特許第5948181号(P5948181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948181
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/34 20060101AFI20160623BHJP
【FI】
   B65D41/34
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-173212(P2012-173212)
(22)【出願日】2012年8月3日
(65)【公開番号】特開2014-31202(P2014-31202A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】安部 直幸
【審査官】 浅野 弘一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−076771(JP,A)
【文献】 特開2012−201380(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/090278(WO,A2)
【文献】 特開2001−192049(JP,A)
【文献】 特表平08−503189(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/004919(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部の外周面には雄螺条及び該雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器に適用される合成樹脂製容器蓋であって、
円形天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有し、該スカート壁の内周面には該雄螺条に螺合せしめられる雌螺条が形成されている本体と、一対の非破断接続片及び複数個の破断橋絡部を介して該本体に接続され、内周面には該係止あご部に係止せしめられる係止手段が配設されているタンパーエビデント裾部とを含み、
該スカート壁には下方に突出する突出片が形成され、該タンパーエビデント裾部には該突出片の突出端部を受け入れる、上方に開放された切欠が形成され、該一対の非破断接続片は該突出片に隣接してその周方向両側に配置され、該複数個の破断橋絡部は少なくとも該突出片及び該一対の非破断接続片が存在する領域以外の領域に周方向に間隔をおいて配置され、該一対の非破断接続片の各々は該タンパーエビデント裾部に対して該本体が上方に移動せしめられると鉛直線に対する傾斜角度が漸次減少せしめられる傾動部を有し、
該タンパーエビデント裾部の内周面に配設された該係止手段は、周方向に間隔をおいて半径方向内方及び上方に延出する複数個の弧状係止片或いは周方向に連続して延在し且つ半径方向内方及び上方に延出する環状係止片から構成されている、合成樹脂製容器蓋において、
該突出片が配設されている角度位置において、該弧状係止片或いは該環状係止片の少なくとも延出端部は厚さが低減せしめられていて、該複数個の破断橋絡部が破断されて該本体が該口頸部から離脱せしめられた後に該本体が該タンパーエビデント裾部に対して旋回せしめられる際の、該突出片に対する該弧状係止片或いは該環状係止片の干渉が低減乃至回避せしめられている、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
【請求項2】
該弧状係止片或いは環状係止片の少なくとも延出端部は延出端に向かって厚さが漸次低減せしめられている、請求項1記載の合成樹脂製容器蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口頸部を開封した後においても容器蓋の全体が容器から分離されることがない型のタンパーエビデント特性を備えた合成樹脂製容器蓋、更に詳しくは本体とこの本体に一対の非破断接続片及び複数個の破断橋絡部を介して接続されたタンパーエビデント裾部とを含み、橋絡部が破断されて本体が容器の口頸部から離脱されても、容器の口頸部に装着され続けるタンパーエビデント裾部に非破断接続片を介して本体が接続され続ける型の合成樹脂製容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
口頸部の外周面には雄螺条及びこの雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器に適用される、タンパーエビデント特性を備えた合成樹脂製容器蓋として、下記特許文献1には、円形天面壁及びこの天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有し、スカート壁の内周面には雄螺条に螺合せしめられる雌螺条が形成されている本体と、一対の非破断接続片及び複数個の破断橋絡部を介して本体に接続され、内周面には係止あご部に係止せしめられる係止手段が配設されているタンパーエビデント裾部とを含む合成樹脂製容器蓋が開示されている。スカート壁には下方に突出する突出片が形成され、タンパーエビデント裾部には該突出片の突出端部を受け入れる切欠が形成され、一対の非破断接続片は突出片に隣接してその周方向両側に配置され、複数個の破断橋絡部は少なくとも突出片及び一対の非破断接続片が存在する領域以外の領域に周方向に間隔をおいて配置されている。一対の非破断接続片の各々はタンパーエビデント裾部に対して本体が上方に移動せしめられると鉛直線に対する傾斜角度が漸次減少せしめられる傾動部を有する。
【0003】
容器の口頸部を開封する際には、本体を開方向に回転せしめて雄螺条に対する雌螺条の螺合を漸次解除する。かくすると、本体は口頸部に対して漸次上昇されるが、タンパーエビデント裾部は係止手段が口頸部の係止あご部に係止せしめられる故に上昇が阻止され、従って破断橋絡部に応力が生成されて破断橋絡部が破断される。一方、非破断接続片は傾動部の傾斜角度が漸次減少せしめられるが破断されることはない。従って、本体が容器の口頸部から離脱されても、口頸部に装着され続けているタンパーエビデント裾部に一対の非破断接続片を介して本体が接続され続ける。容器の口頸部から本体を変位せしめるために、一対の非破断接続片の所定部位を旋回中心としてタンパーエビデント裾部に対して本体を旋回せしめると、本体に配設されている突出片は、口頸部の係止あご部を弾性的に乗り越え、これによって本体は旋回されて口頸部上から変位した位置に保持される。突出片が弾性的に変形して係止あご部を乗り越え、次いで弾性的に復元する際には音が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−18290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者の経験によれば、上述したとおりの従来の合成樹脂製容器蓋には次のとおりの解決すべき問題が存在する。容器の口頸部から離脱せしめられた本体をタンパーエビデント裾部に対して旋回せしめる際に、突出片が係止あご部を乗り越えるのに先立って、タンパーエビデント裾部の内周面に配設されている係止手段(この係止手段は周方向に間隔をおいて半径方向内方及び上方に延出する複数個の弧状係止片或いは周方向に連続して延在し且つ半径方向内方及び上方に延出する環状係止片から構成されている)に当接し、次いで係止手段を乗り越えることに起因して、音が生成される。本体が口頸部の係止あご部を乗り越えて所用位置まで旋回されたときに生成される音は、本体が所要位置まで旋回されたことを消費者に認知せしめるので好ましいが、本体を所要位置まで旋回せしめる途中で音が生成されることは、消費者が例えば本体の旋回が完了したと誤認してしまい、音が生成された時点で消費者が本体の旋回を中断してしまう等の傾向があり、好ましくない。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、容器の口頸部から離脱せしめられた本体をタンパーエビデント裾部に対して旋回せしめる際に、突出片が係止あご部を乗り越えるのに先立って、タンパーエビデント裾部の内周面に配設されている係止手段の存在に起因して音が生成されるのを抑制乃至回避して、従来の容器蓋に存在する上述したとおりの問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本体を旋回せしめる際に突出片が係止手段に当接するのを回避するためには、突出片が存在する角度位置において係止手段を省略することが意図され得る。しかしながら、突出片が存在する角度位置においてはタンパーエビデント裾部の突出片の突出端部を受け入れる切欠が形成されている故に、タンパーエビデント裾部の軸線方向寸法が局部的に低減せしめられ、従ってタンパーエビデント裾部の強度が局部的に低減せしめられており、係止手段を省略するとタンパーエビデント裾部の局部的強度低減が助長されてしまう。そこで、本発明においては、突出片が存在する角度位置において、弧状係止片或いは環状係止片の少なくとも延出端部の厚さを低減せしめて、タンパーエビデント裾部の局部的強度低減を可及的に抑制して係止手段が突出片に干渉する度合いを低減するか或いは干渉するのを回避し、かくして係止手段が突出片を乗り越える際に音が発生するのを抑制乃至回避する。
【0008】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する合成樹脂製容器蓋として、口頸部の外周面には雄螺条及び該雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器に適用される合成樹脂製容器蓋であって、
円形天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有し、該スカート壁の内周面には該雄螺条に螺合せしめられる雌螺条が形成されている本体と、一対の非破断接続片及び複数個の破断橋絡部を介して該本体に接続され、内周面には該係止あご部に係止せしめられる係止手段が配設されているタンパーエビデント裾部とを含み、
該スカート壁には下方に突出する突出片が形成され、該タンパーエビデント裾部には該突出片の突出端部を受け入れる、上方に開放された切欠が形成され、該一対の非破断接続片は該突出片に隣接してその周方向両側に配置され、該複数個の破断橋絡部は少なくとも該突出片及び該一対の非破断接続片が存在する領域以外の領域に周方向に間隔をおいて配置され、該一対の非破断接続片の各々は該タンパーエビデント裾部に対して該本体が上方に移動せしめられると鉛直線に対する傾斜角度が漸次減少せしめられる傾動部を有し、
該タンパーエビデント裾部の内周面に配設された該係止手段は、周方向に間隔をおいて半径方向内方及び上方に延出する複数個の弧状係止片或いは周方向に連続して延在し且つ半径方向内方及び上方に延出する環状係止片から構成されている、合成樹脂製容器蓋において、
該突出片が配設されている角度位置において、該弧状係止片或いは該環状係止片の少なくとも延出端部は厚さが低減せしめられていて、該複数個の破断橋絡部が破断されて該本体が該口頸部から離脱せしめられた後に該本体が該タンパーエビデント裾部に対して旋回せしめられる際の、該突出片に対する該弧状係止片或いは該環状係止片の干渉が低減乃至回避せしめられている、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
【0009】
該弧状係止片或いは環状係止片の少なくとも延出端部は延出端に向かって厚さが漸次低減せしめられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の合成樹脂製容器蓋においては、突出片が配設されている角度位置において、弧状係止片或いは環状係止片を省略することなく、弧状係止片或いは環状係止片の延出端部の厚さを低減している故に、タンパーエビデント裾部の局部的強度低減の助長が可及的に回避される。一方、複数個の破断橋絡部が破断されて本体が口頸部から離脱せしめられた後に本体がタンパーエビデント裾部に対して旋回せしめられる際の、突出片に対する弧状係止片或いは環状係止片の干渉が回避せしめられ、それ故に突出片が係止あご部を乗り越えるのに先立って、タンパーエビデント裾部の内周面に配設されている係止手段の存在に起因して音が生成されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を示す正面図。
図2図1の容器蓋の、一部を断面で示す背面図。
図3図1の容器蓋の底面図。
図4図1の容器蓋を容器の口頸部に装着した状態を、一部を断面で示す正面図。
図5図1の容器蓋の本体を容器の口頸部から離脱せしめるために本体を開方向に回転せしめて上昇せしめた開封操作中間状態を示す正面図。
図6図1の容器蓋の本体を、口頸部から離脱した後にタンパーエビデント裾部に対して幾分か旋回せしめた状態を示す断面図。
図7図6の状態における突出片近傍の拡大断面図。
図8図1の容器蓋の本体を容器の口頸部から離脱した後にタンパーエビデント裾部に対して所定位置まで旋回した状態を示す断面図。
図9図8の状態における突出片近傍の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態について、更に詳述する。
【0013】
本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を図示している図1乃至図3を参照して説明すると、ポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出成形又は圧縮成形によって好都合に一体成形することができる、全体を番号2で示す容器蓋は、本体4とタンパーエビデント裾部6とを含んでいる。本体4は円形天面壁8とこの天面壁8の周縁から垂下する円筒形状のスカート壁10を有する。天面壁8の内面には2条のシール突条、即ち内側環状突条12及び外側環状突条14が形成されている。スカート壁10の外周面にはそこに掛けられる指の滑りを防止するための凹凸16が繰り返し形成されている。スカート壁10の内周面には雌螺条18が形成されている。この雌螺条18には周方向に間隔をおいて切欠20が形成されている。タンパーエビデント裾部6は全体として円筒形状であり、後述する破断橋絡部及び一対の非破断接続片を介して本体4のスカート壁10に接続されている。タンパーエビデント裾部6の内周面には係止手段22が配設されている。図示の実施形態において、係止手段22は周方向に間隔をおいて形成された6個の弧状係止片24a乃至24fから構成されている。弧状係止片24a乃至24fの各々は、タンパーエビデント裾部6の内周面から半径方向内方及び軸線方向上方に延出せしめられている。弧状係止片24a乃至24fの各々には、周方向中間部位に延出端縁から弧状係止片の基端部方向に延びるスリット26が形成されている。図示の実施形態において係止手段22は6個の弧状係止片24a乃至24fから構成されているが、所望ならば周方向に連続して延在し半径方向内方及び上方に延出する環状係止片から係止手段を構成することもできる。
【0014】
図1乃至図3を参照して説明を続けると、番号28で示す領域において、本体4のスカート壁10の下端縁は他の領域の下端縁よりの上方に変位せしめられており、またタンパーエビデント裾部6の上端縁は他の領域の上端縁よりも下方に変位せしめられており、スカート壁10とタンパーエビデント裾部6との間には正面図において横長に延びる開口30が生成されている。開口30の周方向中央部において、スカート壁10にはその下端から下方に突出する略矩形状の突出片32が形成されている。図1と共に図7を参照することによって明確に理解される如く、突出片32は実質上垂直に垂下し、次いで半径方向外方に若干変位した後に実質上鉛直に垂下しており、その外面には段部34が形成されている。突出片32に対応して、タンパーエビデント裾部6には突出片32の突出端部を受け入れる、上方に開放した切欠36が形成されている。この切欠36により、後述するとおりにして口頸部52を開封する際に、突出片32の旋回がタンパーエビデント裾部6によって妨げられることがない。
【0015】
図1及び図2に明確に図示するとおり、上記開口30内には、更に、上記突出片32に隣接してその周方向両側に一対の非破断接続片38a及び38bが配設されている。図示の実施形態における非破断接続片38aは、スカート壁10の下端縁に接続された上端部40a、この上端部40aに続いて周方向片側(図1及び図2において右側)に実質上水平に延びる第一の傾動部42a、中間部44a、中間部44aに続いて第一の傾動部42aの下方で周方向他側(図1及び図2において左側)に実質上水平に延びる第二の傾動部46a及びタンパーエビデント裾部6に接続された下端部48aから構成されている。非破断接続片38bは、スカート壁10の下端縁に接続された上端部40b、この上端部40bに続いて周方向片側(図1及び図2において左側)に幅狭な連結部42b、中間部44b、中間部44bに続いて連結部42bの下方で周方向他側(図1及び図2において右側)に実質上水平に延びる第二の傾動部46b及びタンパーエビデント裾部6に接続された下端部48bから構成されている。所望ならば、非破断接続片38aにおける第一の傾動部42a及び第二の傾動部46a並びに非破断接続片38bにおける第二の傾動部46bを実質上水平ではなく所定方向に傾斜せしめることもできる。図示の実施形態においては、非破断接続片38aと非破断接続片38bとは線対称ではなく、構成要素の周方向寸法が幾分相違せしめられているが、その理由については特開2012−76771号明細書の記載を参照されたい。
【0016】
番号28で示す領域即ち突出片32並びに一対の非破断接続片38a及び38bが存在する領域以外の領域には、タンパーエビデント裾部6を本体4のスカート壁10の下端に接続する複数個の破断橋絡部50が周方向に間隔をおいて複数個、例えば6個、配設されている。破断橋絡部50の各々は周知の形態でよい。所望ならば、一対の非破断接続片38a及び38bが存在する領域においても、例えば第一の傾動部42a及び連結部42b或いは第二の傾動部46a及び46bとスカート壁10の下端との間に破断橋絡部50を配設することもできる。
【0017】
本発明においては上記突出片32が存在する角度位置において弧状係止片24a(或いは環状係止片)の少なくとも延出端部の厚さが低減せしめられていることが重要である。図示の実施形態においては、図7及び図9から明確に理解されるとおり突出片32が配置されている角度位置に位置する弧状係止片24aにおいて、スリット26が存在する基端部を除き、弧状係止片24aの厚さが延出端に向かって漸次減少せしめられている(その理由については後に詳述する)。図示の実施形態においては、図2及び図3において符号Aに示す領域においてのみ弧状突出片24aの厚さが低減されているが、所望ならば弧状突出片24aの周方向全体に渡って厚さを低減することもできる。また、厚さを漸次減少せしめることに変えて、弧状突出片24aの少なくとも延出端部の厚さを低減された一定厚さにすることもできる。
【0018】
図4には、容器蓋2と共に容器の口頸部52も図示されている。ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂或いはガラスから形成することができる容器の口頸部52は全体として円筒形状であり、その上面は開口されている。口頸部52の外周面には、雄螺条54とこの雄螺条54の下方に位置する係止あご部56が形成されている。
【0019】
口頸部52に容器蓋2を装着して口頸部52を密封する際には、口頸部52に容器蓋2を被嵌して閉方向(図4において上方から見て時計方向)に回転せしめ、口頸部52の雄螺条54に容器蓋2の雌螺条18を螺合せしめる。雄螺条54に対する雌螺条18の螺合の進行に応じて容器蓋2は口頸部52に対して漸次下降する。図4に図示する状態まで口頸部52に対して容器蓋2が下降せしめられると、容器蓋2の本体4における天面壁8の内面に形成されている内側環状突条12及び外側環状突条14が夫々口頸部52の内周面及び外周面に密接せしめられ、これによって口頸部52が密封される。容器蓋2のタンパーエビデント裾部6の内周面に配設されている係止手段22は口頸部52の係止あご部56を弾性的に乗り越えて、係止あご部56の下面に係止せしめられる。
【0020】
口頸部52を開封する際には、容器蓋2を開方向(図4において上方から見て反時計方向)に回転せしめ、口頸部52の雄螺条54に対する容器蓋2の雌螺条18の螺合を漸次解除する。螺合を漸次解除すると容器蓋2の本体4は開方向に回転せしめられると共に上昇せしめられるが、タンパーエビデント裾部6は係止手段22が口頸部52の係止あご部56に係止しているので上昇が阻止され、これに起因して破断橋絡部50に相当な応力が生成され、破断橋絡部50が破断される。しかる後においては、容器蓋2の本体4は開方向への回転と共に上昇し、タンパーエビデント裾部6から上方に漸次離間せしめられる。図4と共に図5を参照することによって明確に理解される如く、タンパーエビデント裾部6から本体4が漸次上方に離間せしめられると、非破断接続片38aの第一の傾動部42a及び非破断接続片38bの第二の傾動部46bは夫々の中間部44a及び第二の傾動部46bの下端を中心として図4及び図5において時計方向に旋回、即ち時計方向に傾動され、一方非破断接続片38aの第二の傾動片46a及び非破断接続片38bの連結部42bは夫々の下端及び上端を中心として図4及び図5において反時計方向に旋回、即ち反時計方向に傾動され、これに応じて非破断接続片38a及び38bにおける第一の傾動部42a及び第二の傾動部46bの鉛直線に対する傾斜角度が漸次低減される。図4及び図5と共に図6を参照することによって明確に理解される如く、口頸部52の雄螺条54に対する容器蓋2の雌螺条18の螺合が完全に解除されると、容器蓋2の本体4は口頸部52から離脱される。しかしながら、本体4は非破断接続片38a及び38bを介して、口頸部52に装着され続けているタンパーエビデント裾部6に接続され続けている故に、容器の口頸部52から離間されることはない。
【0021】
容器蓋2の本体4が口頸部52から離脱された後においては、非破断接続片38a及び38bをヒンジ支点として本体4を口頸部52から遠ざかる方向に旋回する。この際、図6及び図7に示すとおり、突出片32は、その延出端の内面が容器の係止あご部56の下面に対向する位置まで、容器の口頸部52に近づく方向に旋回する。而して、本発明に従って構成された容器蓋2においては、弧状係止片24aの少なくとも延出端部の厚さが低減せしめられている故に、旋回せしめられる突出片32に対して弧状係止片24aが突出片32に干渉せしめられる度合いが低減されるか或いは干渉せしめられることが回避される。それ故に突出片32が係止あご部56を乗り越えるのに先立って、タンパーエビデント裾部6の内周面に配設されている係止手段22の存在に起因して音が生成されることが抑制乃至回避される。図示の実施形態においては、突出片32の周方向中間部に対応した位置にスリット26が配設されており、これに起因して突出片32が弧状係止片24aを乗り越える抵抗が低減され、これによっても音の発生が抑制乃至回避される。図7に二点鎖線で示すとおり、弧状係止片24aの少なくとも延出端部の厚さが低減されることなく、他の弧状係止片24b乃至24fと同様な形状(先端に向かって漸次厚さが増大されている状態)の場合には突出片32が旋回せしめられる際に、突出片32が弧状係止片24aに干渉されて弾性変形し、弧状係止片24aから離隔する際に音が発生される。
【0022】
本体4を図8及び図9に図示する状態まで旋回せしめると、突出片32は口頸部52の係止あご部56を弾性的に乗り越え、次いで弾性的に復元し係止あご部56上方に当接し、突出片32の外面に形成されている段部34或いは突出片32の外面先端部が係止あご部56の上面に係止せしめられる。かくして本体4は図8に図示する位置に保持され、これによって本体4は図8に図示する位置に解除自在に保持される。従って、消費者は本体4の存在によって阻害されることなく、容器内に存在する清涼飲料の如き内容物を飲食することができる。突出片32が係止あご部56を乗り越えて弾性的に復元する際には音が生成され、これによって消費者は本体4が所要位置まで旋回されたことを認知することができる。
【0023】
内容物の飲食を途中で中断した場合には、図8に図示する位置に保持されている本体4を口頸部52に接近する方向に旋回せしめて再び口頸部52に被嵌し、そして容器蓋2を閉方向に回転せしめて口頸部52の雄螺条54に容器蓋2の雌螺条18を螺合せしめ、かくして容器蓋2を再び図4に図示する状態に位置せしめ、口頸部52を仮密封することができる。
【符号の説明】
【0024】
2:容器蓋
4:本体
6:タンパーエビデント裾部
8:天面壁
10:スカート壁
18:雌螺条
22:係止手段
24a:弧状係止片
24b:弧状係止片
24c:弧状係止片
24d:弧状係止片
24e:弧状係止片
24f:弧状係止片
32:突出片
38a:非破断接続片
38b:非破断接続片
50:破断橋絡部
52:口頸部
54:雄螺条
56:係止あご部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9