(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記口閉じ紐の一次結びにおける回転チャック(2,3)の離反方向への移動を、前記片側の回転チャック(2)をわずかに逆転させてその片側の回転チャックのスリーブ(5)の外周に対する巻きつけを緩め、さらに、前記他側の補助チャック(14)が前記左右の口閉じ紐(I,II)の絡み部を上から押えつけた状況下で行う請求項1又は請求項2に記載の口閉じ紐の紐結び方法。
前記左右の回転チャック(2,3)の前記スリーブ(5)の先端面に前記把持爪(6)が嵌る径方向溝(5a)が設けられた請求項4又は請求項5に記載の包装袋の口閉じ紐の紐結び機。
上部を数回巻くように折り込んで口を閉じた包装袋の幅方向両端を除く領域を上から押える押え具(15)と、真上に引っ張られた左右の口閉じ紐(I,II)の先端を前記左右の回転チャック(2,3)による掴みがなされるまで個別に掴む左右の上チャック(16,17)を具備し、前記押え具(15)による袋の押えつけを行った状態で紐結びの動作が実行されるように構成された請求項4〜請求項6のいずれかに記載の包装袋の口閉じ紐の紐結び機。
前記左右の回転チャック(2,3)がそれぞれに備える前記昇降機構(8)と、2軸方向の移動機構(9,10)と、自己の軸心を回転中心にした回転駆動機構(11)が、サーボモータを動力源とする位置制御の可能な機構であり、さらに、前記左右の補助チャック(13,14)の各々が、昇降機構(18)と、水平面内で直角2軸方向に移動する移動機構(19)と、傾き調整機構(20)と押し引き機構(21)を有し、その補助チャックの前記昇降機構(18)、2軸方向の移動機構(19)、傾き調整機構(20)及び押し引き機構(21)もサーボモータを動力源とする位置制御の可能な機構となっている請求項4〜請求項7のいずれかに記載の包装袋の口閉じ紐の紐結び機。
【背景技術】
【0002】
市販の包装袋のひとつに、開口両側部に口閉じ紐を有する紙製の米袋がある。その紙製の米袋は、被包装体が収納された領域よりも袋の上側部分(袋口)を上から下に向けて巻くようにして数回折り込み、この後、両側部の口閉じ紐を本結びや蝶結びの形態に結び合わせる。
【0003】
その紐結び作業を自動化した機械が、例えば、下記特許文献1に開示されている。同文献に記載された袋体の紐結び機は、袋口の折り込みを終えたら、袋押え板で袋体の上部を上から押え、この状態で袋体の上端両側の耳部を上に向かって立上げ、さらに、開口両側部の口閉じ紐もクランプで個別に掴んで立ち上げる。
【0004】
その後、立ち上がった口閉じ紐の端部を紐捻りクランプで掴み替え、2個の紐捻りクランプの位置を入れ替えることで掴んでいる両側の口閉じ紐を交差させる。次いで、2個の紐捻りクランプを相反する向きに回転させて交差している両側の口閉じ紐を捻り、捻った口閉じ紐の端部を両紐の絡み状態が保持される位置において紐引き出しクランプで掴み替える。
【0005】
その後、紐引き出しクランプを相反する向きに揺動させて両側の口閉じ紐を引っ張り、一次結び目を形成する。
【0006】
次に、紐止めクランプで両側の口閉じ紐の一次結び目よりも先端側を掴み、さらに、その紐止めクランプによる把持点よりも口閉じ紐の先端側を紐巻掛けクランプで掴み、その紐巻掛けクランプが掴んでいる紐を紐引きクランプの外側に巻掛けて輪を作り、両側の口閉じ紐を輪にくぐらせて交差させた状態で紐引きクランプにより両クランプの離反方向に引っ張ることで二次結びを行うように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前掲の特許文献1に開示された紐結び機は、構成部品が極めて多く、動作も複雑なものになっている。口閉じ紐のある紙製米袋は、少量の米、例えば、3Kgや5kgと言った量の米を収納する小さなものも提供されている。
【0009】
このような小さな袋の口閉じ紐を結ぶ機械は、小型で動作の単純化されたものが望まれるが、特許文献1が開示しているような構造ではその要求に応え難い。
【0010】
このために、収納量の少ない小さな紙製米袋の口閉じ紐の紐結びは、手作業に頼っているのが現状である。その手作業は効率が悪くて作業者の負担も大きい。
【0011】
この発明の課題は、動作を単純化して小さな袋の口閉じ紐の紐結びにも対応できるようにした紐結び方法と、その方法を実施する簡素化、小型化を図った紐結び機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、この発明においては、下記の紐結び方法と紐結び機を提供する。
【0013】
この発明の紐結び方法は、蝶結びする方法や本結びする方法などである。蝶結びと本結びの方法は、包装袋の口の幅方向一側部と幅方向他側部から延びだす左右の口閉じ紐I,IIを結び合わせる口閉じ紐の紐結び方法であって、一次結びの後に二次結びを行う点が共通する。
【0014】
両方法の一次結びの手順は全く同じである。両方法とも、各々がガイドロッドと、そのガイドロッドの外周に軸方向スライド自在に嵌めたスリーブと、前記ガイドロッドの先端に固定された把持爪を有し、各々が前記ガイドロッドを回転可能に支持するテーブルと、そのテーブルの高さ位置を変化させる昇降機構と、前記テーブルを水平面内で直角2軸方向に移動させる移動機構と、前記ガイドロッドとスリーブを、軸心を中心にして正逆方向に回転させる回転駆動機構を有する対向配置された左右の回転チャックと、その左右の回転チャックの各々に付随させた左右の補助チャックを備える紐結び機を使用する。
【0015】
一方の口閉じ紐Iの端部近傍を紐結び機の片側の回転チャックの把持爪で、他方の口閉じ紐IIの先端近傍を他側の回転チャックの把持爪でそれぞれ掴み、この状態で前記片側の回転チャックを回転させて一方の口閉じ紐Iを当該回転チャックのスリーブの外周に2回巻きつけ、次に、その一方の口閉じ紐Iの先端を前記片側の回転チャックに付随した片側の補助チャックで掴む。
【0016】
次いで、前記片側の回転チャックの把持爪が一方の口閉じ紐Iを離して他方の口閉じ紐IIの先端側を掴み、前記他側の回転チャックの把持爪が前記片側の補助チャックに代わって一方の口閉じ紐Iの先端側を掴み、その後、好ましくは、前記片側の回転チャックをわずかに逆転させてその片側の回転チャックのスリーブの外周に対する巻きつけを緩めた状況下で前記左右の回転チャックを互いに離反する方向に移動させ、好ましくは前記他側の補助チャックが前記左右の口閉じ紐I,IIの絡み部を上から押え、この状況下で前記左右の回転チャックの離反動作を続行して口閉じ紐の一次結びを完了する。
【0017】
その後、二次結びを行う。その二次結びの手順が少し異なる。蝶結びは、一方の口閉じ紐Iの長手中間付近を片側の回転チャックの把持爪が、他方の口閉じ紐IIの長手中間付近を前記他側の補助チャックがそれぞれ掴む。
【0018】
次いで、前記片側の回転チャックが、自身が掴んでいる一方の口閉じ紐Iを前記他側の回転チャックのスリーブの外周にほぼ1周巻きつける。また、前記片側の補助チャックが、自身が掴んでいる他方の口閉じ紐IIを前記他側の回転チャックのスリーブの外周に巻きつけられた一方の口閉じ紐I上に交差させて重ねて前記他側の回転チャックに受け渡す。しかる後、前記左右の回転チャックが互いに離反する方向に動いて左右の口閉じ紐を蝶結びの状態に二次結びする。
【0019】
これに対し、本結びは、一次結び完了後に前記片側の補助チャックが前記片側の回転チャックに代わって他方の口閉じ紐IIを掴む。そしてさらに、前記他側の回転チャックが回転して自己が掴んでいる一方の口閉じ紐Iを自己のスリーブの外周に1周巻きつけた後に前記片側の回転チャックに渡す。
【0020】
また、前記片側の回転チャックの把持爪が一方の口閉じ紐Iの端部近くを掴んだら前記片側の補助チャックが、自身が掴んでいる他方の口閉じ紐IIの端部近くを前記他側の回転チャックに受け渡す。しかる後、左右の回転チャックが互いに離反する方向に動いて口閉じ紐を本結びの状態に二次結びする。
【0021】
この発明は、かかる方法を実施するための紐結び機も併せて提供する。その紐結び機は、各々がガイドロッドと、そのガイドロッドの外周に軸方向スライド自在に嵌めたスリーブと、前記ガイドロッドの先端に固定された鉤状に屈曲した把持爪を有する。
【0022】
また、各々が前記ガイドロッドを回転可能に支持するテーブルと、そのテーブルの高さ位置を変化させる昇降機構と、前記テーブルを水平面内で直角2軸方向に移動させる移動機構と、前記ガイドロッドとスリーブを、軸心を中心にして正逆方向に回転させる回転駆動機構を有する対向配置された左右の回転チャックと、その左右の回転チャックの各々に付随させた左右の補助チャックを備える。
【0023】
この紐結び機は、前記回転チャックが、前記把持爪と前記スリーブの軸方向相対移動により前記把持爪と前記スリーブの先端面との間に口閉じ紐を挟んで掴むように構成されており、所定の手順に従って袋の口の両端の口閉じ紐I,IIの一次結びと二次結びを実施する。
【0024】
二次結びは、前述の蝶結びと本結びのどちらかになる可能性が高いが、その2つの方法に制限されるものではない。
【0025】
左右の回転チャックは、前記スリーブの先端面に前記把持爪が嵌る径方向溝が設けられたものが、紐の掴みが安定して好ましい。
【0026】
また、この発明の紐結び機は、上部を数回巻くように折り込んで口を閉じた被包装物収納済み包装袋の幅方向両端を除く領域を上から押える押え具と、真上に引っ張られた左右の口閉じ紐I,IIの先端を前記左右の回転チャックによる掴みがなされるまで個別に掴む左右の上チャックを具備し、前記押え具による袋の押えつけを行った状態で紐結びの動作が実行されるように構成されたものが好ましい。
【0027】
また、左右の回転チャックがそれぞれに備える前記昇降機構と、水平面内での直角2軸方向への移動機構と、自己の軸心を回転中心にした回転駆動機構は、サーボモータを動力源とする位置制御の可能な機構が好ましい。
【0028】
前記左右の補助チャックの各々も、昇降機構と、水平面内で直角2軸方向に移動する移動機構と、傾き調整機構を有するものにし、その補助チャックの前記昇降機構、移動機構及び傾き調整機構もサーボモータを動力源とする位置制御の可能な機構となすのが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
この発明の紐結び方法と紐結び機は、一方の口閉じ紐Iの端部近傍を掴んだ片側の回転チャックが回転して自己のチャックのスリーブの外周に前記一方の口閉じ紐Iを2回巻きつけ、その後、前記片側の回転チャックが前記一方の口閉じ紐Iの先端を自己のチャックに付随した補助チャックに渡して他方の口閉じ紐IIの先端側を掴む。
【0030】
また、他側の回転チャックは片側の回転チャックに付随した補助チャックに代わって前記一方の口閉じ紐Iの先端側を掴み、その後、左右の回転チャックが互いに離反する方向に動いて口閉じ紐の一次結びを完了する。
【0031】
この動作による一次結びは、片方の口閉じ紐を輪にしてその輪に他方の口閉じ紐を2回くぐらせた状況になる。このために、二次結びの過程における一次結びした箇所の緩みが起こり難い。紙製包装袋の口閉じ紐は摩擦係数が高く滑り難い紙製の紐であるため、ほとんど緩むことがない。
【0032】
一次結びの終段の作業(左右の回転チャックの離反方向移動による両側の口閉じ紐I,IIの引っ張り)を他側の回転チャックに付随した補助チャックが両側の口閉じ紐I,IIの絡み部を上から押えた状況下で行うので(口閉じ紐が互いに擦り合って滑ると絡み部が上下に振れる)、品質の安定した一次結び目が形成される。
【0033】
また、この後、左右の回転チャックが両側の口閉じ紐I,IIを交差するように持ち替えて二次結びを行うので、基本的には、左右の回転チャックと2つの補助チャックを備える簡素な機械で所望の紐結びを行うことができる。
【0034】
その紐結び機の左右の回転チャックは、昇降と水平面内での直角2軸方向移動と自己の軸心を回転中心にした正逆回転の機能を有していればよい。
【0035】
両回転チャックが進退する軸方向の移動ストロークは口閉じ紐を引っ張る必要上若干長くなるが、軸直角方向への水平移動量は小さくてよい。
【0036】
また、両回転チャックのスリーブは直径が数cmの小さなものでよく、そのスリーブの先端に設ける把持爪もスリーブの中心に軸方向相対スライド可能に通したガイドロッドの先端に把持爪を径方向外向きに突出させて取付けた単純形状の小さなものでよい。
【0037】
2つの補助チャックも大きなストロークや複雑な動きは必要とせず、これにより、紐結び機の簡素化や小型化も図れ、小さな袋の口閉じ紐の紐結びも制限を受けずに実行可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】この発明の紐結び機の一例の全体構成を示す正面図である。
【
図2】
図1の紐結び機を
図1のII−II線の位置から見た平面図である。
【
図4】
図1の紐結び機に設けた回転チャックの正面図である。
【
図5】同上の回転チャックの主な構成要素を示す斜視図である。
【
図6】
図1の紐結び機に設けた右側補助チャックの側面図である。
【
図7】
図1の紐結び機に設けた左側補助チャックの側面図である。
【
図8】紐結び動作の初期状態(回転チャックが包装袋の口閉じ紐を掴む直前の状態)を示す斜視図である。
【
図9】右側回転チャックが掴んだ口閉じ紐をスリーブの外周に2回巻きつけた状態を示す斜視図である。
【
図10】右側回転チャックがスリーブ外周に巻き付けた口閉じ紐を右側補助チャックに受け渡した状態を示す斜視図である。
【
図11】左側回転チャックが右側補助チャックから、右側回転チャックが左側回転チャックからそれぞれ口閉じ紐を受け取った状態を示す斜視図である。
【
図12】左右の回転チャックが持ち替えた口閉じ紐を掴んで後退して一次結びを完了した状態を示す斜視図である。
【
図13】左側回転チャックが掴んでいる口閉じ紐の長手中間付近を右側回転チャックが掴み替える直前の状態を示す斜視図である。
【
図14】左側回転チャックが掴んでいる口閉じ紐の長手中間付近を右側回転チャックが掴み替えた状態を示す斜視図である。
【
図15】右側回転チャックが左側回転チャックの周囲に沿って移動して自身が掴んでいる口閉じ紐を左側回転チャックのスリーブ外周に半周程度巻きつけた状態を示す斜視図である。
【
図16】右側補助チャックが、自身が掴んでいる口閉じ紐を左側回転チャックのスリーブ外周に巻きつけられた口閉じ紐上に交差させて重ねて左側回転チャックの把持爪に受け渡した状態を示す斜視図である。
【
図17】左右の回転チャックが互いに離反する方向に動いて口閉じ紐を蝶結びの状態に二次結びした状態を示す斜視図である。
【
図18】一次結び完了後に右側補助チャックが右側回転チャックに代わって口閉じ紐を掴み、さらに、左側回転チャックが軸心を支点にして回転して自身が掴んでいる口閉じ紐を自己のスリーブ外周に1周弱巻きつけた状態を示す斜視図である。
【
図19】左側回転チャックが、自身が掴んでいる口閉じ紐を右側回転チャックに渡し、右側補助チャックが、自身が掴んでいる口閉じ紐の端部近くを左側回転チャックに受け渡した状態を示す斜視図である。
【
図20】左右の回転チャックが互いに離反する方向に動いて口閉じ紐を本結びの状態に二次結びした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、この発明の包装袋の口閉じ紐に関する紐結び方法と紐結び機の実施の形態を、添付図面の
図1〜
図20に基づいて説明する。
【0040】
例示の紐結び機1は、前処理を終えて送り込まれてくる紙製の米袋(包装袋)A、即ち、米を収納し、収納領域よりも袋の上側部分を上から下に向けて巻くようにして数回折り込み、さらに、袋の上端両側の耳部を上に向かって立上げ、なおかつ、米袋の開口両側部の口閉じ紐の先端側を掴んで上向きに立ち上げるまでの作業を別工程で事前に実施して送り込まれてくる米袋Aを受け取り、その米袋Aを定位置に保持して口閉じ紐を結ぶものである。
【0041】
紙製米袋の口閉じ紐は、紙を撚り合わせた細い紐を数本並列に並べて接着一体化したものが用いられている。
【0042】
この紐結び機1は、
図1及び
図2に示すように、対向配置された左右の回転チャック2,3と、その左右の回転チャックの各々に付随させた左右の補助チャック13,14(
図2参照)を有する。
【0043】
また、上側を折り込んで口を閉じた被包装物収納済み包装袋Aの幅方向両端を除く領域を上から押えつける押え具15と、真上に引っ張られた左右の口閉じ紐I,II(
図1参照)の先端を左右の回転チャック2,3による掴みがなされるまで個別に掴む左右の上チャック16,17(
図1にのみ表示)を有する。
【0044】
なお、ここで言う左右は、補助チャック13,14をそれらのチャックの前側から(
図2の矢視B方向)見た状態を前提にしたものである。
【0045】
回転チャック2は、
図3,
図4に示すように、各々がガイドロッド4(このガイドロッドの長さ方向を軸方向と考える)と、そのガイドロッドの外周に嵌めたスリーブ5と、ガイドロッド4の先端に固定された把持爪6を有する。
【0046】
また、各々がガイドロッド4を回転可能に支持するテーブル7(
図1、
図3、
図4参照)と、そのテーブル7の高さ位置を変化させる昇降機構8(
図1、
図4参照)と、テーブル7を水平面内で直角2軸方向(軸方向と軸直角方向)に移動させる2つの移動機構9,10(
図3、
図4参照)と、ガイドロッド4を、軸心を中心にして回転させる回転駆動機構11(
図2〜
図4参照)を有する。テーブル7によるガイドロッド4の支持は軸受を用いてなされている。回転チャック3も、向きは異なるが、回転チャック2とほぼ同一構造である。
【0047】
テーブル7と移動機構9,10は、所謂XYテーブルを構成するものであって、移動機構10には、
図4に示すように、テーブル7を水平一軸方向(紙面に垂直な軸方向)に移動可能に支持する可動テーブル10aと、その可動テーブル10aを軸直角方向(
図4の矢視方向)スライド可能に支えるベースプレート10bが含まれている。昇降機構8(
図1参照)は、ベースプレート10bを昇降させてテーブル7の高さ位置を変化させる。
【0048】
スリーブ5は、ガイドロッド4の外周に軸方向相対スライド可能に嵌められており、そのスリーブ5を保持したガイドロッド4の先端に把持爪6が径方向外向きに突出して設けられている(
図5参照)。
【0049】
ガイドロッド4は、テーブル7上に設置されており、回転駆動機構11によって回転駆動される。そのガイドロッド4と一体になってスリーブ5も回転する。
【0050】
そのスリーブ5は、シリンダアクチュエータ12によって軸方向に押し引きされる。そのスリーブ5を前方に向けて押し動かすことで把持爪6との間に口閉じ紐を挟みつけるようになっている。回転チャック3のシリンダアクチュエータ12は、口閉じ紐の入り込みを規制するカバー3aに覆われている。
【0051】
スリーブ5の先端面には、
図5に示すように、把持爪6の片端が嵌る径方向溝(径方向に延びて内径部から外径部に至る溝)5aが設けられており、口閉じ紐は強い力で引っ張る必要があるときにはその径方向溝5aと把持爪6の片端との間に口閉じ紐が挟み込まれ、強い力で引っ張る必要がないときには、把持爪6の他方の端とスリーブ5の先端面との間に挟み込まれる。
【0052】
なお、図示の回転チャック2,3の各構成要素、即ち、昇降機構8と、移動機構9,10は、いずれもサーボモータを動力源とする電動シリンダ8a,9a、10cによって駆動され、スリーブ5と把持爪6による口閉じ紐の挟持点の位置の緻密な制御が行えるようになっている。
【0053】
回転駆動機構11もサーボモータ11aを動力源としたものであって、そのサーボモータの回転をベルト11bとプーリ11c、11d経由でガイドロッド4に伝えるようにしている。そのために、ガイドロッド4の回転姿勢も緻密な制御が行える。
【0054】
左右の補助チャック13,14は、一対の把持爪13a、14aを開閉して口閉じ紐を掴むものであって、この補助チャック13,14も、
図6、
図7に示した昇降機構18と、各々のチャックを水平面内で直角2軸方向に移動させる移動機構19を有している。また、補助チャック13,14は、把持爪13a、14aを
図1の矢印方向に回転させる傾き調整機構20と各々のチャックを進退させる押し引き機構21も有している。
【0055】
その補助チャックの昇降機構18、移動機構19及び傾き調整機構20、押し引き機構21も、サーボモータを動力源とする位置及び回転姿勢の緻密な制御が可能な機構となっている。昇降機構18と押し引き機構21の駆動源18a、21aは、電動シリンダ(移動機構19の駆動源も図示していない電動シリンダ)、傾き調整機構20の駆動源20aはロータリーアクチュエータである。
【0056】
傾き調整機構20は、補助チャック13,14を正面から見た状態で各補助チャックの右側部と左側部の高さ位置が変化する方向に傾斜させる。
【0057】
この傾き調整機構20は、補助チャック13,14を傾けることによって補助チャックの把持爪13a,14aによる挟み方向を口閉じ紐(米用包装袋の口閉じ紐は平べったい)の向きに合わせたり、把持爪13a,14aで掴んだ口閉じ紐の捩れを修正したりすることができる。
【0058】
また、補助チャック13,14を回転チャックとの干渉を防止して最短距離で移動させることもできるが、好ましい要素に過ぎない。
【0059】
なお、左側の補助チャック14は、口閉じ紐I,IIを掴む機能と、その口閉じ紐を先端側のスリットに受け入れて紐のスライドをガイドする機能を有している。また、その左側の補助チャック14は、一次結び実施時に口閉じ紐の絡み部を上から押えつける。そのときの口閉じ紐の損傷防止のために、外周が丸みを帯びた把持爪14aを使用している。
【0060】
押え具15は、リニアガイドなどで駆動して昇降させるものであって、指定された高さ位置まで降下し、被包装物収納済み包装袋の幅方向両端を除く領域を上から押えつける。
【0061】
上チャック16,17は、立ち上げた口閉じ紐I,IIの先端を一次的に掴んで定位置に仮保持するものである。口閉じ紐の長さ変動が考えられる場合には、この上チャック16,17に昇降機構を付属させる。また、包装袋の幅変動に対応する必要がある場合には、回転チャックの進退方向位置を変化させる機構も付属させる。
【0062】
以上の要素によって構成された例示の紐結び機1は、付属させた制御装置(図示せず)による制御内容を変更することで蝶結びや本結びを行うことが可能になっている。
【0063】
例示の紐結び機1は、被包装体の収納、口部の折り込み、袋の両側の耳部の立ち上げ及び左右の口閉じ紐の立ち上げを別工程で事前に実施して送り込まれてくる包装袋を受け取り、左右の口閉じ紐I,IIの先端を左右の上チャック16,17で掴む。また、左右の口閉じ紐I,IIの袋側の端部から少し離れた位置を左右の補助チャック13,14で個別に掴む。
【0064】
そしてさらに、押え具15で袋の幅方向両端を除く領域を上から押え、袋の幅方向両端から補助チャック13,14による掴み点までの間で口閉じ紐I,IIに弛みを付与し、上チャック16,17による掴み点と補助チャック13,14による掴み点との間で口閉じ紐I,IIに張力を付与し、この状態から紐結びを開始する。
【0065】
まず、蝶結びについて説明する。紐結び動作を開始すると、アンクランプ状態になっている左右の回転チャック2,3が上昇しながら把持爪6の径方向外端が補助チャック13,14の側を向く姿勢になるところまで回転し、
図8に示すように、立ち上げている左右の口閉じ紐I,IIを各回転チャックのスリーブ5と把持爪6との間に入り込ませる。
【0066】
そして、スリーブ5が前進して口閉じ紐I,IIの上チャック16,17に掴まれている先端近く(先端よりも少し下側)を把持爪6との間に挟みこむ。これに伴い、補助チャック13,14及び上チャック16,17による紐の把持が解かれ、補助チャック13,14は待機点に退避する。
【0067】
次に、回転チャック2,3が定位置まで下降する。このとき、右側の回転チャック2は回転して自己のスリーブ5の外周に自己が掴んでいる口閉じ紐Iを
図9に示すように2回巻きつける。
【0068】
その2回の巻きつけが完了したときに口閉じ紐Iの先端が補助チャック13の開かれている把持爪13aの間に入り込み、その部位(先端)が
図10に示すように補助チャック13に掴まれ、回転チャック2による口閉じ紐Iの把持が解かれる。
【0069】
口閉じ紐Iを離した回転チャック2の把持爪6は、この後、口閉じ紐IIの先端側を掴む。また、回転チャック3の把持爪6が補助チャック13に代わって口閉じ紐Iの先端側を掴む(
図11参照)。
【0070】
その後、好ましい動作として回転チャック2がわずかに逆転して自己のスリーブ5の外周に対する巻きつけを緩め、この状態で回転チャック2,3が互いに離反する方向に動く。
【0071】
このとき、補助チャック14は、
図12に鎖線で示すように、口閉じ紐I,IIの絡み部を上から押え、この押えにより絡み部の上下方向の振れが抑えられた状況下で回転チャック2,3の離反が進行して口閉じ紐の一次結びが完了する。
【0072】
次に、
図13に示すように、回転チャック3によってその回転チャック3が掴んでいる口閉じ紐Iを、また、補助チャック13が回転チャック2から受け取った口閉じ紐IIをそれぞれ上に引っ張るようにしてその口閉じ紐I,IIに張力を加え(これは作業ミスの防止に関して好ましい動作)、この状況下で
図14に示すように、口閉じ紐Iの長手中間付近を回転チャック2の把持爪6によって掴み、回転チャックに3による把持を解く。
【0073】
この状態で回転チャック2,3は、
図15に示すように、先端側がオーバーラップする位置に動き、回転チャック2が回転チャック3の周囲に沿って移動して自身が掴んでいる口閉じ紐Iを回転チャック3のスリーブ5の外周に半周以上巻きつける。
【0074】
また、この後、
図16に示すように、補助チャック13が、自身が掴んでいる口閉じ紐IIを回転チャック3のスリーブ5の外周に巻きつけられた口閉じ紐I上に交差させて重ねて回転チャック3の把持爪に受け渡す(回転チャック3の把持爪6で掴み替える)。
【0075】
しかる後、回転チャック2,3が互いに離反する方向に動いて口閉じ紐I,IIを蝶結びの状態に二次結びする。二次結びを完了して回転チャック2,3が口閉じ紐I,IIの掴みを解除した状態を
図17に示す。
【0076】
この後、回転チャック2,3は、把持爪6が口閉じ紐I,IIから外れる位置に動き、初期位置に復帰し、押え具15による押えが解かれる。
【0077】
次に、本結びの動作を説明する。一次結びの動作は、蝶結びを行うときと同じであるので、再説明を省く。
【0078】
その一次結びを完了したら、
図18に示すように、補助チャック13が回転チャック2に代わって口閉じ紐IIを掴む。また、回転チャック3は軸心を支点にして回転して自身が掴んでいる口閉じ紐Iを自己のスリーブ5の外周に半周以上巻きつける。
【0079】
その後、回転チャック3は口閉じ紐Iを回転チャック2に渡し、回転チャック2の把持爪6が
図19に示すようにその口閉じ紐Iの端部近くを掴んだら、補助チャック13が自身が掴んでいる口閉じ紐IIの端部近くを回転チャック3の把持爪に受け渡す。
【0080】
しかる後、
図20に示すように、回転チャック2,3が互いに離反する方向に動いて口閉じ紐I,IIを本結びの状態に二次結びする。
【0081】
二次結びが完了すると上記と同様に回転チャック2,3は、把持爪が口閉じ紐から外れる位置に動いて初期位置に復帰し、押え具15による押えつけが開放され、紐結びを完了した包装袋が補助チャック13,14のある側に送りだされる。これにより、結び終えた口閉じ紐による押え具15の戻り規制が解かれ、押え具15が初期位置に上昇して戻される。
【0082】
なお、口閉じ紐を結び終えた包装袋は、コンベヤなどによって紐結びの作業位置から取り出し部に搬出される。
【0083】
上記回転チャック2,3は、例えば、3Kg詰めの米袋用紐結び機の場合、直径が3cm程度のスリーブ5を用いて構成することができる。
【0084】
テーブル7の昇降ストロークと、回転チャック2,3が進退する軸方向の移動ストロークは、口閉じ紐の長さを考慮したものにする必要があるが、回転チャックや補助チャックはサイズが小さくて単純形状のものでよく、軸直角な方向への水平移動量も小さくてよい。
【0085】
また、補助チャック13,14も大きなストロークや複雑な動きは必要とせず、これにより、紐結び機の簡素化や小型化も図れ、小さな袋の口閉じ紐の紐結びも制限を受けずに実行可能となる。
【0086】
なお、この発明の紐結び機は、制御装置による制御動作を変化させることで、口閉じ紐の結び方を変えることができる。
【0087】
また、以上の説明は、包装袋の口閉じ紐を結ぶケースを例に挙げて行ったが、この発明の紐結び機は、口閉じ紐以外の紐を結ぶのにも利用することができる。