特許第5947788号(P5947788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5947788ハロゲン化オレフィン発泡剤を含むポリウレタンポリオールブレンド物の安定性を改良する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5947788
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】ハロゲン化オレフィン発泡剤を含むポリウレタンポリオールブレンド物の安定性を改良する方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20160623BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20160623BHJP
【FI】
   C08G18/00 L
   C08G101:00
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-508108(P2013-508108)
(86)(22)【出願日】2011年4月22日
(65)【公表番号】特表2013-525574(P2013-525574A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】US2011033513
(87)【国際公開番号】WO2011137033
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年4月17日
(31)【優先権主張番号】61/328,795
(32)【優先日】2010年4月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ビー・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エス・コスタ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ボネット
【審査官】 山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/085857(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/089511(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/067720(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/134061(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00−18/87
C08G 101:00
C08J 9/00−9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーム形成剤及びハロゲン化オレフィン(シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンを除く)を含む熱硬化性フォームブレンド物プレミックスを安定化させる方法であって、前記熱硬化性フォームブレンド物プレミックスにエステルを添加することを含む方法。
【請求項2】
前記熱硬化性フォームブレンド物が、界面活性剤、触媒、難燃剤、安定剤/禁止剤、又は二酸化炭素発生剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エステルが、式R−C(O)−O−R’のものである(ここで、R及びR’はCac-bbとすることが可能であり、Gはハロゲンであり、a=0〜15、b=0〜31、c=1〜31である)、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エステルが、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール及びそれらの混合物からなる群より選択されるアルコールと、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択される酸の反応生成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エステルが、ヘキサン酸アリル、酢酸ベンジル、ギ酸ベンジル、酢酸ボルニル、酪酸ブチル、酢酸エチル、プロパン酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、ケイ皮酸エチル、ギ酸エチル、ヘプタン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ノナン酸エチル、ペンタン酸エチル、酢酸ゲラニル、酪酸ゲラニル、ペンタン酸ゲラニル、酢酸イソブチル、ギ酸イソブチル、酢酸イソアミル、ギ酸イソアミル、酢酸イソプロピル、ギ酸イソプロピル、酢酸リナリル、酪酸リナリル、ギ酸リナリル、酢酸メチル、アントラニル酸メチル、安息香酸メチル、酪酸メチル、ケイ皮酸メチル、ギ酸メチル、イソ酪酸メチル、ペンタン酸メチル、プロパン酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、カプリル酸ノニル、酢酸オクチル、酪酸オクチル、酢酸アミル/酢酸ペンチル、酪酸ペンチル/酪酸アミル、ヘキサン酸ペンチル/カプロン酸アミル、ペンタン酸ペンチル/吉草酸アミル、エタン酸プロピル、イソ酪酸プロピル、酪酸テルペニル、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エステルが、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、安息香酸メチル、ギ酸ベンジル、酢酸エチル、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ハロゲン化オレフィンが、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記熱硬化性フォームブレンド物プレミックスが、ポリウレタンフォームプレミックス、ポリイソシアヌレートフォームプレミックス、及びフェノール系フォームプレミックスからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HCFO1233zdのようなヒドロクロロフルオロオレフィン発泡剤を取り込んだ熱硬化性フォームブレンド物を安定化させる方法に関する。熱硬化性フォームブレンド物としては、ポリオール、界面活性剤、触媒、難燃剤、安定剤/禁止剤、ハロゲン化オレフィン、二酸化炭素発生剤、及び安定化エステルを含む、ポリウレタンポリオールブレンド物を挙げることができる。ブレンド物にエステルを添加することによって、そのブレンド物の経時的な安定性が得られ、また得られたフォームが均質なセル構造を有し、フォームの崩壊がほとんど又はまったく起こらない。
【背景技術】
【0002】
オゾン層の保護のためのモントリオール議定書(Montreal Protocol)により、クロロフルオロカーボン(CFC)使用の段階的廃止が義務づけられた。オゾン層に対してより「優しい」物質、例えばヒドロフルオロカーボン(HFC)、例えばHFC−134aがクロロフルオロカーボンの代替物となった。後者の化合物は、温室効果ガスであって、地球温暖化の原因となることが証明されており、気候変動に関する京都議定書によって規制されることとなった。新たな代替物質のヒドロフルオロプロペンは、環境的に受け入れられること、すなわちゼロのオゾン層破壊係数(ODP)及び許容できる低い地球温暖化係数(GWP)を有することが示された。
【0003】
熱硬化性フォームのために現在使用されている発泡剤としては、比較的に高い地球温暖化係数を有するHFC−134a、HFC−245fa、HFC−365mfcと、可燃性であり、エネルギー効率の低いペンタン異性体のような炭化水素とが挙げられる。したがって、新規な代替え発泡剤が求められている。HFCの代替物として、ハロゲン化ヒドロオレフィン系物質、例えばヒドロフルオロプロペン及び/又はヒドロクロロフルオロプロペンに関心が寄せられてきている。これらの物質は下層大気中で本来的に化学的に不安定であるために、地球温暖化係数が低く、かつ所望のオゾン層破壊性能もゼロ又はほとんどゼロとなる。
【0004】
米国特許第2009/0099272A1号明細書には以下の開示がある。「2成分系、特にHFO−1234ze及びHFCO−1233zdを含めたある種のヒドロハロオレフィンを使用しているものの欠点は、B液(B−side)組成物の貯蔵寿命である。A成分とB成分とを合わせることによってフォームを製造する場合は、通常、良好なフォームが得られる。しかしながら、ポリイソシアネートと合わせる処理をする前に、ポリオールプレミックス組成物が経時劣化すると、フォームの品質が低下し、フォームの生成時に崩壊してしまう可能性もある。」
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
不飽和ハロゲン化ヒドロオレフィン発泡剤を取り入れた熱硬化性フォームブレンド物、例えばポリオールプレミックスのB液にエステルを添加すると、そのブレンド物を安定化させてプレミックスの貯蔵寿命を延ばし、得られるフォームのフォーム特性を向上させることが発見された。本発明の目的は、ポリウレタンフォームのような熱硬化性フォームブレンド組成物を安定化させて、長い貯蔵寿命と、オゾン層破壊係数が低いかゼロで、地球温暖化係数が低く、かつ低毒性を示すという要求を満たすフォーム特性とを与える方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例2に従って製造したフォームの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、1種又は複数のエステルを添加することによって、熱硬化性フォームブレンド物、例えば無視可能な(低又はゼロ)オゾン破壊性と低いGWPを有する発泡剤を含む不飽和ハロゲン化ヒドロオレフィン;ポリオール;界面活性剤;触媒;難燃剤;有機酸禁止剤/安定剤;二酸化炭素発生剤をベースとするポリウレタンポリブレンド物を安定化させる方法に関する。そのブレンド物は、予想外なことに、経時的に安定であり、得られるフォームは均質なセル構造を有し、フォームの崩壊はほとんど又はまったく起きない。
【0008】
本発明の熱硬化性フォームブレンド物における発泡剤には、不飽和ハロゲン化ヒドロオレフィン、例えば、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロエーテル(HFE)、及びそれらの混合物、並びに場合によっては、炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル/ジエーテル又は二酸化炭素が含まれる。
【0009】
本発明の熱硬化性フォームブレンド物において好ましい発泡剤は、単独のヒドロフルオロオレフィン若しくはヒドロクロロフルオロオレフィン、又はそれらの組合せである。好適なヒドロフルオロオレフィン(HFO)発泡剤には3、4、5若しくは6個の炭素が含まれ、以下のものが含まれる(これらに限定される訳ではない):ペンタフルオロプロパン、例えば1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO1225ye);テトラフルオロプロペン、例えば1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ze、E及びZ異性体)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234yf)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ye);トリフルオロプロペン、例えば3,3,3−トリフルオロプロペン(1243zf);テトラフルオロブテン、例えば(HFO1345);ペンタフルオロブテン異性体、例えば(HFO1354);ヘキサフルオロブテン異性体、例えば(HFO1336);ヘプタフルオロブテン異性体、例えば(HFO1327);ヘプタフルオロペンテン異性体、例えば(HFO1447);オクタフルオロペンテン異性体、例えば(HFO1438);ノナフルオロペンテン異性体、例えば(HFO1429)。HCFO、例えば1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、HCFO1223、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエテン(E及びZ異性体)、3,3−ジクロロ−3−フルオロプロペン、2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブテン−2(E及びZ異性体)、2−クロロ−1,1,1,3,4,4,4−ヘプタフルオロブテン−2(E及びZ異性体)。本発明の熱硬化性フォームブレンド物において好ましい発泡剤としては、約60℃未満の通常沸点を有する不飽和ハロゲン化ヒドロオレフィンが挙げられる。好ましいヒドロクロロフルオロオレフィン発泡剤としては、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、E及び/又はZ1233zdが挙げられるが、これに限定される訳ではない。
【0010】
本発明の熱硬化性フォームブレンド物中の発泡剤は、単独で使用することもできるし、或いは例えば以下に挙げるような他の発泡剤(これらに限定される訳ではない)との組合せで使用することもできる:(a)ヒドロフルオロカーボン、非限定的に挙げれば、例えば:ジフルオロメタン(HFC32);1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125);1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a);1,1,2,2−テトラフルオロタン(HFC134);1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a);1,1−ジフルオロエタン(HFC152a);1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea);1,1,1,3,3−ペンタフルオプロパン(HFC245fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオブタン(HFC365mfc)、及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee)、(b)炭化水素、非限定的に挙げれば,例えば、ペンタン異性体及びブタン異性体、(c)ヒドロフルオロエーテル(HFE)例えば、C49OCH3(HFE−7100)、C49OC25(HFE−7200)、CF3CF2OCH3(HFE−245cb2)、CF3CH2CHF2(HFE−245fa)、CF3CH2OCF3(HFE−236fa)、C37OCH3(HFE−7000)、2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデコフルオロヘキサン(HFE7500)、1,1,1,2,3−ヘキサフルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−ペンタン(HFE−7600)、1,1,1,2,2,3,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(HFE−7300)、エチルノナフルオロイソブチルエーテル/エチルノナフルオロブチルエーテル(HFE8200)、CHF2OCHF2、CHF2−OCH2F、CH2F−OCH2F、CH2F−O−CH3、シクロ−CF2CH2CF2−O、シクロ−CF2CF2CH2−O、CHF2−CF2CHF2、CF3CF2−OCH2F、CHF2−O−CHFCF3、CHF2−OCF2CHF2、CH2F−O−CF2CHF2、CF3−O−CF2CH3、CHF2CHF−O−CHF2、CF3−O−CHFCH2F、CF3CHF−O−CH2F、CF3−O−CH2CHF2、CHF2−O−CH2CF3、CH2FCF2−O−CH2F、CHF2−O−CF2CH3、CHF2CF2−O−CH3(HFE254pc)、CH2F−O−CHFCH2F、CHF2−CHF−O−CH2F、CF3−O−CHFCH3、CF3CHF−O−CH3、CHF2−O−CH2CHF2、CF3−O−CH2CH2F、CF3CH2−O−CH2F、CF2HCF2CF2−O−CH3、CF3CHFCF2−O−CH3、CHF2CF2CF2−O−CH3、CHF2CF2CH2−OCHF2、CF3CF2CH2−O−CH3、CHF2CF2−O−CH2CH3、(CF32CF−O−CH3、(CF32CH−O−CHF2、(CF32CH−O−CH3、及びそれらの混合物;(d)C1〜C5アルコール類、C1〜C4アルデヒド類、C1〜C4ケトン類、C1〜C4エーテル類及びジエーテル類、並びに二酸化炭素。
【0011】
本発明の熱硬化性フォームブレンド物には、一般的なセル構造を有するフォームを形成させることが可能な1種又は複数の成分と、発泡剤とを含む。熱硬化性組成物の例としては、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム組成物、さらにはフェノール系フォーム組成物、好ましくは軟質又は硬質の低密度フォームが挙げられる。
【0012】
さらに、本発明は、安定化量のエステルが添加された熱硬化性フォーム配合物から製造されるフォーム、好ましくは独立気泡フォームに関する。
【0013】
本発明の発泡剤とエステルとの組合せを形成させ、及び/又は発泡性組成物に添加する順序と方法は、一般的には、本発明の操作性に影響を与えるものではない。例えば、ポリウレタンフォームの場合においては、発泡剤とエステルとの組合せの各種の成分を発泡装置に導入するより前に混合しなかったり、さらには、発泡装置の中の同じ位置にそれらの成分を添加しなかったりすることも可能である。したがって、ある種の実施態様においては、発泡剤とエステルとの組合せの1種又は複数の成分を、発泡装置の中でそれらが一緒になるような方法で導入するのが望ましいこともある。それにもかかわらず、ある種の実施態様においては、発泡剤とエステルとの組合せの成分を前もって一緒にしておき、直接的に、又はプレミックス(後ほどそれを、発泡性組成物の別の部分に添加する)の一部として、発泡性組成物の中に共に導入する。
【0014】
ポリウレタンポリオールフォームの製造におけるある種の実施態様においては、b液(b−side)のポリオールプレミックスには、ポリオール、ケイ素系若しくは非ケイ素系の界面活性剤、アミン系若しくは非アミン系の触媒、難燃剤/抑制剤、酸捕捉剤、ラジカル捕捉剤、充填剤、及びその他必要な安定剤/禁止剤を含むことができる。
【0015】
ポリオールの例としては以下のものが挙げられる:グリセリンベースのポリエーテルポリオール、例えばCarpol GP−700、GP−725、GP−4000、GP−4520;アミンベースのポリエーテルポリオール、例えばCarpol TEAP−265及びEDAP−770、Jeffol AD−310;スクロースベースのポリエーテルポリオール、例えばJeffol SD−360、SG−361、及びSD−522、Voranol 490、Carpol SPA357;マンニッヒベースのポリエーテルポリオール、例えばJeffol R−425X及びR−470X;ソルビトールベースのポリエーテルポリオール、例えばJeffol S−490;芳香族ポリエステルポリオール、例えばTerate 2541及び3510、Stepanpol PS−2352、Terol TR−925。
【0016】
触媒の例としては以下のものが挙げられる:N,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAFE)、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PDMAFE)、1,4−ジアザジシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−エタノール(DMAFE)、2−((2−ジメチルアミノエトキシ)−エチルメチル−アミノ)エタノール、1−(ビス(3−ジメチルアミノ)−プロピル)アミノ−2−プロパノール、N,N’,N”−トリス(3−ジメチルアミノ−プロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N’−ジエチルピペラジン。特に、立体障害のある第一級、二級又は三級アミンが有用であり、そのようなものとしては、例えば以下のものが挙げられる:ジシクロヘキシルメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、メチルイソプロピルベンジルアミン、メチルシクロペンチルベンジルアミン、イソプロピル−s−ブチル−トリフルオロエチルアミン、ジエチル−(α−フェニエチル)アミン、トリ−n−プロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルイソプロピルアミン、ジ−t−ブチルアミン、シクロヘキシル−t−ブチルアミン、デ−s−ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ−(α−トリフルオロメチルエチル)アミン、ジ−(α−フェニルエチル)アミン、トリフェニルメチルアミン、及び1,1,−ジエチル−n−プロピルアミン。その他の立体障害アミンとしては、以下のものが挙げられる:モルホリン類、イミダゾール類、エーテル含有化合物、例えばジモルホリノジエチルエーテル、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、イミダゾール、n0メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、ジモルホリノジメチルエーテル、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタエチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、ビス(ジエチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)エーテル、又はそれらの組合せ。
【0017】
非アミン系触媒の例としては、以下のものが挙げられる:ビスマス、鉛、スズ、アンチモン、カドミウム、コバルト、鉄、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、チタン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、又はそれらの組合せを含む有機金属化合物、例えばオクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート(DGTDL)、ジブチルスズメルカプチド、プロピオン酸フェニル水銀、オクタン酸鉛、酢酸/オクタン酸カリウム、酢酸マグネシウム、シュウ酸チタニル、シュウ酸チタニルカリウム、ギ酸四級アンモニウム、アセチルアセトナト第二鉄、及びそれらの組合せ。
【0018】
触媒の使用レベルは、ポリオールプレミックスの、典型的には約0.1ppm〜6.00重量%、好ましくは約0.5ppm〜4重量%、より好ましくは約1ppm〜2重量%の量である。
【0019】
界面活性剤の例としては以下のものが挙げられる:ポリシロキサンポリオキシアルキレンブロック共重合体、例えばB8404、B8407、B8409、B8462、及びB8465(Goldschmidtから入手可能);DC−193、DC−197、DC−5582、及びDC−5598(Air Productsから入手可能);及びL−5130、L5180、L−5340、L−5440、L−6100、L−6900、L−6980、及びL6988(Momentiveから入手可能)。非シリコーン系界面活性剤の例としては、以下のものが挙げられる:スルホン酸の塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジナフチルメタンジススルホン酸、リシノール酸、オキシエチル化アルキルフェノール、オキシエチル化脂肪族アルコール、パラフィンオイル、ヒマシ油エステル、リシノール酸エステル、ロート油、ピーナッツ油、パラフィン脂肪族アルコール、又はそれらの組合せ。界面活性剤の使用レベルは、ポリオールプレミックスの、典型的には約0.4〜6重量%、好ましくは約0.8〜4.5重量%、より好ましくは約1〜3重量%である。
【0020】
難燃剤の例としては以下のものが挙げられる:リン酸トリクロロプロピル(TCPP)、リン酸トリエチル(TEP)、エチルリン酸ジエチル(DEEP)、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホン酸ジエチル、臭素化酸無水物ベースのエステル、ジブロモネオペンチルグリコール、臭素化ポリエーテルポリオール、メラミン、ポリリン酸アンモニウム、アルミニウム三水和物(ATH)、リン酸トリス(1,3−ジクロロイソプロピル)、リン酸トリ(2−クロロエチル)、リン酸トリ(2−クロロイソプロピル)、リン酸/オリゴマー性ホスホン酸クロロアルキル、オリゴマー性リン酸クロロアルキル、ペンタブロモジフェニルエーテルをベースとする臭素化難燃剤、メチルホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチルN,Nビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチル、オリゴマー性ホスホン酸塩、並びにそれらの誘導体。
【0021】
ある種の実施態様においては、そのプレミックスの中に、酸捕捉剤、ラジカル捕捉剤、及びその他の安定剤/禁止剤が含まれる。安定剤/禁止剤の例としては以下のものが挙げられる:1,2−エポキシブタン;グリシジルメチルエーテル;環状−テルペン、例えば、dl−リモネン、l−リモネン、d−リモネン;1,2−エポキシ−2,2−メチルプロパン;ニトロメタン;ジエチルヒドロキシルアミン;アルファメチルスチレン;イソプレン;p−メトキシフェノール;m−メトキシフェノール;dl−リモネンオキシド;ヒドラジン;2,6−ジ−t−ブチルフェノール;ヒドロキノン;有機酸、例えばカルボン酸、ジカルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、スルファミン酸、ヒドロキサム酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びそれらの組合せ。その他の添加物、例えば粘着促進剤、静電防止剤、酸化防止剤、充填剤、加水分解剤、潤滑剤、抗菌剤、顔料、粘度調節剤、抗UV剤が含まれていてもよい。それらの添加物の例としては、以下のものが挙げられる;立体障害フェノール;ジフェニルアミン;ベンゾフラノン誘導体;ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT);炭酸カルシウム;硫酸バリウム;ガラス繊維;炭素繊維;ミクロスフェア;シリカ;メラミン;カーボンブラック;ワックス及びセッケン;アンチモン、銅、及びヒ素の有機金属誘導体;二酸化チタン;酸化クロム;酸化鉄;グリコールエーテル;ジメチルAGSエステル;プロピレンカーボネート;並びにベンゾフェノン及びベンゾトリアゾール化合物。
【0022】
本発明においては、熱硬化性フォームブレンド物にエステルを添加する。これによりブレンド物の経時的な安定性、例えばプレミックスの貯蔵寿命の延長が得られ、得られるフォームの物性が向上することが分かった。本発明において使用されるエステルは、式R−C(O)−O−R’を有しているが、ここでR及びR’は、Cac-bbとすることができ、ここでGはハロゲン、例えばF、Cl、Br、Iであり、a=0〜15、b=0〜31、c=1〜31であり、ジカルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルホン酸、スルファミン酸、ヒドロキサム酸又はそれらの組合せからの生成物であるエステルが含まれる。好ましいエステルは、アルコール、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、及びそれらの混合物と;酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びそれらの混合物との反応生成物である。より好ましいエステルは以下のものである:ヘキサン酸アリル、酢酸ベンジル、ギ酸ベンジル、酢酸ボルニル、酪酸ブチル、酢酸エチル、プロパン酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、ケイ皮酸エチル、ギ酸エチル、ヘプタン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ノナン酸エチル、ペンタン酸エチル、酢酸ゲラニル、酪酸ゲラニル、ペンタン酸ゲラニル、酢酸イソブチル、ギ酸イソブチル、酢酸イソアミル、ギ酸イソアミル、酢酸イソプロピル、ギ酸イソプロピル、酢酸リナリル、酪酸リナリル、ギ酸リナリル、酢酸メチル、アントラニル酸メチル、安息香酸メチル、酪酸メチル、ケイ皮酸メチル、ギ酸メチル、イソ酪酸メチル、ペンタン酸メチル、プロパン酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、カプリル酸ノニル、酢酸オクチル、酪酸オクチル、酢酸アミル/酢酸ペンチル、酪酸ペンチル/酪酸アミル、ヘキサン酸ペンチル/カプロン酸アミル、ペンタン酸ペンチル/吉草酸アミル、エタン酸プロピル、イソ酪酸プロピル、酪酸テルペニル、及びそれらの混合物。最も好ましいエステルは、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、安息香酸メチル、ギ酸ベンジル、酢酸エチル、及びそれらの混合物である。
【0023】
エステルは、発泡剤と組み合わせて添加することもできるし、或いは発泡剤とは別に、当業者公知の手段によって熱硬化性フォームブレンド物の中に添加することもできる。エステルの典型的な量は、熱硬化性フォームブレンド物の約0.1重量%〜10重量%であり、エステルの好ましい量は、熱硬化性フォームブレンド物の約0.2重量%〜7重量%であり、そしてエステルのより好ましい量は、熱硬化性フォームブレンド物の約0.3重量%〜5重量%である。
【実施例】
【0024】
実施例1
試験した配合物はそれぞれ以下のものを含むものであった(すべての場合において、Iso指数は115であった):Rubinate M、ポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)(Huntsmanから入手可能);Jeffol R−425−X、ポリオール(Huntsman製);Voranol 490、ポリオール(Dow Chemical製);Stephan 2352、ポリオール(Stepan製);TCPP、難燃剤(Rhodia製);B8465、界面活性剤(Evonik Corp.製);Polycat 8及び5(ペンタメチルジエチレントリアミン、PMDETA)(Air Productsから入手可能)。全発泡剤レベルは20.0mL/gであった。表1に試験した配合物、A、B及びCについてまとめた。
【0025】
【表1】
【0026】
A液(MDI)と新たに製造したB液(ポリオール、界面活性剤、触媒、発泡剤、及び添加剤の混合物)とを、ハンドミキサーを用いて混合し、容器に投入して、フリーライズフォームを形成させた。投入した原料は、開放容器の中で自由に膨張させた。反応性、密度及びフォーム品質を表2にまとめた。
【0027】
【表2】
【0028】
表2から判るように、新たに製造したポリオールブレンド物からは、同様のフリーライズ密度及びフォーム品質を有するフォームが得られた。
【0029】
実施例2
次いで、配合A、B及びCのB液ポリオールブレンド物を周囲条件下で9ヶ月間熟成し、実施例1と同じ方法でフォームを作成した。それらの結果を表3にまとめた。
【0030】
【表3】
【0031】
フォーム品質をさらに図1にも示した。
【0032】
本明細書においては、特定の実施態様を参照しながら本発明を例示し説明しているが、添付の請求の範囲を、示した詳細な説明に限定するものではない。むしろ、当業者であれば、これらの詳細な説明に様々な変更をなすことができると予想されるところ、これらの変更は、依然として、特許請求した主題の精神及び範囲内にあると考えられ、また、これらの請求の範囲はそのように構成されるものである。
図1