特許第5947745号(P5947745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5947745
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】建設機械用油圧作動油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 163/00 20060101AFI20160623BHJP
   C10M 167/00 20060101ALI20160623BHJP
   C10M 137/10 20060101ALN20160623BHJP
   C10M 159/22 20060101ALN20160623BHJP
   C10M 129/04 20060101ALN20160623BHJP
   C10M 145/14 20060101ALN20160623BHJP
   C10N 10/04 20060101ALN20160623BHJP
   C10N 20/00 20060101ALN20160623BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20160623BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20160623BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20160623BHJP
   C10N 30/08 20060101ALN20160623BHJP
   C10N 30/10 20060101ALN20160623BHJP
   C10N 40/08 20060101ALN20160623BHJP
【FI】
   C10M163/00
   C10M167/00
   !C10M137/10 A
   !C10M159/22
   !C10M129/04
   !C10M145/14
   C10N10:04
   C10N20:00 Z
   C10N20:02
   C10N20:04
   C10N30:06
   C10N30:08
   C10N30:10
   C10N40:08
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-100219(P2013-100219)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2014-218625(P2014-218625A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2015年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】398053147
【氏名又は名称】コスモ石油ルブリカンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098682
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 賢次
(74)【代理人】
【識別番号】100131255
【弁理士】
【氏名又は名称】阪田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100125324
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 健
(72)【発明者】
【氏名】平塚 孝嗣
(72)【発明者】
【氏名】野邑 武史
(72)【発明者】
【氏名】福井 文夫
【審査官】 馬籠 朋広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−277712(JP,A)
【文献】 特開平05−311187(JP,A)
【文献】 特開2005−343976(JP,A)
【文献】 特開平11−199888(JP,A)
【文献】 特開2008−231189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基油、
(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛を0.01〜0.8質量%、
(c)塩基性カルシウムサリシレートを0.03〜1質量%、
(d)N原子又はO原子を含有しP原子を含有しない無灰系摩擦調整剤を50〜5000質量ppm、
を含有し、
亜鉛の原子換算の含有量が100〜500質量ppmであること、
を特徴とする建設機械用油圧作動油組成物。
【請求項2】
前記(a)が、%CAが5%以下の基油であり、前記(b)が、アルキル基の炭素数が3〜18のプライマリージアルキルジチオリン酸亜鉛であり、且つ、前記(d)が、水酸基を有する無灰系摩擦調整剤であることを特徴とする請求項1記載の建設機械用油圧作動油組成物。
【請求項3】
更に、(e)重量平均分子量が2万〜15万のポリ(メタ)アクリレートを0.1〜7質量%含有することを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の建設機械用油圧作動油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐摩耗性、熱・酸化安定性に優れ、低摩擦係数を有する建設機械用油圧作動油組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル、ブルドーザ、ホイールローダ、クレーン等の建設機械に搭載されている油圧機器は、他の定置型の産業油圧機器、例えばプレス機や射出成型機とは異なり、高圧、高温、高速、高荷重での稼働が要求されるため、油圧作動油にとっては過酷な条件で使用される事が多い。そのような状況下、建設機械用油圧作動油に対しては、高圧、高温、高速、高荷重下で長時間に渡って使用しても油圧機器の性能を損なわないよう、充分な耐摩耗性、熱酸化安定性が求められている。
【0003】
そして、従来、このような建設機械用油圧作動油には、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(以下、ZnDTPということがある。)を配合した亜鉛系耐摩耗性油圧作動油が使用されてきた。
【0004】
ところが、射出成型機やプレス機などの油圧機器は、油温60℃付近で使用される事が多いのに対し、建設機械は、油温が80℃〜100℃付近で使用されるため、ZnDTP自体が熱酸化による劣化や、水が混入した際の加水分解を受け易くなるので、ZnDTPが、スラッジの原因となり易い。そのため、ZnDTPを配合した耐摩耗性油圧作動油には、熱酸化を受けた時にスラッジを発生させる懸念があった。
【0005】
そこで、1990年代から、ZnDTPの代わりに、リン系や硫黄系の耐摩耗剤や無灰系の酸化防止剤を配合した、スラッジレスの非亜鉛系耐摩耗性油圧作動油も開発され(特許文献1)、使用されている。しかしながら、作動油の使用条件が過酷であるために2000hから10000hでオイル交換が必要となる建設機械においては、これらの非亜鉛系油圧作動油は市販価格が亜鉛系に比較して高価であった。
【0006】
そのため、現在でも、建設機械用油圧作動油においては、コストを低く抑える事ができる亜鉛系耐摩耗性油圧作動油が需要の大半を占めており、スラッジの発生を低減できる亜鉛系耐摩耗性油圧作動油が求められている。そして、亜鉛系耐摩耗性油圧作動油において、スラッジを低減させる手法としては、ZnDTPの配合量を減らし、亜リン酸エステルを配合することで、作動油の亜鉛量を500質量ppmまで低減させたものがある(特許文献2)。
【0007】
一方で、一般に油圧作動油には、油圧機器の機械効率を向上させるため、ポンプやアクチュエーター内部の摺動部の鋼−鋼間の摩擦低減や、油圧シリンダーとシール材におけるビビリ防止のために鋼−ゴム間の摩擦低減が求められる場合も多い。そのような場合、ZnDTPは摩擦係数を上げる方向に働く事が多いため、ZnDTPを使用しない非亜鉛系油圧作動油に油性剤を配合した油圧作動油も開発されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−323365号
【特許文献2】特許第3734887号
【特許文献3】特開2005−307197号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、亜鉛系油圧作動油において、亜鉛量を減らし過ぎると、長期において使用した場合、耐摩耗性が劣るという問題があった。
【0010】
また、特許文献3のように、摩擦調整剤を配合すると、亜鉛系か非亜鉛系かに関わらず耐摩耗剤との競争吸着を起こす場合もあり、ポンプ試験での耐摩耗性が劣る場合もあった。また、建設機械に搭載される油圧機器として、走行用油圧モータや旋回用油圧モータなどに使用される湿式ブレーキが含まれる場合もあり、摩擦調整剤の配合により油圧作動油の摩擦係数を過度に低下させると、ブレーキ性能が低下するおそれもあった。
【0011】
更に、建設機械用油圧作動油の場合、油圧シリンダー等の始動時や停止直前のスムーズな動きを確保するためには低摩擦係数であることが好ましいが、その一方で走行用油圧モータや旋回用油圧モータに使用される湿式ブレーキによるブレーキ性能を阻害しないよう、静止摩擦係数が適度に高いことも求められる。
【0012】
従って、本発明の目的は、亜鉛系でありながら、高温及び高圧の条件下でも耐摩耗性及びスラッジ発生抑制性に優れ、更に、油圧シリンダー等の始動時や停止直前のスムーズな動きを確保できる程度に低摩擦係数であり、且つ、湿式ブレーキによるブレーキ性能を阻害しない程度に静止摩擦係数が高い建設機械用の油圧作動油組成物を提供することにある。
【0013】
なお、油圧シリンダー等の始動時や停止直前のスムーズな動きを確保できる程度に摩擦係数が低いこと及び湿式ブレーキによるブレーキ性能を阻害しない程度に静止摩擦係数が高いことは、具体的には、SAE No.2試験機により把握され、スムーズな動きを確保できる程度に摩擦係数が低いことは、「静止直前の動摩擦係数」/「動摩擦係数」の比(μ0/μd)の値が適度に低いことで判断され、また、湿式ブレーキによるブレーキ性能を阻害しない程度に静止摩擦係数が高いことは、静止摩擦係数(μs)が適度に高いことで判断される。
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、基油に特定量のジアルキルジチオリン酸亜鉛、塩基性カルシウムサリシレート、無灰系摩擦調整剤を配合し、更に組成物中の亜鉛量を特定量になるようにジアルキルジチオリン酸亜鉛の配合量を調節することで、充分な耐摩耗性を有し、スラッジ発生抑制性に優れ、油圧シリンダー等の始動時や停止直前のスムーズな動きを確保できる程度に低摩擦係数であり、且つ、湿式ブレーキによるブレーキ性能を阻害しない程度に静止摩擦係数が高い建設機械用の油圧作動油組成物を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明(1)は、(a)基油、
(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛を0.01〜0.8質量%、
(c)塩基性カルシウムサリシレートを0.03〜1質量%、
(d)N原子又はO原子を含有しP原子を含有しない無灰系摩擦調整剤を50〜5000質量ppm、
を含有し、
亜鉛の原子換算の含有量が100〜500質量ppmであること、
を特徴とする建設機械用油圧作動油組成物を提供するものである。
【0016】
また、本発明(2)は、前記(a)が、%CAが5%以下の基油であり、前記(b)が、アルキル基の炭素数が3〜18のプライマリージアルキルジチオリン酸亜鉛であり、且つ、前記(d)が、水酸基を有する無灰系摩擦調整剤であることを特徴とする(1)の建設機械用油圧作動油組成物を提供するものである。
【0017】
また、本発明(3)は、更に、(e)重量平均分子量が2万〜15万のポリ(メタ)アクリレートを0.1〜7質量%含有することを特徴とする(1)又は(2)いずれかの建設機械用油圧作動油組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、亜鉛系でありながら、高温及び高圧の条件下でも耐摩耗性及びスラッジ発生抑制性に優れ、更に、油圧シリンダー等の始動時や停止直前のスムーズな動きを確保できる程度に低摩擦係数であり、且つ、湿式ブレーキによるブレーキ性能を阻害しない程度に静止摩擦係数が高い建設機械用の油圧作動油組成物を提供することができる。よって、本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、建設機械用の油圧作動油として好適に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、(a)基油、
(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛を0.01〜0.8質量%、
(c)塩基性カルシウムサリシレートを0.03〜1質量%、
(d)N原子又はO原子を含有しP原子を含有しない無灰系摩擦調整剤を50〜5000質量ppm、
を含有し、
亜鉛の原子換算の含有量が100〜500質量ppmであること、
を特徴とする建設機械用油圧作動油組成物である。
【0020】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物に係る(a)基油は、建設機械用油圧作動油組成物のうちの基油部分を指し、1種の鉱油系の基油成分からなる基油、2種以上の鉱油系の基油成分からなる混合基油、1種の合成基油成分からなる基油、2種以上の合成基油成分からなる混合基油、又は1種以上の鉱油系の基油成分と1種以上の合成基油成分とからなる混合基油である。(a)基油としては、通常油圧作動油として用いられる基油であれば、特に制限されない。(a)基油のJIS K 2283「動粘度試験方法」により測定される40℃における動粘度は、好ましくは15〜110mm/s、特に好ましくは20〜90mm/s、より好ましくは25〜75mm/sである。なお、本発明において、(a)基油の動粘度とは、2種以上の異なる基油成分を混合した場合には、混合後の混合基油の動粘度を指す。(a)基油の40℃動粘度が上記範囲であることにより、耐荷重能を確保し易く、ポンプの容積効率の低下を抑制し易く、10MPa以上の高圧用油圧機器に用いる場合でも油膜を保持し易く、耐摩耗性への影響を抑制し易く、且つ、油圧機器の機械効率を適切な範囲に維持することができる。
【0021】
(a)基油のASTM D3238「n−d−m環分析法」における%CPは、好ましくは55〜92、特に好ましくは60〜90、より好ましくは72〜90であり、%CNは、好ましくは10〜40、特に好ましくは12〜35、より好ましくは14〜30であり、%CAは、好ましくは10以下、特に好ましは5以下、より好ましくは2以下である。(a)基油の%CP、%CN及び%CAが上記範囲であることにより、熱酸化安定性が高くなる。また、(a)基油の%CP及び%CNが上記範囲にあることにより、(d)無灰系摩擦調整剤や(e)ポリ(メタ)アクリレートをはじめとする各種添加剤の溶解性を確保し易くなる。
【0022】
(a)基油の粘度指数は、好ましくは100以上、特に好ましくは110以上、より好ましくは120以上である。(a)基油の粘度指数が上記範囲であることにより、基油の精製度が高くなり、熱酸化安定性が高くなる。また、組成物としたときに高粘度指数を確保し易く、低温時の粘度上昇による機械効率低下や高温時の低粘度化による油膜切れを防止しやすくなる。さらに、粘度指数向上剤を配合して粘度指数135以上の高粘度指数型の建設機械用油圧作動油とする場合に、粘度指数向上剤の添加量を抑える事ができるので、組成物のせん断安定性を高くすることができる。
【0023】
(a)基油のJIS K 2256「アニリン点試験方法」により測定されるアニリン点は、好ましくは95〜140℃、特に好ましくは100〜130℃である。(a)基油のアニリン点が上記範囲であることにより、基油の精製度が高くなり、熱酸化安定性が高くなり、また、添加剤の溶解性を確保し易く、また、シール材料適合性も確保し易くなる。
【0024】
(a)基油を構成する基油成分としては、特に制限されず、鉱油系基油成分であっても、合成系基油成分であってもよい。
鉱油系基油成分としては、溶剤精製鉱油、水素化精製鉱油、水素化分解鉱油などが挙げられる。そのうち、基油成分としては、水素化精製鉱油、水素化分解鉱油が好ましい。水素化精製鉱油、水素化分解鉱油の製造方法は、特に限定されないが、好ましい製造方法としては、以下の方法が挙げられる。水素化精製鉱油の好ましい製造方法としては、常圧蒸留により得られた残さ油を減圧蒸留したのち、潤滑油留分として得られた留分を溶剤抽出し、水素化精製と溶剤脱ろうする方法が挙げられ、その後、更に2回目の水素化精製を行う方法が挙げられる。水素化分解鉱油の好ましい製造方法としては、まず、原油の常圧蒸留で得られた残さ油を減圧蒸留装置で処理し、そこで得られた減圧軽油を水素化処理及び水素化分解を行い、その後、軽質分、燃料分を減圧ストリッパーで除去した残渣物を得、この残渣物を減圧蒸留し、得られた潤滑油留分を水素化脱ロウ処理又はワックス異性化処理し、安定化処理を行う方法が挙げられ、その際、ワックス異性化により高粘度指数化させる方法がより好ましい方法として挙げられる。さらに、上記水素化分解処理工程と水素化異性化処理工程を含む方法では、原料として溶剤脱ロウによるスラックワックスを用いる方法も挙げられる。
合成系基油成分としては、フィッシャー・トロプシュ合成で得られたワックス等の原料を水素化分解処理及び水素化異性化処理して得た基油、ポリαオレフィン等の炭化水素系合基油、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等の芳香族系合成油、エステル油、アルキル化フェニルエーテル油、ポリアルキレングリコール類等の合成系基油が挙げられる。ポリαオレフィンの好適な製造方法としては、エチレンの低重合又はワックスの熱分解によって炭素数6〜18のα−オレフィンを合成し、このα−オレフィン2〜9単位を重合し、水添反応を行う方法が挙げられる。
【0025】
エステル油の好適な例としては、1価アルコールとジカルボン酸とから製造されるジエステル、ポリオールとモノカルボン酸とから製造されるポリオールエステル、またはポリオール、モノカルボン酸、ポリカルボン酸とから製造されるコンプレックスエステル等が挙げられる。ジエステルとしては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の二塩基酸のエステルが挙げられる。二塩基酸としては、炭素数4〜36の脂肪族二塩基酸が好ましい。エステル部を構成するアルコール残基は、炭素数4〜26の一価アルコール残基が好ましい。また、ポリオールエステルやコンプレックスエステルに用いられるポリオールとしては、具体的には、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール等のβ水素を持たないヒンダードアルコールが好適に用いられる。また、ポリオールエステルやコンプレックスエステルに用いられるモノカルボン酸としては、ヤシ脂肪酸、ステアリン酸などの直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸などの直鎖不飽和脂肪酸、イソステアリン酸などの分岐脂肪酸等が好適に用いられ、ポリカルボン酸としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの直鎖飽和ポリカルボン酸が好適に用いられる。また、アルキル化フェニルエーテル油の好適な例としては、アルキル化ジフェニルエーテルや、(アルキル化)ポリフェニルエーテルなどが挙げられる。また、ポリアルキレングリコール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、またはエチレンオキサイド-プロピレンオキサイドコポリマー、プロピレンオキサイド-ブチレンオキサイドコポリマー、及びこれらの誘導体が挙げられる。
なお、(a)基油に用いる基油成分として、溶剤脱ロウによるスラックワックスやフィッシャー・トロプシュ合成で得られたワックス等の原料から得られる水素化異性化基油や、芳香族系炭化水素油を用いる場合には、%CP及び%CNを適切な範囲に調整するために溶剤精製鉱油、水素化精製鉱油、水素化分解鉱油などを混合して用いることがより好ましい。
【0026】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物中、(a)基油(基油部分)の含有量は、建設機械用油圧作動油組成物全量に対して、好ましくは85〜98質量%、特に好ましくは87〜99質量%、より好ましくは90〜99.5質量%である。
【0027】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有する。(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、一般式(1)で表される構造を有する化合物である。R〜Rは、酸素原子に隣接する炭素原子が1級(プライマリ−)タイプ又は2級(セカンダリー)タイプのアルキル基であり、炭素数が3〜18であり、同一でも異なっても良く、直鎖でも分岐していても良い。(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛としては、プライマリータイプであり、炭素数が6〜12であるものが好ましく、分岐しているものが特に好ましい。(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0028】
一般式(1):
【0029】
【化1】
【0030】
(式(1)中、R〜Rは炭素数3〜18の炭化水素基である。)
【0031】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物中、(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は、建設機械用油圧作動油組成物全量に対して、0.01〜0.8質量%、好ましくは0.05〜0.6質量%、特に好ましくは0.1〜0.5質量%、より好ましくは0.2〜0.35質量%である。(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が、上記範囲未満だと、ジアルキルジチオリン酸亜鉛による耐摩耗性や過酸化物分解作用が十分に得られず、また、上記範囲を超えると、スラッジ発生抑制が劣る場合があり、また、配合量に見合った効果の向上が期待できない。
【0032】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物中、亜鉛の原子換算の含有量は、建設機械用油圧作動油組成物全量に対して、100〜500質量ppm、好ましくは200〜450質量ppm、特に好ましくは250〜400質量ppm、より好ましくは300〜380質量ppmである。亜鉛の原子換算の含有量が、上記範囲未満だと、耐摩耗性に劣る場合があり、また、上記範囲を超えると、スラッジ発生抑制性が劣る場合がある。
【0033】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、(c)塩基性カルシウムサリシレートを含有する。(c)塩基性カルシウムサリシレートの過塩素酸法による塩基価は、好ましくは100〜400mgKOH/g、特に好ましくは150〜350mgKOH/gである。(c)塩基性カルシウムサリシレート中のカルシウムの原子換算の含有量は、好ましくは4〜15質量%、特に好ましくは6〜12質量%である。(c)塩基性カルシウムサリシレートは、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。本発明の建設機械用油圧作動油組成物中、(c)塩基性カルシウムサリシレートの含有量は、建設機械用油圧作動油組成物全量に対して、0.03〜1質量%、好ましくは0.05〜0.8質量%、特に好ましくは0.1〜0.5質量%、より好ましくは0.15〜0.3質量%である。(c)塩基性カルシウムサリシレートの含有量が、上記範囲未満だと、塩基性カルシウムサリシレートによるスラッジ抑制性が十分に得られず、また、上記範囲を超えると、抗乳化性が劣る場合があり、また、配合量に見合った効果の向上が期待できない。また、本発明の建設機械用油圧作動油組成物中、カルシウムの原子換算の含有量は、建設機械用油圧作動油組成物全量に対して、好ましくは0.002〜0.05質量%、特に好ましくは0.005〜0.03質量%である。
【0034】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、(d)無灰系摩擦調整剤を含有する。(d)無灰系摩擦調整剤は、N原子又はO原子を含有しP原子を含有しない無灰系摩擦調整剤である。(d)無灰系摩擦調整剤は、P原子を含有しない無灰系摩擦調整剤であるので、(d)無灰系摩擦調整剤には、酸性リン酸エステル類及びそのアミン塩類等のリン系の無灰系摩擦調整剤は、含まれない。(d)無灰系摩擦調整剤としては、C、H、N及びOから選ばれる元素のみを構成元素として有する無灰系摩擦調整剤が好ましく、C、H及びOのみを構成元素として有する無灰系摩擦調整剤が好ましい。そして、(d)無灰系摩擦調整剤としては、水酸基を有する無灰系摩擦調整剤、カルボキシル基を有する無灰系摩擦調整剤、アミド基を有する無灰系摩擦調整剤が好ましく、適度に低い摩擦係数(μ0/μd)を付与しつつも、湿式ブレーキの性能に適した高い静摩擦係数(μs)を付与し易いという点で、水酸基を有する無灰系摩擦調整剤が特に好ましく、水酸基を2つ以上有する無灰系摩擦調整剤がより好ましく、多価アルコールハーフエステルが更に好ましい。
【0035】
(d)無灰系摩擦調整剤に係る水酸基を有する無灰系摩擦調整剤としては、多価アルコール、多価アルコールハーフエステル、水酸基含有脂肪酸、多価アルコールの重合物、多価アルコールハーフエステルの重合物、水酸基含有脂肪酸の重合物、水酸基含有ポリグリコール等が挙げられ、多価アルコールハーフエステルが好ましい。水酸基を有する無灰系摩擦調整剤に係る多価アルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。水酸基を有する無灰系摩擦調整剤に係る多価アルコールハーフエステルとしては、グリセリンのモノエステル又はジエステル、ペンタエリスリトールのモノエステル、ジエステル又はトリエステル、トリメチロールプロパンのモノエステル又はジエステル等が挙げられ、グリセリンのモノエステル又はジエステルが好ましく、グリセリンの脂肪酸モノエステルが特に好ましい。多価アルコールとエステルを形成する脂肪酸は、特に制限はないが、炭素数が6〜28の脂肪酸が好ましく、基油への溶解性が高い点で炭素数12〜24の脂肪酸が特に好ましい。また、多価アルコールとエステルを形成する脂肪酸のカルボキシル基の数は、2(2価、ジカルボン酸)又は1(1価、モノカルボン酸)が好ましく、1(1価)が特に好ましい。また、多価アルコールとエステルを形成する脂肪酸の脂肪族炭化水素基は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、直鎖が好ましい。また、多価アルコールとエステルを形成する脂肪酸の脂肪族炭化水素基は、飽和型でも不飽和型でもよいが、不飽和型が好ましく、不飽和基が炭素−炭素二重結合であるものが特に好ましい。多価アルコールとエステルを形成する脂肪酸の脂肪族炭化水素基が炭素−炭素二重結合の場合、炭素−炭素二重結合の数は、1〜4個が好ましく、1〜2個が特に好ましく、1個がより好ましい。多価アルコールとエステルを形成する脂肪酸としては、飽和型の場合は、(イソ)カプロン酸、(イソ)カプリル酸、(イソ)カプリン酸、(イソ)ウンデカン酸、(イソ)ラウリン酸、(イソ)トリデシル酸、(イソ)ミリスチン酸、(イソ)ペンタデシル酸、(イソ)パルミチン酸、(イソ)マルガリン酸、(イソ)ステアリン酸、(イソ)ノナデシル酸、(イソ)アラキジン酸、(イソ)ベヘン酸、(イソ)リグノセリン酸、(イソ)セロチン酸、(イソ)モンタン酸等が挙げられ、また、不飽和型の場合は、(イソ)β―プロピルアクリル酸、(イソ)カプロレイン酸、(イソ)ウンデシレン酸、(イソ)ラウロレイン酸、(イソ)リンデル酸、(イソ)ツズ酸、(イソ)ミリストレイン酸、(イソ)パルミトレイン酸、(イソ)ゾーマリン酸、(イソ)ペトロセリン酸、(イソ)ペトロセライジン酸、(イソ)オレイン酸、(イソ)エライジン酸、(イソ)バセニン酸、(イソ)コドイン酸、(イソ)ゴンドイン酸、(イソ)セトロレイン酸、(イソ)エルカ酸、(イソ)ブラシン酸、(イソ)セラコレイン酸等が挙げられる。水酸基を有する無灰系摩擦調整剤に係る水酸基含有脂肪酸は、分子中に水酸基を有する脂肪酸であり、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシオレイン酸等が挙げられる。
【0036】
(d)無灰系摩擦調整剤に係るカルボキシル基を有する無灰系摩擦調整剤としては、脂肪酸が挙げられる。カルボキシル基を有する無灰系摩擦調整剤に係る脂肪酸としては、炭素数が6〜28の脂肪酸が好ましく、基油への溶解性が高い点で炭素数が12〜24の脂肪酸が特に好ましい。カルボキシル基を有する無灰系摩擦調整剤に係る脂肪酸のカルボキシル基の数は、2(2価、ジカルボン酸)又は1(1価、モノカルボン酸)が好ましく、1(1価)が特に好ましい。また、カルボキシル基を有する無灰系摩擦調整剤に係る脂肪酸の脂肪族炭化水素基は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、直鎖が好ましい。また、カルボキシル基を有する無灰系摩擦調整剤に係る脂肪酸の脂肪族炭化水素基は、飽和型でも不飽和型でもよいが、不飽和型が好ましく、不飽和基が炭素−炭素二重結合であるものが特に好ましい。カルボキシル基を有する無灰系摩擦調整剤に係る脂肪酸の脂肪族炭化水素基が炭素−炭素二重結合の場合、炭素−炭素二重結合の数は、1〜4個が好ましく、1〜2個が特に好ましく、1個がより好ましい。カルボキシル基を有する無灰系摩擦調整剤に係る脂肪酸としては、飽和型の場合は、(イソ)カプロン酸、(イソ)カプリル酸、(イソ)カプリン酸、(イソ)ウンデカン酸、(イソ)ラウリン酸、(イソ)トリデシル酸、(イソ)ミリスチン酸、(イソ)ペンタデシル酸、(イソ)パルミチン酸、(イソ)マルガリン酸、(イソ)ステアリン酸、(イソ)ノナデシル酸、(イソ)アラキジン酸、(イソ)ベヘン酸、(イソ)リグノセリン酸、(イソ)セロチン酸、(イソ)モンタン酸等が挙げられ、また、不飽和型の場合は、(イソ)β−プロピルアクリル酸、(イソ)カプロレイン酸、(イソ)ウンデシレン酸、(イソ)ラウロレイン酸、(イソ)リンデル酸、(イソ)ツズ酸、(イソ)ミリストレイン酸、(イソ)パルミトレイン酸、(イソ)ゾーマリン酸、(イソ)ペトロセリン酸、(イソ)ペトロセライジン酸、(イソ)オレイン酸、(イソ)エライジン酸、(イソ)バセニン酸、(イソ)コドイン酸、(イソ)ゴンドイン酸、(イソ)セトロレイン酸、(イソ)エルカ酸、(イソ)ブラシン酸、(イソ)セラコレイン酸等が挙げられる。
【0037】
(d)無灰系摩擦調整剤に係るアミド基を有する無灰系摩擦調整剤としては、脂肪酸アミドが挙げられる。アミド基を有する無灰系摩擦調整剤に係る脂肪酸アミドとしては、炭素数が6〜40の脂肪酸アミドが好ましく、基油への溶解性が高い点で炭素数が12〜24の脂肪酸アミドが特に好ましい。また、アミド基を有する無灰系摩擦調整剤に係る脂肪酸アミドのアミド基の数は、2(2価、ビスアミド)又は1(1価、モノアミド)が好ましく、1(1価、モノアミド)が特に好ましい。アミド基を有する無灰系摩擦調整剤に係る脂肪酸モノアミドとしては、一般式(2)で表わされる化合物が好ましく、また、脂肪酸ビスアミドとしては一般式(3)で表される化合物が好ましい。
【0038】
一般式(2):
【0039】
【化2】
【0040】
(式(2)中、R5は炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基であり、R6は水素原子又は炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基である。)
【0041】
一般式(3):
【0042】
【化3】
【0043】
(式(3)中、R7及びR9は炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基であり、R8は炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の2価の脂肪族炭化水素基である。)
【0044】
一般式(2)において、R5は、炭素数6〜24の脂肪族炭化水素基であり、好ましく炭素数10〜22の脂肪族炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数16〜20の脂肪族炭化水素基である。R5は直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、直鎖であることが好ましい。また、R5は飽和型でも不飽和型でも良いが、不飽和型であることがより好ましく、不飽和型の場合には不飽和基は炭素−炭素二重結合が好ましい。R5が不飽和型の場合、炭素−炭素二重結合の数は、1〜4個が好ましく、1〜2個がより好ましく、1個が特に好ましい。R6は、水素原子又は炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基である。R6は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。R6は、好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0045】
一般式(2)において、R7及びR9は炭素数6〜24の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素数10〜22の脂肪族炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数16〜20の脂肪族炭化水素基である。R7及びR9は直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、直鎖であることが好ましい。また、R7及びR9は飽和型でも不飽和型でも良いが、不飽和型であることがより好ましく、不飽和型の場合には不飽和基は炭素−炭素二重結合が好ましい。さらに、R7及びR9は不飽和型の場合、炭素−炭素二重結合の数は、1〜4個が好ましく、1〜2個が特に好ましく、1個がより好ましい。R8は炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数2の2価の脂肪族炭化水素基である。R8は直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、直鎖であることがより好ましい。また、R8は飽和型でも不飽和型でも良いが、飽和型が好ましい。
【0046】
アミド基を有する無灰系摩擦調整剤に係る脂肪酸アミドとしては、エチレンビス−ステアリン酸アミド、エチレンビス−イソステアリン酸アミド、エチレンビス−オレイン酸アミド、エチレンビス−エルカ酸アミド等のビスアミド、(イソ)カプロン酸モノアミド、(イソ)カプリル酸モノアミド、(イソ)カプリン酸モノアミド、(イソ)ウンデカン酸モノアミド、(イソ)ラウリン酸モノアミド、(イソ)トリデシル酸モノアミド、(イソ)ミリスチン酸モノアミド、(イソ)ペンタデシル酸モノアミド、(イソ)パルミチン酸モノアミド、(イソ)マルガリン酸モノアミド、(イソ)ステアリン酸モノアミド、(イソ)ノナデシル酸モノアミド、(イソ)アラキジン酸モノアミド、(イソ)ベヘン酸モノアミド等の飽和脂肪酸モノアミド、(イソ)カプロレイン酸モノアミド、(イソ)ウンデシレン酸モノアミド、(イソ)ラウロレイン酸モノアミド、(イソ)リンデル酸モノアミド、(イソ)ツズ酸モノアミド、(イソ)ミリストレイン酸モノアミド、(イソ)パルミトレイン酸モノアミド、(イソ)ゾーマリン酸モノアミド、(イソ)ペトロセリン酸モノアミド、(イソ)ペトロセライジン酸モノアミド、(イソ)オレイン酸モノアミド、(イソ)エライジン酸モノアミド、(イソ)バセニン酸モノアミド、(イソ)コドイン酸モノアミド、(イソ)ゴンドイン酸モノアミド、(イソ)セトロレイン酸モノアミド、(イソ)エルカ酸モノアミド、等の不飽和脂肪酸モノアミド、N−メチル(イソ)ラウリン酸アミド、N−メチル(イソ)トリデシル酸アミド、N−メチル(イソ)ミリスチン酸アミド、N−メチル(イソ)ペンタデシル酸アミド、N−メチル(イソ)パルミチン酸アミド、N−メチル(イソ)マルガリン酸アミド、N−メチル(イソ)ステアリン酸アミド、N−メチル(イソ)ノナデシル酸アミド、N−メチル(イソ)アラキジン酸アミド、N−メチル(イソ)ベヘン酸アミド、N−メチル(イソ)ラウロレイン酸アミド、N−メチル(イソ)リンデル酸アミド、N−メチル(イソ)ツズ酸アミド、N−メチル(イソ)ミリストレイン酸アミド、N−メチル(イソ)パルミトレイン酸アミド、N−メチル(イソ)ゾーマリン酸アミド、N−メチル(イソ)ペトロセリン酸アミド、N−メチル(イソ)ペトロセライジン酸アミド、N−メチル(イソ)オレイン酸アミド、N−メチル(イソ)エライジン酸アミド、N−メチル(イソ)バセニン酸アミド、N−メチル(イソ)コドイン酸アミド、N−メチル(イソ)ゴンドイン酸アミド、N−メチル(イソ)セトロレイン酸アミド、N−メチル(イソ)エルカ酸アミド等のN−メチル脂肪酸アミド、(イソ)ステアリン酸(イソ)カプリルアミド、(イソ)ステアリン酸(イソ)ステアリルアミド、(イソ)ステアリン酸(イソ)オレイルアミド、(イソ)オレイン酸(イソ)カプリルアミド、(イソ)オレイン酸(イソ)ステアリルアミド、(イソ)オレイン酸(イソ)オレイルアミド等のN−アルキル脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0047】
(d)無灰系摩擦調整剤は、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0048】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物中、(d)無灰系摩擦調整剤の含有量は、建設機械用油圧作動油組成物全量に対して、50〜5000質量ppm、好ましくは100〜4000質量ppm、特に好ましくは150〜3000質量ppm、より好ましくは200〜2000質量ppmである。(d)無灰系摩擦調整剤の含有量が、上記範囲未満だと、無灰系摩擦調整剤による低い摩擦係数(μ0/μd)が得られず、また、上記範囲を超えると、スラッジ発生抑制性や抗乳化性が劣る場合があり、また、配合量に見合った効果の向上が期待できない。
【0049】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、粘度指数を高め、低温時における粘度上昇抑制と、高温時における油膜保持性を高めるために、更に(e)ポリ(メタ)アクリレートを含有することができる。(e)ポリ(メタ)クリレート(以下、PMAとも記載する。)としては、一般式(4)で表される化合物の中から選ばれる1種以上のモノマーを重合して得られる非分散型PMAや、一般式(4)で表される化合物の中から選ばれる1種以上のモノマーと、アクリル基以外の極性基をもつモノマーとを共重合して得られる分散型PMAが挙げられる。これらのPMAは、本発明の建設機械用油圧作動油組成物を製造する際には、予め基油(希釈油)に溶解させた粘度指数向上剤として添加される。非分散型PMAを主成分とした粘度指数向上剤を非分散型PMA系粘度指数向上剤と呼び、分散型PMAを主成分とした粘度指数向上剤を分散型PMA系粘度指数向上剤と呼び、本発明の建設機械用油圧作動油組成物の製造には、どちらも用いることができるが、非分散型PMA系粘度指数向上剤が好ましい。
【0050】
一般式(4):
【0051】
【化2】
【0052】
式(4)中、R10は水素原子又はメチル基を表し、同一であっても、異なっていてもよい。式(4)中のR11は炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。
【0053】
分散型PMAの共重合に用いられる極性基をもつモノマーとしては、アルキル−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール等の窒素原子含有化合物、ポリアルキレングリコールエステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル等のエステル類が挙げられる。極性基をもつモノマーは1種単独あっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0054】
(e)ポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、20,000〜150,000、好ましくは25,000〜120,000、特に好ましくは30,000〜80,000である。ポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、上記範囲未満だと、高粘度指数が得られ難く、また、上記範囲を超えると、せん断安定性が低くなる。なお、重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィーで測定され、ポリスチレン換算による値である。
【0055】
(e)ポリ(メタ)アクリレートの数平均分子量(Mn)は、好ましくは10,000〜80,000、特に好ましくは15,000〜60,000である。(e)ポリ(メタ)アクリレートの数平均分子量が、上記範囲未満だと、高粘度指数が得られ難く、また、上記範囲を超えると、せん断安定性が低くなる。なお、数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィーで測定され、ポリスチレン換算による値である。
【0056】
(e)ポリ(メタ)アクリレートのMw/Mnの比は、好ましくは1.0〜3.5、特に好ましくは1.5〜2.5である。
【0057】
(e)ポリ(メタ)アクリレートは、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。2種以上を組み合わせる場合には、それぞれの重量平均分子量及び数平均分子量が上記の範囲に入っていることが好ましい。
【0058】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物中、(e)ポリ(メタ)アクリレートの含有量は、建設機械用油圧作動油組成物全量に対して、好ましくは0.1〜7質量%、特に好ましくは0.2〜6質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。なお、(e)ポリ(メタ)アクリレートの含有量は、PMA、すなわち、有効成分の含有量を指し、PMAが希釈油で希釈されている場合には、希釈油を除いたPMAの含有量である。(e)ポリ(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲であることにより、建設機械用油圧作動油組成物の粘度指数が十分に高くなり、せん断安定性が良く、基油への溶解性が確保し易い。
【0059】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて(f)各種の添加剤を含有することができる。(f)各種の添加剤としては、酸化防止剤、極圧剤、耐摩耗剤、清浄分散剤、無灰系分散剤、さび止め剤、金属不活性化剤、抗乳化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤等が挙げられる。
【0060】
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、等の単環フェノール系酸化防止剤、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−エチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、6,6’−メチレンビス(2−ジ−t−ブチル―4―メチルフェノール)等のビスフェノール系酸化防止剤、4,4’チオビス−(2,6−ジ−t−ブチル−フェノール)、4,4’チオビス−(2−メチル−6−t−ブチル−フェノール)等の硫黄含有フェノール系酸化防止剤、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、アルキルホスファイト、アリールホスファイト類等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0061】
極圧剤としては、硫化オレフィン、ポリサルファイド、硫化油脂、ジチオリン酸誘導体等の硫黄系極圧剤、酸性リン酸エステルまたはそのアミン塩等のリン系極圧剤、ZnDTC等の有機金属系極圧剤が挙げられる。
【0062】
摩耗防止剤としては、リン酸エステル類及び亜リン酸エステル類が挙げられる。リン酸エステル類及び亜リン酸エステル類として具体的には、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリキシレニルホスファイト、その他のトリアリールホスファイト等が挙げられる。
【0063】
清浄分散剤としては、アルカリ土類金属系清浄分散剤で、塩基性もしくは中性のスルホネート、塩基性もしくは中性のフェネート等が挙げられ、具体的には、カルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、カルシウムフェネート、等が挙げられる。
【0064】
無灰系分散剤としては、無灰系分散剤としてはコハク酸イミド化合物が挙げられ、具体的にはポリブテニルビスコハク酸イミド及びそのホウ素変性化合物が挙げられる。
【0065】
さび止め剤としては、スルホネート金属塩やナフテン酸金属塩などの金属石けん、アルキルコハク酸誘導体、アルケニルコハク酸誘導体、ラノリン化合物、ソルビタンモノオレエートやペンタエリスリトールモノオレエートなどの界面活性剤、ワックスや酸化ワックス、ペトロラタム、N−オレイルザルコシン、ロジンアミン、ドデシルアミンやオクタデシルアミン等のアルキル化アミン系化合物、オレイン酸やステアリン酸等の脂肪酸、フォスファイト等のリン系化合物、等が用いられ、アルキルコハク酸誘導体、アルケニルコハク酸誘導体、界面活性剤、アルキル化アミン系化合物が好ましく用いられ、アルキルコハク酸誘導体、アルケニルコハク酸誘導体がさらに好ましい。
【0066】
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、インダゾール及びその誘導体、ベンズイミダゾール及びその誘導体、インドール及びその誘導体、チアジアゾール及びその誘導体、等が用いられ、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、チアジアゾール及びその誘導体が好ましく用いられる。
【0067】
流動点降下剤としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリブテン、ポリアルキルスチレン、ポリビニルアセテート、ポリアルキルアクリレート等が挙げられる。
【0068】
抗乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の抗乳化剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましく用いられる。具体的には、ポリアルキレングリコールが好ましく用いられる。このときのポリアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールをモノマーとし、これらをそれぞれ単独で重合させたホモポリマーや、それぞれを組み合わせて重合させたコポリマーが用いられ、ホモポリマーとコポリマーはそれぞれ単独で用いても良いし、組み合わせて用いても良いが、コポリマーが好ましく用いられ、エチレングリコールとプロピレングリコールを組み合わせて重合させたエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドコポリマ−が特に好ましく用いられる。
【0069】
粘度指数向上剤としては、ポリイソブチレンやオレフィンコポリマー等が挙げられる。
【0070】
消泡剤としては、ジメチルシリコーン、アルキル変性シリコーン、フェニル変性シリコーン、フッ素変性シリコーンなどのシリコーン系消泡剤や、ポリアクリレート系消泡剤等が挙げられる。
【0071】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物の40℃動粘度は、ISO VG10、15、22、32、46、68、100のいずれかに適合する範囲で、JIS K2283動粘度試験方法において、9.00〜110mm/sであることが好ましく、18〜100mm/sであることが特に好ましく、25〜75mm/sであることがより好ましく、30〜74.8mm/sであることが更に好ましい。
【0072】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物の粘度指数は、特に制限はないが、JIS K2283動粘度試験方法において、好ましくは105以上、特に好ましくは120以上、より好ましくは130以上である。粘度指数が上記範囲であることにより、低温時の流動性が向上し、高温時の油膜保持性が向上する。また、建設機械等、屋外で使用される油圧機器に用いられる場合は、幅広い温度範囲で使用されるので、粘度指数が高い方が好まれ、粘度指数が130以上であることが好ましい。
【0073】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、種々の建設機械用の油圧作動油に適用されるが、特に建設機械の油圧システムに用いられる油圧作動油として好ましい。すなわち、本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、クレーンやホイールローダ、油圧ショベル等の建設機械において、20MPa以上で使用されるような高圧になることで、耐摩耗性が必要な場合や油温が高くなる場合、オイルタンクが小さい事で油温が高温になる場合、主として屋外で使用される場合等に好ましく用いられる。更に、本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、油圧システムを構成する機器として湿式ブレーキを搭載する建設機械において、好ましく用いられる。
【0074】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、亜鉛系でありながら、高温及び高圧の条件下でも耐摩耗性及びスラッジ発生抑制性に優れ、更に、油圧シリンダー等の始動時や停止直前のスムーズな動きを確保できる程度に低摩擦係数であり、且つ、湿式ブレーキによるブレーキ性能を阻害しない程度に静止摩擦係数が高い。
【実施例】
【0075】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。各実施例、比較例において油圧作動油組成物の調製に用いた基油、添加剤成分は次のとおりである。
(a)基油
・基油成分A、B:共に水素化分解鉱油で、表1に表す性状を有する、APIグループIII基油。
・基油成分C:水素化精製鉱油で、表1に表す性状を有する、APIグループI基油。
・基油成分D、E:共に水素化精製鉱油で、表1に表す性状を有する、APIグループII相当基油。
(b)〜(f)添加剤
(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛:炭素数8のプライマリ−タイプ
(c−1)塩基性カルシウムサリシレート:過塩素酸法による塩基価230mgKOH/g、Ca含有量が8質量%のもの
(c−2)塩基性カルシウムスルホネート:過塩素酸法による塩基価310mgKOH/gのもの
(c−3)塩基性カルシウムフェネート:過塩素酸法による塩基価255mgKOH/gのもの
(d−1)無灰系摩擦調整剤:グリセリンモノオレエート
(d−2)無灰系摩擦調整剤:オレイン酸
(d−3)無灰系摩擦調整剤:オレイン酸アミド
(d−4)無灰系摩擦調整剤:酸性リン酸エステルアミン塩
(e)ポリ(メタ)アクリレート:重量平均分子量が4.6万、数平均分子量が3.2万、非分散タイプで有効成分量65%のもの。
(f−1)アミン系酸化防止剤:ジアルキル化ジフェニルアミン、アルキル基がオクチル基であるもの
(f−2)その他添加剤:フェノール系酸化防止剤、流動点降下剤、消泡剤等
【0076】
表1〜表5に示す基油、油圧作動油組成物の物理化学性状試験を、以下に示す試験法により行った。
・密度:JIS K 2249「密度試験方法」
・動粘度:JIS K 2283「動粘度試験方法」
・粘度指数:JIS K 2283「粘度指数算出方法」
・残留炭素:JIS K 2270「残留炭素分試験方法」
・酸価:JIS K 2501「中和価試験方法」
・ASTM色:JIS K 2580「ASTM色試験方法」
・硫黄分(紫外蛍光法):JIS K 2541−7「硫黄分試験方法(波長分散蛍光X線法)」
・窒素分:JIS K 2609「窒素分試験方法」
・n-d-m:ASTM 3238−85「Standard Test Method for Calculation of Carbon Distribution and Structural Group Analysis of Petroleum Oils By the n−d−m Method」
・アニリン点:JIS K 2256「アニリン点及び混合アニリン点試験方法」
・ヨウ素価:JIS K 00.70「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」
・Zn量:JPI−5S−38「潤滑油‐添加元素試験方法‐誘導結合プラズマ発光分光分析法」
【0077】
【表1】
【0078】
表2及び表3に、実施例及び比較例に用いた(a)基油の各基油成分の混合割合を示す。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
表3及び表4に示す油圧作動油組成物の性能評価試験を、以下に示す試験法により行った。
・RPVOT :ASTM D 2272 「Standard Test Method for Oxidation Stability of Steam Turbine oils by Rotating Pressure Vessel」
・熱安定性試験:内径2.5cmのガラス製容器に試料を40ml入れ、鋼及び銅の触媒を浸漬し、回転盤付き恒温槽内に放置し、140℃×240h、または160℃×168hの条件におけるスラッジ量(0.8μmミリポアフィルター使用)を測定した。
(触媒材質/サイズ)
鋼=SPCC−SB、銅=C1100P、サイズはともに1.0mm×20mm×50mm
・SONICせん断安定性試験:JPI−5S−29「潤滑油せん断安定度試験方法」
・ビッカースV−104cポンプ試験:ASTM D 7043−10 「Standard Test Method for Indicating Wear Characteristics of Non-Petroleum and Petroleum Hydraulic Fluids in a Constant Volume Vane Pump」に準拠し、運転時間100h、250hにおけるカムリング、ベーンの合計摩耗量を評価した。
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
表4及び表5中、「残部」とは、合計が100質量%となるような割合で(a)基油を配合したことを示す。
粘度指数向上剤の配合量(質量%)の数値は、希釈油を含めた配合量であり、括弧内の数値は、希釈油を除くポリマーの含有量である。
【0085】
【表6】
【0086】
実施例1〜3、実施例5及び比較例1、2について、SAENo.2試験機を用いて、μ0/μd及び、μsを評価した結果を表5に示す。
なお、試験条件はJASO M348に準拠して試験を行い、μ0/μd及びμsはサイクル数2000サイクルでの値を評価した。
【0087】
表4からわかるように、実施例1〜5は、全てZn量が500ppm以下であるが、熱安定性試験におけるスラッジ量が少なくなっており、良好な結果である。また、実施例1〜3及び実施例5は、RPVOTにおける寿命時間も長く、実施例1、4はV−104cポンプ試験における合計摩耗量も非常に少なく、良好な結果となっている。V−104cポンプ試験の合計摩耗量は、建設機械用油圧作動油規格JCMAS HK(JCMAS P041:2004)の合格基準である100h後50mgを大幅にクリアし、さらに250h後においても50mg以下となっており、建設機械用油圧作動油として良好な性能を有していることがわかる。特に、実施例4と比較例3を比較すると、(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛の添加量とZn量が同じであるにも関わらず、(C−1)塩基性カルシウムサリシレートを用いるか否かで合計摩耗量が大きく異なっている。また、実施例1及び実施例4は、比較例4に比較して、(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛の添加量及びZn量が少ないにも関わらず、合計摩耗量は実施例1及び実施例4の方が少なく優れた結果となっており、これらの結果から(b)ジアルキルジチオリン酸亜鉛と(C−1)塩基性カルシウムサリシレートの相乗効果が表れていることがわかる。一方、表5に見られるように、本発明の構成成分である(C−1)塩基性カルシウムサリシレートを含有しないか、含有しても含有量が少な過ぎる比較例2〜5は、高温になるとスラッジ量が多くなる事がわかる。また、比較例4と(C−1)塩基性カルシウムサリシレートに代えて(C−2)塩基性カルシウムスルホネートと(C−3)塩基性カルシウムフェネートを配合した比較例5は、V−104cポンプ試験の合計摩耗量が多く、実施例に比較して性能が劣る事がわかる。また、SAENo.2試験において、表5に見られるように実施例1〜3及び実施例5はμ0/μdが低く、高速稼働時から停止に至る間での低摩擦係数を有していることがわかる。一方、(d)成分を含まない比較例1と、(d−1)グリセリンモノオレエートに代えて(d−4)酸性リン酸エステルアミン塩を配合した比較例2は、μ0/μdが高く、高速稼働時から停止に至る間での摩擦係数が高くなっており、油圧シリンダーにおけるスティックスリップ発生や湿式ブレーキにおけるブレーキ鳴き発生等、油圧機器のスムーズな動きを阻害するおそれが高くなる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の建設機械用油圧作動油組成物は、建設機械の油圧システムに用いられる油圧作動油として好ましく用いられ、更に、油圧システムを構成する機器として湿式ブレーキを搭載する建設機械においても好ましく用いられる。