特許第5947621号(P5947621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 理想科学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5947621-製本装置 図000002
  • 特許5947621-製本装置 図000003
  • 特許5947621-製本装置 図000004
  • 特許5947621-製本装置 図000005
  • 特許5947621-製本装置 図000006
  • 特許5947621-製本装置 図000007
  • 特許5947621-製本装置 図000008
  • 特許5947621-製本装置 図000009
  • 特許5947621-製本装置 図000010
  • 特許5947621-製本装置 図000011
  • 特許5947621-製本装置 図000012
  • 特許5947621-製本装置 図000013
  • 特許5947621-製本装置 図000014
  • 特許5947621-製本装置 図000015
  • 特許5947621-製本装置 図000016
  • 特許5947621-製本装置 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5947621
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】製本装置
(51)【国際特許分類】
   B42C 11/06 20060101AFI20160623BHJP
   B42C 9/00 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   B42C11/06
   B42C9/00
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-120511(P2012-120511)
(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公開番号】特開2013-244674(P2013-244674A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】岡野 一久
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−148621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42C 11/06
B42C 9/00
B42C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の本文用紙からなる用紙束の背面と側面の一部とに接着剤を塗布し、前記用紙束に表紙用紙を接着してくるみ綴じする接着部と、
前記接着部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記表紙用紙のコシの強度を示す情報を取得し、取得した前記表紙用紙のコシの強度を示す情報に基づき、前記接着部における前記用紙束の側面に対する前記表紙用紙の接着力を、くるみ綴じにより完成する冊子において前記表紙用紙が外側に開くことを抑制するための接着力となるよう調整することを特徴とする製本装置。
【請求項2】
前記接着部は、
前記用紙束の背面と側面の一部とに接着剤を塗布する接着剤塗布部と、
接着剤が塗布済みの前記用紙束の背面が当接した前記表紙用紙の背表紙部分と表表紙部分との境界部および前記背表紙部分と裏表紙部分との境界部を折り曲げるとともに、前記背表紙部分および前記裏表紙部分を前記用紙束に押圧する折り曲げ部とを備え、
前記制御部は、前記接着剤塗布部が前記用紙束の側面に塗布する接着剤の塗布領域の大きさ、前記折り曲げ部による押圧時間、および前記折り曲げ部による押圧力のうちの少なくともいずれか1つを調整することにより、前記用紙束の側面に対する前記表紙用紙の接着力を調整することを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
【請求項3】
前記接着剤塗布部は、
接着剤を収容する接着剤収容部と、
前記接着剤収容部内において、接着剤の上面と略平行である水平な軸に支持され、接着剤が外周面に付着する長尺状の塗布部材と、
前記用紙束を、背面が略水平で、背面の長手方向が前記塗布部材の長手方向に略平行になるように保持し、前記用紙束の背面を前記塗布部材の外周面に接触させることで前記用紙束の背面と側面の一部とに接着剤を付着させる用紙束保持部とを備え、
前記用紙束保持部は、前記用紙束をその厚さ方向に揺動可能であり、
前記制御部は、前記用紙束の側面に塗布する接着剤の塗布領域を大きくする場合、前記用紙束保持部により前記用紙束の側面を鉛直方向に対して傾けて前記用紙束を前記塗布部材の外周面に接触させ、その際の前記用紙束の側面の傾き角度を調整することで、前記用紙束の側面に付着する接着剤の塗布領域の大きさを調整することを特徴とする請求項2に記載の製本装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冊子を作製する製本装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、くるみ製本機能により冊子を作製する製本装置が知られている。くるみ製本機能は、印刷済みの複数の本文用紙からなる用紙束の背面に接着剤を塗布し、この用紙束を表紙用紙でくるみ綴じして冊子を作製する機能である。
【0003】
くるみ製本機能により冊子を作製する製本装置は、用紙束に接着された表紙用紙の背表紙部分と表表紙部分との境界部、および背表紙部分と裏表紙部分との境界部を、それぞれ折り曲げることで、冊子を完成させている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4631614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
くるみ製本で用いられる表紙用紙としては、本文用紙よりも厚く、コシが強い用紙が用いられることが多い。コシが強い表紙用紙の場合、完成した冊子の表紙(表表紙および裏表紙)が外側に開いてしまうことがあった。その結果、完成した冊子が製本装置から排出されるまでの搬送中に、製本装置内の部材等に冊子の表紙が接触し、搬送不良が発生するおそれがあった。また、冊子の外観品質が損なわれていた。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、冊子の表紙が外側に開くことを抑制できる製本装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る製本装置の第1の特徴は、複数の本文用紙からなる用紙束の背面と側面の一部とに接着剤を塗布し、前記用紙束に表紙用紙を接着してくるみ綴じする接着部と、前記接着部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記表紙用紙のコシの強度に応じて、前記接着部における前記用紙束の側面に対する前記表紙用紙の接着力を調整することにある。
【0008】
本発明に係る製本装置の第2の特徴は、前記接着部は、前記用紙束の背面と側面の一部とに接着剤を塗布する接着剤塗布部と、接着剤が塗布済みの前記用紙束の背面が当接した前記表紙用紙の背表紙部分と表表紙部分との境界部および前記背表紙部分と裏表紙部分との境界部を折り曲げるとともに、前記背表紙部分および前記裏表紙部分を前記用紙束に押圧する折り曲げ部とを備え、前記制御部は、前記接着剤塗布部が前記用紙束の側面に塗布する接着剤の塗布領域の大きさ、前記折り曲げ部による押圧時間、および前記折り曲げ部による押圧力のうちの少なくともいずれか1つを調整することにより、前記用紙束の側面に対する前記表紙用紙の接着力を調整することにある。
【0009】
本発明に係る製本装置の第3の特徴は、前記接着剤塗布部は、接着剤を収容する接着剤収容部と、前記接着剤収容部内において、接着剤の上面と略平行である水平な軸に支持され、接着剤が外周面に付着する長尺状の塗布部材と、前記用紙束を、背面が略水平で、背面の長手方向が前記塗布部材の長手方向に略平行になるように保持し、前記用紙束の背面を前記塗布部材の外周面に接触させることで前記用紙束の背面と側面の一部とに接着剤を付着させる用紙束保持部とを備え、前記用紙束保持部は、前記用紙束をその厚さ方向に揺動可能であり、前記制御部は、前記用紙束の側面に塗布する接着剤の塗布領域を大きくする場合、前記用紙束保持部により前記用紙束の側面を鉛直方向に対して傾けて前記用紙束を前記塗布部材の外周面に接触させ、その際の前記用紙束の側面の傾き角度を調整することで、前記用紙束の側面に付着する接着剤の塗布領域の大きさを調整することにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る製本装置の第1の特徴によれば、表紙用紙のコシの強度に応じて、本文用紙からなる用紙束の側面に対する表紙用紙の接着力を調整する。これにより、製本装置は、表紙用紙のコシが強い場合でも、用紙束の側面に対する表紙用紙の接着力を調整することで、冊子の表紙が外側に開くことを抑制できる。
【0011】
本発明に係る製本装置の第2の特徴によれば、接着剤塗布部が用紙束の側面に塗布する接着剤の塗布領域の大きさ、折り曲げ部による押圧時間、および折り曲げ部による押圧力のうちの少なくともいずれか1つを調整することで、用紙束の側面に対する表紙用紙の接着力を容易に調整できる。
【0012】
本発明に係る製本装置の第3の特徴によれば、用紙束を塗布部材の外周面に接触させる際の用紙束の側面の鉛直方向に対する傾き角度を調整することで、用紙束の側面における接着剤の塗布領域の大きさを容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に係る製本システムの概略構成図である。
図2図1に示す製本システムの制御系の構成を示すブロック図である。
図3】製本装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】用紙束の側面におけるホットメルト接着剤の塗布領域を標準の大きさとする場合の塗布動作を説明するための図である。
図5】用紙束の側面におけるホットメルト接着剤の塗布領域を標準の大きさとする場合の塗布動作を説明するための図である。
図6】用紙束の側面におけるホットメルト接着剤の塗布領域を標準の大きさとする場合の塗布動作を説明するための図である。
図7】用紙束の側面におけるホットメルト接着剤の塗布領域を標準よりも大きくする場合の塗布動作を説明するための図である。
図8】用紙束の側面におけるホットメルト接着剤の塗布領域を標準よりも大きくする場合の塗布動作を説明するための図である。
図9】用紙束の側面におけるホットメルト接着剤の塗布領域を標準よりも大きくする場合の塗布動作を説明するための図である。
図10】用紙束の側面におけるホットメルト接着剤の塗布領域を標準よりも大きくする場合の塗布動作を説明するための図である。
図11】用紙束の側面におけるホットメルト接着剤の塗布領域を標準よりも大きくする場合の塗布動作を説明するための図である。
図12】用紙束の側面におけるホットメルト接着剤の塗布領域を標準よりも大きくする場合の塗布動作を説明するための図である。
図13】用紙束の側面におけるホットメルト接着剤の塗布領域を標準よりも大きくする場合の塗布動作を説明するための図である。
図14】用紙束への表紙用紙の接着および表紙用紙の折り曲げの動作を説明するための図である。
図15】用紙束への表紙用紙の接着および表紙用紙の折り曲げの動作を説明するための図である。
図16】用紙束への表紙用紙の接着および表紙用紙の折り曲げの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0015】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る製本装置が設けられた製本システムの概略構成図、図2は、図1に示す製本システムの制御系の構成を示すブロック図である。以下の説明において、ユーザが位置する図1の紙面表方向を前方とする。また、図1に示すように、ユーザから見て、上下左右を上下左右方向とする。
【0017】
本実施の形態に係る製本システム1は、印刷物から冊子(製本物)を作製するシステムである。図1図2に示すように、製本システム1は、印刷装置2と、製本装置3とを備える。
【0018】
印刷装置2は、製本装置3で冊子を作製するための表紙用紙P1および本文用紙P2に印刷を行うものである。
【0019】
印刷装置2は、図1に示すように、印刷装置筐体4(以下、適宜に筐体4という)を備えている。筐体4内には、印刷部5が設けられている。印刷部5は、表紙用紙P1および本文用紙P2に印刷を行うものである。印刷部5は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のインクをそれぞれ吐出するライン型のインクジェットヘッド6A〜6Dを備えている。また、筐体4内には、表紙用紙P1および本文用紙P2を搬送するためのループ状の印刷搬送路7が印刷部5を囲むように設けられている。印刷搬送路7に沿った位置には、表紙用紙P1および本文用紙P2を搬送する複数のローラ(図示せず)が配置されている。
【0020】
筐体4の左側部には、表紙用紙P1を印刷部5側(印刷搬送路7側)へ給紙する表紙用紙給紙部8が設けられている。表紙用紙給紙部8は、複数の表紙用紙P1を積載する給紙トレイ9と、給紙トレイ9に積載された表紙用紙P1を印刷部5側へ送り出す給紙ローラ10とを備えている。また、表紙用紙給紙部8は、給紙トレイ9と印刷搬送路7との間に設けられた給紙搬送路11と、給紙搬送路11に沿って配置され、表紙用紙P1を印刷部5側へ搬送する複数のローラ(図示せず)とを備えている。
【0021】
筐体4内における印刷部5の下側には、本文用紙P2を印刷部5側(印刷搬送路7側)へ給紙する本文用紙給紙部12が設けられている。本文用紙給紙部12は、複数の本文用紙P2を積載する給紙トレイ13と、給紙トレイ13に積載された本文用紙P2を印刷部5側へ送り出す給紙ローラ14とを備えている。また、本文用紙給紙部12は、給紙トレイ13と印刷搬送路7との間に設けられた給紙搬送路15と、給紙搬送路15に沿って配置され、本文用紙P2を印刷部5側へ搬送する複数のローラ(図示せず)とを備えている。
【0022】
印刷搬送路7の左側上部には、表紙用紙P1および本文用紙P2を一時的に収容するスイッチバック部16が設けられている。また、筐体4内の左部からスイッチバック部16内にかけて、スイッチバック搬送路17が設けられている。スイッチバック搬送路17は、両面印刷時において、表紙用紙P1および本文用紙P2を表裏反転させて印刷部5側へ搬送するためのものである。スイッチバック搬送路17の基端側(右端側)は、フリッパ(図示せず)により印刷搬送路7に接続、遮断可能になっている。スイッチバック部16の開口部付近のスイッチバック搬送路17に沿った位置には、表紙用紙P1および本文用紙P2のスイッチバック部16への搬入および搬出を行うローラ(図示せず)が配置されている。
【0023】
筐体4内の右側部には、印刷搬送路7から送り出された表紙用紙P1および本文用紙P2を製本装置3側(右方向)へ搬送するための連絡搬送路18が設けられている。連絡搬送路18の基端側(左端側)は、フリッパ(図示せず)により印刷搬送路7に接続、遮断可能になっている。連絡搬送路18に沿った位置には、表紙用紙P1および本文用紙P2を搬送する複数のローラ(図示せず)が配置されている。
【0024】
筐体4の上部には、操作入力部19が設けられている。操作入力部19は、ユーザの入力操作を受け付けるものである。操作入力部19は、ユーザが各種の入力操作を行うための操作ボタン、タッチパネル等を備えている。
【0025】
印刷装置2は、印刷制御部20を備えている。印刷制御部20は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。印刷制御部20は、印刷装置2の各部の動作を制御して印刷を実行させるものである。また、印刷制御部20は、表紙用紙P1のコシの強度を示す情報を製本装置3に提供する。コシの強度を示す情報は、例えば、用紙種類を示す情報である。この場合、印刷制御部20は、例えば、操作入力部19に対するユーザ操作により予め設定された表紙用紙P1の用紙種類を示す情報を、表紙用紙P1のコシの強度を示す情報として製本装置3に提供する。
【0026】
なお、印刷装置2内を搬送中に表紙用紙P1の用紙厚さを測定し、得られた用紙厚さを表紙用紙P1のコシの強度を示す情報として用いてもよい。用紙厚さは、光透過センサやデジタルマイクロメータ等により測定可能である。
【0027】
製本装置3は、印刷装置2で印刷された表紙用紙P1および本文用紙P2に製本処理を施して冊子を作製するものである。
【0028】
製本装置3は、製本装置筐体31(以下、適宜に筐体31という)を備えている。筐体31内には、印刷装置2の連絡搬送路18から送り出された印刷済みの表紙用紙P1および本文用紙P2を右方向へ搬送するための導入搬送路32が設けられている。導入搬送路32の基端部(左端部)は、連絡搬送路18の先端部(右端部)に接続されている。また、導入搬送路32に沿った位置には、表紙用紙P1および本文用紙P2を搬送する複数のローラ(図示せず)が配置されている。
【0029】
筐体31内の右側上部には、印刷済みの本文用紙P2を整合して用紙束PSを形成する整合部33が設けられている。整合部33は、複数の本文用紙P2を積載する整合トレイ34を備えている。整合トレイ34は、例えば水平な軸心周りに回転することによって用紙束PSを送り出し可能になっている。また、筐体31内の上部には、導入搬送路32から送り出された印刷済みの表紙用紙P1および本文用紙P2を整合部33側へ搬送等するための上部製本搬送路35が設けられている。上部製本搬送路35の基端部(左端部)は、フリッパ(図示せず)により導入搬送路32の先端部(右端部)に接続、遮断可能になっている。
【0030】
筐体31の上部中央には、印刷済みの表紙用紙P1を一時的に待機させるストックトレイ36が設けられている。ストックトレイ36の基端部(左端部)は、フリッパ(図示せず)により上部製本搬送路35に接続、遮断可能になっている。また、ストックトレイ36の適宜位置には、印刷済みの表紙用紙P1をストックトレイ36から上部製本搬送路35側へ送り出すローラ(図示せず)が設けられている。上部製本搬送路35に沿った位置には、表紙用紙P1および本文用紙P2を搬送する複数のローラ(図示せず)が配置されている。このうち、上部製本搬送路35に沿ってストックトレイ36の左側に位置する複数のローラは、印刷済みの表紙用紙P1の搬送方向を反転させて搬送できるようになっている。
【0031】
筐体31内におけるストックトレイ36の左側には、断裁部37が設けられている。断裁部37は、印刷済みの表紙用紙P1を用紙束PSの厚みに応じた寸法になるように断裁する。断裁部37は、上部製本搬送路35を間にして表紙用紙P1を挟むように断裁するカッタ38を備えている。
【0032】
筐体31内の中央部には、接着部39が設けられている。接着部39は、整合トレイ34(整合部33)から送り出された用紙束PSの背面PSaと側面PSbの一部とに接着剤を塗布し、断裁部37から送り出された印刷済みの表紙用紙P1に用紙束PSを接着してくるみ綴じするものである。
【0033】
図1図2に示すように、接着部39は、接着剤塗布部40を備えている。接着剤塗布部40は、用紙束PSの背面PSaと側面PSbの一部とにホットメルト接着剤(請求項の接着剤に相当)Gを塗布するものである。接着剤塗布部40は、用紙束PSを保持して移動可能な一対のクランパ(請求項の用紙束保持部に相当)41A,41Bを備えている。
【0034】
また、図2に示すように、接着剤塗布部40は、一対のクランパ41A,41Bを開閉させるクランパ開閉モータ42と、一対のクランパ41A,41Bを左右方向に移動させるクランパ横移動モータ43と、一対のクランパ41A,41Bを上下方向に移動させるクランパ縦移動モータ44と、一対のクランパ41A,41Bを左右方向に揺動させるクランパ揺動モータ45とを備えている。
【0035】
また、接着剤塗布部40は、ホットメルト接着剤Gを収容する接着剤収容部46を備えている。接着剤収容部46は、整合トレイ34の左下側に配置されている。接着剤収容部46内には、用紙束PSの背面PSaと側面PSbの一部とにホットメルト接着剤Gを塗布する塗布ローラ(請求項の塗布部材に相当)47が設けられている。塗布ローラ47は、前後方向に延びる長尺状の円柱形に形成され、接着剤収容部46の内側において、ホットメルト接着剤Gの上面と略平行である水平な回転軸48に回転可能に支持されている。塗布ローラ47の外周面には、ホットメルト接着剤Gが付着する。塗布ローラ47のホットメルト接着剤Gの上面から上方に露出した部分に用紙束PSが接触することで、塗布ローラ47の外周面に付着したホットメルト接着剤Gが用紙束PSに付着する。
【0036】
また、図2に示すように、接着剤塗布部40は、回転軸48とともに塗布ローラ47を回転させる塗布ローラ駆動モータ49を備えている。塗布ローラ駆動モータ49により塗布ローラ47を回転させることで、塗布ローラ47の外周面のホットメルト接着剤Gが付着した部分を露出させることができるようになっている。
【0037】
また、図1図2に示すように、接着部39は、折り曲げ部50を備えている。折り曲げ部50は、接着剤収容部46の左側に設けられている。折り曲げ部50は、一対の背折りプレート51A,51Bと、背折りプレート51A,51Bの下側に設けられた突き当てプレート52とを備えている。背折りプレート51A,51Bは、互いに接近、離間するように、突き当てプレート52上で左右方向に移動可能になっている。背折りプレート51A,51Bは、互いに対向する押圧面51a,51bを有している。押圧面51a,51bは、略水平な突き当てプレート52の上面に略直交する鉛直面である。突き当てプレート52は、左右方向に移動可能になっている。ホットメルト接着剤Gが塗布済みの用紙束PSの背面PSaが表紙用紙P1を介して突き当てプレート52に当接した状態で、左右から背折りプレート51A,51Bの押圧面51a,51bが表紙用紙P1を介して用紙束PSを押圧することで、表紙用紙P1が折り曲げられるようになっている。
【0038】
また、図2に示すように、折り曲げ部50は、背折りプレート51A,51Bを左右方向に移動させる背折りプレート移動モータ53と、突き当てプレート52を左右方向に移動させる突き当てプレート移動モータ54とを備えている。
【0039】
筐体31内における上部製本搬送路35の下側には、上部製本搬送路35から送り出された印刷済みの表紙用紙P1を折り曲げ部50へ搬送するための下部製本搬送路55が設けられている。下部製本搬送路55の基端部(左端部)は、フリッパ(図示せず)により上部製本搬送路35の基端部(左端部)に接続、遮断可能である。下部製本搬送路55に沿った位置には、表紙用紙P1を折り曲げ部50側へ搬送する複数のローラ(図示せず)が配置されている。
【0040】
導入搬送路32、上部製本搬送路35、下部製本搬送路55、およびこれらに沿って配置されたローラ、表紙用紙P1をストックトレイ36から上部製本搬送路35側へ送り出すローラ、各ローラを駆動させる図示しないモータにより、搬送部56が構成される。
【0041】
筐体31内における折り曲げ部50の下側には、折り曲げ部50から落下する完成した冊子Bをガイドするガイド部材57,58が設けられている。
【0042】
ガイド部材57,58の下側には、折り曲げ部50から落下した冊子Bを筐体31外に排出する排出部59が設けられている。排出部59は、折り曲げ部50から落下した冊子Bを受け取り、冊子Bを左側へ搬送して下方に落下させる搬送コンベア60を備えている。また、排出部59は、搬送コンベア60の下側に設けられた排出コンベア61を備えている。排出コンベア61は、搬送コンベア60から落下した冊子Bを受け取り、冊子Bを右側へ搬送して筐体31外に送り出すものである。排出コンベア61の下流側には、排出コンベア61から送り出された冊子Bを受け取る受取台62が設けられている。
【0043】
製本装置3は、製本制御部(請求項の制御部に相当)63を備えている。製本制御部63は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。製本制御部63は、製本装置3の各部の動作を制御して製本処理を実行させるものである。製本処理において、製本制御部63は、表紙用紙P1のコシの強度に応じて、用紙束PSの側面PSbに対する表紙用紙P1の接着力を調整するよう接着部39を制御する。
【0044】
次に、製本システム1の動作について説明する。
【0045】
まず、印刷装置2における印刷動作について説明する。
【0046】
印刷装置2は、例えば、外部のPC(パーソナルコンピュータ)から印刷データを受信することにより、印刷動作を開始する。
【0047】
印刷動作を開始すると、印刷制御部20は、複数の本文用紙P2を本文用紙給紙部12から印刷部5側へと順次給紙させる。印刷制御部20は、給紙された本文用紙P2を、印刷搬送路7に沿って搬送させつつ、印刷部5のインクジェットヘッド6A〜6Dにより印刷させる。スイッチバック搬送路17を経由して本文用紙P2を循環搬送させることで両面印刷可能である。印刷制御部20は、印刷済みの複数の本文用紙P2を、連絡搬送路18を介して製本装置3の導入搬送路32側へと順次送り出す。
【0048】
本文用紙P2の給紙終了後、印刷制御部20は、表紙用紙給紙部8から表紙用紙P1を印刷部5側へと給紙させる。印刷制御部20は、給紙された表紙用紙P1を、印刷搬送路7に沿って搬送させつつ、印刷部5のインクジェットヘッド6A〜6Dにより印刷させる。スイッチバック搬送路17を経由して表紙用紙P1を循環搬送させることで両面印刷可能である。印刷制御部20は、印刷済みの表紙用紙P1を、連絡搬送路18を介して製本装置3の導入搬送路32側へと送り出す。
【0049】
この際、印刷制御部20は、表紙用紙P1のコシの強度を示す情報を製本装置3に提供する。例えば、印刷制御部20は、操作入力部19に対するユーザ操作により予め設定された表紙用紙P1の用紙種類を示す情報を、表紙用紙P1のコシの強度を示す情報として製本装置3に提供する。
【0050】
次に、製本装置3における製本動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0051】
まず、ステップS10において、製本制御部63は、印刷装置2から順次搬送されてくる本文用紙P2を連絡搬送路18から上部製本搬送路35に沿って整合部33へと搬送させ、複数の本文用紙P2を整合部33で整合させる。これにより、用紙束PSが形成される。
【0052】
次いで、ステップS20において、製本制御部63は、印刷装置2から搬送されてきた表紙用紙P1を、折り曲げ部50の背折りプレート51A,51B上の所定位置に配置する。具体的には、製本制御部63は、表紙用紙P1を連絡搬送路18から上部製本搬送路35に沿って搬送させ、断裁部37によって、予め判明している用紙束PSの厚みに応じた寸法に長さ調製するために断裁させる。そして、製本制御部63は、長さ調製された表紙用紙P1を、ストックトレイ36に搬入させる。その後、製本制御部63は、表紙用紙P1をストックトレイ36から搬出させ、上部製本搬送路35および下部製本搬送路55に沿って折り曲げ部50まで搬送させ、背折りプレート51A,51B上の所定位置に配置する。
【0053】
次いで、ステップS30において、製本制御部63は、接着剤塗布部40により用紙束PSにホットメルト接着剤Gを塗布させる。具体的には、製本制御部63は、整合部33から用紙束PSを送り出させ、クランパ41A,41Bによって用紙束PSをクランプさせる。次いで、製本制御部63は、用紙束PSをクランプした状態のクランパ41A,41Bを移動させ、用紙束PSを塗布ローラ47に接触させることで、用紙束PSにホットメルト接着剤Gを付着させる。
【0054】
ここで、製本制御部63は、印刷装置2から提供された表紙用紙P1のコシの強度を示す情報に基づき、用紙束PSの側面PSbにおけるホットメルト接着剤Gの塗布領域の大きさを調整する。
【0055】
まず、表紙用紙P1のコシの強度が比較的小さく、用紙束PSの側面PSbにおける塗布領域を標準の大きさとする場合の塗布動作について、図4図6を用いて説明する。
【0056】
整合部33から送り出された用紙束PSをクランパ41A,41Bがクランプすると、製本制御部63は、図4に示すように、塗布ローラ47の上方にクランパ41A,41Bおよび用紙束PSを移動させる。図4において、クランパ41A,41Bは、背面PSaが略水平で、背面PSaの長手方向が塗布ローラ47の長手方向(前後方向)に略平行になるように用紙束PSを保持している。このとき、用紙束PSの側面PSbは、鉛直方向(上下方向)に略平行になっている。また、背面PSaの厚さ方向(左右方向)の中心が、塗布ローラ47の回転軸48の中心の真上に位置している。
【0057】
図4の状態から、製本制御部63は、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSを下方に移動させ、図5に示すように、用紙束PSの背面PSaを塗布ローラ47の外周面に接触させる。これにより、塗布ローラ47の外周面上に付着したホットメルト接着剤Gが、用紙束PSの背面PSaと側面PSbの一部とに付着する。塗布ローラ47の外周面上のホットメルト接着剤Gは、ある程度の厚さの膜状になっている。このため、図5のように用紙束PSの背面PSaを塗布ローラ47に接触させた場合、主に背面PSaにホットメルト接着剤Gが付着するが、側面PSbにも、背面PSa側の端部にホットメルト接着剤Gが付着する。
【0058】
その後、製本制御部63は、図6に示すように、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSを上方に移動させる。これにより、用紙束PSへのホットメルト接着剤Gの塗布が終了する。
【0059】
これに対し、表紙用紙P1のコシの強度が比較的大きく、用紙束PSの側面PSbにおける塗布領域を標準よりも大きくする場合の塗布動作について、図7図13を用いて説明する。
【0060】
前述の図4のようにクランパ41A,41Bが用紙束PSを保持した状態から、製本制御部63は、クランパ揺動モータ45を駆動させることにより、図7に示すように、クランパ41A,41Bを傾けさせる。これにより、用紙束PSの側面PSbが鉛直方向(上下方向)に対して傾く。
【0061】
次いで、製本制御部63は、図8に示すように、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSを傾けた状態で下方に移動させ、用紙束PSを塗布ローラ47の外周面に接触させる。これにより、塗布ローラ47の外周面上に付着したホットメルト接着剤Gが、主に用紙束PSの右側の側面PSbの一部に付着する。
【0062】
次いで、製本制御部63は、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSを上方に移動させた後、図9に示すように、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSの姿勢を図4と同様の状態に戻す。
【0063】
次いで、図9の状態から、製本制御部63は、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSを下方に移動させ、図10に示すように、用紙束PSの背面PSaを塗布ローラ47の外周面に接触させる。これにより、ホットメルト接着剤Gが、主に用紙束PSの背面PSaに付着する。
【0064】
次いで、製本制御部63は、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSを上方に移動させた後、図11に示すように、図7とは逆側に、図7と同じ大きさの角度分だけクランパ41A,41Bおよび用紙束PSを傾けさせる。
【0065】
次いで、製本制御部63は、図12に示すように、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSを傾けた状態で下方に移動させ、用紙束PSを塗布ローラ47の外周面に接触させる。これにより、ホットメルト接着剤Gが、主に用紙束PSの左側の側面PSbの一部に付着する。
【0066】
その後、製本制御部63は、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSを上方に移動させた後、図13に示すように、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSの姿勢を図4と同様の状態に戻す。これにより、用紙束PSへのホットメルト接着剤Gの塗布が終了する。
【0067】
図6図13に示したように、上述の図7図13を用いて説明した塗布動作では、図4図6を用いて説明した標準の塗布動作よりも、用紙束PSの側面PSbにおけるホットメルト接着剤Gの塗布領域の幅Wを大きくできる。これにより、用紙束PSの側面PSbに対する表紙用紙P1の接着力を大きくすることができる。
【0068】
製本制御部63は、用紙束PSの側面PSbの鉛直方向に対する傾き角度θを、表紙用紙P1のコシの強度に応じて決定する。製本制御部63は、表紙用紙P1のコシの強度が大きいほど、傾き角度θを大きくする。傾き角度θが大きいほど、用紙束PSの側面PSbにおけるホットメルト接着剤Gの塗布領域の幅Wが大きくなる。このため、傾き角度θが大きいほど、用紙束PSの側面PSbに対する表紙用紙P1の接着力を大きくすることができる。
【0069】
図3のフローチャートに戻り、用紙束PSへのホットメルト接着剤Gの塗布(ステップS30)が終了すると、ステップS40において、製本制御部63は、折り曲げ部50において、用紙束PSへの表紙用紙P1の接着および表紙用紙P1の折り曲げを行わせる。
【0070】
具体的には、まず、製本制御部63は、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSを塗布ローラ47の上方から左方向へ移動させ、図14に示すように、背折りプレート51A,51B上に載置された表紙用紙P1の中央部の上方に用紙束PSを配置する。次いで、製本制御部63は、クランパ41A,41Bおよび用紙束PSを下方に移動させ、表紙用紙P1を介して用紙束PSの背面PSaを突き当てプレート52に当接させる。
【0071】
次いで、製本制御部63は、背折りプレート51A,51Bを互いに接近させるように移動させ、図15に示すように、背折りプレート51A,51Bの押圧面51a,51bにより用紙束PSの下端部を、表紙用紙P1を介して左右から押圧させる。これにより、背折りプレート51Aが、用紙束PSの背面PSaが当接している表紙用紙P1の背表紙部分と、表表紙部分(または裏表紙部分)との境界部を折り曲げる。また、背折りプレート51Bが、表紙用紙P1の背表紙部分と裏表紙部分(または表表紙部分)との境界部を折り曲げる。また、背折りプレート51A,51Bにより表紙用紙P1を用紙束PSに押圧することで、用紙束PSの側面PSbに塗布されたホットメルト接着剤Gにより、表紙用紙P1の表表紙部分および裏表紙部分の背表紙側の端部が用紙束PSの側面PSbに接着する。
【0072】
背折りプレート51A,51Bが用紙束PSおよび表紙用紙P1を挟持した状態になると、製本制御部63は、クランパ41A,41Bによる用紙束PSのクランプを解除させる。そして、製本制御部63は、クランパ41A,41Bを上方に移動させる。
【0073】
ここで、製本制御部63は、背折りプレート51A,51Bによる押圧時間および押圧力を、表紙用紙P1のコシの強度に応じて調整する。背折りプレート51A,51Bによる押圧時間が大きいほど、また、押圧力が大きいほど、ホットメルト接着剤Gによる用紙束PSの側面PSbに対する表紙用紙P1の接着力を大きくすることができる。製本制御部63は、背折りプレート移動モータ53の駆動制御により、背折りプレート51A,51Bによる押圧時間および押圧力を調整する。
【0074】
表紙用紙P1のコシの強度に応じた背折りプレート51A,51Bの押圧時間が終了すると、冊子Bが完成となる。
【0075】
冊子Bが完成すると、ステップS50において、製本制御部63は、冊子Bを受取台62へと排出させる。具体的には、製本制御部63は、図16に示すように、背折りプレート51A,51Bを冊子Bから離間させるとともに、突き当てプレート52を左側へ退避させる。これにより、冊子Bは、折り曲げ部50から落下する。
【0076】
折り曲げ部50から落下した冊子Bは、ガイド部材57,58によりガイドされつつ、搬送コンベア60上に着地する。冊子Bは、搬送コンベア60により左方向に搬送され、排出コンベア61へと落下する。そして、冊子Bは、排出コンベア61により右方向に搬送され、受取台62へと排出される。
【0077】
以上説明したように、製本装置3では、表紙用紙P1のコシの強度に応じて、用紙束PSの側面PSbに対する表紙用紙P1の接着力を調整する。これにより、製本装置3は、表紙用紙P1のコシが強い場合でも、用紙束PSの側面PSbに対する表紙用紙P1の接着力を調整することで、冊子Bの表紙が外側に開くことを抑制できる。冊子Bの表紙が外側に開くと、搬送コンベア60により搬送される冊子Bの表紙がガイド部材57に接触して、搬送不良が発生するおそれがある。また、冊子Bの外観品質が損なわれる。製本装置3では、冊子Bの表紙が外側に開くことを抑制できるので、上記のような搬送不良の発生や冊子Bの外観品質の低下を抑制できる。
【0078】
また、製本装置3では、用紙束PSの側面PSbにおけるホットメルト接着剤Gの塗布領域の大きさ、用紙束PSへの表紙用紙P1の接着時の背折りプレート51A,51Bによる押圧時間、および背折りプレート51A,51Bによる押圧力を調整することで、用紙束PSの側面PSbに対する表紙用紙P1の接着力を容易に調整できる。
【0079】
また、製本装置3では、用紙束PSへのホットメルト接着剤Gの塗布の際に用紙束PSの側面PSbの鉛直方向に対する傾き角度θを調整することで、用紙束PSの側面PSbにおけるホットメルト接着剤Gの塗布領域の大きさを容易に調整できる。
【0080】
なお、上記実施の形態では、用紙束PSの側面PSbに対する表紙用紙P1の接着力の調整に、用紙束PSの側面PSbにおけるホットメルト接着剤Gの塗布領域の大きさ、用紙束PSへの表紙用紙P1の接着時の背折りプレート51A,51Bによる押圧時間、および背折りプレート51A,51Bによる押圧力の3つの要素を用いたが、これらのうちの1つまたは2つを省略してもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、印刷装置2から表紙用紙P1のコシの強度を示す情報を製本装置3に提供したが、製本装置3で表紙用紙P1のコシの強度を示す情報を取得するようにしてもよい。例えば、製本装置3において表紙用紙P1の搬送中に光透過センサやデジタルマイクロメータ等により表紙用紙P1の用紙厚さを測定し、得られた用紙厚さを表紙用紙P1のコシの強度を示す情報として用いてもよい。
【0082】
また、塗布ローラ47の外周面上に突起した突起部を設け、これにより用紙束PSの側面PSbにホットメルト接着剤Gを塗布可能な構成としてもよい。
【0083】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 製本システム
2 印刷装置
3 製本装置
39 接着部
40 接着剤塗布部
41A,41B クランパ
46 接着剤収容部
47 塗布ローラ
50 折り曲げ部
51A,51B 背折りプレート
51a,51b 押圧面
52 突き当てプレート
63 製本制御部
B 冊子
G ホットメルト接着剤
P1 表紙用紙
P2 本文用紙
PS 用紙束
PSa 背面
PSb 側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16