(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記収納カセットが前記装置本体から引き出される際の前記係合部の前記第2方向への変位量は、前記収納カセットが前記装置本体に装着される際の前記係合部の前記第2方向への変位量よりも少ないことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体収納装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1〜
図7を参照して、本発明の一実施形態による記録媒体収納装置を備えた画像形成装置100について説明する。
図1に示すように、画像形成装置100は、装置本体(画像形成装置本体)1と、その上部に配設された画像読取装置2と、を備える。
【0015】
画像読取装置2内には、コンタクトガラス2a上の原稿の画像情報を読み取る画像読取部が設けられている。画像読取部は、複写時に原稿を照明するスキャナーランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサー等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。
【0016】
画像読取装置2の正面部には、操作ボタンや表示部を有する操作パネル3が設けられている。なお、画像読取装置2の上部には、コンタクトガラス2a上に載置された原稿を押えるプラテン(図示せず)が開閉可能に設けられている。プラテン上には、原稿束から1枚ずつの原稿を自動的に順次コンタクトガラス2a上に送る自動原稿搬送装置(図示せず)が設けられていてもよい。
【0017】
画像読取装置2と装置本体1との間には、左側面及び正面に向けて大きく開放された胴内排紙空間4が設けられている。
【0018】
装置本体1の正面部には、用紙(記録媒体)を収納する複数(ここでは2つ)の給紙カセット(収納カセット)10が装置本体1に対して着脱可能に設けられている。
【0019】
装置本体1の内部には、図示しない画像形成部、定着部、用紙搬送部などが設けられている。画像形成部は、画像読取装置2により読み込んだ画像データに基づいて、供給される用紙にトナー像を転写して画像を形成するものである。画像形成部は、静電潜像を担持する感光体ドラム、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電ユニット、原稿画像に対応する静電潜像を感光体ドラムの表面にレーザービーム等によって形成する露光ユニット、形成された静電潜像に現像剤を付着させてトナー像を形成する現像ユニット、トナー像を用紙に転写する転写ローラー、感光体ドラム表面の残留トナーを除去するクリーニングブレード等を含んでいる。また、定着部は、トナー像が転写された用紙を加熱及び加圧することにより、用紙上にトナー像を定着させる。用紙搬送部は装置本体1の右側面に沿って上方に向かって延びており、給紙カセット10から画像形成部に用紙を搬送する。
【0020】
また、装置本体1の内部には、給紙カセット10が装置本体1に装着された状態で給紙カセット10が引き出し方向(
図2のB方向)へ移動するのを規制するロック機構20(
図2参照)が設けられている。なお、給紙カセット10およびロック機構20によって、本発明の記録媒体収納装置が構成されている。
【0021】
次に、給紙カセット10およびロック機構20の構成について説明する。
【0022】
給紙カセット10は
図2に示すように、用紙を収納する収納部11と、収納部11に固定される外装カバー12と、外装カバー12に設けられる取手部13と、を有する。収納部11の四方の周縁部には壁部11aが立設されている。収納部11は、給紙カセット10のハウジング(筐体)を構成している。また、収納部11には、装置本体1に設けられた摺動部(図示せず)に対して摺動する一対のガイドレール部11bが設けられている。
【0023】
外装カバー12は、給紙カセット10の挿入方向(A方向)に対し上流側の壁部11aに固定されている。外装カバー12は、外部に露出して画像形成装置100の外装面の一部を構成する。
【0024】
また、給紙カセット10の挿入方向に対し下流側の壁部11aには、ロック機構20を構成する凸形状部14(被係合部)(
図4参照)が用紙幅方向に沿って2つ設けられている。この凸形状部14は、壁部11aに軸支される軸部(図示せず)の回転軸14d(第2回転軸)を中心として回動可能に形成されている。また、凸形状部14は、図示しない規制部によって、
図4に示した状態(突出位置)と
図7に示した状態(ガイド位置)との範囲内で回動が規制されている。なお、回転軸14dおよび後述する回転軸21cは、互いに平行で、
図4の紙面に垂直な方向(給紙カセット10の出し入れ方向と交差する方向)に延びている。
【0025】
凸形状部14は、上方向に向かって凸形状に形成されている。そして、凸形状部14は、給紙カセット10の挿入方向に対し下流側(
図4の右側)に配置される第1傾斜面14aと、給紙カセット10の挿入方向に対し上流側(
図4の左側)に配置される第2傾斜面14bと、を有する。なお、第2傾斜面14bは、本発明の「傾斜面」の一例である。
【0026】
給紙カセット10が装置本体1に装着される際には、後述するロック片21のコロ21bが凸形状部14の第1傾斜面14aに当接し、第1傾斜面14aを頂部14cに向けて移動する。これにより、凸形状部14には反時計回り方向のモーメントが作用し、規制部によって凸形状部14は
図5に示した状態(姿勢)になる。そして、ロック片21は上方へ変位する。一方、給紙カセット10が装置本体1から引き出される際には、ロック片21と第2傾斜面14bとが当接し、凸形状部14は、回転軸14dを中心として時計回り方向(第3方向)に回動し、
図6および
図7に示した状態になる。それと共に、ロック片21は回転軸21c(第1回転軸)を中心として時計回り方向に回動し、上方へ変位する。なお、給紙カセット10が装置本体1に装着された状態では、凸形状部14は
図4に示した状態(突出位置)になっている。凸形状部14は、ねじりばね等の第2付勢部材(図示せず)により反時計回り方向に付勢されており、
図4および
図5の位置で規制部(図示せず)により反時計回り方向への回動が規制されている。凸形状部14を反時計回り方向に付勢することによって、給紙カセット10の抜け防止とすることができる。
【0027】
図4および
図5に示すように、給紙カセット10が装置本体1に装着された状態、および、給紙カセット10が装置本体1に装着される際には、第2傾斜面14bの水平方向(給紙カセット10の出し入れ方向)に対する傾斜角度は、第1傾斜面14aの水平方向に対する傾斜角度よりも大きい。また、給紙カセット10が装置本体1から引き出される際に凸形状部14がガイド位置に回動した状態(
図7の状態)の第2傾斜面14bの水平方向(給紙カセット10の出し入れ方向)に対する傾斜角度は、給紙カセット10が装置本体1に装着された状態(
図4の状態)の第1傾斜面14aの水平方向に対する傾斜角度よりも小さい。
【0028】
また、給紙カセット10が装置本体1から引き出される際に凸形状部14がガイド位置に回動した状態(
図7の状態)において、第2傾斜面14bの水平方向に対する傾斜角度は、第1傾斜面14aの水平方向に対する傾斜角度よりも小さい。これにより、給紙カセット10が装置本体1から引き出される際の、第1傾斜面14aの傾斜角度をきつく(大きく)することができる。このため、ロック片21が凸形状部14の頂部14cを乗り越えて第1傾斜面14aに沿って移動する際に、ロック片21には下向きの力が大きく作用するので、給紙カセット10の引き出し操作をアシストすることができる。
【0029】
ロック機構20は、凸形状部14の他、回転軸21cを中心として回動するロック片(係合部)21と、ロック片21を軸支する板金製の支持部材22と、を含んでいる。支持部材22は、上面視でコの字状になるように折り曲げられた一対の支持側面を有し、一対の支持側面により後述する軸部23が回動可能に支持されている。支持部材22は、ねじ等の固定部材(図示せず)を用いて装置本体1側に固定されている。
【0030】
ロック片21は、後述する軸部23に設けられたねじりばね等の第1付勢部材23aにより反時計回り方向(第1方向)に付勢されている。ロック片21は、上下方向(第1方向に沿った方向)に変位して、凸形状部14に係合する。
【0031】
ロック片21は、支持部材22に設けられた軸受に支持された軸部23を中心として回動可能に構成されている。ロック片21は、板金製のアーム部21aと、アーム部21aの先端に回転可能に設けられ凸形状部14に当接するコロ21bと、を含んでいる。コロ21bは凸形状部14に回転しながら接触するので、ロック片21が凸形状部14を乗り越える際の負荷を低減することができる。
【0032】
次に、給紙カセット10が装置本体1に装着される際、および給紙カセット10が装置本体1から引き出される際における凸形状部14およびロック片21の動作について説明する。
【0033】
給紙カセット10がA方向に移動され装置本体1に装着される場合、凸形状部14は
図5の状態になっており、ロック片21が凸形状部14の第1傾斜面14aに当接する。そして、ロック片21は第1傾斜面14aにより上方へ変位され、第1傾斜面14aを乗り越える。このとき、凸形状部14は
図5に示した規制位置に固定され、凸形状部14の頂部14cは高い位置に配置される。これにより、給紙カセット10を引き出す際の負荷が大きくなる。このため、
図4に示すように、給紙カセット10の引き出し方向(B方向)への移動がロックされる。
【0034】
その一方、給紙カセット10が装置本体1から引き出される場合、凸形状部14の第2傾斜面14bがロック片21により
図4の右側に押圧されることによって、凸形状部14が時計回り方向(第3方向)に回動して
図7の状態になる。そして、ロック片21が凸形状部14の第2傾斜面14bにより上方へ変位され、第2傾斜面14bを乗り越える。これにより、ロック機構20によるロックが解除され、給紙カセット10が装置本体1から引き出される。
【0035】
なお、
図7に示したように凸形状部14が時計回り方向に回動したとき(給紙カセット10が装置本体1から引き出される際にロック片21が第2傾斜面14bに接しているとき)の、第2傾斜面14bの水平方向に対する傾斜角度は、
図5に示したように給紙カセット10が装置本体1に装着される際にロック片21が第1傾斜面14aに接しているときの、第1傾斜面14aの水平方向に対する傾斜角度よりも小さくなるので、ロック片21が凸形状部14を乗り越える際の上方向(第2方向)への変位量が少なくなる。すなわち、給紙カセット10が装置本体1から引き出される際のロック片21の上方向への変位量は、給紙カセット10が装置本体1に装着される際のロック片21の上方向への変位量よりも少ない。
【0036】
本実施形態では、上記のように、装置本体1側に設けられるロック片21は、下方向に付勢されるとともに、上下方向に変位して凸形状部14に係合し、凸形状部14は、回動可能に給紙カセット10に設けられ、給紙カセット10が装置本体1から引き出される際に、ロック片21の上方向への変位量が少なくなるように、凸形状部14が回動する。これにより、給紙カセット10を装置本体1から引き出す場合、凸形状部14が回動することにより、ロック片21の上方向への変位量を少なくすることができる。すなわち、付勢力に抗してロック片21を変位させる変位量を少なくすることができる。このため、使用者の負担を低減することができるので、給紙カセット10の引き出し操作性を向上させることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、給紙カセット10を装置本体1に装着する際の使用者の負荷を低減することはできないが、給紙カセット10の装着時には使用者は負荷を感じにくいので問題にならない。すなわち、装着時には給紙カセット10を挿入方向に移動させているので、給紙カセット10がある程度加速された状態で凸形状部14とロック片21とが衝突する。このため、使用者の負荷が増大することなく、ロック片21が凸形状部14を乗り越え、給紙カセット10が装置本体1に装着される。その一方、給紙カセット10の引き出し時には、引き出し開始直後に(給紙カセット10が加速されていない状態で)ロック片21が凸形状部14を乗り越える必要があるので、使用者の負荷が増大し、問題となる。本発明は、給紙カセット10の引き出し時の使用者の負荷の低減を可能としたものである。
【0038】
また、給紙カセットの取手部にロック機構を解除するための解除レバーを設ける場合と異なり、給紙カセットを装置本体から引き出す際に解除レバーを握ってロック機構を解除する必要もないので、給紙カセット10の引き出し操作性を向上させることができる。
【0039】
また、上記のように、給紙カセット10が装置本体1から引き出される際のロック片21の上方向への変位量は、給紙カセット10が装置本体1に装着される際のロック片21の上方向への変位量よりも少ない。これにより、給紙カセット10を装置本体1から引き出す際の使用者の負担を、給紙カセット10を装置本体1に装着する際の使用者の負担よりも容易に低減することができる。
【0040】
また、上記のように、給紙カセット10が装置本体1から引き出される際に凸形状部14がガイド位置に回動した状態(
図7の状態)の第2傾斜面14bの水平方向(給紙カセット10の出し入れ方向)に対する傾斜角度は、給紙カセット10が装置本体1に装着された状態(
図4の状態)の第1傾斜面14aの水平方向に対する傾斜角度よりも小さい。これにより、給紙カセット10を装置本体1から引き出す際の使用者の負担を、容易に低減することができる。
【0041】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0042】
例えば、上記実施形態では、1つの給紙カセットに対してロック機構を2つ設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、1つの給紙カセットに対してロック機構を1つまたは3つ以上設けてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、給紙カセット10の引き出し時に、凸形状部14が第3方向(時計回り方向)に回動して使用者の負荷を低減する例について示したが、本発明はこれに限らず、給紙カセット10の装着時にも、使用者の負荷を低減するように構成してもよい。すなわち、給紙カセット10が装置本体1に装着される際に、凸形状部14が、ロック片21の押圧力により、
図4の状態から第3方向とは反対の第4方向(反時計回り方向)へ回動するように構成してもよい。このように構成すれば、給紙カセット10の装着時の使用者の負荷も低減することができる。なお、この場合、給紙カセット10の装着が完了した際に、凸形状部14が
図4の位置(突出位置)に自動的に戻るように構成してもよい。