【文献】
Biotechnol. Prog.,2007年,23,pp.1138−1142
【文献】
J. Chromatogr. A, Jan-2010, vol.1217, issue 2, p.235-242
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マルチモーダル樹脂がマトリックスに結合する部分を含み、前記部分がイオン性相互作用、ならびに、水素結合および疎水性相互作用の少なくとも一つにより混合物中で前記G−CSFと相互作用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
前記G−CSFがpH4.0〜pH6.0で前記マルチモーダル樹脂に結合し、前記G−CSFがpH6.5以上で前記マルチモーダル樹脂より溶出される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
前記クロマトグラフィーで使用される緩衝物質が、pH4〜pH8の範囲で、クエン酸ナトリウム、ヒスチジン、2−(4−(2−ヒドロキシエチル)−l−ピペラジニル)−エタンスルホン酸(HEPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、トリス塩基、および、酢酸ナトリウムからなる群より選択される緩衝物質を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
使用される緩衝液のいずれかに非イオン性界面活性剤が存在し、前記非イオン性界面活性剤はポリソルベート類(ポリソルベート20、40、60、80)、および、プルロニックF68からなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
前記G−CSFの溶出前のpH4.0〜6.0の範囲での洗浄工程において、0.1M〜2M塩化ナトリウムを含む緩衝液が使用される、または、0.1M〜2Mアルギニン1塩酸塩が使用される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
夾雑物を洗い流し、前記G−CSFを保持するために、前記G−CSFが解離される前に洗浄緩衝液を前記マルチモーダル樹脂にアプライすることを特徴とし、前記洗浄緩衝液が塩基性側鎖を有するアミノ酸、および/または、ホフマイスターシリーズに従い選択される塩を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
前記マルチモーダルクロマトグラフィー工程が、アフィニティークロマトグラフィー工程と組み合わされ、前記アフィニティーは酵母で発現されるタンパク質に基づくリガンドによりもたらされ、前記アフィニティークロマトグラフィー樹脂から生じた産物の純度が90%より高いことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
サイズ排除クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および、固定化金属アフィニティークロマトグラフィーから選択される追加のクロマトグラフィーを行うことを特徴とし、最終産物の純度が99%よりも高いことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
化学作用に基づく不活化工程、サイズに基づく除去工程、クロマトグラフィー工程、または、これらの組合せを含む、除去される病原体に対する様々な生理的特性に基づく病原体除去/不活化工程を前記の一連の精製がさらに含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【実施例】
【0044】
分析方法の説明
G−CSF特異的ELISAによるG−CSF含量の測定
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)の原理は、あるタンパク質(抗原)に対する抗体の特異的な結合によるタンパク質の定量である。G−CSFデュオセットELISA(R&Dシステムズ社、カタログ番号DY214)に基づき、サンドウィッチELISAを用いてG−CSFの定量を行った。校正標準として大腸菌由来組換えヒトG−CSF(R&Dシステムズ社、カタログ番号214−CS−005、0.015〜1ng/ml)を適用した。捕捉抗体(マウス抗ヒトG−CSF)を96穴マイクロタイタープレートのウェルに結合した。G−CSF抗原の捕捉と洗浄工程の後、ビオチン化検出抗体(ヤギ抗ヒトG−CSF)がG−CSF抗原に結合された。二回目の洗浄工程の後、ビオチン化検出抗体に結合するストレプトアビジン結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(ストレプトアビジン−HRP)がアプライされた。定量のために過酸化水素の存在下でペルオキシダーゼの基質であるテトラメチルベンジジン(TMB)を加えられ、青色が発色する。硫酸で反応を止めた後、安定的な黄色色素が発色する。黄色色素の濃度は結合したペルオキシダーゼの量に比例し、したがって、G−CSF抗原の量に比例する。450nmの波長で、測光法で前記色素の濃度を測定する。0.99より大きい線形相関係数(r)を常に与える組換えヒトG−CSF検量線から、未知試料のG−CSF濃度を計算した。
【0045】
逆相(RP)HPLCによるG−CSF含有量の測定
RP−HPLCはタンパク質の極性に基づくそれらの分離に関係し、そのタンパク質分子の滞留は溶質分子の非極性部分とHPLCカラムの非極性固定相の間の疎水性相互作用によって左右される。紫外線検出器とジュピターC18、300A、5μm、4.6×150mmカラム(フェノメネックス(Phenomenex)社、カタログ番号00F−4053−EO)を装備したHPLCシステム(ダイオネクス社、アルティメット(Ultimate)3000)をタンパク質の測定に用いた。20±5℃で運転して、前記カラムを0.1%(体積/体積)トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液(移動相A)で平衡化した。溶出のために、1.0ml/分の流速による線形濃度勾配(0〜5分、5%B;5〜12分、55%B;12〜17分、100%B;17〜22分、5%B)で0.1%(v/v)TFAアセトニトリル溶液(移動相B)を用いた。全注入体積の最大100μLにおいて、試料のロードは1回の注入につき30μgとした。214nmでの紫外線吸収を測定して検出を行った。ヨーロッパ薬局方に基づく2.5〜40μg(2.5、5、10、20、40μg)のフィルグラスチムCRSを検量線に用いた。フィルグラスチムCRS標準品は0.4mg/mlの濃度にまで実験室用の水(WFL)に前希釈された。必要に応じて、試料のWFLでの前希釈は、30μgの注入量となるように行った。0.99より大きい線形相関係数(r)を常に与えるフィルグラスチムCRS検量線から未知試料のG−CSF含量を計算した。
【0046】
逆相(RP)HPLCによる純度の測定
RP−HPLCによる純度の測定に用いられる方法と機器はG−CSF含量の測定のための方法と同等である。全ピーク面積に対するG−CSFのピーク面積の割合を決めることでG−CSF含有溶液の純度[%]を計算した。
【0047】
SDS−PAGEによる純度の測定、および、分子量分布
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)は、タンパク質のサイズに基づく分離に関する。還元条件下でG−CSF含有試料の純度の測定と分子量分布の分析を行った。この目的のために、トリス‐トリシン濃度勾配ゲル(10〜20%、アナメド(Anamed)社より、カタログ番号TR12012)およびトリス塩酸濃度勾配ゲル(10〜20%、バイオラッド社より、カタログ番号345−0043)を使用した。トリス‐トリシン濃度勾配ゲルには、バイオラッド社のポリペプチドSDS−PAGE分子量標準品(カタログ番号161−0326、1.4〜26.6kDa)を分子量標準品としてアプライした。トリス塩酸濃度勾配ゲルには、バイオラッド社のプレシジョンプラスタンパク質オールブルー標準品(カタログ番号161−0373、10〜250kDa)をアプライした。電気泳動により分離したタンパク質のバンドは銀染色、または、クマシー染色で可視化される。大腸菌由来組換えヒトG−CSF(非グリコシル化、R&Dシステムズ社、カタログ番号214−CS−005)、CHO由来グリコシル化市販品グラノサイト(中外製薬)をG−CSF基準品(対照試料)として用いた。標準品、基準品(対照試料)、および、分析試料の出現を判断して質量と純度の評価が視覚的に行われる。
【0048】
組換えG−CSF
G−CSF含有細胞懸濁液の製造と精製
細胞
使用された細胞株はヒト胚性腎臓細胞293(HEK293)の無血清増殖に順化した派生株である。G−CSFのcDNAコード配列を持つ発現カセットでこの宿主、HEK293Fを安定的に形質移入した。そのカセットのために強力なプロモーターを用いた。一般的な方法はまた欧州特許第EP 1739179号(Schroderら)にも記載される。
【0049】
培養方法
前記細胞を無血清培地中で一般的な設備を用い、当該技術分野で周知の方法に従って培養した。例えば、T型フラスコ、振盪用フラスコ、および、バイオリアクター(使い捨てのシステム、および、従来の撹拌タンク)内での振盪培養、または、撹拌培養が、回分培養、半回分培養、灌流培養、または、連続ケモスタット培養として実行される(フレシュニー,RI(Freshney,RI)著(2000年)動物細胞の培養:基礎技術の手引き 第4版、ワイリー‐リス社;シュパイアー,RE(Spier,RE)編(2000年)、細胞工学百科事典、ワイリー社、ニューヨーク;エンフォース,S−O(Enfors,S−O)およびヘッグストレーム,L(Haggstrom,L)著(2000年)、バイオプロセス技術:原理と応用、大学出版会(Hogskoletryckeriet),王立工科大学,ストックホルム;ビンチ,VA(Vinci,VA)およびパレク,SR(Parekh,SR)(2003年),工業用細胞培養ハンドブック:哺乳類細胞、微生物細胞、および、植物細胞、ヒューマナプレス社、米国)。標準的な回分培養の水準を超えて細胞数と産物のタイターを増加させるために、培地の灌流を用いるのが典型的である。産物収量と宿主細胞タンパク質の量は培養モードに応じて異なる:
・産物のタイターは典型的には細胞数と共に増加するであろう。
・総タンパク質量とDNA量は典型的には細胞数と共に増加するであろう。
・総タンパク質量とDNA量はまた、培養物の持続時間と共に増加することができる。
・回分培養はタンパク質とDNAを蓄積する。何も外部から加えられないし、何も取り除かれない。
・灌流方法では代謝物、タンパク質、DNA、および、その他の不純物から細胞培養物が洗い落される。フィルターと細胞遠心分離機が細胞の保持のために典型的に使用された。
【0050】
組換え産物は細胞から放出され、および、細胞の懸濁液、または、細胞懸濁液の上清が回収される。回収物の特性(上述した産物のタイター、および、不純物)は使用した培養モードに応じて異なる。
【0051】
以下で説明するG−CSFの実施例のいくつかにおいては、前記細胞懸濁液が使用された。
【0052】
精製方法
組換え産物は細胞から放出され、細胞の懸濁液、または、細胞懸濁液の上清が回収される。4精製工程を含む精製が用いられた。細胞培養液の上清からG−CSFの捕捉工程のために陽イオン交換クロマトグラフィー(SPセファロースファーストフロー(FF))を用い、引き続いて、亜鉛ベースの固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)工程(Zn−IDAキレーティングセファロースファーストフロー(FF))、最終精製のための2回目の陽イオン交換クロマトグラフィー工程(リソースS)、および、最終工程としてサイズ排除クロマトグラフィー工程(スーパーデックス75)が用いられた。
【0053】
G−CSF含有細胞培養物上清の調製
捕捉工程の前に、全G−CSF量[mg]を確認するために、数回分の上清のG−CSF濃度[mg/L]をG−CSF特異的ELISAにより測定した。凍結された上清(−80°C)を20±5℃に調整した水浴中で融解した。その後、上清を4℃、9000×gで15分間遠心分離し、それから0.2μgフィルターユニットを用いてさらに濾過した。濾過された上清のpHは酢酸を用いてpH4.0に調整された。
【0054】
捕捉工程(SPセファロースFF)
10mlのSPセファロースFF材でXK16/20カラムを充填した(1カラム容積(CV)=10ml)。SPセファロースFF樹脂(カタログ番号17−0729−01)は、GEヘルスケアから入手した。
【0055】
3CVの平衡化緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0)で平衡化を行い、引き続いて、2.5ml/分の流速での出発物質のロードが行われた。5CVの同じ緩衝液を同じ流速で用いて次の洗浄工程を実行した。
【0056】
20mM酢酸ナトリウム、1M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0を含む溶出緩衝液を用い、2.5ml/分の流速で8CV以内の0%〜40%までの溶出緩衝液の線形濃度勾配を適用して溶出を行い、引き続いて、5CVの100%溶出緩衝液を用いる段階溶出が行われた。
【0057】
濃度勾配溶出から回収された溶出液のプールのG−CSF濃度をG−CSF特異的ELISAにより分析した。
【0058】
IMAC工程(Zn−IDAキレーティングセファロースFF)
XK16/20カラムを、2mlの0.2M塩化亜鉛により荷電された10mlのキレーティングセファロースFFで充填する(1カラム容積(CV)=10ml)。キレーティングセファロースFF樹脂(カタログ番号17−0575−01)は、GEヘルスケアから入手した。
【0059】
ロードの前に、IMACカラムロード試料(SPセファロースFF溶出液)のpHを水酸化ナトリウムでpH8.0に調整した。
【0060】
3CVの平衡化緩衝液(20mMトリス塩酸、150mM塩化ナトリウム、pH8.0)で平衡化を行い、引き続いて、2ml/分の流速でSPセファロースFF溶出液のロードが行われた。2CVの同じ緩衝液を同じ流速で用いて次の洗浄工程を実行した。
【0061】
pH4.0の20mMトリス塩酸、150mM塩化ナトリウムを含む溶出緩衝液を用い、1ml/分の流速で3CV以内の0%〜100%までの溶出緩衝液の線形濃度勾配を適用して溶出を行った。その後、4CVの100%溶出緩衝液によるグラジエント遅延が適用された。
【0062】
100%溶出緩衝液による溶出から回収された溶出液のプールのG−CSF濃度をG−CSF特異的ELISAにより分析した。
【0063】
最終精製工程(リソースS)
4ml/分の流速で5CVの平衡化緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、0.02%ツイーン−20、pH4.0)を用いてGEヘルスケアから入手した充填済みリソースSカラム(CV=6ml)(カタログ番号17−1180−01)カラムを平衡化する。精製前に前記IMAC溶出液を酢酸でpH4.0に調整し、平衡化緩衝液を用いて5倍に希釈する。
【0064】
4ml/分の流速で10CVの平衡化緩衝液を用いて洗浄工程を行った。
【0065】
pH4.0の20mM酢酸ナトリウム、1M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、を含む溶出緩衝液を用い、2ml/分の流速で20CV以内の0%〜100%までの溶出緩衝液の線形濃度勾配を適用して溶出を行った。
【0066】
50〜85%の溶出緩衝液での線形濃度勾配溶出から回収された溶出液のプールのG−CSF濃度をG−CSF特異的ELISAにより分析した。
【0067】
サイズ排除クロマトグラフィー工程(スーパーデックス75)
サイズ排除工程のために、充填済みのハイロード26/60スーパーデックス75プレップグレードカラム(GEヘルスケア、カタログ番号17−1044−01、CV=320ml)を用いた。1CVの緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、200mM塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.5)でカラムを平衡化し、引き続いて、2.5ml/分の流速、および、4%CVの最大ロード容量でリソースS溶出液のロードを行った。
【0068】
溶出液のプールのG−CSF濃度をG−CSF特異的ELISAと逆相(RP)−HPLCにより分析した。RP−HPLC、サイズ排除(SE)−HPLC、および、SDS−PAGEを用いて最終精製画分の純度が分析され、純度は95%よりも高いのが典型的である。
【0069】
以下で説明するG−CSFの実施例のいくつかにおいて、前記サイズ排除溶出液が使用された。
【0070】
捕捉工程としてカプトMMC樹脂を用いるrhG−CSFの精製
実施例1(実験1)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に、総タンパク質濃度を低下させ、および、より扱いやすい体積にするために精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。希釈の前にrhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0に溶解した。
【0071】
クロマトグラフィー樹脂、および、カラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は3mlであった。
【0072】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0073】
実験構成
平衡化緩衝液で前記カラムを平衡化し、引き続いて、1ml/分の流速で出発物質のロードを行った。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。表1に見られるように、通過画分にG−CSFは検出されなかった。溶出緩衝液は0.5Mアルギニン1塩酸塩を含み、pHを7.0に変更した。G−CSFの回収率は89%であり、溶出プロファイルはより幅が狭いピークであった。溶出の後に1M水酸化ナトリウム溶液で前記カラムを洗浄した。カラムの1M水酸化ナトリウム洗浄に非常に小さいピークが見られた。
図1にクロマトグラムを示す。
【0074】
【表1】
【0075】
結論
ロードされたG−CSFの全てがpH4.0でカプトMMCに結合した。3カラム容量回収された溶出画分で高い収率(89%)が得られた。溶出緩衝液はpHが7.0であり0.5Mのアルギニン1塩酸塩が含まれた。
【0076】
図1の説明文
実験1;酢酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。0.5Mアルギニン1塩酸塩を含むpH7.0の緩衝液を用いてカラムを溶出した。溶出により二重のピークを得た。その二重のピークを1つの画分として回収した。
【0077】
実施例2(実験2)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に総タンパク質濃度を低下させ、より扱いやすい体積にするために精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。希釈の前にrhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0に溶解した。
【0078】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は3mlであった。
【0079】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0080】
実験構成
平衡化緩衝液でカラムを平衡化し、引き続いて、1ml/分の流速で出発物質のロードを行った。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。表2に見られるように、通過画分にG−CSFは検出されなかった。溶出緩衝液はpH7.0とした。カプトMMCカラムにロードされたrhG−CSFの90%超が溶出画分に検出された。アルギニンが溶出緩衝液に含まれる実験1よりも、溶出ピークの幅が広かった。溶出体積は2倍であった。
【0081】
【表2】
【0082】
結論
組換えヒトG−CSF(rhG−CSF)はpH4でカプトMMC樹脂に結合し、クエン酸ナトリウムで緩衝される溶液中にpH7で溶出することができた。
【0083】
実施例3(実験3)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に、総タンパク質濃度を低下させ、より扱いやすい体積にするために精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。希釈の前にrhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0に溶解した。
【0084】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は3mlであった。
【0085】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mM HEPES、0.3M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0086】
実験構成
平衡化緩衝液でカラムを平衡化し、引き続いて、1ml/分の流速で出発物質のロードを行った。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。表3に見られるように、通過画分にG−CSFは検出されなかった。溶出緩衝液はpHが7.0で、実験2と比較して塩化ナトリウム濃度が0.3Mに上げられた。カプトMMCカラムにロードされたrhG−CSFの全てが溶出画分に検出された。
図2にクロマトグラフィープロファイルを示す。幅が広い溶出ピークが得られ、溶出ピークの全体が1つの溶出画分として回収された。
【0087】
【表3】
【0088】
結論
rhG−CSFはpH7でカプトMMC樹脂に結合する。そして、溶出緩衝液が0.3M塩化ナトリウムを含むとき、pH7で100%までrhG−CSFが溶出された。溶出体積は大きく、溶出緩衝液がアルギニンを含むときと比較して2倍の体積であった。このことは、カプトMMC樹脂からのG−CSFの溶出に対して、0.3M塩化ナトリウムは0.5Mアルギニンと同じ溶出効果を持たないことを意味する。
【0089】
図2の説明文
実験3;酢酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.3M塩化ナトリウムを含む緩衝液を用いてカラムを溶出した。溶出により二重のピークを得た。その幅が広い二重のピークを1つの画分として回収した。
【0090】
実施例4(実験4)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に総タンパク質濃度を低下させ、より扱いやすい体積にするために、精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。希釈の前に前記rhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0に溶解した。
【0091】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カラム容積(CV)は3mlであった。
【0092】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
【0093】
実験構成
平衡化緩衝液でカラムを平衡化し、引き続いて、1ml/分の流速で出発物質のロードが行われた。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、前記溶出緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。表4に見られるように、通過画分にG−CSFは検出されなかった。溶出緩衝液はアルギニンを含み塩化ナトリウムを含まない緩衝液に変更し、pHは4.0であった。溶出画分にrhG−CSFは検出されなかった。
【0094】
【表4】
【0095】
結論
pHを変更することなく前記緩衝液に0.5Mのアルギニン1塩酸塩を加えることだけでカプトMMC樹脂からrhG−CSFを溶出することはできなかった。これは洗浄工程として機能することができる。
【0096】
実施例5(実験5)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に、総タンパク質濃度を低下させ、より扱いやすい体積にするために精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。希釈の前に前記rhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH4.0に溶解した。
【0097】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は3mlであった。
【0098】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、1Mアルギニン1塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
【0099】
実験構成
平衡化緩衝液でカラムを平衡化し、引き続いて、1ml/分の流速で出発物質のロードが行われた。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。その分析は、緩衝液条件の間にrhG−CSFがカプトMMC樹脂に結合することを示した。表5に見られるように、通過画分にG−CSFは検出されなかった。溶出緩衝液はアルギニンを含み塩化ナトリウムを含まない緩衝液に変更し、pHは平衡化緩衝液と同じ4.0であった。溶出画分にrhG−CSFは検出されなかった。このことは、より高い濃度のアルギニン(1M)がカプトMMCカラムからのrhG−CSFの溶出に対して少しも効果を持たなかったことを意味する。しかし、
図3に見られるように、pH4で1Mアルギニンを含む溶出緩衝液でカラムを溶出したときピークが得られた。2番目に大きいピークは1M水酸化ナトリウム洗浄による結果である。
【0100】
【表5】
【0101】
結論
pHを変更することなく緩衝液に1Mのアルギニン1塩酸塩を加えることだけでは、カプトMMC樹脂からrhG−CSFを溶出することはできなかった。これは洗浄工程として機能することはできる。
【0102】
図3の説明文
実験5;酢酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH4.0で1Mアルギニンを含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。溶出により二重のピークが得られた。1つピークを溶出液画分に得た。1M水酸化ナトリウムの洗浄により大きいピークが得られた。
【0103】
実施例6(実験6、7、8、9、10、11)
出発物質
カプトMMCカラムへのロードの前に、総タンパク質濃度を低下させ、より扱いやすい体積にするために精製されたrhG−CSFを平衡化緩衝液に希釈した。そして、また各実験の所望のpHにするために。希釈の前に前記rhG−CSFを20mM酢酸ナトリウム、0.2M塩化ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.5に溶解した。
【0104】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。トリコーン5/150カラム(GEヘルスケア)は15cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は3mlであった。
【0105】
緩衝液
実験6
平衡化緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
洗浄緩衝液:20mM酢酸ナトリウム、1M塩化ナトリウム、0,02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0106】
実験7
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH5.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0107】
実験8
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH6.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0108】
実験9
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH6.5
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0109】
実験10
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH5.5
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0110】
実験11
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH4.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0111】
実験構成
次のように各実験を行った。使用する平衡化緩衝液で精製されたrhG−CSFを約20分の1に希釈した。出発物質のpHはコントロールされ、全ての実験で調整なしで平衡化緩衝液と同じであった。平衡化緩衝液でカラムを平衡化し、引き続いて1ml/分の流速で出発物質のロードが行われた。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。実験6では、溶出の前に1M塩化ナトリウムを含む緩衝液で前記カラムの洗浄もされた。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。
【0112】
実験6の
図4に見られるように、1M塩化ナトリウムでの洗浄でピークは得られなかった。このことは、rhG−CSFがカプトMMCカラムから洗い落とされなかったことを示す。酢酸ナトリウム緩衝液、または、クエン酸ナトリウム緩衝液をpH4で用いる場合(実験6、および、実験11)、カプトMMCカラムでG−CSFを独立に精製すると、同じ溶出プロファイルが得られた。
【0113】
表6は、どのレベルでrhG−CSFがカプトMMCに結合し、そして、どの収率が得られるのか明らかにする分析の結果を示す。
【0114】
【表6】
【0115】
pH4〜6で通過画分中に物質を少しも失うことなくG−CSFがカプトMMC樹脂に結合することを表6のデータは示している。しかし、出発物質のpHが6.5のとき、検出されたG−CSFの大部分は通過画分で検出された。
【0116】
0.5Mアルギニンを含むpH7とした緩衝液で前記カプトMMCカラムを溶出した。pH4〜6で材料がカラムにロードされるとき、G−CSFの回収率は高かったが、pH6.5が出発物質に用いられるとき、溶出液中の収率は低かった。
【0117】
以下のクロマトグラムにおいて(
図4、5、および、6)、rhG−CSFがpH4、または、5の緩衝液に存在するとき、二重ピークとしてカプトMMCカラムから溶出することが示される。一方、前記出発物質のpHが5.5、6.0、または、6.5のとき(
図7、8、および、9)、一重ピークが得られた。銀染色されたSDS‐PAGE(
図10A)に示されるように、実験8(pH6.0)、実験9(pH6.5)、および、実験10(pH5.5)からの溶出液は見事な一本のバンドを有する。一方、実験6(pH4.0)、および、実験7(pH5.0)の溶出液は銀染色されたSDS−PAGEでより多くのバンドを示す(
図10B)。
【0118】
結論
これらの実験の結果は、rhG−CSFはpH4.0、5.0、5.5、6.0でカプトMMCに結合することができることを示す。pH6.5でのカプトMMCへのrhG−CSFの結合はより強くなく、pH4〜6の場合と異なり通過画分にrhG−CSFを検出した。
【0119】
pH5.5〜6.5が用いられたとき、溶出プロファイルはより良く、これらのpHがロード物質に用いられたとき、産物はSDS−PAGEでより良く見える。
【0120】
pH6.5を用いたとき、カプトMMCカラムからG−CSFが漏れたため、ロード物質にpH5.5〜6.0を用いるのが好ましい。
【0121】
全ての実験で、結合した物質はpH7で溶出された。そして、溶出緩衝液が0.5Mアルギニン1塩酸塩を含むとき、ピークはより幅が狭くなった。G−CSFを少しも失うことなく1M塩化ナトリウムでの洗浄工程をpH4で行うことができる。
【0122】
図4〜10の説明文
図4
実験6;酢酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。溶出により二重のピークが得られた。その二重ピークを1つの画分として採取した。
【0123】
図5
実験11;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH4.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。溶出により二重のピークが得られた。その二重ピークを1つの画分として採取した。
【0124】
図6
実験7;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH5.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。溶出により二重のピークが得られた。その二重ピークを1つの画分として採取した。
【0125】
図7
実験10;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いるpH5.5、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。溶出により一本のやや不均一なピークが得られた。
【0126】
図8
実験8;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH6.0、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。一本の幅が狭い均一なピークが得られた。
【0127】
図9
実験9;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH6.5、カプトMMCカラムでのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。一本の幅が狭い均一なピークが得られた。
【0128】
図10Aおよび
図10B
実験6、7、8、9、10;様々なpHの値を出発物質に用いる、出発物質とカプトMMC実験からの溶出液の中のタンパク質の分離。試料は還元され(SDSで処理され)、10%ポリアクリルアミドゲルで分離される。銀染色によりタンパク質を可視化した。
【0129】
実施例7(実験12)
出発物質
組換えヒトG−CSFはHEK293細胞で産生した。細胞を取り除き、無細胞上清を出発物質としてカプトMMCカラムにロードした。
【0130】
クロマトグラフィー樹脂およびカラム
rhG−CSF分子の捕捉工程としてGEヘルスケアから入手した混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)を用いた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、チオフィリック相互作用、および、水素結合を有する弱カチオン樹脂である。XK16カラム(GEヘルスケア)は13.5cmのベッド高までカプトMMC樹脂で充填された。カプトMMCのカラム容積(CV)は27mlであった。
【0131】
緩衝液
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH6.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.5Mアルギニン1塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
【0132】
実験構成
無細胞上清のpHを6.0に調整した。平衡化緩衝液で前記カラムを平衡化し、引き続いて、pHを調整した出発物質のロードを13.5ml/分の流速で行った。続いて、平衡化緩衝液での洗浄工程を行い、次に、溶出緩衝液を用いてカラムを溶出した。試料を回収し、HPLC法によりrhG−CSFを分析した。その分析は、前記カラムに負荷された全てのrhG−CSFが緩衝液条件の間に前記カプトMMC樹脂に結合し、通過画分にrhG−CSFが検出されないことを示した。溶出緩衝液は20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン、0.1M塩化ナトリウム、および、0.02%ポリソルベート80を含み、pHは7.0とした。カプトMMC樹脂に結合したタンパク質の溶出の結果、一本の主要なピークと小さい第2のピークが生じた。前記カプトMMCカラムに負荷された全てのG−CSFが前記の主要なピークに見出だされ、第2の小さいピークにG−CSFは検出されなかった(
図11)。
【0133】
結論
無細胞培地中の組換えヒトG−CSFはpH6.0でカプトMMC樹脂に結合した。
【0134】
前記通過画分にG−CSFは検出されなかった。
【0135】
pHを7に変更し、0.5Mアルギニンを加えることにより結合した物質は前記カプトMMC樹脂から溶出され、溶出ピークの幅は狭くなった。
【0136】
図11の説明文
実験12;クエン酸ナトリウム緩衝液を用いたpH6.0、カプトMMCカラムでの無細胞上清からのG−CSF精製のクロマトグラム。測定された280nmでの吸光度(mAU)、および、電気伝導率(mS/cm)が図に示される。pH7.0で0.5Mアルギニン1塩酸塩を含む緩衝液を用いて前記カラムを溶出した。二重ピークが得られたが、G−CSFは主要なピークにのみ検出された。
【0137】
実施例8
カラムおよび樹脂
トリコーン5/50カラム(GEヘルスケア)はカプトMPベースのマトリックスに結合した酵母由来Fab断片ベースのアフィニティーリガンドで充填された。ベッド高は約2cmであり、約0.4mlの樹脂容積を生じた。アフィニティー樹脂の原型(G−CSF8)はBAC BV社から入手した。
【0138】
出発物質
使用された出発物質はHEK293F細胞で産生されたG−CSF含有細胞上清であった。
【0139】
緩衝液組成
緩衝液A(平衡化緩衝液)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.0、25℃での電気伝導率32mS/cm
緩衝液B(溶出緩衝液I)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH3.0、25℃での電気伝導率32mS/cm
【0140】
カラムは平衡化緩衝液Aで平衡化され、引き続いて、出発物質のロードが行われた。その後、前記樹脂を平衡化緩衝液Aで洗浄し、その後、溶出緩衝液BでG−CSFを溶出した。出発物質と溶出液の中のG−CSF含量を分析した(表7)。
【0141】
【表7】
【0142】
図12は、アフィニティークロマトグラフィー工程の後の溶出液を表すクマシー染色されたSDS−PAGEを示す図である。
レーンと試料
レーン1、分子量標準物質
レーン2、溶出液(実施例8)
【0143】
実施例8の結論
G−CSFの溶出に低pH緩衝液(pH3)を用いるとき、優れた純度と回収率が達成された。
【0144】
実施例9
カラムおよび樹脂
トリコーン5/50カラム(GEヘルスケア)はカプトMPベースのマトリックスに結合した酵母由来Fab断片ベースのアフィニティーリガンドで充填された。ベッド高は約2cmであり、約0.4mlの樹脂容積を生じた。アフィニティー樹脂の原型(G−CSF8)はBAC BV社から入手した。
【0145】
出発物質
使用された出発物質はHEK293F細胞由来のG−CSF含有細胞上清であった。
【0146】
緩衝液組成
緩衝液A(平衡化緩衝液)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.0、25℃での電気伝導率32mS/cm
緩衝液C(溶出緩衝液II)
1.0M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.8Mアルギニン、0.02%ツイーン20、pH6.0、25℃での電気伝導率89mS/cm
【0147】
平衡化緩衝液と溶出緩衝液は、記載されたpH、濃度、および、緩衝液の種類、塩、または、界面活性剤に限定されない。
【0148】
カラムは平衡化緩衝液Aで平衡化され、引き続いて、出発物質のロードが行われた。その後、樹脂を平衡化緩衝液Aで洗浄し、その後、溶出緩衝液Cで結合したG−CSFを溶出した。出発物質と溶出液の中のG−CSF含量を分析した(表8)。
【0149】
【表8】
【0150】
実施例9の結論
塩化ナトリウムとアルギニンの混合物を用いて前記アフィニティーカラムからG−CSFを溶出することができる。
【0151】
実施例10
カラムおよび樹脂
トリコーン5/50カラム(GEヘルスケア)はカプトMPベースのマトリックスに結合した酵母由来Fab断片ベースのアフィニティーリガンドで充填された。ベッド高は約2cmであり、約0.4mlの樹脂容積を生じた。アフィニティー樹脂の原型(G−CSF8)はBAC BV社から入手した。
【0152】
出発物質
使用された出発物質はHEK293F細胞由来のG−CSF含有細胞上清であった。
【0153】
緩衝液組成
緩衝液A(平衡化緩衝液)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.25℃での電気伝導率0、32mS/cm
緩衝液D(溶出緩衝液III)
2.0M塩化マグネシウム、0.02Mトリス、0.02%ツイーン20、pH7.5、25℃での電気伝導率144mS/cm
【0154】
平衡化緩衝液と溶出緩衝液は、記載されたpH、濃度、および、緩衝液の種類、塩、または、界面活性剤に限定されない。
【0155】
カラムは平衡化緩衝液Aで平衡化され、引き続いて、出発物質のロードが行われた。その後、樹脂を平衡化緩衝液Aで洗浄し、続いて溶出緩衝液Dで結合したG−CSFを溶出した。出発物質と溶出液の中のG−CSF含量を分析した(表9)。
【0156】
【表9】
【0157】
実施例10の結論
溶出剤として2M塩化マグネシウムを用いて前記アフィニティーカラムからG−CSFを溶出することができる。
【0158】
実施例11
カラムおよび樹脂
トリコーン5/50カラム(GEヘルスケア)はカプトMPベースのマトリックスに結合した3つの異なる酵母由来Fab断片ベースのアフィニティーリガンドの原型で充填された。ベッド高は約2cmであり、約0.4mlの樹脂容積を生じた。記アフィニティー樹脂の原型(G−CSF2、G−CSF3、および、G−CSF6)は、BAC BV社から入手した。
【0159】
出発物質
使用された出発物質はHEK293F細胞由来のG−CSF含有細胞上清であった。
【0160】
緩衝液組成
緩衝液A(平衡化緩衝液)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH6.0、25℃での電気伝導率32mS/cm
緩衝液B(溶出緩衝液I)
0.3M塩化ナトリウム、0.02Mクエン酸ナトリウム、0.02%ツイーン20、pH3.0、25℃での電気伝導率32mS/cm
【0161】
カラムは平衡化緩衝液Aで平衡化され、引き続いて、出発物質のロードが行われた。その後、樹脂を平衡化緩衝液Aで洗浄し、続いて溶出緩衝液Bで結合したG−CSFを溶出した。出発物質、通過画分、および、溶出液の中のG−CSF含量を分析した(表)。
【0162】
【表10】
【0163】
図13は、出発物質、アフィニティークロマトグラフィー工程の後の通過画分、および、溶出液を表す銀染色されたSDS−PAGEを示す図である。
図の説明
レーンと試料
レーン1、G−CSF2の出発物質;レーン2、G−CSF2の通過画分;レーン3、ブランク;レーン4、G−CSF2の溶出液;レーン5、ブランク;レーン6、G−CSF3の通過画分;レーン7、ブランク;レーン8、G−CSF3の溶出液;レーン9、ブランク;レーン10、G−CSF6の通過画分;レーン11、ブランク;レーン12、G−CSF6の溶出液
【0164】
実施例11の結論
溶出剤として低pHを用いた通過画分中のG−CSFの検出、および、溶出画分における様々な回収率で示されるように、異なるアフィニティーリガンドの原型は異なるG−CSF結合能をもたらす。しかしながら、
図13に示されるように、全てのアフィニティーリガンドは、溶出液に同様に優れた純度プロファイルをもたらす。