特許第5948354号(P5948354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5948354立体3Dビデオ情報をオーサリングするための方法および装置、ならびにその立体3Dビデオ情報を表示するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948354
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】立体3Dビデオ情報をオーサリングするための方法および装置、ならびにその立体3Dビデオ情報を表示するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/00 20060101AFI20160623BHJP
   H04N 13/04 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   H04N13/00 220
   H04N13/00 400
   H04N13/00 660
   H04N13/00 700
   H04N13/04 540
   H04N13/04 560
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-555819(P2013-555819)
(86)(22)【出願日】2012年2月17日
(65)【公表番号】特表2014-511625(P2014-511625A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】EP2012052791
(87)【国際公開番号】WO2012116900
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2015年2月17日
(31)【優先権主張番号】11305218.7
(32)【優先日】2011年3月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョブスト ホーレントラップ
【審査官】 益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−505174(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/096281(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/013030(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/032399(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00 − 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報を表示するための方法であって、
前記3Dビデオストリームに関連する深度競合間隔のセットを、前記3Dビデオストリームおよび前記3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソースから読み出すステップであって、前記深度競合間隔のセットは、前記立体3Dビデオ情報と共に提供され、及び深度競合間隔は、その間、前記3Dビデオストリームの最小深度値が、前記3Dオーバーレイグラフィックの表示のために提供される深度範囲内に含まれるか又は、その間、前記3Dビデオストリームの最小深度値もしくは前記3Dオーバーレイグラフィックの表示のために提供される深度範囲の最小深度値がオーサリングプロセスで定義されるコンフォートゾーンの外側となるタイムスパンを示す、前記ステップと、
対応する深度競合を解消するために、前記3Dビデオストリームの表示または前記3Dオーバーレイグラフィックの表示を、前記深度競合間隔によって示される前記タイムスパンのうちの1つに位置する前記3Dビデオストリームのタイムコードに適合させるステップと、
を備える、前記方法。
【請求項2】
前記3Dオーバーレイグラフィックの前記表示を適合させるステップは、前記3DオーバーレイグラフィックのZ空間の拡張を変えることを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3Dオーバーレイグラフィックの前記表示を適合させるステップは、前記3Dオーバーレイグラフィック用のまたは前記3Dビデオストリーム用の表示モードを立体3Dモードから平面2Dモードに切り替えることを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記3Dオーバーレイグラフィックの前記表示を適合させるステップは、少なくとも一部の前記3Dオーバーレイグラフィックの透明度値を適合させることを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記透明度値は、前記深度競合を引き起こす前記3Dオーバーレイグラフィックの一部に適合される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記3Dオーバーレイグラフィックの前記表示を適合させるステップは、前記深度競合間隔の終わりまで3Dオーバーレイデータの表示に対するユーザ要求を遅延させることを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報を表示するための再生デバイスであって、
前記3Dビデオストリームに関連する深度競合間隔のセットを、前記3Dビデオストリームおよび前記3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソースから読み出すことであって、前記深度競合間隔のセットは、前記立体3Dビデオ情報と共に提供され、及び深度競合間隔は、その間、前記3Dビデオストリームの最小深度値が、前記3Dオーバーレイグラフィックの表示のために提供される深度範囲内に含まれるか又は、その間、前記3Dビデオストリームの最小深度値もしくは前記3Dオーバーレイグラフィックの表示のために提供される深度範囲の最小深度値がオーサリングプロセスで定義されるコンフォートゾーンの外側となるタイムスパンを示す、ことと、
対応する深度競合を解消するために、前記3Dビデオストリームの表示または前記3Dオーバーレイグラフィックの表示を、前記深度競合間隔によって示される前記タイムスパンのうちの1つに位置する前記3Dビデオストリームのタイムコードに適合させることと、
を行うように構成される、前記再生デバイス。
【請求項8】
3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報をオーサリングするための方法であって、
複数のタイムコードに対する前記3Dビデオストリームの立体表示用のZ空間における深度範囲を判定するステップと、
前記3Dオーバーレイグラフィックを置くためのZ空間における深度範囲を判定するステップと、
表示スクリーンプレーンを囲むコンフォートゾーンを定義するステップであって、前記コンフォートゾーンは、前記立体3Dビデオ情報の好適な表示用のZ空間における深度範囲を指定する、前記ステップと、
その間、前記3Dビデオストリームの最小深度値が、前記3Dオーバーレイグラフィックの表示のために提供される深度範囲内に含まれるか又は、その間、前記3Dビデオストリームの最小深度値もしくは前記3Dオーバーレイグラフィックの表示のために提供される深度範囲の最小深度値が前記コンフォートゾーンの外側となるタイムスパンを判定するステップと、
前記判定されたタイムスパンを示す深度競合間隔のセットを判定するステップと、
前記3Dビデオストリームおよび前記3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソース上に深度競合間隔の前記セットを記憶するステップと、
を備える、前記方法。
【請求項9】
3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報をオーサリングするための装置であって、
複数のタイムコードに対する前記3Dビデオストリームの立体表示用のZ空間における深度範囲を判定することと、
前記3Dオーバーレイグラフィックを置くためのZ空間における深度範囲を判定することと、
表示スクリーンプレーンを囲むコンフォートゾーンを定義することであって、前記コンフォートゾーンは、前記立体3Dビデオ情報の好適な表示用のZ空間における深度範囲を指定することと、
その間、前記3Dビデオストリームの最小深度値が、前記3Dオーバーレイグラフィックの表示のために提供される深度範囲内に含まれるか又は、その間、前記3Dビデオストリームの最小深度値もしくは前記3Dオーバーレイグラフィックの表示のために提供される深度範囲の最小深度値が前記コンフォートゾーンの外側となるタイムスパンを判定することと、
前記判定されたタイムスパンを示す深度競合間隔のセットを判定することと、
前記3Dビデオストリームおよび前記3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソース上に深度競合間隔の前記セットを記憶することと、
を行うように構成される、前記装置。
【請求項10】
3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソースであって、前記メディアソースは、前記3Dビデオストリームに関連する深度競合間隔のセットをさらに備え、前記深度競合間隔のセットはオーサリングプロセスで判定され、深度競合間隔は、その間、前記3Dビデオストリームの最小深度値が、前記3Dオーバーレイグラフィックの表示のために提供される深度範囲内に含まれるか又は、その間、前記3Dビデオストリームの最小深度値もしくは前記3Dオーバーレイグラフィックの表示のために提供される深度範囲の最小深度値がオーサリングプロセスで定義されるコンフォートゾーンの外側となるタイムスパンを示し、前記深度競合間隔のセットは、立体3Dビデオ情報を表示する再生デバイスによって読み出されるとき、対応する深度競合を解消するために、前記3Dビデオストリームの表示または前記3Dオーバーレイグラフィックの表示を、前記深度競合間隔によって示される前記タイムスパンのうちの1つに位置する前記3Dビデオストリームのタイムコードに適合させるために用いられる、前記メディアソース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報をオーサリングするための方法および装置に関する。さらに、本発明は、そのような立体3Dビデオ情報を表示するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の立体3D映画の興行的成功により、家庭用娯楽機器にも3Dビデオを取り入れることが望まれている。使用可能な第1のソリューションの1つとして、Blu−ray(登録商標)3Dフォーマットがある。好適には、3D映画は、いわゆるコンフォートゾーン(comfort zone)の内側で表示される。コンフォートゾーンの判定は、今もなお盛んに研究が行われている分野である。典型的には、コンフォートゾーンは、スクリーンの裏側のある場所からスクリーンの前の視聴者までの最短距離に広がるZ空間の間隔を表す。このコンフォートゾーンの判定に対する1つの選択が、いわゆる1/3ディオプターの法則である。さらに、1/3ディオプターの法則によるコンフォートゾーンの領域は、視聴者またはユーザとスクリーンとの間の距離によって決まる。コンフォートゾーンの外側での3D要素の再生は、特別なシーンに限定されなければならず、ユーザに不快感を与えないように注意して行わなければならない。
【0003】
Blu−ray3Dフォーマットは、立体3Dビデオをサポートするだけでなく、ユーザメニューのような立体3D対話型アプリケーションなどの、立体3D補助情報もサポートし、その情報は、好適にはJava(登録商標)プログラミング言語で記述される。
【0004】
対話型メニューは、ユーザが特定のシーン、異なるオーディオトラックなどを選択するようにさせることができる。さらに、3D字幕または文字情報を立体再生に付加できる。典型的には、メインビデオストリームの前に存在するそのような情報を、オーバーレイグラフィックと呼ぶ。
【0005】
快適な3Dユーザ体験を提供するための1つの技術的な課題は、視覚的な非ビデオ要素、即ち、上述の対話型メニューなどのオーバーレイグラフィックとメインビデオストリームとをZ空間において調整することである。一般に、いわゆる深度競合を回避しなければならず、そしてオーバーレイグラフィックを3Dメインビデオストリームの前に置かなければならない。好適には、対話型グラフィックを、できれば字幕の前に置くべきである。例えば、メインビデオストリームとユーザメニューとの間の深度競合は、両方の要素の少なくとも一部がZ空間の同じ場所を占める場合に起こる。競合するこのような範囲において、ユーザの視聴体験は、不愉快なものである。
【0006】
文書WO2009/083863A1は、3Dメインビデオストリームの前に存在する3Dオーバーレイグラフィックの表示方法を開示している。深度競合による閉塞を防ぐために、Z空間で使用可能な深度範囲は、別個のサブ領域に分割される。Z空間のそれぞれのサブ領域は、オーバーレイデータ、メインビデオストリーム、字幕用などに保存される。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報を表示するための方法を提供することを目的とし、立体3Dビデオ情報を表示するためのデバイスおよびシステムの再生は、より快適でフレキシブルな3Dビデオ情報の再生を可能にするデバイスおよびメディアソースの再生を備える。
【0008】
本発明の第1の態様に従って、3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報を表示するための方法は、
a)3Dビデオストリームに関連する競合間隔のセットを、3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソースから読み出すステップであって、競合間隔のセットは、立体3Dビデオ情報と一緒に提供されることと、競合間隔は、3Dビデオストリームの特定のタイムコードに対し、3Dビデオストリームと3Dオーバーレイグラフィックの参照プレーンとの間の深度競合か、または3Dオーバーレイグラフィックとオーサリングプロセスで定義されるコンフォートゾーンとの間の深度競合が存在することを示すことと、
b)対応する深度競合を解消するために、3Dビデオストリームの表示または3Dオーバーレイグラフィックの表示を、競合間隔のうちの1つに位置する3Dビデオストリームのタイムコードに適合させるステップとを備える。
【0009】
本発明に従った方法を実装するために、3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報を表示するための再生デバイスは、
a)3Dビデオストリームに関連する競合間隔のセットを、3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソースから読み出すことであって、競合間隔のセットは、立体3Dビデオ情報と一緒に提供されることと、競合間隔は、3Dビデオストリームの特定のタイムコードに対し、3Dビデオストリームと3Dオーバーレイグラフィックの参照プレーンとの間の深度競合か、または3Dオーバーレイグラフィックとオーサリングプロセスで定義されるコンフォートゾーンとの間の深度競合が存在することを示すことと、
b)対応する深度競合を解消するために、3Dビデオストリームの表示または3Dオーバーレイグラフィックの表示を、競合間隔のうちの1つに位置する3Dビデオストリームのタイムコードに適合させることを行うように構成される。
【0010】
本発明に従って、競合間隔のセットは、再生デバイスに渡される。3Dビデオストリームの任意の特徴に対するZ空間の深度が、Z空間の参照プレーンと競合する場合、深度競合は、3Dオーバーレイグラフィックと参照プレーンとの間に存在する。同様に、3Dオーバーレイグラフィックの任意の特徴に対するZ空間の深度が、コンフォートゾーンの外側である場合、深度競合は、3Dオーバーレイグラフィックとコンフォートゾーンとの間に存在する。3Dビデオストリームの表示と参照プレーンの表示との間の深度競合を解消するために、3Dビデオストリームまたは3Dオーバーレイグラフィックの再生を、競合間隔のうちの1つに位置する3Dビデオストリームのタイムコードに適合させる。本発明によるソリューションは、従って、3Dビデオストリームまたは3Dオーバーレイグラフィックのいずれかの表示用の深度空間の固定を回避する。このような静的ソリューションの代わりに、ユーザに不快感を与えないようにするために、メインビデオストリームまたはオーバーレイグラフィックのいずれかの再生を適合させる。有利には、深度競合は、競合間隔のセットを1フレーム単位または所定の時間間隔で単純に検査することによって回避される。
【0011】
好適には、競合間隔のセットは、3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソースから読み出される。このためメディアソースは、3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックに加えて、競合間隔のセットを備える。競合間隔のセットは、深度競合が、3Dビデオストリームと3Dオーバーレイグラフィックの参照プレーンとの間か、または3Dオーバーレイグラフィックとコンフォートゾーンとの間に存在するような競合間隔を示す。有利には、競合間隔のセットは、3Dビデオストリームと3Dオーバーレイグラフィックのオーサリング中に判定され、そしてメディアソースに記憶される。
【0012】
有利には、3Dオーバーレイグラフィックの表示を適合させるステップは、競合間隔に対する最初の参照プレーンとは異なるシフト参照プレーンを判定することを備えることであって、深度競合が解消されるように、シフト参照プレーンのZ空間の位置が選択される。このようにして、オーバーレイグラフィックが3Dビデオストリームの前に置かれるので、閉塞およびアーチファクトが回避される。好適には、ビデオ深度情報が、メインビデオストリームの3次元表示の深度がもはや参照プレーンを超えないことを示す場合、参照プレーンは、自身の最初の位置までシフトバックされる。さらに好適には、それぞれの競合間隔は、競合間隔のセットから削除される。
【0013】
好適には、3Dオーバーレイグラフィックの表示を適合させるステップは、3Dオーバーレイグラフィックとコンフォートゾーンとの間の深度競合が解消されるように、3DオーバーレイグラフィックのZ空間の拡張を変えることを備える。3Dオーバーレイデータの深度を動的に調整することによって、最適なユーザ体験が保たれる。一方ではユーザは、オーバーレイデータ3D表示を楽しみ、他方ではコンフォートゾーンは、越えることなく、快適な視聴体験が保証される。
【0014】
代替として、3Dオーバーレイグラフィックの表示を適合させるステップは、3Dオーバーレイグラフィック用のまたは3Dビデオストリーム用の表示モードを立体3Dモードから平面2Dモードに切り替えることを備える。表示モードを好適な3Dモードから2Dまたは平面表示モードに切り替えることによって、3Dオーバーレイグラフィックと3Dビデオストリームとの間の深度競合を回避できる。3Dビデオストリームの表示モードが2Dまたは平面表示モードに切り替わる場合、メインビデオストリームの3D効果は、一定の時間期間犠牲になる。しかしながら、これは、ユーザの主な焦点がビデオストリームよりはむしろ3Dオーバーレイグラフィックに集まりやすいので、受け入れ可能である。好適には、表示モードは、後のビデオストリームのランタイムにおいて3D表示にスイッチバックされる。これは、それぞれの競合間隔が、ビデオストリームの3D表示がもはや参照プレーンを超えないまたはコンフォートゾーンを侵害しないことを示す場合に実行される。有利には、3Dビデオ効果は、必要な間のみ、即ち、最小時間期間犠牲になる。ユーザは、できるだけ長くメインビデオストリームの3D表示ならびにオーバーレイグラフィックの3D表示を楽しむ。
【0015】
本発明の別の態様に従って、3Dオーバーレイグラフィックの表示を適合させるステップは、少なくとも一部の3Dオーバーレイグラフィックの透明度値を適合させることを備える。好適には、透明度値は、深度競合を引き起こす一部の3Dオーバーレイグラフィックに適合される。有利には、ビデオストリームの表示を妨げないように、オーバーレイグラフィックの少なくとも競合する部分は、より透過的もしくは不可視である。
【0016】
好適には、3Dオーバーレイグラフィックの表示を適合させるステップは、競合間隔が終わるまで3Dオーバーレイデータの表示に対するユーザ要求を遅延させることを備える。しばしば、ユーザメニューは、ユーザコマンドによって起動するいわゆるポップアップメニューによって組織される。具体的な事例において、ユーザは、そのようなメニューを開こうとし、好適には、砂時計などのグラフィックインジケータは、短い時間期間の後にそれぞれのメニューが開くことを示す。結果的に、後のビデオストリームのランタイムにおいて、深度競合が全く起きないので、メインビデオストリームの全深度ならびに3Dメニューの適正な深度が実行可能である。
【0017】
本発明の別の態様に従って 3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報をオーサリングするための方法は、
a)複数のタイムコードに対する3Dビデオストリームの立体表示用のZ空間の深度範囲を判定するステップと、
b)3Dビデオと参照プレーンとの間の深度競合が低減されるように、3Dオーバーレイグラフィックを置くためのZ空間の参照プレーンを判定するステップと、
c)表示スクリーンプレーンを囲み、および参照プレーンを備えるコンフォートゾーンを定義するステップであって、コンフォートゾーンは、立体3Dビデオ情報の好適な表示用のZ空間の深度範囲を指定することと、
d)参照プレーンと3Dビデオストリームとの間の深度競合がそれぞれのタイムコードに対して残存するかどうかおよび/またはコンフォートゾーンと3Dオーバーレイグラフィックとの間の深度競合がそれぞれのタイムコードに対して存在するかどうかを判定するステップと、
e)参照プレーンと3Dビデオストリームとの間の深度競合が残存するおよび/またはコンフォートゾーンと3Dオーバーレイグラフィックとの間の深度競合が存在するそれぞれのタイムコードによって定義される競合間隔のセットを判定するステップと、
f)3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソース上に競合間隔のセットを記憶するステップとを備える。
【0018】
同様に、3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報をオーサリングするための装置は、
a)複数のタイムコードに対する3Dビデオストリームの立体表示用のZ空間の深度範囲を判定することと、
b)3Dビデオと参照プレーンとの間の深度競合が低減されるように、3Dオーバーレイグラフィックを置くためのZ空間の参照プレーンを判定することと、
c)表示スクリーンプレーンを囲み、および参照プレーンを備えるコンフォートゾーンを定義することであって、コンフォートゾーンは、立体3Dビデオ情報の好適な表示用のZ空間の深度範囲を指定することと、
d)参照プレーンと3Dビデオストリームとの間の深度競合がそれぞれのタイムコードに対して残存するかどうかおよび/またはコンフォートゾーンと3Dオーバーレイグラフィックとの間の深度競合がそれぞれのタイムコードに対して存在するかどうかを判定することと、
e)参照プレーンと3Dビデオストリームとの間の深度競合が残存するおよび/またはコンフォートゾーンと3Dオーバーレイグラフィックとの間の深度競合が存在するそれぞれのタイムコードによって定義される競合間隔のセットを判定することと、
f)3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソース上に競合間隔のセットを記憶することを行うように構成される。
【0019】
第1のステップにおいて、複数のタイムコードに対して、3Dビデオストリームの立体表示用のZ空間の深度範囲を判定する。深度範囲の判定を、画像のステレオペアによる視差推定によって実行できるか、またはコンピュータ生成コンテンツの場合、3次元仮想環境から得ることができる。その後、参照プレーンは、Z空間の特定のポイントに設定される。3Dオーバーレイグラフィックは、参照プレーンから視聴者に面した上位閾値までに及ぶZ空間の深度間隔で表示される。参照プレーンは、3Dビデオと参照プレーンとの間の深度競合がある程度回避されるような方法で設定される。さらに、表示スクリーンプレーンを囲み、および参照プレーンを備えるコンフォートゾーンが定義される。コンフォートゾーンは、立体3Dビデオ情報の好適な表示を行うためのZ空間の深度範囲を定義する。その後、参照プレーンと3Dビデオストリームとの間の残存する深度競合が判定され、そこにおいて3Dビデオストリームの任意の特徴に対するZ空間の深度が、Z空間の参照プレーンと競合する場合、深度競合は、3Dオーバーレイグラフィックと参照プレーンとの間に存在する。代替または追加として、コンフォートゾーンと3Dオーバーレイグラフィックとの間の深度競合が判定され、そこにおいて3Dオーバーレイグラフィックの任意の特徴が、視聴者に面したコンフォートゾーンの上位閾値のZ空間で競合する場合、コンフォートゾーンと3Dオーバーレイグラフィックとの間の深度競合が存在する。判定された競合間隔は、競合間隔のセットに付加される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明のさらなる態様は、添付の図面を参照しながら、以下の本発明の例示的実施形態の説明から続く。
図1】立体3Dビデオストリームの深度が時間とともにどのように変わるか、そして3Dメインビデオストリームの再生と3Dオーバーレイグラフィックの再生との間の深度競合がどのように生じるかを示すグラフである。
図2】参照プレーンのZ空間における位置およびオーバーレイグラフィックを表示するための深度範囲の適合を示す図である。
図3】メインビデオストリームの表示が3Dモードから2Dモードに切り替わることによる、さらなる実施形態を示す図である。
図4】深度競合により3Dオーバーレイグラフィックの再生が遅延する、本発明の別の実施形態を示す図である。
図5】3Dメインビデオストリームおよびオーバーレイグラフィックの再生を時間依存グラフで示し、そこにおいて深度競合がオーバーレイグラフィックの透明度値を変えることによって解消されることを示す図である。
図6】特殊な深度競合の場合の時間依存グラフにおける3Dメインビデオストリームおよびオーバーレイグラフィックの再生を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、時間tについて立体3DメインビデオストリームVSの深度Zを示したプロットである。さらに、オーバーレイグラフィックの表示範囲の深度ODが斜線範囲で示されている。ビデオストリームVSの最小深度値Zv,min(t)および最大深度値Zv,max(t)は、時間とともに変わるが、オーバーレイグラフィックの表示の深度範囲ODは、時間とともに一定である。オーバーレイグラフィックの表示の深度範囲ODは、参照プレーンのZ空間の深度値を示す深度Zrefから始まり、コンフォートゾーンの最小値Zcomfort,minで終了する。一般に、ビデオ情報の再生は、好適には、スクリーンの深度Zscreen近くに位置する。好適には、3Dビデオ情報は、Z空間におけるコンフォートゾーンの最小深度Zcomfort,min、およびコンフォートゾーンの最大深度Zcomfort,maxで定義される、コンフォートゾーンの内側に位置する。
【0022】
コンフォートゾーンは、快適な3D視聴体験の態様を考慮するものである。Z空間のコンフォートゾーンの境界は、経験値でありうる。別の選択は、1/3ディオプターの法則および参照視聴環境の助けによるコンフォートゾーンの定義である。これは、輻輳−調節間の競合を制限することを目的とする。コンフォートゾーンは、スクリーンの位置近くのZ空間の間隔Zscreen、即ち、ユーザの3Dテレビを表す。コンフォートゾーンは、スクリーンの裏側のある場所からスクリーンの前のある場所まで広がる。コンフォートゾーンはさらに、ユーザとスクリーンとの間の距離によって決まる。コンフォートゾーンの外側の3D要素の配置を制限して、ユーザに不快感を与えないように注意して行わなければならない。
【0023】
t1以前の時間期間では、ビデオストリームVSおよびオーバーレイグラフィックODの両方を、使用可能なコンフォートゾーン内で表示できるが、t1においては、深度競合が生じる。このような深度競合は、ユーザの不快感につながる。t2以降の時間において、メインビデオストリームVSの深度は、参照プレーンの深度Zrefの後ろに下がり、そして深度競合が解消される。しかしながら、タイムスパンt1−t2において、ユーザは、不快な視聴体験をするかもしれない。さらに、図1に示すように、ほとんどの時間、オーバーレイグラフィックODは、必要以上に視聴者の近くに位置している。言い換えれば、ビデオストリームVSの最短距離Zv,min(t)と参照プレーンの深度Zrefとの間にZ空間が残っている。3Dステレオ表示において、非ビデオグラフィック要素をスクリーンプレーンのできるだけ近くに置いて、いわゆるゴーストアーチファクトを最小限にすることが望ましい。技術的観点から、これらは、左チャネルと右チャネルとの間のクロストークの効果である。
【0024】
図2は、参照プレーンの時間依存による位置決めZref(t)を示す。再度、この図は、メインビデオストリームVSおよびオーバーレイグラフィックODの深度範囲を時間依存値として示す。参照プレーンZrefは、スクリーンの深度Zscreenの近くに位置し、好適には、その深度と同一である。このことは、ゴースト効果を低減し、さらに好適には、輻輳調節間の競合を削減する利点を有する。最終的に、これによって、3Dオーバーレイグラフィックの表示用のZ空間を広げることが可能になる。しかしながら、t1において、オーバーレイグラフィックODと立体3DメインビデオストリームVSとの間の深度競合が起こる。
【0025】
参照プレーンのZ空間位置Zref(t)は、時間とともに可変であり、そしてt1とt4との間の斜線で示すように、メインビデオストリームVSの最短距離Zv,min(t)に従ってビデオストリームVSの再生の深度に適合される。参照プレーンZrefの適合は、好適には、1フレーム単位で、例えば、オーサリング中に実行される。しかしながら、それを、再生中にオンザフライで同様に実行することができる。この場合、オーバーレイグラフィックの深度範囲ODに対応する適合の頻度および精度は、異なるシステム用に変えることができる。リアルタイム能力システムにおいて、更新が1フレーム単位で実行可能となり、最高のユーザ体験につながる。しかしながら、対話型アプリケーションを非リアルタイムなJavaプラットホームに実装しなければならない場合、深度調整をビデオフレームに完全に同期することができない。また、プロセスが組み込まれた消費者用機器の計算能力は、制限される。このような場合、メインビデオストリームの各フレームに対する深度の更新が不可能であるかもしれないし、タイミングに対して正確でないかもしれない。しかしながら、1フレームの更新頻度がより少なく、そして場合によっては不完全なタイミング調整であっても、ユーザ体験は、調整を全く行わないよりもかなり良いであろう。さらに、プログラマー/作成者は、参照プレーンZref(t)の更新が1フレーム単位で行われないことを考慮して、参照プレーンZref(t)の位置とメインビデオストリームの最小深度Zv,min(t)との間の安全マージンを予測することができる。
【0026】
図2において、t1とt2との間の参照プレーンZref(t)は、メインビデオストリームVSとオーバーレイデータとの間の深度競合を回避するようにシフトされる。しかしながら、t2において、オーバーレイデータの最小深度ZOD,min(t)は、コンフォートゾーンの最小深度Zcomfort,minと競合している。コンフォートゾーンを越えないようにするために、オーバーレイグラフィックの表示用の深度範囲は、参照プレーンZref(t)とコンフォートゾーンの最小深度Zcomfort,minとの間の使用可能な深度に低減される。従って、t2とt3との間のオーバーレイグラフィックODの表示用の深度範囲は、浅い深度まで平坦化され、一方、t3において、オーバーレイグラフィックODの表示と最小コンフォートゾーンZcomfort,minとの間の深度競合が解消され、そしてオーバーレイグラフィックは、自身の元の深度に戻ることができる。t4において、メインビデオストリームVSの深度は、参照プレーンZref(t)の後ろに下がり、そしてオーバーレイグラフィックODの表示は、自身の元の深度に戻る。
【0027】
動的深度の調整の場合、必要なデータを、それぞれのアプリケーションによるか、または立体3Dビデオ情報のプレイバック用のそれぞれの再生デバイスによるさまざまなやり方で読み出すことができる。メディアタイム、即ち、メインビデオのランタイムまたはタイムコードは、通常、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)を介して読み出し可能である。Z空間の参照プレーンの位置も、API経由でアプリケーションランタイムにおいて読み出し可能であるか、またはデータファイルを介してアプリケーションに提供できる。競合間隔のリストを再生ユニットに渡すことができる。メインビデオストリームの特定のランタイムの場合、例えば、ユーザが3Dメニューの表示を要求する場合、再生デバイスは、競合間隔のリストを検査する。深度競合を回避しなければならない場合、適切な対策が実行される。
【0028】
図3は、本発明の別の実施形態を示す。開始シナリオは、図1の即ち、オーバーレイデータODの表示用の参照プレーンZrefおよび深度範囲が一定である開始シナリオに相当する。t1以前では、ビデオストリームVSの表示とオーバーレイデータODの表示との間の深度競合が起きていない。しかしながら、t1とt2との間の一定の時間期間中では、深度競合が存在する。これを回避するために、ビデオストリームVSは、平面(2D)ビデオのみによって示される。メインビデオストリームVSの深度情報、即ち、競合間隔のリストが、t2の事例において、現在の深度競合間隔が終了したことを示す場合、表示モードは、3Dモードにスイッチバックされる。もちろん、オーバーレイグラフィックODの表示モードを平面2Dモードに切り替えることも同様に実行可能である。このため、再生デバイスは、好適には、APIをそれぞれのアプリケーションに提供して、そのアプリケーションの表示モードを切り替える。明白には、t1とt2との間では、参照プレーンZrefの位置を、スクリーンの深度Zscreenとコンフォートゾーンの最小深度Zcomfort,minとの間で、例えば、コンテンツ作成者の選択によって自由に選択できる。好適には、それは、時間がたっても一定であり、スクリーンの深度Zscreenに近くなるように設定される。好適には、t1およびt2は、Zv,min(t)がZref(t)に等くなる時間になるように定義される。しかしながら、t1をより小さく選択して、t2をより大きく選択することもできる。
【0029】
図3に従った実施形態は、Z空間の参照プレーンZrefの位置を更新する必要がないので、実現し易いという利点がある。対話型アプリケーションの3D深度の調整も必要ない。
【0030】
図4は、本発明のさらなる実施形態の図であり、ここでのオーバーレイグラフィックODは、いわゆるポップアップメニューである。時間tpop_upにおいてユーザの動作によってトリガされて−ビデオストリームVSは、なおも3Dモードで再生している−ポップアップメニューが開く見通しである。しかしながら、図4から明らかなように、これは、メインビデオストリームVSとオーバーレイグラフィックODとの間の深度競合を引き起こすであろう。実施形態に従って、ユーザコマンドは、時間tdelayの間遅延し、その間ユーザは、保留中のユーザコマンドを示す、砂時計などのグラフィックインジケータを見せられる。この遅延時間は、時間t1において満了し、その時に深度競合が解消される。言い換えれば、遅延時間tdelayは、深度競合を防ぐために十分長いものが選択される。競合間隔の終了時に、ポップアップメニューが3Dで表示される。
【0031】
本発明の別の態様に従って、図5および図6を参照しながら、さらに2つの実施形態を説明する。図5は、図1および図2と同様のシナリオを示す。t1とt2との間では、メインビデオストリームVSとオーバーレイグラフィックODとの間の深度競合が表示される。この深度競合を解消するために、少なくとも一部のオーバーレイグラフィックを透過的する。好適には、メインビデオストリームとの深度競合を引き起こすオーバーレイグラフィックのそれぞれの部分またはピクセルが唯一透過的である。図5において、これは、オーバーレイグラフィックODの表示を示す斜線範囲とVSの範囲(t1とt2との間)との間の共通部分で示される。好適には、メインビデオストリームVSの可視性を妨げないようにするために、オーバーレイグラフィックまたはその一部は、完全に透過的に設定される。言い換えれば、オーバーレイデータは、一部または完全に消失する。メインビデオストリームVSの表示は、優先度を有する。代替として、オーバーレイグラフィック情報ODを完全に透過的なやり方でレンダリングする代わりに、3Dグラフィック出力のそれぞれの部分を完全に除去するように決定できる。
【0032】
図6に従うと、t1とt4との間では、メインビデオストリームVSの表示とオーバーレイグラフィックODの表示との間の競合が存在する。t2とt3との間では、特殊な競合が起こる。メインビデオストリームVSは、例えば、望ましい特別な効果により、コンフォートゾーンの最小深度Zcomfort,minを侵害する。従って、オーバーレイグラフィックODの表示用に残された空間が全くない。従って、オーバーレイグラフィックODの表示の深度を平面2D表示に削減でき、好適には、コンフォートゾーンの最小深度Zcomfort,minに位置する。代替として、オーバーレイグラフィックODをそれぞれの時間間隔において透過的にできる。
【0033】
本発明を特定の実施形態に関連して上記で説明したが、本発明は、そのような実施形態に限定されず、主張した発明の範囲内にある当業者が、さらなる代替形態を思い付くことは疑いない。
(付記1)
3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報を表示するための方法であって、
a)前記3Dビデオストリームに関連する競合間隔のセットを、前記3Dビデオストリームおよび前記3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソースから読み出すステップであって、前記競合間隔のセットは、前記立体3Dビデオ情報と共に提供され、及び競合間隔は、前記3Dビデオストリームの特定のタイムコードに対し、前記3Dビデオストリームと前記3Dオーバーレイグラフィックの参照プレーンとの間の深度競合、または前記3Dオーバーレイグラフィックとオーサリングプロセスで定義されるコンフォートゾーンとの間の深度競合が存在することを示す、前記ステップと、
b)対応する深度競合を解消するために、前記3Dビデオストリームの表示または前記3Dオーバーレイグラフィックの表示を、前記競合間隔のうちの1つに位置する前記3Dビデオストリームのタイムコードに適合させるステップと、
を備える、前記方法。
(付記2)
前記3Dオーバーレイグラフィックの前記表示を適合させるステップは、前記3Dオーバーレイグラフィックと前記コンフォートゾーンとの間の前記深度競合が解消されるように前記3DオーバーレイグラフィックのZ空間の拡張を変えることを備える、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記3Dオーバーレイグラフィックの前記表示を適合させるステップは、前記3Dオーバーレイグラフィック用のまたは前記3Dビデオストリーム用の表示モードを立体3Dモードから平面2Dモードに切り替えることを備える、付記1に記載の方法。
(付記4)
前記3Dオーバーレイグラフィックの前記表示を適合させるステップは、少なくとも一部の前記3Dオーバーレイグラフィックの透明度値を適合させることを備える、付記1に記載の方法。
(付記5)
前記透明度値は、前記深度競合を引き起こす前記3Dオーバーレイグラフィックの一部に適合される、付記4に記載の方法。
(付記6)
前記3Dオーバーレイグラフィックの前記表示を適合させるステップは、前記競合間隔の終わりまで3Dオーバーレイデータの表示に対するユーザ要求を遅延させることを備える、付記1に記載の方法。
(付記7)
3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報を表示するための再生デバイスであって、
a)前記3Dビデオストリームに関連する競合間隔のセットを、前記3Dビデオストリームおよび前記3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソースから読み出すことであって、前記競合間隔のセットは、前記立体3Dビデオ情報と共に提供されることと、及び競合間隔は、前記3Dビデオストリームの特定のタイムコードに対し、前記3Dビデオストリームと前記3Dオーバーレイグラフィックの参照プレーンとの間の深度競合、または前記3Dオーバーレイグラフィックと前記オーサリングプロセスで定義されるコンフォートゾーンとの間の深度競合が存在することを示す、ことと、
b)前記対応する深度競合を解消するために、前記3Dビデオストリームの表示または前記3Dオーバーレイグラフィックの表示を、前記競合間隔のうちの1つに位置する前記3Dビデオストリームのタイムコードに適合させることと、
を行うように構成される、前記再生デバイス。
(付記8)
3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報をオーサリングするための方法であって、
a)複数のタイムコードに対する前記3Dビデオストリームの立体表示用のZ空間における深度範囲を判定するステップと、
b)Z空間における参照プレーンを判定して、前記3Dビデオと前記参照プレーンとの間の前記深度競合が低減されるように前記3Dオーバーレイグラフィックを置くステップと、
c)表示スクリーンプレーンを囲み、および前記参照プレーンを備えるコンフォートゾーンを定義するステップであって、前記コンフォートゾーンは、前記立体3Dビデオ情報の好適な表示用のZ空間における深度範囲を指定する、前記ステップと、
d)前記参照プレーンと前記3Dビデオストリームとの間の深度競合が、それぞれのタイムコードに対して残存するかどうか、および/または前記コンフォートゾーンと前記3Dオーバーレイグラフィックとの間の深度競合が前記それぞれのタイムコードに対して存在するかどうかを判定するステップと、
e)前記参照プレーンと前記3Dビデオストリームとの間で深度競合が残存する、および/または前記コンフォートゾーンと前記3Dオーバーレイグラフィックとの間で深度競合が存在する前記それぞれのタイムコードによって定義される競合間隔のセットを判定するステップと、
f)前記3Dビデオストリームおよび前記3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソース上に競合間隔の前記セットを記憶するステップと、
を備える、前記方法。
(付記9)
前記3Dビデオストリームの任意の特徴に対するZ空間の前記深度が、Z空間の前記参照プレーンと競合する場合、深度競合は、前記3Dオーバーレイグラフィックと前記参照プレーンとの間に存在する、付記8に記載の方法。
(付記10)
前記3Dオーバーレイグラフィックの任意の特徴が、視聴者に面した前記コンフォートゾーンの上位閾値のZ空間で競合する場合、前記コンフォートゾーンと前記3Dオーバーレイグラフィックとの間で深度競合が存在する、付記8または9に記載の方法。
(付記11)
3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備える立体3Dビデオ情報をオーサリングするための装置であって、
a)複数のタイムコードに対する前記3Dビデオストリームの立体表示用のZ空間における深度範囲を判定することと、
b)Z空間における参照プレーンを判定して、前記3Dビデオと前記参照プレーンとの間の前記深度競合が低減されるように前記3Dオーバーレイグラフィックを置くことと、
c)表示スクリーンプレーンを囲み、および前記参照プレーンを備えるコンフォートゾーンを定義することであって、前記コンフォートゾーンは、前記立体3Dビデオ情報の好適な表示用のZ空間における深度範囲を指定することと、
d)前記参照プレーンと前記3Dビデオストリームとの間の深度競合が、前記それぞれのタイムコードに対して残存するかどうか、および/または前記コンフォートゾーンと前記3Dオーバーレイグラフィックとの間の深度競合が前記それぞれのタイムコードに対して存在するかどうかを判定することと、
e)前記参照プレーンと前記3Dビデオストリームとの間で深度競合が残存する、および/または前記コンフォートゾーンと前記3Dオーバーレイグラフィックとの間で深度競合が存在する前記それぞれのタイムコードによって定義される競合間隔のセットを判定することと、
を行うように構成される、前記装置。
(付記12)
3Dビデオストリームおよび3Dオーバーレイグラフィックを備えるメディアソースであって、前記メディアソースは、前記3Dビデオストリームに関連する競合間隔のセットをさらに備え、競合間隔のセットはオーサリングプロセスで判定され、競合間隔は、前記3Dビデオストリームの特定のタイムコードに対し、前記3Dビデオストリームと前記3Dオーバーレイグラフィックの参照プレーンとの間の深度競合、または前記3Dオーバーレイグラフィックと前記オーサリングプロセスで定義されるコンフォートゾーンとの間の深度競合が存在することを示す、前記メディアソース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6