特許第5948315号(P5948315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948315
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】成長因子タンパク質の精製方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/18 20060101AFI20160623BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20160623BHJP
   C07K 1/34 20060101ALI20160623BHJP
   C07K 14/535 20060101ALN20160623BHJP
【FI】
   C07K1/18
   C07K1/22
   C07K1/34
   !C07K14/535
【請求項の数】17
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-501831(P2013-501831)
(86)(22)【出願日】2011年3月30日
(65)【公表番号】特表2013-523690(P2013-523690A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2011054920
(87)【国際公開番号】WO2011121031
(87)【国際公開日】20111006
【審査請求日】2014年3月7日
(31)【優先権主張番号】61/282,894
(32)【優先日】2010年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10158522.2
(32)【優先日】2010年3月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500376704
【氏名又は名称】オクタファルマ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】ギルジャム、 グスタフ
(72)【発明者】
【氏名】ワインゲ、 ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ティエメイヤー、 マヤ
【審査官】 森井 文緒
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/063069(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101260145(CN,A)
【文献】 Biotechnol. Prog.,2007年,23,pp.1138−1142
【文献】 J. Chromatogr. A, Jan-2010, vol.1217, issue 2, p.235-242
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−19/00
PubMed
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を精製する方法であって、一連の精製において、
少なくとも1つのクロマトグラフィーがマルチモーダル樹脂を用いて行われ、
前記マルチモーダル樹脂が負に荷電した2−(ベンゾイルアミノ)ブタン酸リガンドを含み、
アルギニンを0.1M〜2.0Mの範囲の濃度で含む溶出緩衝液を使用することで溶出が行われ、
前記G−CSFが4〜6.2の間のpHで前記マルチモーダル樹脂に結合し、および、
6.3より高いpHで前記G−CSFが溶出する、
ことを特徴とするクロマトグラフィーを用いる方法。
【請求項2】
前記クロマトグラフィーに酵母由来アフィニティーリガンドクロマトグラフィー工程を更に組み合わせる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酵母由来アフィニティーリガンドクロマトグラフィー工程において前記G−CSFに対する酵母由来Fab断片を使用する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マルチモーダル樹脂がマトリックスに結合する部分を含み、前記部分がイオン性相互作用、ならびに、水素結合および疎水性相互作用の少なくとも一つにより混合物中で前記G−CSFと相互作用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記G−CSFを含む混合物が溶液である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記G−CSFが組換えG−CSFである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
pH6.3より高いpHへのpH変化により前記G−CSFを溶出する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記G−CSFがpH4.0〜pH6.0で前記マルチモーダル樹脂に結合し、前記G−CSFがpH6.5以上で前記マルチモーダル樹脂より溶出される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記G−CSFがpH7.0で前記マルチモーダル樹脂より溶出される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記クロマトグラフィーで使用される緩衝物質が、pH4〜pH8の範囲で、クエン酸ナトリウム、ヒスチジン、2−(4−(2−ヒドロキシエチル)−l−ピペラジニル)−エタンスルホン酸(HEPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、トリス塩基、および、酢酸ナトリウムからなる群より選択される緩衝物質を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
使用される緩衝液のいずれかに非イオン性界面活性剤が存在し、前記非イオン性界面活性剤はポリソルベート類(ポリソルベート20、40、60、80)、および、プルロニックF68からなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記G−CSFの溶出前のpH4.0〜6.0の範囲での洗浄工程において、0.1M〜2M塩化ナトリウムを含む緩衝液が使用される、または、0.1M〜2Mアルギニン1塩酸塩が使用される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
夾雑物を洗い流し、前記G−CSFを保持するために、前記G−CSFが解離される前に洗浄緩衝液を前記マルチモーダル樹脂にアプライすることを特徴とし、前記洗浄緩衝液が塩基性側鎖を有するアミノ酸、および/または、ホフマイスターシリーズに従い選択される塩を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
次の工程:
陽イオン交換マルチモーダル樹脂を使用するクロマトグラフィーを行う工程、
エンベロープウィルス向けの化学作用に基づく不活化工程、
酵母で発現されたリガンドに基づくアフィニティー樹脂を使用するクロマトグラフィーを行う工程、
陽イオン交換体を使用するクロマトグラフィーを行う工程、
20nmの平均孔径を用いる病原体濾過除去工程、
1〜5kDaのカットオフの緩衝液交換、および/または、濃縮工程、
サイズ排除クロマトグラフィー樹脂を使用するクロマトグラフィーを行う工程、
を含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記マルチモーダルクロマトグラフィー工程が、アフィニティークロマトグラフィー工程と組み合わされ、前記アフィニティーは酵母で発現されるタンパク質に基づくリガンドによりもたらされ、前記アフィニティークロマトグラフィー樹脂から生じた産物の純度が90%より高いことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
サイズ排除クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および、固定化金属アフィニティークロマトグラフィーから選択される追加のクロマトグラフィーを行うことを特徴とし、最終産物の純度が99%よりも高いことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
化学作用に基づく不活化工程、サイズに基づく除去工程、クロマトグラフィー工程、または、これらの組合せを含む、除去される病原体に対する様々な生理的特性に基づく病原体除去/不活化工程を前記の一連の精製がさらに含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクロマトグラフィーを用いる成長因子タンパク質の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目的のタンパク質はしばしば微量に存在するのみであり、および、その他の生体高分子、例えば、脂質、タンパク質、または、細胞断片ですら付随するので、天然原料からのタンパク質の精製は挑戦である。さらに、目的のタンパク質は、たいてい、その精製の工程段階の間にしばしば失われる生物学的機能と関係する。
【0003】
タンパク質のような生体高分子の精製方法の蓄積は大きいものである。沈殿法の他にも、多様な物質に基づくクロマトグラフィー法が知られている。しばしば、その物質は有機性イオン、プロトン化アミンのような陽イオン、または、部分的に、もしくは、完全にアルキル化されたアミンのような化学的部分で修飾される。そのような物質は陰イオン交換体として用いられる。しかし、形状、分子量、および、特に電荷のような目的のタンパク質の物理的特性に応じて、精製方法に陽イオン交換体を用いることもできる。アフィニティークロマトグラフィーが代わりに、または、組み合わせて用いられる。
【0004】
タンパク質の樹脂への結合は比較的低塩濃度(電気伝導率、浸透圧など)の範囲で、典型的には0.01〜0.15Mの(塩化ナトリウムなどの)塩濃度の範囲で行われることができるのみであるということが従前のイオン交換クロマトグラフィー樹脂(例えば、SP−、CM−、Q−、または、DEAEセファロースFFイオン交換クロマトグラフィー樹脂)の一つの欠点であることが先行技術において知られている。ある用途では、そのタンパク質に対して比較的穏やかな精製条件でイオン交換クロマトグラフィー工程を用いられるようにする必要があるであろう。また、やや上昇したイオン強度で直接(さらに希釈することなく)クロマトグラフィー樹脂に用いることができるようにする必要もあるであろう。上昇したイオン強度はタンパク質溶液中で、特に、目的タンパク質に悪影響を与える可能性がある潜在的なプロテアーゼが溶液中に存在する、組換え技術で作製されたタンパク質産物の回収物、または、血漿由来産物のような粗タンパク質調製物中でタンパク質の安定性にとってかなり有利である可能性がある。プロテアーゼはしばしば(大半の細胞系の場合のように)生理的条件、すなわち、約7のpHと約0.15Mの塩濃度でよく働くからである。
【0005】
ワークアップ条件を変えれば、例えば、塩を加えれば、および/または、pHを変えればプロテアーゼは阻害され得るであろう。しかしながら、これらのパラメータは両方とも従来のイオンクロマトグラフィー工程にとって重要であり、したがって、それらを組み合わせて使用することはしばしば不可能である。プロテアーゼの作用を最小化する条件を用いることができる精製方法を提供する必要がある。
【0006】
国際公開第WO−A2−2008/073620号は、バキュロウィルス発現システムを用いて昆虫細胞で産生されるポリペプチドの製造方法を開示する。ある実施例において、感染の直前に(例えば、感染の1時間前に)昆虫細胞培養物に脂質混合物が添加される。精製工程の初期に陰イオン交換クロマトグラフィー、または、混合モードクロマトグラフィーを用いる方法で昆虫細胞培養物からポリペプチドが単離される。この工程段階は昆虫細胞由来エンドグリカナーゼ、および、プロテアーゼを除去するのに有用であり、したがって、酵素的分解による所望のポリペプチドの喪失を低減する。別の実施例では、昆虫細胞培養液の迅速な処理、および、前記ポリペプチドの捕捉を可能にするために、混合モードクロマトグラフィーは連続流動法で色素リガンドアフィニティークロマトグラフィーと組み合わされる。さらに別の実施例では、エンドグリカナーゼ活性、および、タンパク質分解性活性を本質的に持たないポリペプチド溶液を産出する単一ユニットオペレーション中に、中空繊維フィルター、混合モードクロマトグラフィー、および、色素リガンド親和性を組み合わせる方法を用いてポリペプチドが昆虫細胞培養液から単離される。さらなる実施例において、単離されたポリペプチドは、グリコシルトランスフェラーゼと修飾型ヌクレオチド糖を用いて高分子(例えば、PEG)のような修飾基に任意に結合された昆虫特異的グリコシル化パターンを有する糖ペプチドである。
【0007】
国際公開第WO−A2−2009/063069号は、限定的ではないが特に、ペプチド溶液からエンドトキシンを除去する方法、前記方法のための試薬を含むキット、および、前記方法で得られた精製ペプチドに関するペプチドの精製方法を開示する。
【0008】
ダサリ ベンカタ クリシュナ ラオ(Dasari Venkata Krishna Rao)らはrhG−CSF(組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子)の収量を改善するために開発された工程制御戦略を用いる精製方法を開示する。この研究で99%以上の純度と2.18g/lの全収率が達成された。精製中の産物の分析により、界面活性剤が核酸を除去することなく72%のLPS(リポポリサッカライド)と98%のHCP(宿主細胞タンパク質)を除去することが示された。システインの濃度はタンパク質の再折りたたみで重要なパラメータであった。SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)カラムのベッド高とHETP(理論段相当高さ)値が評価され、分離能に対するその影響が検討された。時間と処理費用を節約するとともに製品の収量を増加させるために、SEC中の処方が重要であることが明らかになった。
【0009】
クゥアン バイ(Quan Bai)らにより、大腸菌で発現された組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子(rhGM−CSF)の強陰イオン交換クロマトグラフィー(SAX)による再生と精製が研究されている。SAXによるrhGM−CSFの再生と精製に対する移動相中のpH値、GSHとGSSGの濃度の比率、および、尿素濃度の影響がそれぞれ研究された。上述の3つの要素がrhGM−CSFの再生の効率と大量回収に顕著な影響を与えることがその結果により示されている。移動相中へのGSHとGSSGの添加によってrhGM−CSFにおける正しいジスルフィド結合の形成を改善することができ、その結果、その再生収率が上昇する。さらに、SAXによるrhGM−CSFの大量回収を向上するために、低濃度の尿素を移動相に加えて変性したタンパク質の凝集を防いだ。至適条件のもと、rhGM−CSFはたった1工程により30分以内にSAXカラムで精製と同時に再生された。
【0010】
シェリー A.ピサロ(Shelly A.Pizarro)は血管新生と血管透過性をインビボで誘導する潜在的な有糸分裂促進因子である血管内皮成長因子(VEGF165)について報告している。そして、Shelly A.Pizarroは治療上の応用の可能性を創傷治癒促進に示してきた。この報告に記述される方法は、1リッターのブロス当たり約9gのrhVEGFを産生することができる細菌発現系、タンパク質の再折りたたみである下流精製方法、および、医薬物質の形成の前の3つのクロマトグラフィー工程を伴う。周辺質封入体中にrhVEGFを産生するために、高細胞密度(HCD)半回分発酵法を用いた。封入体が細胞溶解液から回収され、rhVEGFの精製のために1段階タンパク質可溶化再折りたたみ操作されてrhVEGFが抽出される。タンパク質の再折りたたみとクロマトグラフィーを含む精製の進行の間に見られた回収率の総計は30±6%であった。実験室規模生産とプロセスロバスト性を示す大規模生産の両方で、目標水準の下にまで宿主細胞の不純物は一貫して取り除かれる。再度折りたたまれ、精製されたrhVEGFの構造は、マススペクトロメトリー、N末端シークエンシングおよびトリプシン分解ペプチドマッピングにより確認され、変異型産物が多重HPLCアッセイにより分析された。
【0011】
キンバリー A.カレアス(Kimberly A.Kaleas)は、混合モードクロマトグラフィー樹脂は難しい原料に向いた精製手段として普及してきていることを開示し、そして、アルカリ性原料から組換えヒト血管内皮成長因子(rhVEGF)をカプトMMCに選択的に捕捉する工業用途の開発を開示する。カプトMMC樹脂はタンパク質とのイオン性相互作用、疎水性相互作用、および、水素結合相互作用に関与する潜在能力を持ち、および、高架橋アガロースベースのマトリックスに結合するリガンドを含む。VEGFは血管新生に関与する重要な成長因子であり、創傷治癒のための治療上の用途を有する。VEGFは封入体として大腸菌で発現される。細胞溶解液から固形物が回収され、尿素と酸化還元剤の存在下、pH9.8でrhVEGFが可溶化され、再び折りたたまれる。カプトMMCの独特の混合モード特性が最小ロード条件でこの塩基性タンパク質を捕捉することを可能にし、95%より高い収率で下流工程に濃縮された蓄積物を供給しつつ、宿主細胞タンパク質の含量を1.2%より下にまで低減させる。この研究はロード条件と滞留時間の動的結合能に対する影響、ならびに、最適な精製成績のための溶出条件の開発を調査する研究である。様々な溶出緩衝液を評価した後、L−アルギニン塩酸が樹脂とrhVEGFの間の多重相互作用を破壊するのに成功したので、L−アルギニン塩酸がカプトMMC混合モード樹脂からのrhVEGFの解離に効果的な溶出剤であることが示された。研究室レベルでの努力が、商業生産規模で成功裏に実施されるロバストなクロマトグラフィー工程を生み出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、先行技術の成長因子タンパク質の精製方法の欠点を、新規の方法を提供することによって回避することを1つの目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、以下の方法により目的が達成される。
−少なくとも1つのクロマトグラフィーがマルチモーダル樹脂を用いて実行され、
−成長因子タンパク質が4〜6.2の間のpHでマルチモーダル樹脂に結合する、および、
−成長因子タンパク質が6.3より高いpHでマルチモーダル樹脂から溶出している、
クロマトグラフィーを用いる一連の精製において、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)または顆粒球マクロファージCSF(GM−CSF)のようなコロニー刺激因子(CSF)、インターロイキン3(IL−3)、肝細胞増殖因子、上皮成長因子、および、線維芽細胞成長因子(酸)からなる群より選択される成長因子タンパク質を精製する方法。
【0014】
本発明は、有利にプロテアーゼの作用を最小にすることができる方法を提供する。目的タンパク質を分解することができるであろう潜在的なプロテアーゼを含む粗タンパク質試料に塩を加えること、および/または、pHを変えることを可能にし、さらに手段をとることなくそのタンパク質溶液を処理し、その目的タンパク質を混合モードクロマトグラフィー樹脂に結合させることを可能にし、そうして粗試料中の目的タンパク質の濃縮と精製に最適な工程を提供し、精製中のプロテアーゼ、および/または、DNA含量の低減によって、目的タンパク質に対する特異的なアフィニティークロマトグラフィー工程を用いるさらなる下流の精製に適したものとすること。これは、精製中の目的タンパク質の分解を避けるために特に重要であり、粗タンパク質溶液での捕捉工程としてのマルチモーダルクロマトグラフィーの組合せを作り出す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ある実施形態において、マルチモーダル樹脂に基づくクロマトグラフィーは、酵母由来アフィニティーリガンドクロマトグラフィー工程と組み合わされる。その酵母由来アフィニティーリガンドを用いるクロマトグラフィー工程は、高収率での目的タンパク質の精製と分子の完全性の維持(分解など)に特に適している。
【0016】
成長因子タンパク質は、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)のようなコロニー刺激因子(CSF)である。これは幹細胞からの造血細胞の増殖と分化に関与する造血制御性糖タンパク質のメンバーである。成長因子タンパク質は、顆粒球マクロファージCSF(GM−CSF)、インターロイキン3(IL−3)、肝細胞増殖因子、上皮成長因子、および、線維芽細胞成長因子(酸)である。成長因子タンパク質はすべて6以下のIPを示す。本発明のさらなる実施形態において、前記マルチモーダル樹脂はマトリックスに結合する部分を含み、その部分はイオン性相互作用、ならびに、水素結合、疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用のようなその他の種類の相互作用により、混合物中で前記成長因子タンパク質と相互作用することができる。
【0017】
本発明のさらなる実施形態において、前記アフィニティーリガンドは前記成長因子タンパク質に対する酵母に由来するFab断片である。
【0018】
本発明のさらなる実施形態においては、粗タンパク質溶液から前記成長因子タンパク質を捕捉するためにマルチモーダル樹脂工程が実行され、その後、得られたマルチモーダルクロマトグラフィー樹脂の溶出液を酵母由来アフィニティーリガンドクロマトグラフィー工程のために処理する。アフィニティークロマトグラフィー工程から成長因子タンパク質を溶出した後にタンパク質とDNAに関して90%を超える純度が得られる。
【0019】
本発明の別のさらなる実施形態において、マルチモーダル樹脂工程と酵母由来アフィニティーリガンドクロマトグラフィー工程は、その他のクロマトグラフィー精製工程と組み合わされ、最終成長因子タンパク質産物において99%より高い純度が得られる。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態において、成長因子タンパク質を含む混合物は溶液である。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態において、成長因子タンパク質は組換え成長因子タンパク質である。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態において、成長因子タンパク質は、産物を分解することができるプロテアーゼを潜在的に含む粗タンパク質溶液である。
【0023】
別の実施形態において、前記成長因子タンパク質はpH6.3より高いpHへの変化によって溶出する。
【0024】
本発明のさらなる実施形態においては、塩基性側鎖を有するアミノ酸、および/または、高イオン強度を含む溶出剤を用いて溶出が行われる。代わりに、または、組み合わせて、pHを変えることにより溶出を実行することもできる。pHの変化は溶出緩衝液のpHを、例えば、水酸化ナトリウム、または、酢酸で所望のpHに調節することにより行われ、その後、緩衝液をマルチモーダル樹脂にする。イオン強度の調整は、マルチモーダル樹脂にアプライする前に、塩、例えば、ホフマイスターシリーズに含まれる塩、例えば塩化ナトリウムと塩化カリウム、を溶出緩衝組成物に加えることにより行われ得る。
【0025】
本発明によれば、溶出剤の濃度は特に約0.1M〜約2Mまでの範囲である。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、成長因子タンパク質は約pH6.0でマルチモーダル樹脂に結合し、一方、成長因子タンパク質はpH6.5以上で、特に約pH7.0で前記マルチモーダル樹脂から溶出する。
【0027】
本発明のさらなる実施形態において、特に約pH4〜約pH8の範囲で、クエン酸ナトリウム、ヒスチジン、2−(4−(2−ヒドロキシエチル)−l−ピペラジニル)−エタンスルホン酸(HEPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、トリス塩基、および、酢酸ナトリウムからなる群より選択される物質のうちの少なくとも1つを好ましくは含む緩衝物質が用いられる。
【0028】
本発明の方法では、使用する緩衝液のいずれにも1つの非イオン性界面活性剤が存在することができ、非イオン性界面活性剤はポリソルベート類(ポリソルベート20、40、60、80)およびプルロニックF68からなる群より特に選択される。
【0029】
本発明の方法のさらなる実施形態において、アルギニン、リジン、および、ヒスチジンを含む塩基性側鎖を有するアミノ酸の群よりアミノ酸を選択することができる。有機塩は塩化カリウム、および、塩化ナトリウムからなる群より選択することができる。
【0030】
本発明の別の実施形態において、洗浄工程は、マルチモーダル樹脂から成長因子タンパク質を溶出する前に、約pH4〜約pH6の範囲のpHで行われ、洗浄緩衝液が塩基性側鎖を有するアミノ酸、および/または、高イオン強度を含む洗浄剤を含むことを特徴とする。イオン強度の調整は、マルチモーダル樹脂にアプライする前に洗浄緩衝液組成物に塩、例えば、ホフマイスターシリーズに含まれる塩、例えば塩化ナトリウムおよび塩化カリウム、を加えることで行うことができる。
【0031】
本発明によれば、洗浄剤の濃度は特に約0.1M〜約2Mまでの範囲である。
【0032】
成長因子タンパク質が解離される前に、夾雑物(プロテアーゼ、DNAなど)を洗い流し、成長因子タンパク質を保持するために、洗浄緩衝液をマルチモーダル樹脂にアプライすることは有利である可能性がある。
【0033】
特に、pH6〜8で正に荷電するアミノ酸が、2Mまでの濃度でpHが6.3より低い洗浄緩衝液中に存在する。アルギニンの量は洗浄緩衝液において0.1〜1.0Mの範囲、特に0.5Mであるのが典型的である。
【0034】
pHが6.3より高い溶出緩衝液において、アルギニンの量は0.1〜2Mの範囲、特に0.5Mであるのが典型的である。
【0035】
pHが6.3以上の溶出緩衝液において、塩化ナトリウムは0.1〜2.0Mの範囲、特に0.1〜1Mの範囲で含まれる。
【0036】
pHが6.3より低い洗浄緩衝液において、塩化ナトリウムは0.1〜2.0Mの範囲、特に0.1〜1Mの範囲で含まれる。
【0037】
非イオン性界面活性剤の量は0.001〜1%の範囲、特にマルチモーダルクロマトグラフィー用の緩衝液では0.02%であるのが典型的である。
【0038】
本発明に従って用いられ得る前記マルチモーダルクロマトグラフィー樹脂は次の成分の少なくとも1つ、または、これらの組合せを含むことができる。
a.正に荷電したN−ベンジル−N−メチルエタノールアミンリガンド、
b.負に荷電した2−(ベンゾイルアミノ)ブタン酸リガンド、
c.フェニルプロピルリガンド、
d.N−ヘキシルリガンド、
e.4−メルカプト−エチル−ピリジンリガンド、
f.3−((3−メチル−5−((テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−アミノ)−フェニル)−アミノ)−安息香酸リガンド、
【0039】
特に、本発明に従って用いるマルチモーダルクロマトグラフィー樹脂は次の市販の樹脂、HEPハイパーセル(商標)、PPAハイパーセル(商標)、カプトアドヒア(商標)、カプトMMC(商標)、MEPハイパーセル(商標)から選択される。
【0040】
本発明の別の実施形態においては、一連の精製は、化学作用に基づく不活化工程、サイズに基づく除去工程、クロマトグラフィー工程、または、これらの組合せを含む、除去される病原体に対する様々な生理的特性に基づく病原体除去/不活化工程をさらに含んでいてもよい。
【0041】
特定の実施形態においては、本発明の方法である一連の精製は次の工程をさらに含む:
1.カプトMMCのような陽イオン交換マルチモーダル樹脂、
2.エンベロープウィルス向けの化学作用に基づく不活化工程、特に欧州特許第EP−A−131 740号で開示されるトリ−n−ブチルリン酸とトライトンX−100を用いる溶媒/界面活性剤不活化工程、
3.酵母で発現されたリガンドに基づくアフィニティー樹脂、
4.SPセファロース、または、リソースSのような陽イオン交換体、
5.プラノバ20Nのような約20nmの平均孔径を用いる病原体濾過除去工程、
6.約1〜5kDaの分子量カットオフを有する限外濾過のような緩衝液交換、および/または、濃縮工程、
7.スーパーデックス75のようなサイズ排除クロマトグラフィー樹脂。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、酢酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0におけるカプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラムを示す。
図2図2は、酢酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0におけるカプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラムを示す。
図3図3は、酢酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0におけるカプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラムを示す。
図4図4は、酢酸ナトリウム緩衝液を用いた出発物質のpH4.0におけるカプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラムを示す。
図5図5は、クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0におけるカプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラムを示す。
図6図6は、クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH5.0におけるカプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラムを示す。
図7図7は、クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH5.5におけるカプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラムを示す。
図8図8は、クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH6.0におけるカプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラムを示す。
図9図9は、クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH6.5におけるカプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラムを示す。
図10図10aと図10bは銀染色されたSDS−PAGE、および、出発物質とカプトMMCからの溶出液中のタンパク質の分離を示す。
図11図11は、無細胞上清からのG−CSF精製のクロマトグラムを示す。
図12図12は、アフィニティークロマトグラフィー工程の後の溶出液を表すクマシー染色されたSDS−PAGEを示す。
図13図13は、出発物質、通過画分、および、アフィニティークロマトグラフィー工程の後の溶出液を表す銀染色されたSDS−PAGEを示す。
【0043】
本発明は、G−CSFの精製により例証された次の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0044】
分析方法の説明
G−CSF特異的ELISAによるG−CSF含量の測定
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)の原理は、あるタンパク質(抗原)に対する抗体の特異的な結合によるタンパク質の定量である。G−CSFデュオセットELISA(R&Dシステムズ社、カタログ番号DY214)に基づき、サンドウィッチELISAを用いてG−CSFの定量を行った。校正標準として大腸菌由来組換えヒトG−CSF(R&Dシステムズ社、カタログ番号214−CS−005、0.015〜1ng/ml)を適用した。捕捉抗体(マウス抗ヒトG−CSF)を96穴マイクロタイタープレートのウェルに結合した。G−CSF抗原の捕捉と洗浄工程の後、ビオチン化検出抗体(ヤギ抗ヒトG−CSF)がG−CSF抗原に結合された。二回目の洗浄工程の後、ビオチン化検出抗体に結合するストレプトアビジン結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(ストレプトアビジン−HRP)がアプライされた。定量のために過酸化水素の存在下でペルオキシダーゼの基質であるテトラメチルベンジジン(TMB)を加えられ、青色が発色する。硫酸で反応を止めた後、安定的な黄色色素が発色する。黄色色素の濃度は結合したペルオキシダーゼの量に比例し、したがって、G−CSF抗原の量に比例する。450nmの波長で、測光法で前記色素の濃度を測定する。0.99より大きい線形相関係数(r)を常に与える組換えヒトG−CSF検量線から、未知試料のG−CSF濃度を計算した。
【0045】
逆相(RP)HPLCによるG−CSF含有量の測定
RP−HPLCはタンパク質の極性に基づくそれらの分離に関係し、そのタンパク質分子の滞留は溶質分子の非極性部分とHPLCカラムの非極性固定相の間の疎水性相互作用によって左右される。紫外線検出器とジュピターC18、300A、5μm、4.6×150mmカラム(フェノメネックス(Phenomenex)社、カタログ番号00F−4053−EO)を装備したHPLCシステム(ダイオネクス社、アルティメット(Ultimate)3000)をタンパク質の測定に用いた。20±5℃で運転して、前記カラムを0.1%(体積/体積)トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液(移動相A)で平衡化した。溶出のために、1.0ml/分の流速による線形濃度勾配(0〜5分、5%B;5〜12分、55%B;12〜17分、100%B;17〜22分、5%B)で0.1%(v/v)TFAアセトニトリル溶液(移動相B)を用いた。全注入体積の最大100μLにおいて、試料のロードは1回の注入につき30μgとした。214nmでの紫外線吸収を測定して検出を行った。ヨーロッパ薬局方に基づく2.5〜40μg(2.5、5、10、20、40μg)のフィルグラスチムCRSを検量線に用いた。フィルグラスチムCRS標準品は0.4mg/mlの濃度にまで実験室用の水(WFL)に前希釈された。必要に応じて、試料のWFLでの前希釈は、30μgの注入量となるように行った。0.99より大きい線形相関係数(r)を常に与えるフィルグラスチムCRS検量線から未知試料のG−CSF含量を計算した。
【0046】
逆相(RP)HPLCによる純度の測定
RP−HPLCによる純度の測定に用いられる方法と機器はG−CSF含量の測定のための方法と同等である。全ピーク面積に対するG−CSFのピーク面積の割合を決めることでG−CSF含有溶液の純度[%]を計算した。
【0047】
SDS−PAGEによる純度の測定、および、分子量分布
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)は、タンパク質のサイズに基づく分離に関する。還元条件下でG−CSF含有試料の純度の測定と分子量分布の分析を行った。この目的のために、トリス‐トリシン濃度勾配ゲル(10〜20%、アナメド(Anamed)社より、カタログ番号TR12012)およびトリス塩酸濃度勾配ゲル(10〜20%、バイオラッド社より、カタログ番号345−0043)を使用した。トリス‐トリシン濃度勾配ゲルには、バイオラッド社のポリペプチドSDS−PAGE分子量標準品(カタログ番号161−0326、1.4〜26.6kDa)を分子量標準品としてアプライした。トリス塩酸濃度勾配ゲルには、バイオラッド社のプレシジョンプラスタンパク質オールブルー標準品(カタログ番号161−0373、10〜250kDa)をアプライした。電気泳動により分離したタンパク質のバンドは銀染色、または、クマシー染色で可視化される。大腸菌由来組換えヒトG−CSF(非グリコシル化、R&Dシステムズ社、カタログ番号214−CS−005)、CHO由来グリコシル化市販品グラノサイト(中外製薬)をG−CSF基準品(対照試料)として用いた。標準品、基準品(対照試料)、および、分析試料の出現を判断して質量と純度の評価が視覚的に行われる。
【0048】
組換えG−CSF
G−CSF含有細胞懸濁液の製造と精製
細胞
使用された細胞株はヒト胚性腎臓細胞293(HEK293)の無血清増殖に順化した派生株である。G−CSFのcDNAコード配列を持つ発現カセットでこの宿主、HEK293Fを安定的に形質移入した。そのカセットのために強力なプロモーターを用いた。一般的な方法はまた欧州特許第EP 1739179号(Schroderら)にも記載される。
【0049】
培養方法
前記細胞を無血清培地中で一般的な設備を用い、当該技術分野で周知の方法に従って培養した。例えば、T型フラスコ、振盪用フラスコ、および、バイオリアクター(使い捨てのシステム、および、従来の撹拌タンク)内での振盪培養、または、撹拌培養が、回分培養、半回分培養、灌流培養、または、連続ケモスタット培養として実行される(フレシュニー,RI(Freshney,RI)著(2000年)動物細胞の培養:基礎技術の手引き 第4版、ワイリー‐リス社;シュパイアー,RE(Spier,RE)編(2000年)、細胞工学百科事典、ワイリー社、ニューヨーク;エンフォース,S−O(Enfors,S−O)およびヘッグストレーム,L(Haggstrom,L)著(2000年)、バイオプロセス技術:原理と応用、大学出版会(Hogskoletryckeriet),王立工科大学,ストックホルム;ビンチ,VA(Vinci,VA)およびパレク,SR(Parekh,SR)(2003年),工業用細胞培養ハンドブック:哺乳類細胞、微生物細胞、および、植物細胞、ヒューマナプレス社、米国)。標準的な回分培養の水準を超えて細胞数と産物のタイターを増加させるために、培地の灌流を用いるのが典型的である。産物収量と宿主細胞タンパク質の量は培養モードに応じて異なる:
・産物のタイターは典型的には細胞数と共に増加するであろう。
・総タンパク質量とDNA量は典型的には細胞数と共に増加するであろう。
・総タンパク質量とDNA量はまた、培養物の持続時間と共に増加することができる。
・回分培養はタンパク質とDNAを蓄積する。何も外部から加えられないし、何も取り除かれない。
・灌流方法では代謝物、タンパク質、DNA、および、その他の不純物から細胞培養物が洗い落される。フィルターと細胞遠心分離機が細胞の保持のために典型的に使用された。
【0050】
組換え産物は細胞から放出され、および、細胞の懸濁液、または、細胞懸濁液の上清が回収される。回収物の特性(上述した産物のタイター、および、不純物)は使用した培養モードに応じて異なる。
【0051】
以下で説明するG−CSFの実施例のいくつかにおいては、前記細胞懸濁液が使用された。
【0052】
精製方法
組換え産物は細胞から放出され、細胞の懸濁液、または、細胞懸濁液の上清が回収される。4精製工程を含む精製が用いられた。細胞培養液の上清からG−CSFの捕捉工程のために陽イオン交換クロマトグラフィー(SPセファロースファーストフロー(FF))を用い、引き続いて、亜鉛ベースの固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)工程(Zn−IDAキレーティングセファロースファーストフロー(FF))、最終精製のための2回目の陽イオン交換クロマトグラフィー工程(リソースS)、および、最終工程としてサイズ排除クロマトグラフィー工程(スーパーデックス75)が用いられた。
【0053】
G−CSF含有細胞培養物上清の調製
捕捉工程の前に、全G−CSF量[mg]を確認するために、数回分の上清のG−CSF濃度[mg/L]をG−CSF特異的ELISAにより測定した。凍結された上清(−80°C)を20±5℃に調整した水浴中で融解した。その後、上清を4℃、9000×gで15分間遠心分離し、それから0.2μgフィルターユニットを用いてさらに濾過した。濾過された上清のpHは酢酸を用いてpH4.0に調整された。
【0054】
捕捉工程(SPセファロースFF)
10mlのSPセファロースFF材でXK16/20カラムを充填した(1カラム容積(CV)=10ml)。SPセファロースFF樹脂(カタログ番号17−0729−01)は、GEヘルスケアから入手した。
【0055】
3CVの平衡化緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0)で平衡化を行い、引き続いて、2.5ml/分の流速での出発物質のロードが行われた。5CVの同じ緩衝液を同じ流速で用いて次の洗浄工程を実行した。
【0056】
20mM酢酸ナトリウム、1M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0を含む溶出緩衝液を用い、2.5ml/分の流速で8CV以内の0%〜40%までの溶出緩衝液の線形濃度勾配を適用して溶出を行い、引き続いて、5CVの100%溶出緩衝液を用いる段階溶出が行われた。
【0057】
濃度勾配溶出から回収された溶出液のプールのG−CSF濃度をG−CSF特異的ELISAにより分析した。
【0058】
IMAC工程(Zn−IDAキレーティングセファロースFF)
XK16/20カラムを、2mlの0.2M塩化亜鉛により荷電された10mlのキレーティングセファロースFFで充填する(1カラム容積(CV)=10ml)。キレーティングセファロースFF樹脂(カタログ番号17−0575−01)は、GEヘルスケアから入手した。
【0059】
ロードの前に、IMACカラムロード試料(SPセファロースFF溶出液)のpHを水酸化ナトリウムでpH8.0に調整した。
【0060】
3CVの平衡化緩衝液(20mMトリス塩酸、150mM塩化ナトリウム、pH8.0)で平衡化を行い、引き続いて、2ml/分の流速でSPセファロースFF溶出液のロードが行われた。2CVの同じ緩衝液を同じ流速で用いて次の洗浄工程を実行した。
【0061】
pH4.0の20mMトリス塩酸、150mM塩化ナトリウムを含む溶出緩衝液を用い、1ml/分の流速で3CV以内の0%〜100%までの溶出緩衝液の線形濃度勾配を適用して溶出を行った。その後、4CVの100%溶出緩衝液によるグラジエント遅延が適用された。
【0062】
100%溶出緩衝液による溶出から回収された溶出液のプールのG−CSF濃度をG−CSF特異的ELISAにより分析した。
【0063】
最終精製工程(リソースS)
4ml/分の流速で5CVの平衡化緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、0.02%ツイーン−20、pH4.0)を用いてGEヘルスケアから入手した充填済みリソースSカラム(CV=6ml)(カタログ番号17−1180−01)カラムを平衡化する。精製前に前記IMAC溶出液を酢酸でpH4.0に調整し、平衡化緩衝液を用いて5倍に希釈する。
【0064】
4ml/分の流速で10CVの平衡化緩衝液を用いて洗浄工程を行った。
【0065】
pH4.0の20mM酢酸ナトリウム、1M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、を含む溶出緩衝液を用い、2ml/分の流速で20CV以内の0%〜100%までの溶出緩衝液の線形濃度勾配を適用して溶出を行った。
【0066】
50〜85%の溶出緩衝液での線形濃度勾配溶出から回収された溶出液のプールのG−CSF濃度をG−CSF特異的ELISAにより分析した。
【0067】
サイズ排除クロマトグラフィー工程(スーパーデックス75)
サイズ排除工程のために、充填済みのハイロード26/60スーパーデックス75プレップグレードカラム(GEヘルスケア、カタログ番号17−1044−01、CV=320ml)を用いた。1CVの緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、200mM塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.5)でカラムを平衡化し、引き続いて、2.5ml/分の流速、および、4%CVの最大ロード容量でリソースS溶出液のロードを行った。
【0068】
溶出液のプールのG−CSF濃度をG−CSF特異的ELISAと逆相(RP)−HPLCにより分析した。RP−HPLC、サイズ排除(SE)−HPLC、および、SDS−PAGEを用いて最終精製画分の純度が分析され、純度は95%よりも高いのが典型的である。
【0069】
以下で説明するG−CSFの実施例のいくつかにおいて、前記サイズ排除溶出液が使用された。
【0070】
捕捉工程としてカプトMMC樹脂を用いるrhG−CSFの精製
実施例1(実験1)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に、総タンパク質濃度を低下させ、および、より扱いやすい体積にするために精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。希釈の前にrhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0に溶解した。
【0071】
クロマトグラフィー樹脂、および、カラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は3mlであった。
【0072】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0073】
実験構成
平衡化緩衝液で前記カラムを平衡化し、引き続いて、1ml/分の流速で出発物質のロードを行った。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。表1に見られるように、通過画分にG−CSFは検出されなかった。溶出緩衝液は0.5Mアルギニン1塩酸塩を含み、pHを7.0に変更した。G−CSFの回収率は89%であり、溶出プロファイルはより幅が狭いピークであった。溶出の後に1M水酸化ナトリウム溶液で前記カラムを洗浄した。カラムの1M水酸化ナトリウム洗浄に非常に小さいピークが見られた。図1にクロマトグラムを示す。
【0074】
【表1】
【0075】
結論
ロードされたG−CSFの全てがpH4.0でカプトMMCに結合した。3カラム容量回収された溶出画分で高い収率(89%)が得られた。溶出緩衝液はpHが7.0であり0.5Mのアルギニン1塩酸塩が含まれた。
【0076】
図1の説明文
実験1;酢酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。0.5Mアルギニン1塩酸塩を含むpH7.0の緩衝液を用いてカラムを溶出した。溶出により二重のピークを得た。その二重のピークを1つの画分として回収した。
【0077】
実施例2(実験2)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に総タンパク質濃度を低下させ、より扱いやすい体積にするために精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。希釈の前にrhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0に溶解した。
【0078】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は3mlであった。
【0079】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0080】
実験構成
平衡化緩衝液でカラムを平衡化し、引き続いて、1ml/分の流速で出発物質のロードを行った。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。表2に見られるように、通過画分にG−CSFは検出されなかった。溶出緩衝液はpH7.0とした。カプトMMCカラムにロードされたrhG−CSFの90%超が溶出画分に検出された。アルギニンが溶出緩衝液に含まれる実験1よりも、溶出ピークの幅が広かった。溶出体積は2倍であった。
【0081】
【表2】
【0082】
結論
組換えヒトG−CSF(rhG−CSF)はpH4でカプトMMC樹脂に結合し、クエン酸ナトリウムで緩衝される溶液中にpH7で溶出することができた。
【0083】
実施例3(実験3)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に、総タンパク質濃度を低下させ、より扱いやすい体積にするために精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。希釈の前にrhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0に溶解した。
【0084】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は3mlであった。
【0085】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mM HEPES、0.3M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0086】
実験構成
平衡化緩衝液でカラムを平衡化し、引き続いて、1ml/分の流速で出発物質のロードを行った。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。表3に見られるように、通過画分にG−CSFは検出されなかった。溶出緩衝液はpHが7.0で、実験2と比較して塩化ナトリウム濃度が0.3Mに上げられた。カプトMMCカラムにロードされたrhG−CSFの全てが溶出画分に検出された。図2にクロマトグラフィープロファイルを示す。幅が広い溶出ピークが得られ、溶出ピークの全体が1つの溶出画分として回収された。
【0087】
【表3】
【0088】
結論
rhG−CSFはpH7でカプトMMC樹脂に結合する。そして、溶出緩衝液が0.3M塩化ナトリウムを含むとき、pH7で100%までrhG−CSFが溶出された。溶出体積は大きく、溶出緩衝液がアルギニンを含むときと比較して2倍の体積であった。このことは、カプトMMC樹脂からのG−CSFの溶出に対して、0.3M塩化ナトリウムは0.5Mアルギニンと同じ溶出効果を持たないことを意味する。
【0089】
図2の説明文
実験3;酢酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.3M塩化ナトリウムを含む緩衝液を用いてカラムを溶出した。溶出により二重のピークを得た。その幅が広い二重のピークを1つの画分として回収した。
【0090】
実施例4(実験4)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に総タンパク質濃度を低下させ、より扱いやすい体積にするために、精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。希釈の前に前記rhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0に溶解した。
【0091】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カラム容積(CV)は3mlであった。
【0092】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
【0093】
実験構成
平衡化緩衝液でカラムを平衡化し、引き続いて、1ml/分の流速で出発物質のロードが行われた。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、前記溶出緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。表4に見られるように、通過画分にG−CSFは検出されなかった。溶出緩衝液はアルギニンを含み塩化ナトリウムを含まない緩衝液に変更し、pHは4.0であった。溶出画分にrhG−CSFは検出されなかった。
【0094】
【表4】
【0095】
結論
pHを変更することなく前記緩衝液に0.5Mのアルギニン1塩酸塩を加えることだけでカプトMMC樹脂からrhG−CSFを溶出することはできなかった。これは洗浄工程として機能することができる。
【0096】
実施例5(実験5)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に、総タンパク質濃度を低下させ、より扱いやすい体積にするために精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。希釈の前に前記rhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0に溶解した。
【0097】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は3mlであった。
【0098】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、1Mアルギニン1塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
【0099】
実験構成
平衡化緩衝液でカラムを平衡化し、引き続いて、1ml/分の流速で出発物質のロードが行われた。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。その分析は、緩衝液条件の間にrhG−CSFがカプトMMC樹脂に結合することを示した。表5に見られるように、通過画分にG−CSFは検出されなかった。溶出緩衝液はアルギニンを含み塩化ナトリウムを含まない緩衝液に変更し、pHは平衡化緩衝液と同じ4.0であった。溶出画分にrhG−CSFは検出されなかった。このことは、より高い濃度のアルギニン(1M)がカプトMMCカラムからのrhG−CSFの溶出に対して少しも効果を持たなかったことを意味する。しかし、図3に見られるように、pH4で1Mアルギニンを含む溶出緩衝液でカラムを溶出したときピークが得られた。2番目に大きいピークは1M水酸化ナトリウム洗浄による結果である。
【0100】
【表5】
【0101】
結論
pHを変更することなく緩衝液に1Mのアルギニン1塩酸塩を加えることだけでは、カプトMMC樹脂からrhG−CSFを溶出することはできなかった。これは洗浄工程として機能することはできる。
【0102】
図3の説明文
実験5;酢酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH4.0で1Mアルギニンを含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。溶出により二重のピークが得られた。1つピークを溶出液画分に得た。1M水酸化ナトリウムの洗浄により大きいピークが得られた。
【0103】
実施例6(実験6、7、8、9、10、11)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に、総タンパク質濃度を低下させ、より扱いやすい体積にするために精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。そして、また各実験の所望のpHにするために。希釈の前に前記rhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.2M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.5に溶解した。
【0104】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は3mlであった。
【0105】
緩衝液
実験6
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
洗浄緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、1M塩化ナトリウム、0,02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0106】
実験7
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH5.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0107】
実験8
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH6.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0108】
実験9
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH6.5
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0109】
実験10
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH5.5
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0110】
実験11
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0111】
実験構成
次のように各実験を行った。使用する平衡化緩衝液で精製されたrhG−CSFを約20分の1に希釈した。出発物質のpHはコントロールされ、全ての実験で調整なしで平衡化緩衝液と同じであった。平衡化緩衝液でカラムを平衡化し、引き続いて1ml/分の流速で出発物質のロードが行われた。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。実験6では、溶出の前に1M塩化ナトリウムを含む緩衝液で前記カラムの洗浄もされた。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。
【0112】
実験6の図4に見られるように、1M塩化ナトリウムでの洗浄でピークは得られなかった。このことは、rhG−CSFがカプトMMCカラムから洗い落とされなかったことを示す。酢酸ナトリウム緩衝液、または、クエン酸ナトリウム緩衝液をpH4で用いる場合(実験6、および、実験11)、カプトMMCカラムでG−CSFを独立に精製すると、同じ溶出プロファイルが得られた。
【0113】
表6は、どのレベルでrhG−CSFがカプトMMCに結合し、そして、どの収率が得られるのか明らかにする分析の結果を示す。
【0114】
【表6】
【0115】
pH4〜6で通過画分中に物質を少しも失うことなくG−CSFがカプトMMC樹脂に結合することを表6のデータは示している。しかし、出発物質のpHが6.5のとき、検出されたG−CSFの大部分は通過画分で検出された。
【0116】
0.5Mアルギニンを含むpH7とした緩衝液で前記カプトMMCカラムを溶出した。pH4〜6で材料がカラムにロードされるとき、G−CSFの回収率は高かったが、pH6.5が出発物質に用いられるとき、溶出液中の収率は低かった。
【0117】
以下のクロマトグラムにおいて(図4、5、および、6)、rhG−CSFがpH4、または、5の緩衝液に存在するとき、二重ピークとしてカプトMMCカラムから溶出することが示される。一方、前記出発物質のpHが5.5、6.0、または、6.5のとき(図7、8、および、9)、一重ピークが得られた。銀染色されたSDS‐PAGE(図10A)に示されるように、実験8(pH6.0)、実験9(pH6.5)、および、実験10(pH5.5)からの溶出液は見事な一本のバンドを有する。一方、実験6(pH4.0)、および、実験7(pH5.0)の溶出液は銀染色されたSDS−PAGEでより多くのバンドを示す(図10B)。
【0118】
結論
これらの実験の結果は、rhG−CSFはpH4.0、5.0、5.5、6.0でカプトMMCに結合することができることを示す。pH6.5でのカプトMMCへのrhG−CSFの結合はより強くなく、pH4〜6の場合と異なり通過画分にrhG−CSFを検出した。
【0119】
pH5.5〜6.5が用いられたとき、溶出プロファイルはより良く、これらのpHがロード物質に用いられたとき、産物はSDS−PAGEでより良く見える。
【0120】
pH6.5を用いたとき、カプトMMCカラムからG−CSFが漏れたため、ロード物質にpH5.5〜6.0を用いるのが好ましい。
【0121】
全ての実験で、結合した物質はpH7で溶出された。そして、溶出緩衝液が0.5Mアルギニン1塩酸塩を含むとき、ピークはより幅が狭くなった。G−CSFを少しも失うことなく1M塩化ナトリウムでの洗浄工程をpH4で行うことができる。
【0122】
図4〜10の説明文
図4
実験6;酢酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。溶出により二重のピークが得られた。その二重ピークを1つの画分として採取した。
【0123】
図5
実験11;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。溶出により二重のピークが得られた。その二重ピークを1つの画分として採取した。
【0124】
図6
実験7;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH5.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。溶出により二重のピークが得られた。その二重ピークを1つの画分として採取した。
【0125】
図7
実験10;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いるpH5.5、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。溶出により一本のやや不均一なピークが得られた。
【0126】
図8
実験8;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH6.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。一本の幅が狭い均一なピークが得られた。
【0127】
図9
実験9;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH6.5、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。一本の幅が狭い均一なピークが得られた。
【0128】
図10Aおよび図10B
実験6、7、8、9、10;様々なpHの値を出発物質に用いる、出発物質とカプトMMC実験からの溶出液の中のタンパク質の分離。試料は還元され(SDSで処理され)、10%ポリアクリルアミドゲルで分離される。銀染色によりタンパク質を可視化した。
【0129】
実施例7(実験12)
出発物質
組換えヒトG−CSFはHEK293細胞で産生した。細胞を取り除き、無細胞上清を出発物質としてカプトMMCカラムにロードした。
【0130】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。XK16カラム(GEヘルスケア)は13.5cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は27mlであった。
【0131】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH6.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0132】
実験構成
無細胞上清のpHを6.0に調整した。平衡化緩衝液で前記カラムを平衡化し、引き続いて、pHを調整した出発物質のロードを13.5ml/分の流速で行った。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。その分析は、前記カラムに負荷された全てのrhG−CSFが緩衝液条件の間に前記カプトMMC樹脂に結合し、通過画分にrhG−CSFが検出されないことを示した。溶出緩衝液は20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン、0.1M塩化ナトリウム、および、0.02%ポリソルベート80を含み、pHは7.0とした。カプトMMC樹脂に結合したタンパク質の溶出の結果、一本の主要なピークと小さい第2のピークが生じた。前記カプトMMCカラムに負荷された全てのG−CSFが前記の主要なピークに見出だされ、第2の小さいピークにG−CSFは検出されなかった(図11)。
【0133】
結論
無細胞培地中の組換えヒトG−CSFはpH6.0でカプトMMC樹脂に結合した。
【0134】
前記通過画分にG−CSFは検出されなかった。
【0135】
pHを7に変更し、0.5Mアルギニンを加えることにより結合した物質は前記カプトMMC樹脂から溶出され、溶出ピークの幅は狭くなった。
【0136】
図11の説明文
実験12;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH6.0、カプトMMCカラムでの無細胞上清からのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。二重ピークが得られたが、G−CSFは主要なピークにのみ検出された。
【0137】
実施例8
カラムおよび樹脂
トリコーン5/50カラム(GEヘルスケア)はカプトMPベースのマトリックスに結合した酵母由来Fab断片ベースのアフィニティーリガンドで充填された。ベッド高は約2cmであり、約0.4mlの樹脂容積を生じた。アフィニティー樹脂の原型(G−CSF8)はBAC BV社から入手した。
【0138】
出発物質
使用された出発物質はHEK293F細胞で産生されたG−CSF含有細胞上清であった。
【0139】
緩衝液組成
緩衝液A(平衡化緩衝液)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.0、25℃での電気伝導率32mS/cm
緩衝液B(溶出緩衝液I)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH3.0、25℃での電気伝導率32mS/cm
【0140】
カラムは平衡化緩衝液Aで平衡化され、引き続いて、出発物質のロードが行われた。その後、前記樹脂を平衡化緩衝液Aで洗浄し、その後、溶出緩衝液BでG−CSFを溶出した。出発物質と溶出液の中のG−CSF含量を分析した(表7)。
【0141】
【表7】
【0142】
図12は、アフィニティークロマトグラフィー工程の後の溶出液を表すクマシー染色されたSDS−PAGEを示す図である。
レーンと試料
レーン1、分子量標準物質
レーン2、溶出液(実施例8)
【0143】
実施例8の結論
G−CSFの溶出に低pH緩衝液(pH3)を用いるとき、優れた純度と回収率が達成された。
【0144】
実施例9
カラムおよび樹脂
トリコーン5/50カラム(GEヘルスケア)はカプトMPベースのマトリックスに結合した酵母由来Fab断片ベースのアフィニティーリガンドで充填された。ベッド高は約2cmであり、約0.4mlの樹脂容積を生じた。アフィニティー樹脂の原型(G−CSF8)はBAC BV社から入手した。
【0145】
出発物質
使用された出発物質はHEK293F細胞由来のG−CSF含有細胞上清であった。
【0146】
緩衝液組成
緩衝液A(平衡化緩衝液)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.0、25℃での電気伝導率32mS/cm
緩衝液C(溶出緩衝液II)
1.0M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.8Mアルギニン、0.02%ツイーン20、pH6.0、25℃での電気伝導率89mS/cm
【0147】
平衡化緩衝液と溶出緩衝液は、記載されたpH、濃度、および、緩衝液の種類、塩、または、界面活性剤に限定されない。
【0148】
カラムは平衡化緩衝液Aで平衡化され、引き続いて、出発物質のロードが行われた。その後、樹脂を平衡化緩衝液Aで洗浄し、その後、溶出緩衝液Cで結合したG−CSFを溶出した。出発物質と溶出液の中のG−CSF含量を分析した(表8)。
【0149】
【表8】
【0150】
実施例9の結論
塩化ナトリウムとアルギニンの混合物を用いて前記アフィニティーカラムからG−CSFを溶出することができる。
【0151】
実施例10
カラムおよび樹脂
トリコーン5/50カラム(GEヘルスケア)はカプトMPベースのマトリックスに結合した酵母由来Fab断片ベースのアフィニティーリガンドで充填された。ベッド高は約2cmであり、約0.4mlの樹脂容積を生じた。アフィニティー樹脂の原型(G−CSF8)はBAC BV社から入手した。
【0152】
出発物質
使用された出発物質はHEK293F細胞由来のG−CSF含有細胞上清であった。
【0153】
緩衝液組成
緩衝液A(平衡化緩衝液)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.25℃での電気伝導率0、32mS/cm
緩衝液D(溶出緩衝液III)
2.0M塩化マグネシウム、0.02Mトリス、0.02%ツイーン20、pH7.5、25℃での電気伝導率144mS/cm
【0154】
平衡化緩衝液と溶出緩衝液は、記載されたpH、濃度、および、緩衝液の種類、塩、または、界面活性剤に限定されない。
【0155】
カラムは平衡化緩衝液Aで平衡化され、引き続いて、出発物質のロードが行われた。その後、樹脂を平衡化緩衝液Aで洗浄し、続いて溶出緩衝液Dで結合したG−CSFを溶出した。出発物質と溶出液の中のG−CSF含量を分析した(表9)。
【0156】
【表9】
【0157】
実施例10の結論
溶出剤として2M塩化マグネシウムを用いて前記アフィニティーカラムからG−CSFを溶出することができる。
【0158】
実施例11
カラムおよび樹脂
トリコーン5/50カラム(GEヘルスケア)はカプトMPベースのマトリックスに結合した3つの異なる酵母由来Fab断片ベースのアフィニティーリガンドの原型で充填された。ベッド高は約2cmであり、約0.4mlの樹脂容積を生じた。記アフィニティー樹脂の原型(G−CSF2、G−CSF3、および、G−CSF6)は、BAC BV社から入手した。
【0159】
出発物質
使用された出発物質はHEK293F細胞由来のG−CSF含有細胞上清であった。
【0160】
緩衝液組成
緩衝液A(平衡化緩衝液)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.0、25℃での電気伝導率32mS/cm
緩衝液B(溶出緩衝液I)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH3.0、25℃での電気伝導率32mS/cm
【0161】
カラムは平衡化緩衝液Aで平衡化され、引き続いて、出発物質のロードが行われた。その後、樹脂を平衡化緩衝液Aで洗浄し、続いて溶出緩衝液Bで結合したG−CSFを溶出した。出発物質、通過画分、および、溶出液の中のG−CSF含量を分析した(表)。
【0162】
【表10】
【0163】
図13は、出発物質、アフィニティークロマトグラフィー工程の後の通過画分、および、溶出液を表す銀染色されたSDS−PAGEを示す図である。
図の説明
レーンと試料
レーン1、G−CSF2の出発物質;レーン2、G−CSF2の通過画分;レーン3、ブランク;レーン4、G−CSF2の溶出液;レーン5、ブランク;レーン6、G−CSF3の通過画分;レーン7、ブランク;レーン8、G−CSF3の溶出液;レーン9、ブランク;レーン10、G−CSF6の通過画分;レーン11、ブランク;レーン12、G−CSF6の溶出液
【0164】
実施例11の結論
溶出剤として低pHを用いた通過画分中のG−CSFの検出、および、溶出画分における様々な回収率で示されるように、異なるアフィニティーリガンドの原型は異なるG−CSF結合能をもたらす。しかしながら、図13に示されるように、全てのアフィニティーリガンドは、溶出液に同様に優れた純度プロファイルをもたらす。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図11
図12
図13
図10