特許第5947899号(P5947899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5947899-FSH受容体アンタゴニスト 図000046
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5947899
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】FSH受容体アンタゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/14 20060101AFI20160623BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALI20160623BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20160623BHJP
   A61P 15/18 20060101ALI20160623BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160623BHJP
   C07D 493/04 20060101ALI20160623BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20160623BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20160623BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20160623BHJP
   A61K 31/4155 20060101ALI20160623BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20160623BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20160623BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   C07D209/14
   A61K31/4045
   A61P15/00
   A61P15/18
   A61P35/00
   A61K45/00
   C07D493/04 106C
   C07D405/12
   A61K31/5377
   C07D405/14
   C07D409/14
   A61K31/4439
   A61K31/4155
   C07D409/12
   C07D401/12
   A61P43/00 111
【請求項の数】12
【全頁数】80
(21)【出願番号】特願2014-531182(P2014-531182)
(86)(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公表番号】特表2014-526531(P2014-526531A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2012068127
(87)【国際公開番号】WO2013041461
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年9月11日
(31)【優先権主張番号】61/537,626
(32)【優先日】2011年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11182305.0
(32)【優先日】2011年9月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513156397
【氏名又は名称】メルク・シャープ・エンド・ドーム・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ブラツカビー,ウエスリー・ピーター
(72)【発明者】
【氏名】デコルト,マルテイン
(72)【発明者】
【氏名】エントーフエン,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ヒンチライフ,ポール・スチユワート
(72)【発明者】
【氏名】ポウリー,クリステイアン・ベルナルド・マトウヘイクス
(72)【発明者】
【氏名】テインメルス,コルネリス・マリウス
(72)【発明者】
【氏名】フエルカイク,サスキア
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−504597(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/071455(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/073612(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
(式中、Y−XはCH−CH、−C(O)O−または−CHO−であり、
R2はフェニル、(1〜6C)アルキル、(2〜8C)−ヘテロアリール、ベンゾイル、(2〜8C)ヘテロアリールカルボニル、(1〜8C)アルコキシ、(3〜6C)シクロアルキル、(3〜6C)シクロアルコキシであり、その全てのアルキルまたはアルコキシ部分はR10から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、そのフェニルまたはヘテロアリール部分はR12から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R2は(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニル、(1〜6C)アルキルカルボニル、(2〜6C)アルケニルカルボニル、(2〜6C)アルキニルカルボニル、(3〜6C)シクロアルキルカルボニル、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、フェニル(1〜4C)アルコキシまたは(2〜8C)ヘテロアリール(1〜4C)アルコキシであり;
R6はヒドロキシまたはHである、または
R6は(1〜6C)アルキル、(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニル、(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)シクロアルコキシ、(3〜6C)ヘテロシクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、ハロゲン、シアノであり、そのアルキルまたはアルコキシ部分はR10から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R6はR7と共に、−O−(CH)n−O−(nは1〜3であり、CH部分は1つまたは複数の(1〜3C)アルキル置換基で置換されていてもよい)である、または
R6およびR7は(3〜6C)シクロアルキル環で結合してもよく;
R7はヒドロキシ、Hである、または
R7は(1〜6C)アルキル、(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニル、(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)シクロアルコキシ、(3〜6C)ヘテロシクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)ヘテロシクロアルコキシ、(2〜6C)ヘテロシクロアルキルカルボニル、(ジ)[1〜4C]アルキルアミノカルボニルまたは(2〜6C)ヘテロシクロアルキルであり、そのアルキル、アルコキシまたは(ヘテロ)シクロアルキル部分はR11から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R7は(2〜8C)ヘテロアリール、フェニル、フェニル(1〜4C)アルコキシ、(2〜8C)ヘテロアリール(1〜4C)アルコキシであり、そのフェニルまたはヘテロアリール部分はR11から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R7はR6と共に、−O−(CH)n−O−(nは1〜3であり、CH部分は1つまたは複数の(1〜3C)アルキル置換基で置換されていてもよい)である、または
R7およびR6は(3〜6C)シクロアルキル環で結合してもよく;
R8はHまたは(1〜4C)アルコキシであり;
R10はヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(1〜4C)アルコキシ、(1〜4C)アルキル、アミノカルボニルまたは(ジ)[1〜4C]アルキルアミノであり;
R11はヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(1〜4C)アルコキシ、(ジ)[1〜4C)アルキル]アミノまたは(1〜4C)アルキルであり;
R12はヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(1〜4C)アルコキシ、(1〜4C)アルキル、アミノカルボニルまたは(ジ)[1〜4C]アルキルアミノであり;
R13はHまたは(1〜3C)アルキルであり;
R14およびR15は独立してHまたは(1〜3C)アルキルである、または
R14およびR15は(3〜6C)シクロアルキル環で結合してもよい)
による化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R2がフェニル、(1〜6C)アルキル、(2〜8C)−ヘテロアリール、(1〜8C)アルコキシ、(3〜6C)シクロアルコキシであり、その全てのアルキルまたはアルコキシ部分がR10から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、そのフェニルまたはヘテロアリール部分がR12から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R2が(2〜6C)アルケニル、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、フェニル(1〜4C)アルコキシまたは(2〜8C)ヘテロアリール(1〜4C)アルコキシである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R13、R14およびR15がHである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R6がR7と結合している場合に、nが1である、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項5】
R2がフェニル、(1〜6C)アルキル、(2〜8C)−ヘテロアリール、(1〜8C)アルコキシ、(3〜6C)シクロアルコキシであり、その全てのアルキルまたはアルコキシ部分がR10から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、そのフェニルまたはヘテロアリール部分がR12から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R2が(2〜6C)アルケニル、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシまたはフェニル(1〜4C)アルコキシである、
請求項1から4に記載の化合物。
【請求項6】
R6がヒドロキシ、ハロゲン、シアノまたはHである、または
R6が(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)アルケノキシであり、そのアルキルまたはアルコキシ部分がR10から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R6がR7と共に、−O−(CH)−O−(CH部分は1つまたは複数の(1〜3C)アルキル置換基で置換されていてもよい)であり;
R7がヒドロキシである、または
R7が(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、(2〜6C)ヘテロシクロアルキルカルボニル、(ジ)[1〜4C]アルキルアミノカルボニルまたは(2〜6C)ヘテロシクロアルキルであり、そのアルキル、アルコキシまたは(ヘテロ)シクロアルキル部分がR11から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R7が(2〜8C)ヘテロアリールである、または
R7がR6と共に、−O−(CH)−O−(CH部分は1つまたは複数の(1〜3C)アルキル置換基で置換されていてもよい)である、
請求項1から3に記載の化合物。
【請求項7】
R6およびR7が独立して(1〜4C)アルコキシまたは(3〜6C)アルケノキシである、または
R6がR7と共に、−O−CH−O−である、
請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−2−フェニル−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
2−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
2−(2,3−ジフルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−2−(チオフェン−2−イル)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−2−(3−メチルチオフェン−2−イル)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−2−(2−メトキシピリジン−3−イル)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−イソプロポキシ−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−2−(シクロプロピルメトキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−2−(シクロペンチルオキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−2−(ペンタン−2−イルオキシ)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−2−(ジフルオロメトキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
2−(1−シアノエトキシ)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−2−(アリルオキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
2−(2−アミノ−1−フルオロ−2−オキソエトキシ)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−2−(ベンジルオキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
2−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−2−(2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
2−(4−アミノ−2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
2−(3−フルオロピリジン−4−イル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−2−(3−メチルブタ−2−エン−2−イル)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−2−(5−クロロチオフェン−2−イル)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−2−(フラン−2−イル)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−2−(3−メトキシフェニル)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−2−(3−カルバモイルフェニル)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−2−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
7−(アリルオキシ)−2−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
6−(アリルオキシ)−2−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
2−(2−フルオロフェニル)−7−ヒドロキシ−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
2−(2−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシ−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−6−ブロモ−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−イソプロポキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−6−シアノ−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−イソプロポキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド;
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−3−イソプロポキシ−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−3−イソプロポキシ−8,9−(1’,3’−ジオキソロ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(2,3−ジフルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−3−(3−メチルチオフェン−2−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−3−フェニル−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−3−(2−メチルプロパ−1−エニル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−3−イソブチル−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8−イソプロポキシ−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(2−フルオロフェニル)−8−ヒドロキシ−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−8−(2−メトキシエトキシ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
8−(アリルオキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8−(2−ヒドロキシエトキシ)−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
8−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
8−(シクロプロピルメトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−8−(ピリジン−3−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−8−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−8−(ピリジン−4−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8−(モルホリン−4−カルボニル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
3−(2−フルオロフェニル)−N2−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−N8,N8−ジメチル−6H−ベンゾ[c]クロメン−2,8−ジカルボキサミド;
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−(1’,3’−ジオキソロ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−(1’,3’−ジオキソロ)−3−(3−メチルチオフェン−2−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド;および
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−(1’,3’−ジオキソロ)−3−(3−イソプロポキシ)−6−オキソ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
療法に使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
子宮内膜症を治療および予防するため、閉経前および周閉経期ホルモン依存性乳がんを治療および予防するため、避妊するため、ならびに子宮類線維症および他の月経関連障害を治療するために使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかに記載の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩と、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の追加の治療活性剤をさらに含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FSH受容体調節活性を有する化合物、同化合物を含有する医薬組成物、ならびにFSH受容体媒介疾患のための前記化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
性腺刺激ホルモンは、代謝、体温調節および生殖過程を含む種々の身体機能において重要である。性腺刺激ホルモンは、特異的な生殖腺細胞型に作用して卵巣および精巣分化ならびにステロイド産生を開始する。例えば、下垂体性性腺刺激ホルモンFSH(卵胞刺激ホルモン)は、性腺刺激ホルモン放出ホルモンおよびエストロゲンの影響下で下垂体前葉から放出され、卵胞発達および成熟の刺激において中心的役割を果たす。FSHは、卵胞エストロゲンの分泌を調節する主要なホルモンである一方、LH(黄体形成ホルモン)は、卵胞テストステロンの産生を刺激し、排卵を誘発する(Sharp,R.M.Clin Endocrinol.33:787〜807、1990;DorringtonおよびArmstrong、Recent Prog.Horm.Res.35:301〜342、1979)。
【0003】
FSHホルモンの作用は、Gタンパク質共役型受容体の大きなファミリーのメンバーである特異的な形質膜受容体により媒介される。これらの受容体は、7回膜貫通ドメインを有する単一ポリペプチドからなり、Gsタンパク質と相互作用して、例えば、アデニル酸シクラーゼの活性化をもたらすことができる。
【0004】
FSH受容体(FSHR)は、卵胞成長過程における高度に特異的な標的であり、卵巣で排他的に発現する。この受容体を遮断することまたはFSH媒介受容体活性化後に通常誘発されるシグナル伝達を阻害することにより、卵胞発達、したがってエストロゲンの産生、排卵および生殖能力が妨げられるだろう。そのため、低分子量FSH受容体アンタゴニスト(以後FSHRアンタゴニストと呼ぶ)は、エストロゲンの産生減少および/または無排卵の誘発を必要とする医学療法の基礎を形成することができるだろう。
【0005】
低分子量FSH受容体アンタゴニストは、国際公開第2008071455号パンフレット、同第200807145号パンフレットおよび同第2008117175号パンフレット、ならびにvan Straten,N.C.R.およびTimmers,C.M.Annual Reports in Medicinal Chemistry 44:171〜188、2009およびvan Straten,N.C.R.ら J.Med.Chem.48:1697〜1700、2005に開示されている。
【0006】
子宮内膜症を予防するまたは後進させることは、女性の健康管理の分野における重要な目標である。子宮内膜症は、子宮腔の外側の部位に子宮内膜組織が存在することを特徴とする有痛性の婦人科状態である。有病率は約10%であるが、疾患の存在を決定するためには腹腔鏡検査手順を行う必要性があるために、この値は過小評価であり得る。この疾患は、生殖可能年齢の女性に発症し、最も一般的な症状は痛みを伴う月経(月経困難症)、性交中の痛み(性交疼痛)、痛みを伴う便通(排便困難症)、慢性骨盤痛、重い月経(月経過多)、および不妊症である。治療しないままにしておくまたは治療が不十分である場合、子宮内膜症は進行するまたは自発的に退行し得る。有意な数の女性で、子宮内膜症は、難治性疼痛、生活の質の悪化、および不妊症として現れる慢性進行性疾患である。
【0007】
病因が不明であり、このことも疾患の症候性の暗示の理解を妨げている。子宮内膜症は、病期、疾患負荷および痛みの程度の間に相関がない種々の重症度の一連の症状をもたらし、それによって臨床的分類での混乱および診断の遅延を引き起こしている。既知の治療選択は、薬物療法および保存的外科手術である。
【0008】
薬物療法は、鎮痛薬、エストロゲンと黄体ホルモン物質の両方を含有する(混合経口避妊薬(COC))または黄体ホルモン物質のみを含有する(黄体物質単独避妊薬(Progestagen−Only Contraceptive(POC))ホルモン避妊薬、生腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト、または他のホルモン薬、例えば、ダナゾールを用いるものである。エストロゲンと黄体ホルモン物質を併用する(COC)経口避妊薬レジメンは、月経周期をコントロールし、月経血量を減少させ、特に初期段階の疾患で最も一般的な症状である月経困難症をなくすその特性のために、疑わしいまたは診断された子宮内膜症で第一選択療法として広く使用されている。しかしながら、伴う副作用が許容レベルである十分な有効性を提供する単一製品はない。COCは、症状の一部をうまく治療することができるが、子宮内膜症の進行を有効には抑制せず、慢性骨盤痛を有効には治療しない。
【0009】
COCは、偽妊娠状態を作り出すことによる最初の子宮内膜の脱落膜化、その後の子宮内膜の萎縮および菲薄化をもたらし、それによって月経周期をコントロールし、月経血量を減少させ、月経困難症を低減する。そのため、COCは月経関連症状を治療することができるが、子宮内膜病変の増殖および関連する慢性骨盤痛を完全には抑制しない。
【0010】
黄体ホルモン物質の作用機構は、最初の子宮内膜の脱落膜化、引き続く子宮内膜中のエストロゲン受容体に対する直接抑制効果の結果としての萎縮である。黄体ホルモン物質が分子レベルでマトリックスメタロプロテアーゼを抑制し、それによって異所性子宮内膜の増殖を阻害するという証拠が存在する。酢酸メドロキシプロゲステロンは、子宮内膜症の治療に最も広く使用されている黄体ホルモン物質である。経口投与に利用可能であるが、酢酸メドロキシプロゲステロンは、通常はデポー製剤として3ヶ月毎に投与される。POCの副作用は複数あるが、最も一般的なものは破綻出血、悪心、体液貯留および乳房圧痛である。
【0011】
GnRHアゴニストおよびGnRHアンタゴニストは、GnRH受容体およびGnRH受容体媒介シグナル伝達を下方制御することにより視床下部−下垂体−卵巣軸を下方制御し、低エストロゲン閉経期状態、子宮内膜萎縮および無月経をもたらす。エストロゲンの循環レベルを低下させるのに極めて有効であるが閉経期症状に関連する複数の副作用ならびに骨粗鬆症により、GnRHアゴニストを使用した治療期間は6ヶ月に制限される。
【0012】
既知の薬物治療および/または保存的外科手術は、一時的緩和を提供するにすぎず、再発率は50%ほど高くなることがあり、生殖能力および生活の質に大きな影響を与える。さらに、40〜44歳の有意な数の女性が子宮摘出および両側卵管卵巣摘出を必要とする。
【0013】
したがって、利用可能な治療選択の上記欠点を改善する早期治療介入が強く必要とされている。この必要性は、特に、疾患の進行を抑制するおよび/または副作用プロファイル(すなわち、予定外出血、骨量減少および閉経期症状)を改善し、生殖成績を改善する早期治療介入に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2008071455号パンフレット
【特許文献2】国際公開第200807145号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2008117175号パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Sharp,R.M.Clin Endocrinol.33:787〜807、1990
【非特許文献2】DorringtonおよびArmstrong、Recent Prog.Horm.Res.35:301〜342、1979
【非特許文献3】van Straten,N.C.R.およびTimmers,C.M.Annual Reports in Medicinal Chemistry 44:171〜188、2009
【非特許文献4】van Straten,N.C.R.ら J.Med.Chem.48:1697〜1700、2005
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのため、本発明は、子宮内膜症を治療および予防するため、閉経前および周閉経期ホルモン依存性乳がんを治療および予防するため、避妊するため、ならびに子宮類線維症および機能不全性不正子宮出血などの他の月経関連障害を治療するための手段としてのFSHRアンタゴニストに関する。
【0017】
本発明は、一般式Iを有する化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0018】
【化1】
この式中、X、Y、R2、R6、R7、R8、R13、R14およびR15は以下の定義を有する:
Y−XはCH−CH、−C(O)O−または−CHO−である。
【0019】
R2はフェニル、(1〜6C)アルキル、(2〜8C)−ヘテロアリール、ベンゾイル、(2〜8C)ヘテロアリールカルボニル、(1〜8C)アルコキシ、(3〜6C)シクロアルキル、(3〜6C)シクロアルコキシであり、その全てのアルキルまたはアルコキシ部分はR10から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、そのフェニルまたはヘテロアリール部分はR12から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R2は(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニル、(1〜6C)アルキルカルボニル、(2〜6C)アルケニルカルボニル、(2〜6C)アルキニルカルボニル、(3〜6C)シクロアルキルカルボニル、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、フェニル(1〜4C)アルコキシまたは(2〜8C)ヘテロアリール(1〜4C)アルコキシである。
【0020】
R6はヒドロキシ、ハロゲン、シアノまたはHである、または
R6は(1〜6C)アルキル、(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニル、(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)シクロアルコキシ、(3〜6C)ヘテロシクロアルキル(1〜4C)アルコキシであり、そのアルキルまたはアルコキシ部分はR10から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R6はR7と共に、−O−(CH)n−O−(nは1〜3であり、CH部分は1つまたは複数の(1〜3C)アルキル置換基で置換されていてもよい)である。
【0021】
R6はまたR7と結合して(3〜6C)シクロアルキル環を形成してもよい。
【0022】
R7はヒドロキシ、Hである、または
R7は(1〜6C)アルキル、(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニル、(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)シクロアルコキシ、(3〜6C)ヘテロシクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)ヘテロシクロアルコキシ、(2〜6C)ヘテロシクロアルキルカルボニル、(ジ)[1〜4C]アルキルアミノカルボニルまたは(2〜6C)ヘテロシクロアルキルであり、そのアルキル、アルコキシまたは(ヘテロ)シクロアルキル部分はR11から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R7は(2〜8C)ヘテロアリール、フェニル、フェニル(1〜4C)アルコキシ、(2〜8C)ヘテロアリール(1〜4C)アルコキシであり、そのフェニルまたはヘテロアリール部分はR11から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R7はR6と共に、−O−(CH)n−O−(nは1〜3であり、CH部分は1つまたは複数の(1〜3C)アルキル置換基で置換されていてもよい)である。
【0023】
R7はまたR6と(3〜6C)シクロアルキル環で結合してもよい。
【0024】
R8はHまたは(1〜4C)アルコキシである。
【0025】
R10はヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(1〜4C)アルコキシ、(1〜4C)アルキル、アミノカルボニルまたは(ジ)[1〜4C]アルキルアミノである。
【0026】
R11はヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(1〜4C)アルコキシ、(ジ)[1〜4C]アルキルアミノまたは(1〜4C)アルキルである。
【0027】
R12はヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(1〜4C)アルコキシ、(1〜4C)アルキル、アミノカルボニルまたは(ジ)[1〜4C]アルキルアミノである。
【0028】
R13はHまたは(1〜3C)アルキルである。
【0029】
R14およびR15は独立してHまたは(1〜3C)アルキルである。
【0030】
あるいは、R14およびR15は(3〜6C)シクロアルキル環で結合してもよい。
【0031】
本発明による化合物は、FSH調節活性を有し、このようなFSHRアンタゴニストを用いた用量漸増は、卵胞発達の減少(無排卵)およびエストロゲン循環レベルの低下を引き起こしながら、なお十分なエストロゲン産生を残して例えば、骨量への有害効果を回避する。
【0032】
理論に拘束されることを意図しないが、本発明による化合物は、アロステリックFSHRアンタゴニストであるので、循環エストロゲンレベルの低下によるフィードバック阻害の喪失によりFSH循環レベルの上昇に対する感度が低くなるという事実により、エストロゲンの循環レベルを最適に制御することができる。さらに、FSHRアンタゴニストの用量漸増により、FSHRシグナル伝達、したがって有効性(エストロゲン減少)と副作用(最小レベルの残留エストロゲン)との間のバランスに対する二次レベルの制御が可能になるだろう。
【0033】
GnRHR(アンタ)アゴニスト治療レジメンと対照的に、FSHRアンタゴニストの耐容性が高いことにより、6ヶ月を超える期間の治療が可能になる。
【0034】
定義で使用する用語(1〜3C)アルキルは、1〜3個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキル基を意味し、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルがある。
【0035】
用語(1〜4C)アルキルは、1〜4個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキル基を意味し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルがある。
【0036】
用語(1〜6C)アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルがある。(1〜5C)アルキル基が好ましく、(1〜4C)アルキルが最も好ましい。
【0037】
用語(1〜4C)アルコキシは、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味し、アルキル部分は前に定義するのと同じ意味を有する。(1〜3C)アルコキシ基が好ましい。
【0038】
用語(1〜8C)アルコキシは、1〜8個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味し、アルキル部分は前に定義するのと同じ意味を有する。(1〜4C)アルコキシ基が好ましく、(1〜3C)アルコキシ基が最も好ましい。
【0039】
用語(1〜6C)アルキルカルボニルは、アルキルカルボニル基を意味し、そのアルキル基は1〜6個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0040】
用語(2〜6C)アルケニルは、エテニル、2−ブテニルおよびn−ペンテニルなどの、2〜6個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルケニル基を意味する。
【0041】
用語(2〜6C)アルケニルカルボニルは、アルケニルカルボニル基を意味し、そのアルケニル基は2〜6個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0042】
用語(3〜6C)アルケノキシは、アルケノキシ基を意味し、そのアルケニル基は3〜6個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0043】
用語(2〜6C)アルキニルは、エチニル、プロピニルおよびn−ペンチニルなどの、2〜6個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキニル基を意味する。
【0044】
用語(2〜6C)アルキニルカルボニルは、アルキニルカルボニル基を意味し、そのアルキニル基は2〜6個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0045】
用語(3〜6C)シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどの、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。
【0046】
用語(3〜6C)シクロアルキルカルボニルは、シクロアルキルカルボニル基を意味し、そのシクロアルキル基は3〜6個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0047】
用語(3〜6C)シクロアルキコキシは、シクロプロポキシ、シクロブトキシおよびシクロペントキシなどの、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基を意味する。
【0048】
用語(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシは、シクロアルキルアルコキシ基を意味し、そのシクロアルキル基は3〜6個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有し、そのアルコキシ基は1〜4個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0049】
用語(2〜6C)ヘテロシクロアルキルは、可能な場合には窒素、または炭素原子を介して結合され得る、N、Oおよび/またはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、2〜6個の炭素原子、好ましくは3〜5個の炭素原子を有するヘテロシクロアルキル基を意味する。好ましいヘテロ原子はNまたはOである。ヘテロ原子の好ましい数は1個または2個である。最も好ましいのはピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イルおよびピペラジン−1−イルである。
【0050】
用語(3〜6C)ヘテロシクロアルキルは、可能な場合には窒素、または炭素原子を介して結合され得る、N、Oおよび/またはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、3〜6個の炭素原子、好ましくは3〜5個の炭素原子を有するヘテロシクロアルキル基を意味する。好ましいヘテロ原子はNまたはOである。ヘテロ原子の好ましい数は1個または2個である。最も好ましいのはピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イルおよびピペラジン−1−イルである。
【0051】
用語(3〜6C)ヘテロシクロアルキル(1〜4C)アルコキシは、ヘテロシクロアルキルアルコキシ基を意味し、そのヘテロシクロアルキル基は1〜3個のヘテロ原子を含む3〜5個のC原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有し、そのアルコキシ基は1〜4個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0052】
用語(3〜6C)ヘテロシクロアルコキシは、ヘテロシクロアルコキシ基を意味し、そのヘテロシクロアルキル基は1〜3個のヘテロ原子を含む3〜5個のC原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0053】
用語(2〜8C)ヘテロアリールは、2〜8個の炭素原子および1〜4個のN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を有する芳香族基、例えば、イミダゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フリルまたはインドリルを意味する。ヘテロ原子の好ましい数は1個または2個である。好ましいヘテロアリール基は、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、フリルおよびピリジニルである。最も好ましいのはチエニル、フリルおよびピリジニルである。(2〜8C)ヘテロアリール基は可能であれば、炭素原子または窒素原子を介して結合していてもよい。
【0054】
本明細書で使用する用語(ジ)[(1〜4C)アルキル]アミノは、各々1〜4個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有するアルキル基で一置換または二置換されたアミノ基を意味する。
【0055】
用語(ジ)[(1〜4C)アルキル]アミノカルボニルは、(ジ)アルキルアミノカルボニル基を意味し、そのアルキル基はそれぞれ、1〜4個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0056】
用語フェニル(1〜4C)アルコキシは、フェニルアルコキシ基を意味し、そのアルコキシ基は1〜4個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0057】
用語(2〜8C)ヘテロアリール(1〜4C)アルコキシは、ヘテロアリールアルコキシ基を意味し、そのヘテロアリール基は2〜8個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有し、そのアルコキシ基は1〜4個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0058】
用語(2〜8C)ヘテロアリールカルボニルは、ヘテロアリールカルボニル基を意味し、そのヘテロアリール基は2〜8個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0059】
用語(2〜6C)ヘテロシクロアルキルカルボニルは、ヘテロシクロアルキルカルボニル基を意味し、そのヘテロシクロアルキル基は2〜6個の炭素原子を含有し、前に定義するのと同じ意味を有する。
【0060】
用語ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0061】
用語「置換されている」は、指定原子上の1個または複数の水素が、指定基からの選択で置き換えられていることを意味し、但し、既存の状況下での指定原子の通常の結合価を超えず、置換により安定な化合物がもたらされる。置換基および/または変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な純度の程度までの単離、および有効な治療剤への製剤化に生き残ることができるほど十分に堅牢な化合物を意味する。
【0062】
用語「置換されていてもよい」は、特定された基、ラジカルまたは部分による任意の置換を意味する。
【0063】
多官能基についての上記定義では、結合点は最後の基にある。
【0064】
用語薬学的に許容される塩は、医学判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなくヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比と釣り合った塩を表す。薬学的に許容される塩は当技術分野で周知である。これらは、本発明の化合物の最終単離および精製中に、あるいは遊離塩基官能基を塩酸、リン酸もしくは硫酸などの適当な鉱酸と、または例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、グリコール酸、コハク酸、プロピオン酸、酢酸、メタンスルホン酸などの有機酸と反応させることにより別に得ることができる。酸官能基を、有機または鉱物塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウムと反応させることができる。
【0065】
一態様では、本発明は、式I(式中、R2はフェニル、(1〜6C)アルキル、(2〜8C)−ヘテロアリール、(1〜8C)アルコキシ、(3〜6C)シクロアルコキシであり、その全てのアルキルまたはアルコキシ部分はR10から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、そのフェニルまたはヘテロアリール部分はR12から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または式中、R2は(2〜6C)アルケニル、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、フェニル(1〜4C)アルコキシまたは(2〜8C)ヘテロアリール(1〜4C)アルコキシである)による化合物に関する。
【0066】
別の態様では、本発明は、式I(式中、R13、R14およびR15はHである)による化合物に関する。
【0067】
なお別の態様では、本発明は、式I(式中、R6がR7と結合している場合、nは1である)による化合物に関する。
【0068】
なお別の態様では、本発明は、式I(式中、R2はフェニル、(1〜6C)アルキル、(2〜8C)−ヘテロアリール、(1〜8C)アルコキシ、(3〜6C)シクロアルコキシであり、その全てのアルキルまたはアルコキシ部分はR10から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、そのフェニルまたはヘテロアリール部分はR12から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または式中、R2は(2〜6C)アルケニル、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシまたはフェニル(1〜4C)アルコキシである)による化合物に関する。
【0069】
なお別の態様では、本発明は、式I(式中、R6はヒドロキシ、ハロゲン、シアノまたはH、または(1〜6C)アルキル、(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニル、(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシであり、そのアルキルまたはアルコキシ部分はR10から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R6はR7と共に、−O−(CH)n−O−(nは1〜3であり、CH部分は1つまたは複数の(1〜3C)アルキル置換基で置換されていてもよい)である)による化合物に関する。
【0070】
R6はまたR7と結合して(3〜6C)シクロアルキル環を形成してもよい。
【0071】
なお別の態様では、本発明は、式I(式中、R7はヒドロキシ、Hである、または
R7は(1〜6C)アルキル、(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニル、(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、(2〜6C)ヘテロシクロアルキルカルボニル、(ジ)[1〜4C]アルキルアミノカルボニルまたは(2〜6C)ヘテロシクロアルキルであり、そのアルキル、アルコキシまたは(ヘテロ)シクロアルキル部分はR11から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R7は(2〜8C)ヘテロアリール、フェニル、フェニル(1〜4C)アルコキシ、(2〜8C)ヘテロアリール(1〜4C)アルコキシであり、そのフェニルまたはヘテロアリール部分はR11から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、または
R7はR6と共に、−O−(CH)n−O−(nは1〜3であり、CH部分は1つまたは複数の(1〜3C)アルキル置換基で置換されていてもよい)である)による化合物に関する。
【0072】
R7はまたR6と(3〜6C)シクロアルキル環で結合してもよい。
【0073】
別の態様では、本発明は、式I(式中、R6はヒドロキシ、H、ハロゲン、シアノである、または式中、R6は(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)アルケノキシであり、そのアルキルまたはアルコキシ部分はR10から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい)による化合物に関する。
【0074】
さらに、R6はR7と共に、−O−(CH)−O−(CH部分は1つまたは複数の(1〜3C)アルキル置換基で置換されていてもよい)であってもよい。
【0075】
あるいは、R7はヒドロキシである、またはR7は(1〜4C)アルコキシ、(3〜6C)アルケノキシ、(3〜6C)シクロアルキル(1〜4C)アルコキシ、(2〜6C)ヘテロシクロアルキルカルボニル、(ジ)[1〜4C]アルキルアミノカルボニルまたは(2〜6C)ヘテロシクロアルキルであり、そのアルキル、アルコキシまたは(ヘテロ)シクロアルキル部分はR11から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。R7はまた(2〜8C)ヘテロアリールであってもよく、またはR7はR6と共に、−O−(CH)−O−(CH部分は1つまたは複数の(1〜3C)アルキル置換基で置換されていてもよい)である。
【0076】
本発明はまた、式I(式中、R6およびR7は独立して、(1〜4C)アルコキシまたは(3〜6C)アルケノキシである、またはR6はR7と共に、−O−(CH)−O−である)による化合物に関する。
【0077】
本発明はまた、式I(式中、R6中の任意の置換基R10はヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、(1〜4C)アルコキシ、(1〜4C)アルキル、アミノカルボニルまたは(ジ)[1〜4C]アルキルアミノである)による化合物に関する。
【0078】
本発明はまた、式I(式中、R7中の任意の置換基R11はヒドロキシ、(1〜4C)アルコキシ、(ジ)[1〜4C]アルキルアミノまたは(1〜4C)アルキルである)による化合物に関する。
【0079】
本発明はまた、式I(式中、R2中の任意の置換基R12はヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、(1〜4C)アルコキシ、(1〜4C)アルキル、アミノカルボニルまたは(ジ)[1〜4C]アルキルアミノである)による化合物に関する。
【0080】
なお別の態様では、本発明は、実施例1〜57に記載される、選択される式Iによる化合物にある。
【0081】
本発明はまた、上記の本発明の種々の態様のX、Y、R2、R6、R7、R8、R13、R14およびR15についての全ての指定が式Iによる化合物の定義中任意の組み合わせで起こる化合物に関する。
【0082】
別の態様では、本発明は、5以上のpIC50を有する式Iの化合物に関する。なお別の態様では、本発明は、7より大きいpIC50を有する式Iによる化合物に関する。
【0083】
当業者であれば、望ましいIC50値が試験する化合物に依存することを認識するだろう。例えば、10−5M未満のIC50値を有する化合物は、一般的に薬物選択の候補とみなされる。好ましくは、この値は10−7Mより低い。しかしながら、より高いIC50値を有するが、特定の受容体に選択的である化合物が、より優れた候補になることさえあり得る。
【0084】
性腺刺激ホルモン受容体アゴニストおよびアンタゴニストの受容体結合または生物学的活性を決定するためのインビトロアッセイは周知である。一般に、受容体を発現する細胞を試験する化合物と共にインキュベートし、結合または機能的反応の刺激もしくは阻害を決定する。機能的反応を測定するために、FSH受容体遺伝子、好ましくはヒト受容体をコードする単離DNAを適当な宿主細胞株で発現させる。このような宿主細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣細胞株とすることができるだろうが、他の細胞株も使用することができる。好ましくは、宿主細胞は哺乳類起源のものである(Jiaら(1991)Mol Endocrinol 5、759〜776)。
【0085】
FSH受容体発現細胞株を構築する方法は、当技術分野で周知である(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、最新版)。受容体の異種発現は、所望のタンパク質をコードするDNAのトランスフェクションおよび発現により得られる。部位特異的突然変異誘発、追加の配列のライゲーション、PCRおよび適当な発現系の構築のための技術も当技術分野で周知である。所望のタンパク質をコードするDNAの一部または全部を、標準的固相技術を使用して合成的に構築して、好ましくはライゲーションしやすくするために制限部位を含めることができる。含まれるコード配列の転写および翻訳に適した調節エレメントを、DNAコード配列に提供することができる。周知のように、細菌などの原核宿主および酵母、植物細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、哺乳動物細胞などの真核宿主を含む多種多様な宿主と適合性の発現系が利用可能である。
【0086】
次いで、受容体を発現する細胞を試験化合物と共にインキュベートして結合または機能的反応の刺激もしくは阻害を決定する。あるいは、発現した受容体を含有する単離細胞膜を使用して化合物の結合を測定してもよい。
【0087】
結合を測定するために、放射活性−または蛍光−標識化合物を使用してもよい。あるいは、競合結合アッセイを行ってもよい。FSH受容体アンタゴニスト化合物を、受容体媒介cAMP蓄積を決定することを含むスクリーニングアッセイで同定することもできる。このような方法は、FSH受容体を宿主細胞株で発現させるステップと、細胞を一定の最大下有効FSH濃度(すなわち、試験化合物の非存在下でのFSHによる最大cAMP蓄積の約80%を誘導するFSH濃度)の存在下で一定濃度範囲の試験化合物と共にインキュベートするステップとを含む。その後、cAMPの量を測定する。濃度−効果曲線から、IC50値およびFSH−誘導cAMP蓄積の阻害の割合を化合物の各々について決定することができる。アゴニストとして、ヒト組換えFSHを使用することができる。
【0088】
FSH受容体発現細胞株中のcAMPレベルの直接測定に加えて、細胞株にその発現がcAMPの細胞内濃度に依存するレポーター遺伝子をコードする第2のcDNAをトランスフェクトすることができる。このようなレポーター遺伝子はcAMP−誘導可能であり得る、または新規なcAMP応答エレメントと結合するよう構築され得る。一般に、レポーター遺伝子発現は、細胞内cAMPレベルの変化に反応する任意の応答エレメントにより制御され得るだろう。適当なレポーター遺伝子は、例えば、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ホタルルシフェラーゼおよび緑色蛍光タンパク質をコードする遺伝子である。このようなトランス活性化アッセイの原理は、当技術分野で周知であり、例えば、Stratowaら(1995)Curr Opin Biotechnol 6、574に記載されている。細胞内cAMPレベルの変化を、生細胞cAMPバイオセンサーアッセイ、例えば、ルシフェラーゼの変異形に融合するcAMP結合ドメインを用いた遺伝子コードバイオセンサーを使用するGloSensor(商標)cAMPアッセイ、またはバイオセンサーとしてcAMP−開口型イオンチャネルを利用するACT One(商標)cAMPアッセイで決定してもよい。アンタゴニスト化合物を、アゴニスト占有受容体へのβ−アレスチンの受容体誘導リクルートメントに基づくアッセイ(例えば、Transfluor(登録商標)アッセイ、PathHunter(登録商標)およびTango(商標)β−アレスチンアッセイ)または受容体インターナリゼーションアッセイ(例えば、PathHunter(登録商標)エンドサイトーシスアッセイ)で同定してもよい。ラベルフリーアッセイを適用してFSH受容体アンタゴニストをスクリーニングしてもよい。これらのアッセイは、細胞内内容物の受容体誘導動的質量再分布または細胞形態もしくは接着の受容体誘導変化に基づく(Van Koppen(2010)Drug Discovery tb7,69)。
【0089】
式Iの化合物は、同様に本発明の範囲にある塩を形成することができる。特段の指示がない限り、本明細書における式Iの化合物への言及は、その塩の言及を含むと理解される。
【0090】
式Iの化合物は、非対称またはキラル中心を含有するので、異なる立体異性型で存在し得る。式(I)の化合物の全ての立体異性型ならびにラセミ混合物を含むその混合物が、本発明の一部を形成することが意図されている。さらに、本発明は、全ての幾何異性体および位置異性体を包含する。例えば、式(I)の化合物が二重結合または縮合環を組み込む場合、シス型とトランス型の両方、ならびに混合物が本発明の範囲に包含される。
【0091】
ジアステレオマー混合物を、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶などの当業者に周知の方法によりその物理的化学的差異に基づいてその個々のジアステレオマーに分けることができる。適当な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールまたはモッシャー酸塩化物などのキラル補助)と反応させることによりエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換する(例えば、加水分解する)ことにより、エナンチオマーを分離することができる。また、式(I)の化合物のいくつかはアトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であってもよく、本発明の一部とみなされる。エナンチオマーを、キラルHPLCカラムを使用することにより分離することもできる。
【0092】
式Iの化合物は異なる互変異性型で存在することも可能であり、全てのこのような型は本発明の範囲に包含される。また、例えば、化合物の全てのケト−エノールおよびイミン−エナミン型が本発明に含まれる。
【0093】
エナンチオマー型(非対称炭素が存在しない場合でさえ存在し得る)、回転異性体型、アトロプ異性体およびジアステレオマー型を含む、種々の置換基上の非対称炭素により存在し得るものなどの、本化合物(化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグならびにプロドラッグの塩、溶媒和物およびエステルのものを含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)が、位置異性体のように本発明の範囲に熟慮される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まなくてもよいし、例えば、ラセミ体としてまたは他の全てのもしくは他の選択された立体異性体と混和されていてもよい。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 推奨により定義されるSまたはR立体配置を有することができる。
【0094】
本発明の化合物は、水和物または溶媒和物を形成してもよい。荷電化合物が水を用いて凍結乾燥した場合に水和種を形成する、または適当な有機溶媒を含む溶液中で濃縮した場合に溶媒和種を形成することが当業者に知られている。本発明の化合物は、化合物のプロドラッグ、水和物または溶媒和物を含む。
【0095】
プロドラッグの議論は、A.C.S.Symposium SeriesのT.HiguchiおよびV.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)14、およびBioreversible Carriers in Drug Design、(1987)Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon PressおよびJana Sら、Current Med.Chem.17、3874〜3908、2010に提供されている。用語「プロドラッグ」は、生体内で変換されて式Iの化合物または化合物の薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物をもたらす化合物(例えば、薬物前駆体)を意味する。変換は、例えば、血液中での加水分解を通すなどの種々の機構により(例えば、代謝または化学的過程により)起こり得る。プロドラッグの使用の議論は、T.HiguchiおよびW.Stella、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S.Symposium Seriesの第14巻により、またBioreversible Carriers in Drug Delivery、編Edward B.Roche、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987に提供されている。
【0096】
本発明の1種または複数の化合物は、非溶媒和型ならびに水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒による溶媒和型で存在してもよく、本発明が溶媒和型と非溶媒和型の両方を包含することが意図される。「溶媒和物」は、本発明の化合物と1個または複数の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を含む様々な程度のイオンおよび共有結合を含む。特定の例では、溶媒和物は、例えば、1個または複数の溶媒分子が結晶固体の結晶格子に組み込まれると、単離することが可能となるだろう。「溶媒和物」は、溶液相と単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適当な溶媒和物の非限定的例としては、エタノレート(ethanolate)、メタノレート(methanolate)などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0097】
用語「塩」、「溶媒和物」、「エステル」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体またはプロドラッグの塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグに等しく適用されることが意図される。
【0098】
本発明はまた、薬学的に許容される補助剤および任意の他の治療剤との混和物で、一般式Iを有する化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。補助剤は、組成物の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに有害でないという意味で「許容され」なければならない。
【0099】
本発明はさらに、1種または複数の他の薬物と組み合わせた式Iの化合物を含む。
【0100】
組成物は、全て投与用の単位用量型の、例えば、経口、舌下、皮下、静脈内、筋肉内、経鼻、局所または直腸投与などに適したものを含む。
【0101】
経口投与のために、有効成分を、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤などの個別単位として与えてもよい。
【0102】
非経口投与のために、本発明の医薬組成物を、単位用量または複数回用量容器中に与えてもよく(例えば、密閉バイアルおよびアンプル中の所定量の注射液)、使用前に滅菌液体担体、例えば、水を添加することのみを要するフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保管してもよい。
【0103】
例えば、標準的参考文献、Gennaro,A.R.ら、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(第20版、Lippincott Williams&Wilkins、2000、特に第5部:Pharmaceutical Manufacturing参照)に記載されているように、このような薬学的に許容される補助剤と混合して、活性剤を丸剤、錠剤などの固体用量単位に圧縮、またはカプセル剤もしくは坐剤に加工してもよい。薬学的に許容される液体を用いて、活性剤を流体組成物として、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液の形態の注射製剤として、またはスプレー、例えば、鼻用スプレーとして施用することができる。
【0104】
固体用量単位を製造するために、充填剤、着色剤、高分子バインダーなどの従来の添加剤を使用することが熟慮される。一般に、活性化合物の機能に干渉しない任意の薬学的に許容される添加剤を使用することができる。本発明の活性剤を固体組成物として投与することができる適当な担体には、適量で使用される、乳糖、デンプン、セルロース誘導体などまたはこれらの混合物が含まれる。非経口投与のために、薬学的に許容される分散剤および/またはプロピレングリコールもしくはブチレングリコールなどの湿潤剤を含有する、水性懸濁剤、等張食塩水液および滅菌注射液を使用してもよい。
【0105】
本発明はさらに、上記のように、前記医薬組成物に適した包装材料と組み合わせた、医薬組成物であって、前記包装材料は前記のように使用するための組成物の使用についての説明書を含む医薬組成物を含む。
【0106】
有効成分、またはその医薬組成物の正確な用量および投与レジメンは、特定の化合物、投与経路、および年齢ならびに医薬品を投与する個々の被験体の状態により変化し得る。
【0107】
一般に、非経口投与は、吸収により依存する他の投与方法よりも要する用量が低い。しかしながら、ヒトのための用量は、好ましくは体重1kg当たり0.0001〜100mgを含有する。所望の用量を、1用量としてまたは1日中適当な間隔で投与される複数の分割用量(subdose)として与えてもよい。用量ならびに投与レジメンは、女性と男性レシピエントとの間で異なり得る。
【0108】
一般式Iの化合物中、原子はその天然同位体存在度を示し得る、あるいは原子の1個または複数は、同じ原子番号であるが天然に主に見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する特定の同位体を人工的に富ませたものであり得る。本発明は、一般式Iの化合物の全ての適当な同位体バリエーションを含むこととされる。例えば、水素(H)の異なる同位体型には、プロチウム(H)および重水素(H)が含まれる。プロチウムは、天然に見られる主な水素同位体である。重水素の富化は、生体半減時間の増加または用量必要量の減少などの特定の治療上の利点を与えることができる、または生物学的試料の特性評価の標準として有用な化合物を提供することができる。一般式I内の同位体富化化合物は、当業者に周知の従来技術により、あるいは適当な同位体富化試薬および/または中間体を使用した本明細書中のスキームおよび実施例に記載されるものと類似のプロセスにより、過度の実験によらないで調製することができる。
【0109】
本開示は、FSH受容体に対する選択的調節活性を示す低分子量化合物の調製を記載する。本発明の化合物をFSH受容体の(部分的)アンタゴニストとして使用することができる。
【0110】
そのため、本発明は、子宮内膜症を治療および/または予防するため、閉経前および周閉経期ホルモン依存性乳がんを治療および/または予防するため、避妊するため、ならびに子宮類線維症および機能不全性不正子宮出血などの他の月経関連障害を治療するための手段としてのFSHRアンタゴニストに関する。
【0111】
したがって、本発明による化合物を療法に使用することができる。
【0112】
本発明のさらなる態様は、FSH受容体媒介疾患を治療するための、本発明による化合物またはその薬学的に許容される塩の使用にある。
【0113】
本発明の別の態様は、FSHR媒介シグナル伝達が、特に、FSHRを拮抗することによりシグナル伝達を阻害することができる疾患で役割を果たす疾患を治療するための、一般式Iを有する化合物またはその薬学的に許容される塩の使用にある。これらは、それだけに限らないが、子宮内膜症を治療および予防すること、閉経前および周閉経期ホルモン依存性乳がんを治療および予防すること、避妊すること、ならびに子宮類線維症および機能不全性不正子宮出血などの他の月経関連障害を治療することを含む。
【0114】
本発明のさらなる実施形態では、本発明による化合物を使用して、用量漸増によりエストロゲンの循環レベルを改善して制御し、それによって有効性と副作用との間のバランスに対する最適な制御を可能にすることにより子宮内膜症を治療する。さらに、FSHRとの選択的な的を射た相互作用は、LHR媒介シグナル伝達および関連するテストステロン産生を妨害しないだろう。耐容性が改善することにより、本発明による化合物は、避妊法に精通した患者集団の疾患の初期段階で、好ましくは経口投与経路による、単純で有効な治療を提供することもできる。経口治療は、医薬製剤の本発明による化合物を投与することにより利用可能である。本発明による化合物を用いた治療中、定期的出血を部分的または完全に回避することができる(無月経を含む)。これは、逆行性月経を減少または予防し、それによって疾患の再発を最小化するので、子宮内膜症の治療に特に有用である。
【0115】
本発明による化合物を避妊するために使用することもできる。本発明による化合物は、ほとんど委縮性のまたは不活性の子宮内膜を誘発しながら、治療および避妊効果を有する。それによって、この治療により、子宮内膜増殖または過形成が回避される。本発明による化合物は、類線維腫および機能不全性不正子宮出血などの他の月経関連状態の治療にも有用である。さらに、本発明によると、エストロゲンの循環レベルを低下させる化合物の特性に照らして、本発明による化合物はまた、閉経前および周閉経期女性において、単独でまたはタモキシフェンなどのエストロゲン受容体アンタゴニストもしくはフルベストラントなどの選択的エストロゲン受容体下方制御剤(downregulator)と組み合わせた、エストロゲン受容体陽性乳がんの治療に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
図1図1は、IBMXを含む培地中、recFSHまたは250mU/ml recFSHと組み合わせた実施例58の試験化合物と共に48時間インキュベートし、引き続いてIBMXを含まない培地中、10μMテストステロンと共に2時間インキュベートした後のヒト顆粒膜細胞の培養物上清中のエストラジオール(E2)濃度(ng/mL)(n=3;平均値±標準誤差)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0117】
本発明の化合物を調製するための適当な方法を以下に概説する。
【0118】
ここで、本発明者らは、一般式I(X〜Y、R2、R6〜R8およびR10〜R15は前に定義するのと同じ意味を有する)の化合物を記載する。R2およびR6〜R8についてのR基のナンバリングは、以下に示す9,10−ジヒドロフェナントレンのナンバリングに基づいて、骨格に対する置換基の位置を指す。
【0119】
【化2】
一般式I−a(X−Y=CHCH)の9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミドは、PG=保護基を有する一般式IIの誘導体を脱保護することにより入手可能である。ほとんどの場合、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基などのシリルエーテルによる1級水酸基官能基の保護は、反応条件(下記参照)と適合性であるが、(置換)トリチルまたはベンジルエーテルなどの他の水酸基保護基を想起してもよい。TBDMS基は、化合物IIをフッ化物イオン(例えば、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム)で処理することにより容易に除去することができるが、(任意の水酸基保護基により)保護された水酸基官能基のアンマスキングにより化合物I−aに到達することは、当業者の標準的合成レパートリーの一部とみなされる。関連する保護基操作は、T.W.Greeneら、Greene’s protective groups in organic synthesis、第4版、John Wiley&Sons、Hoboken、NJ、2007に記載されている。
【0120】
【化3】
必要な置換基R2を一般式IIの化合物に導入することは、例えば、一般式IIIの2−トリフラートに基づいて、有機パラジウム触媒を使用した、有機金属触媒変換により達成することができる。置換基R2を導入するための有効な方法論は、周知のSuzuki、StilleおよびSonogashiraカップリング反応を含む。R2がケトン官能基(例えば、R2=(ヘテロ)アリールカルボニル)を含有する一般式IIの化合物は、THFなどの非プロトン性溶媒中でのLDAまたはLiHMDSなどの強非求核性塩基による(低温での)金属交換反応、引き続く適当な(商業的に入手可能な)塩化アシル(R2−Cl)によるクエンチにより、一般式IIIのトリフラートから始める9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド骨格のC−2でのアニオン生成により入手可能である。
【0121】
【化4】
一般式IIIの2−O−トリフラートは、一般構造IVの誘導体中のフェノール置換基の標準的トリフラート化により入手可能である。典型的反応手順では、一般式IVのフェノールをジクロロメタンまたはTHFなどの非プロトン性溶媒に溶解し、トリエチルアミンなどの適当な塩基の存在下、トリフリン酸無水物(triflic anhydride)で処理する。同様に、R2=(シクロ)アルコキシである一般式II−aの誘導体を調製することができる。室温または高温で非プロトン性溶媒中、ハロゲン化シクロアルキルと炭酸カリウム、水酸化ナトリウムまたはトリエチルアミンなどの適当な塩基とを使用した標準的アルキル化により、所望の2−O−アルキル化誘導体II−aが得られる。
【0122】
【化5】
一般構造IVの3−カルボキサミドは、当業者に周知の方法を使用して、一般構造Vのカルボキシラートと一般式VIの保護化トリプトファノール誘導体の縮合により調製することができる。例えば、VとVIの反応は、(商業的に入手可能な)ペプチドカップリング剤、例えば、DCC、TBTU、HATU、EEDC等とDiPEAなどの適当な塩基の存在下、THFまたはジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒中で行うことができる。同様に、必要なカルボキシラートVを、標準的鹸化により一般式VIIの対応するメチルエステルから得ることができる。したがって、高温または室温でEtOHまたはジオキサン/水混合物中、メチルエステルVIIをNaOHで処理することにより、カルボキシラートVが得られる。
【0123】
【化6】
代替様式では、上記のような、9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキシル骨格上の必要なR2置換基の導入(例えば、III→IIまたはIV→II−a)を、(メチル)エステル段階で達成することもできる。したがって、IV→II−aの変換について上記のように、直接O−アルキル化によるフェノールエステルVIIの変換により、官能化エステルIX(R2=(シクロ)アルコキシ)が得られる。したがって、IV→IIIの変換について記載のO−トリフラート化、引き続く、例えば、Suzuki、StilleおよびSonogashiraカップリングプロトコル(上記参照)などの、有機パラジウム触媒を使用することによる、有機金属触媒変換により、官能化エステルIXが入手できる。
【0124】
【化7】
一般式VIIの誘導体からの化合物I−aの調製について上に概説した合成戦略に基づいて、エステルIXを一般式I−aの最終生成物に変換することもできる。この経路のための反応ステップは、上記のもの(VII→I−a)と同一または極めて類似である。しかしながら、ここでは、必要な置換基R2をプロトコルのより早い段階で導入し、合成プロセスを通して変化しないまま保つ。
【0125】
【化8】
VII中の9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキシル骨格の構築は、シリルエノールエーテルXおよびビス−シリル化アセト酢酸メチルXIから始めて、ルイス酸触媒環化縮合反応を使用して行うことができる。典型的には、一般式Xのシリルエノールエーテルを低温(−78℃)でオルトギ酸トリメチルに溶解し、そこにTiClをルイス酸触媒として添加する。関連する変換は、T.H.Chanら、J.Am.Chem.Soc.102、3534〜3538(1980)に記載されている。
【0126】
【化9】
必要なシリルエノールエーテルXおよびXIは、THFなどの非プロトン性溶媒中LiHMDSまたはn−BuLi/TMEDAなどの強塩基による脱プロトン化およびその後のTMS−Clによるクエンチにより、一般式XIIのそのそれぞれのβ−テトラロン前駆体または商業的に入手可能な部分シリル化類似体XIIIから調製することができる。
【0127】
【化10】
一般構造XIIのβ−テトラロンは、商業的に入手可能である、または一般式XVのアリール酢酸前駆体から調製することができる。ケトンXIIに到達するための一般的方法は、酸XVの塩化オキサリルによる処理、およびその後のAlClなどの強ルイス酸の存在下での得られた塩化アシルとエテンの反応、およびNaHSOによるクエンチによりβ−テトラロン前駆体XIVを得ることである。KCOなどの適当な塩基の存在下で確実に亜硫酸を除去すると、ケトンXIIを入手できる。
【0128】
【化11】
X−Y=CH−Oである一般式I−bの6−H−ベンゾ[c]クロメン誘導体は、標準的ぺプチドカップリングプロトコルにより、カルボキシラートXVIおよびトリプトファノール誘導体XVIIから調製することができる。例えば、XVIとXVllの反応は、(商業的に入手可能な)ペプチドカップリング剤、例えば、DCC、TBTU、HATU、EEDC等とDiPEAなどの適当な塩基の存在下、THFまたはジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒中で行うことができる。このような変換は、当業者によく知られているとみなされる。
【0129】
【化12】
同様に、必要なカルボキシラートXVIを、標準的鹸化により一般式XVIIIの対応するメチルエステルから得ることができる。したがって、高温または室温でEtOHまたはジオキサン/水混合物中、メチルエステルXVIIIをNaOHで処理することによりカルボキシラートXVIが得られる。
【0130】
【化13】
置換基R2の性質に応じて、この媒介物質を中心骨格に導入することを、(メチル)エステル段階で実施することができる。このために、R2を、一般式IXの化合物の調製について上記の種々の方法を使用して導入することができる。したがって、VII→IXの変換について上記のように、直接O−アルキル化によるフェノールエステルXXの変換により、官能化エステルXVIII(R2=(シクロ)アルコキシ)が得られる。同様に、VII→VIIIの変換について記載のようなフェノール誘導体XXのO−トリフラート化によりトリフラートXIXが入手できる。確実に例えば、Suzuki、StilleおよびSonogashiraカップリングプロトコル(上記)などの、有機パラジウム触媒を使用した有機金属触媒変換を行うことにより、一般式XVIIIの官能化エステルが得られる。
【0131】
【化14】
一般構造XXのフェノールエステルは、R2=イソプロポキシである一般式XVIII−aのイソプロポキシ前駆体の脱アルキル化により容易に得ることができる。このような変換は、当業者に周知であり、ジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒中、XVIII−aをAlClなどの適当なルイス酸で処理することにより実現することができる。関連する直交保護基操作は、T.W.Greeneら、Greene’s protective groups in organic synthesis、第4版、John Wiley&Sons、Hoboken、NJ、2007に記載されている。
【0132】
【化15】
必要な6−H−ベンゾ[c]クロメン骨格は、Heck型分子内ビアリールカップリング反応を介して一般構造XXIのベンジルエーテルから構築することができる。したがって、THFなどの適当な溶媒中でのPd(OAc)などのパラジウム(II)触媒を使用した臭化物XXIの環化により、一般式XVIIIの構造中に存在する三環系が得られる。閉環反応の位置選択性は、環置換基R2の空間配向および立体的かさ高さに大いに支配されることに留意することが重要である。関連する分子内ビアリールカップリング反応は、K.C.Majumdarら、Synthesis 9、793〜800(2009)に記載されている。
【0133】
【化16】
ベンジルエーテルXXIは、適当な塩化ベンジルXXIIによる一般式XXIIIのフェノールのO−アルキル化により入手可能である。典型的実験では、フェノールXXIIIの脱プロトン化を、塩化ベンジルXXIIとの効率的反応をもたらすDMF中でNaHにより行う。
【0134】
【化17】
置換基R6〜R8に応じて、塩化ベンジルXXIIは、商業的に入手可能であり得る、または当業者に知られており、文献に詳細に記載されている基本的順序の反応ステップにより入手可能であり得る。
【0135】
【化18】
例えば、ベンジルアルコールXXVは、酢酸中での臭素による処理後にオルト−臭素化を受け(付随するO−アセチル化も起こり得るので、アセチル基を鹸化により後で除去することができる)、臭化物XXIVを提供することができる。その後のXXIV中のベンジル水酸基の塩素化は、DMF中塩化チオニルによる処理により容易に行われる。あるいは、必要な芳香族前駆体の商業的入手性に応じて、臭化物XXVIに、水などの適当な溶媒中、高温で、ホルムアルデヒドおよび塩酸などの標準的クロロメチル化条件を使用して、クロロメチル基を備えさせることができる。関連するクロロメチル化反応は、J.M.Heemstraら、Organic Letters 8、5441〜5443、2006に報告されている。
【0136】
【化19】
フェノール誘導体XXIIIは、R2の性質に応じて、商業的に入手可能である、または当業者に周知の標準的官能基変換により調製することができる。したがって、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)エーテル(上記)などの適当なヒドロキシル保護基による商業的に入手可能な2−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸メチルの官能化によりエステルXXVIIIが得られる。その後の例えば、Suzuki、StilleおよびSonogashiraカップリングプロトコル(上記)などの有機パラジウム触媒を使用した、有機金属触媒変換を用いたR2の導入により、一般式XXVIIの官能化エステルが得られる。最後に、上に報告する条件を使用したXXVII中のヒドロキシル保護基のアンマスキングにより、必要なフェノールエステルXXIIIが入手できる。
【0137】
【化20】
X−Y=C(O)−Oである一般式I−cの化合物は、ベンジル位の酸化により、一般式XVIIIの前記メチルエステルから入手可能である。典型的実験では、エステルXVIIIをアセトニトリル/水などの適当な溶媒混合物に溶解し、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキソピペリジニウムテトラフルオロボレートなどの適当な酸化剤により処理して一般式XXIXのラクトンを得る。関連する変換は、J.A.Teske、Organic Letters 10、2195〜2198、2008に報告されている。
【0138】
ラクトンXXIXを、上に描写する合成順序(例えば、IX→I−aまたはXVIII→I−b)を使用してさらに処理して一般式I−cの標的化合物を得ることができる。メチルエステルの鹸化のために上記条件を使用すると、XXIX中のラクトン環は加水分解を受けにくいことに留意することが重要である。
【0139】
当業者であれば、一般式Iの化合物に到達するための上に描写した変換は、メチルエステルの代わりに長鎖アルキル(例えば、エチル、プロピル、ブチル等)エステルである場合で同一であり、シントンの選択は適当な官能化試薬の(商業的)入手性により導かれることを認識するだろう。
【0140】
【化21】
一般式Iの化合物を合成するために、テーラーメード官能化中間体を利用して、上に示すアプローチ全体を使用した。これは、必要な置換基R2およびR6〜R8(ここでは、Rのナンバリングは骨格中の原子の数表現を指す)に応じて、必要な置換基を合成の始めに決まった場所にもってくる(すなわち、R2=R2’、R6=R6’等)、または一般式Iの生成物の合成の過程で好都合であると判断された任意の段階で導入することを意味する。その場合、R2’、R6’〜R8’として示される適当な代替官能基を最初に一般式XXXの構造に導入し、これにより1つまたは複数の追加の操作で所望のR2およびR6〜R8に変換すること(すなわち、上に示すXXXのIへの変換)が可能になり、R2およびR6〜R8は前に定義するのと同じ意味を有する。このような変換は、ほとんどの場合、遊離ヒドロキシル官能基と適合性でないので、XXXで示すような適当なヒドロキシル保護基の存在が必要とみなされることに留意することが重要である。適当なヒドロキシル保護基は、tert−ブチル−ジメチルシリル基(TBDMS基)などのシリルエーテルを含み、これを当業者に周知の標準的条件(すなわち、ジクロロメタンまたはTHFなどの非プロトン性溶媒中、ピリジンまたはDiPEAなどの適当な塩基を使用したTBDMS−Clによる処理)を使用して導入する。このようなシリルエーテルは、一般式Iの標的誘導体をもたらす合成順序の好都合とみなされる任意の段階で酸またはフッ化物イオン(フッ化tert−ブチルアンモニウム、TBAF)処理により脱保護することができる。適当な保護基操作の概要は、T.W.Greeneら、Greene’s protective groups in organic synthesis、第4版、John Wiley&Sons、Hoboken、NJ、2007に見出だすことができる。
【0141】
同様に、一般式Iの化合物に向けた合成プロトコルのより早い段階での置換基の操作を一般式XXXIのエステルに行うことができ、ここではR2’およびR6’〜R8’を上記のようにR2およびR6〜R8に変換して一般式IX(X−Y=CHCH)、XVIII(X−Y=CH−O)またはXXIX(X−Y=C(O)−O)の誘導体を得ることができる。
【0142】
【化22】
一般的に、標的骨格のC2およびC6〜C8位で置換基を操作するために、ハロゲン原子、例えば、臭素、ヨウ素またはトリフラートを使用することができる。トリフラートも、同様に、アルコキシ基として初期前駆体中に存在することができ、例えば、BBrを使用した脱アルキル化、およびその後の例えば、トリフリン酸無水物を使用したトリフラート化の後に、さらなる操作に必要なツール化合物を提供する。芳香族ハロゲン化物またはトリフラートを、周知の有機金属反応、例えば、Ullman−、Suzuki−、Stille−、Sonogashira−、Heck−およびBuchwald−プロトコルを介して炭素−炭素単、二重および三重結合、炭素窒素結合(アニリンおよびアミド)ならびにニトリルを含有する置換基に変換することができる。これらのアプローチは、例えば、テーラーメード複素環構造(例えば、ボロナートまたはスタナン)のカップリングにより、複素環構造を骨格の特定の位置に接続するのに特に有用である。
【0143】
芳香環上の置換基(R6〜R8)は、通常、単環前駆体(例えば、XV、XXVまたはXXVI)中に既に導入することができ、これらをさらなる合成プロセスを通して変化しないまま保つことができる。
【0144】
【化23】
一般構造XVIIのトリプトファノール誘導体は、商業的に入手可能である、または商業的に入手可能な3−シアノメチルインドールXXXIXから一連の反応ステップで調製することができる。任意選択により、純粋なトリプトファノールVIIを、当業者に周知のキラルカラムを用いたHPLCなどのキラル分離技術を使用してその対応するジアステレオマー混合物XXXIIから調製することができる。トリプトファノールXXXIIは、ボラン錯体またはLiAlHなどの還元剤を使用して、その対応するアミノ酸前駆体XXXIIIから入手可能である。同様に、アミノ酸XXXIIIを、トリフルオロ酢酸またはHClなどの強酸による処理により、そのN−ブトキシカルボニル(Boc)−保護前駆体XXXIVから得ることができる。誘導体XXXIV中の必要なアミノ酸骨組は、ヒダントインXXXVの塩基性加水分解後に得られる。この変換のための典型的条件は、高圧および高温下でのBa(OH)である。XXXV中のヒダントイン部分は、シアン化カリウムの存在下で炭酸アンモニウムによりアルデヒドまたはケトンXXXVIを処理することにより導入することができる。
【0145】
【化24】
R13=HであるアルデヒドXXXVI−aは、低温(−50℃)でトルエン中DIBAL−Hを使用したシアニドXXXVIIの部分的還元により得ることができる。ケトンXXXVI−bは、当業者に周知の2段階手順を介してアルデヒドXXXVI−aから入手可能である。したがって、XXXVI−aと、銅塩の存在下、商業的に入手可能なアルキルマグネシウムまたはアルキルリチウム試薬との(または、代わりに、アルキル銅塩との)反応、引き続く2級アルコール部分の酸化(Swern型酸化またはDess−Martinペルヨージナンなどの種々の酸化プロトコルを使用する)により、XXXVI−bを入手できる。
【0146】
【化25】
シアニドXXXVIIを、同様に、シアノメチル誘導体XXXVIIIの単一または二重アルキル化により調製することができる。典型的手順では、NaHまたはLDAなどの強塩基を、アルキル供与体としてのハロゲン化アルキルと共にジエチルエーテルなどの不活性溶媒に使用する。1,2−ジクロロエタンまたは1,4−ジブロモブタンなどのジハロゲン化アルキルを使用する場合、R14およびR15が共にシクロアルキル環を形成する。XXXVIIIは、文献に詳細に記載されている方法を使用して商業的に入手可能なXXXIXのBoc−保護により入手可能である。典型的には、tert−ブトキシカルボニル無水物(BocO)を、Tetrahedron 65、9015〜9020(2009)に記載されているように、(4−ジメチルアミノピリジン、DMAPと組み合わせて)トリエチルアミンなどの適当な塩基の存在下でジクロロメタンなどの適当な溶媒に使用してBoc保護基でXXXIXを官能化する。
【0147】
本発明の化合物はFSH受容体活性を阻害する。本発明の全ての化合物は、5以上のpIC50を有する。好ましいのは7より大きいpIC50を有する化合物である。
【0148】
本発明を以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0149】
一般注釈
以下の略語を実施例に使用する:DCM=ジクロロメタン、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、HCl=塩化水素、NaHCO=炭酸水素ナトリウム、MgSO=硫酸マグネシウム、THF=テトラヒドロフラン、LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、NaSO=硫酸ナトリウム、DME=ジメトキシエタン、LC−MS=液体クロマトグラフィー−質量分析、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、CHCN=アセトニトリル、MeCN=アセトニトリル、LDA=リチウムジイソプロピルアミド、TMSCl=トリメチルシリルクロリド、Pd/C=パラジウム炭素、HATU=2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、TLC=薄層クロマトグラフィー、OTBDMS=tert−ブチルジメチルシリルエーテル、CHCl=クロロホルム、DMSO=ジメチルスルホキシド
実施例に記載する最終生成物の名称は、ChemDrawバージョン9.01の構造ツールへの変換名を使用して作成した。
【0150】
【化26】
実施例1
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−2−フェニル−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
(a).2−ヒドロキシ−5,6,7−トリメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−スルホン酸
塩化オキサリル(14.7g)を10分にわたって3,4,5−トリメトキシフェニル酢酸(23.8g)のDCM(400ml)およびDMF(5滴)中溶液に添加した。混合物を周囲温度で18時間撹拌した。溶媒を真空下で除去するとオレンジ色油が得られ、これをDCM(100ml)に再溶解し、次いで、5℃で塩化アルミニウム(43.3g)のDCM(1.0L)中溶液に添加した。混合物を5℃で10分間撹拌した後、エチレンガスを、1時間混合物を通して穏やかに泡立たせた。粗反応混合物を氷/水に注ぎ、20分間激しく撹拌した。有機相を分離し、2N HCl水溶液、飽和NaHCO水溶液および食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過した。溶媒を真空下で除去すると暗色油が得られ、これを酢酸エチル(60ml)に再溶解した。水(60ml)中亜硫酸水素ナトリウム(28.6g)を混合物に添加し、18時間撹拌した。沈殿を濾過により除去し、酢酸エチルで洗浄し、真空下で乾燥させた。
収量:8.26g
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):9.92(1H,s),6.50(1H,s),4.75(1H,s),3.80−3.67(9H,m),3.15(1H,d,J=17.11Hz),2.78−2.62(2H,m),2.09−2.01(1H,m),1.87−1.76(1H,m),1.31(1H,s)。
【0151】
(b).5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−2(1H)−オン
1N炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)を中間体1a(10.0g)の酢酸エチル(300ml)中溶液に添加し、室温で3時間激しく撹拌した。有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで真空下で濃縮した。
収量:6.35g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):6.46(1H,s),3.91−3.82(9H,m),3.62−3.40(2H,m),3.05(2H,t,J=6.71Hz),2.55−2.48(2H,m)。
【0152】
(c).トリメチル(5,6,7−トリメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルオキシ)シラン
n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液、12.8ml)を、ジイソプロピルアミン(3.20g)のTHF(105ml)中0℃溶液に滴加した後、−78℃に冷却した。中間体1b(4.95g)を−78℃でLDAの溶液に添加した。反応混合物をこの温度で2時間撹拌した。クロロトリメチルシラン(3.46g)を−78℃で反応混合物に添加し、さらに30分間撹拌した後、周囲温度で1時間にわたって加温させた。溶媒を真空下で除去すると暗茶色油が得られ、これをイソヘキサンに溶解した。混合物を、セライトを通して濾過し、濾過ケークをイソヘキサンにより洗浄した。合わせた濾液を濃縮乾固した。
収量:6.13g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):6.35−6.27(1H,m),5.63(1H,s),3.87−3.83(9H,m),2.88(2H,t,J=8.36Hz),2.35−2.30(2H,m),0.30(9H,t,J=3.40Hz)。
【0153】
(d).(Z)−4−メトキシ−2,2,8,8−テトラメチル−6−メチレン−3,7−ジオキサ−2,8−ジシラノン−4−エン
LiHMDS(45.3ml、THF中1.0M)を5分にわたってメチル3−(O−トリメチルシリル)ブテン−2−オアート(6.09g)のTHF(61ml)中−78℃溶液に添加した。オレンジ色溶液を−78℃で1時間撹拌し、次いで、クロロトリメチルシラン(7.05g)を添加し、反応混合物をさらに30分間撹拌した。反応混合物を1時間にわたって周囲温度に加温させた後、溶媒を真空下で除去した。残渣をイソヘキサンで研和し、液を、セライトを通して濾過し、濃縮乾固した。
収量:11.79g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):4.30(1H,s),3.97(1H,d,J=1.38Hz),3.76(1H,d,J=1.35Hz),3.38(3H,s),0.12−0.02(9H,m),0.04(9H,s
(e).2−ヒドロキシ−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル
オルトギ酸トリメチル(2.11g)をDCM(65ml)に溶解し、−78℃に冷却した。四塩化チタン(3.78g)を添加し、黄色混合物を−78℃で5分間撹拌した後、中間体1C(6.13g)のDCM(65ml)中−78℃溶液を添加した。暗色混合物を−78℃で2時間撹拌し、その時にさらなる分割量の四塩化チタン(3.78g)、引き続いて1d(9.84g)を添加した。暗色混合物を−78℃で40分間撹拌し、次いで、1時間にわたって室温に加温させた。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウムおよび水の溶液に注ぎ入れ、10分間撹拌し、セライトを通して濾過した。フィルターパッドをDCMでよく洗浄し、濾液層を分離した。有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮すると暗赤色油が得られ、これをガソリンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:3.25g
MS(ESI)m/z:345(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):10.78(1H,s),8.09(1H,s),7.05(1H,s),6.89(1H,s),4.04−3.86(12H,m),2.83(4H,s)。
【0154】
(f).2−ヒドロキシ−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸
水酸化ナトリウム(15ml、2N)を中間体1e(3.25g)のエタノール(65ml)中溶液に添加し、混合物を1時間85℃に加熱した。溶媒を真空下で除去すると暗色油が得られ、これを酢酸エチルと1N HCl水溶液との間で分配した。有機相を疎水性フリットに通過させた後、真空下で濃縮した。
収量:3.27g
MS(ESI)m/z:331(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):10.47(1H,s),8.17(1H,s),7.08−7.04(1H,m),6.92−6.87(1H,m),4.05−3.82(9H,m),2.87−2.81(4H,m),2.16(1H,s)。
【0155】
(g).(R)−N−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−ヒドロキシ−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.70g)を、中間体1f(3.10g)および2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド(1.57)のDMF(60ml)中溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した後、化合物1j(2.86g)を一度に添加した。混合物をさらに1時間撹拌し、次いで、水および飽和炭酸水素ナトリウムの溶液の溶液を45分にわたって添加した。混合物をさらに45分間撹拌した後、固体を、シンターを通した濾過により回収した。回収した固体を水で洗浄し、空気中で一晩乾燥させた。
収量:1.40g。
MS(ESI)m/z:617(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):12.62(1H,s),8.06(1H,s),7.85(1H,d,J=7.86Hz),7.45(1H,s),7.40(1H,d,J=8.05Hz),7.27−7.10(3H,m),6.89(2H,d,J=6.41Hz),6.79(1H,d,J=8.43Hz),4.59(1H,d,J=7.87Hz),3.97−3.86(9H,m),3.78(1H,dd,J=9.92,2.83Hz),3.73−3.67(1H,m),3.28−3.11(2H,m),2.91−2.74(4H,m),1.05−0.89(9H,m),0.12(6H,d,J=5.83Hz)。
【0156】
(h).(R)−3−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イルカルバモイル)−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−2−イルトリフルオロメタンスルホナート
トリエチルアミン(0.41g)を中間体1g(1.25g)のDCM(65ml)中0℃溶液に添加した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.74g)を0℃で2分にわたって添加し、オレンジ色溶液を30分にわたって室温に加温させた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を混合物に添加し、室温で15分間撹拌した。有機相を分離し、疎水性フリットに通過させることにより乾燥させた。溶媒を真空下で除去するとオレンジ色油が得られ、これをガソリンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:1.14g
MS(ESI)m/z:749(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.08(1H,s),8.02(1H,s),7.91(1H,d,J=7.81Hz),7.38(1H,d,J=8.00Hz),7.25−7.09(5H,m),6.71(1H,d,J=8.04Hz),4.55(1H,s),3.95(6H,d,J=1.43Hz),3.90(3H,s),3.75(1H,dd,J=10.02,2.52Hz),3.69−3.64(1H,m),3.26−3.22(1H,m),3.19−3.14(1H,m),2.88(4H,s),0.96(9H,s),0.09(6H,d,J=8.77Hz)。
【0157】
(i).(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−2−フェニル−9、10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(12.3g)を、窒素下で中間体1h(75mg)、炭酸カリウム(26.6mg)およびフェニルボロン酸(14.5mg)の1,2−ジメトキシメタン:水の10:1混合物(1.54ml)中脱気溶液に添加した。反応混合物を窒素ガスでさらに15分間脱気した後、密閉して18時間90℃に加熱した。暗色反応混合物を酢酸エチルと水との間に分配し、セライトを通した濾過した。濾液層を分離し、水相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮乾固すると、暗茶色油が得られた。粗油をTHF(2ml)に再溶解した後、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1N、0.3ml、0.30mmol)を添加して2時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、次いで、残渣を酢酸エチルと水との間に分配した。水相を再抽出し、合わせた有機相を疎水性フリットに通過させることにより乾燥させた。溶媒を真空下で除去すると暗茶色油が得られ、これをガソリンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:47mg
MS(ESI)m/z:563(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.00(1H,s),7.99(1H,s),7.70−7.64(1H,m),7.57−7.51(1H,m),7.50−7.32(6H,m),7.21−7.15(2H,m),7.09(1H,ddd,J=8.02,6.95,0.99Hz),6.83(1H,d,J=2.31Hz),5.54(1H,d,J=7.55Hz),4.30−4.21(1H,m),3.96(3H,s),3.94(3H,s),3.89(3H,s),3.44−3.37(2H,m),2.89−2.79(4H,m),2.71(2H,d,J=7.02Hz),2.00(1H,t,J=5.80Hz)。
【0158】
(j).(R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−アミン
D−トリプトファノール(1.024g)およびイミダゾール(403mg)のDCM(40ml)およびTHF(8ml)中溶液に、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(0.852g)のDCM(5ml)中溶液を滴加した。反応物を一晩室温に加温させた。反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、反応混合物をジクロロメタンで抽出した。水相をジクロロメタンで洗浄し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、ヘプタンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:1.11g。
MS(ESI)m/z:305(M+H)
実施例2
2−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物2を実施例1について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:581(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.02(2H,d,J=9.40Hz),7.69−7.62(1H,m),7.58−7.42(2H,m),7.36−7.26(2H,m),7.22−7.04(5H,m),6.91(1H,d,J=2.33Hz),5.74(1H,d,J=7.32Hz),4.31−4.24(1H,m),3.94(6H,s),3.88(3H,s),3.50−3.45(2H,m),2.86(4H,s),2.77(2H,d,J=6.99Hz),2.29−2.23(1H,m)。
実施例3
2−(2,3−ジフルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物3を実施例1について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:599(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.05(1H,s),7.95(1H,s),7.70−7.52(2H,m),7.35(1H,d,J=8.13Hz),7.20(2H,t,J=7.89Hz),7.12−6.98(4H,m),6.93(1H,d,J=2.28Hz),5.81(1H,d,J=7.19Hz),4.32−4.25(1H,m),3.94(6H,d,J=3.25Hz),3.89(3H,s),3.54(2H,t,J=4.84Hz),2.88−2.80(6H,m),2.41(1H,t,J=5.43Hz)。
実施例4
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−2−(チオフェン−2−イル)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物4を実施例1について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:569(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.11(1H,s),7.88(1H,s),7.68−7.50(3H,m),7.45(1H,td,J=7.60,2.86Hz),7.21−7.05(4H,m),7.01(1H,dd,J=5.13,3.52Hz),6.87(1H,d,J=2.30Hz),5.88(1H,d,J=7.42Hz),4.37−4.28(1H,m),3.93(6H,s),3.88(3H,s),3.62−3.49(2H,m),2.87−2.80(6H,m),2.40(1H,t,J=5.67Hz)。
実施例5
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−2−(3−メチルチオフェン−2−イル)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物5を実施例1について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:583(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.16(1H,s),8.07(1H,s),7.61(1H,d,J=7.90Hz),7.33(1H,t,J=8.09Hz),7.27−7.23(1H,m),7.21−7.15(3H,m),7.10(1H,t,J=7.50Hz),6.95(1H,d,J=2.28Hz),6.90(1H,d,J=5.12Hz),5.87(1H,d,J=7.51Hz),4.36−4.28(1H,m),3.95(3H,s),3.94(3H,s),3.89(3H,s),3.55−3.41(2H,m),2.98−2.75(4H,m),2.76(2H,d,J=7.18Hz),2.25(1H,s),2.08(3H,s)。
実施例6
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7,8−トリメトキシ−2−(2−メトキシピリジン−3−イル)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物6を実施例1について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:594(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.15(1H,dd,J=5.03,1.89Hz),8.01(2H,s),7.60(1H,d,J=7.92Hz),7.49(1H,dd,J=7.19,1.93Hz),7.34(1H,t,J=8.13Hz),7.21−7.14(2H,m),7.12−7.07(2H,m),6.92−6.88(2H,m),5.96(1H,d,J=7.33Hz),4.28−4.24(1H,m),3.96−3.87(12H,m),3.45(2H,s),2.85(4H,s),2.76(2H,d,J=7.04Hz),2.32(1H,s)。
【0159】
【化27】
実施例7
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−イソプロポキシ−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
(a).2−イソプロポキシ−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル
2−ブロモプロパン(60mg)を中間体1e(100mg)および炭酸カリウム(126mg)のDMF(1ml)中溶液に添加し、次いで、混合物を18時間90℃に加熱した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルと水との間に分配した。水相を酢酸エチルで再抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮乾固した。
収量:100mg
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.06(1H,s),7.05(1H,s),6.92−6.82(1H,m),4.67−4.52(1H,m),3.96−3.85(12H,m),2.82(4H,t,J=5.92Hz),1.42−1.36(6H,m)。
【0160】
(b).2−イソプロポキシ−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸
水酸化ナトリウム(0.5ml、水中2N)を中間体7a(100mg)のエタノール(2ml)中溶液に添加し、次いで、混合物を18時間80℃に加熱した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルと1N HCl水溶液との間に分配した。水相を酢酸エチルで再抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮乾固した。
収量:78mg
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.46(1H,s),7.12(1H,s),6.96−6.90(1H,m),4.95−4.86(1H,m),3.98−3.83(9H,m),2.85(4H,s),1.52(6H,d,J=6.11Hz)。
【0161】
(c).(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−イソプロポキシ−6,7,8−トリメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボキサミド塩酸塩(60mg)を、中間体7b(78mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(29mg)およびジイソプロピルエチレンアミン(67mg)のDMF(2ml)中溶液に添加した。反応混合物を30分間撹拌した後、D−トリプトファノール−OTBDMS(70mg)を添加した。反応混合物をさらに18時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルと水との間に分配し、水相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮乾固した。粗油をTHF(1ml)に溶解した後、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1N、0.5ml)を添加し、72時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルと水との間に分配した。水相を酢酸エチルで再抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮乾固した。粗油を、ガソリンおよび増加する量の酢酸エチルを用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:75mg。
MS(ESI)m/z:545(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.63−8.53(2H,m),8.08(1H,s),7.72(1H,d,J=7.86Hz),7.36(1H,d,J=8.07Hz),7.22−7.07(4H,m),6.80(1H,s),4.73−4.64(1H,m),4.57(1H,s),3.94(3H,s),3.91(3H,s),3.87(3H,s),3.85−3.80(1H,m),3.80−3.72(1H,m),3.22−3.07(2H,m),2.90−2.73(4H,m),2.73(1H,s),1.29(3H,d,J=6.04Hz),1.23(3H,d,J=6.04Hz)。
【0162】
【化28】
実施例8
(R)−2−(シクロプロピルメトキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
(a).2−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル
化合物8aを、化合物1eについて記載するのと類似の様式であるが、2−(3,4−ジメトキシフェニル)酢酸から始めて調製した。
【0163】
(b).2−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸
8a(5.7g)のTHF(100ml)中溶液に、室温で水(100ml)中水酸化リチウム水和物(7.0g)を添加した。混合物を3時間50℃に加熱した後、室温に冷却させた。pHを1N HCl水溶液でpH1に調整し、生成物を酢酸エチルに抽出した。水相を酢酸エチルで再抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。酢酸エチルで研和することにより、淡茶色固体が得られた。
収量:5.07g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):10.39(1H,s),8.17(1H,s),7.25(1H,s),6.92(1H,s),6.77(1H,s),4.01(3H,s),3.94(3H,s),2.94−2.80(4H,m)。
【0164】
(c).(R)−N−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(4.23g)を、中間体酸8b(5.30g)および2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド(2.45g)のDMF(55ml)中溶液に添加した。反応物を2.5時間撹拌した後、化合物1j(5.36g)を一度に添加した。混合物を室温でさらに1時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム(20ml)の水(150ml)中混合物を45分にわたって添加した。混合物を室温で45分間撹拌すると、白色固体が沈殿し、これを濾過により除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。
収量:10g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):12.59(1H,s),8.06(1H,s),7.85(1H,d,J=7.85Hz),7.45−7.36(2H,m),7.26−7.10(3H,m),7.06(1H,s),6.89(1H,s),6.85−6.75(2H,m),4.61−4.55(1H,m),3.94(6H,d,J=1.68Hz),3.78(1H,dd,J=10.05,2.74Hz),3.73−3.67(1H,m),3.28−3.11(2H,m),2.87−2.78(4H,m),0.99(8H,s),0.12(6H,d,J=6.06Hz)。
【0165】
(d).(R)−2−(シクロプロピルメトキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
メチルシクロプロピルブロミド(14.4mg)を、中間体1c(50mg)および炭酸カリウム(11.8mg)のDMF(1ml)中溶液に添加した。反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分配した。有機相を分離し、水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮すると茶色油が得られた。粗油をTHF(0.8ml)に溶解した後、フッ化テトラブチルアンモニウムのTHF(150μL)中1N溶液を添加し、2時間撹拌した。反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分配し、有機相を分離し、疎水性フリットに通過させ、次いで、真空中で濃縮した。粗油を、水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCにより精製した。
収量:39mg
MS(ESI)m/z:527(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.63(1H,d,J=7.17Hz),8.54(1H,s),8.03(1H,s),7.69(1H,d,J=7.88Hz),7.39−7.33(2H,m),7.22−7.16(1H,m),7.15−7.07(2H,m),6.73(2H,d,J=2.80Hz),4.60(1H,t,J=6.31Hz),3.97(3H,s),3.91(3H,s),3.89−3.74(4H,m),3.21−3.11(2H,m),2.86−2.77(5H,m),1.09−1.00(1H,m),0.56−0.50(2H,m),0.31−0.20(2H,m)。
実施例9
(R)−2−(シクロペンチルオキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物9を実施例8について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:541(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.55(1H,s),8.50(1H,d,J=7.38Hz),8.01(1H,s),7.72(1H,d,J=7.88Hz),7.38−7.34(2H,m),7.22−7.17(1H,m),7.15−7.09(2H,m),6.79(1H,s),6.73(1H,s),4.92−4.87(1H,m),4.58(1H,d,J=7.35Hz),3.97(3H,s),3.91(3H,s),3.86−3.81(1H,m),3.79−3.73(1H,m),3.18−3.12(2H,m),2.88−2.77(4H,m),2.67−2.63(1H,m),1.96−1.82(3H,m),1.75−1.55(5H,m)。
実施例10
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−2−(ペンタン−2−イルオキシ)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物10を実施例8について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:543(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.62−8.53(2H,m),8.01(1H,s),7.72(1H,d,J=7.87Hz),7.38−7.34(2H,m),7.22−7.17(1H,m),7.14(1H,d,J=7.61Hz),7.11(1H,s),6.78(1H,d,J=6.42Hz),6.73(1H,s),4.56(2H,d,J=19.85Hz),3.97(3H,s),3.91(3H,s),3.87−3.82(1H,m),3.77(1H,d,J=10.27Hz),3.18−3.12(2H,m),2.83(4H,d,J=14.32Hz),2.72(1H,d,J=5.54Hz),1.59−1.44(4H,m),1.28+1.17(3H,2xd,J=6.08Hz),0.94−0.82(3H,m)。
実施例11
(R)−2−(ジフルオロメトキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物11を実施例8について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:523(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.35(1H,s),8.07(1H,s),7.73(1H,d,J=7.89Hz),7.38(2H,d,J=7.82Hz),7.30(1H,s),7.24−7.17(1H,m),7.18−7.10(2H,m),6.96(1H,s),6.74(1H,s),6.28(1H,t,J=72.98Hz),4.60−4.54(1H,m),3.96(3H,s),3.92(3H,s),3.90−3.82(1H,m),3.81−3.74(1H,m),3.16(2H,d,J=7.04Hz),2.89−2.79(4H,m),2.67(1H,t,J=5.37Hz)。
実施例12
2−(1−シアノエトキシ)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物12を実施例8について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:526(M+H)
実施例13
(R)−2−(アリルオキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物13を実施例8について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:513(M+H)
実施例14
2−(2−アミノ−1−フルオロ−2−オキソエトキシ)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物14を実施例8について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:548(M+H)
実施例15
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物15を実施例8について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:531(M+H)
実施例16
(R)−2−(ベンジルオキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物16を実施例8について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:563(M+H)
実施例17
(R)−2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物17を実施例8について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:544(M+H)
【0166】
【化29】
実施例18
2−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
(a).(R)−3−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イルカルバモイル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−2−イルトリフルオロメタンルスホナート
化合物18aを、化合物1hについて記載するのと類似の様式であるが、2−(3,4−ジメトキシフェニル)酢酸から始めて調製した。
【0167】
(b).2−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
中間体18a(100mg)、2−フルオロフェニルボロン酸(24mg)および炭酸カリウム(35mg)のDMF:水の10:1混合物中溶液を、30分間穏やかな窒素流を通して泡立たせることにより脱気した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(16.2mg)を添加し、混合物をさらに15分間脱気した後、窒素下で密閉し16時間90℃に加熱した。溶媒を真空下で除去し、残渣をフッ化テトラブチルアンモニウム(154μl)のTHF(1ml)中溶液に再溶解した。混合物を周囲温度で18時間撹拌し、次いで、溶媒を真空下で除去した。残渣をDCMに再溶解し、水で洗浄した。有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮した。粗残渣を水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCにより精製した。
収量:32mg
MS(ESI)m/z:551(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.81(1H,s),8.01(1H,d,J=8.2Hz),7.81(1H,s),7.63(1H,d,J=7.9Hz),7.43(1H,s),7.40−7.29(3H,m),7.26(1H,s),7.23−7.10(3H,m),7.08(1H,t,J=7.5Hz),7.02−6.94(2H,m),4.73(1H,t,J=5.8Hz),4.08−4.01(1H,m),3.90(3H,s),3.85(3H,s),3.50−3.43(1H,m),3.36−3.34(1H,m),2.96(1H,dd,J=14.6,6.1Hz),2.90−2.78(5H,m)
実施例19
(R)−2−(2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物19を実施例18について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:585(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.79(1H,s),7.97(1H,d,J=8.19Hz),7.81(1H,s),7.61(1H,d,J=7.85Hz),7.41(1H,s),7.31(1H,d,J=8.06Hz),7.19−7.13(2H,m),7.04(1H,t,J=7.55Hz),6.94(2H,t,J=10.04Hz),6.45(2H,t,J=9.29Hz),4.73(1H,s),4.07−3.99(1H,m),3.84(6H,d,J=17.14Hz),3.46(1H,dd,J=10.80,4.96Hz),2.98(1H,dd,J=14.51,5.98Hz),2.86−2.75(5H,m)。
実施例20
2−(4−アミノ−2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物20を実施例18について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:566(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.05(1H,s),8.02(1H,s),7.58(1H,d,J=7.9Hz),7.36(1H,d,J=8.1Hz),7.31(1H,s),7.19(1H,td,J=7.6,1.1Hz),7.15−7.03(3H,m),6.92(1H,d,J=2.3Hz),6.75(1H,s),6.40(1H,dd,J=8.2,2.3Hz),6.27(1H,dd,J=11.7,2.3Hz),5.78(1H,d,J=7.4Hz),4.36−4.29(1H,m),3.96(3H,s),3.92(3H,s),3.74(2H,s),3.62−3.50(2H,m),2.89−2.76(6H,m),2.49(1H,t,J=5.7Hz)。
実施例21
2−(3−フルオロピリジン−4−イル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物21を実施例18について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:552(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.42(1H,d,J=1.7Hz),8.37(1H,d,J=4.9Hz),8.04(1H,s),7.86(1H,s),7.62(1H,d,J=7.9Hz),7.37(1H,d,J=8.1Hz),7.28−7.16(4H,m),7.12(1H,dd,J=7.6,1.0Hz),6.96(1H,d,J=2.3Hz),6.77(1H,s),5.91(1H,d,J=7.3Hz),4.37−4.31(1H,m),3.95(3H,s),3.94(3H,s),3.64−3.53(2H,m),2.99−2.81(6H,m),2.32(1H,t,J=5.3Hz)。
実施例22
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−2−(3−メチルブタ−2−エン−2−イル)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物22を実施例18について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:525(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.84(1H,s),8.05−7.63(1H,m),7.71(1H,d,J=7.9Hz),7.76−7.42(1H,m),7.38−7.33(2H,m),7.20(1H,d,J=2.3Hz),7.09(1H,t,J=7.5Hz),7.01(1H,t,J=7.4Hz),6.95(2H,d,J=2.4Hz),4.85(1H,t,J=5.4Hz),4.24−4.16(1H,m),3.88(3H,s),3.83(3H,s),3.56−3.49(1H,m),3.45−3.34(1H,m),3.05−2.89(2H,m),2.79(4H,s),1.86(3H,s),1.71(3H,s),1.44(3H,s)。
実施例23
(R)−2−(5−クロロチオフェン−2−イル)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物23を実施例18について記載するのと類似の様式で調製した。
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.21(1H,s),7.78(1H,s),7.59(1H,d,J=7.9Hz),7.33(1H,d,J=8.1Hz),7.25−7.13(3H,m),7.09(1H,t,J=3.8Hz),6.89(1H,d,J=2.3Hz),6.79(1H,d,J=3.8Hz),6.73(1H,s),6.70(1H,d,J=3.8Hz),6.04(1H,d,J=7.3Hz),4.41−4.31(1H,m),3.91−3.88(6H,m),3.62(2H,d,J=4.5Hz),2.91(2H,d,J=6.9Hz),2.87−2.75(5H,m)。
実施例24
(R)−2−(フラン−2−イル)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物24を実施例18について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:523(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.04(1H,s),7.69(1H,s),7.64(1H,d,J=7.9Hz),7.45−7.42(2H,m),7.34(1H,d,J=8.1Hz),7.23−7.15(2H,m),7.10(1H,t,J=7.50Hz),6.98(1H,d,J=2.3Hz),6.75(1H,s),6.60(1H,d,J=3.4Hz),6.41(1H,dd,J=3.4,1.8Hz),5.98(1H,d,J=7.3Hz),4.51−4.43(1H,m),3.93(6H,d,J=8.0Hz),3.80−3.66(2H,m),3.08−2.96(2H,m),2.92−2.78(4H,m),2.65(1H,t,J=5.5Hz)。
実施例25
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−2−(3−メトキシフェニル)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物25を実施例18について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:563(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):7.99−7.94(2H,m),7.55(1H,d,J=7.9Hz),7.35−7.27(3H,m),7.21−7.14(2H,m),7.09(1H,t,J=7.5Hz),7.02−6.97(2H,m),6.90(1H,dd,J=8.3,2.5Hz),6.83(1H,d,J=2.3Hz),6.76(1H,s),5.60(1H,d,J=7.3Hz),4.28−4.23(1H,m),3.98(3H,s),3.93(3H,s),3.82(3H,s),3.51−3.41(2H,m),2.92−2.82(4H,m),2.73(2H,d,J=7.03Hz),2.21(1H,t,J=5.6Hz)
実施例26
(R)−2−(3−カルバモイルフェニル)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物26を実施例18について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:576(M+H)
実施例27
(R)−2−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物27を実施例18について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:576(M+H)
【0168】
【化30】
実施例28/29
7−(アリルオキシ)−2−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド/6−(アリルオキシ)−2−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
(a).6,7−ジメトキシ−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル
トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.7ml)を、中間体8a(1g)およびトリエチルアミン(0.89ml)のDCM(10ml)中0℃撹拌溶液に滴加した。反応混合物を1.5時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、混合物を十分撹拌した。相を分離し、水層をDCMで再抽出した。合わせた有機相を水および食塩水で洗浄し、疎水性フリットに通過させることにより乾燥させた。溶媒を真空下で除去すると暗茶色油が得られ、これをガソリンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:1.4g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.28(1H,s),7.3(1H,S),7.13(1H,s),6.76(1H,s),3.99(6H,2s),3.93(3H,s),2.95−2.81(4H,m)
(b).2−(2−フルオロフェニル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル
2−フルオロフェニルボロン酸(94mg)および炭酸カリウム(112mg)を、中間体28a(200mg)のジオキサン(3ml)および水(0.3ml)中完全脱酸素溶液に添加した。窒素を流し込んだ後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(34mg)を添加し、反応混合物をさらに60秒間脱気した後、密閉し18時間80℃に加熱した。反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分配した。水相を分離し、酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を水および食塩水で洗浄した後、疎水性フリットに通過させることにより乾燥させた。溶媒を真空下で除去すると粗油が得られ、これをガソリンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:164mg
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.23(1H,s),7.38−7.3(3H,m),7.22−7.20(2H,m),7.16−7.05(1H,m),6.77(1H,s),4.00(3H,s),3.93(3H,s),3.73−3.69(3H,m),2.95−2.82(4H,m),
(28c/29a).2−(2−フルオロフェニル)−7−ヒドロキシ−6−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル/2−(2−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル
三塩化アルミニウム(100mg)を、中間体28bのジクロロエタン(2ml)中溶液に添加し、18時間50℃に加熱した。反応混合物を真空中で濃縮した。残渣をガソリンおよび増加する量の酢酸エチルを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。生成物は位置異性体の混合物からなる。
収量:33mg(位置異性体29a/28c比:2:8の混合物)
(28d/29b).7−(アリルオキシ)−2−(2−フルオロフェニル)−6−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル/6−(アリルオキシ)−2−(2−フルオロフェニル)−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル
塩化アリル(35μL)を中間体29aおよび28c(54mg)と炭酸カリウム(30mg)のDMF(2ml)中溶液に添加した。反応混合物を18時間60℃に加熱し、次いで、周囲温度に冷却させた。混合物を酢酸エチルと水との間に分配し、水相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を水および食塩水で洗浄した後、疎水性フリットに通過させた。溶媒を真空下で除去すると淡茶色残渣が得られ、これをガソリンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:58mg(位置異性体29b/28d比:2:8の混合物)
(28e/29c).7−(アリルオキシ)−2−(2−フルオロフェニル)−6−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸/6−(アリルオキシ)−2−(2−フルオロフェニル)−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸
水酸化ナトリウム(0.75ml、2M、水溶液)を、エタノール(3ml)中中間体29bおよび28dの2:8混合物(58mg)を含有する溶液に添加した。反応混合物を2時間40℃に加熱した。反応混合物を0℃に冷却し、次いで、2M HCl水溶液でpH1に酸性化した後、酢酸エチルに抽出した。有機層を水で洗浄し、次いで、疎水性フリットに通過させることにより乾燥させた。溶媒を真空下で除去した。
収量:56mg(位置異性体29c/28e比:2:8の混合物)
(28f/29d).7−(アリルオキシ)−2−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド/6−(アリルオキシ)−2−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(40.1mg)を、DMF(2ml)中フェノール異性体29cおよび28eの2:8混合物(56mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(19.8mg)ならびにトリエチルアミン(58μL)を含有する溶液に添加した。混合物を5分間撹拌した後、D−トリプトファノール(33.2mg)を添加し、さらに18時間撹拌した。酢酸エチルを添加し、溶液を0.5M HCl水溶液で洗浄し、水層を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水および食塩水で洗浄した後、疎水性フリットに通過させることにより乾燥させた。溶媒を真空下で除去すると淡黄色油が得られ、これを水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCにより精製した。
28f:収量:38mg
MS(ESI)m/z:577(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.17(1H,s),7.97(1H,s),7.64−7.52(1H,m),7.21−7.01(5H,m),6.88(1H,d,J=2.30Hz),6.76(1H,s),6.20−6.05(1H,m),5.78(1H,d,J=7.36Hz),5.48−5.30(2H,m),4.67−4.62(2H,m),4.34−4.20(1H,m),3.92(3H,s),3.46(2H,t,J=4.42Hz),2.92−2.74(6H,m),2.44(1H,t,J=5.50Hz),1.68(1H,s)。
29d:収量:4.5mg
MS(ESI)m/z:577(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.09−7.99(1H,m),7.92(1H,s),7.57(1H,d,J=7.98Hz),7.23−7.03(5H,m),6.93(1H,dd,J=9.51,2.31Hz),6.77(1H,s),6.19−6.08(1H,m),5.74(1H,d,J=7.29Hz),5.46(1H,dd,J=17.25,1.72Hz),5.31(1H,dd,J=10.48,1.53Hz),4.68(2H,d,J=5.51Hz),4.32−4.24(1H,m),3.92(3H,s),3.54−3.47(2H,m),2.92−2.73(6H,m),2.31(1H,t,J=5.68Hz)。
【0169】
【化31】
実施例30/31
2−(2−フルオロフェニル)−7−ヒドロキシ−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド/2−(2−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシ−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
(30a/31a).2−(2−フルオロフェニル)−7−ヒドロキシ−6−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸/2−(2−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸
水酸化ナトリウム(0.75ml、1.50mmol、2M水溶液)を、エタノール(2ml)中フェノール異性体28cおよび29aの2:8混合物(114mg)を含有する溶液に添加した。混合物を18時間50℃に加熱し、次いで、0℃に冷却した後、0.5M HCl水溶液で酸性化した。水相を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機相を水および食塩水で洗浄した後、疎水性フリットに通過させることにより乾燥させた。溶媒を真空下で除去した。
収量:110mg(位置異性体30aおよび31aの混合物)
(30b/31b).2−(2−フルオロフェニル)−7−ヒドロキシ−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド/2−(2−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシ−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(87mg)を、DMF(2ml)中中間体30aおよび31aの2:8混合物(110mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(43mg)ならびにトリエチルアミン(126μL)を含有する溶液に添加した。混合物を5分間撹拌した後、D−トリプトファノール(71.6mg)を添加し、さらに18時間撹拌した。酢酸エチルを添加し、溶液を0.5M HCl水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水および食塩水で洗浄した後、疎水性フリットに通過させることにより乾燥させた。溶媒を真空下で除去すると淡黄色油が得られ、これを水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCにより精製した。
30b:収量:54mg
MS(ESI)m/z:537(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.19(1H,s),7.96(1H,s),7.60−7.52(1H,m),7.33−6.98(9H,m),6.88−6.82(1H,m),6.86−6.68(1H,m),5.9(1H,bs),5.80(1H,d,J=7.40Hz),4.37−4.21(1H,m),3.87(3H,s),3.55−3.40(2H,m),2.8(2H,m),2.75−2.70(4H,m)。
31b:16.4mg
MS(ESI)m/z:537(M+H)
【0170】
【化32】
実施例32
(R)−6−ブロモ−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−イソプロポキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
(a).(6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルオキシ)トリメチルシラン
6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−2(1H)−オン(25g)を、−78℃で5分間、乾燥THF(500ml)中LDA(110ml)で処理した。次いで、TMSCl(21.64g)を添加し、30分後に冷却浴を除去した。室温で1時間後、溶媒を真空中で蒸発させ、残渣をヘプタンに溶解し、濾過して固体粒子を除去した。最後に、ヘプタンを真空中で蒸発させた。
収量:55g(粗)
(b).2−ヒドロキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル
オルトギ酸トリメチル(15.04g)をDCM(1L)に溶解し、−78℃に冷却した。TiCl(26.9g)、引き続いてDCM(100ml)中化合物1d(55g、粗材料、100%変換基準で、テトラロンのシリルエノールエーテルの存在量は35.2gである)を添加した。混合物を−78℃で2時間撹拌した。TiCl(26.9g)、引き続いて化合物32a(80g、粗材料、100%変換基準で存在するジエン量は51.7gである)を添加した。混合物を−78℃で40分間撹拌し、次いで、冷却浴を除去し、反応物を一晩室温に到達させた。混合物をNaHCOの飽和水溶液に注ぎ入れ、セライトパッド上に濾過し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を回収し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をヘプタンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:22.5g
MS(ESI)m/z:285(M+H)
【0171】
(c).2−イソプロポキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル
化合物32b(25.6g)をDMF(500ml)に溶解し、炭酸カリウム(37.3g)および2−ヨードプロパン(77g)を添加し、混合物を70℃で一晩加熱した。反応混合物を、水を添加することによりクエンチし、酢酸エチルで4回抽出した。有機層を回収し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させた。
収量:29g
MS(ESI)m/z:327(M+H)
【0172】
(d).6−ブロモ−2−イソプロポキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸メチル
化合物32c(29g)をDCM(1L)に溶解し、N−ブロモコハク酸イミド(17.4g)で処理した。反応物は暗オレンジ色に変わり、これを室温で一晩撹拌した。反応物を、飽和NaHCO水溶液を添加することによりクエンチし、相を分離し、水層をDCMで2回抽出した。有機層を回収し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。
収量:35g
(e).6−ブロモ−2−イソプロポキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボン酸
化合物32d(35g)をHO/THF=1/1の混合物(700ml)に溶解し、水酸化リチウム(34.5g)を添加し、反応混合物を24時間50℃に加熱した。反応物を、6N HCl水溶液を添加することによりクエンチし、酢酸エチルで3回抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。
収量:24g
(f).(R)−6−ブロモ−N−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−イソプロポキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物32e(22.5g)およびN−ヒドロキシコハク酸イミド(7.28g)をTHF(1L)に溶解し、THF(250ml)中N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(13.05g)を添加した。混合物を2時間撹拌した後、化合物1j(17.5g)を添加した。混合物を一晩撹拌し、その後、飽和NaHCO水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。その後、有機層を水および食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。材料をヘプタンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:26g
(g).(R)−6−ブロモ−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−イソプロポキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
中間体32f(200mg)をTHF(3ml)に溶解した後、フッ化テトラブチルアンモニウムのTHF(300μL)中1.0N溶液を添加し、16時間撹拌した。反応混合物を水と酢酸エチルとの間に分配し、有機相を分離し、疎水性フリットに通過させ、次いで、濃縮乾固した。粗残渣をイソヘキサンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:117mg
MS(ESI)m/z:561、563(M+H)
【0173】
【化33】
実施例33
(R)−6−シアノ−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−イソプロポキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
(a).(R)−6−シアノ−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−2−イソプロポキシ−7−メトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物32f(100mg)の溶液に、脱気DMF(1ml)中シアン化亜鉛(174mg)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(17.1mg)を添加した。反応混合物を窒素雰囲気下18時間120℃に加熱した。反応混合物を酢酸エチルと水との間に分配した。水相を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を水および食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。得られた油をTHF(1ml)に溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウム(0.15ml;1M)を添加した。反応混合物を18時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルと水との間に分配した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。残渣を水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCにより精製した。
収量:44.1mg
MS(ESI)m/z:510(M+H)
【0174】
【化34】
実施例34
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−3−イソプロポキシ−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
(a).4−(2−ブロモ−4,5−ジメトキシベンジルオキシ)−2−ヒドロキシ安息香酸メチル
炭酸カリウム(1.12g)を、2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル(454mg)および2−ブロモ−4,5−ジメトキシベンジルブロミド(1.0g)の乾燥アセトン(80ml)中溶液に添加した。反応混合物を80℃で4時間加熱還流した。溶媒を真空下で除去し、残渣をDCMに再溶解し、水(3×)で洗浄した。有機層を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮した。粗残渣をガソリンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:742mg
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):10.97(1H,s),7.76(1H,d,J=8.8Hz),7.06(1H,s),7.00(1H,s),6.56−6.50(2H,m),5.08(2H,s),3.92(3H,s),3.89(3H,s),3.86(3H,s)。
【0175】
(b).4−(2−ブロモ−4,5−ジメトキシベンジルオキシ)−2−イソプロポキシ安息香酸メチル
炭酸カリウム(166mg)を、中間体34a(238mg)および2−ブロモプロパン(124μl)の乾燥DMF(5ml)中溶液に添加した後、8時間80℃に加熱した。水を添加し、粗生成物を酢酸エチル(3×)に抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮した。残渣をガソリンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:230mg
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):7.82(1H,d,J=8.4Hz),7.05(1H,s),7.00(1H,s),6.60−6.53(2H,m),5.10(2H,s),4.61−4.49(1H,m),3.88(3H,s),3.85(6H,d,J=3.8Hz),1.37(6H,d,J=6.1Hz)。
【0176】
(c).3−イソプロポキシ−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
中間体34b(114mg)および酢酸カリウム(77mg)のジメチルアセトアミド(3ml)中2つの同一溶液を、30分間穏やかな窒素流を通して泡立たせることにより脱気した。ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(18mg)を両反応物に添加し、さらに15分間脱気した。反応管を密閉し、次いで、マイクロ波照射下で75分間130℃に加熱した。両反応混合物を合わせ、水を添加した。混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮した。粗残渣をガソリンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:140mg
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.12(1H,s),7.15(1H,s),6.63(1H,s),6.57(1H,s),5.11(2H,s),4.61−4.50(1H,m),3.97(3H,s),3.90(6H,s),1.40(6H,d,J=6.0Hz)。
【0177】
(d).3−イソプロポキシ−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸
水(0.5ml)中水酸化ナトリウム(46mg)を、中間体34c(136mg)のエタノール(5ml)中溶液に添加した。混合物を1時間80℃に加熱した。溶媒を真空下で除去し、得られた残渣を水に再溶解し、ジエチルエーテル(3×)で洗浄した。水相を4M HCl水溶液で約pH4に酸性化し、水相をDCM(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮した。
収量:110mg
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):10.80(1H,s),8.44(1H,s),7.20(1H,s),6.61(2H,d,J=3.6Hz),5.15(2H,s),4.88−4.74(1H,m),3.98(3H,s),3.90(3H,s),1.51(6H,d,J=6.1Hz)。
【0178】
(e).(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−3−イソプロポキシ−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(92mg)を、中間体34d(110mg)、ジイソプロピルエチレンアミン(167μl)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(65mg)およびD−トリプトファノール(73mg)の乾燥DMF(2ml)中溶液に添加した。混合物を室温で60時間撹拌した。水を添加し、生成物を酢酸エチル(3×)に抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮した。粗残渣を増加する量のメタノールを含有するDCMにより溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:58mg
MS(ESI)m/z:517(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.84(1H,s),8.42(1H,d,J=8.0Hz),8.38(1H,s),7.77(1H,d,J=7.9Hz),7.37(1H,d,J=8.1Hz),7.27(1H,s),7.18(1H,d,J=2.3Hz),7.10(1H,td,J=7.6,1.1Hz),7.01(1H,td,J=7.4,1.0Hz),6.94(1H,s),6.78(1H,s),5.15(2H,s),4.98(1H,t,J=5.1Hz),4.83−4.79(1H,m),4.31−4.27(1H,m),3.91(3H,s),3.82(3H,s),3.55−3.44(2H,m),3.01(2H,d,J=6.7Hz),1.30(6H,dd,J=7.5,6.0Hz)。
実施例35
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−3−イソプロポキシ−8,9−(1’,3’−ジオキソロ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物35を、実施例34について記載するのと類似の様式で、5−ブロモ−6−(ブロモメチル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソールから始めて調製した。
MS(ESI)m/z:501(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.83(1H,s),8.37(1H,d,J=8.0Hz),8.28(1H,s),7.74(1H,d,J=7.9Hz),7.34(1H,d,J=8.1Hz),7.30(1H,s),7.15(1H,d,J=2.3Hz),7.06(1H,dd,J=7.7,1.1Hz),6.98(1H,t,J=7.4Hz),6.89(1H,s),6.76(1H,s),6.06(2H,s),5.08(2H,s),4.96(1H,t,J=5.1Hz),4.81−4.74(1H,m),4.26(1H,s),3.54−3.39(2H,m),2.98(2H,d,J=6.7Hz),1.25(6H,t,J=6.4Hz)。
【0179】
【化35】
実施例36
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
(a).3−ヒドロキシ−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(88mg)を、中間体34a(500mg)および酢酸カリウム(368mg)のジメチルアセトアミド(18ml)中十分脱気溶液に添加した。反応混合物をさらに15分間脱気し、次いで、密閉し、130℃で40分間マイクロ波照射により加熱した。LC−MSにより反応が不完全であることが示されたので、さらなる分割量のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(44mg)を添加し、混合物を15分間窒素で脱気した後、密閉して40分間マイクロ波により130℃に加熱した。LC−MSにより所望の生成物への変換の改善が示されたので、水を添加し、水相を酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を水(3×)で洗浄し、次いで、疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮乾固した。得られた残渣をガソリンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:48mg
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):10.90(1H,s),8.06(1H,s),7.13(1H,s),6.63(1H,s),6.55(1H,s),5.11(2H,s),3.99(3H,s),3.98(3H,s),3.89(3H,s)。
【0180】
(b).8,9−ジメトキシ−3−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
トリフルオロメタンスルホン酸無水物(33μl)を、中間体36a(47mg)およびトリエチルアミン(42μl)のDCM(1ml)中0℃溶液に添加した。混合物を2時間にわたって室温に加温させた。水を添加し、水相をDCM(3×)に抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮乾固した。
収量:57mg
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.32(1H,s),7.19(1H,s),6.85(1H,s),6.64(1H,s),5.20(2H,s),4.00−3.98(6H,m),3.92(3H,s)。
【0181】
(c).3−(2−フルオロフェニル)−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(15mg)を、中間体36b(56mg)、2−フルオロベンゼンボロン酸(28mg)および炭酸カリウム(31mg)のDME:水(2ml)の10:1混合物中脱気溶液に添加した。反応混合物をさらに15分間脱気した後、密閉し、1時間マイクロ波照射により130℃に加熱した。水を添加し、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮乾固した。粗残渣を増加する量の酢酸エチルを含有するガソリンにより溶出させる、クロマトグラフィーにより精製した。
収量:38mg
MS(ESI)m/z:395(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.28(1H,s),7.37−7.28(2H,m),7.25(1H,s),7.21(1H,t,J=7.5Hz),7.09(1H,t,J=9.2Hz),6.92(1H,s),6.66(1H,s),5.17(2H,s),4.00(3H,s),3.93(3H,s),3.70(3H,s)。
【0182】
(d).3−(2−フルオロフェニル)−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸
水(0.2ml)中水酸化ナトリウム(11.4mg)を、中間体36c(38mg)のエタノール(2ml)中溶液に添加し、反応混合物を3時間80℃に加熱した。溶媒を真空下で除去した。残渣を水に再溶解し、ジエチルエーテル(2×)で洗浄した。水相を4M HCl水溶液で約pH3に酸性化し、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮乾固した。
収量:35mg
H NMR δ(ppm)(CHOH−d):7.05(1H,s),6.10−6.00(3H,m),5.92(1H,td,J=7.5,1.0Hz),5.80(1H,t,J=4.7Hz),5.57(2H,d,J=8.1Hz),
(e).3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(26mg)を、中間体36d(34mg)、ジイソプロピルエチレンアミン(47μl)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(18mg)およびD−トリプトファノール(21mg)の乾燥DMF(1ml)中溶液に添加した。混合物を室温で18時間撹拌した。粗反応混合物を濾過し、次いで、水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCにより精製した。
収量:43mg
MS(ESI)m/z:553(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.82(1H,s),7.94−7.87(2H,m),7.63(1H,d,J=7.9Hz),7.42(1H,s),7.40−7.27(3H,m),7.23−7.05(4H,m),7.02−6.95(2H,m),6.91(1H,s),5.17(2H,s),4.72(1H,t,J=5.7Hz),4.07−4.00(1H,m),3.93(3H,s),3.85(3H,s),3.49−3.42(1H,m),3.36−3.28(1H,m),2.94(1H,dd,J=14.5,6.1Hz),2.82(1H,dd,J=14.4,7.4Hz)。
実施例37
3−(2,3−ジフルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物37を実施例36について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:571(M+H)
実施例38
3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物38を実施例36について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:553(M+H)
実施例39
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−3−(3−メチルチオフェン−2−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物39を実施例36について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:555(M+H)
実施例40
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−3−フェニル−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物40を実施例36について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:535(M+H)
実施例41
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−ジメトキシ−3−(2−メチルプロパ−1−エニル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物41を実施例36について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:513(M+H)
【0183】
【化36】
実施例42
(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−3−イソブチル−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
(a).3−イソブチル−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
10%Pd/C(40mg)を、窒素雰囲気下、化合物41c(42mg)のメタノール(5ml)中脱気溶液に添加した。反応混合物を18時間水素雰囲気に供した。NaSOおよび酢酸エチルを添加し、反応混合物を、セライトを通して濾過し、真空中で濃縮した。
収量:40mg
(b).3−イソブチル−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸
2N 水酸化ナトリウム水溶液(0.75ml)を、中間体42a(40mg)のエタノール(4ml)中溶液に添加し、混合物を3時間80℃に加熱した。溶媒を真空下で除去した。残渣を水に再溶解し、ジエチルエーテル(2×)で洗浄した。水相を4M HCl水溶液で約pH3に酸性化し、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮乾固した。
収量:33mg
(c).(R)−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−3−イソブチル−8,9−ジメトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(28mg)を、中間体42b(33mg)、トリエチルアミン(40μl)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(13mg)およびD−トリプトファノール(22mg)の乾燥DMF(1ml)中溶液に添加した。混合物を室温で18時間撹拌した。酢酸エチルを添加し、溶液を0.5M HCl水溶液で洗浄した。水相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水および食塩水で洗浄した後、疎水性フリットに通過させることにより乾燥させた。溶媒を真空下で除去した。残渣をDCMおよび増加する量のメタノールで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:43mg
MS(ESI)m/z:515(M+H)
【0184】
【化37】
実施例43
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8−イソプロポキシ−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
(a).2’−フルオロ−5−ニトロビフェニル−2−カルボン酸メチル
2−ブロモ−4−ニトロ安息香酸メチル(5.20g)、2−フルオロフェニルボロン酸(3.92g)および炭酸カリウム(4.98g)のDMF:水の10:1混合物(120ml)中溶液を、30分間窒素を通して穏やかに泡立たせることにより脱気した。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.32g)を添加し、混合物をさらに10分間脱気した後、窒素下で密閉した。反応混合物を14時間100℃に加熱した。溶媒を真空下で除去した。得られた残渣をDCMに再溶解し、水(2×)で洗浄した。有機相を疎水性フリットに通過させ、次いで、真空下で濃縮乾固した。粗残渣を、増加する量の酢酸エチルを含有するガソリンで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:4.85g
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):8.41(1H,dd,J=8.6,2.4Hz),8.23(1H,d,J=2.4Hz),8.16(1H,d,J=8.6Hz),7.57−7.50(2H,m),7.41−7.31(2H,m),3.72(3H,s)。
【0185】
(b).5−アミノ−2’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸メチル
氷酢酸(70ml)中鉄粉末(5.72g)を、85℃で45分間、オーバーヘッドスターラーを介して高速撹拌で撹拌した。次いで、中間体43a(5.64g)の氷酢酸(70ml)中溶液を10分にわたって少しずつ添加し、混合物を85℃でさらに2時間加熱した。反応混合物を、セライトパッド(熱酢酸で湿らせた)を通して濾過し、これをさらなる熱酢酸、引き続いて酢酸エチルで洗浄した。溶媒を真空下で除去し、残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で、0℃で塩基性化した。水相を酢酸エチル(3×)で抽出し、合わせた有機相を疎水性フリットに通過させた後、真空下で濃縮乾固した。
収量:5.0g
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):7.72(1H,d,J=8.6Hz),7.41−7.35(1H,m),7.24(2H,td,J=3.6,1.6Hz),7.18(1H,dd,J=10.4,8.2Hz),6.63(1H,dd,J=8.6,2.3Hz),6.45(1H,d,J=2.3Hz),6.02(2H,s),3.54(3H,s)。
【0186】
(c).2’−フルオロ−5−ヒドロキシビフェニル−2−カルボン酸メチル
中間体43b(5.0g)の5%硫酸水溶液(100ml)中混合物を氷浴中で冷却した。次いで、亜硝酸ナトリウム(1.54g)の水(16ml)中溶液を滴加し、得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで、18時間60℃に加熱した。混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈した。有機相を分離し、疎水性フリットに通過させ、次いで、真空下で濃縮乾固した。粗残渣を増加する量の酢酸エチルを含有するガソリンで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:3.64g
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.45(1H,s),7.84(1H,d,J=8.6Hz),7.45−7.38(1H,m),7.37−7.20(3H,m),6.92(1H,dd,J=8.6,2.5Hz),6.72(1H,d,J=2.5Hz),3.59(3H,s)。
【0187】
(d).(3−イソプロポキシ−4−メトキシフェニル)メタノール
炭酸カリウム(13.5g)を、3−ヒドロキシ−4−メトキシベンジルアルコール(10.0g)および2−ブロモプロパン(9.15ml)の乾燥DMF(100ml)中溶液に添加し、混合物を72時間加熱還流した。溶媒を真空下で除去した。得られた残渣を水と酢酸エチルとの間に分配した。水相を酢酸エチル(2×)で再抽出し、合わせた有機相を疎水性フリットに通過させた。溶媒を真空下で除去した。
収量:12.22g
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):6.96−6.88(2H,m),6.89−6.83(1H,m),5.08−5.01(1H,m),4.57−4.47(1H,m),4.43(2H,d,J=4.4Hz),3.75(3H,s),1.28(6H,d,J=6.05Hz)。
【0188】
(e).1−ブロモ−2−(ブロモメチル)−4−イソプロポキシ−5−メトキシベンゼン
臭素(4.78ml)を30分にわたって中間体43d(12.2g)の酢酸(40ml)中溶液に滴加し、次いで、反応混合物をさらに16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。濃縮臭素残渣を20%水酸化ナトリウム水溶液で破壊した。粗残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性化し、次いで、DCM(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、次いで、真空下で濃縮乾固した。
収量:20.5g
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):7.29(1H,s),7.20(1H,s),4.72(2H,s),4.61−4.53(1H,m),3.81(3H,s),1.28(6H,d,J=6.1Hz)。
【0189】
(f).5−(2−ブロモ−5−イソプロポキシ−4−メトキシベンジルオキシ)−2’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸メチル
炭酸カリウム(6.10g)を、中間体43c(3.62g)および中間体43e(5.71g)の乾燥アセトン(250ml)中溶液に添加し、次いで、混合物を4時間加熱還流した。溶媒を真空下で除去した。得られた残渣をDCMに再溶解し、水(3×)で洗浄した。有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮乾固した。粗残渣を増加する量の酢酸エチルを含有するガソリンを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:6.0g
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):7.94(1H,d,J=8.7Hz),7.47−7.41(1H,m),7.40(1H,td,J=3.9,1.9Hz),7.34−7.18(5H,m),7.03(1H,d,J=2.6Hz),5.18(2H,s),4.58−4.51(1H,m),3.82(3H,s),3.62(3H,s),1.25(6H,d,J=6.0Hz)。
【0190】
(g).3−(2−フルオロフェニル)−8−イソプロポキシ−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
中間体43f(2.77g)および酢酸カリウム(1.62g)のジメチルアセトアミド(100ml)中2つの別々の溶液を、30分間窒素ガスを通して穏やかに泡立たせることにより脱気した。ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(193mg)を各反応物に添加し、さらに15分間窒素で脱気した。反応混合物を密閉し、40時間100℃に加熱した。反応混合物を合わせ、溶媒を真空下で除去した。水を添加し、水相を酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、次いで、真空下で濃縮乾固した。粗残渣を増加する量のジエチルエーテルを含有するガソリンで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:2.83g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.28(1H,s),7.38−7.27(2H,m),7.27(1H,s),7.20(1H,td,J=7.4,1.2Hz),7.09(1H,t,J=9.2Hz),6.92(1H,s),6.69(1H,s),5.15(2H,s),4.61−4.52(1H,m),3.97(3H,s),3.70(3H,s),1.41(6H,d,J=6.1Hz)。
【0191】
(h).3−(2−フルオロフェニル)−8−イソプロポキシ−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸
水(0.2ml)中水酸化ナトリウム(26mg)を、中間体43g(93mg)のエタノール(2ml)中溶液に添加し、混合物を3時間70℃に加熱した。HPLC分析により、出発物質が存在しないことが示されたので、溶媒を真空下で除去した。粗残渣を水に再溶解し、ジエチルエーテルで洗浄した。水相を2M HCl水溶液でpH3に酸性化し、次いで、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮乾固した。
収量:85mg
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):11.00(1H,s),8.37(1H,s),7.38−7.28(2H,m),7.26−7.25(1H,m),7.19(1H,t,J=7.5Hz),7.07(1H,t,J=9.0Hz),6.90(1H,s),6.68(1H,s),5.15(2H,s),4.63−4.51(1H,m),3.97(3H,s),1.40(6H,d,J=6.1Hz)。
【0192】
(i).3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8−イソプロポキシ−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
中間体43h(82mg)、ジイソプロピルエチルアミン(105μl)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(58mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(41mg)およびD−トリプトファノール(46mg)のDMF(1ml)中溶液を室温で60時間撹拌した。水および酢酸エチルを添加した。水相を酢酸エチル(2×)で再抽出した後、合わせた有機相を疎水性フリットに通過させた。溶媒を真空下で除去し、次いで、粗残渣を水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCで精製した。
収量:70mg
MS(ESI)m/z:581(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.04(1H,s),8.00(1H,s),7.57(1H,d,J=7.9Hz),7.35(1H,d,J=8.1Hz),7.32−7.27(2H,m),7.24(1H,s),7.20−7.13(2H,m),7.11(1H,t,J=3.8Hz),7.05(1H,t,J=9.0Hz),6.92−6.89(2H,m),6.68(1H,s),5.67(1H,d,J=7.3Hz),5.12(2H,s),4.60−4.53(1H,m),4.31−4.24(1H,m),3.93(3H,s),3.51−3.44(2H,m),2.76(2H,d,J=7.0Hz),2.30(1H,t,J=5.7Hz),1.40(6H,d,J=6.1Hz)。
【0193】
【化38】
実施例44
3−(2−フルオロフェニル)−8−ヒドロキシ−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
(a).3−(2−フルオロフェニル)−8−ヒドロキシ−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
中間体43g(2.0g)のDCM(60ml)中溶液を、無水塩化アルミニウム(692mg)のDCM(40ml)中0℃撹拌懸濁液にゆっくり添加し、1時間撹拌した。LC−MS分析により、反応が不完全であることが示されたので、さらなる分割量の無水塩化アルミニウム(692mg)を添加し、混合物を0℃でさらに1時間撹拌した。LC−MS分析により、反応が完了したことが示されたので、激しく撹拌しながら氷水をゆっくり添加することにより混合物をクエンチした。有機相を疎水性フリットに通過させ、真空下で濃縮乾固した。
収量:1.79g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.26(1H,s),7.34−7.28(2H,m),7.25(1H,s),7.20(1H,t,J=7.4Hz),7.09(1H,t,J=9.2Hz),6.92(1H,s),6.73(1H,s),5.76(1H,s),5.13(2H,s),4.02(3H,s),3.69(3H,s)。
【0194】
(b).3−(2−フルオロフェニル)−8−ヒドロキシ−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸
水(0.2ml)中水酸化ナトリウム(46mg)を、中間体44a(145mg)のエタノール(2ml)中溶液に添加し、次いで、混合物を3時間70℃に加熱した。溶媒を真空下で除去した。得られた残渣を水に再溶解し、ジエチルエーテル(5ml)で洗浄した。水相を2M HCl水溶液で約pH3に酸性化し、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、次いで、真空下で濃縮乾固した。
収量:135mg
MS(ESI)m/z:567(M+H)
【0195】
(c).3−(2−フルオロフェニル)−8−ヒドロキシ−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
中間体44b(132mg)、ジイソプロピルエチルアミン(188μl)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(104mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(73mg)およびD−トリプトファノール(82mg)のDMF(1ml)中溶液を室温で60時間撹拌した。水を添加し、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、次いで、真空下で濃縮乾固した。粗残渣を水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCにより精製した。
収量:52mg
MS(ESI)m/z:539(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.82(1H,s),9.46(1H,s),7.90(1H,d,J=8.1Hz),7.86(1H,s),7.63(1H,d,J=7.9Hz),7.41−7.27(4H,m),7.22−7.05(4H,m),6.99(1H,t,J=7.5Hz),6.88(1H,s),6.76(1H,s),5.08(2H,s),4.72(1H,t,J=5.72Hz),4.07−4.00(1H,m),3.94(3H,s),3.50−3.43(1H,m),3.35(1H,m),2.93(2H,ddd,J=8.6,6.1,4.9Hz)。
【0196】
【化39】
実施例45
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−8−(2−メトキシエトキシ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
(a).3−(2−フルオロフェニル)−9−メトキシ−8−(2−メトキシエトキシ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
2−ブロモエチルメチルエーテル(37μl)を、中間体44a(100mg)および炭酸カリウム(72mg)のDMF(2ml)中溶液に添加し、次いで、混合物を16時間60℃に加熱した。水を添加し、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、次いで、真空下で濃縮乾固した。
収量:114mg
MS(ESI)m/z:439(M+H)
【0197】
(b).3−(2−フルオロフェニル)−9−メトキシ−8−(2−メトキシエトキシ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸
水(0.2ml)中水酸化ナトリウム(31.2mg)を、中間体45a(114mg)のエタノール(1.8ml)中溶液に添加し、次いで、混合物を3時間60℃に加熱した。溶媒を真空下で除去した。得られた残渣を水に再溶解し、ジエチルエーテル(2ml)で洗浄した。水相を2M HCl水溶液でpH3に酸性化し、次いで、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、次いで、真空下で濃縮乾固した。
収量:110mg
MS(ESI)m/z:425(M+H)
(c).3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−8−(2−メトキシエトキシ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
中間体45b(110mg)、ジイソプロピルエチルアミン(136μl)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(75mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(53mg)およびD−トリプトファノール(59mg)のDMF(2ml)中溶液を室温で16時間撹拌した。水を添加し、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、次いで、真空下で濃縮乾固した。粗残渣を水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCにより精製した。
収量:69mg
MS(ESI)m/z:597(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.82(1H,s),7.92(1H,d,J=8.2Hz),7.90(1H,s),7.63(1H,d,J=7.9Hz),7.43(1H,s),7.40−7.33(2H,m),7.30(1H,td,J=7.7,1.8Hz),7.21−7.04(4H,m),7.03−6.94(2H,m),6.91(1H,s),5.16(2H,d,J=2.4Hz),4.73(1H,t,J=5.8Hz),4.17(2H,t,J=4.5Hz),4.08−4.00(1H,m),3.94(3H,s),3.73(2H,dd,J=5.6,3.6Hz),3.48−3.42(1H,m),3.42−3.35(4H,m),2.94(1H,dd,J=14.5,6.2Hz),2.82(1H,dd,J=14.5,7.5Hz)。
実施例46
8−(アリルオキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物46を実施例45について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:593(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.82(1H,s),7.94−7.87(2H,m),7.63(1H,d,J=7.9Hz),7.44(1H,s),7.40−7.31(2H,m),7.30(1H,td,J=7.7,1.8Hz),7.23−7.04(4H,m),7.03−6.95(2H,m),6.91(1H,s),6.17−6.07(1H,m),5.47(1H,dd,J=17.3,1.9Hz),5.33(1H,dd,J=10.5,1.7Hz),5.15(2H,d,J=2.3Hz),4.73(1H,t,J=5.8Hz),4.64(2H,d,J=5.4Hz),4.08−4.00(1H,m),3.94(3H,s),3.49−3.40(1H,m),3.37−3.30(1H,m),2.94(1H,dd,J=14.5,6.2Hz),2.82(1H,dd,J=14.5,7.5Hz)。
実施例47
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8−(2−ヒドロキシエトキシ)−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物47を実施例45について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:583(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.81(1H,s),7.92(1H,d,J=8.2Hz),7.87(1H,s),7.60(1H,d,J=7.9Hz),7.40(1H,s),7.37−7.28(2H,m),7.27(1H,td,J=7.7,1.8Hz),7.18−7.01(4H,m),6.99−6.93(2H,m),6.88(1H,s),5.13(2H,d,J=2.8Hz),4.92(1H,t,J=5.4Hz),4.72(1H,t,J=5.8Hz),4.07−3.99(3H,m),3.91(3H,s),3.76(2H,q,J=5.1Hz),3.50−3.32(2H,m),2.92(1H,dd,J=14.5,6.1Hz),2.79(1H,dd,J=14.5,7.6Hz)。
実施例48
8−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物48を実施例45について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:610(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.81(1H,s),7.92(1H,d,J=8.1Hz),7.86(1H,s),7.60(1H,d,J=7.9Hz),7.39(1H,s),7.36−7.29(2H,m),7.27(1H,td,J=7.7,1.8Hz),7.20−6.99(4H,m),7.00(1H,s),6.96(1H,t,J=7.5Hz),6.88(1H,s),5.13(2H,d,J=2.8Hz),4.72(1H,t,J=5.7Hz),4.09(2H,t,J=5.9Hz),4.05−3.97(1H,m),3.90(3H,s),3.49−3.42(1H,m),3.38−3.32(1H,m),2.91(1H,dd,J=14.5,6.2Hz),2.79(1H,dd,J=14.5,7.6Hz),2.67(2H,t,J=5.9Hz),2.24(6H,s)。
実施例49
8−(シクロプロピルメトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物49を実施例45について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:593(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.82(1H,s),7.92(1H,d,J=8.2Hz),7.89(1H,s),7.63(1H,d,J=7.9Hz),7.42(1H,s),7.40−7.33(2H,m),7.30(1H,td,J=7.7,1.8Hz),7.23−7.05(4H,m),7.01−6.95(2H,m),6.90(1H,s),5.14(2H,d,J=2.5Hz),4.73(1H,t,J=5.8Hz),4.07−4.00(1H,m),3.94(3H,s),3.89(2H,d,J=7.0Hz),3.49−3.41(1H,m),3.38−3.30(1H,m),2.94(1H,dd,J=14.5,6.2Hz),2.82(1H,dd,J=14.5,7.5Hz),1.34−1.25(1H,m),0.63(2H,d,J=7.8Hz),0.37(2H,d,J=5.0Hz)。
【0198】
【化40】
実施例50
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−8−(ピリジン−3−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
(a).3−(2−フルオロフェニル)−9−メトキシ−8−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
トリフリン酸無水物(575μl)を、中間体44a(1.0g)およびトリエチルアミン(733μl)のDCM(30ml)中0℃溶液にゆっくり添加した。混合物を0℃で45分間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)でクエンチした。生成物をDCM(3×)に抽出し、合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、次いで、真空下で濃縮乾固した。粗残渣を増加する量のジエチルエーテルを含有するガソリンで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:1.23g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.34(1H,s),7.39(1H,s),7.38−7.32(1H,m),7.30(1H,dd,J=7.5,1.9Hz),7.23(1H,td,J=3.7,1.2Hz),7.10(1H,ddd,J=10.2,8.2,1.16Hz),7.06(1H,s),6.97(1H,s),5.15(2H,s),4.04(3H,s),3.74−3.66(3H,m)。
【0199】
(b).3−(2−フルオロフェニル)−9−メトキシ−8−(ピリジン−3−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
中間体50a(103mg)、3−ピリジンボロン酸(39mg)および炭酸カリウム(50mg)のDME:水の10:1混合物(2ml)中溶液を、20分間窒素を通して穏やかに泡立たせることにより脱気した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(23mg)を添加し、混合物をさらに10分間脱気した後、密閉し、16時間90℃に加熱した。水を添加し、混合物を酢酸エチル(3×)に抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、溶媒を真空下で除去した。
収量:88mg
MS(ESI)m/z:442(M+H)
【0200】
(c).3−(2−フルオロフェニル)−9−メトキシ−8−(ピリジン−3−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸
水(0.2ml)中水酸化ナトリウム(24mg)を、中間体50b(88mg)のエタノール(1.8ml)中溶液に添加し、混合物を3時間60℃に加熱した。溶媒を真空下で除去した。粗残渣を水に再溶解し、ジエチルエーテルで洗浄した。水相を2M HCl水溶液でpH5に酸性化し、次いで、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、溶媒を真空下で除去した。
収量:85mg
10cm_ESCl_ギ酸_MeCN;tR:3.22分;M+1:428;87.5%
(d).3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−8−(ピリジン−3−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
中間体50c(111mg)、ジイソプロピルエチルアミン(136μl)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(75mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(53mg)およびD−トリプトファノール(59mg)のDMF(2ml)中溶液を室温で16時間撹拌した。水を添加し、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、次いで、真空下で濃縮乾固した。粗残渣を水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCにより精製した。
収量:11mg
MS(ESI)m/z:600(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.82(1H,s),8.60(1H,d,J=4.8Hz),8.22(1H,s),8.04(1H,s),7.94(1H,d,J=8.0Hz),7.60(1H,d,J=7.9Hz),7.42−7.30(5H,m),7.26−7.05(5H,m),6.98(1H,s),6.94(1H,d,J=2.3Hz),5.73(1H,d,J=7.3Hz),5.22(2H,s),4.35−4.28(1H,m),3.94(3H,s),3.51(2H,s),2.79(2H,d,J=7.0Hz),2.28(1H,s)。
実施例51
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−8−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物51を実施例50について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:603(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.82(1H,s),8.19(1H,s),8.00−7.96(3H,m),7.64−7.57(2H,m),7.48(1H,s),7.38−7.26(3H,m),7.20−7.15(2H,m),7.12(1H,t,J=7.5Hz),7.05(1H,t,J=3.9Hz),6.97(1H,t,J=3.7Hz),6.92(1H,s),5.18(2H,d,J=3.4Hz),4.73(1H,t,J=5.7Hz),4.08−3.95(4H,m),3.90(3H,s),3.48−3.41(1H,m),3.39−3.33(1H,m),2.92(1H,dd,J=14.5,6.2Hz),2.80(1H,dd,J=14.4,7.6Hz)。
実施例52
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−9−メトキシ−8−(ピリジン−4−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物52を実施例50について記載するのと類似の様式で調製した。
MS(ESI)m/z:600(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.83(1H,s),8.66(2H,d,J=4.6Hz),8.08(1H,s),7.97(1H,d,J=8.1Hz),7.65−7.60(4H,m),7.46(1H,s),7.42−7.32(3H,m),7.24−7.13(3H,m),7.08(1H,t,J=7.6Hz),7.03−6.95(2H,m),5.25(2H,d,J=5.0Hz),4.74(1H,t,J=5.7Hz),4.10−4.02(1H,m),4.00(3H,s),3.48−3.42(1H,m),3.38−3.32(1H,m),2.94(1H,dd,J=14.5,6.3Hz),2.83(1H,dd,J=14.5,7.5Hz)。
【0201】
【化41】
実施例53
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8−(モルホリン−4−カルボニル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
(a).(3−イソプロポキシフェニル)メタノール
3−(ヒドロキシメチル)フェノール(10g)および炭酸カリウム(27.2g)のDMF(100ml)中混合物に、2−ブロモ−プロパン(14.8g)を添加し、反応物を一晩90℃に加熱した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮し、ガソリン:酢酸エチル=5:1で溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:5g
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):7.161(t,1H,J=7.6Hz),6.803(d,2H,J=8.0Hz),6.720(d,1H,J=8.0Hz),5.109(t,1H,J=6.0Hz),4.515−4.575(m,1H),4.413(d,2H,J=6.0Hz),1.217(d,6H,J=6.0Hz)。
【0202】
(b).2−ブロモ−5−イソプロポキシベンジルアセテート
化合物53a(5g)の酢酸(50ml)中溶液に、酢酸(10ml)中臭素(6.4g)を10℃で滴加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶液を飽和NaHCO水溶液でpH=8に調整し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をガソリン:酢酸エチル10:1で溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:6g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):7.357(d,1H,J=8.8Hz),6.872(d,1H,J=2.8Hz),6.652(dd,1H,J=3.2Hz,J=8.8Hz),5.063(s,2H),4.415−4.476(m,1H),2.072(s,3H),1.256(d,6H,J=6.0Hz)。
【0203】
(c).メチル(2−ブロモ−5−イソプロポキシフェニル)メタノール
化合物53b(6g)のTHF(30ml)中溶液に、2N水酸化ナトリウム水溶液(30ml)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。
収量:4.8g
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):7.373(d,1H,J=8.8Hz),7.030(d,1H,J=2.8Hz),6.724(dd,1H,J=2.8Hz,J=8.8Hz),5.400(t,1H,J=5.6Hz),4.519−4.579(m,1H),4.410(d,2H,J=5.6Hz),1.222(d,6H,J=5.6Hz)。
【0204】
(d).1−ブロモ−2−(クロロメチル)−4−イソプロポキシベンゼン
化合物53c(4.8g)のDMF(40ml)中溶液に、塩化チオニル(5ml)を0℃で滴加し、反応物を2時間50℃に加熱した。混合物を室温に冷却させ、溶液を氷水に注ぎ入れた。混合物を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。
収量:5g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):7.409(d,1H,J=8.8Hz),6.961(d,1H,J=3.2Hz),6.693(dd,1H,J=3.2Hz,J=8.8Hz),4.468−4.524(m,3H),1.313(d,6H,J=6.0Hz)。
【0205】
(e).5−(2−ブロモ−5−イソプロポキシベンジルオキシ)−2’−フルオロビフェニル−2−カルボン酸メチル
化合物43c(2.5g)のDMF(30ml)中溶液に、窒素雰囲気下0℃でNaH(0.8g)を添加し、反応物を30分間撹拌し、化合物53d(3g)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶液を氷水に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をガソリン:酢酸エチル5:1で溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:2.5g
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):7.881(d,1H,J=8.8Hz),7.501(d,1H,J=8.8Hz),7.314−7.415(m,2H),7.131−7.253(m,4H),6.986(d,1H,J=2.4Hz),6.861(dd,1H,J=3.2Hz,J=8.8Hz),5.147(s,2H),4.545−4.605(m,1H),3.555(s,3H),1.201(d,6H,J=6.0Hz)。
【0206】
(f).3−(2−フルオロフェニル)−8−イソプロポキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
窒素雰囲気下、化合物53e(2.5g)、トリシクロヘキシルホスフィンフルオロボロン酸(0.2g)および炭酸カリウム(1.38g)のジメチルアセトアミド炭酸カリウム(50ml)中混合物に、酢酸パラジウム(II)(0.2g)を添加し、反応混合物を一晩100℃に加熱した。混合物を水に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をガソリン:酢酸エチル5:1で溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:1.5g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.311(s,1H),7.705(d,1H,J=8.4Hz),7.272−7.351(m,2H),7.164−7.204(m,1H),6.896−6.927(m,2H),6.661(d,1H,J=2.4Hz),5.152(s,2H),4.553−4.614(m,1H),3.691(s,3H),1.353(d,6H,J=6.0Hz)。
【0207】
(g).3−(2−フルオロフェニル)−8−ヒドロキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
化合物53f(1.4g)のDCM(50ml)中溶液に、窒素雰囲気下、塩化アルミニウム(1.4g)を添加し、反応物を0℃で1時間撹拌し、反応混合物を水でクエンチした。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。
収量:1g
MS(ESI)m/z:351(M+H)
【0208】
(h).3−(2−フルオロフェニル)−8−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
化合物53g(1g)およびトリエチルアミン(1.5g)のDCM(30ml)中溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.82g)を0℃で滴加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をガソリン:酢酸エチル5:1で溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:0.4g
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.372(s,1H),7.860(d,1H,J=8.8Hz),7.270−7.358(m,3H),7.180−7.220(m,1H),7.064−7.114(m,2H),6.959(s,1H),5.211(s,2H),3.699(s,3H)。
【0209】
(i).3−(2−フルオロフェニル)−8−(モルホリン−4−カルボニル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
化合物53h(100mg)、モルホリン(43mg)、トリエチルアミン(50mg)および1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(16mg)のDMF(3ml)中溶液に、酢酸パラジウム(II)(8mg)を添加した。懸濁液を真空下で脱気し、一酸化炭素で数回パージし、混合物を一酸化炭素雰囲気下、80℃で2時間撹拌し、濾過した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルで溶出させる、分取TLCにより精製した。
収量:60mg
MS(ESI)m/z:448(M+H)
【0210】
(j).3−(2−フルオロフェニル)−8−(モルホリン−4−カルボニル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸
化合物53i(60mg)のメタノール(2ml)中溶液に、2N水酸化ナトリウム水溶液(1ml)を添加し、反応物を2時間60℃に加熱した。反応混合物を水に注ぎ入れ、pHを2N HCl水溶液でpH7に調整した。この混合物を酢酸エチル(5×)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。
収量40mg
MS(ESI)m/z:434(M+H)
【0211】
(k).3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8−(モルホリン−4−カルボニル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物53j(40mg)、D−トリプトファノール(20mg)およびトリエチルアミン(30mg)のDMF(2ml)中溶液に、HATU(38mg)を添加し、反応物を室温で1時間撹拌した。粗生成物を濃縮し、水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCにより精製した。
収量:10mg
MS(ESI)m/z:606(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):7.980(s,1H),7.902(s,1H),7.575(d,1H,J=8.0Hz),7.524(d,1H,J=6.8Hz),7.302−7.358(m,2H),7.238(t,2H,J=7.2Hz),6.970−7.151(m,5H),6.878(s,2H),5.695(d,1H,J=6.8Hz),5.116(s,2H),4.195−4.241(m,1H),3.468−3.706(m,11H),2.757(d,2H,J=5.6Hz)。
【0212】
【化42】
実施例54
3−(2−フルオロフェニル)−N2−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−N8,N8−ジメチル−6H−ベンゾ[c]クロメン−2,8−ジカルボキサミド
(a).3−(2−フルオロフェニル)−2−(メトキシカルボニル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−8−カルボン酸
化合物53h(50mg)、トリエチルアミン(30mg)および1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(16mg)のDMF(2ml)および水(1ml)中溶液に、酢酸パラジウム(II)(8mg)を添加し、懸濁液を真空下で脱気し、一酸化炭素で数回パージし、反応混合物を一酸化炭素雰囲気下80℃で一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を水に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。
収量:50mg
MS(ESI)m/z:379(M+H)
【0213】
(b).8−(ジメチルカルバモイル)−3−(2−フルオロフェニル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
化合物54a(50mg)、ジメチルアミン塩酸塩(16mg)およびトリエチルアミン(30mg)のDMF(2ml)中溶液に、HATU(57mg)を添加し、反応物を20分間50℃に加熱した。反応混合物を注ぎ、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。
収量:40mg
MS(ESI)m/z:406(M+H)
【0214】
(c).8−(ジメチルカルバモイル)−3−(2−フルオロフェニル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸
化合物54b(40mg)のメタノール(2ml)中溶液に、2N水酸化ナトリウム水溶液(1ml)を添加し、反応混合物を2時間60℃に加熱した。反応混合物を水に注ぎ入れ、2N HCl水溶液でpH4に調整し、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。
収量:25mg
MS(ESI)m/z:392(M+H)
【0215】
(d).3−(2−フルオロフェニル)−N2−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−N8,N8−ジメチル−6H−ベンゾ[c]クロメン−2,8−ジカルボキサミド
化合物54c(25mg)、D−トリプトファノール(20mg)およびトリエチルアミン(30mg)のDMF(2ml)中溶液に、HATU(30mg)を添加し、反応物を10分間50℃に加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、水および増加する量のアセトニトリルで溶出させる、分取HPLCにより精製した。
収量:18mg
MS(ESI)m/z:564(M+H)
H NMR δ(ppm)(CHCI−d):8.154(s,1H),7.936(s,1H),7.625(d,1H,J=2.0Hz),7.605(d,1H,J=2.4Hz),7.398−7.458(m,2H),7.309−7.360(m,2H),7.060−7.265(m,5H),6.964−6.981(m,2H),5.909(d,1H,J=6.8Hz),5.194(s,2H),4.320−4.338(m,1H),3.578−3.589(m,2H),3.180(s,3H),3.085(s,3H),2.855−2.883(m,2H)。
実施例55
3−(2−フルオロフェニル)−N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−(1’,3’−ジオキソロ)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物55を実施例36について記載するのと類似の様式であるが、5−ブロモ−6−ブロモメチル−1,3−ベンゾジオキソールから始めて調製した。
MS(ESI)m/z:537(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.81(1H,s),7.99(1H,d,J=8.3Hz),7.77(1H,s),7.63(1H,d,J=7.9Hz),7.42(1H,s),7.36−7.32(2H,m),7.24(1H,t,J=1.8Hz),7.13−7.04(4H,m),6.99−6.94(2H,m),6.88(1H,s),6.12(2H,s),5.10(2H,s),4.73(1H,t,J=0.8Hz),4.08−3.99(1H,m),3.45−3.43(1H,m),3.34−3.32(1H,m),2.98−2.75(2H,m)。
実施例56
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−(1’,3’−ジオキソロ)−3−(3−メチルチオフェン−2−イル)−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物55を実施例39について記載するのと類似の様式であるが、5−ブロモ−6−ブロモメチル−1,3−ベンゾジオキソールから始めて調製した。
MS(ESI)m/z:539(M+H)
H NMR δ(ppm)(DMSO−d):10.80(1H,s),7.73−7.69(2H,m),7.62(1H,d,J=7.9Hz),7.39−7.32(3H,m),7.10(1H,d,J=2.3Hz),7.07(1H,t,J=7.6Hz),6.97(1H,t,J=7.5Hz),6.94(1H,s),6.87(1H,d,J=5.1Hz),6.84(1H,s),6.11(2H,s),5.09(2H,s),4.68(1H,t,J=5.7Hz),4.04−4.01(1H,m),3.42−3.38(1H,m),3.33−3.32(1H,m),2.90−2.76(2H,m),2.03(3H,s)。
【0216】
【化43】
実施例57
N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−(1’,3’−ジオキソロ)−3−(3−イソプロポキシ)−6−オキソ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
(a).8,9−(1’,3’−ジオキソロ)−3−イソプロポキシ−6−オキソ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸メチル
化合物35cのアセトニトリルおよび水(9:1)の混合物(5.5ml)中溶液に、窒素雰囲気下、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキソピペリジニウムテトラフルオロボラートを添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応物を10%NaCO水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。水層を酢酸エチルで洗浄し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をヘプタンおよび増加する量の酢酸エチルを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:43.7mg
MS(ESI)m/z:357(M+H)
【0217】
(b).8,9−(1’,3’−ジオキソロ)−3−イソプロポキシ−6−オキソ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボン酸
化合物57a(22mg)をN2雰囲気下エタノール(4ml)に懸濁させた。2M水酸化ナトリウム水溶液(0.309ml)を添加し、反応混合物を60℃で5時間維持した。反応混合物を周囲温度に冷却させ、水および酢酸エチルでクエンチし、2N HCl水溶液で中和した。反応混合物を抽出し、水層を酢酸エチルで洗浄した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。
収量22mg
(c).N−((R)−1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−8,9−(1’,3’−ジオキソロ)−3−(3−イソプロポキシ)−6−オキソ−6H−ベンゾ[c]クロメン−2−カルボキサミド
化合物57b(22mg)をN2雰囲気下DMF(p.a)(2ml)に懸濁した。DIPEA(0.022ml)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(13mg)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(9.12mg)を添加し、反応混合物を周囲温度で10分間維持した。D−トリプトファノール(17mg)を添加し、反応物を周囲温度で7時間維持した。反応物を水でクエンチし、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。水層を酢酸エチルで洗浄し、合わせた有機層を水(2×)、食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をヘプタンおよび増加する量の酢酸エチルで溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
収量:9.9mg
MS(ESI)m/z:515(M+H)
実施例58
(R)−2−イソプロポキシ−N−(1−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン−2−イル)−6,7−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−カルボキサミド
化合物58を化合物8について記載するのと類似の様式で調製した。
実施例59
CHO細胞で発現したヒトFSH受容体での化合物のアンタゴニスト活性
ヒトFSH受容体での化合物のアンタゴニスト活性を、ヒトFSH受容体で安定的にトランスフェクトされ、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を指示するcAMP応答エレメント(CRE)/プロモーターでコトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で決定した。化合物がGsタンパク質共役型FSH受容体に結合すると、cAMPが増加し、これにより今度はルシフェラーゼレポーターの増加したトランス活性化が誘導されるだろう。細胞(7500個細胞/384ウェルプレート1ウェル)を、5〜7%CO2および37℃で、加湿雰囲気(95%)中、49pM recFSH(この濃度では、試験化合物の非存在下で、最大ルシフェラーゼ刺激の80%を誘導する)と共に繰り返して試験化合物(0.316nM〜10.0μMの間の濃度)と共に、1μg/mlウシインスリン、5μg/mlヒトアポトランスフェリン、100U/mlペニシリンGおよび100μg/mlストレプトマイシンを補足したダルベッコ最小必須F12改変培地(Invitrogen)でインキュベートした。DMSOの最終濃度は1%であった。インキュベートの4時間後、プレートを1時間室温に調整させた。次いで、SteadyLite(PerkinElmer)溶液をウェルに添加し、細胞を室温で少なくとも1時間溶解させた。その後、ルシフェラーゼ活性を発光カウンターで測定した。シグナルを、カウント毎秒(cps)として表す。IC50(化合物によるルシフェラーゼ刺激の最大到達可能阻害の最大半量(50%)阻害をもたらす試験化合物の濃度)および化合物の有効性を、ソフトウェアプログラムMathIG(バージョン2.3、ID Business Solutions Limited)を使用して決定した。
【0218】
全実施例の化合物が10−5M以下のIC50を有する。実施例12〜15、26、31、33、35および57の化合物は、10−6M未満かつ10−7M超のIC50を有する。実施例1〜11、18〜25、28〜30、34、36〜56および58の化合物は10−7M未満のIC50を有する。
実施例60
ヒト顆粒膜細胞培養物で実施例58の化合物のhFSHRアンタゴニスト活性を評価するための機能的アッセイ
ヒト顆粒膜細胞を、患者にhCGを投与した約36時間後に日常的IVF手順中に成熟卵母細胞を回収するための卵胞吸引の過程で得た。卵胞液を1患者当たり1バッチとして回収し、卵母細胞除去後、室温(RT)で、350gで5分間遠心分離した。ペレットを、分離培地を含有する5mlコラゲナーゼ(0.1%)に再懸濁し、Histopaque−1077 5ml上に層形成し、遠心分離(450gで20分間、RT)して、顆粒膜細胞を赤血球から分離した。顆粒膜細胞および他の単核細胞(例えば、リンパ球)を界面から得て、分離培地で1度洗浄した(450g、20分間)。上清を吸引した後、ペレットを分離培地に再懸濁し、病院から実験室まで輸送した。顆粒膜細胞を遠心分離(350g、5分)によりペレット化し、10%ウシ胎児血清(FCS)を含む少量の培地に懸濁した。細胞分散を促進するために、懸濁液を穏やかな機械的分離に供した。
【0219】
細胞生存率を、Trypan Blue排除法により決定し、顆粒膜細胞をコラーゲンコーティングした96ウェルプレート中10%FCSを含む培地に25.000個の生細胞/200μl/ウェルの密度で蒔き、5%COを補足した加湿雰囲気下37℃で培養した。72時間毎に細胞を予熱培地で1度洗浄して死細胞、破片および非接着細胞を除去した。培養開始7日後、細胞を培地で再度洗浄した。培地を吸引し、ヒト組換えFSH(hrecFSH:0および250mU/mL)または実施例58の化合物と組み合わせたhrecFSH(250mU/ml)と共にイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含む250μL分離培地を37℃、5%COでさらに48時間インキュベートした。全ての試験条件を繰り返して3回行った。その後、上清を96ウェルプレートに回収した。最後に、25μL上清を新たな96ディープウェルプレートに移し、cAMP EIAキット(Amersham Life Sciences、カタログ番号RPN225)でcAMPレベルを決定するために使用した。顆粒膜細胞の上清を吸引した直後、10μMテストステロンを補足した150μL培地をウェルに添加した。37℃、5%COでインキュベートした2時間後、上清を回収し、エストラジオール−ELISA(DRG instruments、art.番号EIA−2693)でエストラジオールレベルを決定するために使用した。上清をダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、Hycloneカタログ番号SH30028.03)に1:300希釈し、DPBS中のエストラジオールの自作較正曲線を上清中のエストラジオールレベルの決定に使用した。
図1