特許第5948298号(P5948298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5948298記録媒体収納カセット及びそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948298
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】記録媒体収納カセット及びそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20160623BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   B65H1/04 320B
   B65H1/04 324
   B65H1/26 314A
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-210997(P2013-210997)
(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公開番号】特開2015-74518(P2015-74518A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2015年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128842
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 温
(74)【代理人】
【識別番号】100134821
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 信行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真樹
(72)【発明者】
【氏名】米田 真作
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−170098(JP,A)
【文献】 特開2011−162331(JP,A)
【文献】 特開2005−096958(JP,A)
【文献】 特開2010−202287(JP,A)
【文献】 特開2011−157164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00 − 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を収納するカセットベースと、
該カセットベースの底面に記録媒体の給送方向上流側の端部が回動可能に支持され、上面に記録媒体が載置される記録媒体積載板と、
該記録媒体積載板に載置された記録媒体の給送方向と直交する記録媒体の幅方向に往復移動可能な一対の幅合わせカーソルと、
を備え、画像形成装置本体に対し挿入または引き出し可能な記録媒体収納カセットにおいて、
前記幅合わせカーソルの少なくとも一方には、前記幅合わせカーソルの上下方向に延在するアーム部と、該アーム部の上端部に形成され、前記幅合わせカーソルの内側に退避した第1の位置と、前記幅合わせカーソルの記録媒体の側端部との対峙面から外側に突出して記録媒体の側端部の位置を規制する第2の位置とに選択配置される規制部と、前記アーム部の下端部から記録媒体の幅方向外側に延在し、前記幅合わせカーソルの下端部から突出して前記記録媒体積載板の裏面と対峙する押圧部と、を有する規制部材と、前記幅合わせカーソルに設けられ、前記規制部材の前記アーム部を揺動可能に支持する揺動支軸と、該規制部材を前記第2の位置方向に付勢する第1付勢部材と、が設けられており、
前記記録媒体積載板が前記カセットベースの下限位置まで下降することにより、前記押圧部が前記記録媒体積載板に押圧され、前記規制部が前記第1付勢部材の付勢力に抗して前記第1の位置方向に揺動するとともに、前記記録媒体積載板が所定位置まで上昇することにより、前記規制部が前記第1付勢部材の付勢力によって前記第2の位置方向に揺動することを特徴とする記録媒体収納カセット。
【請求項2】
前記規制部材は、前記規制部の前記対峙面から突出する部分の下端部に、下方から上方に向かって突出量が増加するような傾斜面が形成されることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体収納カセット。
【請求項3】
前記記録媒体積載板の給送方向流側の端部を上方向に付勢する第2付勢部材と、
前記カセットベースの底面に対して前記記録媒体積載板をロックするとともに、ロック状態を解除可能なロック解除部材と、を備え、
前記画像形成装置本体に挿入することにより前記ロック解除部材が前記記録媒体積載板のロック状態を解除し、前記第2付勢部材の付勢力によって前記記録媒体積載板が所定位置まで上昇することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録媒体収納カセット。
【請求項4】
前記画像形成装置本体から引き出すことにより前記記録媒体積載板の一部が画像形成装置本体側のガイド部に接触することで、前記第2付勢部材の付勢力に抗して前記記録媒体積載板が下降し、前記ロック解除部材が前記記録媒体積載板を前記カセットベースの底面にロックすることを特徴とする請求項3に記載の記録媒体収納カセット。
【請求項5】
前記記録媒体積載板の記録媒体の給送方向下流側の端部に下側から当接した状態で、前記カセットベースの底面に沿って倒伏した位置と、前記カセットベースの底面から所定角度だけ起立した位置との間で前記記録媒体積載板を昇降させる作動板を有し、前記記録媒体収納カセットが前記画像形成装置本体の所定位置に挿入されたとき前記作動板に駆動力を伝達可能となる前記記録媒体積載板の昇降機構を備え、
前記記録媒体収納カセットが画像形成装置本体に挿入されていない状態では、前記作動板が前記カセットベースの底面に沿って倒伏した位置に配置され、前記記録媒体積載板が前記カセットベースの底面まで下降していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録媒体収納カセット。
【請求項6】
前記揺動支軸は、前記アーム部の下端部を揺動可能に支持することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の記録媒体収納カセット。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の記録媒体収納カセットを備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体が収納される記録媒体収納カセット、及び記録媒体収納カセットが引き出し可能に装着された、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に用いられる給紙カセットは、A系列、B系列、インチ系列等の種々の定形サイズの用紙(記録媒体)が収納できるように構成されている。収納された用紙の縁部は幅合わせカーソルや後端カーソルによって位置が規制され、両カーソルは用紙のサイズに対応した位置にスライドできるようになっている。
【0003】
上述したような幅合わせカーソルによる位置規制が不十分な場合、給紙カセットから用紙を給紙する際に給紙カセット内で用紙のスキュー(斜行)が発生することがある。その結果、安定した状態で給紙を行うことができず、紙詰まり等の不具合が発生するという問題点があった。
【0004】
また、用紙のスキューを防止するために、幅合わせカーソルを用紙束の側端部に強く圧接させた場合、給紙カセットへ用紙補給を行う際に幅合わせカーソルの間隔を広げ、補給終了後に再び幅合わせカーソルを用紙幅に合わせてセットする必要が生じ、補給作業が煩雑になる。さらに、用紙を追加する際に用紙束の側端部が不揃いであると幅合わせカーソルを用紙束の側端部全体に当接させることが困難であるという問題点もあった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1には、幅合わせカーソルと後端カーソルを圧縮スプリングで開放側へ付勢し、画像形成装置からの離脱時に幅合わせカーソルと後端カーソルが収納部を開放するとともに、画像形成装置本体への装着時には幅合わせカーソルと後端カーソルが非開放側へ移動して用紙の位置を規制する給紙カセットが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、シート材の搬送方向に対して直角方向の位置を規制するための固定の基準部材と、基準部材のシート材を積載可能な最大高さの位置においてシート積載側に突出するシート材押さえ部材と、を備え、シート材押さえ部材を基準部材に対して進退可能に構成したシート材積載トレイが開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、シート幅方向からシート束の側面に当接する幅方向カーソルに、上方に付勢されるシート束の移動を規制して最上層のシートの上面位置を決定するシート押さえ部材を設けた給紙カセットが開示されている。そして、給紙カセットの画像形成装置本体への挿入動作に伴いシート押さえ部材をシート移動規制状態に自動的に姿勢変更させるとともに、画像形成装置本体からの引き出し動作に伴いシート移動規制状態を解除可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−150960号公報
【特許文献2】特開平9−110219号公報
【特許文献3】特開2005−96958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の構成では、給紙カセット側の規制補助部材と画像形成装置本体側のガイドレールとにより幅合わせカーソルを所定の位置に移動させるため、給紙カセット内に収納する用紙のサイズを容易に変更することができなかった。
【0010】
また、特許文献2の構成では、シート材押さえ部材が第2腕部の弾性復元力によって基準部材から突出するため、シート材を収容する際はシート材押さえ部材を弾性復元力に抗して基準部材内に押し込む必要があり、シート材の収容作業性が良好であるとはいえなかった。また、シート材を収容する際にシート材の側端部とシート材押さえ部材とが干渉し、側端部の折れや破れが発生するおそれもあった。また、特許文献3のシート押さえ部材は、最上層のシートの上面位置を決定するものであり、シートの側端部の位置を規制してシートのスキューを防止するものではなかった。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、記録媒体のスキューを防止するとともに、記録媒体の補給作業を円滑に行うことができる記録媒体収納カセット及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、カセットベースと、記録媒体積載板と、一対の幅合わせカーソルと、を備え、画像形成装置本体に対し挿入または引き出し可能な記録媒体収納カセットである。カセットベースは、記録媒体を収納する。記録媒体積載板は、カセットベースの底面に記録媒体の給送方向上流側の端部が回動可能に支持され、上面に記録媒体が載置される。幅合わせカーソルの少なくとも一方には、規制部材と、揺動支軸と、第1付勢部材と、が設けられている。規制部材は、幅合わせカーソルの上下方向に延在するアーム部と、アーム部の上端部に形成され、幅合わせカーソルの内側に退避した第1の位置と、幅合わせカーソルの記録媒体の側端部との対峙面から外側に突出して記録媒体の側端部の位置を規制する第2の位置とに選択配置される規制部と、アーム部の下端部から記録媒体の幅方向外側に延在し、幅合わせカーソルの下端部から突出して記録媒体積載板の裏面と対峙する押圧部と、を有する。揺動支軸は、幅合わせカーソルに設けられ、規制部材のアーム部を揺動可能に支持する。第1付勢部材は、規制部材を第2の位置方向に付勢する。記録媒体積載板がカセットベースの下限位置まで下降することにより、押圧部が記録媒体積載板に押圧され、規制部が付勢部材の付勢力に抗して第1の位置方向に揺動するとともに、記録媒体積載板が所定位置まで上昇することにより、規制部が付勢部材の付勢力によって第2の位置方向に揺動する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の構成によれば、記録媒体積載板がカセットベースの下限位置まで下降した状態では規制部材が第1の位置に配置される。そして、記録媒体積載板が所定位置まで上昇したとき規制部材が第2の位置に配置される。従って、記録媒体積載板上に記録媒体が残っている状態で新たな記録媒体を追加する場合や、再生紙や裏紙など、側端部が不揃いである記録媒体を補給する場合であっても、規制部材を押さえたり、幅合わせカーソルを移動させたりすることなく記録媒体を円滑に補給することができる。また、幅合わせカーソルを記録媒体の側端部に強く圧接することなく、規制部によって上層の記録媒体の側端部を給送位置に確実に配置できるため、記録媒体の側端部が不揃いであって幅合わせカーソルを側端部全体に当接させることが困難である場合にも記録媒体のスキュー(斜行)や印字ずれを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る給紙カセット10を備えた画像形成装置100の概略断面図
図2】画像形成装置100を図1の手前方向から見た外観斜視図
図3】画像形成装置100に装着される給紙カセット10の外観斜視図
図4】給紙カセット10の押圧側カーソル37b付近を用紙幅方向に切断した部分断面図であり、給紙カセット10から用紙18が給紙される状態を示す図
図5】給紙カセット10の押圧側カーソル37b付近を用紙幅方向に切断した部分断面図であり、給紙カセット10に用紙18が補給される状態を示す図
図6】作動板60を用いた用紙積載板28の昇降機構を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置100の概略断面図、図2は、画像形成装置100を前面側(図1の手前方向)から見た外観斜視図である。なお、ここでは画像形成装置100として、モノクロ複合機について示している。画像形成装置100本体内には、帯電、露光、現像及び転写の各工程によりモノクロ画像を形成する画像形成部Pが配設されている。
【0016】
画像形成部Pには、感光体ドラム1の回転方向(図1の反時計回り方向)に沿って、帯電部2、露光ユニット3、現像装置4、転写ローラー7、クリーニング装置8、及び除電装置(図示せず)が配設されている。画像形成部Pでは、感光体ドラム1を図1において反時計回り方向に回転させながら、感光体ドラム1に対する画像形成プロセスが実行される。
【0017】
感光体ドラム1は、例えばアルミドラムに感光層が積層されたものであり、帯電部2により、表面を帯電させるようになっている。そして、後述する露光ユニット3からのレーザービームを受けた表面に、帯電を減衰させた静電潜像を形成する。なお、上記の感光層は、特に限定されるものではないが、例えば耐久性に優れるアモルファスシリコン(a−Si)や、帯電時のオゾンの発生が少なく高解像度の画像が得られる有機感光層(OPC)等が好ましい。
【0018】
帯電部2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電させるものである。例えば帯電部2として、細いワイヤー等を電極として高電圧を印加することにより放電するコロナ放電装置が用いられる。なお、コロナ放電装置に代えて、帯電ローラーに代表される帯電部材を感光体表面に接触させた状態で電圧を印加する接触式の帯電装置を用いても良い。露光ユニット3は、画像読取部21において読み取られた原稿画像データに基づいて光ビーム(例えばレーザービーム)を感光体ドラム1に照射し、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。
【0019】
現像装置4は、感光体ドラム1の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成させるものである。この現像装置4へのトナーの供給はトナーコンテナ5から中間ホッパー6を介して行われる。なお、ここでは磁性を有するトナー成分のみから構成される一成分現像剤(以下、単にトナーともいう)が現像装置4に収容されている。
【0020】
転写ローラー7は、感光体ドラム1表面に形成されたトナー像を乱さずに用紙搬送路11を搬送されてくる用紙に転写する。クリーニング装置8は、感光体ドラム1の長手方向に線接触するクリーニングローラーやクリーニングブレード等を備えており、トナー像が用紙に転写された後に、感光体ドラム1の表面に残った残留トナーを除去する。
【0021】
画像読取部21は、複写時に原稿を照明するスキャナーランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサー等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。
【0022】
コピー動作を行う場合、画像読取部21において原稿の画像データを読み取り画像信号に変換する。一方、画像形成部Pにおいて、帯電部2により図中の反時計回り方向に回転する感光体ドラム1が一様に帯電され、画像読取部21で読み取られた原稿画像データに基づいて露光ユニット3が感光体ドラム1上にレーザービーム(光線)を発することで、その画像データに基づく静電潜像を感光体ドラム1表面に形成する。その後、現像装置4が静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。
【0023】
上記のようにトナー像が形成された画像形成部Pに向けて、給紙ユニット12により給紙カセット10から用紙18が送出され、用紙搬送路11及びレジストローラー対13を経由して画像形成部Pに所定のタイミングで搬送される。そして、画像形成部Pにおいて転写ローラー7により感光体ドラム1表面のトナー像が用紙18に転写される。トナー像が転写された用紙18は感光体ドラム1から分離され、定着部9に搬送されて加熱及び加圧されることで用紙18にトナー像が定着される。
【0024】
定着部9を通過した用紙18は、複数方向に分岐した分岐部16によって搬送方向が振り分けられる。用紙18の片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対14によって排出トレイ15に排出される。
【0025】
一方、用紙18の両面に画像を形成する場合は、定着部9を通過した用紙18は一旦排出ローラー対14方向に搬送され、用紙18の後端が分岐部16を通過した後に排出ローラー対14を逆回転させるとともに分岐部16の搬送方向を切り換えることで、用紙18の後端から反転搬送路17に振り分けられ、画像面を反転させた状態でレジストローラー対13に再搬送される。そして、感光体ドラム1上に形成された次の画像が転写ローラー7により用紙18の画像が形成されていない面に転写され、定着部9に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ15に排出される。
【0026】
図2に示すように、画像読取部21の上面には、透明なガラス板(コンタクトガラス)が取り付けられた原稿載置台(図示せず)や、画像形成装置100本体の前面側に突出した操作パネル22が配設されている。また、画像読取部21の上面には、原稿載置台に載置された原稿を押さえるプラテン(原稿押さえ)23が開閉自在に支持されている。
【0027】
また、ハウジング100aの前面側にはフロントカバー24が開閉可能に設けられている。このフロントカバー24を開放することで、ハウジング100a内の各部材のメンテナンスや交換が行われる。
【0028】
図3は、画像形成装置100に装着される給紙カセット10の外観斜視図である。なお、図3では左手前側が画像形成装置100の前面側(図2の手前側)となっている。また、図3において、ハウジング100aに対する給紙カセット10の挿入方向を矢印A、引き出し方向を矢印A′で示し、給紙カセット10の給紙方向を矢印Bで示す。
【0029】
図3に示すように、給紙カセット10の底面となるカセットベース25の四方の周縁部には壁部25a〜25dが立設されている。給紙カセット10の挿入方向に対し上流側の壁部25cにはカセットカバー33が装着されている。カセットカバー33は、その表面側(図3の左側)が外部に露出して画像形成装置100(図2参照)本体の外装面の一部を構成する。また、カセットカバー33の中央部には、給紙カセット10の着脱時に把持する把持部35が設けられている。
【0030】
束状の用紙18(図1参照)が積載される用紙積載板28は、給紙方向(矢印B方向)に対し上流側の一端を回動支点としてカセットベース25の底面内側に支持されており、給紙方向に対し下流側の端部を自由端(揺動端)として上下に揺動可能である。用紙積載板28の自由端は圧縮バネ57(図4参照)により揺動方向の上方に向けて付勢されている。用紙積載板28は板状の部材であり、後述する幅合わせカーソル37a、37b及び後端カーソル31の移動領域に切り欠きが設けられている。
【0031】
また、給紙カセット10の右壁部25aには、給紙カセット10内のバネ(図示せず)の付勢力によって右壁部25aの外側に突出するロック解除部材41が設けられている。ロック解除部材41は、用紙積載板28の揺動端(図2の右端)を押さえる係止爪(図示せず)を有し、給紙カセット10が画像形成装置100本体へ挿入される前は、給紙カセット10の底面に用紙積載板28を押し付けることで係止爪が用紙積載板28の揺動端を押さえ、用紙積載板28がロック状態となる。この状態で、給紙カセット10を画像形成装置100本体に挿入していくと、ロック解除部材41の先端部が画像形成装置100本体側に設けられた当接片(図示せず)に当接することにより、ロック解除部材41が右壁部25aの内側に一旦押込められる。このとき、係止爪と用紙積載板28との係合が外れ、用紙積載板28のロック状態が解除される。
【0032】
用紙積載板28の給紙方向に直交する用紙幅方向(矢印AA′方向)の両側には、給紙方向に沿って立設された一対の幅合わせカーソル37a、37bが備えられている。幅合わせカーソル37a、37bは、用紙幅方向(矢印AA′方向)の両側から用紙積載板28に積載された束状の用紙18の側面に当接し、用紙18がピックアップローラー及び給紙ローラー対(いずれも図示せず)により給紙される給紙位置に位置するように、用紙幅方向の位置決めを行う。幅合わせカーソル37a、37bは、カセットベース25の底面内側に設けられた用紙幅方向に延在する幅合わせカーソル移動溝(図示せず)に沿って移動可能である。
【0033】
幅合わせカーソル37bの上端部には、用紙積載板28の揺動端側(給紙方向下流側、図2の右側)において用紙幅方向内側(用紙積載板28側)に突出する規制部材50が設けられている。用紙積載板28に積載された束状の用紙18は、この規制部材50によって給紙方向下流側の側端部18a(図4参照)の位置が規定される。なお、規制部材50の詳細な構成については後述する。
【0034】
また、用紙搬送路11(図1参照)に向けて用紙18が矢印B方向に送出されるため、束状の用紙18の後端を揃える後端カーソル31は、カセットベース25に形成された後端カーソル移動溝(図示せず)に沿って給紙方向(矢印B方向)と平行に往復移動可能に設けられている。この後端カーソル31及び上述した幅合わせカーソル37a、37bを、用紙積載板28に積載される用紙サイズに合わせて移動させることにより、束状の用紙18を給紙カセット10内の所定位置に収納する。
【0035】
給紙カセット10の挿入または引き出し方向(矢印AA′方向)に対し平行な壁部25a、25dの外側にはガイドレール40a、40bが付設されている。画像形成装置100本体側(ハウジング100a側)にはガイドレール40a、40bを摺動可能に支持する支持部(図示せず)が設けられており、ガイドレール40a、40bを支持部に沿って摺動させることで、給紙カセット10はハウジング100aに対し挿入及び引き出し可能となっている。
【0036】
図4及び図5は、給紙カセット10の幅合わせカーソル37b付近を用紙幅方向に切断した部分断面図である。なお、図4は、給紙カセット10が画像形成装置100本体に装着され、用紙搬送路11に用紙18が給紙される状態を示しており、図5は、給紙カセット10が画像形成装置100本体から引き出され、用紙18が補給される状態を示している。また、以下の説明では、規制部材50の設けられていない幅合わせカーソル37aを基準側カーソル、規制部材50の設けられた幅合わせカーソル37bを押圧側カーソルと称して区別する。
【0037】
規制部材50は、揺動支軸50aによって押圧側カーソル37bの内部に揺動可能に支持されており、アーム部50bと、規制部50cと、押圧部50dとを有する。規制部50cと押圧側カーソル37bの内壁面との間には圧縮コイルバネ51が配置されており、規制部材50は圧縮コイルバネ51によって図4の反時計回り方向に付勢されている。なお、圧縮コイルバネ51に代えて、規制部材50の揺動支軸50aにねじりバネを取り付けても良い。
【0038】
アーム部50bは、揺動支軸50aから押圧側カーソル37bの内壁面に沿って上方に延在する。規制部50cは、アーム部50bの上端部に形成され、用紙18の側端部18aと対峙する押圧側カーソル37bの対峙面52に形成された開口部53から出没可能となっている。押圧部50dは、アーム部50bの下端部から押圧側カーソル37bの用紙幅方向外側(図4のA方向)に突出しており、用紙積載板28の裏面に対向している。押圧部50dの突出方向は、規制部50cに対し鋭角となっている。
【0039】
次に、給紙カセット10への用紙18の補給動作、及び給紙カセット10からの給紙動作について説明する。給紙カセット10に用紙18を補給する場合、画像形成装置100本体から給紙カセット10を引き出し、図5に示すように、圧縮バネ57を圧縮しながら用紙積載板28をカセットベース25の底面に押し付けることにより、ロック解除部材41(図2参照)の係止爪によって用紙積載板28をロック状態とする。
【0040】
このとき、規制部材50の押圧部50dが用紙積載板28によって押し下げられるため、規制部材50は圧縮コイルバネ51を圧縮しながら揺動支軸50aを中心として時計回り方向に揺動する。その結果、規制部材50は、規制部50cが押圧側カーソル37bの対峙面52に形成された開口部53から押圧側カーソル37bの内部に退避した位置(第1の位置)に配置される。従って、規制部材50を押し込んだり、基準側カーソル37aと押圧側カーソル37bとの間隔を拡げたりすることなく、用紙積載板28上に用紙18を円滑にセットすることができる。
【0041】
用紙18が補給された給紙カセット10を画像形成装置100本体に所定量だけ挿入すると、ロック解除部材41(図2参照)が給紙カセット10内に押し込められることで、図4に示すように、カセットベース25の底面に対する用紙積載板28のロック状態が解除されて用紙積載板28が上昇する。これにより、規制部材50は、規制部50cが押圧側カーソル37bの開口部53から用紙18側(図4のA′方向)に突出した位置(第2の位置)に配置される。
【0042】
用紙積載板28に積載された束状の用紙18は、用紙積載板28の上昇によって上方の複数枚の側端部18aが、圧縮コイルバネ51によって付勢され開口部53から突出する規制部50cに当接し、給紙位置に位置決めされる。そして、束状の用紙18は、画像形成装置100本体側のピックアップローラー及び給紙ローラー対(いずれも図示せず)により最上面の用紙18から一枚ずつ分離されて給紙される。
【0043】
給紙により用紙18が減少していくと、用紙積載板28が圧縮バネ57によって上昇する。そして、束状の用紙18は、上方の複数枚の側端部18aが規制部50cに当接することで最上面の用紙18が常に給紙位置に配置される。また、用紙積載板28が上昇したときの用紙18の側端部18aと規制部50cとの引っ掛かりを防止するために、規制部50cの開口部53から突出する部分の下端部には、下方から上方に向かって突出量が増加する傾斜面55が形成されている。
【0044】
本実施形態の構成によれば、カセットベース25の底面に用紙積載板28をロックした状態では規制部材50が第1の位置に配置される。そして、給紙カセット10を画像形成装置100本体へ挿入したとき、用紙積載板28のロック状態が解除されると共に規制部材50が第2の位置に配置されるため、用紙積載板28に載置された束状の用紙18は上部の複数枚の側端部18aが規制部50cに当接して位置規制される。
【0045】
従って、用紙積載板28上に用紙18が残っている状態で新たな用紙18を追加する場合や、再生紙や裏紙など、側端部18aが不揃いである用紙18を補給する場合であっても、規制部材50を押さえたり、基準側カーソル37aまたは押圧側カーソル37bを移動させたりすることなく用紙18を円滑に補給することができる。また、基準側カーソル37a及び押圧側カーソル37bを束状の用紙18の側端部18aに強く圧接することなく、束状の用紙18の上層部を給紙位置に確実に配置できるため、用紙18の側端部18aが不揃いであって基準側カーソル37a及び押圧側カーソル37bを側端部18a全体に当接させることが困難である場合にも用紙18のスキュー(斜行)や印字ずれを効果的に抑制することができる。
【0046】
なお、ここでは画像形成装置100本体からの引き出し時に用紙積載板28が下降しない給紙カセット10について説明したが、引き出し時に用紙積載板28が下降してカセットベース25の底面にロックされる構成であっても良い。その場合は、給紙カセット10を所定量だけ引き出したタイミングで用紙積載板28の一部が画像形成装置100本体側のガイド部に接触することで、圧縮バネ57の付勢力に抗して用紙積載板28が下降し、ロック解除部材41の係止爪によってカセットベース25の底面にロックされる構成とすれば良い。この構成によれば、給紙カセット10を画像形成装置100本体から引き出した時点で規制部材50が第1の位置に配置されているため、用紙積載板28を手動でロックする必要がなく用紙18の補給作業をより円滑に行うことができる。
【0047】
また、用紙積載板28の昇降機構は圧縮バネ57とロック解除部材41を用いる構成に限らず、画像形成装置100本体側に設けられたリフトモーターによって回動する作動板を用いる構成であっても良い。図6は、作動板60を用いたシート積載板28の昇降機構を示す斜視図であり、用紙積載板28の自由端28bが作動板60によって持ち上げられた状態を示す図である。
【0048】
図6に示すように、用紙積載板28は、給紙方向上流側の端部を回動支点28aとしてカセットベース25の底面内側に支持されており、給紙方向下流側の端部を自由端28bとして上下に回動可能である。用紙積載板28の自由端28b近傍の下方には、作動板駆動シャフト60が配置されている。作動板駆動シャフト60は、カセットベース25の底面内側に形成された軸受部(図示せず)に回転可能に保持されている。作動板駆動シャフト60の一端に作動板61の固定孔61aが貫通して、作動板駆動シャフト60と作動板61が固定されている。作動板61は、用紙積載板28の裏面の用紙幅方向略中央部に対向する位置に配置されている。
【0049】
作動板駆動シャフト60の他端には扇形ギア63が連結されている。扇形ギア63は、アイドルギア65を介して駆動入力ギア67に連結されている。駆動入力ギア67の一部はカセットベース25から露出しており、給紙カセット10を画像形成装置100に挿入したとき、駆動入力ギア67が画像形成装置100本体側の駆動出力ギア(図示せず)に連結される。
【0050】
給紙カセット10が画像形成装置100に挿入された状態で画像形成装置100側のリフトモーター(図示せず)が回転駆動され、駆動出力ギアが回転すると、駆動入力ギア67、アイドルギア65、及び扇形ギア63を介して作動板駆動シャフト60に駆動力が伝達され、作動板61が図6において反時計回り方向に回動する。その結果、作動板61の回動側端縁61bが用紙積載板28の裏面に沿って摺動し、用紙積載板28の自由端28bが持ち上げられて上昇する。
【0051】
これにより、用紙積載板28上に積載された束状の用紙18の最上面が、画像形成装置100に備えられたピックアップローラーに当接し、さらに給紙ローラー対によって最上面の用紙18から一枚ずつ分離されて給紙される。
【0052】
用紙積載板28上に積載された束状の用紙18が供給されていくにつれて駆動出力ギアの回転量を増加することにより、作動板61の回動量も増加し、カセットベース25の底面と作動板61とのなす角度も大きくなる。そして、用紙積載板28上に積載された用紙が全て供給されたとき、作動板61は、カセットベース25の底面から所定角度だけ起立した位置に配置され、用紙積載板28の自由端28bも最上位まで上昇する。
【0053】
なお、給紙カセット10が画像形成装置100に挿入されておらず、駆動入力ギア67が画像形成装置100本体側の駆動出力ギアに連結されていない状態では、作動板61はカセットベース25の底面に沿って倒伏した位置に配置されている。従って、用紙積載板28の自由端28bも自重によって最下位に下降している。従って、図6に示したような用紙積載板28の昇降機構を用いた場合、給紙カセット10を画像形成装置100本体から引き出した時点で規制部材50が用紙積載板28の自重により押圧されて常に第1の位置に配置されているため、用紙積載板28を手動でロックする必要がなく、用紙18の補給作業をより円滑に行うことができる。
【0054】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、幅合わせカーソル37a、37bのうち押圧側カーソル37bのみに規制部材50を設けたが、基準側カーソル37aと押圧側カーソル37bの両方に規制部材50を設けることもできる。また、上記実施形態では規制部材50の揺動支軸50aをアーム部50bの下端部に設けたが、アーム部50bの中央部付近に揺動支軸50aを設けることも可能である。その場合、圧縮コイルバネ51も図4図5の位置から上方にずらして規制部50cに対向する位置に配置すれば良い。但し、上記実施形態のように規制部材50の揺動支軸50aをアーム部50bの下端部に設けることで、押圧部50dの押し下げ量に対するアーム部50bの揺動量が大きくなるため、規制部50cを第1の位置と第2の位置とに確実に配置することができる。
【0055】
また本発明は、上記実施形態に示したようなフロントローディング・タイプの画像形成装置100に限らず、給紙カセット10が給紙方向と平行に挿入または引き出し可能に装着された画像形成装置においても全く同様に適用可能である。
【0056】
また本発明は図1に示したモノクロ複合機に限らず、カラープリンターやカラー複合機、モノクロプリンター、インクジェット方式の画像形成部を備えたカラー複合機やカラープリンター等、引き出し可能な給紙カセットを備えた他の画像形成装置にも適用可能である。
【0057】
さらに、本発明は画像形成装置に限らず、例えば、画像形成装置に着脱可能に接続され、画像形成装置に用紙を給送するオプションフィーダーにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、画像形成装置等に引き出し可能に装着される記録媒体収納カセットに利用可能である。本発明の利用により、記録媒体のスキューを防止するとともに、記録媒体の補給作業を円滑に行うことができる記録媒体収納カセットを、簡易な構成で提供することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 給紙カセット(記録媒体収納カセット)
18 用紙(記録媒体)
18a 側端部
25 カセットベース
28 用紙積載板(記録媒体積載板)
37a 幅合わせカーソル(基準側カーソル)
37b 幅合わせカーソル(押圧側カーソル)
40a、40b ガイドレール
41 ロック解除部材
50 規制部材
50a 揺動支軸
50b アーム部
50c 規制部
50d 押圧部
51 圧縮コイルバネ(第1付勢部材)
52 対峙面
53 開口部
55 傾斜面
57 圧縮バネ(第2付勢部材)
60 作動板駆動シャフト
61 作動板
100 画像形成装置
P 画像形成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6