(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る共同受信ヘッドアンプの各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。本発明は、受信した放送信号を調整して送信する共同受信ヘッドアンプである。
「放送信号」とは、放送のために送信する電波信号であって、例えば地上デジタル放送信号やBSデジタル放送信号を含む。
「放送信号を送信する」とは、放送信号を放送波として無線にて送信すること、及び、放送信号を有線にて電線路や光伝送路にて送信することを含む。
【0024】
本実施形態に係る共同受信ヘッドアンプの設置対象は任意であり、例えば電柱等の支持柱や、家屋の外壁に設置できる。共同受信ヘッドアンプは、その設置形態により、マンション等の共同受信施設の内部等に設置される屋内型と、外壁等に設置される屋外型に大別されるが、いずれの形態の共同受信ヘッドアンプにおいても、本実施の形態を適用することができる。以下では、共同受信ヘッドアンプを屋外型とした場合について説明する。
【0025】
この共同受信ヘッドアンプの特徴の一つは、概略的に入力分配部又は出力混合部の少なくとも一方又はその一部分を、筐体から着脱できる構成としていることにある。従って、共同受信ヘッドアンプの維持にかかる手間や費用を削減することができる。
「入力分配部」や「出力混合部」については後述する。
また、「少なくとも一方」とは、入力分配部又は出力混合部のどちらか一方のみをいう場合と、入力分配部及び出力混合部の両方をいう場合と、の二通りを含むことを意図する。
また、「又はその一部分」とは、入力分配部又は出力混合部を全体的に筐体から着脱できる構成とする場合の他、入力分配部又は出力混合部のうちの特定の一部分のみを筐体から着脱できる構成とする場合を含むことを意図する。
以下、このように筐体から着脱可能となる部分を、必要に応じて「着脱対象部」と称する。
【0026】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、本発明に係る各実施の形態の具体的内容について説明する。
【0027】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。本実施の形態は、筐体と入力分配部を着脱する機構としてプッシュロック機構を備え、あるいは、筐体と出力混合部を着脱する機構としてプッシュロック機構を備える形態である。
【0028】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る共同受信ヘッドアンプの構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る共同受信ヘッドアンプを機能概念的に示したブロック図である。この共同受信ヘッドアンプ1は、概略的に、筐体2、入力端子3、入力分配部4、複数のチャンネルユニット5、出力混合部6、及び出力端子7を備えて構成されている。
【0029】
(構成−筐体2)
筐体2は、共同受信ヘッドアンプ1を構成する部品を収容する、共同受信ヘッドアンプ1の外郭である。
図2は、共同受信ヘッドアンプ1の外観図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図、
図3は、筐体蓋9を取り外した状態の共同受信ヘッドアンプ1の外観図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、
図4は、筐体蓋9及びチャンネルユニット5を取り外した状態の共同受信ヘッドアンプ1の外観図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図である。
【0030】
これら各図に示すように、筐体2は、筐体本体8、筐体蓋9、ヒンジ部10、及び、筐体接合部11を備えて構成されている。以下では、
図2におけるX方向を長さ方向、Y方向を幅方向、Z方向を高さ方向と称する。
【0031】
筐体本体8は、入力分配部4、複数のチャンネルユニット5、及び出力混合部6を収容するものである。筐体本体8は、全体として中空の直方体形状で形成されており、その一側面のほぼ全面が開口面とされている。この筐体本体8の内部の底面には、
図4(b)に示すように、所定の位置にネジ穴12が設けられる。このネジ穴12は、入力分配部4及び出力混合部6を別々に固定するための接合手段である。入力分配部4及び出力混合部6の固定方法は後述する。
【0032】
図2において、筐体蓋9は、筐体2を開閉するためのものであり、筐体本体8に対応する外形の中空の直方体形状で形成されており、筐体本体8に対向する面のほぼ全面が開口面とされている。
【0033】
ヒンジ部10は、筐体本体8に対して筐体蓋9を回動自在に接合する接合手段であり、筐体2の長さ方向の一辺であって筐体本体8と筐体蓋9とが係合する辺の2箇所に設けられている。
【0034】
筐体接合部11は、筐体蓋9を閉じた際に、筐体本体8と筐体蓋9を接合する接合手段であり、筐体2の長さ方向の一辺であってヒンジ部10の配置位置に対応する2箇所に設けられている。筐体接合部11の具体的な構造は任意であり、例えば筐体本体8と筐体蓋9をボルト締結する構造が挙げられる。
【0035】
このような構成において、筐体蓋9は、ヒンジ部10を介して、筐体本体8の開口面を覆う閉鎖位置と、筐体本体8の開口面を解放する解放位置との2位置に移動可能となっている。また、筐体蓋9は、筐体本体8の開口面を覆う閉鎖位置において、筐体接合部11を介して筐体本体8に接合されることで、筐体本体8を密閉する。ここで、筐体本体8と筐体蓋9との接合部には、その全周に渡るように防水ゴムが設けられており、閉鎖位置において筐体蓋9が筐体本体8に接合された状態においては、この防水ゴムを介して筐体本体8と筐体蓋9との密閉性が保持され、筐体2の内部への浸水を防止することができる。
【0036】
(構成−入力端子3)
図3において、入力端子3は、入力ケーブルより入力された放送信号を入力分配部4へ出力する端子である。入力端子3は、筐体本体8の外部から内部に貫通するよう配置されており、筐体2の外部において図示しない入力ケーブルと接続され、筐体2の内部において入力分配部4の後述する信号入力部14と接続される。なお、具体的には、入力端子3としては、放送出力用の入力端子(広帯域用)3a、モニタ出力用の入力端子(狭帯域用)3b、及びFM放送用の入力端子(FM放送用)3cの3つの入力端子3が、筐体2の同一面に並設されている。ただし、これら各端子は相互に同一に構成できるため、特記する場合を除き、これら各端子を単に入力端子3と称する。
【0037】
(構成−入力分配部4)
図4において、入力分配部4は、入力端子3から入力された放送信号を、複数のチャンネルユニット5の数に応じて分配し、各チャンネルユニット5に出力する分配手段である。この入力分配部4は、直方体形状にて形成され、筐体本体8の長さ方向の端部に設けられている。入力分配部4は、概略的には、ユニットケース13、信号入力部14、信号分配部15、信号出力部16、筐体取り付け部17、チャンネルユニット取り付け部18、及び入力モニタ用端子24を備えて構成されている。
【0038】
ユニットケース13は、入力分配部4を構成する各部品を収容する、入力分配部4の外郭である。例えば、ユニットケース13は、樹脂や軽金属等にて、筐体本体8とほぼ同一の幅であってほぼ半分の高さの中空の直方体として形成されている。このようにユニットケース13に各部品を収容することにより、入力分配部4を一体的な構造体としてユニット化することができる。
【0039】
信号入力部14は、入力端子3より入力された放送信号の入力を受け付ける入力手段である。この信号入力部14は、ユニットケース13の側面における入力端子3と対向する位置に配置されており、これら信号入力部14と入力端子3とを接合することにより、入力分配部4と入力端子3とを機械的及び電気的に接続することができる。なお、具体的には、広帯域信号の入力を受け付ける信号入力部(広帯域用)14aと、狭帯域信号の入力を受け付ける信号入力部(狭帯域用)14bと、FM放送信号の入力を受け付ける信号入力部(FM放送用)14cが、ユニットケース13の同一面に並設されている。ただし、各信号入力部は実質的に同一の構造を採用することができるため、以下では、特記する場合を除き、単に信号入力部14と称する。
【0040】
ここで、「機械的に接続する」とは、入力分配部4を、入力端子3に対する位置が固定されて特定方向への移動が規制された状態とすることを意味する。この入力端子3は筐体本体8に固定されていることから、結果として、入力分配部4を、筐体本体8に対する位置が固定されて特定方向への移動が規制された状態とすることを意味する。ここで、「特定方向」とは、後述するプッシュロック機構による押し込み方向とは逆方向を意味する。また、「電気的に接続する」とは、入力分配部4を、入力端子3からの電気信号(放送信号)が入力可能となるように、当該入力端子3に接合することを意味する。
【0041】
図1において、信号分配部15は、入力端子3から入力された放送信号を、複数のチャンネルユニット5の数に応じて分配して出力する信号分配手段である。この信号分配部15は、避雷器19、ATT(アッテネータ)20、BPF(バンドパスフィルタ)21、アンプ22、及び分配器23、を備えて構成されている。避雷器19は、所定値以上の電圧の入力信号が入力された場合に当該入力信号をアース端子に迂回させる避雷手段である。ATT20は、所定レベル以上の入力信号が入力された場合に信号レベルを減衰させる減衰手段である。BPF21は、入力信号の所定帯域成分のみを通過させる帯域制限通過手段である。アンプ22は、入力信号を増幅するための増幅手段である。分配器23は、入力信号を複数のチャンネルユニット5の数に応じて分配する信号分配手段である。
【0042】
信号出力部16は、入力分配部4により分配された放送信号を出力する出力手段である。この信号出力部16は、ユニットケース13の側面におけるチャンネルユニット5の入力部と対向する位置に配置されており、これら信号出力部16とチャンネルユニット5の入力部26とを接合することにより、これら入力分配部4とチャンネルユニット5とを電気的に接続することができる。ここで、「電気的に接続する」とは、入力分配部4からチャンネルユニット5への電気信号(放送信号)の出力が可能となるように、入力分配部4をチャンネルユニット5に接合することを意味する。具体的には、信号出力部16は、各チャンネルユニット5毎に設けられ、各チャンネルユニット5の入力部26と互いに嵌合する形状を有するプラグインコネクタとして構成されている。
【0043】
図3、4において、筐体取り付け部17は、入力分配部4と筐体2を接合する接合部である。例えば、筐体取り付け部17は、ユニットケース13を貫通する貫通孔として形成されており、筐体本体8の底面に設置されたネジ穴12と対向する位置に設けられている。このような構成において、筐体取り付け部17にネジを挿し込み、筐体本体8のネジ穴12に締結することにより、筐体本体8に入力分配部4を固定することができる。
【0044】
チャンネルユニット取り付け部18は、入力分配部4とチャンネルユニット5を接合する接合部である。例えば、チャンネルユニット取り付け部18は、チャンネルユニット5の入力側取り付け部29と対向する位置に配置されたネジ穴として形成されている。
【0045】
入力モニタ用端子24は、点検または修理の際に、入力分配部の信号レベルを測定する測定機器と接続される部分であって、当該測定機器の入力プラグと互いに嵌合する形状を有するプラグインコネクタとして形成されている。具体的には、広帯域放送の信号レベルを測定する際に測定機器のプラグが接続される部分である入力モニタ用端子(広帯域用)24aと、狭帯域放送の信号レベルを測定する際に測定機器のプラグが接続される部分である入力モニタ用端子(狭帯域用)24bと、FM放送の信号レベルを測定する際に測定機器のプラグが接続される部分である入力モニタ用端子(FM放送用)24cが、入力分配部4の同一面に並設されている。ただし、各入力モニタ用端子24は実質的に同一の構造を採用することができるため、以下では、特記する場合を除き、単に入力モニタ用端子24と称する。
【0046】
(構成−チャンネルユニット5)
図3において、複数のチャンネルユニット5は、入力分配部4より出力された放送信号に対して所定の処理を行うことにより出力混合部6に放送信号を出力するユニットであり、複数のチャンネルの各々に対して割り当てられたユニットである。これら複数のチャンネルユニット5は、相互に同一構成となっており、筐体本体8の中央位置において、入力分配部4から出力混合部6に至るように、筐体2の長さ方向に沿って並設されている。
【0047】
各チャンネルユニット5は、入力分配部4より出力された自己に割り当てられた放送信号のレベル調整を行って放送信号として出力するものである。具体的には、一般放送が割り当てられる一般チャンネルユニット5aと、FM放送が割り当てられるFMチャンネルユニット5bに分類される。ただし、一般チャンネルユニット5aとFMチャンネルユニット5bは実質的に同一の構造を採用することができるため、特記する場合を除き、単にチャンネルユニット5と称する。
【0048】
チャンネルユニット5は、概略的には、ユニットケース25、入力部26、信号調整部27、出力部28、入力側取り付け部29、及び出力側取り付け部30を備えて構成される。
【0049】
ユニットケース25は、チャンネルユニット5を構成する各部品を収容する、チャンネルユニット5の外郭である。例えば、ユニットケース25は、樹脂や軽金属等にて、筐体本体8とほぼ同一の高さの中空の直方体として形成されている。このようにユニットケース25に各部品を収容することにより、チャンネルユニット5を一体的な構造体としてユニット化することができる。
【0050】
入力部26は、入力分配部4の信号出力部16より出力された放送信号を入力する、入力手段であり、入力分配部4の信号出力部16と互いに嵌合する形状を有するプラグコネクタとして構成されている。このような構成において、入力部26を、当該入力部26と対向配置された入力分配部4の信号出力部16に差し込むことにより、チャンネルユニット5と入力分配部4とを電気的に接続することができる。
【0051】
図1において、信号調整部27は、入力分配部4より出力された自己に割り当てられた放送信号のレベル調整を行って放送信号として出力する信号調整手段である。ただし、これら信号調整部27については、公知の構成を使用することができるので、その詳細な説明及び図示を省略する。
【0052】
図3、4において、出力部28は、調整した放送信号を、出力混合部6に出力する出力手段であり、出力混合部6の後述する信号入力部32と互いに嵌合する形状を有するプラグコネクタとして構成されている。このような構成において、出力部28を、当該出力部28と対向配置された出力混合部6の信号入力部32に差し込むことにより、チャンネルユニット5と出力混合部6とを電気的に接続することができる。
【0053】
入力側取り付け部29は、各チャンネルユニット5と入力分配部4とを接合する接合手段である。例えば、入力側取り付け部29は、ユニットケース25を貫通する貫通孔であって、入力分配部4のチャンネルユニット取り付け部18と対向する位置に配置されている。このような構成において、入力側取り付け部29にネジを挿し込み、入力分配部4のチャンネルユニット取り付け部18に締結することにより、入力分配部4にチャンネルユニット5を固定することができる。
【0054】
出力側取り付け部30は、各チャンネルユニット5と出力混合部6とを接合する接合手段である。例えば、出力側取り付け部30は、ユニットケース25を貫通する貫通孔であって、出力混合部6のチャンネルユニット取り付け部36と対向する位置に配置されている。このような構成において、出力側取り付け部30にネジを挿し込み、出力混合部6のチャンネルユニット取り付け部36に締結することにより、出力混合部6にチャンネルユニット5を固定することができる。
【0055】
(構成−出力混合部6)
図3、4において、出力混合部6は、各チャンネルユニット5より出力された放送信号を混合し、出力端子7に出力する混合手段である。この出力混合部6は、直方体形状にて形成され、筐体本体8の長さ方向の入力分配部4とは反対側の端部に設けられている。出力混合部6は、概略的には、ユニットケース31、信号入力部32、信号混合部33、信号出力部34、筐体取り付け部35、及びチャンネルユニット取り付け部36を備えて構成されている。
【0056】
ユニットケース31は、出力混合部6を構成する各部品を収容する、出力混合部6の外郭である。例えば、ユニットケース31は、樹脂や軽金属等にて、筐体本体8とほぼ同一の幅であってほぼ半分の高さの中空の直方体として形成されている。このようにユニットケース31に各部品を収容することにより、出力混合部6を一体的な構造体としてユニット化することができる。
【0057】
信号入力部32は、各チャンネルユニット5より入力された放送信号の入力を受け付ける入力手段である。この信号入力部32は、ユニットケース31の側面におけるチャンネルユニット5の出力部28と対向する位置に配置されており、これら信号入力部32とチャンネルユニット5の出力部28とを接合することにより、これら出力混合部6とチャンネルユニット5とを電気的に接続することができる。ここで、「電気的に接続する」とは、チャンネルユニット5から出力混合部6への電気信号(放送信号)の出力が可能となるように、出力混合部6をチャンネルユニット5に接合することを意味する。具体的には、信号入力部32は、各チャンネルユニット5毎に設けられ、各チャンネルユニット5の出力部28と互いに嵌合する形状を有するプラグインコネクタとして構成されている。
【0058】
図1において、信号混合部33は、各チャンネルユニット5から入力された放送信号を、混合して出力する信号混合手段である。この信号混合部33は、混合器37、アンプ38、BPF39、及び避雷器40を備えて構成されている。混合器37は、入力された放送信号を、混合する信号混合手段である。アンプ38は、放送信号を増幅するための増幅手段である。BPF39は、入力信号の所定帯域成分のみを通過させる帯域制限通過手段である。避雷器40は、所定値以上の電圧の信号が信号出力部34から入力された場合に当該信号をアース端子に迂回させる避雷手段である。
【0059】
図3、4において、信号出力部34は、出力混合部6により混合された放送信号を出力する出力手段である。この信号出力部34は、ユニットケース31の側面における出力端子7と対向する位置に配置されており、これら信号出力部34と出力端子7とを接合することにより、出力混合部6と出力端子7とを機械的及び電気的に接続することができる。なお、実際には、信号出力部34としては、各出力端子7に対応する位置及び形状で配置されており、放送出力用の信号出力部(放送用)34a、及びモニタ出力用の信号出力部(モニタ用)34bの2つの信号出力部34が、ユニットケース31の同一面に並設されている。ただし、これら各信号出力部は実質的に同一の構造を採用することができるため、特記する場合を除き、単に信号出力部34と称する。
【0060】
ここで、「機械的に接続する」とは、出力混合部6を、出力端子7に対する位置が固定されて特定方向への移動が規制された状態とすることを意味する。この出力端子7は筐体本体8に固定されていることから、結果として、出力混合部6を、筐体本体8に対する位置が固定されて特定方向への移動が規制された状態とすることを意味する。ここで、「特定方向」とは、後述するプッシュロック機構による押し込み方向とは逆方向を意味する。また、「電気的に接続する」とは、出力混合部6を、出力端子7に電気信号(放送信号)が出力可能となるように、当該出力端子7に接合することを意味する。
【0061】
筐体取り付け部35は、出力混合部6と筐体2を接合する接合手段である。例えば、筐体取り付け部35は、ユニットケース31を貫通する貫通孔として形成されており、筐体本体8の底面に設置されたネジ穴12と対向する位置に設けられている。このような構成において、筐体取り付け部35にネジを挿し込み、筐体本体8のネジ穴12に締結することにより、筐体本体8に出力混合部6を固定することができる。
【0062】
チャンネルユニット取り付け部36は、出力混合部6とチャンネルユニット5を接合する接合手段である。例えば、チャンネルユニット取り付け部36は、チャンネルユニット5の出力側取り付け部30と対向する位置に配置されたネジ穴として形成されている。
【0063】
(構成−出力端子7)
出力端子7は、出力混合部6より出力された放送信号を、出力ケーブルへ出力する端子である。出力端子7は、筐体本体8の外部から内部に貫通するよう配置されており、筐体2の内部において出力混合部6の信号出力部34と接続され、筐体2の外部において出力ケーブルと接続される。なお、具体的には、出力端子7としては、放送出力用の出力端子(放送用)7a、及びモニタ出力用の出力端子(モニタ用)7bの2つの出力端子7が、筐体2の同一面に並設されているが、これら各端子は相互に同一に構成できるため、特記する場合を除き、これら各端子を単に出力端子7と称する。
【0064】
(構成−その他)
また、図示は省略しているが、共同受信ヘッドアンプ1は、電源部を備えている。例えば、後段側に設けられた図示しない電源供給器から供給される電力を、放送出力用の出力端子(放送用)7aを介して受容可能となっている。また、筐体2の出力側には、図示しない直接給電端子が設けられている。そして、これら各種の電源から入力された電力を切り換えて使用するための切換スイッチや、AC/DC変換を行うための変換部が設けられており、変換された電力が各部に供給される。
【0065】
(構成−着脱構造)
ここで、信号入力部14と入力端子3との相互の着脱構造と、信号出力部34と出力端子7との相互の着脱構造とについて、さらに詳細に説明する。ただし、両者の構造としては実質的に同一の構造を採用することができるので、以下では、信号入力部14と入力端子3との相互の着脱構造について説明する。
【0066】
図5は、入力端子3に対して信号入力部14を接続する前の状態を示す要部斜視図である。信号入力部14と入力端子3との相互の着脱構造は、いわゆるプッシュロック構造として構成されている。具体的には、入力端子3のうち、信号入力部14と接続される部分は、概略的には中実円筒体として形成されており、この円筒体の外周部は平滑状に形成された接点として構成され、この円筒体の内部には信号入力部14の芯線41を受容可能なものであって当該芯線41に接続可能な凹状接点が設けられている。一方、信号入力部14のうち、入力端子3と接続される部分は、入力端子3の外径にほぼ対応する内径を有する中空円筒体と、この中空円筒体の軸芯位置に配置された芯線41とを備えて構成されており、中空円筒体には、入力端子3に対する信号入力部14の着脱方向に沿ったスリットであって当該入力端子3に対向する開口を有する複数のスリット42が形成されている。
【0067】
このような構成において、入力端子3に信号入力部14を押し当てることにより、入力端子3の中実円筒体が信号入力部14の中空円筒体の内部に挿入される。この際、信号入力部14の中空円筒体は、スリット42を介して自己の弾性力により拡径又は縮径が可能となっているため、その内面を、入力端子3の中実円筒体の平滑な外周面に対して、常時押圧接触させることができる。また、このように挿入することで、信号入力部14の芯線41を、入力端子3の凹状接点に挿入して接触させることができる。従って、信号入力部14と入力端子3とを、上述のように電気的に接合することができる。特に、信号入力部14の中空円筒体の弾性力により入力端子3を外部から機械的に保持できるので、信号入力部14と入力端子3とを、上述のように機械的に接合することができる。このように、入力端子3に信号入力部14を押し当てるという単一動作を行うことで、信号入力部14と入力端子3との機械的かつ電気的な接合を同時に達成できるので、筐体2に対する入力分配部4の取り付けを容易に行うことができる。
【0068】
逆に、入力端子3から信号入力部14を引き抜くことにより、入力端子3の中実円筒体が信号入力部14の中空円筒体の内部から引き出され、信号入力部14と入力端子3との機械的及び電気的な接合が同時に解除される。このように、入力端子3から信号入力部14を引き抜くという単一動作を行うことで、信号入力部14と入力端子3との機械的かつ電気的な接合の解除を同時に達成できるので、筐体2に対する入力分配部4の取り外しを容易に行うことができる。
【0069】
(構成−着脱手順)
最後に、入力分配部4や出力混合部6の筐体2に対する着脱手順について、さらに詳細に説明する。ただし、両者の手順としては実質的に同一の手順を採用することができるので、以下では、入力分配部4と入力端子3との相互の着脱手順について説明する。
【0070】
図3のようにチャンネルユニット5が筐体2に取り付けられている状態において、入力分配部4に交換の必要が生じた場合には、まず、全てのチャンネルユニット5を筐体2から取り外す。具体的には、チャンネルユニット5の入力側取り付け部29を介して、入力分配部4のチャンネルユニット取り付け部18に取り付けられているネジを取り外す。同様に、チャンネルユニット5の出力側取り付け部30を介して、出力混合部6のチャンネルユニット取り付け部36に取り付けられているネジを取り外す。
【0071】
次に、入力分配部4を筐体2から取り外す。具体的には、筐体取り付け部17のネジを回してネジ穴12との締結を解除し、入力分配部4を入力端子3とは反対側の方向にスライドさせることで、信号入力部14と入力端子3との機械的かつ電気的な接合を解除する。このことにより、入力分配部4を筐体2から取り出すことができる。
【0072】
その後、交換した入力分配部4を筐体2に取り付ける。具体的には、入力分配部4を入力端子3の方向にスライドさせることで、信号入力部14と入力端子3との機械的かつ電気的な接合を行う。さらに筐体取り付け部17にネジを差し込みネジ穴12と締結する。このことにより、入力分配部4を筐体2に取り付けることができる。
【0073】
最後に、全てのチャンネルユニット5を筐体2に取り付ける。具体的には、チャンネルユニット5の入力側取り付け部29を介して、入力分配部4のチャンネルユニット取り付け部18にネジを取り付ける。同様に、チャンネルユニット5の出力側取り付け部30を介して、出力混合部6のチャンネルユニット取り付け部36にネジを取り付ける。これにて入力分配部4の交換が完了する。この交換作業は、筐体2を設置位置から移動させることなく行うことができるので、入力端子3や出力端子7に対する外部の同軸ケーブルの防水処理を棄損することがない。
【0074】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、入力分配部4又は出力混合部6の少なくとも一方又はその一部分を筐体2から着脱可能としたので、故障等が生じた入力分配部4又は出力混合部6の少なくとも一方又はその一部分のみを容易に交換することが可能になり、共同受信ヘッドアンプ1の維持にかかる手間や費用を削減することができる。
また、このように入力分配部4又は出力混合部6の少なくとも一方又はその一部分のみを容易に交換することができるため、筐体2を作業性のよい場所に移動する必要がなくなり、設置位置に固定したままでこれら入力分配部4又は出力混合部6等を交換することができる。このため、共同受信ヘッドアンプ1に接続されている入出力ケーブルに対する防水処理も取り外すことなくそのまま維持することができ、屋外型の共同受信ヘッドアンプ1の維持にかかる手間や費用を一層削減することができる。
【0075】
また、入力分配部4又は出力混合部6等を筐体2から着脱する機構としてプッシュロック機構を備えているので、従来のようにネジ等を用いた構造に比べて、入力分配部4又は出力混合部6等の交換が一層容易になる。
【0076】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態は、入力分配部又は出力混合部の少なくとも一方は、少なくとも放送信号を増幅するためのアンプを有する第1ユニットと、アンプを有しない第2ユニットを備え、第1ユニットを、第2ユニットと干渉することなく、筐体2から着脱可能とした形態である。なお、実施の形態2の構成や手順は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成や手順と略同一であり、実施の形態1の構成や手順と略同一の構成や手順についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0077】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る共同受信ヘッドアンプ50の構成について説明する。
図6は、実施の形態2に係る共同受信ヘッドアンプ50の概要図である。この共同受信ヘッドアンプ50は、概略的に、筐体2、入力端子3、入力分配部4、複数のチャンネルユニット5、出力混合部6、及び出力端子7を備えて構成されている。
【0078】
(構成−入力分配部4)
入力分配部4は、第1ユニット51と第2ユニット52を備えて構成されている。
【0079】
(構成−入力分配部4−第1ユニット51)
第1ユニット51は、少なくとも放送信号を増幅するためのアンプ22を有するユニットである。具体的には、第1ユニット51は、ユニットケース53、信号入力部54、第1信号分配部55、及び信号出力部56を備えて構成されている。
【0080】
ユニットケース53は、第1ユニット51を構成する各部品を収容する、第1ユニット51の外郭である。例えば、ユニットケース53は、樹脂や軽金属等にて、筐体本体8とほぼ同一の幅であってほぼ半分の高さの中空の直方体として形成されている。ただし、ユニットケース53は、実施の形態1における入力分配部4のユニットケース53の半分程度の長さに形成されている。このようにユニットケース53に各部品を収容することにより、第1ユニット51を一体的な構造体としてユニット化することができる。
【0081】
信号入力部54は、第1ユニット51のユニットケース53における入力端子3に対向する側面において、実施の形態1の信号入力部14と同様に構成されている。
【0082】
第1信号分配部55は、実施の形態1の入力分配部4の信号分配部に含まれる各部の中で、比較的壊れ易い部品によって構成されており、例えば、避雷器19、ATT(アッテネータ)20、BPF21、及びアンプ22、を含んで構成されている。特に、この中で、アンプ22は、雷等の外来ノイズの影響を受けやすく、入力分配部4の中でも比較的壊れやすい部品と考えられる。なお、これら各部の図示は
図6において省略する。
【0083】
信号出力部56は、第1ユニット51から第2ユニット52に向けて信号を出力するための出力手段であり、例えば、第1ユニット51のユニットケース53における第2ユニット52に対向する側面において、ケーブル用端子として構成されている。
【0084】
(構成−入力分配部4−第2ユニット52)
第2ユニット52は、アンプ22を有しないユニットである。具体的には、第2ユニット52は、ユニットケース57、信号入力部58、第2信号分配部59、信号出力部60、筐体取り付け部17、及びチャンネルユニット取り付け部18を備えて構成されている。
【0085】
ユニットケース57は、第2ユニット52を構成する各部品を収容する、第2ユニット52の外郭である。例えば、第1ユニット51のユニットケース57とほぼ同様に形成されている。このようにユニットケース57に各部品を収容することにより、第2ユニット52を一体的な構造体としてユニット化することができる。
【0086】
信号入力部58は、第1ユニット51から第2ユニット52に向けて信号を入力するための入力手段であり、例えば、第2ユニット52のユニットケース57における第1ユニット51に対向する側面において、第1ユニット51のケーブル用端子に着脱自在に接続可能なケーブルとして構成されている。
【0087】
第2信号分配部59は、実施の形態1の入力分配部4の信号分配部15に含まれる各部の中で、比較的壊れ難い部品によって構成されており、例えば、分配器23を含んで構成されている。なお、これら各部の図示は
図6において省略する。
【0088】
信号出力部60、筐体取り付け部17、及びチャンネルユニット取り付け部18は、第2ユニット52のユニットケース57において、実施の形態1とそれぞれ同様に構成されている。
【0089】
(第1ユニット51と第2ユニット52の非干渉構造)
次に、このように構成された第1ユニット51と第2ユニット52の非干渉構造について説明する。第1ユニット51は、第2ユニット52と干渉することなく、筐体2から着脱可能となっている。「干渉することなく」とは、第2ユニット52の筐体2に対する着脱のいかんによらず、第1ユニット51を筐体2に対して着脱できることをいう。このような非干渉構造の具体的態様は任意であり、例えば
図6のように、第1ユニット51を着脱する導線上に第2ユニット52が重ならないようにすることで、第2ユニット52と干渉することなく第1ユニット51を着脱することができる。
【0090】
(構成−出力混合部6)
次に、出力混合部6の構成について説明する。出力混合部6は、第1ユニット61と第2ユニット62を備えて構成されている。
【0091】
(構成−出力混合部6−第1ユニット61)
第1ユニット61は、少なくとも放送信号を増幅するためのアンプ38を有するユニットである。具体的には、第1ユニット61は、ユニットケース63、信号入力部64、第1信号混合部65、及び信号出力部66を備えて構成されている。
【0092】
ユニットケース63は、第1ユニット61を構成する各部品を収容する、第1ユニット61の外郭である。例えば、ユニットケース63は、樹脂や軽金属等にて、筐体本体8とほぼ同一の幅であってほぼ半分の高さの中空の直方体として形成されている。ただし、ユニットケース63は、実施の形態1における入力分配部4のユニットケース63の半分程度の長さに形成されている。このようにユニットケース63に各部品を収容することにより、第1ユニット61を一体的な構造体としてユニット化することができる。
【0093】
信号入力部64は、第2ユニット62から第1ユニット61に向けて信号を入力するための入力手段であり、例えば、第1ユニット61のユニットケース63における第2ユニット62に対向する側面において、ケーブル用端子として構成されている。
【0094】
第1信号混合部65は、実施の形態1の出力混合部6の信号混合部に含まれる各部の中で、比較的壊れ易い部品によって構成されており、例えば、アンプ38、BPF39、及び避雷器40を含んで構成されている。特に、この中で、アンプ38は、雷等の外来ノイズの影響を受けやすく、出力混合部6の中でも比較的壊れやすい部品と考えられる。なお、これら各部の図示は
図6において省略する。
【0095】
信号出力部66は、第1ユニット61のユニットケース63における出力端子7に対向する側面において、実施の形態1の信号出力部と同様に構成されている。
【0096】
(構成−出力混合部6−第2ユニット62)
第2ユニット62は、アンプ38を有しないユニットである。具体的には、第2ユニット62は、ユニットケース67、信号入力部68、第2信号混合部69、信号出力部70、筐体取り付け部35、及びチャンネルユニット取り付け部36を備えて構成されている。
【0097】
ユニットケース67は、第2ユニット62を構成する各部品を収容する、第2ユニット62の外郭である。例えば、第1ユニット61のユニットケース63とほぼ同様に形成されている。このようにユニットケース67に各部品を収容することにより、第2ユニット62を一体的な構造体としてユニット化することができる。
【0098】
信号出力部70は、第2ユニット62から第1ユニット61に向けて信号を出力するための出力手段であり、例えば、第2ユニット62のユニットケース67におけるに対向する側面において、第1ユニット61のケーブル用端子に着脱自在に接続可能なケーブルとして構成されている。
【0099】
第2信号混合部69は、実施の形態1の出力混合部6の信号混合部33に含まれる各部の中で、比較的壊れ難い部品によって構成されており、例えば、混合器37を含んで構成されている。なお、これら各部の図示は
図6において省略する。
【0100】
信号入力部68、筐体取り付け部35、及びチャンネルユニット取り付け部36は、第2ユニット62のユニットケース67において、実施の形態1とそれぞれ同様に構成されている。
【0101】
(第1ユニット61と第2ユニット62の非干渉構造)
このように構成された第1ユニット61と第2ユニット62の非干渉構造は、入力分配部4の第1ユニット51と第2ユニット52の非干渉構造と同様である。例えば
図6のように、第1ユニット61を着脱する導線上に第2ユニット62が重ならないようにすることで、第2ユニット62と干渉することなく第1ユニット61を着脱することができる。
【0102】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、放送信号を増幅するためのアンプを有する第1ユニットを、このアンプを有しない第2ユニットと干渉することなく筐体2から着脱可能としたので、入力分配部4又は出力混合部6に障害が発生した場合に、これら入力分配部4又は出力混合部6の全体ではなく破損し易い部分のみを交換することで障害復旧を行うことが可能になるため、共同受信ヘッドアンプ50の維持にかかる費用を一層削減することができる。
【0103】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態は、入力分配部又は出力混合部の少なくとも一方又はその一部分を、チャンネルユニットと干渉することなく、筐体から着脱可能とした形態である。また、本実施の形態は、入力分配部又は出力混合部の少なくとも一方の異常を検知する異常検知手段と、入力分配部又は出力混合部のいずれに当該異常が検知されたのかが識別可能となるように、表示する表示手段を備えた形態である。なお、実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0104】
(構成)
最初に、実施の形態3に係る共同受信ヘッドアンプ80の構成について説明する。
図7は、実施の形態3に係る共同受信ヘッドアンプ80の概要図である。この共同受信ヘッドアンプ80は、概略的に、筐体2、入力端子3、入力分配部4、複数のチャンネルユニット5、出力混合部6、及び出力端子7を備えて構成されている。
【0105】
(構成−入力分配部4)
入力分配部4は、概略的には、ユニットケース81、信号入力部82、信号分配部83、異常検知部83a、信号出力部84、入力表示部85、及び筐体取り付け部86を備えて構成されている。ただし、ユニットケース81、信号入力部82、信号分配部83、及び筐体取り付け部86は、実施の形態1と同様に構成できるので、その詳細な説明は省略する。
【0106】
信号出力部84は、入力分配部4からチャンネルユニット5に向けて信号を出力するための出力手段であり、例えば、入力分配部4のユニットケース81におけるチャンネルユニット5に対向する側面において、ケーブル用端子として構成されている。
【0107】
異常検知部83aは、入力分配部4の異常を検知する異常検知手段である。この異常検知部83aの具体的な構成は任意である。例えば、異常検知部83aは、信号分配部83に含まれる各部の中で、比較的壊れ易い部品(アンプ等)の後段側において、入力信号のレベルを公知の方法で検知する。そして、異常検知部83aは、当該検知したレベルを所定の基準レベルと比較することにより、異常の有無を判定し、異常があると判定した場合には、異常検知信号を入力表示部85に出力する。
【0108】
入力表示部85は、異常検知部83aにより異常が検知された場合には、当該異常が検知されたことを、入力分配部4又は出力混合部6のいずれに当該異常が検知されたのかが識別可能となるように、表示する表示手段である。この入力表示部85の具体的構成は任意であり、例えば、
図7のように入力分配部4のユニットケース81の上面に設けた表示部(例えば表示灯や、液晶パネル)として構成される。
【0109】
(入力分配部4とチャンネルユニット5の非干渉構造)
次に、このように構成された入力分配部4とチャンネルユニット5の非干渉構造について説明する。入力分配部4は、チャンネルユニット5と干渉することなく、筐体2から着脱可能となっている。「干渉することなく」とは、チャンネルユニット5の筐体2に対する着脱のいかんによらず、入力分配部4を筐体2に対して着脱できることをいう。このような非干渉構造の具体的態様は任意であり、例えば
図7のように、入力分配部4を着脱する導線上にチャンネルユニット5が重ならないようにすることで、チャンネルユニット5と干渉することなく入力分配部4を着脱することができる。また、入力分配部4とチャンネルユニット5とを相互にケーブルにて接続すると共に、これら入力分配部4とチャンネルユニット5との相互間にスペースを設けている。このため、入力分配部4の信号入力部82を入力端子3に対してプッシュロック機構で着脱する際、チャンネルユニット5を取り外すことなく、入力分配部4を長さ方向にスライドさせることが可能となっている。
【0110】
(構成−出力混合部6)
出力混合部6は、概略的には、ユニットケース87、信号入力部88、信号混合部89、異常検知部89a、信号出力部90、出力表示部91、及び筐体取り付け部92を備えて構成されている。ただし、ユニットケース87、信号混合部89、信号出力部90、及び筐体取り付け部92は、実施の形態1と同様に構成できるので、その詳細な説明は省略する。
【0111】
信号入力部88は、チャンネルユニット5から出力混合部6に向けて信号を入力するための入力手段であり、例えば、出力混合部6のユニットケース87におけるチャンネルユニット5に対向する側面において、ケーブル用端子として構成されている。
【0112】
異常検知部89aは、出力混合部6の異常を検知する異常検知手段である。この異常検知部89aの具体的な構成は任意である。例えば、異常検知部89aは、信号混合部89に含まれる各部の中で、比較的壊れ易い部品(アンプ等)の後段側において、出力信号のレベルを公知の方法で検知する。そして、異常検知部89aは、当該検知したレベルを所定の基準レベルと比較することにより、異常の有無を判定し、異常があると判定した場合には、異常検知信号を出力表示部91に出力する。
【0113】
出力表示部91は、異常検知部89aにより異常が検知された場合には、当該異常が検知されたことを、入力分配部4又は出力混合部6のいずれに当該異常が検知されたのかが識別可能となるように、表示する表示手段である。この出力表示部91の具体的構成は任意であり、例えば、
図7のように出力混合部6のユニットケース87の上面に設けた表示部(例えば表示灯や、液晶パネル)として構成される。
【0114】
(出力混合部6とチャンネルユニット5の非干渉構造)
このように構成された出力混合部6とチャンネルユニット5の非干渉構造は、入力分配部4とチャンネルユニット5の非干渉構造と同様である。例えば
図6のように、出力混合部6を着脱する導線上にチャンネルユニット5が重ならないようにすることで、チャンネルユニット5と干渉することなく出力混合部6を着脱することができる。また、出力混合部6とチャンネルユニット5とを相互にケーブルにて接続すると共に、これら出力混合部6とチャンネルユニット5との相互間にスペースを設けている。このため、出力混合部6の信号出力部90を出力端子7に対してプッシュロック機構で着脱する際、チャンネルユニット5を取り外すことなく、出力混合部6を長さ方向にスライドさせることが可能となっている。
【0115】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、入力分配部4又は出力混合部6の少なくとも一方又はその一部分を、チャンネルユニット5と干渉することなく筐体2から着脱可能としたので、チャンネルユニット5を筐体2に取り付けたまま入力分配部4又は出力混合部6等のみを取り外して交換することができ、入力分配部4又は出力混合部6等の交換が一層容易になる。
【0116】
また、入力分配部4又は出力混合部6のいずれに異常が検知されたのかが識別可能となるように表示手段にて表示を行うので、入力分配部4又は出力混合部6のいずれに異常が生じた場合にはこの事実をユーザが容易に把握することができ、共同受信ヘッドアンプ80の保守や点検に要する手間を削減することができる。
【0117】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0118】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、共同受信ヘッドアンプの維持にかかる手間や費用を従来に比べて削減できていない場合であっても、従来と異なる手段にて共同受信ヘッドアンプの維持が可能となっている場合には、本願発明の課題が達成されている。
【0119】
(設置形式について)
実施の形態1〜3では屋外に設置する共同受信ヘッドアンプとして説明したが、他の設置形式で行うこともできる。例えば屋内に設置する共同受信ヘッドアンプの場合、筐体2に防水処理をしなくても良い。また、筐体2内部に排熱ファンを設け、筐体2には排熱口を設けることにより、排熱を行っても良い。
【0120】
(着脱方法について)
実施の形態1では着脱方法をプッシュロック機構として説明したが、他の方法で行うこともできる。例えば、入力端子3と入力分配部4の信号入力部14、あるいは、出力端子7と出力混合部6の信号出力部34、にそれぞれ対極となる磁石を設置し、磁石の磁力により着脱することとしてもよい。
【0121】
また、各端子の相互の接合構造としても、上記説明した構造以外の構造を採用することができる。例えば、入力分配部4とチャンネルユニット5との接続に関して、これらいずらか一方には、高さ方向に沿って並設された2枚の金属板から構成される端子を設け、いずれか他方には、高さ方向に沿って配置された1枚の金属板から構成される端子を設けてもよい。そして、当該1枚の金属板を当該2枚の金属板の間に挿入して挟持させることで、これら端子同士の接続を行うようにしてもよい。この構造によれば、入力分配部4とチャンネルユニット5を高さ方向にスライドさせることで、筐体2に対する着脱を行うことが可能になる。
【0122】
(チャンネルユニット5について)
実施の形態1では、チャンネルユニット5を筐体2から取り外すには、各チャンネルユニット5毎にボルトの締結を緩める事として説明したが、他の方法で行うこともできる。
例えば、各チャンネルユニット5をまとめて一つのケースに収容し、当該ケースを筐体2に取り付けることにより、ケースを筐体2から取り外すだけで全てのチャンネルユニット5を取り外すことができるため、チャンネルユニット5を一つずつ取り外す必要が無く、着脱の手間を省くことが出来る。
【0123】
実施の形態2では、信号分配部の中でも比較的壊れ易い部品としてアンプを挙げて説明したが、その他の部品でも当該実施形態の目的は達成される。例えば、アンプ同様に比較的壊れ易い部品と言えるサージ保護(吸収)素子を第1ユニットに設置することで、サージ保護(吸収)素子に障害が発生した場合に、入力分配部の全体ではなく第1ユニットのみを交換することで障害復旧を行うことが可能になるため、共同受信ヘッドアンプ50の維持にかかる費用を一層削減することができる。
【0124】
(異常検知及び異常表示について)
異常検知及び異常表示のための構成についても、各実施の上記説明した構造以外の構造を採用することができる。例えば、表示手段を一つのみ設け、入力分配部4と出力混合部6のいずれに異常が生じたのかを統合的に判定し、この判定結果を当該一つの表示手段において、異常発生箇所が区別可能となるように表示させてもよい。具体的には、入力分配部4において比較的壊れ易い部品の後段で取得した信号レベル(以下、第1信号レベル)と、出力混合部6において比較的壊れ易い部品の後段で取得した信号レベル(以下、第2信号レベル)とを、図示しない中央制御部に入力する。この中央制御部は、第1信号レベルを基準レベルと比較し、異常があると判定した場合には、異常発生箇所が入力分配部4であると判定して、入力分配部4で異常が発生した旨を示す所定態様での表示を表示手段に行わせる(例えば、表示灯の点滅)。また、中央制御部は、第1信号レベルを基準レベルと比較して異常がないと判定した場合には、次に第2信号レベルを基準レベルと比較し、異常があると判定した場合には、異常発生箇所が出力混合部6であると判定して、出力混合部6で異常が発生した旨を示す所定態様での表示を表示手段に行わせる(例えば、表示灯の点灯)。
(付記)
付記1の共同受信ヘッドアンプは、受信した放送信号を調整して送信する共同受信ヘッドアンプであって、受信した放送信号を分配して送信する入力分配部と、上記入力分配部より受信した放送信号に対して所定の処理を行うことにより出力信号を生成して送信するチャンネルユニットと、上記チャンネルユニットより受信した出力信号を混合して送信する出力混合部と、上記入力分配部と上記チャンネルユニットと上記出力混合部を収容する筐体を備え、上記入力分配部又は上記出力混合部の少なくとも一方又はその一部分を、上記筐体から着脱可能とした。
付記2の共同受信ヘッドアンプは、付記1に記載の共同受信ヘッドアンプにおいて、上記入力分配部は、当該入力分配部に放送信号を入力するための信号入力部を備え、上記出力混合部は、当該出力混合部から放送信号を出力するための信号出力部を備え、上記筐体は、当該共同受信ヘッドアンプに放送信号を入力するための入力端子3と、当該共同受信ヘッドアンプから放送信号を出力するための出力端子とを備え、上記入力分配部又はその一部分を上記筐体から着脱する機構として、上記入力端子と上記信号入力部とを有するプッシュロック機構を備え、あるいは、上記出力混合部又はその一部分を上記筐体から着脱する機構として、上記出力端子と上記信号出力部とを有するプッシュロック機構を備えた。
付記3の共同受信ヘッドアンプは、付記1又は2に記載の共同受信ヘッドアンプにおいて、上記入力分配部又は上記出力混合部の少なくとも一方は、少なくとも放送信号を増幅するためのアンプを有する第1ユニットと、アンプを有しない第2ユニットを備え、上記第1ユニットを、上記第2ユニットと干渉することなく、上記筐体から着脱可能とした。
付記4の共同受信ヘッドアンプは、付記1から3のいずれか一項に記載の共同受信ヘッドアンプにおいて、上記入力分配部又は上記出力混合部の少なくとも一方又はその一部分を、上記チャンネルユニットと干渉することなく、上記筐体から着脱可能とした。
付記5の共同受信ヘッドアンプは、付記1から4のいずれか一項に記載の共同受信ヘッドアンプにおいて、上記入力分配部又は上記出力混合部の少なくとも一方の異常を検知する異常検知手段と、上記異常検知手段により異常が検知された場合には、当該異常が検知されたことを、上記入力分配部又は上記出力混合部のいずれに当該異常が検知されたのかが識別可能となるように、表示する表示手段を備えた。
(付記の効果)
付記1に記載の共同受信ヘッドアンプによれば、入力分配部又は出力混合部の少なくとも一方又はその一部分を筐体から着脱可能としたので、故障等が生じた入力分配部又は出力混合部の少なくとも一方又はその一部分のみを容易に交換することが可能になり、共同受信ヘッドアンプの維持にかかる手間や費用を削減することができる。また、このように入力分配部又は出力混合部の少なくとも一方又はその一部分のみを容易に交換することができるため、筐体を作業性のよい場所に移動する必要がなくなり、設置位置に固定したままでこれら入力分配部又は出力混合部等を交換することができる。このため、共同受信ヘッドアンプに接続されている入出力ケーブルに対する防水処理も取り外すことなくそのまま維持することができ、屋外型の共同受信ヘッドアンプの維持にかかる手間や費用を一層削減することができる。
付記2に記載の共同受信ヘッドアンプによれば、入力分配部又は出力混合部等を筐体から着脱する機構としてプッシュロック機構を備えているので、従来のようにネジ等を用いた構造に比べて、入力分配部又は出力混合部等の交換が一層容易になる。
付記3に記載の共同受信ヘッドアンプによれば、放送信号を増幅するためのアンプを有する第1ユニットを、アンプを有しない第2ユニットと干渉することなく筐体から着脱可能としたので、入力分配部又は出力混合部に障害が発生した場合に、これら入力分配部又は出力混合部の全体ではなく破損し易い部分のみを交換することで障害復旧を行うことが可能になるため、共同受信ヘッドアンプの維持にかかる費用を一層削減することができる。
付記4に記載の共同受信ヘッドアンプによれば、入力分配部又は出力混合部の少なくとも一方又はその一部分を、チャンネルユニットと干渉することなく筐体から着脱可能としたので、チャンネルユニットを筐体に取り付けたまま入力分配部又は出力混合部等のみを取り外して交換することができ、入力分配部又は出力混合部等の交換が一層容易になる。
付記5に記載の共同受信ヘッドアンプによれば、入力分配部又は出力混合部のいずれに異常が検知されたのかが識別可能となるように表示手段にて表示を行うので、入力分配部又は出力混合部のいずれに異常が生じた場合にはこの事実をユーザが容易に把握することができ、共同受信ヘッドアンプの保守や点検に要する手間を削減することができる。