(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持リップ部の第二折れ点を前記取付基部の開口側に設けるとともに、前記フランジに取付けられる前の前記保持リップ部の第二折れ点の位置を、前記薄肉Sのフランジの車外側側面が前記突条部に摺接したときの、前記薄肉Sのフランジの車内側側面よりも車外側の位置にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のオープニングトリム。
前記保持リップ部の断面形状において、前記取付基部の底壁側の側面を開口側に向けて膨出湾曲させて、前記板厚が厚肉Tのフランジに取付けられるときに前記保持リップ部と前記取付基部の車内側側壁との間に隙間を生じさせたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載のオープニングトリム。
前記突条部に、前記取付基部の開口側から底壁側にかけて厚みをテーパー状に厚くした傾斜部を形成したことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載のオープニングトリム。
【背景技術】
【0002】
自動車ボディのドア開口周縁部に沿って設けられた板状のフランジ101には、例えば、
図9に示すようなオープニングトリム10が取付けられている。
オープニングトリム10は、フランジFが開口側から挿入されるようにして嵌め込まれる、車外側側壁11a,車内側側壁11b及び両側壁11a,11bを連結する底壁11cからなる断面略U字形状の取付基部11と、取付基部10の車外側側壁11aの内方(車内側)に設けられ、取付基部11の開口側から挿入されたフランジ101の車外側側面に摺接する複数の突条部12と、車内側側壁12の内方(車外側)に設けられ、同じく取付基部11の開口側から挿入されたフランジ101の車内側側面に摺接する断面略舌状の保持リップ部13を備え、取付基部11には断面略U字形状の芯材14が埋設されている。また、車内側側壁11aと底壁11cとの連結位置には車内側に延びる断面略舌状の装飾リップ部15が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、オープニングトリム10は、ドアの閉時にドア側に設けられた中空シール部(図示しない)に車外側側壁11aが弾接して車内外をシールするようになっている。
また、車外側側壁11aに中空シール部を設けて、ドアの閉時にドアに対してオープニングトリム側に設けた中空シール部を弾接して車内側をシールするものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなオープニングトリム10において軽量化を図るため、取付基部11,突条部12及び保持リップ部13をスポンジ材で形成し、芯材14についても樹脂製又は薄肉の金属製のものを使用することが行われている。
しかしながら、この場合、保持力が低下するのでフランジ101からオープニングトリム10が抜け易くなるといった問題がある。
【0006】
これに対して、保持リップ部13の肉厚を厚くしたりあるいは材質を変えることによって剛性を高める方法があるが、保持リップ部13の剛性が強すぎると、特に芯材14を樹脂製又は薄肉の金属製のものにした場合にはその芯材14で取付基部11の形状を支えることができなくなり、
図10に示すように、フランジ101に対してオープニングトリム10を引き抜く方向(
図10では下側)に力が作用すると、取付基部11の開口が広くなるといった、いわゆる「口開き」の現象が発生してますます保持力が低下するといった不具合があった。
【0007】
また、特許文献1に記載の発明は、主リップに近接した位置に補助リップを突設して保持力を増大させるものであるが、フランジの板厚が変化する場合には対応することができないといった問題があった。また、車内側に断面形状の大きいフランジ保持用のリップを一枚多く設ける必要があるので、構造が複雑になるとともに材料費も高くなるという不具合もあった。
さらに、特許文献2に記載の発明は、車内側保持リップの車外側面から断面略半円形の突起部を設けるとともに突起部に連続して凹状に湾曲形成した部位を設けることによってフランジの板厚の変化にも対応させたものであるが、フランジの板厚が大きく変化する場合、例えば、フランジが一枚から三枚重ねのものになる場合、あるいは、その逆に三枚から一枚になる場合にはフランジの板厚の変化に対応することが困難である。つまり、フランジが一枚から二枚,二枚から三枚あるいはその逆のようにフランジ一枚分の厚さの変化程度には対応できても、フランジ二枚分の厚さの変化といった大きな厚さの変化に対応することは困難でフランジが三枚から一枚になった場合にはフランジに対する保持力が不十分となる。
【0008】
そこで本発明の目的は、フランジの板厚が大きく変化する場合でも十分な保持力を発揮することのできるオープニングトリムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明のオープニングトリムは、自動車ボディのドア開口周縁部に沿って設けられたフランジ(102,103)に取付けられ、車外側側壁(31a)と車内側側壁(31b)とそれら両側壁(31a,31b)を連結する底壁(31c)からなる断面略U字形状の取付基部(31)と、前記車外側側壁(31a)の内方に設けられ、前記フランジ(102,103)の車外側側面に摺接する突条部(32)と、前記車内側側壁(31b)の内方から前記底壁(31c)側に傾斜して前記車外側側壁(31a)に向かって延びるように設けられ、前記フランジ(102,103)の車内側側面に摺接する断面略舌状の保持リップ部(33)と、前記取付基部(31)に埋設された芯材(34)を備えるオープニングトリム(30)であって、
前記保持リップ部(33)を発泡材料で形成
し、前記保持リップ部(33)の前記底壁(31c)側とは逆側になる表面側を、3つの直線とそれら直線間で前記車内側側壁(31b)寄りと車外側側壁(31a)寄りに設けられ、前記保持リップ部(33)を前記底壁(31c)側に二段階に折り曲げる第一折れ点(41)と第二折れ点(42)で形成し、
かつ前記保持リップ部(33)の付け根となる車内側側壁(31b)の位置と前記第一折れ点(41)を連結する線よりも、前記第一折れ点(41)と前記第二折れ点(42)を連結する線が前記取付基部(31)の底壁(31c)側に傾くようにするとともに、前記第一折れ点(41)と前記第二折れ点(42)を連結する線よりも、前記第二折れ点(42)と前記保持リップ部(33)の先端の最も車外側の位置(P)を連結する線が前記取付基部(31)の底壁(31c)側に傾くようにし、
前記保持リップ部(33)の先端の前記底壁(31c)側を切り欠くか、又は前記保持リップ部(33)の先端の剛性を前記保持リップ部(33)の他の部位の剛性よりも低くして、
さらに、前記保持リップ部(33)の前記底壁(31c)側においては、前記保持リップ部(33)の付け根となる前記車内側側壁(31b)の位置から、前記保持リップ部(33)の先端の前記切り欠いた部位、又は前記剛性を低くした部位まで、前記取付基部(31)の開口側に膨出湾曲する曲率半径Rの単一の曲面が形成されるようにして、
前記フランジ(102,103)としてその板厚が厚肉Tから薄肉Sのものまでに、前記取付基部(31)を取付け可能にし、前記厚肉Tのフランジ(102)に対しては、前記保持リップ部(33)の前記第一折れ点(41)と第二折れ点(42)の間の部位を摺接させ、前記薄肉Sのフランジ(103)に対しては、前記保持リップ部(33)の先端と前記第二折れ点(42)との間の部位を摺接させてフランジ(102,103)に保持されるようにし、
前記保持リップ部(33)の付け根となる車内側側壁(31b)の位置と前記保持リップ部(33)の先端の最も車外側の位置(P)を結ぶ距離を、前記取付基部(31)の車外側側壁(31a)と車内側側壁(31b)の開口間の距離よりも長くしたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のオープニングトリムは、自動車ボディのドア開口周縁部に沿って設けられたフランジ(102,103)に取付けられ、車外側側壁(31a)と車内側側壁(31b)とそれら両側壁(31a,31b)を連結する底壁(31c)からなる断面略U字形状の取付基部(31)と、前記車外側側壁(31a)の内方に設けられ、前記フランジ(102,103)の車外側側面に摺接する突条部(32)と、前記車内側側壁(31b)の内方から前記底壁(31c)側に傾斜して前記車外側側壁(31a)に向かって延びるように設けられ、前記フランジ(102,103)の車内側側面に摺接する断面略舌状の保持リップ部(33)と、前記取付基部(31)に埋設された芯材(34)を備えるオープニングトリム(30)であって、
前記保持リップ部(33)を発泡材料で形成し、前記保持リップ部(33)の前記底壁(31c)側とは逆側になる表面側を、3つの直線とそれら直線間で前記車内側側壁(31b)寄りと車外側側壁(31a)寄りに設けられ、前記保持リップ部(33)を前記底壁(31c)側に二段階に折り曲げる第一折れ点(41)と第二折れ点(42)で形成し、かつ前記保持リップ部(33)の付け根となる車内側側壁(31b)の位置と前記第一折れ点(41)を連結する線よりも、前記第一折れ点(41)と前記第二折れ点(42)を連結する線が前記取付基部(31)の底壁(31c)側に傾くようにするとともに、前記第一折れ点(41)と前記第二折れ点(42)を連結する線よりも、前記第二折れ点(42)と前記保持リップ部(33)の先端の最も車外側の位置(P)を連結する線が前記取付基部(31)の底壁(31c)側に傾くようにし、
前記保持リップ部(33)の先端の前記底壁(31c)側を切り欠くか、又は前記保持リップ部(33)の先端の剛性を前記保持リップ部(33)の他の部位の剛性よりも低くして、
さらに、前記保持リップ部(33)の前記底壁(31c)側においては、前記保持リップ部(33)の付け根となる前記車内側側壁(31b)の位置から、少なくとも前記第一折れ点(41)を通り前記車内側側壁(31b)に平行な直線が交わる位置よりも前記車外側側壁(31a)の方に越えた位置まで、前記取付基部(31)の開口側に膨出湾曲する曲率半径Rの単一の曲面が形成されるようにして、
前記フランジ(102,103)としてその板厚が厚肉Tから薄肉Sのものまでに、前記取付基部(31)を取付け可能にし、前記厚肉Tのフランジ(102)に対しては、前記保持リップ部(33)の前記第一折れ点(41)と第二折れ点(42)の間の部位を摺接させ、前記薄肉Sのフランジ(103)に対しては、前記保持リップ部(33)の先端と前記第二折れ点(42)との間の部位を摺接させてフランジ(102,103)に保持されるようにし、
前記保持リップ部(33)の付け根となる車内側側壁(31b)の位置と前記保持リップ部(33)の先端の最も車外側の位置(P)を結ぶ距離を、前記取付基部(31)の車外側側壁(31a)と車内側側壁(31b)の開口間の距離よりも長くしたことを特徴とする。
また、本発明のオープニングトリムは、前記保持リップ部(33)の第二折れ点(42)を前記取付基部(31)の開口側に設けるとともに、前記フランジ(102,103)に取付けられる前の前記保持リップ部(33)の第二折れ点(42)の位置を、前記薄肉Sのフランジ(103)の車外側側面が前記突条部(32)に摺接したときの、前記薄肉Sのフランジ(103)の車内側側面よりも車外側の位置にしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のオープニングトリムは、前記保持リップ部(33)の断面形状において、前記取付基部(31)の底壁(31c)側の側面を開口側に向けて膨出湾曲させて、前記板厚が厚肉Tのフランジ(102)に取付けられるときに前記保持リップ部(33)と前記取付基部(31)の車内側側壁(31b)との間に隙間を生じさせたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明のオープニングトリムは、前記取付基部(31)及び前記突条部(32)を、前記保持リップ部(33)とともに発泡材料で形成したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のオープニングトリムは、前記突条部(32)に、前記取付基部(31)の開口側から底壁(31c)側にかけて厚みをテーパー状に厚くした傾斜部(32a)を形成したことを特徴とする。
【0015】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0016】
本発明のオープニングトリムによれば、取付基部の車内側側壁の内方から底壁側に傾斜して車外側側壁に向かって延びるように設けられ、フランジの車内側側面に摺接する断面略舌状の保持リップ部を発泡材料で形成するとともに、保持リップ部の断面形状における長さを、取付基部の車外側側壁と車内側側壁の開口間の距離よりも長くし、車内側側壁寄りと車外側側壁寄りに、保持リップ部を底壁側に二段階に折り曲げる第一折れ点と第二折れ点を設けたので、オープニングトリムを、板厚が厚肉Tのフランジに取付けるとき、保持リップ部は、第一折れ点より先の部分が取付基部の底壁側に向けて折れ曲がり、フランジの車内側側面に、保持リップ部の第一折れ点と第二折れ点の間の部位が摺接するとともに、フランジの車外側側面に、取付基部に設けられた突条部が摺接し、保持リップ部の第一折れ点と第二折れ点の間の部位と突条部との間でフランジは挟持された状態となり、フランジにオープニングトリムが取付けられる。
【0017】
このとき、保持リップ部から、第一折れ点を中心に折れ曲がった第一折れ点より先の部分が元に戻ろうとする反力が、第一折れ点と第二折れ点の間の部位からフランジに伝わり、フランジを突条部側に押圧するので、オープンニングトリムは安定した状態でフランジに取付けられる。また、オープンニングトリムの取付時には、保持リップ部は第一折れ点を中心に積極的に折れ曲がるので、板厚の厚いフランジであっても、取付基部の開口側から容易に挿入することができ、オープニングトリムを容易に嵌め込むことができる。
【0018】
またオープニングトリムを、板厚が薄肉Sのフランジに取付けるとき、保持リップ部は、第一折れ点より先の部分が取付基部の底壁側に向けて折れ曲がるとともに、第二折れ点を中心に第二折れ点より先の部分もさらに取付基部の底壁側に向けて折れ曲がり、フランジの車内側側面に、保持リップ部の先端と第二折れ点との間の部位が摺接するとともに、フランジの車外側側面に、取付基部に設けられた突条部が摺接し、保持リップ部の先端と第二折れ点との間の部位との間でフランジは挟持された状態となり、フランジにオープニングトリムが取付けられる。
【0019】
このとき、保持リップ部から、第一折れ点を中心に折れ曲がった第一折れ点より先の部分が元に戻ろうとする反力に加えて、第二折れ点を中心に折れ曲がった第二折れ点より先の部分も元に戻ろうとする反力も、保持リップ部の先端と第二折れ点の間の部位から集中してフランジに伝わり、フランジを突条部側に押圧するので、オープンニングトリムは安定した状態でフランジに取付けられる。特に、保持リップ部の先端の取付基部の底壁側は切り欠かれるか、又は保持リップ部の先端の剛性を保持リップ部の他の部位の剛性よりも低くしていることにより、保持リップ部の先端の撓み量は大きく、しかも保持リップ部は発泡スポンジ材からなるので、保持リップ部の先端と第二折れ点の間の部位は、フランジの車内側側面に大きく密着した状態でくいつく。
よって、オープニングトリムが薄肉Sのフランジに取付けられた状態からオープニングトリムを引き抜く方向に力が作用しても、保持リップ部の先端と第二折れ点の間の部位に集中した反力がフランジにかかり突条部との間でフランジは強く挟持されるので、たとえ芯材として金属性であっても薄肉のもの又は樹脂性のものを使用したとしてもフランジからオープニングトリムが容易に離れることはない。
また、オープニングトリムの取付時には、保持リップ部は第一折れ点より先側が折れ曲がることに加え、第二折れ点より先端も折れ曲がるので、板厚の薄いフランジを取付基部の開口側から容易に挿入することができ、オープニングトリムを容易に嵌め込むことができる。
【0020】
このように、本発明のオープニントリムによれば、板厚が厚肉Tのフランジから、薄肉Sのフランジまでオープニントリムを十分な保持力で取付けることができ、しかもフランジを取付基部の開口側から容易に挿入することができる。
【0021】
また、本発明によれば、保持リップ部の第二折れ点を取付基部の開口側に、例えばその側面に角部として設けるとともに、薄肉Sのフランジの車外側側面が突条部に摺接したときの、薄肉Sのフランジの車内側側面よりも車外側の位置にしたので、薄肉Sのフランジであっても保持リップ部の先端と突条部との間でフランジは強く挟持される。
【0022】
さらに、本発明によれば、保持リップ部の第二折れ点を取付基部の開口側、例えばその側面に角部として設けるとともに、薄肉のフランジの車内側側面に摺接する保持リップ部の第二折れ点から先端までを平坦にしたので、フランジに対する密着度は高くなり一層保持力は向上する。
【0023】
また、本発明によれば、保持リップ部の断面形状において、取付基部の底壁側の側面を開口側に向けて膨出湾曲させて、板厚が厚肉Tのフランジに取付けられるときに保持リップ部と取付基部の車内側側壁との間に隙間を生じさせるようにしたので、保持リップ部からの力が車内側側壁に直接大きく伝わることはなく、これにより、板厚が厚肉Tのフランジに取付けられたオープニングトリムの取付基部の開口が広くなるといった、「口開き」の発生を防止することができる。
【0024】
また、本発明によれば、取付基部及び突条部を、保持リップ部とともに発泡材料で形成したので、オープニングトリム全体の軽量化が図れる。
【0025】
また、本発明によれば、突条部に、取付基部の開口側から底壁側にかけて厚みをテーパー状に厚くした傾斜部を形成したので、保持リップ部の先端が対向する突条部に弾接することがあっても、保持リップ部の先端は傾斜部に沿って円滑に車内側側壁側に撓む。
これにより、フランジにオープニングトリムを取付けるときに、保持リップ部の先端が突条部側に引っ掛かり挿入荷重を急激に増大させるといった事態の発生を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1乃至
図5を参照して、本発明の実施形態に係るオープニングトリム30について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るオープニングトリム30を示す断面図であり、
図2乃至
図5は、オープニングトリム30が取付けられるフランジ102,103との関係を示す断面図である。
【0028】
本発明の実施形態に係るオープニングトリム30は、取付基部31,突条部32,保持リップ部33及び取付基部31に埋設された芯材34を備えていて、板厚が厚肉Tのフランジ102から薄肉Sのフランジ103までのものに取付可能になっている。ここでは、厚肉Tのフランジ102を三枚重ねのもの、薄肉Sのフランジ103を一枚のものにしているので、その中間となるフランジが二枚重ねのものにも取付可能である。板厚最大の厚肉Tのフランジ102の肉厚としては、5〜10ミリメートル(mm)のものを使用し、板厚最小の薄肉Sのフランジ103の肉厚としては、0.5〜5ミリメートル(mm)のものを使用した。
【0029】
オープニングトリム30の取付基部31は、車外側側壁31aと車内側側壁31bとそれら両側壁31a,31bを連結する底壁31cからなる断面略U字形状をしていて、自動車ボディのドア開口周縁部に沿って設けられたフランジ102,103が取付基部31の開口側から挿入されるようにして嵌め込まれる。ここでは、車外側側壁31aと車内側側壁31bの断面形状における長さを略同一のものを示したが、長さの異なるものであってもよい。
【0030】
突条部32は、取付基部31の車外側側壁31aの内方(車内側)に一定の間隔をおいて2つ(特にその数は限定されるものではない)設けられ、オープニングトリム30をフランジ102,103に取付けるとき、取付基部31の開口側から挿入されたフランジ102,103の車外側側面に摺接する。
また、突条部32には、取付基部31の開口側から底壁31c側にかけて厚みをテーパー状に厚くした傾斜部32aを形成していて、これにより突条部32の断面形状は略直角三角形状になっている。
【0031】
保持リップ部33は、断面略舌状で車内側側壁31b端部付近の内方から底壁31c側に傾斜して車外側側壁31aに向かって延びるように設けられている。ここでは、保持リップ部33は、車内側側壁31bの延びる方向に対して、約60度の角度で延びているが、角度を小さくすると、板厚が薄肉Sのフランジ103に対する保持力が低下するとともに板厚が厚肉Tのフランジ102に対しては保持リップ部33が車内側側壁31bに当接してオープニングトリム30の取付基部31の開口が広くなるといった、「口開き」の発生するおそれがあるので、45度〜70度の範囲で望ましくは55度〜65度の範囲のものが好ましい。
また、保持リップ部33の肉厚は、車外側側壁31a及び車内側側壁部31bの肉厚よりも厚くしている。
さらに、保持リップ部33の断面形状における長さLを、取付基部31の車外側側壁31aと車内側側壁31bの開口間の距離Mよりも長くし、フランジ102,103に取付けられる前の状態で、保持リップ部33の先端の最も車外側の位置Pが、2つの突条部32の間でかつ突条部32の最も車内側の位置(フランジ102,103に取付けられた場合、突条部32は車外側側壁31aの向きに押し込まれるため、フランジ102,103の車外側側面の位置よりも少し車外側の位置)よりも車外側でしかも車外側側壁31aに接しない位置に納まるようにしている。つまり、保持リップ部33の先端の最も車外側の位置Pは、突条部32の最も車内側の位置と車外側側壁31aの内方の面(車内側側面)との間になるように設定している。
そして、保持リップ部33の底壁31c側の側面を車内側側壁31bに向けて近づくように、その保持リップ部33を折り曲げた状態(例えば、
図3)において、保持リップ部33の先端は底壁31cに当接することはあっても、底壁31cにより先端が折れ曲がったりして変形することはない程度の長さに設定されている。なお、
図3では、保持リップ部33の先端が底壁31cに当接しないものを示している。
【0032】
そして、保持リップ部33における取付基部31の開口側(保持リップ部33の表面側)にはその側面に角部として、車内側側壁31b寄りと車外側側壁31a寄りに、保持リップ部33を底壁31c側に二段階に折り曲げ易くするために第一折れ点41と第二折れ点42を設けている。すなわち、保持リップ部33の断面形状で、保持リップ部33における取付基部31の開口側で、保持リップ部30の付け根となる車内側側壁31bの位置と第一折れ点41を連結する線よりも、第一折れ点41と第二折れ点42を連結する線が取付基部31の底壁31c側に傾くようにするとともに、その第一折れ点41と第二折れ点42を連結する線よりも、第二折れ点42と保持リップ部33の先端の最も車外側の位置Pを連結する線が取付基部31の底壁31c側に傾くようにしている。
また、第一折れ点41から第二折れ点42までを平担にしているが、取付基部31の開口側に膨出湾曲するように形成してもよい。また、第二折れ点42から保持リップ部33の先端までを平担にして、薄肉Sのフランジ103に取付けるときその平担面全域がフランジ103の車内側側面に密着するようにしている。
【0033】
第一折れ点41の位置は、オープニングトリム30がフランジ102に取付けられる前では、厚肉Tのフランジ102の車外側側面が突条部32に摺接したときの、厚肉Tのフランジ102の車内側側面よりも車内側の位置に設定している。逆に厚肉Tのフランジ102の車内側側面よりも車外側の位置にすると保持リップ部33の剛性が強くなりすぎるので車内側の位置の方が好ましい。
第二折れ点42の位置は、オープニングトリム30がフランジ103に取付けられる前では、薄肉Sのフランジ103の車外側側面が突条部32に摺接したときの、薄肉Sのフランジ103の車内側側面よりも車外側の位置に設定している。なお、取付けた後でも第二折れ点42の位置を、薄肉Sのフランジ103の車外側側面が突条部32に摺接したときの、薄肉Sのフランジ103の車内側側面と車外側側面の間の位置に設定することが好ましい。
【0034】
その上、保持リップ部33の先端における底壁31c側を切り欠いて凹部36を形成して先端の肉厚を薄くしている。
また、保持リップ部33の断面形状において、保持リップ部33における取付基部31の底壁31c側(保持リップ部33の裏面側)は、保持リップ部30の付け根となる車内側側壁31bの位置から凹部36が形成された部位まで、取付基部30の開口側(保持リップ部33の表面側)に膨出湾曲する単一の曲面(曲率半径R)に形成されている。
【0035】
取付基部31に埋設された芯材34は、取付基部31と同様に断面略U字形状であり、取付基部31に沿って埋設されている。芯材34としては、例えば、厚さ0.3ミリといった薄肉のものが使用され、金属製のものが使用されている。
【0036】
また、車内側側壁31aと底壁31cとの連結位置には車内側に延びる断面略舌状の装飾リップ部35が設けられている
オープニングトリム30を構成する取付基部31,突条部32,保持リップ部33及び装飾リップ部35は、発泡材料、例えば、比重0.4〜0.8のEPDMやTPEからなる発泡スポンジ材から形成されていて樹脂製の芯材34とともにオープニングトリム30全体の軽量化が図られている。
【0037】
次に、以上のように構成されたオープニングトリム30をフランジに取付ける場合について説明する。
オープニングトリム30が、板厚が厚肉Tのフランジ102に取付けられるとき、
図2に示すように、取付基部31の開口側からフランジ102が挿入されるように、フランジ102に対してオープニングトリム30を近づけて(
図2では上側に向けて)嵌め込んでいくと、保持リップ部33は、第一折れ点41を中心に第一折れ点41より先の部分が取付基部31の底壁31c側に向けて折れ曲がり、フランジ102の車内側側面に、保持リップ部33の第一折れ点41と第二折れ点42の間の部位が摺接するとともに、フランジ102の車外側側面に、取付基部31に設けられた突条部32が摺接する。
そして、さらに、フランジ102に対してオープニングトリム30を嵌め込んでいくと、
図3に示すように、フランジ102は、保持リップ部33の第一折れ点41と第二折れ点42の間の部位と、2つの突条部32との間で挟持された状態となり、フランジ102にオープニングトリム30が取付けられる。
【0038】
このとき、保持リップ部33から、第一折れ点41を中心に折れ曲がった第一折れ点41より先の部分が元に戻ろうとする反力が、第一折れ点41と第二折れ点42の間の部位からフランジ102に伝わり、フランジ102を突条部32側に押圧するので、オープンニングトリム30は安定した状態でフランジ102に取付けられる。また、オープンニングトリム30の取付時には、保持リップ部33は第一折れ点41を中心に積極的に折れ曲がるので、板厚の厚いフランジ102であっても、取付基部31の開口側から容易に挿入することができ、オープニングトリム30を容易に嵌め込むことができる。
また、保持リップ部33における取付基部31の底壁31c側(裏面側)の側面は、取付基部30の開口側(保持リップ部33の表面側)に膨出湾曲する単一の曲面に形成されているので、オープニントリム30の取付時に、保持リップ部33と取付基部31の車内側側壁31bとの間には隙間Qが生じる。これにより、保持リップ部33が、
図3に示すように車内側側壁31b側に向けて大きく撓んでも、保持リップ部33と車内側側壁31bとの間には隙間Qがあるので、保持リップ部33からの力が車内側側壁31bに直接大きく伝わることはない。これにより、フランジ102に取付けられたオープニングトリム30の取付基部31の開口が広くなるといった、「口開き」の発生を防止することができる。
【0039】
また、保持リップ部33の先端と底壁31cの間にはわずかな隙間Nが残存する程度となっている。
そして、保持リップ部33はスポンジ材であるため仮に保持リップ部33が車内側側壁31bと当接しても保持リップ部33自体の撓みにより、「口開き」を防止する。これは、車内側側壁31bもスポンジ材であれば、一層効果が大きい。
【0040】
また、フランジ102にオープニングトリム30を取付けるときに、保持リップ部33の先端が対向する突条部32に弾接することがあっても、突条部32にはテーパー状の傾斜部32aが形成されているので、保持リップ部33の先端は傾斜部32aに沿って円滑に車内側側壁31b側に撓む。これにより、フランジ102にオープニングトリム30を取付けるときに、保持リップ部33の先端が突条部32側に引っ掛かり挿入荷重を急激に増大させるといった事態の発生を防止することができる。
【0041】
次に、オープニングトリム30が、板厚が薄肉Sのフランジ103に取付けられるとき、
図4に示すように、保持リップ部33は、第一折れ点41を中心に第一折れ点41より先の部分が取付基部31の底壁31c側に向けて折れ曲がるとともに、第二折れ点42を中心に第二折れ点42より先の部分もフランジ102の車内側側面に折れ曲がり、フランジ103の車外側側面に、保持リップ部33の先端と第二折れ点42との間の部位が摺接する。
これにより、フランジ103は、保持リップ部33の先端と第二折れ点42の間の部位と、2つの突条部32との間で挟持された状態となり、フランジ103にオープニングトリム30が取付けられる。
【0042】
このとき、保持リップ部33から、第一折れ点41を中心に折れ曲がった第一折れ点41より先の部分が元に戻ろうとする反力に加えて、第二折れ点42を中心に折れ曲がった第二折れ点42より先の部分も元に戻ろうとする反力も、保持リップ部33の先端と第二折れ点42の間の部位から集中してフランジ103に伝わり、フランジ103を突条部32側に押圧するので、オープンニングトリム30は安定した状態でフランジ103に取付けられる。特に、保持リップ部33の先端の取付基部31の底壁31c側は切り欠かれていることにより、保持リップ部33の先端の撓み量は大きく、しかも保持リップ部33は発泡スポンジ材からなるので、保持リップ部33の先端と第二折れ点42の間の部位は、フランジ103の車内側側面に大きく密着した状態でくいつく。
よって、
図5に示すように、オープニングトリム30が薄肉Sのフランジ103に取付けられた状態からオープニングトリム30を引き抜く方向(
図5では下側)に力が作用しても、保持リップ部33の先端と第二折れ点42の間の部位に集中した反力がフランジ103にかかり突条部32との間でフランジ103は強く挟持されるので、たとえ芯材34として薄肉の金属製又は樹脂製のものを使用したとしてもフランジ103からオープニングトリム30が容易に離れることはない。
しかも、保持リップ部33の先端と第二折れ点42の間は平担にされているので、フランジ103の車内側側面に摺接する保持リップ部33の先端と第二折れ点42の間の部位はフランジ103に対する密着度は高く一層保持力は向上する。
また、オープニングトリム30の取付時には、保持リップ部33は第一折れ点41より先側が折れ曲がるとともに第二折れ点42より先端も折れ曲がるので、板厚の薄いフランジ103を取付基部31の開口側から容易に挿入することができ、オープニングトリム30を容易に嵌め込むことができる。
【0043】
このように、本実施形態のオープニントリム30によれば、板厚が厚肉Tのフランジ(例えば三枚重ねのもの)102から、薄肉Sのフランジ(例えば一枚のもの)103までオープニントリム30を十分な保持力で取付けることができ、しかもフランジ102,103を取付基部31の開口側から容易に挿入することができる。
【0044】
そして、フランジ102,103に取付けられたオープニングトリム30は、ドアの閉時にドア側に設けられた中空シール部(図示しない)に車外側側壁31aが弾接して車内外をシールするようになっている。なお、車外側側壁31aに中空シール部を設けて、ドアの閉時にドアに対してオープニングトリム側に設けられた中空シール部を弾接して車内側をシールするようにしてもよい。
【0045】
なお、本実施形態では、保持リップ部33の先端と第二折れ点42の間を平担にして特に板厚の薄肉Sのフランジ103に対して密着領域を広くした状態で摺接させたが、
図6に示すように、保持リップ部33の先端と第二折れ点42の間を、取付基部31の開口側に向けて膨出湾曲させるようにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、保持リップ部33の先端の剛性を底壁31c側を切り欠くことによって保持リップ部33の他の部位の剛性よりも低くして保持リップ部33の先端の撓み量を増加させたが、
図7に示すように、特に切り欠きを設けることなく、保持リップ部33の先端の剛性が保持リップ部33の他の部位の剛性よりも低くなるような材質で保持リップ部33の先端を形成してもよい。
【0047】
また、本実施形態では、保持リップ部33における取付基部31の開口側に第一折れ点41を設けたが、これにかえて、
図8に示すように、保持リップ部33における取付基部31の底壁31c側でしかも車内側側壁31b側にノッチ37やスリットを設けるようにしてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、保持リップ部33における取付基部31の底壁31c側(保持リップ部33の裏面側)で、保持リップ部33の付け根となる車内側側壁31bの位置から凹部36が形成された部位までを、取付基部30の開口側(保持リップ部33の表面側)に膨出湾曲する単一の曲面(曲率半径R)に形成したが、取付基部30の開口側(保持リップ部33の表面側)に膨出湾曲する形状であれば、オープニントリム30の取付時に、保持リップ部33と取付基部31の車内側側壁31bとの間に隙間Qを生じさせ、保持リップ部33からの力が車内側側壁31bに直接大きく伝わることは防止されるので、必ずしも単一の曲面でなくてもよい。
また、本実施形態では、オープニングトリム30において芯材34を除いたすべての部分を発泡スポンジ材で構成したが、保持リップ部33だけ、あるいは、フランジ102,103を直接挟持する突条部32と保持リップ部33だけを発泡スポンジ材で構成するようにしても十分な保持力が得られる。
また、本実施形態では、芯材34としては、例えば、厚さ0.3ミリといった薄肉のものを使用したが、厚肉のものを使用してもよいし、金属製のものに限らず樹脂製のものを使用することも可能である。