(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、フラックスゲート型磁気センサ、或いはフラックスゲート型磁気センサに接続される配線などにノイズが現れる車載環境などのノイズが多い環境では、信号検出回路が外部磁界を誤って検出してしまう場合がある。そのため、後段の制御部が、外部磁界の強度を誤って算出してしまうという問題があった。
図10は、従来の信号検出回路の問題点を説明するための図である。
図10においては、フラックスゲート型磁気センサの検出コイルから出力された信号(フラックスゲートセンサ検出信号)、差動増幅器の出力信号(差動増幅器出力信号)、及びコンパレータの出力信号(コンパレータ出力信号)各々の電圧レベルの時間変化を示している。
【0008】
差動増幅器は、
図10において信号ピークで示すフラックスゲートセンサ出力信号の正負のスパイク状電圧を増幅して、
図10に示す差動増幅器出力信号をコンパレータに対して出力する。差動増幅器出力信号が入力されるコンパレータは、いわゆるヒステリシスコンパレータであり、例えば、差動増幅器出力信号のレベルが閾値電圧VthHを超えると、コンパレータ出力信号をハイレベル(Hレベル)から、ロウレベル(Lレベル)へ変化させる。一方、コンパレータは、差動増幅器出力信号のレベルが閾値電圧VthL以下となると、コンパレータ出力信号をLレベルから、Hレベルへ変化させる。カウンタは、コンパレータ出力信号がLレベルである期間tcにおいて、制御部が出力する所定周期のクロック信号のパルス数をカウントする。制御部では、このパルス数に基づき、外部磁界の強度を示す信号を生成し、外部へ出力する。
【0009】
ところで、フラックスゲートセンサ検出信号に対して、
図10においてノイズピークで示すノイズが重畳した場合、差動増幅器は、このノイズが重畳したフラックスゲートセンサ出力信号を増幅し、
図10に破線で示す差動増幅器出力信号を出力してしまう場合がある。差動増幅器出力信号のレベルが閾値電圧VthL以下となるほどにノイズが大きい場合、コンパレータは、コンパレータ出力信号をLレベルから、Hレベルへ変化させる。カウンタは、コンパレータ出力信号がLレベルである期間teにおいて、制御部が出力する所定周期のクロック信号のパルス数をカウントする。また、制御部では、このパルス数に基づき、外部磁界の強度を示す信号を生成し、外部へ出力する。従って、制御部は、外部磁界の強度を誤って算出してしまうという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の信号検出回路は、フラックスゲート型磁気センサからの検出信号が入力される積分回路と、前記積分回路の出力信号が入力され、前記出力信号に含まれる立ち上がり及び立ち下がりの一方から他方への時間間隔を検出する時間検出回路と、を備え、前記積分回路の入力は、コンデンサを介して前記フラックスゲート型磁気センサの出力に接続さ
れ、前記時間検出回路は、前記積分回路の出力を増幅する差動増幅回路と、前記差動増幅回路の出力をデジタル信号に変換するコンパレータと、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の信号検出回路において、前記コンパレータの出力が一方の論理値をとる期間においてクロックのパルス数をカウントするカウンタを更に備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の信号検出回路において、前記コンパレータの出力を積分し、直流電圧として出力するローパスフィルタを更に備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の電流センサは、上記記載の信号検出回路を備える磁気センサを用いることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の電子方位計は、上記記載の信号検出回路を備える磁気センサを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、積分回路が信号ピークより周波数が高いノイズピークを低くして出力信号を出力するため、時間検出回路は、出力信号に含まれる立ち上がり及び立ち下がりのいずれか一方から他方への時間間隔を、ノイズの影響を受けることなく正確に検出できる。この時間間隔は、外部磁界の強度に応じて変化するため、後段の回路、たとえば制御部が外部磁界の強度をノイズの影響を受けることなく正確に算出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明の信号検出回路10を含むフラックスゲート磁力計1の構成を示す図である。
図1に示すフラックスゲート磁力計1は、フラックスゲートセンサ2(フラックスゲート型磁気センサ)、ドライブ電流発生回路3、制御回路4、及び信号検出回路10を有している。なお、フラックスゲート磁力計1は、通常X軸、Y軸、Z軸の各軸に対応する3つのフラックスゲート型磁気センサを有するが、以下では発明の理解を容易にするため、1つのフラックスゲートセンサ2を有するものとして説明する。
フラックスゲートセンサ2は、磁気コアに、励磁コイル、及び検出コイルを巻回した構造からなる。この励磁コイルは、ドライブ電流発生回路3、及びドライブ電流発生回路3の動作を制御する制御回路4によって駆動される。また検出コイルは、コンデンサを介して積分回路20に接続される。
【0020】
信号検出回路10は、コンデンサ5、積分回路20、差動増幅器30、コンパレータ40、及びカウンタ50を含んで構成される。
積分回路20は、検出コイルの出力電圧に含まれる2つのスパイク状電圧の間の期間の高周波ノイズを除去する。また、積分回路20とフラックスゲートセンサ2との間には、コンデンサ5が設けられる。このコンデンサ5は、フラックスゲートセンサ2の検出コイルからの検出信号にオフセット電圧が乗った状態で積分回路20が検出信号を積分すると、積分結果が発散するため、オフセット電圧を除去するために設けられる。なお、積分回路20の出力信号は、ドライブ電流発生回路3が三角波電流の1周期分をフラックスゲートセンサ2の励磁コイルへ供給するたびに、制御回路4からリセット信号を出力することによりリセットされる。
【0021】
差動増幅器30(差動増幅回路)は、積分回路20の出力電圧をコンパレータの入力範囲に入るように増幅する。コンパレータ40は、差動増幅器30の出力をデジタル信号に変換する。カウンタ50は、このデジタル信号がHレベルである期間(コンパレータ40の出力が一方の論理値をとる期間)におけるクロック信号のパルス数をカウントする。なお、測定開始と同時に、制御回路4は、カウンタ50に対して所定周期のクロック信号を出力する。
差動増幅器30、及びコンパレータ40は、積分回路20の出力信号に含まれる立ち上がり及び立ち下がりのいずれか一方から他方への時間間隔を検出する時間検出回路であり、カウンタ50は、この立ち上がり及び立ち下がりの時間間隔を測定する。
【0022】
制御回路4は、例えばマイクロコンピュータ(
図1において不図示)からの測定開始信号によりドライブ電流発生回路3を駆動する。また、制御回路4は、カウンタ50へクロック信号を出力し続け、カウンタ50からのカウント値に応じて、外部磁界の強度を示す値を算出し、この算出結果を、例えば外部のマイクロコンピュータへ出力する。なお、制御回路4がカウント値のみを出力し、外部のマイクロコンピュータが外部磁界を演算する構成としてもよい。
【0023】
ドライブ電流発生回路3は、制御回路4がマイクロコンピュータからの測定開始信号に応じて測定開始を示す制御信号を出力すると、内蔵する交流電源をオン状態にし、フラックスゲートセンサ2の励磁コイルに対して、三角波電流を供給する。ここで、ドライブ電流発生回路3が供給する電流パターンの一例として、周期Tで極性反転型の三角波形電流を供給する場合のフラックスゲート磁力計1における磁界検出の方法について説明する。
図2は、フラックスゲート磁力計1における磁界検出の方法を説明するための図である。
また、外部磁界なし、正の外部磁界有り、負の外部磁界有りそれぞれの場合において、フラックスゲートセンサ2の励磁コイルに三角波電流を流した場合の磁気コアの磁化状態とスパイク状電圧信号波形、および時間間隔との関係を、
図3〜
図5に示している。
図3は、外部磁界Hex=0の場合のフラックスゲートセンサ2における三角波電流の波形、磁気コアの励磁状態、及びスパイク状電圧信号の波形を示す図である。また、
図4は、外部磁界Hex>0の場合のフラックスゲートセンサ2における三角波電流の波形、磁気コアの励磁状態、及びスパイク状電圧信号の波形を示す図である。また、
図5は、外部磁界Hex<0の場合のフラックスゲートセンサ2における三角波電流の波形、磁気コアの励磁状態、及びスパイク状電圧信号の波形を示す図である。
図2において、
図2(a)は印加する三角波電流の一例を示すグラフ、
図2(b)は磁気コアにおける磁化状態の変化を示すグラフ、
図2(c)は得られるスパイク状電圧波形を示すグラフ、
図2(d)は磁気ヒステリシスカーブを示すグラフである。
【0024】
ドライブ電流発生回路3から供給された三角波電流により磁気コアが励磁され、
図2(d)に示すように、磁気コアにB−Hカーブに沿った磁束が生じる。この磁気コアにおける磁化状態(磁束密度)の経時変化を
図2(b)に示す。
図2(b)に示すように、磁気コアには、長手方向の磁束が向きを変えて交互に生じる。ここで、
図2(b)中の実線は、フラックスゲートセンサ2を外部磁界が実質的に存在しない環境(Hex=0)に置いた場合の磁気コアの磁化状態の経時変化を示す。また、
図2(b)中の二点鎖線は、フラックスゲートセンサ2を正方向の外部磁界中(Hex>0)に置いた場合の磁気コアM12の磁化状態の経時変化を示す。また、
図2(b)中の点線は、フラックスゲートセンサ2を負方向の外部磁界中(Hex<0)に置いた場合の磁気コアの磁化状態の経時変化を示す。
【0025】
磁気コアに生じた磁束は、検出コイルと交差し、検出コイルは誘導電圧(誘導電流)を発生させる。そして、検出コイルが発生した誘導電圧は、検出コイルの出力端子から出力電圧として信号検出回路10に対して出力される。
図2(c)に示すように、出力端子から検出される出力電圧波形として、磁気コアに生じる磁束の向きが正方向から負方向に反転するタイミングと、負方向から正方向に反転するタイミングとで、互いに逆向きのスパイク状の電圧波形(スパイク波)が出力される。信号検出回路10は、このスパイク波を増幅するとともに、カウント可能なようにデジタル信号をカウンタ50に対して出力する。
【0026】
ここで、
図2(c)中の実線は、フラックスゲートセンサ2を外部磁界が実質的に存在しない環境(Hex=0)に置いた場合の出力電圧波形を示す。また、
図2(c)中の二点鎖線は、磁気センサ部M1を正方向の外部磁界中(Hex>0)に置いた場合の出力電圧波形を示す。また、
図2(c)中の点線は、磁気センサ部M1を負方向の外部磁界中(Hex<0)に置いた場合の出力電圧波形を示す。このように、外部磁界中では、外部磁界が実質的に存在しない場合に比べてスパイク状の電圧波形の位置が、外部磁界の向きおよび強さに応じて図中右側または左側となる時間軸t上でシフトする。
【0027】
この出力電圧波形において、一のスパイク状電圧波形と次に検出される逆符号のスパイク状電圧波形との時間間隔を計測し、この時間間隔に基づいて、下記式(1)〜(3)に従い、所定の演算を行うことにより、外部磁界強度を算出することができる。
t1=[(Hex+Hc−Hext)/Hexc]×(T/4)+Td…(1)
t2=[(Hex+Hc+Hext)/Hexc]×(T/4)+Td…(2)
t2−t1=[Hex/Hexc]×(T/2)…(3)
なお、この式(1)〜(3)において、t1は、正の誘導電圧が発生する時間を示す。また、t2は、負の誘導電圧が発生する時間を示す。また、Hexcは、励磁磁界(励磁コイルにて発生する磁界)を示す。また、Hcは、磁気コアの保磁力を示し、Hextは、外部磁界を示し、Tdは遅延時間を示す。
【0028】
制御回路4は、
図3に示すように、時刻t1、時刻t3、時刻t5、時刻t7のときに三角波電流の波形が頂点となるように、
図2(a)に示した周期Tの三角波電流が通電されるように、ドライブ電流発生回路3に対して測定開始を示す制御信号を出力する。
外部磁界が存在しない場合(Hex=0の場合)、
図3(a)、及び
図3(b)に示すように、三角波電流の極性が負から正へ反転する時刻t2、及び時刻t6と同期して、磁気コアの長手方向の磁化状態(磁界方向)も反転する。この磁気コアの磁化状態が負から正へ反転するとき、
図3(c)に示すように、正符号のスパイク状電圧波形K+が検出される。また、
図3(a)、及び
図3(b)に示すように、三角波電流の極性が正から負へ反転する時刻t4と同期して、磁気コアの長手方向の磁化状態(磁界方向)も反転する。この磁気コアの磁化状態が正から負へ反転するとき、
図3(c)に示すように、負符号のスパイク状電圧波形K−が検出される。これらのスパイク状電圧は、積分回路20に入力される。このときの正符号のスパイク状電圧波形K+と負符号のスパイク状電圧波形K−との時間間隔tt0が、外部磁界Hex=0のときの基準時間間隔とされる。信号検出回路10は、この時間間隔tt0をカウントして、制御回路4に対して出力する。
【0029】
また、正符号の外部磁界が存在する場合(Hex>0の場合)、
図3(b)、及び
図4(b)に示すように、外部磁界の存在により磁気コアの長手方向の磁化状態(磁界方向)が反転する時刻が異なる(シフトする)。そのため、信号検出回路10は、時間間隔tt0よりも短くなった正符号のスパイク状電圧波形K+と負符号のスパイク状電圧波形K−との時間間隔tt1を、カウントする(
図3(c)、及び
図4(c)参照)。制御回路4は、この時間間隔tt1のカウント値と、基準時間間隔tt0のカウント値とを比較することにより、正の外部磁界の大きさを算出する。
【0030】
また、負符号の外部磁界が存在する場合(Hex<0の場合)、
図3(b)、及び
図5(b)に示すように、外部磁界の存在により磁気コアの長手方向の磁化状態(磁界方向)が反転する時刻が異なる。そのため、信号検出回路10は、時間間隔tt0より長くなった正符号のスパイク状電圧波形K+と負符号のスパイク状電圧波形K−との時間間隔tt2を、カウントする(
図3(c)、及び
図5(c)参照)。制御回路4は、この時間間隔tt2のカウント値と、基準時間間隔tt0のカウント値とを比較することにより、負の外部磁界の大きさを算出する。
【0031】
以下、信号検出回路10における信号処理の流れについて、
図6を用いて説明する。
図6は、本発明の動作を説明するための図である。
図6においては、フラックスゲート磁力計1における各部の主要信号の波形を示している。
ドライブ電流発生回路3は、制御回路4からの測定開始を示す制御信号が入力されると、三角波電流をフラックスゲートセンサ2の励磁コイルに供給する。フラックスゲートセンサ2の検出コイルは、スパイク状電圧を信号検出回路10に対して出力する。
【0032】
積分回路20の前段に設けられたコンデンサ5は、検出コイルの検出信号に含まれる直流電圧成分を除去する。除去後の検出信号が積分回路20に入力される。
図7は、積分回路20の動作を説明するための図である。
積分回路20は、
図7(a)に示す信号ピークより周波数が高いノイズピークを小さくして、すなわち、高周波成分であるノイズピークをほぼ除去して、
図7(b)に示すようなノイズの少ない出力信号を出力する。なお、
図7(a)に示す信号ピークは、交互に電圧が正負に交番するノイズであり、信号ピークに比べて感知幅、すなわち周波数が高いノイズである。また、
図2(b)において、
図2(a)の信号ピークからノイズピークにかけての期間、徐々に電圧レベルが上昇するのは、
図2(a)に示す検出信号が正負に交番するためである。また、信号検出回路10の設計時、或いは製造時において、このノイズピークを除去できるか否かについて確認される。確認後、後段の差動増幅器30、及びコンパレータ40の増幅特性、閾値特性などが調整され、ノイズピークが低減される。
【0033】
図6に戻って、差動増幅器30は、コンパレータ40の入力電圧範囲になるように、例えば10倍から100倍の範囲で、積分回路20の出力信号を増幅してコンパレータ40に対して出力する。
コンパレータ40は、カウンタ50がカウントするために、上記検出信号のピーク間隔をパルス幅としたデジタル信号を、カウンタ50に対して出力する。
カウンタ50は、制御回路4からのクロック信号により、コンパレータの出力信号であるデジタル信号のパルス幅をカウントする。
このカウント値は、制御回路4に入力される。制御回路4は、上述の様に、このカウント値に応じて、外部磁界の強度を示す信号を演算し、外部のマイクロコンピュータへ出力する。
【0034】
このように、フラックスゲートセンサ2の検出コイルに現れるノイズピークは、信号ピーク(スパイク電圧の波形ピーク)より、周波数が高く、かつ正負に振動する。そのため、積分回路20により、ピックアップコイル(検出コイル)の検出信号を積分すると、その出力信号において、検出信号のノイズピークは非常に小さいものとなる。つまり、本発明の信号検出回路によれば、フラックスゲート型磁気センサがノイズ環境下にある場合でも、スパイク電圧の時間間隔の測定が可能となり、外部磁界の強度を精度よく検出することが可能となる。
また、上述の通り、コンデンサ5を積分回路20の前段に配置することにより、フラックスゲートセンサ2の検出信号の直流成分を除去でき、積分回路20による積分処理が十分収束し、出力信号が安定する。これにより、本願によれば、外部磁界の強度を精度よく検出することが可能となる。
また、上述の様にコンパレータ40が、デジタル信号を出力することで、信号検出回路10の出力信号は、後段の制御回路4にとって扱いやすい信号となる。これにより、本願によれば、制御回路4が外部磁界の強度を精度よく算出することが可能となる。
【0035】
なお、コンパレータの出力信号であるデジタル信号を、アナログの直流電圧として出力することも可能である。
図8は、本発明の信号検出回路10aを含むフラックスゲート磁力計1aの構成を示す図である。なお、
図8において
図1と同様の部分については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すように、信号検出回路10aでは、
図1に示すカウンタ50に替えて、ローパスフィルタ(LPF)60を用いる。ローパスフィルタ60は、コンパレータ40が出力するデジタル信号のデューティ(Duty)比、すなわち、三角波電流の1周期に対するHレベルの割合に応じた直流電圧値を出力する。つまり、上記実施形態で説明した、基準時間間隔tt0、時間間隔tt1、時間間隔tt2が、本実施形態では直流電圧値として制御回路4に入力される。制御回路4では、直流電圧として入力される基準時間間隔tt0と、時間間隔tt1、或いは時間間隔tt2とを比較することにより、外部磁界の強度を示す信号を算出し、外部のマイクロコンピュータ等へ出力することができる。
【0036】
また、本発明の信号検出回路10を用いたフラックスゲート磁力計を利用した電子方位計を提供することも可能である。
図9は、電子方位計の概略斜視図である。
図9に示す電子方位計は、第1フラックスゲート(X軸)センサ2X、第2フラックスゲート(Y軸)センサ2Y、第3フラックスゲート(Z軸)センサ2Z、および信号処理用IC(半導体集積回路)70を、1つの基板M0上に配置することにより構成される。第1フラックスゲートセンサ2X、第2フラックスゲートセンサ2Y、および第3フラックスゲートセンサ2Zはそれぞれ、上述の各実施形態で説明したフラックスゲートセンサ2とされる。
【0037】
具体的には、第1フラックスゲートセンサ2X、及び第2フラックスゲートセンサ2Yは、電子方位計を構成する基板面に対して、その形成された面が略平行となるように、かつ感磁方向が互いに直交するように配置される。また、第3フラックスゲートセンサ2Zは、電子方位計を構成する基板面に対して略垂直となるように配置される。このとき、第1フラックスゲートセンサ2X、第2フラックスゲートセンサ2Y、及び第3フラックスゲートセンサ2Zは、外部との接続端子を除いた領域、すなわち磁気コアおよび励磁部、検出コイルを形成する部分の形状が同一であることが望ましい。これは、第1フラックスゲートセンサ2X、第2フラックスゲートセンサ2Y、及び第3フラックスゲートセンサ2Zのそれぞれの特性を揃えることにより、各センサの特性のばらつきを補正する必要がなく、電子回路を簡略化できるようにするためである。また、第3フラックスゲートセンサ2Zは、基板面に対して略垂直に実装されるので、電子方位計の厚さを薄くするためには、その感磁方向の長さが、1mm以下、さらに好ましくは0.5mm程度であることが望ましい。
【0038】
また、信号処理用IC70は、誘導電圧が発生するタイミングを計数するための信号検出回路10に加え、ドライブ電流発生回路3と、制御回路4とを備えている。また、信号処理用IC70は、第1フラックスゲートセンサ2X、第2フラックスゲートセンサ2Y、及び第3フラックスゲートセンサ2Zのそれぞれに対してドライブ電流発生回路3との接続を制御回路4が切り替えるためのセレクタ(
図9において不図示)とを備える。かかる構成により、第1フラックスゲートセンサ2X、第2フラックスゲートセンサ2Y、及び第3フラックスゲートセンサ2Zにより、3軸方向それぞれの磁界を順次計測し、演算を行うことで方位誤差の小さい電子方位計を実現することができる。
【0039】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更等も含まれる。例えば、フラックスゲート型磁気センサは、磁界の強度を検出する磁気センサである。そのため、本発明の信号処理回路を有するフラックスゲート型磁気センサの近傍に、励磁コイルの巻き方向に対して直交するように電流路を設けることにより、電流路に流れる電流値を測定する電流センサとして利用することも可能である。