9.0lbs(4.08kg)で10分間、慣らし運転を行った。ポリッシングパッドは、ウェーハを研磨する間にダウンフォース9.0lbs(4.08kg)を使用してインサイチューでさらに調整した。表2に報告したGST除去速度のデータは、Jordan Valley JVX-5200T計測用具を使用して測定した。Si
3N
4及びTEOSブランケットウェーハ(それぞれSVTC及びAdvantivより)はまた、周知の(noted)条件下で研磨した。表2に報告したSi
3N
4及びTEOSの除去速度は、KLA-Tencor FX200計測用具を使用して、研磨前後の膜の厚さを計測することにより測定した。0.16μmをこえる欠陥についての欠陥数分析は、KLA-Tencor製SP1計測用具を使用して実施した。無作為に選択した所定の数の欠陥(表2に注記している)を、KLA-Tencor製SEM EDR5200計測用具を使用して検査して、Te残渣欠陥を特定した。次に結果を欠陥の残りに対して外挿して、Te残渣欠陥の総数を見積もった。研磨試験の結果は、表2に示されている。
【0030】
【表2】