(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蒸気機関車など、前後方向が判別しやすい機関車を転車台に載せた場合は、機関車の向きを見て転車台上のレールの給電極性を判別することが可能であるが、例えば、前後に運転台を有した機関車等を転車台に載せた場合などには、転車台が回転した後の給電極性が判別できなくなり、例えば、極性が逆転しているのに切換スイッチを操作しなかったり、極性が逆転していないのに切換スイッチを操作してしまったり、切換スイッチの誤操作が発生して、電源の短絡が発生してしまうという課題がある。
例えば、転車台の回転位置を判別しやすいように、転車台に対して向き表示などを設けることも考えられるが、NゲージやHOゲージといった規格の鉄道模型の場合、リアルさを追求しているため、このような向き表示を設けてしまうと商品性が著しく損なわれてしまうという課題もある。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、商品性が損なわれることなしに、容易に電源の短絡を防止することができる鉄道模型用転車装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
この発明に係る鉄道模型用転車装置は、回転中心回りに回転する転車台と、前記転車台に設けられた一対の転車台レールと、該一対の転車台レールに給電する給電手段とを備え、前記転車台が所定角度位置よりも回転した場合に、前記一対の転車台レールへの給電極性を反転する極性反転手段を備えることを特徴としている。
このように構成することで、転車台に機関車など動力車を進入させて停車させた後、その状態で転車台を回転させて方向転換する際に、所定角度位置を超えると、極性反転手段によって自動的に転車台レールの給電極性を反転させることができるので、転車台レールから動力車が外部に出て行くときには、何ら切換操作を行わずに、外部に敷設されたレールと転車台レールとの給電極性を一致させることができる。
【0007】
さらに、この発明に係る鉄道模型用転車装置は、上記鉄道模型用転車装置において、前記極性反転手段は、前記回転中心を挟むように配置された互いに極性の異なる一対の給電電極と、前記一対の転車台レールのうち、一方の転車台レールに取り付けられた第一接点部材と、前記一対の転車台レールのうち、他方の転車台レールに取り付けられた第二接点部材とを備え、前記第一接点部材と前記第二接点部材とは、極性の異なる給電電極に対してそれぞれ同時に接触可能なように前記回転中心周りの対称位置に配置され、前記一対の給電電極に対して前記回転中心回りに摺動可能に設けられるようにしてもよい。
このように構成することで、転車台に動力車を進入させて停車させる場合には、第一接点部材が一方の極性の給電電極に接触し、一方の極性の給電電極から一方の転車台レールに給電される。同様に、第二接点部材が他方の極性の給電電極に接触し、他方の極性の給電電極から他方の転車台レールに給電されることとなる。さらに、一対の転車台レールが転車台とともに回転中心回りに回転した場合には、第一接点部材と第二接点部材とが給電電極に接触した状態で回転中心周りを摺動する。そして、一対の給電電極が回転中心を挟むように配置されているため、転車台が所定角度よりも回転した場合には、第一接点部材が接触する給電電極と、第二接点部材が接触する給電電極とが入れ替わるため、一方の転車台レールへの給電極性と他方の転車台レールへの給電極性とを入れ替えることができる。
【0008】
さらに、この発明に係る鉄道模型用転車装置は、上記鉄道模型用転車装置において、前記転車台の外側に配置された円環状の枠体と、該枠体に設けられ、前記回転中心に対して放射方向に延びるとともに、前記一対の転車台レールとの間に隙間を有して配置される複数対の繋ぎレールと、該複数対の繋ぎレールのうち、前記一対の転車台レールに連なる状態になった繋ぎレールに対して、前記一対の転車台レールと同一極性で給電する繋ぎレール給電手段とを備えるようにしてもよい。
このように構成することで、転車台の回転時に各繋ぎレールと転車台レールとが接触することがなく、また、一対の転車台レールに連なった繋ぎレールに対して転車台レールと同一極性で給電することができる。
【0009】
さらに、この発明に係る鉄道模型用転車装置は、上記鉄道模型用転車装置において、前記給電電極は、基板上に形成され、前記繋ぎレール給電手段は、一方の前記転車台レールに取り付けられた第三接点部材と、前記他方の転車台レールに取り付けられた第四接点部材と、一方の前記転車台レールに連なる状態となった一方の繋ぎレールと前記第三接点部材とを導通させる第一導通手段と、他方の前記転車台レールに連なる状態となった他方の繋ぎレールと前記第四接点部材とを導通させる第二導通手段とを備え、前記第一導通手段は、前記基板の一方の面に形成されるとともに、前記第二導通手段は、前記基板の他方の面に形成されていてもよい。
このように構成することで、第一接点部材を介して一方の転車台レールに供給された電力を第三接点部材と第一導通手段とを介して一方の繋ぎレールに供給することができるとともに、第二接点部材を介して他方の転車台レールに供給された電力を第四接点部材と第二導通手段とを介して他方の繋ぎレールに供給することができる。さらに、給電電極を基板に設けるとともに第一導通手段と第二導通手段とを同一基板の異なる面に形成していることで、例えば、給電電極と第一導通手段と第二導通手段とを個別の基板に形成する場合と比較して、基板数を削減できる分だけ薄型化を図ることが可能となる。
【0010】
さらに、この発明に係る鉄道模型用転車装置は、上記鉄道模型用転車装置において、前記一対の給電電極の間に、電気的に中立な中立電極を設けるようにしてもよい。
このように構成することで、第一接点部材および第二接点部材が摺動して、極性の異なる給電電極間を移動する場合に、必ず中立電極を介して移動させることができる。
【0011】
さらに、この発明に係る鉄道模型用転車装置は、上記鉄道模型用転車装置において、外部電源から電力を供給する給電配線を備え、該給電配線は、前記転車台レールの給電極性が反転する時に前記転車台レールが向く方向から外部に延びていてもよい。
このように構成することで、転車台レールの給電極性が反転する角度位置を給電配線の位置によって把握することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る上記鉄道模型用転車装置によれば、商品性が損なわれることなしに、容易に電源の短絡を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態における鉄道模型用転車装置について図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施形態における鉄道模型用の転車装置10の斜視図であり、
図2は、転車装置10の平面図である。
この実施形態の転車装置10は、Nゲージと称される鉄道模型用の転車装置であって、回転中心O周りに回転する転車台11と、転車台11の外側に配置された略円環状の枠体12とを備えている。
【0015】
上記転車装置10は、図示しないレイアウトの一部として設置されるものであり、転車装置10の外部に敷設された本線軌道の本線レール115a,115bには、パワーユニットと称される制御装置100(
図10参照)が接続されている。この制御装置100は、操作つまみ101(
図10参照)を回動操作することで、軌道を構成する洋白などの金属からなる一対の本線レール115a,115b間に所定範囲内の直流電圧(例えば、0〜12V程度)を印加可能となっている。また、直流モータを搭載した動力車D(
図1、
図2中、二点鎖線で示す)は、車輪を介して集電するようになっており、本線レール115a,115bへの給電極性(+,−)に応じた方向に車輪を回動させて軌道上を走行する。なお、Nゲージの場合、一般に、進行方向右側のレールの極性が「+」となるように設定されている。
【0016】
図1、
図2に示すように、この実施形態の転車台11は、いわゆる下路式の転車台を模したものであり、枠体12の内径よりも僅かに短いプレートガーダー部13と、このプレートガーダー部13の上面14に敷設された一対の転車台レール15a,15bと、これらプレートガーダー部13ならびに転車台レール15a,15bとを幅方向から挟み込むように配置される一対の主桁16a,16bと、これら主桁16a,16bに亘って上方に立設される集電装置を模したやぐら部17とを備えている。上記プレートガーダー部13の両端部18は、それぞれ枠体12の内周面19との間に所定の隙間を有した円弧状に形成されている。また、転車台11は、プレートガーダー部13の裏面に回転軸(図示せず)を備えており、この回転軸が後述する基板35の中央孔39によって軸支されている。これにより、転車台11は、枠体12の内周面19よりも径方向内側で回転中心O回りに回転可能となっている。
【0017】
枠体12は、複数(例えば、24個程度)の略弧状のブロック体20により構成され、これらブロック体20が、基板35(
図3参照)の周縁部に着脱可能に固定されている。基板35は、ブロック体20の個数と同一角数の多角形状に形成されており、多角形を構成する辺部hの幅方向中央位置から若干径方向内側に入り込んだ位置に、それぞれブロック体20の取り付け孔34が形成されている。この取り付け孔34を介して、裏面側に頭部が露出するビス等の締結部材により基板35の上面に載置したブロック体20を基板35に固定することが可能となっている。このように下面側からビス等の締結部材によりブロック体20を固定可能となっていることで、締結部材が外部に露出されることがないため、枠体12のリアルさを向上して商品性向上を図ることが可能となっている。
【0018】
各ブロック体20は、一対の繋ぎレール21a,21bが設けられたレールブロック20aと、レールが上方に凸状に湾曲された様子を模した樹脂製の車止め22を有する車止めブロック20bと、上面が略平坦に形成された標準ブロック20cとを備えている。これらレールブロック20a、車止めブロック20b、および、標準ブロック20cとは、配置を自由に入れ替えることが可能となっている。
【0019】
レールブロック20aは、枕木23を有する樹脂製のベース部24を有し、このベース部24に対して上述した繋ぎレール21a,21bが取り付けられている。繋ぎレール21a,21bは、導電性に優れた洋白などの金属により形成されている。繋ぎレール21a,21bにより構成される各軌道の向きは、回転中心Oに対して略放射方向を向いている。これにより、繋ぎレール21a,21bが転車台レール15a,15bと連なって配置されたときに、転車台レール15a,15bにより構成される軌道と、繋ぎレール21a,21bによる構成される軌道とがそれぞれ一直線上に配置されることとなる。
【0020】
一方で、樹脂製のベース部24には、外部軌道25の樹脂製の道床26を係合可能な一対の凸凹を備えたジョイント部27が形成されている。また、一対の繋ぎレール21a,21bのうち、一方の繋ぎレール21aには、外部軌道25の一方の本線レール115aと接続するためのジョイナー29が取り付けられている。ここで、外部軌道25の一対の本線レール115a,115bのうち、繋ぎレール21bに連なる他方の本線レール115bの端部にもジョイナー29と同一のジョイナーが取り付けられており、このジョイナーにより繋ぎレール21bと他方の本線レール115bとが接続されるようになっている。
【0021】
各レールブロック20aの繋ぎレール21a,21bは、転車台レール15a,15bにそれぞれ連なる状態となったときに、転車台レール15a,15bとの間に隙間が確保されている。この隙間により、転車台11が回転する際に、転車台レール15a,15bと繋ぎレール21a,21bとが直接的に接触しないため、転車台11が円滑に回転可能となっている。なお、上述した
図1、
図2においては、6個のレールブロック20aおよび6個の車止めブロック20bを設ける一例を示しているが、レールブロック20aおよび車止めブロック20bの個数は、この個数に限られるものではない。通常、外部軌道25が接続されないレールブロック20aについては、標準ブロック20cに置き換えて用いられる。
【0022】
ブロック体20の複数の標準ブロック20cには、その外周部に、給電配線32を転車装置10の外部へ引き出すための挿通孔31(
図1参照)が形成されている。給電配線32は、転車装置10に電力を供給する制御装置100(
図10参照)に接続されている。標準ブロック20cには、キー溝(図示せず)が設けられる一方で、基板35には、周方向で給電配線32が配置される位置、ならびに、回転中心Oを挟んで当該給電配線32が配置される位置とは反対側に、上記キー溝に合致するキー33(
図3、
図4参照)が設けられている。つまり、基板35の当該箇所には、標準ブロック20cのみが着脱可能であるとともに、レールブロック20aと車止めブロック20bとが着脱不能になっている。
【0023】
図3は、基板35の下面を示す平面図であり、
図4は、基板35の上面を示す平面図であり、
図5は、
図4における給電電極の拡大図である。
図3、
図4に示すように、基板35の上面のキー33(
図3参照)近傍には、給電配線32の一対の芯線が、はんだ等により各々接続される一対の受電電極36a,36bが形成されている。これら受電電極36a,36b中には、それぞれ基板35の上下面を貫通するスルーホール37が形成されており、これらスルーホール37を介して基板35上面の受電電極36aと下面の給電パターン38aとが導通されるとともに、基板35上面の受電電極36bと下面の給電パターン38bとが導通されている。
【0024】
給電パターン38a,38bは、それぞれ標準ブロック20cの取付孔34aを避けつつ、略平行に回転中心Oに向かって延在している。基板35の中央孔39の周縁には、それぞれ回転中心Oを挟んで円弧状に形成された一対の円弧状パターン40a,40bが配置されている。円弧状パターン40aには、給電パターン38aの端部が接続されており、円弧状パターン40bには、円弧状パターン40aの径方向外側を回りこむように湾曲形成された給電パターン38bの端部が接続されている。これら円弧状パターン40a,40b中にも、それぞれ基板35の上下面を貫通するスルーホール41が形成されており、これらスルーホール41を介して、基板35上面の円弧状パターン40aと下面の給電電極42aとが導通されるとともに、基板35上面の円弧状パターン40bと下面の給電電極42bとが導通されている。
【0025】
図5に示すように、給電電極42a,42bは、中央孔39の周縁に、上記円弧状パターン40a,40bよりも幅広な一定幅の円弧状に形成されている。これら給電電極42aと給電電極42bとは、互いに回転中心Oを挟むようにして対向配置され、それぞれ周方向の両端部には、回転中心Oの放射方向に延びる直線状の端辺部43が形成される。そして、これら給電電極42aの端辺部43と給電電極42bの端辺部43とは、互いに周方向に所定の隙間L1を空けて配置されており、これら隙間L1には、それぞれ給電電極42a,42bの端辺部43から極細い隙間44を介して略扇状の中立電極45が形成されている。この中立電極45は、給電電極42a,42bの何れにも導通しておらず、接地もされていない。
【0026】
給電電極42a,42bの周囲には、径方向外側に所定距離だけ離間して、分配電極46が周方向に配列されている。これら分配電極46は、ブロック体20の個数から給電配線32の位置とその反対側に配置されるブロック体20の個数(2個)を減算した数だけ設けられている。また、隣り合う分配電極46の間には、それぞれ極細い隙間を介して上記中立電極45と同様な中立電極47がそれぞれ配置されている。また、上記中立電極45に対応した位置には、中立電極47よりも周方向に幅広に形成された中立電極47aが配置されている。
【0027】
図4を併せて参照し、各分配電極46の径方向外側には、当該分配電極46から回転中心Oを挟んで反対側の基板外周部に至るように湾曲形成された第一導通パターン50がそれぞれ形成されている。これら第一導通パターン50は、基板外周部において、径方向外側に向かって漸次幅広に形成されており、その最も外周側には、半円状の半円電極部51が径方向外側に突出して形成されている。また、各第一導通パターン50には、その径方向内側の端部近傍に、スルーホール52が形成されている。
【0028】
図3を併せて参照し、各スルーホール52は、基板35の下面に形成された第二導通パターン53に導通されている。各第二導通パターン53は、径方向外側に延びる略放射状に形成されており、それら径方向外側の端部には、基板35の上下面を貫通するスルーホール54が形成されている。これらスルーホール54によって、基板35の下面の第二導通パターン53と、基板35の上面に形成された電極部55とが導通されている。電極部55は、上述した第一導通パターン50よりも径方向外側の基板35上に配置されている。
【0029】
図6に示すように、繋ぎレール21a,21bの底面には、互いに延在方向が90度異なる接点部材56,57がそれぞれ溶接等により取り付けられている。繋ぎレール21aに取り付けられている接点部材57は、繋ぎレール21aが取り付けられたベース部24(
図1参照)を貫通する貫通部57aと繋ぎレール21aに沿って径方向外側に延びる腕部57bとを有している。また、繋ぎレール21bに取り付けられている接点部材56は、ベース部24(
図1参照)を貫通する貫通部56aと繋ぎレール21a側に向かって延びる腕部56bとを有している。
【0030】
そして、レールブロック20aは、ビス等の締結部材により基板35に固定されると、腕部56bの端部tが基板35の半円電極部51に弾性的に接触して電気的に接続されるとともに、腕部57bの端部tが基板35の電極部55に弾性的に接触して電気的に接続されるようになっている。つまり、レールブロック20aが基板35に固定されることで、
図8に示すように、繋ぎレール21aが電極部55と電気的に接続され、繋ぎレール21bが半円電極部51と電気的に接続された状態となる。
【0031】
図7、
図8に示すように、転車台レール15aの底面には、第一接点部材61と第三接点部材63とが溶接等により導通状態で取り付けられ、転車台レール15bの底面には、第二接点部材62と、第四接点部材64とが溶接等により導通状態で取り付けられている。第一接点部材61と第二接点部材62とは、回転対称となる位置、すなわち、回転中心O周りの対称位置に配置されている。第三接点部材63と第四接点部材64とは、第一接点部材61および第二接点部材62よりも径方向外側に配置されており、互いに回転対称となる位置に配置されている。第一接点部材61と第三接点部材63とは、転車台レール15aに対して電気的に接続され、第二接点部材62と第四接点部材64とは、転車台レール15bに対して電気的に接続されている。
【0032】
第一接点部材61、第二接点部材62、第三接点部材63、および、第四接点部材64は、それぞれ上述した接点部材56,57と同一形状であり、それぞれプレートガーダー部13を貫通する貫通部61a,62a,63a,64aと、腕部61b,62b,63b,64bとを備えている。そして、腕部61b,62b,63b,64bは、それぞれ転車台レール15a,15bの軌道内側に向かって延び、各端部t側がやや回転中心O側を向くように傾斜して配置されている。
【0033】
第一接点部材61の端部tと第二接点部材62の端部tとは、転車台11が回転した場合に、給電電極42aおよび給電電極42bの上面を摺動しながら回転中心O回りを回転して移動する。この際、第一接点部材61と第二接点部材62とは、それぞれ給電電極42a,42bに対して接触することで、給電電極42a,42bに対して電気的に接続される。そして、第一接点部材61の端部tと第二接点部材62の端部tとは、何れか一方が給電電極42aに接触しているときに、何れか他方が給電電極42bに電気的に接触するようになっている。これにより、転車台レール15a,15bに外部から給電されているときには、互いの「+」、「−」の給電極性が必ず異なった状態となる。
【0034】
また、第一接点部材61と第二接点部材62とは、給電電極42a,42bとの間を一方から他方へ移動する場合、給電電極42a,42bの短絡を防止するべく、一旦、中立電極45との接触状態を介してから移動する。例えば、中立電極45を設けずに単に基板35の表面を露出させた場合には、給電電極42a,42bと基板35の表面との間の段差によって第一接点部材61と第二接点部材62とが引っ掛かってしまう虞があるが、中立電極45と給電電極42a,42bとの間には、極細い隙間44が形成されているだけであるため、第一接点部材61と第二接点部材62とに亘って移動する際の引っ掛かりを防止することが可能となっている。なお、隙間44は、第一接点部材61の端部tの幅寸法および第二接点部材62の端部tの幅寸法よりも十分細く形成されている。
【0035】
第三接点部材63の端部tと第四接点部材64の端部tとは、転車台11が回転した場合に、それぞれ径方向において分配電極46が配列される位置で、周方向に摺動しながら回転中心O回りを回転して移動する。この際、第三接点部材63の端部tと第四接点部材64の端部tとは、転車台11の回転位置に応じた分配電極46に接触して電気的に接続される。
【0036】
例えば、
図8に示す位置に転車台11が配置される場合、第四接点部材64の端部tは、転車台レール15bに連なる状態となった繋ぎレール21bに給電するための第一導通パターン50に導通された分配電極46に接触する。同様に、図示は省略するが
図8の状態から転車台11が180度回転した場合、第三接点部材63の端部tは、転車台レール15aに連なる状態となった繋ぎレール21bに給電するための第一導通パターン50に導通された分配電極46に接触する。
【0037】
また、
図8に示す位置に転車台11が配置される場合、第四接点部材64は、上記第三接点部材63の端部tと接触する分配電極46に対して、回転中心Oを挟んで反対側に配置された分配電極46に接触する。当該分配電極46は、レールブロック20aの転車台11を挟んだ反対側にレールブロック20aが取り付けられている場合に、当該レールブロック20aの繋ぎレール21bに給電するための第一導通パターン50に導通されている。つまり、レールブロック20aの取り付け有無に関わらず、第一導通パターン50および第二導通パターン53を介して、転車台レール15a,15bの軌道延長方向の両側に配置された半円電極部51および電極部55に給電されることとなる。
【0038】
図9に示すように、上述した給電配線32は、第一接点部材61と第二接点部材62とが中立電極45と接しているときに転車台レール15a,15bの軌道延長方向となる位置の基板35の外周部から外部に延びている。つまり、この給電配線32が目印となって、転車台レール15a,15bの給電極性が反転する180度毎の転車台11の所定角度位置が把握できるようになっている。
【0039】
すわなち、上述した構成を備えた転車装置10において、給電配線32より受電した直流電力は、受電電極36a,36bから給電パターン38a,38b、円弧状パターン40を介して給電電極42a,42bに供給される。そして、この給電電極42a,42bの電力は、第一接点部材61と第二接点部材62とを介してそれぞれ転車台レール15a,15bに供給されることとなる。
【0040】
また、一方の転車台レール15bは、第四接点部材64と分配電極46と第一導通パターン50と接点部材56とを介して、一方の転車台レール15bと連なる繋ぎレール21bに導通されており、他方の転車台レール15aは、第三接点部材63と分配電極46と第一導通パターン50とスルーホール52と第二導通パターン53と電極部55と接点部材57とを介して、他方の転車台レール15aと連なる繋ぎレール21aに導通されている。そのため、これら転車台レール15a,15bと連なった状態の繋ぎレール21a,21bに転車台レール15a,15bと同一極性の電力が供給されることとなる。
【0041】
この実施形態における転車装置10は、上述した構成を備えており、次に、上記転車装置10の動作について図面に基づいて説明する。なお、説明の都合上、以下の動作の説明においては、繋ぎレール21a,21bを省略している。
【0042】
まず、
図10に示すように、動力車Dの進行方向を転車装置10側に向くように制御装置100のディレクションスイッチ102を操作して、次いで、操作つまみ101を回転操作する。すると、転車装置10の外部に接続される本線レール115aに「−」極性、本線レール115bに「+」極性となるように給電されるとともに、本線レール115aに連なる転車台レール15aに「−」極性、本線レール115bに連なる転車台レール15bに「+」極性となるように給電される。これにより、動力車Dが転車装置10側(
図10中、矢印方向)に向かって軌道上を走行する。動力車Dが転車台11上まで移動したら、操作つまみ101を停止位置まで戻して動力車Dを停車させる。このように動力車Dを停車させることで転車台レール15a,15bは無給電状態となる。
【0043】
次に、
図11に示すように、動力車Dの向きを反転させるべく、転車台11を(例えば、
図11中の矢印方向に)回転させる。転車台レール15a,15bの軌道の延長線Kが、周方向で給電配線32の位置を越えるまでは、転車台レール15aに導通される給電電極と転車台レール15bに導通される給電電極とが切り換わらない。しかし、
図12に示すように、転車台レール15a,15bの軌道の延長線Kが給電配線32の位置を越えると、転車台レール15aに導通される給電電極と、転車台レール15bに導通される給電電極とが切り換わり、転車台レール15a,15bへの給電極性が入れ替わる。この時点では無給電状態であるが、給電を開始すると反転された極性が現れる。なお、給電された際に現れる極性を
図12、
図13中、括弧内「+」,「−」で示している。
【0044】
次いで、
図13に示すように、転車台レール15a,15bが本線レール115a,115bと連なる位置まで転車台11を回転させて、
図14に示すように、動力車Dの進行方向が転車装置10から出て行く方向となるように制御装置100のディレクションスイッチ102を反転させる操作を行う。これにより、本線レール115a,115bおよび転車台レール15a,15bへの給電極性が揃った状態で全て反転する。そして、操作つまみ101を回転操作すると、転車台レール15a,15bへの給電が開始されて、動力車Dが転車台11から矢印方向へ向かって走行を開始し、動力車Dが転車台11から本線レール115a,115b上へと移動することとなる。
【0045】
したがって、上述した実施形態の転車装置10によれば、転車台11に動力車Dを進入させて停車させた後、その状態で転車台11を回転させて方向転換する際に、所定角度位置を超えると、自動的に転車台レール15a,15bの給電極性を反転させることができるので、転車台レール15a,15bから動力車Dが外部に出て行くときには、外部に敷設された本線レール115a,115bと、転車台レール15a,15bとの給電極性を一致させることができる。その結果、転車台11に向き表示などにより商品性が損なわれることなしに、容易に電源の短絡発生を防止することができる
【0046】
さらに、転車台11に動力車Dを進入させて停車させる場合には、第一接点部材61が給電電極42a,42bのうち一方の極性の給電電極に接触するので、この一方の極性の給電電極から、一方の転車台レール15aに給電することができるとともに、第二接点部材62が他方の極性の給電電極に接触するので、他方の極性の給電電極から他方の転車台レール15bに給電することができる。
【0047】
そして、一対の転車台レール15a,15bが転車台11とともに回転中心O回りに回転した場合には、第一接点部材61と第二接点部材62とを給電電極42a,42bに接触した状態で回転中心O周りに摺動可能となっており、また、一対の給電電極が回転中心を挟むように配置されているため、転車台11が所定角度よりも回転した場合には、第一接点部材61が接触する給電電極と、第二接点部材62が接触する給電電極とが入れ替わり、一方の転車台レール15aと他方の転車台レール15bとの給電極性を入れ替えることができる。その結果、簡単な構成で自動的に転車台レール15a,15bの給電極性を反転させることができる。
【0048】
さらに、繋ぎレール21a,21bと転車台レール15a,15bとの間に隙間を設けていることで、転車台11の回転時に各繋ぎレール21a,21bと転車台レール15a,15bとが接触するのを防止することができるため、スムーズに転車台11を回転させることができる。
【0049】
また、第二接点部材62を介して転車台レール15bに供給された電力を、第四接点部材64と第一導通パターン50とを少なくとも介して繋ぎレール21bに供給することができるとともに、第一接点部材61を介して転車台レール15aに供給された電力を、第三接点部材63と第二導通パターン53とを少なくとも介して繋ぎレール21aに供給することができる(
図8参照)。また、
図15に示すように、レールブロック20a(
図2参照)が転車台11の長手方向両側に配置されて
図8とは反対側にも繋ぎレール21a,21bが配置される場合、あるいは、上記
図8に示す位置から転車台11を180度回転させた場合には、第一接点部材61を介して転車台レール15aに供給された電力を、第三接点部材63と第一導通パターン50とを介して繋ぎレール21bに供給することができるとともに、第二接点部材62を介して転車台レール15bに供給された電力を、第四接点部材64と第二導通パターン53とを少なくとも介して繋ぎレール21aに供給することができる。そのため、一対の転車台レール15a,15bに連なった繋ぎレール21a,21bに対して、転車台レール15a,15bと同一極性となるように給電することができる。
【0050】
さらに、給電電極42a,42bを基板35に設けるとともに第一導通パターン50と第二導通パターン53とを同一の基板35の上下面にそれぞれ形成することで、例えば、給電電極42a,42bと第一導通パターン50と第二導通パターン53とを個別の基板に形成する場合と比較して、基板数を削減できる分だけ薄型化を図ることが可能となる。その結果、レールブロック20aに接続される外部軌道25が浮いてしまうのを防止することができる。
【0051】
そして、第一接点部材61および第二接点部材62が摺動して極性の異なる給電電極42a,42b間を移動する場合に、必ず中立電極45を介して移動させることができるため、第一接点部材61および第二接点部材62が極性の異なる各給電電極42a,42bに同時に接触して短絡するのを防止できる。
【0052】
さらに、転車台レール15a,15bの給電極性が反転する角度位置を給電配線32の位置によって把握することができるため、給電極性が反転する角度位置を示す目印を新たに設けることなしに、レイアウトに対して転車装置10を容易且つ適正に設置することが可能になる。
【0053】
なお、この発明は上述した実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した実施形態においては、転車台レール15a,15bの極性を反転させる極性反転手段として、給電電極42a,42bと第一接点部材61と第二接点部材62とを設けて、機械的に極性反転を行う場合について説明したが、例えば、所定角度よりも回転したことを検知するセンサを設けて、当該センサの検知結果に基づき、リレー等により転車台レール15a,15bの給電極性を切り換えるようにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態においては、繋ぎレール給電手段として、第三接点部材63と、第四接点部材64と、第一導通パターン50と、第二導通パターン53とを設ける場合について説明したが、繋ぎレール21a,21bに対して、本線レール115a,115b側から給電するようにしてもよい。
【0055】
そして、上述した実施形態においては、転車台11の片側にのみレールブロック20aが配置される場合について説明したが、転車台11の両側にレールブロック20aが配置されるようにしてもよい。この場合も、転車台レール15a,15bの両側に連なった状態のレールブロック20aの繋ぎレール21a,21bに対して、第一導通パターン50および第二導通パターン53を介して、同一の極性で給電可能である。
【0056】
さらに、上述した実施形態においては、下路式の転車装置を模したものを一例に説明したが、上路式の転車装置を模したものにも適用可能である。
また、上述した実施形態においては、制御装置100から転車装置10に給電する場合について説明したが、制御装置100から給電された電力を用いて転車装置10へ給電する転車装置10専用の給電装置を、制御装置100とは個別に設けるようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、転車台11を回転させる際の駆動源について特に言及しなかったが、転車台11をモータ等により回動可能にしてもよい。