特許第5947721号(P5947721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5947721変形性関節症を治療するためのジメチルスルホキシド(DMSO)およびメチルスルホニルメタン(MSM)製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5947721
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】変形性関節症を治療するためのジメチルスルホキシド(DMSO)およびメチルスルホニルメタン(MSM)製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/10 20060101AFI20160623BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   A61K31/10
   A61P19/02
   A61K9/14
   A61K9/48
   A61K9/20
   A61K9/10
   A61K9/08
   A61K9/12
   A61K9/06
   A61K9/107
   A61K9/70 401
【請求項の数】17
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-537153(P2012-537153)
(86)(22)【出願日】2010年10月29日
(65)【公表番号】特表2013-509440(P2013-509440A)
(43)【公表日】2013年3月14日
(86)【国際出願番号】US2010054870
(87)【国際公開番号】WO2011053874
(87)【国際公開日】20110505
【審査請求日】2013年10月29日
(31)【優先権主張番号】61/256,935
(32)【優先日】2009年10月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/319,203
(32)【優先日】2010年3月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508072855
【氏名又は名称】アベラ ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100156845
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 威一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100169281
【弁理士】
【氏名又は名称】塚本 真由子
(72)【発明者】
【氏名】コジーン コレット
(72)【発明者】
【氏名】コジーン ジェシー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】ケラー トニー
【審査官】 田村 直寛
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0109495(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0121023(US,A1)
【文献】 特開昭56−034621(JP,A)
【文献】 国際公開第94/005273(WO,A1)
【文献】 特開2003−306446(JP,A)
【文献】 Patologicheskaia Fiziologiia I Eksperimentalnaia Terapiia,1991年,Vol.2,pp.37-39
【文献】 綜合臨牀,2007年,Vol.56,pp.3285-3286
【文献】 新薬と臨牀,2008年,Vol.57,pp.95-98
【文献】 Osteoarthritis and Cartilage,2008年,Vol.16,pp.1277-1288
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61K 9/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節炎の症状を治療するための経口製剤及び局所製剤を含むシステムであって:
ジメチルスルホキシド(DMSO)およびメチルスルホニルメタン(MSM)を含む経口製剤、
ここで、該経口製剤は、固体プリル及び固体マイクロプリルの1または組み合わせの固体形態として提供され、
ここで、該経口製剤は経口投与に適しており、
ここで、該経口製剤は300 mg〜750 mg MSMを含み、且つ
ここで、該経口製剤は10 mg〜50 mg DMSOを含み、
関節炎の症状を改善するための経口投与に使用されると、前記経口製剤に含まれる前記DMSOが、前記経口製剤に含まれる前記MSMの効力を増強し、前記DMSOが、同等の治療結果を達成するために必要とされる前記経口製剤中のMSMの量を減らす、ならびに
前記DMSOおよび前記MSMを含む局所製剤、
ここで、該局所製剤は局所投与に適しており、
ここで、該局所製剤は10重量%〜15重量% MSMを含み、且つ
ここで、該局所製剤は40重量%〜90重量% DMSOを含み、
関節炎の症状を改善するための局所投与に使用されると、前記局所製剤に含まれる前記MSMが、前記局所製剤の臭気を低減し、前記局所製剤に含まれる前記DMSOによる少なくとも1つの副作用を減らす
ここで、前記経口製剤及び局所製剤は、慢性または急性の関節炎の症状を改善するために、同時に又は連続して使用される
を含む、システム。
【請求項2】
固体形態が室温で固体のままであり、固体形態が約10℃〜約40℃の温度範囲にわたって同様のコンシステンシーを維持し、前記固体プリル及び固体マイクロプリルの1または組み合わせは、約75ミクロンから約840ミクロンの範囲の直径を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
経口製剤が650 mg MSMおよび15 mg DMSOを含み、局所製剤が10% MSMおよび50% DMSOを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記DMSOによる少なくとも1つの副作用が、皮膚刺激である、請求項1〜3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
経口および局所製剤の両方が、1日少なくとも3回の投与に適している、請求項1〜4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
関節炎の症状が、以下の症状:疼痛、骨増殖体、硬直、握力、関節可動域の制限、関節中の組織増大、関節腫脹、および関節変形のうちの1つまたはそれ以上を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
経口製剤が、カプセル剤、錠剤、経口懸濁剤、液体、および発泡剤(effervescent)からなる群より選択される1つまたはそれ以上の形態であり、該形態が、任意でコーティングおよび/または風味付けされている、請求項1または3〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
局所製剤が、ゲル剤、クリーム剤、液体、スプレー剤、軟膏剤、およびパッチ剤からなる群より選択される1つまたはそれ以上の形態である、請求項1〜7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
経口製剤が変形性関節症の慢性症状を治療し、
局所製剤が変形性関節症の急性症状を治療し、
経口および局所製剤の少なくとも1つが、任意で徐放性製剤で提供される、請求項1〜8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
経口製剤が、任意に尿素および/または硫黄結合性化合物をさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
関節炎の1つまたはそれ以上の症状、関節リウマチの1つまたはそれ以上の症状、変形性関節症の1つまたはそれ以上の症状、および/または関節痛および炎症の症状を治療するための医薬を製造するために使用される請求項1〜10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記システムが2週間までの間1日3回局所投与に適したものである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
関節痛および炎症の少なくとも1つを治療するための経口製剤及び局所製剤を含むシステムであって:
ジメチルスルホキシド(DMSO)およびメチルスルホニルメタン(MSM)を含む第1製剤、
ここで、該第1製剤は、固体プリル及び固体マイクロプリルの1または組み合わせの固体形態として提供され、
ここで、該第1製剤は経口投与に適しており、
ここで、該第1製剤は300 mg〜800 mg MSMを含み、
ここで、該第1製剤は5 mg〜50 mg DMSOを含み、
関節痛および炎症の少なくとも1つを治療するための経口投与に使用されると、前記経口製剤に含まれる前記DMSOが、前記経口製剤に含まれる前記MSMの効力を増強し、前記DMSOが、同等の治療結果を達成するために必要とされる前記経口製剤中のMSMの量を減らす、ならびに
ジメチルスルホキシド(DMSO)およびメチルスルホニルメタン(MSM)を含む第2製剤、
ここで、該第2製剤は局所投与に適しており、
ここで、該第2製剤は1%〜15% MSMを含み、
ここで、該第2製剤は30%〜90% DMSOを含み、
関節痛および炎症の少なくとも1つを治療するための局所投与に使用されると、前記局所製剤に含まれる前記MSMが、前記局所製剤の臭気を低減し、前記局所製剤に含まれる前記DMSOによる少なくとも1つの副作用を減らす
ここで、前記経口製剤及び局所製剤は、慢性及び/または急性の関節痛および炎症の少なくとも1つを治療するために、同時に又は連続して使用される
を含む、システム。
【請求項14】
関節痛および炎症を治療するための医薬を製造するため、関節炎を治療するための医薬を製造するため、関節リウマチを治療するための医薬を製造するため、または変形性関節症を治療するための医薬を製造するための請求項13に記載のシステムの使用。
【請求項15】
関節炎の症状を改善するための経口製剤及び局所製剤を含むシステムであって、該システムが以下:
(i)ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びメチルスルホニルメタン(MSM)を含む経口製剤
ここで、該経口製剤が、経口投与に適している、
ここで、該経口製剤が固体プリル及び固体マイクロプリルの1または組み合わせの固体製剤で提供され、該固体形態が70°F〜80°Fで固体のままであり、
関節炎の症状を改善するための経口投与に使用されると、前記経口製剤に含まれる前記DMSOが、前記経口製剤に含まれる前記MSMの効力を増強し、前記DMSOが、同等の治療結果を達成するために必要とされる前記経口製剤中のMSMの量を減らす、
(ii) DMSO及びMSMを含む局所製剤
ここで、該局所製剤が、局所投与に適している、
ここで、該局所製剤が、10%〜15%のMSMを含む、
ここで、該局所製剤が、40%〜90%のDMSOを含み、
関節炎の症状を改善するための局所投与に使用されると、前記局所製剤に含まれる前記MSMが、前記局所製剤の臭気を低減し、前記局所製剤に含まれる前記DMSOによる少なくとも1つの副作用を減らす
ここで、前記経口製剤及び局所製剤は、慢性または急性の関節炎の症状を改善するために、同時に又は連続して使用される
を含む、システム。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載のシステムを含むキットであって、経口製剤を1日3回経口投与するための使用説明書および局所製剤を1日3回局所投与するための使用説明書を含む、キット。
【請求項17】
局所製剤を2週間までの間1日3回局所投与するための使用説明書を含む、請求項16に記載のシステムを含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年10月30日に出願された米国仮出願第61/256,935号;および2010年3月30日に出願された第61/319,203号の恩典を主張し、これらの各々の開示は、参照により本明細書に明示的に組み入れられる。
【0002】
背景
発明の分野
本発明の態様は、一般的に、ジメチルスルホキシド(DMSO)および/またはメチルスルホニルメタン(MSM)を含む製剤、ならびに関節炎(例えば、変形性関節症)および他の状態の治療のためのそれらの化合物の使用に関する。DMSOを単独でまたはMSMと組み合わせて含む固体製剤が、いくつかの態様において提供される。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
軟骨は、関節を滑らかにし衝撃を和らげるように機能するタンパク質マトリクスである。変形性関節症、または変性性関節炎は、構造的に従って機能的に関節を劣化させる、ある種の疾患および機械的異常を指す。関節軟骨および並置される軟骨下骨(例えば、骨の末端)がしばしば冒される。
【0004】
臨床的には、変形性関節症は、関節痛または負荷を受ける関節の柔軟性の低下などの症状を示すことがある。症状は、このレベルの「毎日の痛みおよび疼痛」から関節の重篤な感受性、硬直、炎症、軋み、および関節のロッキングに及ぶ。
【0005】
変形性関節症は、米国においてほぼ2700万の人々が冒されている関節炎の最も一般的な形態であり、慢性障害の主な原因である。変形性関節症は、一次診療医への訪問の約25%、非ステロイド性抗炎症処方薬の約50%に関係している。従って、その様々な段階において、変形性関節症は、疾患に苦しむ人、その家族および介護者、ならびに医学界に対して大きな負担の原因となっている。
【0006】
変形性関節症の重篤なケースは、安定性を増加させ疼痛を軽減するために、関節を交換する、骨片を除去する、骨を整復および/または融合する手術を必要とする場合がある。しかし、これらの手術は高価であり、長い回復時間を伴い、場合によっては症状の顕著な軽減をもたらさない。
【0007】
ジメチルスルホキシド(DMSO;(CH3)2(SO))は、溶媒として広く使用される極性非プロトン性溶媒である。それは、種々の化学および生物学的反応においてならびに細胞保存のための凍結防止剤として、しばしば使用される。いくつかの望ましくない副作用を伴う、DMSOの強い不快な臭気は、医学的適用におけるDMSOの使用に悪影響を与えてきた。
【0008】
ジメチルスルホンとしても公知の、メチルスルホニルメタン(MSM;(CH3)2SO2))は、DMSOおよびある含硫アミノ酸の代謝産物である有機硫黄化合物である。MSMは、主に栄養補助食品として市販されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
概要
変形性関節症の病因は様々であり、これらとしては、軟骨の喪失をもたらし得る、遺伝的、発生的、代謝的および機械的局面が挙げられる。皮肉なことには、身体によって引き起こされる反応(例えば、免疫および再増殖プロセス)は、軟骨に対する損傷を促進する可能性がある。例えば、骨表面が軟骨を失うと、軟骨下骨は、曝露され、損傷され、再増殖され得る。しかし、再増殖は、軟骨喪失の中央領域における高密度の骨の過度の増殖をもたらすことがあり、軟骨喪失をさらに悪化させる。結果として、進行性変形性関節症に苦しむ人は、歩行および起立を含む体重負荷時に、疼痛の増加を経験する場合がある。さらに、疼痛に起因する運動の減少は、局所の筋肉を萎縮させ、靭帯上の緊張を低下させ、関節の機能性をさらに損なう可能性がある。
【0010】
療法についてのいくつかの選択肢が、変形性関節症に罹患した人について現在利用可能である。パラセタモール(タイレノール(登録商標)/アセトアミノフェン)は、変形性関節症の疼痛を治療するために一般的に使用されており、イブプロフェンとほぼ等価の利点を示した。しかし、有効な疼痛緩和を示す用量(約4g/日)は、慢性的に使用された場合、肝機能の変化および胃腸出血または腎障害を伴った。
【0011】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、変形性関節症のより重篤なケースについて処方され得る。このクラスの薬物は、プロスタグランジンの形成を阻害することによって作用し、変形性関節症と関連する疼痛および炎症の両方を減少させ得る。しかし、これらの薬物はまた、増加した胃腸出血、胃のむかつき、痙攣、下痢、および消化性潰瘍を含む、有害事象と関連する。これらの薬物の一部、即ち、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤は、心血管疾患についてのそれらの高い危険性に起因して、市場から回収された。いくつかのNSAIDは局所使用について利用可能であるが、治療効果は、一般的に、最小限かつ一時的である。
【0012】
経口用コルチコステロイドは、高い割合の有害な副作用を有し、限定的な症状改善をもたらし、従って、変形性関節症治療について通常は推奨されない。関節内空間中へのコルチコステロイドの注射は、疼痛の急性(例えば、数週間)緩和を提供し得るが、一般的に、長期治療効果を提供しない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、変形性関節症についての有効な治療、特に、変形性関節症の慢性状態および病気と関連する急性症状の両方に取り組むものについての必要性が、当技術分野において存在している。従って、いくつかの態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む製剤は、単独でまたは組み合わせて、経口または局所使用について提供され、変形性関節症の慢性症状および急性症状の両方の有効な緩和を提供し、一方、最小限の副作用、減少した副作用を誘発するか、または副作用を誘発しない。
【0014】
いくつかの態様において、個々にまたは組み合わせて、DMSOおよびMSMを含む製剤は、固体として処方される。DMSOの固体形態は、単独でまたはMSMと組み合わせて、特に驚くべきで有利であり、何故ならば、ある態様において、固体形態は、液体形態よりも少ない臭気と関連するためである。いくつかの態様において、固体形態は室温(例えば、約20℃〜23℃)で固体のままである。他の態様において、固体形態は、30℃、45℃、60℃、75℃、100℃、またはそれ以上までの温度で固体のままである。ある態様において、固体形態は、室温、25℃、15℃、10℃、5℃、またはそれ以下を下回る温度で、結晶化せず、および/またはその質感を失わない。いくつかの態様において、固体形態は、約0℃〜約100℃、約5℃〜約50℃、約10℃〜約40℃、約20℃〜約30℃の範囲、およびその重複範囲を含むが、これらに限定されない広範囲の温度で、その化学的安定性および/または完全性(例えば、相完全性)を維持する。いくつかの態様において、固体形態は、同様のコンシステンシー(consistency)を維持し、例えば、約0℃〜約100℃、約5℃〜約50℃、約10℃〜約40℃、約20℃〜約30℃の温度範囲、およびその重複範囲にわたって、少なくとも75%、85%、95%または100%同一である、硬度、堅固さ、密度、質感、および/または粘度のうちの1つまたはそれ以上を維持する。いくつかの態様において、固体形態へのコーティングおよび/または安定剤の添加は、少なくとも10%、25%、50%またはそれ以上、安定性温度安定性範囲を増加させる。一態様において、固体形態は、コーティング無しで約10℃〜約40℃およびコーティング有りで約0℃〜約50℃の範囲内で、その化学的安定性および/または完全性(例えば、相完全性)を維持する。コーティングとしては、植物ベースのコーティング、生体高分子、コロイド粒子、多層エマルション、コロイドソーム、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
いくつかの態様において、DMSOの固体形態は、単独でまたはMSMと組み合わせて、カプセル剤の形態で提供される。一態様において、固化DMSOの使用は、DMSOと通常関連する臭気を減らす。別の態様において、固化DMSOの使用は、DMSOと通常関連する生理学的な副作用を減らす。ある態様において、製剤は、変形性関節症を治療するために経口摂取され、一方、ある他の態様において、製剤は局所適用される。さらに他の態様において、経口および局所製剤の両方が使用される。いくつかの他の態様において、個々にまたは組み合わせて、DMSOおよびMSMを含む製剤は、液体として処方される。
【0016】
本明細書において使用される場合、句「変形性関節症の症状」は、その通常の意味を与えられ、下記の1つまたはそれ以上を含むが、これらに限定されない:軟骨変性、軟骨下骨の変性、関節痛、圧痛、硬直、軋み、関節のロッキング、炎症、関節の構造変化、腫脹、握力低下、骨の増大、関節可動域の縮小、骨増殖体(または骨棘)形成、および滑膜刺激。変形性関節症の症状は、例えば、膝、足指、母指、手指、足首、脊椎、股関節部、肩または他の関節において生じ得る。
【0017】
いくつかの態様において、MSM、DMSO、および/またはMSMおよびDMSOの組み合わせを、単独でまたは他の着色剤、矯味矯臭剤、添加剤、充填剤、担体、賦形剤、および/または治療剤と共に含む製剤は、変形性関節症および/またはその症状、関節炎および/またはその症状、炎症、関節痛、および/または関節の構造変化を予防および/または治療するために使用される。
【0018】
いくつかの態様において、MSM、DMSO、および/またはMSMおよびDMSOの組み合わせを、単独でまたは他の担体、矯味矯臭剤、添加剤、充填剤、担体、賦形剤、および/または治療剤と共に含む製剤は、変形性関節症の病因と無関係である以下の状態を予防および/または治療するために使用される:組織変性、疼痛(例えば、関節痛)、および/または炎症。
【0019】
その物性に起因して、DMSOは室温で液体として存在し、従って通常液体として利用される。しかし、室温でのDMSOの固体形態についての長年にわたる今まで満たされていない必要性がある。例えば、DMSOの固体形態は特に有利であり、何故ならば、ある態様において、それは、丸剤、錠剤またはカプセル剤として提供され得、濃縮投薬に適しており、液体形態と比較して減少した副作用(例えば、より少ない刺激、感受性、胃腸影響など)を示すためである。いくつかの態様において、固体形態は、身体において制御放出を提供し、ある態様において、より徐々に放出されおよび/またはより効果的に吸収される。一態様において、所望の領域(例えば、小腸)で溶解する固体形態が提供され、それによって、標的化送達に基づく増強されたバイオアベイラビリティーが提供される。さらに、DMSOの固体形態は、ある態様において、液体形態と比較して減少した臭気を示すかまたは臭気を示さない。従って、本発明のいくつかの態様は、室温で固体であるDMSOを含む製剤、およびそれをマスクする方法を提供する。
【0020】
いくつかの態様において、DMSOおよびMSM(および/またはMSMに関連する化合物)を含む製剤は、DMSOのみを含む製剤よりも減少した臭気を示す。液体、ゲル剤、固体、および/またはガス形態の製剤は、ある態様において、DMSOがMSM(および/またはMSMに関連する化合物)と組み合わされる場合、減少した臭気を示す。
【0021】
いくつかの態様において、本発明は、疼痛、骨増殖体、硬直、握力、関節可動域の制限、関節中の組織増大、(関節に特異的な、または身体の全体的な領域に限局性の)炎症、関節腫脹、関節変形、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、関節炎(例えば、変形性関節症)の症状を改善するための経口および局所システムを含む。一態様において、システムは、DMSOおよびMSMを含む第1製剤を含み、該第1製剤は経口投与に適している。ある態様において、第1製剤は、約300 mg〜約750 mg MSMおよび約10 mg〜約50 mg DMSOを含む。ある態様において、第1製剤は、約300 mg〜約700 mg MSMおよび約10 mg〜約50 mg DMSOを含む。第2製剤は、DMSOおよびMSMを含み、局所投与に適している。ある態様において、第2製剤は、適用される体積に応じて、約100 mg〜約1500 mg MSMおよび約500 mg〜約5000 mg DMSOを含む。第2製剤は、ある態様において、約900 mg〜約1200 mg MSMおよび約3000 mg〜約5000 mg DMSOを含む。ある態様において、第2製剤は、約10%〜約15% MSMおよび約40%〜約70% DMSO、またはそれ以上(例えば、90%までまたはそれ以上のDMSO)を含む。
【0022】
一態様において、第1製剤(例えば、経口)は、650 mg MSMおよび15 mg DMSOを含み、第2製剤(例えば、局所)は、10% MSMおよび50% DMSOを含む。一態様において、第1製剤は、500 mg MSMおよび15 mg DMSOを含み、第2製剤は、917 mg MSMおよび4585 mg DMSOを含む。一態様において、経口製剤は、400〜600 mg MSMおよび10〜20 mg DMSOを含み、局所製剤は、800〜1000 mg MSMおよび3500〜5000 mg DMSOを含む。
【0023】
一態様において、第1製剤は、約900 mg〜約2100 mg MSMおよび約30 mg〜約150 mg DMSOを含み、第2製剤は、約10%〜約15% MSM、および約50%〜約90% DMSOを含む。一態様において、第1製剤は、約900 mg〜約2100 mg MSMおよび約30 mg〜約150 mg DMSOを含み、第2製剤は、約2700 mg〜約3600 mg MSM、および約9000 mg〜約15,000 mg DMSOを含む。
【0024】
一態様において、第1製剤は、約1500 mg MSMおよび約45 mg DMSOを含み、第2製剤は、約10% MSMおよび約50% DMSOを含む。一態様において、第1製剤は、約1500 mg MSMおよび約45 mg DMSOを含み、第2製剤は、約2751 mg MSMおよび約10,800 mg DMSOを含む。
【0025】
一態様において、第1製剤は、約60〜99% MSM、および約0.1〜3% DMSOを含み、第2製剤は、約10〜15% MSM、および約50〜70% DMSOまたはそれ以上(例えば、90%までまたはそれ以上のDMSO)を含む。
【0026】
一態様において、第1製剤は、約60〜70% MSMおよび約0.1〜3% DMSOを含み、第2製剤は、約10%〜15% MSMおよび約40%〜90%(例えば、50%〜70%)DMSOを含む。
【0027】
一態様において、第1製剤は、約0.045g/日DMSOおよび約1.85g/日MSMを含み、第2製剤は、約50%〜70% DMSOおよび約10%〜15% MSMを含む。一態様において、経口製剤は、約0.045g/日DMSOおよび約1.85g/日MSMを含み、局所製剤は、約40%〜90% DMSOおよび約10%〜15% MSMを含む。
【0028】
本明細書中のいくつかの態様において、第1製剤(例えば、経口)のみが使用される(単独でまたは他の化合物と組み合わせて)。他の態様において、第2製剤(例えば、局所)のみが使用される(単独でまたは他の化合物と組み合わせて)。さらに他の態様において、二重治療アプローチが用いられる。ある態様において、二重治療アプローチは、DMSO、MSMおよび1つまたはそれ以上の追加の化合物を含む経口および局所療法を含む。
【0029】
一態様において、治療システムは、被験体の治療に適しており、以下の用量で投与される(または投与に適している):第1製剤は、約10〜30 mg MSM/被験体のkg体重および約.1〜1 mg DMSO/kg体重を含み、第2製剤は、約30〜50 mg MSM/kg体重および約125〜175 mg DMSO/kg体重を含む。一態様において、第2製剤は、約30〜70 mg MSM/kg体重および約125〜225 mg DMSO/kg体重を含む。
【0030】
一態様において、第1製剤および/または第2製剤は、1日少なくとも1回、2回または3回投与される(または投与に適している)。
【0031】
いくつかの態様において、MSMは、DMSOの臭気または他の副作用を減らす。ある態様において、MSMは、DMSの投与によって引き起こされ得る皮膚刺激を減らす。ある態様において、DMSOはMSMの副作用を減らす。ある態様において、DMSOはMSMの効力を増強する。ある態様において、MSMの増強された効力は、経口製剤中のDMSOに起因する。ある態様において、経口製剤中のDMSOは、所定の治療結果を達成するために必要とされるMSMの量を減らす。本明細書に提供される態様のいずれかに従って使用されるMSMは、単離、精製または処理されていてもよい。GRAS(食品医薬品局合格証:Generally Recognized As Safe)指定が与えられたMSMが、本明細書に記載のいくつかの態様について使用される。
【0032】
ある態様において、第1製剤は、カプセル剤、錠剤、経口懸濁剤、液体、吸入剤、および/または発泡剤形態であり、該形態は、任意でコーティングおよび/または風味付けされている。第2製剤は、ある態様によれば、ゲル剤、クリーム剤、血清、液体、スプレー剤、軟膏剤、および/またはパッチ剤形態である。温熱療法または寒冷療法が、第2製剤と共にさらに提供されてもよい。
【0033】
いくつかの態様において、第1経口製剤は、変形性関節症の慢性症状および/または全身痛および/または損傷を治療し、第2局所製剤は、変形性関節症の急性症状および/または限局痛および/または損傷を治療する。第1および/または第2製剤は、任意で徐放性製剤で提供される。
【0034】
一態様において、本発明は、変形性関節症および/または変形性関節症の症状の治療用の医薬の製造における本明細書に記載の製剤の使用を含む。一態様において、本発明は、前記請求項のいずれか1項に記載の1つまたはそれ以上の製剤と、第1製剤を1日1〜4回経口投与するための使用説明書および/または第2製剤を1日1〜4回局所投与するための使用説明書とを含むキットを含む。一態様において、使用説明書は、第1製剤の1日3回の経口投与を指示する。使用説明書はまた、第2製剤の2週間までの間の1日1〜4回の局所投与を指示してもよい。一態様において、使用説明書は、第2製剤の2週間までの間の1日3回の局所投与を指示する。
【0035】
いくつかの態様において、本発明は関節炎(例えば、変形性関節症)の症状を治療するための方法を含む。ある態様において治療される症状としては、疼痛、骨増殖体、硬直、握力、関節可動域の制限、関節中の組織増大、関節腫脹、および関節変形のうちの1つまたはそれ以上が挙げられる。ある態様において、本発明は、例えば、成人発症関節リウマチなどの、関節炎の他のタイプの症状を治療するための方法を含む。ある態様において、本発明は、若年性関節リウマチの症状を治療および/または改善するために使用される。一態様において、方法は、本明細書に開示される第1および第2製剤を提供する工程、1日1〜4回被験体へ第1製剤を経口投与するかまたは経口投与を指示する工程;ならびに1日1〜4回該被験体へ第2製剤を局所投与するかまたは局所投与を指示する工程を含む。
【0036】
本発明のいくつかの態様において、変形性関節症の症状を改善するための局所製剤が提供される。一態様において、製剤は、DMSOを約2000 mg〜約5000 mg DMSO/用量(例えば、5mL用量)の量で、およびMSMを約300 mg〜約1200 mg MSM/用量(例えば、5mL用量)の量で含む。一態様において、製剤は、DMSOを約3000 mg〜約5000 mg DMSO/用量の量で、およびMSMを約900 mg〜約1200 mg MSM/用量の量で含む。一態様において、DMSOおよびMSMは、変形性関節症の症状を改善するための被験体への局所投与に適している。一態様において、DMSOおよびMSMは、関節障害、炎症、変性、および/または疼痛のうちの1つまたはそれ以上を治療するための被験体への局所投与に適している。任意で、経口製剤は、提供される1用量当たり、約300 mg〜約700 mg MSMおよび約10 mg〜約50 mg DMSOを含む。
【0037】
一態様において、MSMは、DMSOの局所適用と関連する刺激を減らすように潤滑剤として作用するように構成されている。一態様において、MSMは、DMSOの局所適用と関連する臭気を減らす。
【0038】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の経口または局所製剤を提供し、治療効果を達成するために必要とされるDMSOの量を減らし、それによってDMSOの副作用を減らす工程を含む、治療効果を達成するための経口DMSOの量を減らす方法を含む。
【0039】
いくつかの態様において、本発明は、関節炎(例えば、変形性関節症)の症状を改善するための経口製剤を含む。一態様において、製剤は、カプセルまたは他のカプセル化形式中にカプセル化されている固体形態のDMSOおよび少なくとも1つの第2化合物を含む。一態様において、カプセル剤は、前記DMSOおよび少なくとも1つの第2化合物を徐放様式で送達する。ある態様において、経口製剤は、鎮痛性かつ抗炎症性である。第2化合物は、DMSOと関連する臭気を減らし、DMSOと関連する1つまたはそれ以上の副作用を減らす。一態様において、第2化合物は、MSM、尿素、硫黄結合性薬剤、またはそれらの組み合わせである。一態様において、第2化合物は、栄養素(例えば、アミノ酸)を含む。一態様において、第2化合物は、2つの有機アミン残基へ結合されたカルボニル基を含む。一態様において、第2化合物は、過酸化カルバミド、アラントイン、およびヒダントイン、ビウレット、アミド、カーバメート、ジイミド、カルボジイミド、チオカルバミド、またはそれらの組み合わせを含む。好ましくは、MSM、尿素および/または硫黄結合性化合物のうちの1つまたはそれ以上が使用されるが、他の化合物が、いくつかの態様において、DMSOの臭気または副作用を減らすために提供される。
【0040】
一態様において、カプセル化された経口製剤は、約1グラムまたはそれ未満の投薬量で提供される。一態様において、製剤は、食物と共のまたは食物無しでの1日当たり1〜4回の投与に適している。ある態様において、DMSOおよびMSMの相乗効果は、製剤が食物と共に摂取されることを必要としない。いくつかの態様において、MSMの使用は、例えば、DMSOの副作用を減らすことおよび/またはDMSOと関連する臭気を減らすことによって、より高濃度のDMSOが使用され許容されることを可能にする。一態様において、(例えば、単回用量または日用量で)800 mgを超える量のMSMの使用は、(例えば、単回用量または日用量で)200 mgを超える量のDMSOの耐容性を増加させる。
【0041】
本発明のいくつかの態様において、固体形態でDMSOを含む製剤が提供される。ある態様において、DMSOは室温で固相である。固体製剤のDMSOは、関節炎(例えば、変形性関節症、関節リウマチ)、およびDMSO治療から利益を得るであろう他の障害(例えば、骨増殖体形成)を含む、いくつかの障害の治療に適している。ある態様において、固体製剤は、炎症、疼痛、またはそれらの組み合わせの治療のために使用される。いくつかの態様において、DMSOおよびMSMは、固体を形成するように組み合わされ、ここで、固体は室温で固体のままである。固体製剤としては、カプセル剤、ゲルキャップ剤、錠剤、経口懸濁剤、散剤、発泡剤、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。コーティングがある態様において提供される。コーティングは、いくつかの態様に従う製剤の持続放出、持続作用、延長放出、制御放出、または連続放出を提供する。ある態様において、コーティングは、フレーバラント(flavorant)をさらに提供する。一態様において、DMSOは、製剤の約0.01重量%〜約10重量%である。別の態様において、DMSOは、製剤の約45重量%〜約55重量%である。一態様において、製剤は、前記DMSOを約100 mg〜約1000 mg含むカプセル剤で提供され、ここで、該カプセル剤は1日1〜4回の送達に適している。
【0042】
いくつかの態様において、本発明は、室温で固体である形態のDMSOを製造するための方法を含む。一態様において、方法は、液体形態のDMSOを提供する工程、該液体DMSOと過酸化水素とを組み合わせる工程、液体DMSOおよび過酸化水素を加熱し、DMSOおよびMSMの組み合わせを得る工程、DMSOおよびMSM組み合わせを固体製剤へ冷却する工程を含み、ここで、該固体製剤は室温で固体である。フレーキング(flaking)、プリリング(prilling)および/または凍結が、ある態様に従って行われる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】10% MSMおよび様々な濃度のDMSOへの5分間の局所曝露後のMSMの血漿濃度を示す。
【0044】
図2】MSM血漿濃度のベースラインからの変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
本発明は、ある態様において、変形性関節症の慢性効果(chronic effect)および変形性関節症と関連する急性症状を治療するための、個々にまたは組み合わせて、DMSOおよびMSMを含む製剤を含む。いくつかの態様において、本発明は、経口製剤によって全身痛および局所製剤によって限局痛を治療するための、個々にまたは組み合わせて、DMSOおよびMSMを含む治療システムを含む。一態様において、DMSOおよび/またはMSMの局所製剤はまた、全身痛について有効である。いくつかの態様において、個々にまたは組み合わせて、DMSOおよびMSMを含む製剤は、製剤が、病気(例えば、変形性関節症)の症状を治療するだけでなく、無関係な利益(例えば、皮膚の改善および他の審美的な利益、心臓血管の健康、神経学的な健康、免疫、視力など)をも与える点で、多機能である。
【0046】
本明細書において議論されるように、いくつかの態様において、関節炎(変形性関節症を含むがこれに限定されない)の症状を改善するための経口および局所二重製剤システムが提供され、システムは、DMSOならびに硫黄結合性および/または硫黄ベースの薬剤(MSMを含むがこれに限定されない)を含む第1製剤、ここで、第1製剤は経口投与に適しており、ここで、第1製剤は、約300 mg〜約750 mg MSM(または他の薬剤)および約10 mg〜約50 mg DMSO(例えば、約650 mg MSM、または他の薬剤、および約15 mg DMSO)を含む;と、DMSOおよびMSM(または他の薬剤)を含む第2製剤、ここで、第2製剤は局所投与に適しており、ここで、第2製剤は、約10%〜約15% MSM(または他の薬剤)約40%〜約70% DMSO、またはそれ以上(例えば、約10% MSM、または他の薬剤、および約50% DMSO)を含む;とを含む。
【0047】
特に指定のない限り、本明細書に提供されるMSM、DMSOまたは他の化合物のパーセンテージは、重量%として提供される。
【0048】
一態様において、500 mg MSMおよび15 mg DMSOの経口投薬ならびに50% DMSOおよび10% MSMの局所投薬を含む二重製剤システムが提供される。経口投薬は、錠剤、カプセル剤、散剤、液体、経口懸濁剤、発泡剤の形態、または経口送達に適した任意の他の形態であってもよい。局所投薬は、スプレー剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、パッチ剤の形態、または局所送達に適した任意の他の形態であってもよい。ある態様において、製剤は、経口投与に加えてまたは経口投与の代わりに、静脈内にまたは吸入によって投与される。
【0049】
いくつかの態様において、MSMの併用は、DMSOと通常関連する臭気を減らすかまたは排除する。ある態様において、固体DMSOの使用は、DMSOと通常関連する臭気を減らすかまたは排除する。臭気減少は驚くべきことであり、いくつかの態様において有利であり、何故ならば、実務者は、その不快な臭気に起因して高濃度で(または任意の量で)DMSOを使用することを避けていたためである。
【0050】
ある態様において、本発明は、DMSOおよびMSMの経口製剤を含む。他の態様において、本発明は、DMSOおよびMSMの局所製剤を含む。一態様によれば、局所製剤は特に有利であり、何故ならば、MSMは、DMSOのその局所適用から生じ得る皮膚刺激を減らすかまたは排除するためである。例えば、ある態様において、MSMは、浸透を依然として可能にしつつDMSOから皮膚を保護するバリアおよび/または潤滑剤として作用する。一態様において、25%を超える(例えば、50%、70%、またはそれ以上)濃度での局所DMSOが、MSMの存在に起因して許容される。一態様において、MSMの存在は、発疹の形成、発赤、皮膚の乾燥、痒み、および/またはそれらの組み合わせを減らす。一態様において、MSMは、心臓不整脈および呼吸困難を含む、DMSOに対する全身性アレルギー反応と関連する症状の発生、可能性(occurrence, probability or symptoms)を減らす。より高濃度のDMSOがある態様において局所投与され得るので、DMSOの経口用量を減らすことができ、それによって、DMSOの局所投与から生じ得る胃腸副作用が減らされる。
【0051】
いくつかの態様において、DMSOの量は、DMSOおよびMSMの間の相加または相乗効果に起因して、MSMと組み合わされた場合に減少する。いくつかの態様において、MSMの量は、DMSOおよびMSMの間の相加または相乗効果に起因して、DMSOと組み合わされた場合に減少する。いくつかの態様において、MSMは、約15%未満の濃度の溶液で提供される。ある態様において、1日当たり約2グラム未満のMSMの経口用量が投与され(例えば、1g、1.5g、1.75gおよび1.85g)、ある適用において胃腸副作用を減らす。いくつかの態様において、DMSOは、組織(例えば、皮膚)へのMSMの浸透を増加させる。
【0052】
別の態様において、製剤は、約200 mg〜約2000 mg MSMおよび約1 mg〜約100 mg DMSOの経口投薬(例えば、固体形態)ならびに約5%〜約90% DMSOおよび約1%〜約50% MSMの局所投薬を含む、からなる、またはから本質的になる。いくつかのこのような態様において、経口投薬中のMSMは、約200〜500 mg、500〜800 mg、800〜1100 mg、1100〜1400 mg、1400〜1700 mg、1700〜2000 mg、およびその重複範囲の範囲にある。いくつかのこのような態様において、経口投薬中のDMSOは、約10〜30 mg、30〜50 mg、50〜70 mg、70〜90 mg、80〜100 mg、およびその重複範囲の範囲にある。一態様において、本発明は、約200 mg〜約2000 mg MSMおよび約1 mg〜約100 mg DMSO、例えば、400〜600 mg MSMおよび10〜20 mg DMSO、500 mg MSMおよび15 mg DMSO、または650 mg MSMおよび15 mg DMSOを含む、からなる、またはから本質的になる。
【0053】
いくつかの態様において、本発明は、33:1のMSM対DMSOの比を含む経口製剤(例えば、固体形態)、および任意で、1:5のMSM対DMSOの比を含む局所製剤を含む。他の態様において、本発明は、30〜50:1のMSM対DMSOの比を有する経口製剤、および任意で、1:2〜10のMSM対DMSOの比を有する局所製剤を含む。さらに他の態様において、本発明は、25〜35:1のMSM対DMSOの比を有する経口製剤、および任意で、1:3〜7のMSM対DMSOの比を有する局所製剤を含む。いくつかの態様におけるMSM対DMSOの比は驚くべきことに有利であり、何故ならば、MSMはDMSOの効力を相乗的に改善するためである。従って、ある濃度で投与されると副作用を有し得るDMSOが、より低濃度で提供され、同一のまたはより良い治療効果を提供し得る。本明細書において議論されるように、ある態様におけるMSMの存在は、皮膚軟化薬として機能する。ある態様において、MSMはDMSOと通常関連する臭気を減らす。
【0054】
ある態様において、本発明は、約2週間、毎日、DMSOおよびMSMの局所投薬と共に、少なくとも1ヶ月間、毎日、MSMおよびDMSOの経口投薬を投与することによって、変形性関節症の症状を管理する方法を含む。ある態様は特に有利であり、何故ならば、それらは、経口投薬が長期の緩和を徐々に提供することを可能にしつつ、局所投薬で即効性の症状緩和を可能にするためである。ある態様において、緩和は、長期間、例えば、1週間またはそれ以上、数週間、約1ヶ月間、2ヶ月間またはそれ以上、提供される。経口投薬が有効となった時点で、患者は局所製剤の反復使用を中止することができ、従って、皮膚刺激および/または局所的な生物学的濃縮の危険性が減る。さらに他の態様において、いったん経口投薬が疼痛および/または症状を減らすと、局所製剤は必要ではなくなる。ある態様において、経口または局所製剤の投薬は、特定の個体について療法を個人化するように調節される。例えば、個体が、限定的な慢性症状、しかし重篤な急性症状を通常有する場合、より低用量の経口製剤およびより高用量の局所製剤が使用され得る。他の態様において、より重篤な慢性症状、およびほとんどない急性症状エピソードを有する個体は、より高用量の経口製剤およびより低濃度の局所製剤から利益を得る場合がある。従って、経口および局所投与経路の両方を含む二重製剤は、いくつかの態様において驚くほど有利である。
【0055】
個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む経口製剤は、ある態様において、1日当たり複数回投与される。ある態様において、投薬は、変形性関節症の症状の重篤度に応じて、1日2回、3回、4回またはそれ以上行われる。他の態様において、経口製剤は、1日1回服用される。局所製剤は、ある態様において、1日複数回、例えば、2回、3回、4回またはそれ以上使用される。他の態様において、局所製剤は、症状の急性増悪の治療のためにのみ使用される。ある態様において、経口製剤は局所製剤と共に使用され、一方、他の態様において、経口製剤のみが投与される。
【0056】
ある態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む製剤(経口、局所、またはそれらの組み合わせ)は、変形性関節症の1つまたはそれ以上の症状の改善に有効である。ある態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む製剤は、安静の期間の間の1つまたはそれ以上の関節における疼痛または硬直を減らすかまたは予防する。ある態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む製剤は、軽度または中程度の活動の期間の間の1つまたはそれ以上の関節における疼痛または硬直を減らすかまたは予防する。さらに他の態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む製剤は、激しい活動の期間の間の1つまたはそれ以上の関節における疼痛または硬直を減らすかまたは予防する。いくつかの態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む製剤は、安静時、活動の間、および/または活動後の、疼痛、硬直および/または炎症を減らす。
【0057】
いくつかの態様において、単一製剤でのDMSOおよびMSMの組み合わせは、相乗効果をもたらし、それによって、変形性関節症の1つまたはそれ以上の症状を有効に減らすために必要とされるDMSO、MSM、またはDMSOおよびMSMの両方の濃度を低下する。毒物学研究は、DMSOは、深刻な有害効果なしで1日5 g/kgで慢性投与され得ることを確立した。ある態様において、経口DMSOの投薬量は、1日当たり約0.003〜0.06 gの範囲にある。ある態様において、経口DMSOの投薬量は、1日当たり約0.045 gである。平均50 kg/被験体と仮定して、これらの投薬量は、1日約0.00006〜約0.0012 g/Kgの範囲に等しい(深刻な有害効果のない毒物学研究において与えられた用量の0.0012〜0.024%)。
【0058】
MSMの経口毒性は、ラットにおいて標準法によって以前測定された。LD50値はおよそ17 g/kgであり、これは、150ポンドのヒトについて1日当たり2.6ポンドの経口用量に対応する。ある態様において、経口MSMの投薬量は1日当たり約1.0〜2.5 gの範囲にある。ある態様において、経口MSMの投薬量は1日当たり1.95 gである。他の態様において、MSMは、約6 g/日までの投薬量で(例えば、経口)投与される。これらの用量は、MSMについて測定された毒性の範囲を十分に下回る。この投薬量レベルで、MSMは、いくつかの態様において、関節の放射線学的変化および炎症を減らす。
【0059】
ある態様において、DMSOおよびMSMの相乗効果は、有効な抗炎症薬として機能するかまたは鎮痛効果を生じさせるために必要とされるDMSOおよび/またはMSMの濃度を減少させる。ある態様において、相乗作用は、冒された関節、関節軟骨および並置される軟骨下骨の構造変化を予防するために必要とされるDMSOおよび/またはMSMの濃度を減少させる。いくつかの態様において、DMSOはMSMの活性(例えば、痛覚脱失、抗炎症効果など)を促進するように機能する。ある態様において、DMSOは、MSMがプラスに影響を与える疾患または状態の同一の局面に対してさらなるプラスの効果を提供する。従って、ある態様において、DMSOは、MSMの作用を補い、さらにこれを促進する。
【0060】
さらに、ある態様の相乗効果は、治療の開始から変形性関節症症状の改善までの時間量を減らす。ある態様において、この期間は、数倍、例えば、数ヶ月のオーダーから数週間のオーダーへ、減少する。ある態様において、相乗効果は、約2〜6週間以内に症状改善をもたらす。
【0061】
いくつかの態様において、DMSOおよびMSMを含む製剤は、経口的に必要とされるMSMの量を低下させる。一態様において、DMSOは、MSMがより効果的に皮膚に浸透することを可能にする。ある態様によれば、組み合わせは、より低い量のDMSOおよびMSMの両方が治療的に使用されることを可能にし、任意で、臭気、胃腸症状、および/またはカプセル剤(または丸剤、錠剤、または他の投薬形式)のサイズを低下させる。一態様において、MSMは、さらなる臭気減少のためにDMSO代謝産物と結合する。ある態様(例えば、小児用の液体形態)において、味を改善するために、矯味矯臭剤がDMSOおよびMSMへ添加される。DMSOおよび/またはMSMを含む製剤はまた、チュウ(chews)およびグミ等の治療用の菓子に添加されてもよい。
【0062】
いくつかの態様に従うDMSOおよびMSMの相乗作用は、変形性関節症症状を効果的に減らすために必要とされる濃度の減少を可能にする。ある態様において、MSMは、皮膚保護剤として機能し、予想外にもDMSO曝露の有害効果から皮膚を保護する。ある態様において、局所MSMは不活性成分として主に機能し、例えば、それは、そうでなければ局所DMSO投与によって誘発され得る皮膚刺激を最小限にするように主に機能する。ある態様において、MSMは、皮膚についての潤滑剤として機能する(例えば、皮膚の過度の乾燥を予防するため)。ある態様において、下肢関節治療についてのDMSOの有効濃度は、50% DMSO、またはそれ未満へ減少する。ある態様において、上肢関節治療についてのDMSOの有効濃度は、25〜50% DMSOへ減少する。ある態様において、皮膚がDMSOへ曝露される期間が短縮され、何故ならば、DMSO/MSM製剤はDMSOのみよりも効果的であるためである。従って、ある態様において、DMSO/MSM局所製剤は2〜15分間皮膚上に残され、次いで除去される(例えば、洗い流される)。他の態様において、DMSO/MSM局所製剤は約5〜10分間皮膚上に残され、次いで除去される(例えば、洗い流される)。このような態様において、DMSO曝露からの副作用の可能性は、曝露時間の短縮およびMSMの保護剤効果に起因して減少する。しかし、さらなる態様において、DMSO/MSM局所製剤は皮膚上に残され、除去されない。ある態様において、DMSOおよび/またはMSMは抗酸化剤として作用する。
【0063】
いくつかの態様において、DMSOの浸透剤効果は、MSMがより大きな皮膚浸透および吸収を達成することを可能にし、増強された抗炎症効果を可能にする。ある態様において、DMSO/MSM局所製剤は、予想外にも鎮痛効果を提供する。さらに、局所製剤中のDMSOおよびMSMによって示される相乗作用は、いくつかの態様によれば、僅か約1/2日〜約3日で変形性関節症症状を改善し得る。ある態様において、DMSOおよび/またはMSMは、経口投薬形態で提供される場合に鎮痛性である。
【0064】
ある態様において、DMSOおよびMSMの相乗作用、および両方の化合物の用量における関連する減少は、経口および局所製剤の両方の同時使用を可能にする。本明細書に記載のいくつかの態様に従う、DMSOおよびMSMの減少した濃度(DMSOまたはMSM単独のいずれかの療法と比較した場合)は、副作用の全体的な発生を減らし、それによって経口および局所製剤の同時使用を可能にする。従って、このような態様は、急性関節痛を改善するための局所製剤の使用を可能にし、一方、経口製剤は、最小限の合併症を伴う慢性的な炎症および疼痛を低下させるのに役立つ。
【0065】
ある態様において、DMSOおよびMSMの組み合わせおよび/または固化DMSOの使用は、予想外にも、DMSO使用で通常経験される不快な臭気を減らす。例えば、ある態様において、DMSOおよびMSMを含む製剤は、使用後に知覚可能な臭気を生じさせない。ある態様において、10%〜50% MSMを含む製剤は、50%〜90%の濃度で提供されるDMSOの臭気を減らすかまたは排除する。以前、50%に近い(またはそれ以上の)濃度で使用されたDMSOは、皮膚を介してまたは患者の呼吸時に検知され得る強い不快な臭気を伴った。従って、本明細書に記載の組成物のいくつかの態様は、予想外に有利であり、何故ならば、それらは、臭気に関連する副作用を減らすかまたは排除するためである。
【0066】
本明細書に開示の態様のいずれかによれば、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む治療システムはまた、下記の化合物のうちの1つまたはそれ以上を含む:イブプロフェン、フェノプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、トルメチン、サリチル酸、およびスリンダク。他の態様において、DMSOおよび/またはMSMを含む治療システムはまた、下記の化合物のうちの1つまたはそれ以上を含む:抗酸化剤、グルコサミン、コンドロイチン、ナイアシンアミド、S-アデノシルメチオニン、クルクミン、ケルセチン、オメガ3脂肪酸、パパイン、ヒアルロン酸、およびブロメライン。いくつかの態様において、DMSOおよび/またはMSMならびに約500〜2500 mgグルコサミンを含む製剤が提供される。下記の化合物のうちの1つまたはそれ以上が、グルコサミンに加えて、またはグルコサミンの代わりに、使用され得る:約500〜5000 mg魚油、約500〜5000 IUビタミンD、約500〜2500 mgコンドロイチン、500〜5000 mgもしくはIU抗酸化剤(例えば、ビタミンC、Eまたはβ-カロテン)、約500〜2500 mgクルクミン、および約50〜2500 mgヒアルロン酸。ある態様において、DMSOおよび/またはMSMを含む製剤は、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、およびエラスターゼを含む、軟骨の破壊の原因となる炎症促進性酵素の分泌を阻害する。ある態様において、DMSOおよび/またはMSMからなるかまたはから本質的になる製剤は、軟骨の破壊の原因となる炎症促進性酵素の分泌を阻害する。
【0067】
いくつかの態様において、胃保護剤を含まないDMSOおよび/またはMSMを含む製剤が提供される。従って、本発明のいくつかの態様は特に有利であり、何故ならば、NSAIDを受容している多くの重篤な関節炎の患者はまた胃保護剤を同時処方されると推定されるためである。
【0068】
ある態様において、局所製剤中のDMSOの量は、約0.01重量%〜約70重量%の範囲にある。他の態様において、製剤は、約0.01重量%〜10重量% DMSO、およびその重複範囲を含む。他の態様は、約10%〜20% DMSO、約20〜30% DMSO、約30〜40% DMSO、約40〜50% DMSO、約50〜60%、または約60〜70% DMSO、およびその重複範囲を含む。さらに他の態様は、約7%〜15% DMSO、約15〜25% DMSO、約25〜35% DMSO、約35〜45% DMSO、約45〜55% DMSO、約55〜60%、約60〜65%、または約65〜70%、およびその重複範囲を含む製剤を含む。ある態様において、DMSOは、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、および55%、およびその重複範囲を含む、約45〜55重量%の範囲で存在する。ある態様において、DMSOは、約70%〜約90%の範囲で提供される。より高濃度のDMSOがまた、他の態様において使用され得る。
【0069】
ある態様において、局所製剤中のMSMの量は、約0.01重量%〜約70重量%の範囲にある。ある態様において、製剤は、約0.01重量%〜10重量% MSM、およびその重複範囲を含む。他の態様は、約10%〜20% MSM、約20〜30% MSM、約30〜40% MSM、約40〜50% MSM、約50〜60%、または約60〜70% MSM、およびその重複範囲を含む製剤を含む。さらに他の態様は、約7%〜15% MSM、約15〜25% MSM、約25〜35% MSM、約35〜45% MSM、または約45〜55% MSM、およびその重複範囲を含む。ある他の態様において、MSMは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15%、およびその重複範囲を含む、約5〜15重量%の範囲で存在する。ある態様において、MSMは、約70%〜約90%の範囲で提供される。より高濃度のMSMもまた、他の態様において使用され得る。いくつかの態様において、上記のパーセンテージは、態様において使用されるMSMの体積に基づく。
【0070】
いくつかの態様において、局所製剤MSMおよびDMSOは、個々にまたは組み合わせて、薄層での身体への適用に十分な濃度で提供される。一態様において、DMSO/MSM製剤は、薄層で関節の表面にわたって塗られ、約5〜10分後に、例えばウェットウォッシュクロスで、除去される。一態様において、標的組織(例えば、膝または他の関節の皮膚)は、DMSOによる汚染物質の浸透を阻止するために洗浄される。ある態様において、適用される局所製剤の体積は、製剤が適用される組織に応じて、約0.5 mL〜約10mLの範囲である。従って、ある態様において、ある使用において適用される局所製剤の量は、約0.5mL〜約1mL、約1mL〜約3mL、約3mL〜約5mL、約5mL〜約7mL、約7mL〜約10mL、約10mL〜約20mL、およびその重複範囲である。ある態様において、MSM、DMSO、またはMSMおよびDMSOの組み合わせを含む製剤は、局所製剤で提供され、使用者は、約3mL〜約15mL/適用/身体部分(例えば、膝)を適用するように指示される。
【0071】
いくつかの態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む局所製剤は、特に、脱イオン水および種々のポリマー(例えば、カーボポール974 NF)を含む、1つまたはそれ以上の不活性成分をさらに含む。有効成分もまた提供され得る。ある態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOからなるかまたはから本質的になる製剤が提供される。
【0072】
ある態様において、DMSOおよび尿素、および任意でMSMを含む製剤が、臭気を減らすために提供される。ある態様において、DMSOおよび硫黄結合性化合物を含む製剤が、臭気を減らすために使用される。ある態様において、DMSOおよび少なくとも1つの臭気減少栄養素を含む製剤が、臭気を減らすために使用される。臭気が減らされるいくつかの態様において、DMSOの酸化、代謝、分解または他の変換と関連する臭気が減らされる。例えば、一態様において、メチルチオメタン(DMS)と関連する臭気が減らされる。ある態様において、MSMは、(例えば、下水システムへ)処分されるDMSO廃棄物の細菌による変換によって引き起こされるDMSの臭気を減らすために使用される。
【0073】
臭気が減らされるいくつかの態様において、DMSOの酸化、代謝、分解または他の変換と関連する臭気が、減らされる。ある態様において、臭気は、臭気を放つ(odiferous)化合物の結合によって減らされる。ある態様において、臭気は、臭気をもたらす化合物の生成を減らすことによって減らされる。ある態様において、臭気は、臭気をもたらす化合物の分解を増やすことによって減らされる。一態様によれば、MSMなどの化合物が、DMSO代謝産物の形成を減らすことによってまたはDMSO代謝産物(例えば、DMS)へ結合することによってDMSO使用と関連する臭気を減らすために提供される。
【0074】
いくつかの態様において、組み合わせられた局所および経口DMSO/MSM製剤は、膝の変形性関節症を治療するために使用される。ある態様において、製剤は、ある状態を治療するために使用され、ここで、患者は、放射線写真上に視覚化される骨増殖体(骨棘)および膝痛の両方を有するか、または、患者が40歳(またはそれ以上)であり、30分以下の間持続する朝の膝硬直を有し、摩擦音(軋音、パチパチ音または破裂音)が膝の運動時に検知可能である。
【0075】
いくつかの態様において、組み合わせられた局所および経口DMSO/MSM製剤は、手の変形性関節症を治療するために使用される。ある態様において、製剤は、ある状態を治療するために使用され、ここで、患者は、手痛、うずく痛みまたは硬直、10個の選択される関節のうち2個以上の硬組織増大、3個未満の中手指節関節腫脹、および2個以上の遠位指節間関節の硬組織増大を有する。他の態様において、製剤は、ある状態を治療するために使用され、ここで、患者は、10個の選択される関節のうち2個以上の変形を有する((両手の)第2および第3遠位指節間関節、第2および第3近位指節間関節、ならびに第1手根中手関節)。
【0076】
いくつかの態様において、単独でまたは組み合わせて、DMSOおよびMSMを含む製剤は、膝、足指、母指、手指、足首、脊椎、股関節部、肩または他の関節を含むがこれらに限定されない、患者の1つまたはそれ以上の関節を治療するために使用される。ある態様において、単独でまたは組み合わせて、DMSOおよびMSMを含む製剤は、腰痛(例えば、脊柱におけるまたはこれと関連する疼痛)を治療するために使用される。
【0077】
本明細書に開示の態様のいずれかによれば、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む組み合わせられた局所および経口製剤は、軟骨変性および/または軟骨下骨の変性を治療するために使用される。ある態様において、製剤は、骨棘形成、石灰化領域および/または他の望ましくない形成を予防する、停止させるまたは治療する。組み合わせられた局所および経口DMSO/MSM製剤はまた、関節痛、圧痛、硬直、軋み、関節のロッキング、および/または局所炎症を治療するために使用され得る。いくつかの態様において、組み合わせられた局所および経口DMSO/MSM製剤は、下記の指標のうちの1つまたはそれ以上にプラスの影響を与えるために使用される:(i)膝および手の両方についての放射線学的検査;(ii)膝および手の両方についての安静時のLikert疼痛インデックス;(iii)膝および手の両方についてのFuchs腫脹インデックス;(iv)膝および手の両方(または他の関節)についての関節可動域;(v)膝および手の両方に対する負荷による視覚的アナログスケール−疼痛強度(VAS-PI)およびVAS患者全体的評価;(vi)膝についてのLequesneインデックス;(vii)WOMAC(Western Ontario and McMaster Osteoarthritis)の膝についての身体的硬直および疼痛スケール;(viii)手変形性関節症についての機能性インデックス(Functional Index for Hand Osteoarthritis);(ix)握力測定値;ならびに(x)救急薬使用。特定された指標の約5%〜100%の改善が、いくつかの態様に従って提供される(例えば、約10〜25%、25〜50%、50〜75%、75〜100%、およびその重複範囲の改善)。疼痛および炎症の改善はまた、いくつかの態様によれば、増加した関節可動域、握力、および日常活動を行う一般的な能力を伴うことがある。
【0078】
いくつかの態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む製剤は、手、膝または他の関節における弱さ、炎症および/または疼痛を治療するために使用される。製剤は、経口的に、局所的に、経口的に、または経口的および局所的の両方で、投与されてもよい。
【0079】
本明細書に開示の態様のいずれかによれば、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む経口製剤は、排他的に(局所治療なしで)使用される。本明細書に開示の態様のいずれかによれば、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む製剤は、経口投与に加えてまたは経口投与の代わりに、静脈内、関節内、および/または吸入投与に適した形態で提供される。ある態様において、製剤は、局所投与に加えてまたは局所投与の代わりに、静脈内、関節内、および/または、吸入投与される。
【0080】
いくつかの態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む製剤で治療される被験体としては、ヒト、非ヒト哺乳動物、飼い慣らされた動物および家畜が挙げられる。ある態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む製剤は、望ましくない症状および病気を治療するために使用されるだけでなく、予防薬としても作用し得る。例えば、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む経口および/または局所製剤は、病気の発症を予防するために定期的に摂取されてもよい。いくつかの態様において、変形性関節症の逆転が提供され、一方、他の態様において、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む製剤は、疾患の発症または進行を予防する。
【0081】
固体DMSOを含む製剤
いくつかの態様において、固体DMSOを単独でまたはMSMと組み合わせて含む製剤が提供される。純粋なDMSOは、通常、室温で無色透明の双極性液体であり、海面で18.4℃(または65°F)の融点、95℃の引火点、および189℃の沸点を有する。それは、78.13の分子量を有する、非プロトン性かつ非常に吸湿性の化学物質である。しかし、DMSOの適用または摂取は、しばしば不快な臭気を与え、これは、皮膚と接触した直後にニンニクのような「味がする」。さらに、皮膚の刺激、乾燥、発赤および/または痒みが、DMSOが反復投与でまたは高濃度で局所適用される箇所に現れることがある。DMSOの他の副作用としては、光に対する感受性、視覚障害、頭痛、悪心、胃のむかつき、および下痢が挙げられ得る。DMSOに対するアレルギー反応などの副作用、例えば、動悸、不整脈、および/または呼吸問題が、ある場合に生じることがある。DMSOの望ましくない効果は、DMSO、その代謝、触媒作用、酸化、分解、および/または他の変換によって引き起こされ得る。その物性に起因して、DMSOは、通常、その液体形態で利用される。
【0082】
MSMは、DMSOおよびある硫黄含有アミノ酸の代謝産物である有機硫黄化合物である。それは、109℃の融点、143℃の引火点、および248℃の沸点を有する白色の水溶性粉末である。それは、94.13の分子量を有する。
【0083】
その物性に起因して、DMSOは室温で液体として存在し、従って通常液体として利用される。しかし、室温でのDMSOの固体形態についての長年にわたる今まで満たされていない必要性がある。例えば、DMSOの固体形態は特に有利であり、何故ならば、それらは、(i)丸剤、錠剤またはカプセル剤形態へ製造または包装することができ;(ii)濃縮された形態を達成することができ(1用量サイズ当たり液体形態よりも約2〜50倍濃い);(iii)液体形態と比較して減少した副作用を示し(例えば、より少ない刺激、感受性、胃腸影響など);および(iv)液体形態と比較して減少した臭気を示すかまたは臭気を示さないためである。ある態様において、室温で固体のままであるDMSOの使用は特に有利であり、何故ならば、それは、液体DMSOによっては通常分解されるカプセル(または他のパッケージング)へのDMSOの封入を可能にするためである。
【0084】
ある態様において、室温で固体であるDMSOが提供される。ある態様において、70〜80°F、80〜90°F、90〜100°F、100〜125°F、および125°Fより高い温度で固体であるDMSOが提供される。他の態様において、室温で固体であるDMSOが提供され、該DMSOは約65°Fで液化する。
【0085】
ある態様によれば、驚くべきことに、DMSOおよびMSMの組み合わせは、室温でDMSOの固体形態をもたらす。ある態様において、DMSOおよびMSMは、過酸化水素と液体形態のDMSOを混合することによって組み合わされる。これらの態様において、過酸化水素およびDMSOが加熱される。ある態様において、MSMが形成されるが、DMSOの全てが除去されるわけではない。ある他の態様において、DMSOおよびMSMは、MSM溶液中において液体形態のDMSOを混合することによって組み合わされる。これらの態様において、溶液は加熱および撹拌されてもよい。ある態様において、DMSOおよびMSMは、液体形態のDMSO中において固体形態のMSMを混合することによって組み合わされる。他の態様において、DMSOおよびMSMは、液体形態のDMSOと融解形態のMSMとを混合することによって組み合わされる。
【0086】
一態様において、液体DMSOが出発材料として使用される。DMSOの液体形態は、実質的に全ての過酸化水素が消費されかつMSMおよび水副生成物が形成されるに十分な温度および時間で、過酸化水素(H2O2)と混合される。ある態様において、DMSOの全てが除去されるわけではなく、それによって融解DMSO/MSM組み合わせがもたらされ、これは続いて冷却されてもよい。例えば、一態様において、約90〜100%の濃度の液体DMSOが、少なくとも90%のH2O2が消費されるまで化学量論比および約230〜250°Fの温度で30%〜51% H2O2と組み合わされ、約0.1%〜15% DMSOおよび85%〜99.9% MSMを含有する生成物が生成される。これは非常に発熱性の反応であるので、細心の注意が維持されなければならない。
【0087】
いくつかの態様において、MSMの調製は、融解MSMを生じさせる高温蒸留工程を含む。このような態様において、DMSOが、撹拌下において既知量で融解MSMへ添加し戻されてもよい。ある態様において、添加し戻されるDMSOは液体形態であり、一方、他の態様において、DMSOは固体形態である。得られたDMSO/MSM組み合わせは、一態様において、さらに撹拌され、次いで、急速に冷却される。
【0088】
一態様において、融解DMSO/MSM組み合わせは、スプレークーラー/プリリングチャンバへ送られ、固体プリル(prill)またはマイクロプリル(マイクロスフェアペレット)が形成される。ある態様において、融解DMSO/MSM組み合わせは、プリリングチャンバへ供給され、ここで、融解DMSO/MSM組み合わせは、液滴ジェネレーターへ入り、材料が液滴の形態で排出される。液滴は自由落下するにつれて、それらは冷却され、スフェアまたはプリルへ固化する。スフェアまたはプリルは、約75ミクロン〜840ミクロンの範囲の直径を有する(例えば、約75〜150ミクロン、約150〜300ミクロン、約300〜450ミクロン、約450〜600ミクロン、約600〜840ミクロン、およびその中の重複範囲)。
【0089】
ある態様において、液滴は、これらに限定されないが空気、窒素ガス、または二酸化炭素などの、冷却ガスのフローで冷却される。ある他の態様において、液滴は、冷水または冷液体窒素のスプレーで冷却される。他の態様において、液滴は、ドライアイスによって冷却される。本明細書に記載のある態様によれば、液滴が冷却された後、液滴の外部が最初に冷えるので、プリルの内部を固化させるために、プリルは冷温のままであることがある。
【0090】
ある他の態様において、融解DMSO/MSM組み合わせ(例えば、混合物)は、フレーキングシステムへ送られ、固体フレークが形成される。例えば、一態様において、融解DMSO/MSM組み合わせは、ドラムフレーカーへ送られ、ここで、融解DMSO/MSM組み合わせの温かい薄層が、回転ドラムの外側へ適用される。ドラムが回転するにつれて、回転ドラム内に収容された冷却剤が、ドラムの外部上の材料の層を冷却および固化し、ナイフスクレイパーが、フレークの形状で材料を除去する。種々の冷却剤、例えば、液体窒素、液体酸素、冷水、またはポリプロピレングリコールを含有する冷水が使用され得る。
【0091】
本明細書に記載のいくつかの態様によれば、MSMは、それとDMSOとを組み合わせる前に精製されてもよい。ある態様において、精製は、他の方法の中でも特に、蒸留によって行われる。ある態様において、DMSO粉末またはフレークが、MSMプリルと組み合わされる。他の態様において、DMSO粉末またはフレークが、MSMフレークと組み合わされる。他の態様において、DMSO粉末またはフレークが、MSM粉末と組み合わされる。ある態様において、DMSO/MSMの均質混合物が製造され、一方、他の態様において、不均質混合物が生じる。
【0092】
本明細書に記載のいくつかの態様によれば、MSMは、DMSO/MSM溶液を形成するためにDMSOと組み合わされてもよく、得られた混合溶液は、続いて、凍結され、粉末に砕かれる。ある態様において、DMSO/MSM溶液の液相は水である。ある態様において、蒸留水、脱イオン水、または蒸留-脱イオン水が使用される。他の態様において、他の液体が使用され得る。例えば、DMSO/MSM溶液は、通常の生理食塩液、または別の許容される溶媒を含有してもよい。ある態様において、液体のイオン的性質は、得られるDMSO/MSM生成物に影響を与えるように調節されてもよい。ある態様において、混合を促進するために溶液が加熱および撹拌されている状態で、他の成分が溶液へ添加される。DMSO/MSM溶液は、冷却および凍結されてもよい。例えば、液体DMSOは、これらに限定されないが空気、窒素ガス、または二酸化炭素などの、冷却ガスを含有する冷却チャンバ中において冷却されてもよい。次いで、DMSO/MSM組み合わせは、当技術分野において周知であるかまたは未だ考案されていない任意のグライディングまたはミリング技術によって砕かれる。
【0093】
他の態様において、DMSOは融解MSMへ添加される。ある態様において、DMSO/MSM組み合わせは、上述のようにスプレークーラー/プリリングチャンバによって固体へ形成される。他の態様において、DMSO/MSM組み合わせは、本明細書に記載されるようにフレーキングシステムによって固体へ形成される。
【0094】
ある態様において、出発原材料の純度は、最終生成物の純度を調節するために変更されてもよい。必要とされる純度のレベルに応じて、1つまたはそれ以上の精製プロセスが用いられ得る。例えば、DMSOが出発材料である、ある態様において、DMSOは強溶剤であるので、不純物が存在し得る。従って、出発MSMおよび/またはDMSOは、DMSO/MSM組み合わせの製造前に精製されてもよい。ある態様において、DMSOからのMSMの合成は、副反応および化合物をもたらす。ある態様において、DMSO/MSM生成物が形成された後に、追加の精製が行われてもよい。
【0095】
一態様において、蒸留が精製プロセスとして用いられる。他の汚染物質/副生成物除去手順が、蒸留の代わりにまたは蒸留に加えて使用され得る。蒸留は、原材料からおよび副反応から水および汚染物質(contaminates)を除去する。本明細書に記載のある態様によれば、蒸留は融解MSMを形成することができ、ここへDMSOが添加されてもよい。ある態様において、DMSO/MSM組み合わせは、指定の基準未満のレベルへ、鉛、水銀、カドミウムおよびヒ素などの潜在的な危険な重金属を減らすために、生成後に試験される。
【0096】
ある態様において、ゼラチンおよび/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が、ゲルキャップ剤を形成するために有機溶媒系と共に使用される。他の態様において、有機溶媒系が、錠剤を形成するために使用される。ある態様において、錠剤はコーティングされていない。ある態様において、錠剤はコーティングされている。ある態様において、コーティングは、pH安定性であり、錠剤が回腸などの非常に吸収性である胃腸管の部分に置かれるように、徐放効果を提供する。
【0097】
いくつかの態様において、有機溶媒系が、DMSOおよびMSMの増強された吸収を可能にする、経口摂取可能な発泡性DMSO/MSM製剤を処方するために使用される。例えば、ある態様において、消費可能な液体へ添加されると、溶解し、消費用の発泡性飲料を与える、DMSO/MSM散剤が製造される。ある態様において、DMSO/MSM散剤は、単回用量供給サイズに予め包装されている。他の態様において、単独でまたは組み合わせて、DMSOおよびMSMを含む製剤は、同様に溶解され発泡性飲料を与え得る錠剤に処方される。任意の消費可能な液体が、散剤または錠剤を溶解するために使用されてもよく、液体の味は消費者によって選択される。他の態様において、水と組み合わされると、風味付けされた発泡性飲料が生じるように、矯味矯臭剤がDMSOおよび/またはMSMの散剤または錠剤へ添加されてもよい。
【0098】
本明細書に記載のある態様によれば、DMSO/MSM活性カプセル剤が作製される。非限定的な一例において、DMSO/MSM組み合わせを固体へ形成するプロセスの前または間に、植物性コーティング、アモルファス二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムがDMSO/MSM組み合わせへブレンドおよび添加され、MSM 650 mg、DMSO 15 mg、Dritex-Sフレークコーティング285 mg、二酸化ケイ素4.75 mg、およびステアリン酸マグネシウム4.75 mgを含む製剤が作製される。植物性コーティングは、Dritex-Sフレークなどのフレーク形態へさらに加工されておりカプセル化剤として使用される、完全に水素化された大豆油であってもよい。DMSO 1 mg、Pac-Gel 70 950 mg、二酸化ケイ素4.75 mg、およびステアリン酸マグネシウム4.75 mgからなる処方により、プラシーボカプセル剤を作製することもできる。いくつかの態様において、本明細書において議論されるように、より高いまたはより低いパーセンテージのMSMおよび/またはDMSOが活性経口製剤について使用される。プラシーボはまた適宜調節される。ある態様において、多層エマルションが、コーティング材料として提供される。一態様において、ナノ積層脂質が、コーティング材料として使用される。ポリマーがある態様において使用される。ある態様において、コーティングは、ヒドロゲル、ゼラチン、大豆油、マリトール(malitol)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0099】
本明細書に記載のある態様によれば、局所製剤、例えば、ゲル剤、ローション剤、およびクリーム剤が、MSM溶液中へDMSOを混合することによって作製され得る。ある態様において、蒸留水、脱イオン水、または蒸留-脱イオン水が使用される。他の態様において、他の液体が使用されてもよい。例えば、MSM溶液は、通常の生理食塩液、または別の許容される溶媒を含有してもよい。ある態様において、当技術分野において周知であるかまたは未だ考案されていない局所製剤において使用される、増粘剤、乳化剤、および芳香剤などの他の成分が、溶液中へ混合されてもよい。ある態様において、溶解を促進するために、溶液が加熱および撹拌される。ある態様において、いったん混合されると、溶液は冷却され、ゲル剤、ローション剤またはクリーム剤が形成される。
【0100】
一態様において、活性な局所用ゲル剤が作製される。非限定的な一例において、50 mlの脱イオン水がホットプレート上で加温される。MSM(12 g)が温水へ添加され、溶解される。MSMの完全な溶解後、DMSO(60 g)がMSM溶液へ添加される。架橋アクリル酸ポリマー(カーボポール974 NF)が、溶液へ一定の撹拌と共に加えられ、これは、それが加えられているのでポリマーを湿らせるのに役立つ。溶液の温度は約50〜60℃とされ、ポリマーが完全に溶解するまで撹拌が継続される。炭酸ナトリウム(Na2CO3, 0.02 g)が追加の10 mLの脱イオン水に溶解される。いったんNa2CO3が完全に溶解されると、手動で同時に撹拌しながら、それはDMSO/MSM/ポリマー溶液へ添加される。いったん徹底的に混合されると、溶液は冷却され、1% カーボポール974 NFおよび39%脱イオン水と共に50% DMSO/10% MSMを含有する粘着性ゲルが得られる。粘度は、23℃(73°F)でおよそ300,000cPsと測定される。いくつかの態様において、本明細書において議論されるように、より高いまたはより低いパーセンテージのMSMおよび/またはDMSOが局所製剤について使用される。いくつかの態様において、DMSOおよび/またはMSMのパーセンテージは、記載されるように、重量によるものではなく、体積によるものである。
【0101】
本明細書に記載のある態様において、単独でまたは組み合わせて、DMSOおよびMSMを含む製剤は、カプセル剤、ゲルキャップ剤、錠剤、経口懸濁剤、散剤、または発泡剤の形態で提供される。ゲル剤、スラリー、粒子、散剤および他の脱水形態もまた、ある態様において提供される。ある態様において、室温で液体ではない(例えば、固体)DMSOおよびMSMを含む製剤が提供される。ある態様において、コンシステンシーを維持する、例えば、広範囲の温度(例えば、約0℃〜約100℃、約5℃〜約50℃、約10℃〜約40℃、約20℃〜約30℃、およびその重複範囲)にわたって、少なくとも75%、85%、95%または100%同一である硬度、堅固さ、密度、質感、および/または粘度のうちの1つまたはそれ以上を維持する点で、固体製剤は有利である。ある態様はコーティングで覆われており、一方、他の態様はコーティングされていない。コーティングが提供される場合、コーティングは、徐放効果を与え得る。ある態様において、DMSOは、製剤の約0.01重量%〜約10重量%である。いくつかの態様において、上記のパーセンテージは、ある態様において、使用されるDMSOの体積に基づく。
【0102】
いくつかの態様において、DMSOを含む固体製剤は、いくつかの産業および医療適用において使用される。ある態様において、固体DMSOは、DMSOを保管および輸送するために使用される。
【0103】
いくつかの態様において、DMSOおよびMSM(および任意で他の成分)を含む固体製剤中のDMSOの量は、約0.01重量%〜約90重量%の範囲である。他の態様において、製剤は、約0.01重量%〜10重量% DMSOを含む。ある態様において、DMSOは、約0.01%〜約5%、約0.01%〜約2.5%、または0.01%〜約2.0%で存在する。ある態様において、DMSOは、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7および1.75%、およびその重複範囲を含む、約0.5%〜約1.75%で存在する。他の態様は、約10〜20% DMSO、約20〜30% DMSO、約30〜40% DMSO、約40〜50% DMSO、約50〜60% DMSO、約60〜70% DMSO、約70〜80% DMSO、約80〜90% DMSOを含む製剤を含む。さらに他の態様は、約7〜約15% DMSO、約15〜25% DMSO、約25〜35% DMSO、約35〜45% DMSO、約45〜55% DMSO、約55〜65% DMSO、約65〜75% DMSO、または約75〜85% DMSO、およびその重複範囲を含む。カプセル剤、ゲルキャップ剤、散剤、および発泡剤についてのいくつかの態様は、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、および9% DMSOを含む、約0.01〜10% DMSOを含む。ゲル剤、ローション剤、およびクリーム剤についてのいくつかの態様は、DMSOを30%〜90%、例えば、約45〜55%の濃度で含む。
【0104】
いくつかの態様において、DMSOおよびMSM(および任意で他の成分)を含む固体製剤中のMSMの量は、約0.01重量%〜約70重量%の範囲にある。他の態様において、製剤は、約0.01重量%〜10重量% MSMを含む。他の態様は、約10〜20% MSM、約20〜30% MSM、約30〜40% MSM、約40〜50% MSM、約50〜60% MSM、または60、61、62、63、64、65、66、67、68、69および70% MSM、およびその重複範囲を含む、約60〜70% MSMを含む。さらに他の態様は、約7〜15% MSM、約15〜25% MSM、約25〜35% MSM、約35〜45% MSM、約55〜60% MSM、約60〜65% MSM、または約65〜70% MSM、およびその重複範囲を含む製剤を含む。カプセル剤、ゲルキャップ剤、散剤、および発泡剤についてのある態様は、91、92、93、94、95、96、97、および98% MSMを含む、約90〜99% MSMを含む。ゲル剤、ローション剤、およびクリーム剤についてのいくつかの態様は、約5〜15% MSMを含む。
【0105】
ある態様において、固体製剤はコーティングされていない。他の態様において、固体製剤は、コーティングで覆われている。ある態様において、コーティングは、徐放効果(例えば、持続放出、持続作用、延長放出、制御放出、または連続放出)を提供する。コーティングは、ある態様において、固体製剤を消費した後、チョークまたは医薬の味が残らないように、フレーバー添加剤を組み込む。本明細書において使用される場合、「固体」は、その通常の意味を与えられ、半固体、ゲル、粘着性溶液、および液相でも気相でもない他の化合物をさらに指す。固化DMSOは、単独でまたはMSMと組み合わせて、経口用カプセル剤、ゲルキャップ剤、錠剤、散剤、および発泡剤、または局所用ゲル剤、ローション剤、およびクリーム剤の形態で提供され得る。他の形態もまた製造され得る。本明細書において使用される場合、「化合物」は、その通常の意味を与えられ、分子、成分、原子、物質および元素を含むが、これらに限定されない。
【0106】
ある態様において、1つまたはそれ以上の追加の薬剤が、DMSO/MSM組み合わせへ添加される。ある態様において、鎮痛薬および抗炎症薬を含むがこれらに限定されない医薬品が、DMSO/MSM組み合わせと共に用いられる。ある態様において、抗菌薬、例えば、ペニシリンおよび抗生物質が、DMSO/MSM組み合わせと共に用いられ得る。ある態様において、ビタミンおよびサプリメントが添加される。
【0107】
いくつかの態様において、特に、マイクロカプセル化剤(例えば、Dritex-Sフレークコーティング)、二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムを含む、1つまたはそれ以上の不活性成分を任意で含む、個々にまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む固体製剤が提供される。いくつかの態様において、単独でまたは組み合わせて、MSMおよびDMSOを含む固体製剤は、例えば、送達、生物活性、吸収、徐放、および/または嗜好性を促進するために、カプセル化される。いくつかの態様において、カプセル化されていない散剤は、送達、生物活性、吸収、徐放、および/または嗜好性を促進する。
【実施例】
【0108】
実施例
本発明の範囲内のある態様をさらに説明するために、下記の実施例を提供する。実施例はいずれの態様の限定としても解釈されず、何故ならば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、多数の修飾および変更が可能であるためである。
【0109】
実施例1
局所製剤中のMSMの吸収は承認された安全レベル内である
およそ17%のDMSOが体内でMSMへ代謝される。DMSOは、(他の機能の中でも特に)浸透促進剤として機能することが確立されている。この研究は、MSMが2つの濃度のDMSOのうちの一方と組み合わせて局所適用された場合の、MSMの循環濃度を調べた。研究によれば、ある態様において、局所適用された場合、MSMは薬理学的有効成分ではない。むしろ、ある態様において、局所MSMは、DMSOの1つまたはそれ以上の副作用を減らすようにDMSOと相乗的に作用する。従って、より高濃度のDMSO(これは、そうでなければ、望ましくない副作用のために禁止されるであろう)が、被験体を治療するために使用され得る。
【0110】
皮膚吸収研究についての容認された動物モデルである、New Zealand白ウサギを使用し、MSMの吸収および得られた血中濃度を評価した。ウサギをCharles River Canada (Saint-Constant, Quebec)から得た。5匹の雄性ウサギ、12〜13週齢(2.6kg〜2.7kgの範囲の体重)を、皮膚吸収研究のために使用した。ラット、ブタまたはヒトと比較してより高い皮膚浸透性のために、ウサギを使用した。従って、ウサギについての試験は、ヒト使用のための局所用製品の安全性についてのより保守的なアプローチである。ウサギのサイズは、2週間の期間内で6 mL/kg体重を超える血液を収集することの倫理的な制約に基づいた。この研究の間に採取された血液の総体積は、1日で10mLであった。1群当たり1匹の動物を使用し、必要とされる動物の数を最小限にした。動物を12時間の明/暗サイクルでステンレス鋼ケージ中に個々に収容した。動物の室内環境を毎日モニタリングした(標的範囲:18〜26℃および相対湿度25〜50%)。1時間当たり室内空気のおよそ15〜17回の交換を提供するために十分な速度で、新鮮な空気を室内へ供給した。臨床観察を全ての動物について行い、動物が投薬前に健康であることを確実にした。罹患および死亡観察もまた、研究期間の間に行った。
【0111】
処置群は表1に示される通りであった:
【表1】
【0112】
実験の1日前に、バリカンを使用して、各ウサギの臀部を念入りに刈った。6 cm2の領域を測定し、印を付け、種々の組成物の適用における等価性を確実にした。テスト領域の中央へ各組成物0.5mLをピペットで移すことによって、各プロダクトを適用し、全テスト領域を覆うように広げた。5分間の曝露期間後、テスト領域を拭き、リンスし、乾燥させることによって、組成物を除去した。
【0113】
血液収集前に、右の後脚の筋肉への筋肉内注射によって動物をアセプロマジン(1 mg/kg)で鎮静させ、その後、EMLAクリーム剤(リドカイン/プリロカイン)を耳動脈に沿って両耳へ適用した。耳動脈への21G針(ハブ除去)の挿入によって、血液を収集した。およそ2mLの全血を、K2EDTAを含有する4mLバキュテイナー(商標)チューブ(Becton Dickinson, Mississauga, ON)中へ収集した。チューブを逆さにし、抗凝血剤と混合し、血漿を遠心分離によって分離するまで冷蔵保存した。10分間3000 x gで遠心分離することによって、全血から血漿を分離した。MSM分析のためにさらに処理するまで、血漿をクライオバイアル中に収集し、移し、-70℃で保存した。
【0114】
種々のテストプロダクト(表1を参照のこと)への5分間の曝露期間に続いて、血液を10分、30分、2時間および8時間後に収集した。2および8時間の血液収集前に、EMLAクリーム剤の麻酔効果はおよそ1・2時間持続するので(これらの採血の各々のおよそ30分前に)、EMLAクリーム剤を耳へ適用した。倫理的な考慮のために、およびこのプロジェクトに使用した動物の幸福を提供するために、EMLAクリーム剤およびアセプロマジンの両方を使用した。
【0115】
血漿中のMSMの濃度を、確立された方法に基づいてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)によって定量化した。簡潔には、血漿サンプル450μLを生理的食塩水50μLと混合し、30秒間ボルテックスした。これに続いて、アセトニトリル1 mL(Fisher, HPLC等級)を混合物へ添加した。溶液を60秒間激しくボルテックスし、5分間2000 rpmで遠心分離した。透明な上澄み1μLをGC/MSシステム(GC/MS QP20108 EI, Shimadzu, Kyoto, Japan)へ導入した。8himadzu SHR5XLBカラム(0.25mm ID X 長さ30m, フィルム0.25um, Kyoto, Japan)において分析を行った。MSMの保持時間は6.1〜6.3分であった。MSMをMSで検出し、MSMイオンSIMプロフィールをモニタリングするためにm/z 79 (M+-15)を使用した。ヘリウムガスを担体ガスとして使用し、ヘッド圧力は0.25kg/cm2であり、メークアップガスは30 ml/分であり、カラム温度は80℃、インジェクター温度は120℃、セパレーター温度は200℃、イオン源温度は250℃であった。イオン化エネルギーは70eVであった。下記の濃度でアセトニトリル中に溶解されたMSMを用いて、外部標準グラフを作成した:62.5μg/ml、31.3μg/ml、15.6μg/ml、7.8μg/ml、3.9μg/ml、1.9μg/ml、0.98μg/mlおよび0.49μg/ml。血漿サンプル中のMSM濃度を標準曲線の傾きから計算した。最も適合したグラフは線形であり、R2値は0.998であった。
【0116】
全ての動物を実験の開始前に観察し、全てが健康を示した。実験の間および実験の後に、全ての動物が健康を示した。罹患、死亡および傷害を1日2回評価した。動物は、罹患、死亡または傷害をいずれも示さなかった。
【0117】
吸収研究の結果を表2に要約し、図1および2に図示する。MSMのベースライン血漿濃度(テスト物品への曝露前)は、4.2μg/mL〜104.2μg/mLの範囲であった(図1を参照のこと)。ベースラインの変動は、以前の研究において確立された自然MSM濃度の変動の正常範囲内である。種々のテスト物品への曝露に続いて、測定されたMSMの最も高い血漿濃度は、およそ140μg/mL以下であった(図1を参照のこと)。このピーク濃度は、10% MSM + 70% DMSO + 20%水への曝露から生じる。ベースラインMSM濃度の自然変動について修正した場合、血漿MSMの最大の変化は、70% DMSO + 30%水の群において検出された。これらのデータは、吸収またはDMSOの代謝のいずれかに起因するMSMの変動が、MSM濃度の自然範囲内であることを示唆している。
【0118】
従って、いくつかの態様において、MSMは、鎮痛機能に関して、局所適用において不活性成分である。しかし、本明細書において議論されるように、MSMは、いくつかの有利な効果を提供する。いくつかの態様において、MSMは、DMSOと通常関連する副作用(皮膚影響、臭気など)を減らすように機能する。いくつかの態様において、MSMは皮膚軟化薬として機能し、これはまた、DMSOによる皮膚の刺激を減らすのに役立つ可能性がある。従って、本明細書に記載の局所製剤態様におけるMSMとDMSOとの組み合わせは、通常の一連のDMSO関連副作用無しに、変形性関節症の1つまたはそれ以上の症状を減らすように機能する濃度のDMSOの使用を可能にする。従って、ある態様において、MSMの存在は、有利なことに、副作用なしでの、より高い(およびより効果的な)濃度のDMSOの予想外の使用を可能にする。
【0119】
【表2】
【0120】
多数の様々な修飾が本発明の態様の精神から逸脱することなく行われ得ることが、当業者によって理解される。本明細書に記載の方法工程は、記載される順序で行われる必要はない。本明細書に開示される態様は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するようには意図されないことが、明確に理解されるべきである。
図1
図2