特許第5948201号(P5948201)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5948201照明シミュレーション装置、照明シミュレーション方法、プログラム、および媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948201
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】照明シミュレーション装置、照明シミュレーション方法、プログラム、および媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20160623BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20160623BHJP
   G06T 15/50 20110101ALI20160623BHJP
【FI】
   G06F17/50 610C
   G06T19/00 A
   G06F17/50 634C
   G06T15/50
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-217655(P2012-217655)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-71692(P2014-71692A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年6月9日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1−1)展示日 平成24年6月13日 (1−2)展示会名等 2012 あかり専科新製品内覧会 コイズミ照明ショールーム 東京 (1−3)公開者 コイズミ照明株式会社 (2−1)ウェブサイトの掲載日 平成24年6月13日 (2−2)ウェブサイトのアドレス http://sankei.jp.msn.com/west/west.htm http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120613/wec12061319460006−n1.htm (2−3)公開者 株式会社産業経済新聞社 (3−1)発行日 平成24年6月14日 (3−2)刊行物 産経新聞 (3−3)公開者 株式会社産業経済新聞社 (4−1)発行日 平成24年6月15日 (4−2)刊行物 フジサンケイビジネスアイ関西版 (4−3)公開者 株式会社日本工業新聞社 (5−1)ウェブサイトの掲載日 平成24年8月22日 (5−2)ウェブサイトのアドレス http://www.koizumi−lt.co.jp/index.html http://www.koizumi−lt.co.jp/info.php?ren=338 (5−3)公開者 コイズミ照明株式会社 (6−1)発行日 平成24年8月23日 (6−2)刊行物 住宅産業新聞 (6−3)公開者 株式会社住宅産業新聞社 (7−1)発行日 平成24年8月28日 (7−2)刊行物 化学工業日報 (7−3)公開者 株式会社化学工業日報社 (8−1)発行日 平成24年8月28日 (8−2)刊行物 日刊建設産業新聞 (8−3)公開者 株式会社日刊建設産業新聞社 (9−1)発行日 平成24年8月29日 (9−2)刊行物 電波新聞 (9−3)公開者 株式会社電波新聞社大阪本社 (10−1)発行日 平成24年8月30日 (10−2)刊行物 住宅産業新聞 (10−3)公開者 株式会社住宅産業新聞社 (11−1)発行日 平成24年9月4日 (11−2)刊行物 リフォーム産業新聞 (11−3)公開者 株式会社リフォーム産業新聞社 (12−1)発行日 平成24年9月11日 (12−2)刊行物 商業施設新聞 (12−3)公開者 株式会社産業タイムズ社
(73)【特許権者】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】高木 彩
(72)【発明者】
【氏名】折居 直純
【審査官】 合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−105591(JP,A)
【文献】 特開平9−106412(JP,A)
【文献】 特開平9−106414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
G06T 15/50
G06T 19/00
IEEE Xplore
CiNii
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間に配置される複数の照明器具の照明効果を擬似的に表示する照明シミュレーション装置であって、
ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、
前記複数の照明器具が配置された前記仮想空間が描画され、画像ごとに前記複数の照明器具の状態が異なる複数の画像を記憶する記憶手段と、
前記複数の画像の中の少なくとも一つの画像を表示する表示手段と、
前記ユーザの前記入力手段を介した操作に応じた処理を行う処理手段と、を具備し、
前記複数の画像は、前記仮想空間における前記複数の照明器具の照明効果を表すように、予め配光データに基づいて作成され、
前記処理手段は、前記ユーザの前記入力手段を介した所定の操作が、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザの操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換える、
ことを特徴とする照明シミュレーション装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して、前記ユーザの前記入力手段を介した指定操作が行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザの指定操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換え、
前記選択された画像と、前記表示手段に表示されている画像とは、前記指定操作の対象となった照明器具の照度が異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明シミュレーション装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して、前記ユーザの前記入力手段を介した指定操作が行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザの指定操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換え、
前記選択された画像には、前記表示手段に表示されている画像に描画された複数の照明器具の内、前記指定操作の対象となった照明器具以外の照明器具が描画されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明シミュレーション装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して、前記ユーザの前記入力手段を介したドラッグアンドドロップ操作が行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザのドラッグアンドドロップ操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換え、
前記選択された画像において、前記ドラッグアンドドロップ操作の対象となった照明器具は、前記ドラッグアンドドロップ操作におけるドロップ位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の照明シミュレーション装置。
【請求項5】
入力手段と、記憶手段と、表示手段と、を具備するコンピュータを用いて、仮想空間に配置される複数の照明器具の照明効果を擬似的に表示する照明シミュレーション方法であって、
前記複数の照明器具が配置された前記仮想空間が描画され、画像ごとに前記複数の照明器具の状態が異なる複数の画像であって、前記仮想空間における前記複数の照明器具の照明効果を表すように、予め配光データに基づいて作成された複数の画像を前記記憶手段に記憶する工程と、
前記入力手段を介してユーザによる所定の操作が、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザの操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換える工程と、を含む、
ことを特徴とする照明シミュレーション方法。
【請求項6】
入力手段と、記憶手段と、表示手段と、を具備するコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、
複数の照明器具が配置された仮想空間が描画され、画像ごとに前記複数の照明器具の状態が異なる複数の画像であって、前記仮想空間における前記複数の照明器具の照明効果を表すように、予め配光データに基づいて作成された複数の画像を前記記憶手段に記憶する工程と、
前記入力手段を介してユーザによる所定の操作が、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザの操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換える工程と、を実行する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記憶した媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明シミュレーション装置、照明シミュレーション方法、プログラム、および媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、仮想空間において、任意の照明器具による照明シミュレーションを行う技術が公知となっている。
例えば、特許文献1には、ユーザが、三次元の仮想空間に所望の間取りの部屋を作成し、当該作成された部屋に所望の照明器具およびその他のインテリアを配置した後、所定の操作(「照明SIM」ボタンのクリック)を行うことにより、配置された照明器具およびその他のインテリアに応じた照明効果を視覚的に確認できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−334119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、照明シミュレーションに多くの時間を要するため、照明シミュレーションが終了した後に、その結果を画像として、メール等によってユーザに提供することとなっている。
つまり、特許文献1に記載の技術においては、ユーザは、リアルタイムに照明効果を確認することが困難となっている。
【0005】
ところで、近年、省エネルギー等の観点から、いわゆる一室一灯型の照明方式から多灯分散型の照明方式への移行が望まれている。
多灯分散型の照明方式においては、複数の照明器具を所望の位置に配置し、各照明器具を制御することが可能であるため、各照明器具の位置等に応じて、リアルタイムに照明効果を確認することが必要となる。
この点において、特許文献1に記載の技術は、多灯分散型の照明方式における照明シミュレーションに不適である。
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、リアルタイムに照明効果を確認可能な照明シミュレーション技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明シミュレーション装置は、仮想空間に配置される複数の照明器具の照明効果を擬似的に表示する照明シミュレーション装置であって、ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、前記複数の照明器具が配置された前記仮想空間が描画され、画像ごとに前記複数の照明器具の状態が異なる複数の画像を記憶する記憶手段と、前記複数の画像の中の少なくとも一つの画像を表示する表示手段と、前記ユーザの前記入力手段を介した操作に応じた処理を行う処理手段と、を具備し、前記複数の画像は、前記仮想空間における前記複数の照明器具の照明効果を表すように、予め配光データに基づいて作成され、前記処理手段は、前記ユーザの前記入力手段を介した所定の操作が、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザの操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換える。
【0008】
本発明に係る照明シミュレーション装置において、前記処理手段は、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して、前記ユーザの前記入力手段を介した指定操作が行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザの指定操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換え、前記選択された画像と、前記表示手段に表示されている画像とは、前記指定操作の対象となった照明器具の照度が異なることが好ましい。
【0009】
本発明に係る照明シミュレーション装置において、前記処理手段は、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して、前記ユーザの前記入力手段を介した指定操作が行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザの指定操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換え、前記選択された画像には、前記表示手段に表示されている画像に描画された複数の照明器具の内、前記指定操作の対象となった照明器具以外の照明器具が描画されていることが好ましい。
【0010】
本発明に係る照明シミュレーション装置において、前記処理手段は、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して、前記ユーザの前記入力手段を介したドラッグアンドドロップ操作が行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザのドラッグアンドドロップ操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換え、前記選択された画像において、前記ドラッグアンドドロップ操作の対象となった照明器具は、前記ドラッグアンドドロップ操作におけるドロップ位置に配置されていることが好ましい。
【0011】
本発明に係る照明シミュレーション方法は、入力手段と、記憶手段と、表示手段と、を具備するコンピュータを用いて、仮想空間に配置される複数の照明器具の照明効果を擬似的に表示する照明シミュレーション方法であって、前記複数の照明器具が配置された前記仮想空間が描画され、画像ごとに前記複数の照明器具の状態が異なる複数の画像であって、前記仮想空間における前記複数の照明器具の照明効果を表すように、予め配光データに基づいて作成された複数の画像を前記記憶手段に記憶する工程と、前記入力手段を介して前記ユーザによる所定の操作が、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザの操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換える工程と、を含む。
【0012】
本発明に係るプログラムは、入力手段と、記憶手段と、表示手段と、を具備するコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、複数の照明器具が配置された仮想空間が描画され、画像ごとに前記複数の照明器具の状態が異なる複数の画像であって、前記仮想空間における前記複数の照明器具の照明効果を表すように、予め配光データに基づいて作成された複数の画像を前記記憶手段に記憶する工程と、前記入力手段を介して前記ユーザによる所定の操作が、前記表示手段に表示されている画像に描画された前記複数の照明器具の中の任意の照明器具に対して行われた場合に、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像の中から前記ユーザの操作に応じた画像を選択し、前記表示手段に表示されている画像を、前記選択された画像に置き換える工程と、を実行する。
【0013】
本発明に係る媒体は、上記プログラムを記憶した媒体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リアルタイムに照明効果を確認可能な照明シミュレーションを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る照明シミュレーション装置、およびその周辺の構成を示す図。
図2】点灯状態の複数の照明器具が配置されている仮想空間が描画されたシミュレーション画像を示す図。
図3】複数の照明器具の中のいくつかの照明器具がユーザによる指定操作によって消灯状態となったシミュレーション画像を示す図。
図4】複数の照明器具が配置されている仮想空間が描画されたシミュレーション画像を示す図。
図5】複数の照明器具の位置がユーザによるドラッグアンドドロップ操作によって変更されたシミュレーション画像を示す図。
図6】複数の照明器具が配置されている仮想空間が描画されたシミュレーション画像を示す図。
図7】ユーザによる任意の照明器具に対する指定操作によって、当該照明器具の状態を変更するための項目が表示された様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図1を参照して、本発明に係る照明シミュレーション装置の一実施形態である照明シミュレーション装置1について説明する。
【0017】
照明シミュレーション装置1は、照明シミュレーションのためのアプリケーションソフトウェア(以下、「照明シミュレータ」と記す)を実行可能に構成された装置である。照明シミュレーション装置1としては、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、またはゲーム機等を採用可能である。
照明シミュレータは、複数の照明器具が配置された部屋の照明効果を、仮想空間において擬似的に再現するためのアプリケーションソフトウェアである。照明シミュレータは、プログラム、および多数の画像データ等から構成されている。
【0018】
図1に示すように、照明シミュレーション装置1は、入力部10と、記憶部20と、表示部30と、処理部40とを具備する。
【0019】
入力部10は、ユーザからの入力を受け付け可能に構成されている。入力部10は、処理部40と電気的に接続されており、ユーザから入力部10に入力された情報に基づいて、処理部40が所定の処理を行うこととなる。なお、入力部10は、マウス、キーボード、またはタッチパネル等によって実現可能である。
【0020】
記憶部20は、種々のデータを記憶できるように構成されている。記憶部20には、照明シミュレータが格納されている。記憶部20は、処理部40と電気的に接続されており、記憶部20に格納された照明シミュレータのプログラムに基づいて、処理部40が所定の処理を行うこととなる。なお、記憶部20は、ハードディスクドライブ(HDD)、または半導体メモリ等によって実現可能である。
【0021】
表示部30は、文字および画像等の種々の情報を表示可能に構成されている。表示部30は、処理部40と電気的に接続されており、処理部40の出力結果を表示する。なお、表示部30は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイ等によって実現可能である。
【0022】
処理部40は、記憶部20に格納された照明シミュレータのプログラムに基づいて、ユーザから入力部10に入力された情報に応じた処理を実行可能に構成されている。
【0023】
以上のように構成された照明シミュレーション装置1において、照明シミュレータが実行されると、表示部30に照明シミュレータのグラフィカルユーザインタフェース(以下、「GUI」と記す)が表示される。照明シミュレータのGUI上には、複数の照明器具が配置された仮想空間が表示される。当該仮想空間における任意の照明器具に対して、ユーザが入力部10を介した所定の操作(例えば、クリック操作またはドラッグアンドドロップ操作)を行った場合には、当該操作の対象となった照明器具の状態(照度または位置等)が操作に応じて変化し、それに伴って仮想空間における照明効果が変化することとなる。
このように、照明シミュレーション装置1は、表示部30に表示されたGUI上における仮想空間の任意の照明器具に対して、ユーザが入力部10を介した所定の操作を行うことによって、照明シミュレーションを実現できるように構成されている。
【0024】
照明シミュレーション装置1における照明シミュレーションは、複数の照明器具が配置された仮想空間が描画された多数の画像(以下、「シミュレーション画像」と記す)を用いて実現される。
シミュレーション画像は、記憶部20に格納され、処理部40によって照明シミュレータのGUI上に適宜表示される。シミュレーション画像は、仮想空間における複数の照明器具の照明効果を表すように、予め配光データ(IESデータ)に基づいて作成される。詳細には、予め配光データに基づいて、複数の照明器具が配置された3次元の仮想空間で照明シミュレーションが行われ、その結果がシミュレーション画像として記憶部20に保存される。
各シミュレーション画像は、互いに複数の照明器具の状態(照度または位置等)が異なっており、複数の照明器具のあらゆる状態が表現できるように多数のシミュレーション画像が記憶部20に格納されている。
仮想空間の任意の照明器具に対して、ユーザによる入力部10を介した所定の操作が行われた際、照明シミュレータのGUI上に表示されているシミュレーション画像は、当該操作に応じたシミュレーション画像に処理部40によって置き換えられる。例えば、処理部40は、仮想空間の任意の照明器具に対して、クリック操作が行われた際、表示部30上に現在表示されているシミュレーション画像を、当該クリック操作の対象となった照明器具が点灯または消灯した状態で描画されたシミュレーション画像に置き換える。これにより、照明器具の点灯、消灯の切り替えが擬似的に表現されることとなる。
シミュレーション画像の作成には多くの時間を要するため、予め照明器具の状態が異なるシミュレーション画像を多数用意し、GUI上において適宜シミュレーション画像を切り替えることにより、照明効果をリアルタイムで視覚的に確認することができる。
なお、本実施形態においては、多数のシミュレーション画像を用いて、照明シミュレーション装置1による照明シミュレーションを実現させているが、少なくとも二つのシミュレーション画像を用いれば、本発明を実現可能である。
【0025】
また、照明シミュレーション装置1は、通信ネットワークNを介して、サーバSに接続できるように構成されている。
通信ネットワークNは、インターネット、イントラネット、または仮想プライベートネットワーク(VPN)等であり、用いられる伝送媒体は、有線であるか無線であるかを問わない。
【0026】
サーバSは、種々のデータを記憶できるように構成されている。サーバSは、照明シミュレータのアップデートに用いることができる。
詳細には、サーバSに新しいバージョンの照明シミュレータを格納し、通信ネットワークNを介して、サーバS上の照明シミュレータを取得することにより、照明シミュレーション装置1の記憶部20に格納されている照明シミュレータをアップデートすることができる。アップデートによって、シミュレーション画像を更に追加することにより、照明シミュレーションにおける、照明器具、家具、カーテン、ならびに壁材および床材等の種類を増加させることができる。
なお、サーバSとして、クラウドサーバを採用することが可能である。
【0027】
また、サーバSに、多数のシミュレーション画像を格納することも可能である。この場合、照明シミュレータの実行中に、処理部40がサーバS上のシミュレーション画像を読み出して記憶部20へ適宜格納し、当該格納されたシミュレーション画像を表示部30に表示するように構成することで、照明シミュレータの容量を低減することができる。したがって、記憶部20の容量が比較的小さい場合でも照明シミュレータを実行することができる。
また、サーバSに現行バージョンの照明シミュレータをFLASH(登録商標)等の形式で格納し、照明シミュレーション装置1にて起動されるブラウザ上において、照明シミュレータを実行することも可能である。これにより、照明シミュレーション装置1の記憶部20に格納されるデータの容量を低減することができる。また、このような構成とすることにより、常に最新バージョンの照明シミュレータをサーバSに置くようにすれば、照明シミュレーション装置1において、アップデート作業または最新プログラムのインストール作業を必要とせず、常に最新バージョンの照明シミュレータを実行できる。
このような場合、サーバSが本発明に係る記憶手段に相当し、通信ネットワークNによって接続された照明シミュレーション装置1およびサーバSが本発明に係る照明シミュレーション装置に相当することとなる。
【0028】
以下では、図2図7を参照して、ユーザによる操作、およびそれに伴う照明器具の状態の変化について詳細に説明する。
【0029】
第一に、ユーザが任意の照明器具に対して入力部10を介した指定操作を行うことによって、当該指定操作が行われた照明器具の状態を変更する処理について説明する。
ここで、ユーザによる入力部10を介した「指定操作」とは、入力部10がマウスの場合には、クリック操作を意味し、入力部10がタッチパネルの場合には、タップ操作を意味する。
【0030】
図2に示すように、表示部30に表示された照明シミュレータのGUIには、テレビ、ソファ、テーブル、および複数の照明器具等が配置されている仮想空間が描画されたシミュレーション画像が表示されている。
複数の照明器具としては、二つのブラケットライトが、それぞれ左の壁面における手前側および奥側に配置され、二対のスポットライト(合計四つのスポットライト)が、それぞれ右の壁面における手前側および奥側に配置され、一つのダウンライトが二階のドアの上方の天井部分に配置されており、全ての照明器具が点灯した状態となっている。
【0031】
処理部40は、任意の照明器具に対する指定操作がユーザによって入力部10に入力されると、照明シミュレータのGUI上の現在のシミュレーション画像を、当該指定操作の対象となった照明器具が消灯した状態で描画されたシミュレーション画像に置き換える。
例えば、まず、手前側のブラケットライト(図2におけるA参照)に対する指定操作がユーザによって入力部10に入力されると、処理部40は、照明シミュレータのGUI上の現在のシミュレーション画像を、手前側のブラケットライトAが消灯した状態で描画されたシミュレーション画像に置き換える。次に、奥側のブラケットライト(図2におけるB参照)に対する指定操作がユーザによって入力部10に入力されると、処理部40は、照明シミュレータのGUI上の現在のシミュレーション画像を、奥側のブラケットライトBが消灯した状態で描画されたシミュレーション画像に置き換える。そして、ダウンライト(図2におけるC参照)に対する指定操作がユーザによって入力部10に入力されると、処理部40は、照明シミュレータのGUI上の現在のシミュレーション画像を、ダウンライトCが消灯した状態で描画されたシミュレーション画像に置き換える。
こうして、最終的に、図3に示すシミュレーション画像が照明シミュレータのGUI上に表示される。
【0032】
第二に、ユーザが任意の照明器具に対して入力部10を介したドラッグアンドドロップ操作を行うことによって、当該ドラッグアンドドロップ操作が行われた照明器具の位置を変更する処理について説明する。
【0033】
図4に示すように、表示部30に表示された照明シミュレータのGUIには、直方体、円柱、球、および三角錐の形状を有する物体が床に配置され、複数の照明器具が天井に配置されている仮想空間が描画されたシミュレーション画像が表示されている。
複数の照明器具としては、四つのダウンライトが、天井面の中心部分に配置されている。
【0034】
処理部40は、任意の照明器具に対するドラッグアンドドロップ操作がユーザによって入力部10に入力されると、照明シミュレータのGUI上の現在のシミュレーション画像を、当該ドラッグアンドドロップ操作の対象となった照明器具の位置がドラッグアンドドロップ操作におけるドロップ位置となっているシミュレーション画像に置き換える。
例えば、まず、左手前側のブラケットライト(図4におけるD参照)に対して、天井面の左手前側の隅に移動させるようなドラッグアンドドロップ操作(図4におけるブラケットライトDから引かれた矢印参照)がユーザによって入力部10に入力されると、処理部40は、照明シミュレータのGUI上の現在のシミュレーション画像を、左手前側のブラケットライトDが当該ドラッグアンドドロップ操作におけるドロップ位置に配置されたシミュレーション画像に置き換える。次に、右手前側のブラケットライト(図4におけるE参照)に対して、天井面の右手前側の隅に移動させるようなドラッグアンドドロップ操作(図4におけるブラケットライトEから引かれた矢印参照)がユーザによって入力部10に入力されると、処理部40は、照明シミュレータのGUI上の現在のシミュレーション画像を、右手前側のブラケットライトEが当該ドラッグアンドドロップ操作におけるドロップ位置に配置されたシミュレーション画像に置き換える。そして、左奥側のブラケットライト(図4におけるF参照)に対して、天井面の左奥側の隅に移動させるようなドラッグアンドドロップ操作(図4におけるブラケットライトFから引かれた矢印参照)がユーザによって入力部10に入力されると、処理部40は、照明シミュレータのGUI上の現在のシミュレーション画像を、左奥側のブラケットライトFが当該ドラッグアンドドロップ操作におけるドロップ位置に配置されたシミュレーション画像に置き換える。最後に、右奥側のブラケットライト(図4におけるG参照)に対して、天井面の右奥側の隅に移動させるようなドラッグアンドドロップ操作(図4におけるブラケットライトGから引かれた矢印参照)がユーザによって入力部10に入力されると、処理部40は、照明シミュレータのGUI上の現在のシミュレーション画像を、右奥側のブラケットライトGが当該ドラッグアンドドロップ操作におけるドロップ位置に配置されたシミュレーション画像に置き換える。
こうして、最終的に、図5に示すシミュレーション画像が照明シミュレータのGUI上に表示される。
なお、ドラッグアンドドロップ操作によって任意の照明器具の位置を変更する際、当初の位置から変更後の位置まで照明器具が移動する様子を、複数のシミュレーション画像を連続的に切り替えることによって視覚的に表現してもよい。
【0035】
なお、ユーザによる指定操作によって、任意の照明器具を非表示とするように構成することも可能である。
図6に示すように、表示部30に表示された照明シミュレータのGUIには、直方体、円柱、球、および三角錐の形状を有する物体が床に配置され、複数の照明器具が天井に配置されている仮想空間が描画されたシミュレーション画像が表示されている。
複数の照明器具としては、三つのダウンライトが天井面の奥側に配置され、二つのダウンライトが天井面の手前側に配置されている。
例えば、奥側に配置された三つのダウンライトの内の中心のダウンライト(図6におけるH参照)に対する指定操作がユーザによって入力部10に入力されると、処理部40は、照明シミュレータのGUI上の現在のシミュレーション画像を、奥側に配置された三つのダウンライトの内の中心のダウンライトHが描画されていないシミュレーション画像(図5参照)に置き換える。
【0036】
なお、任意の照明器具に対するユーザの指定操作によって、所定の操作が可能な項目をGUI上に表示させ、その状態に応じて照明器具の照度を変更する機能を照明シミュレータに設けてもよい。
例えば、図7に示すように、ユーザが左奥側のダウンライト(図7におけるJ参照)に対して入力部10を介した指定操作を行うと、左奥側のダウンライトJの下方近傍に、ドラッグ操作によって左右に移動可能なスライダと、数字を入力可能な入力ボックスとが配置されたウィンドウが表示されるように構成すればよい。この場合、ユーザが入力部10を介したドラッグ操作によって、スライダを左に移動させると、ダウンライトJの照度が減少し、スライダを右に移動させると、ダウンライトJの照度が増加する。スライダは、照明器具の照度が0〜100%となる範囲で移動可能に構成されており、スライダの位置に応じた数字が入力ボックスに表示される。また、ユーザが入力部10を介して入力ボックスに0〜100の範囲における任意の数値を入力すると、当該入力された数値に応じて、照明器具の照度が変化し、スライドの位置も変更される。
なお、上記のスライダおよび入力ボックスのいずれか一方のみを表示する構成とすることも可能である。
【0037】
また、仮想空間に配置されている照明器具の状態に応じた消費電力、および電気代等を照明シミュレータのGUI上に表示させる機能を照明シミュレータに設けてもよい。この場合、表示される消費電力、および電気代等は、シミュレーション画像ごとに予め値を算出しておいてもよいし、照明器具の状態に連動させて自動的に計算してもよい。
また、照明効果、およびコスト(照明器具の価格等)等の対比を容易とするために、照明器具の状態が異なる二つのシミュレーション画像を、GUI上において上下または左右に並べて表示する機能を照明シミュレータに設けてもよい。
また、ユーザが指定したコスト(照明器具の価格等)に基づいて、照明器具を選定する機能を照明シミュレータに設けてもよい。
また、ユーザが指定した電気代に基づいて、照明器具の種類または数の選定を行う機能、および照明器具の設定照度を表示する機能を照明シミュレータに設けてもよい。
また、昼光が差し込む窓を仮想空間に配置する機能を照明シミュレータに設けてもよい。これは、昼光データに基づいて、必要なシミュレーション画像を作成することによって実現可能である。
また、照明シミュレータによる照明シミュレーションの結果(例えば、照明シミュレータのGUIのキャプチャ画像)を、記憶部20に書き込む機能を照明シミュレータに設けてもよい。
【0038】
また、照明シミュレーション装置1が、加速度センサを具備するタブレット型コンピュータ、スマートフォン等である場合には、照明シミュレーション装置1の傾きの変更、または振動により、仮想空間に配置された複数の照明器具の状態を変更する機能を照明シミュレータに設けてもよい。
例えば、ユーザが照明シミュレーション装置1を初期の姿勢(例えば、画面が水平状態となっている姿勢)から任意の方向に傾けると、仮想空間に配置された複数の照明器具が移動し、ユーザが照明シミュレーション装置1を振動させると、仮想空間に配置された複数の照明器具の点灯、消灯が切り替わるように構成すればよい。
これにより、入力部10および表示部30としてのタッチパネルに触れずに照明器具の状態を変更することができ、当該タッチパネルが汚れることを抑制できる。
【0039】
また、本実施形態に係る照明シミュレーション装置1は、通信ネットワークNに接続可能な構成としたが、これは必須ではない。照明シミュレーション装置1は、照明シミュレータを全て記憶部20に記憶可能な構成であれば、通信ネットワークNへの接続を行わなくても照明シミュレータを実行することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 照明シミュレーション装置
10 入力部
20 記憶部
30 表示部
40 処理部
N 通信ネットワーク
S サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7