特許第5948412号(P5948412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948412
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】拡張型プローブおよびそれを含む機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20160623BHJP
【FI】
   A61B18/14
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-517078(P2014-517078)
(86)(22)【出願日】2012年6月19日
(65)【公表番号】特表2014-524789(P2014-524789A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】US2012043061
(87)【国際公開番号】WO2012177588
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2013年12月19日
(31)【優先権主張番号】61/499.270
(32)【優先日】2011年6月21日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクラウォーン,タイラー・イー
(72)【発明者】
【氏名】サーチ,ビハー・シィ
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−183927(JP,A)
【文献】 国際公開第2000/047123(WO,A1)
【文献】 実公昭52−041983(JP,Y2)
【文献】 実開平5−041509(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12 ― 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトであって、近位部と、遠位部と、シャフト内に少なくとも部分的に延びるルーメンと、縦軸と、を有するシャフトと、
前記遠位部に動作的に接続されたアームであって、第一の表面を有し、これが前記第一の表面の少なくとも一部を覆うように延びる電極を含み、前記電極がエネルギー源に動作的に接続される第1のアームと、
前記遠位部に動作的に接続されたアームであって、第一の表面を有し、これが前記第一の表面の少なくとも一部を覆うように延びる電極を含むみ、前記電極が前記エネルギー源に動作的に接続される第2のアームと
を含む拡張型プローブであって、
前記第1および第2のアームが独立して前記縦軸から離れて延びることができ、
前記第1のアームは閉じた形態および拡張形態を含み、前記第1のアームは、前記閉じた形態において、前記縦軸に対して実質的に平行に延び、前記拡張形態において、前記第1のアームは前記縦軸から離れて延び、
前記第2のアームは閉じた形態および拡張形態を含み、前記第2のアームは、前記閉じた形態において、前記縦軸に対して実質的に平行に延び、前記拡張形態において、前記第2のアームは前記縦軸から離れて延び、
前記第1のアームの前記電極は、前記第1のアームの前記閉じた形態および前記拡張形態において、前記第1のアームの前記第一の表面が治療対象の組織の表面と接触して、該組織を前記組織の表面で焼灼するように動作可能であり、
前記第2のアームの前記電極は、前記第2のアームの前記閉じた形態および前記拡張形態において、前記第2のアームの前記第一の表面が治療対象の組織の表面と接触して、該組織を前記組織の表面で焼灼するように動作可能である拡張型プローブ。
【請求項2】
前記第1のアームが前記縦軸から90°の角度で延びる、請求項1に記載の拡張型プローブ。
【請求項3】
前記第1のアームが前記縦軸から90°未満の角度で延びる、請求項1に記載の拡張型プローブ。
【請求項4】
焼灼対象となる組織にエネルギーを送達するために、前記第1のアームが前記拡張形態にあり、前記第2のアームが前記閉じた形態にある、請求項1に記載の拡張型プローブ。
【請求項5】
前記第1のアームに動作的に接続された、前記第1のアームを前記拡張形態および前記閉じた形態に移動させるための制御ワイヤをさらに含
前記第2のアームに動作的に接続された、前記第2のアームを前記拡張形態および前記閉じた形態に移動させるための制御ワイヤをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の拡張型プローブ。
【請求項6】
前記第1のアームが第二の表面を含み、これが前記第二の表面の少なくとも一部を覆うように延びる電極を含
前記第2のアームが第二の表面を含み、これが前記第二の表面の少なくとも一部を覆うように延びる電極を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の拡張型プローブ。
【請求項7】
前記シャフトおよび前記第1のアームに動作的に接続されたヒンジ部材をさらに含
前記シャフトおよび前記第2のアームに動作的に接続されたヒンジ部材をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の拡張型プローブ。
【請求項8】
前記ルーメンに動作的に接続されたフラッシュポートをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の拡張型プローブ。
【請求項9】
前記第1のアームの前記電極が双極電極を含
前記第2のアームの前記電極が双極電極を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の拡張型プローブ。
【請求項10】
前記第1のアームが透明材料または半透明材料を含
前記第2のアームが透明材料または半透明材料を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の拡張型プローブ。
【請求項11】
前記第1のアームがエネルギー伝送材料を含
前記第2のアームがエネルギー伝送材料を含む、請求項1〜8いずれか1項に記載の拡張型プローブ。
【請求項12】
エネルギー源をさらに含み、前記エネルギー源がRFエネルギーを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の拡張型プローブ。
【請求項13】
前記1〜12のいずれか1項に記載の拡張型プローブと、
ワーキングチャネルを有する内視鏡と
を含む機器であって、
前記拡張型プローブが前記内視鏡の前記ワーキングチャネルを通じて組織部位に送達される、機器
【請求項14】
前記第1のアームの前記電極は、前記閉じた形態および前記拡張形態において、前記第1のアームの外周表面に沿って面状に延びており
前記第2のアームの前記電極は、前記閉じた形態および前記拡張形態において、前記第2のアームの外周表面に沿って面状に延びている、請求項1に記載の拡張型プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2011年6月21日に出願された米国仮特許出願第61/499,270号明細書の利益を主張するものであり、同仮出願の全体を参照によって本願に援用する。
【背景技術】
【0002】
多くの人々が患う胃食道逆流疾患(GERD)は、一般的には毎日という高い頻度で発生する胸焼けの症状を特徴とする。適切な治療を施さなければ、GERDは下部食道括約筋部(LES)、すなわち胃食道移行部にある平滑筋部が胃酸の逆流を防止するためのバリアとして機能する能力を徐々に喪失するため、食道内層のびらんを引き起こしうる。慢性GERDはまた、正常な扁平上皮粘膜が柱状粘膜へと変化する食道内層の化生変性の原因ともなりえ、これはバレット食道とも呼ばれる。バレット食道は、治療せずに放置すると食道がんに進行する可能性がある。
【0003】
バレット食道の内視鏡による治療には、内視鏡的粘膜切除(EMR)がある。EMR施行の1つの方法は粘膜表面の焼灼であり、これは表面を表層が生存不能となるまで加熱することによって行われる。その後、死滅した組織を取り除く。
【0004】
バイポーラ焼灼技術を利用したEMR施行のための治療機器が開発されており、これはプローブの遠位端を標的組織まで延ばすステップと、プローブの遠位端またはプローブの面のいずれかを組織に接触させて、プローブにエネルギーを供給することによって、プローブと接触している組織を焼灼するステップと、を含む。プローブは、膨張可能なバルーンに設置されてもよい。バルーンは、病組織を焼灼するための適正な量のエネルギーがバイポーラ焼灼機器から送達されるように、病組織との接触を実現するための所定の大きさまで膨張させなければならない。適正な焼灼を実現する正しい大きさとバルーン圧力を決定するために、まずサイズ決定用バルーンを食道内に挿入しなければならない。このサイズ決定用バルーンによって、バルーン膨張プローブを組織焼灼に使用する際の手順に余分なステップが追加される。これに加えて、膨張バルーンの位置が食道観察窓の前に来るため、標的組織を直接見ることができなくなり、健全な組織の焼灼または病組織の不完全な焼灼を招く可能性がある。
【0005】
現在の焼灼プローブの他の考えうる欠点は、1回のエネルギー印加に利用できる接触面積が内視鏡のアクセサリチャネルの大きさにより限定されるという点で、大きさが制約されることである。現在のアプレーションプローブのほとんどは、その外径が7フレンチ(Fr)または10Frのいずれかである。多くの患者において、治療を必要とする組織の面積がプローブの大きさより広いため、病組織を適正に焼灼するには、何度もプローブの位置を変えてエネルギーを印加することが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当該技術分野で求められているのは、使いやすく、治療手順に必要なステップ数と時間を最小限にし、標準的なアクセサリチャネルにぴったりと納まり、その後、機器の遠位端がアクセサリチャネルから出ると拡張し、内視鏡で直接見ながら治療をできるようにする焼灼治療機器である。
【0007】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点の1つまたは複数を解決または改善する特徴を有する機器と方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、拡張型プローブが提供される。拡張型プローブは長いシャフトを含み、これは近位部と、遠位部と、そのシャフトの中の少なくとも一部に延びるルーメンと、縦軸と、を有する。拡張型プローブはまた、遠位部に動作的に接続されるアームを含む。アームは第一の表面を有し、これは第一の表面の少なくとも一部を覆うように延びる電極を含み、電極はエネルギー源に動作的に接続される。アームは、閉じた形態と拡張した形態を有し、アームは閉じた形態において縦軸に対して実質的に平行に延び、拡張形態では、アームは縦軸から離れて延びる。
【0009】
他の態様において、患者の管腔の中の組織部位にエネルギーを送達する方法が提供される。この方法は、拡張型プローブを患者の管腔内に位置付けるステップを含む。拡張型プローブは長いシャフトを含み、これは近位部と、遠位部と、シャフトの中の少なくとも一部に延びるルーメンと、縦軸と、を有する。拡張型プローブはまた、遠位部に動作的に接続されるアームを含み、アームは第一の表面を有し、これは第一の表面の少なくとも一部を覆うように延びる電極を含む。この方法はさらに、電極にエネルギーを供給するステップと、組織を焼灼するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のある実施形態による、閉じた形態にある拡張型プローブの斜視図である。
図2】拡張形態にある、図1に示される拡張型プローブの斜視図である。
図3】本発明のある実施形態による電極の部分図である。
図4】拡張型プローブのハンドルの部分側面図である。
図5】拡張型プローブのある実施形態の側面図である
図6】ヒンジ部材を含む拡張型プローブのある実施形態の斜視図である。
図7】本発明による拡張型プローブの代替的実施形態の斜視図である。
図8】閉じた形態にある、図7に示される実施形態の斜視図である。
図9】本発明による拡張型プローブのある実施形態の斜視図である。
図10】本発明による拡張型プローブのある実施形態の斜視図である。
図11】拡張形態にある、図10に示される実施形態の斜視図である。
図12図10に示される実施形態の斜視図である。
図13図10に示される実施形態の一部の断面図である。
図14】拡張型プローブの動作を示す。
図15】拡張型プローブの動作を示す。
図16】拡張型プローブの動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら本発明を説明するが、図中、同様の要素は同様の番号で示される。本発明の様々な要素の関係と機能は、以下の詳細な説明によってよりよく理解される。しかしながら、本発明の実施形態は、図面に示されている実施形態に限定されない。理解すべき点として、図面は正確な縮尺で描かれておらず、特定の例においては、従来の製造や組立等、本発明の理解に不必要な詳細は省略されている。
【0012】
本明細書において、近位および遠位という用語は、拡張型プローブを患者に送達している医師に関していると理解するべきである。したがって、「遠位」という用語は、拡張プローブのうち、医師から最も遠い部分を意味し、「近位」という用語は、拡張型プローブのうち、医師に最も近い部分を意味する。
【0013】
図1と2は、ある実施形態による本発明の拡張型プローブ10を示す。拡張型プローブ10は、長いシャフト14の遠位部12に動作的に接続されている。拡張型プローブ10は、長いシャフト14の遠位端17の先端部16に取り付けられてもよい。1つまたは複数のルーメン15が、長いシャフト14の中の少なくとも一部に延びていてもよい。ポート18は、ルーメン15に接続され、先端部16の遠位端19に位置付けられてもよい。ポート18はまた、遠位端19の近位側に位置付けられてもよい。ポート18は、治療部位に流体を送達するために提供されてもよい。遠位端部16は、シャフト14と一体であっても、またはシャフト14から別に提供され、そこに接続されてもよい。拡張型プローブ10は、先端部16に動作的に接続されたアーム20を含んでいてもよい。アーム20は、閉じた形態22(図1に示される)と拡張形態24(図2に示される)の間で移動可能である。図1と2には1対のアーム20aと20bが示されているが、拡張型プローブ10はまた、1つ、3つ、またはそれ以上のアーム20を含んでいてもよく、2つのアーム20に限定されない。アーム20は、旋回軸21の周囲で移動可能であってもよいが、アーム20については他の取り付け方も可能である。アーム20は、第一の面36と第二の面38(図7参照)を含む。アーム20の各々は、1つまたは複数の電極30を含み、これは第一の面36か、第二の面38か、その両方に設置されていてもよく、これについては後で詳しく説明する。
【0014】
アーム20は、アーム20が長いシャフト14に対して実質的に平行な閉じた形態22から、アーム20が長いシャフト14から離れて延びる拡張形態へと拡張されてもよい。アームは、当業者にとって公知のどのような方法で拡張されてもよい。たとえば、アーム20は機械、空気圧、電気、形状記憶およびその他を使って拡張されてもよい。非限定的な例として、アーム0は、アーム20に動作的に接続されるワイヤ40を使って拡張されてもよい。図2に示されるように、ワイヤ40は遠位方向に伸展されてアーム20を拡張させてもよく、その場合、ワイヤ40aがアーム20aを遠位方向に押し、ワイヤ40bがアーム20bを遠位方向に押す。アーム20a、20bは一緒に制御されても、別々に制御されてもよい。いくつかの実施形態において、アーム20aと20bは、拡張形態24へと押されてもよく、それによってアーム20a、20bの第一の面36は実質的に平坦な面42を形成し、これは長いシャフト14の縦軸44に対して実質的に垂直に延びる。図のように、各アーム20a、20bは、縦軸44から約90°の角度で延びる。第一の面36は、治療対象の組織に隣接して位置付けられることが可能である。アーム20a、20bはまた、別々に制御されてもよく、それによって、一方のアーム20aはワイヤ40aによって遠位方向に伸展されてもよく、その一方で、他方のアーム20bはシャフト14と当接した位置のままである(後でより詳しく説明する)。これに加えて、アーム20は、縦軸44に関して約0°〜180°の間のどの角度で延ばされてもよい。アーム20は、ワイヤ40を近位方向に引くことによって、閉じた形態22に戻されてもよい。ワイヤ40は、図4に示され、後述するハンドル50によって移動され、所定の位置にロックされてもよい。いくつかの実施形態において、ワイヤ40は、図2に示されるように、アーム20の第二の面38に接続されてもよい。あるいは、ワイヤ40はアーム20を、ワイヤ40を近位方向に引くことによって拡張形態24に、またワイヤ40を遠位方向に押すことによって閉じた状態22にアーム20を移動させてもよい。たとえば、ワイヤ40は、シャフト14の遠位部16に動作的に接続された各アーム20の端部23に接続してもよく、その場合、ワイヤ40が近位側に引かれるとアーム20が拡張形態24に拡張されてもよい。端部23に接続されたワイヤ40が遠位方向に押されると、アーム20が図1に示される閉じた形態22に移動してもよい(図示せず。)。
【0015】
上述のように、アーム20の各々は、少なくとも1つの電極30を含んでいてもよい。電極30は対として設置されて、双極性送達機器を形成してもよい。対のうちの1つの電極30は正電極であり、対のうちのもう一方の電極30は負電極である。正電極と負電極30は、図3に示されるように交互のパターンである。電極30間の距離32は、標的組織の焼灼深度を制御するように最適化されてもよい。正電極と負電極30間の距離32は、約0.025mm〜約5mmの間であってもよいが、これらの距離に限定されない。上記以外の電極間の間隔の距離と電極パターンもまた可能であり、標的組織、創傷の深さ、エネルギーの種類、組織へのエネルギー印加の長さおよびその他に依存する。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の電極30が、単極性送達機器として提供されてもよく、接地パッドまたはインピーダンス回路(図示せず)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、電極30は、アーム20全体を覆っていても、アームの一部を覆っていてもよく、あるいは選択的に電力供給されて、アーム20の、治療対象組織と接触する部分だけが活性化されるようにしてもよい。たとえば、アーム20aと20bに動作的に接続される電極30を個別に作動させてもよい。
【0016】
図4に示されるように、ハンドル50が拡張型プローブ10の近位部54に設置される。ハンドル50は、拡張型プローブ10のアーム20の動きを制御するように動作可能などのようなタイプのハンドルであってもよい。ハンドル50は、たとえばワイヤ40を近位方向と遠位方向に移動させることによって、拡張形態24と閉じた形態22との間のアーム20の移動を制御するように動作可能である。ハンドル50は、電極30をエネルギー源60に動作的に接続するためのコネクタ56も含んでいてよい。いくつかの実施形態において、エネルギー源60は無線周波数源であってもよい。しかしながら、他のタイプのエネルギー源60も、拡張型プローブ10へのエネルギー供給に使用してもよい。非限定的な例として、その他の使用可能なエネルギーを源としては、マイクロ波、紫外線、レーザエネルギーを挙げてもよい。電極30は、導電体、たとえば、アーム20を移動させるために使用される1つまたは複数のワイヤ40によってパワー供給源60に接続されてもよい。このような導電性ワイヤ40は、エネルギーが電極30のみに供給されるように絶縁されてもよい。いくつかの実施形態において、別の導電性ワイヤ68が提供されてもよく、これは電極30から、エネルギー源60に接続されるコネクタ56まで延びる。ワイヤ68は、図4に示されるように、シャフト14のルーメン15の中に延びていてもよい。あるいは、ワイヤ68は、シャフト14の外側で延びてもよく、任意選択で、シャフト14とワイヤ68を取り囲むスリーブ(図示せず)を含んでいてもよい。ハンドル50は、図4に示されるロック62を含んでいてもよく、これは拡張型プローブ10のアーム20を、エネルギーを治療部位に送達する位置に釈放可能にロックする。ロック62は、ワイヤ40をアーム20のいずれの近位/遠位位置に釈放可能にロックしてもよく、それによって拡張型プローブ10を組織の治療に適した、縦軸44に関するどの位置にもロックできる。
【0017】
図5は、一方のアーム20bが拡張され、他のアーム20aが閉じた状態の、拡張型プローブ10のある実施形態を示す。アーム20a、20bは、前述のように拡張され、閉じられてもよい。各アーム20aと20bは電極30を含み、これにエネルギーが供給されて、組織の領域を治療できる。電極30には、拡張形態24と閉じた形態22の両方でエネルギーが供給されてもよい。図5に示されるように、電極30は、各アーム20に沿って延びる略縦方向のパターンである。その他の電極パターンも使用でき、たとえば、これらに限定されないが、円形、長方形、略軸方向に延びる形、アームに関して斜めの形、その他がある。双極電極30は、図3に示されるように交互であってもよい。アーム20aと20の電極30には、別々にも、または一緒にもエネルギーを供給でき、当業者にとっては当然のことながら、各アーム20の電極30の一部に別にエネルギーを供給してもよい。
【0018】
図5はまた、アーム20上の電極30間に位置付けられた複数のフラッシュポート39を示している。電極30間の間隔に応じて、ポート39は、遠位端19に設置されたポート18(図1に示される)に追加して、またはその代わりにアーム20に設置されてもよい。ポート39は、アーム20を通じてルーメン15に動作的に接続されてもよく、その結果、ポート39に流体が供給される。拡張型プローブ10には、それに代わる流体供給構成を提供してもよい。図5に示されるように、遠位部16は、シャフト14とは別に形成され、それに接続されてもよい。遠位部16の近位側端部72は、シャフト14の遠位端17にぴったりと納まり、その中に取り付けられる大きさであってもよい。遠位部16はまた、シャフト14と一体に形成されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、電極30は、たとえば図1と2に示されるように、アーム20を形成する材料を覆うように設けられる。いくつかの実施形態において、アーム20を形成する材料は、内視鏡の観察ポートから治療部位を見やすくするために、主として実質的に透明または半透明のポリマ、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で製造される。その他の使用可能な材料としては、これらに限定されないが、ポリエチレンエーテルケトン(PEEK)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシポリマ樹脂(PFA)、ポリアミド、ポリウレタン、高密度または低密度ポリエチレン、ナイロン等がある。非限定的な例として、電極は、接着性の裏打ち、テープ、糊、かしめ、溶接およびその他を使ってアームに固定されてもよい。
【0020】
ある実施形態による拡張型プローブ110が図6に示されている。拡張型プローブ110は、前述の拡張型プローブ10と同様であり、アーム120a、120bと、アーム120に動作的に接続された電極130と、を含む。アーム120a、120bは、旋回軸121において、シャフト114に接続された遠位部116に旋回可能に接続される。旋回軸121によって、アーム120a、120bは閉じた形態22(図1参照)と拡張形態24の間で移動できる。拡張型プローブ110はさらに、ヒンジ部材137を含み、これによってアーム120a、120bは遠位部116に関して旋回し、アーム120a、120bが治療部位の組織とさらに多くの角度で接触することができることになる。ヒンジ部材137により、プローブ110をどの角度にも旋回できるため、医師は治療に適したどの角度でも標的組織にアプローチできる。図6に示されるように、非限定的な例として、アーム120a、120bはどちらも、拡張形態24において遠位部116から遠ざかるように拡張し、第一の面136が平坦な表面142を形成する。平坦な表面142に沿って延びる軸145は、アーム120a、120がヒンジ部材137で旋回される時に、90°以外の角度で縦軸144と交差する。アーム120a、120bはまた、相互に関して異なる角度で延ばされてもよい。
【0021】
図7と8は、ある実施形態による拡張型プローブ210を示す。プローブ210は、閉じた形態22(図8)と拡張形態24(図7)との間で移動可能なアーム220a、220bを含む。アームは、上述のどのような機構を使って拡張されてもよい。非限定的な例として、アーム220a、220bは各々、アーム220a、220bの近位端244に中子242を含む。ワイヤ240が中子242に動作的に接続されて、アームを閉じた形態と拡張形態との間で移動させてもよい。ワイヤ240は、遠位方向に移動されて、中子242を遠位部216から外側に拡張させ、アーム220a、220bを、図7に示されるように、縦軸244に対して実質的に平行な位置から離れるように拡張させてもよい。アーム220a、220bは旋回軸221の周囲で旋回して開閉してもよい。アーム220a、220bは、ワイヤ240を近位方向に引き、中子242を内側に、遠位部216の中へと移動させることによって、閉じた形態22に移動されてもよく、それによって、アーム220a、220bは図8に示されるように、遠位方向に、また相互に接近するように延びる。外側シース248もまた、拡張型プローブを標的組織部位に送達するためにアーム220a、220bを覆うように提供されてもよい。前述のように、アーム220a、220bを縦軸244に関して傾けるために、ヒンジ237も設置してよい。
【0022】
アーム220a、220bは、第一の面236と第二の面238に設置された電極230を含んでいてもよい。アーム220a、220bは柔軟な材料で形成されてもよく、それによってアーム220a、220bが撓み、どちらの面が組織に向かって露出しているかに応じて、第一の面236または第二の面238のいずれかの電極230が組織と接触する。
【0023】
図9に示されるように、ある実施形態による拡張型プローブ310は、1対のアーム320a、320bを含み、これらはまた電極330でもある。アーム320a、320bは、前述のアーム20と同様に移動可能である。各アーム320a、320bを形成する電極330には、前述のように、別々にエネルギーが供給されてもよい。フラッシュポート318は、シャフト314と流体連通する遠位部316に設置されてもよい。外側シース348が設置されてもよく、これは治療部位に送達するためにアーム320a、320bの周囲をぴったりと覆い、その後、近位方向に引かれると、アーム320a、320bが露出する。いくつかの実施形態において、ヒンジ部材も設置されてよい。
【0024】
アーム320a、320bの材料は、アームがいったん内視鏡から治療部位まで前進されると膨張する形状記憶合金であってもよく、合金が暖められると、アーム320a、320bが図9に示されるように拡張形態24へと拡張する。形状記憶合金はたとえば、フラッシュポート318から冷えた溶液を流すことによって冷却されてもよく、それによってアーム320a、320bは閉じた形態22(たとえば、図1使用)に戻る。その他の導電性材料もアーム320a、320bの形成に使用できる。
【0025】
図10〜13は、ある実施形態による拡張型プローブ410を示し、これは閉じた形態22と拡張形態24との間で移動可能な1つのアーム420を有する。閉じた形態22が図10に示されており、アーム420は縦軸444に対して実質的に平行に延びる。前述の実施形態と同様に、アーム420は1つまたは複数の電極430をアーム420の上にどのようなパターンで含んでいてもよい。電極430双極または単極、アーム420上の一部においてエネルギーが供給されてもよい。図11と12は、拡張形態24にある拡張型プローブ410を示し、アーム420は縦軸444から離れて延びる。1つまたは複数のワイヤ440が、閉じた形態22と拡張形態24との間でアーム420を移動させるために使用されてもよい。図11と12に示されるように、1対のワイヤ440a、440bが協働してアーム420を組織治療位置に位置付けてもよい。図13に示されるように、アーム420は旋回軸421で旋回してもよい。ワイヤ440a、440bはアーム420の一部に接続されてもよく、一方のワイヤ440aまたは440bを移動させてアーム420を位置付けてもよく、または、たとえばワイヤ440bを近位方向に引き、ワイヤ440aを遠位方向に押すことによって、両方のワイヤ440a、440bを移動させてアーム420を位置付けてもよく、アーム420は図12に示されるように位置付けられてもよい。いくつかの実施形態において、1つのワイヤ440を使って、アーム420を旋回軸421で旋回させてもよい。アーム420を治療部位に送達するために、アーム420を閉じた形態22に保持するための外側シース448が設置されてもよい。
【0026】
拡張型プローブの動作を、拡張型プローブ10を例にとって説明する。拡張型プローブ10の動作が図14〜16に示されている。図14は、患者の食道80、下部食道括約筋(LES)81、胃82を示す。食道80の中の病組織84の領域もまた示されている。病組織84は柱状粘膜(バレット食道)であってもよく、これを、拡張型プローブ10を使って焼灼する。図15は、任意選択の内視鏡500から延びる拡張型プローブ10の遠位部16を示す。拡張型プローブ10は、患者の食道80内で閉じた形態22にある。拡張型プローブ10は、食道80の中の、治療対象の病組織84の部分の付近に位置付けられる。拡張型プローブ10の挿入は、内視鏡500の観察ポートを利用してモニタして、拡張型プローブ10を病組織に位置付けるのを支援してもよい。拡張型プローブ10には、治療対象の組織の面積の大きさに応じて、閉じた形態22および/または開いた形態24でエネルギーを供給してもよい。非限定的な例として、電極の面積が約0.2インチ×0.05インチのアーム20の場合、約0.02平方インチの面積が閉じた形態22で焼灼される面積であってもよい。同じ大きさの電極面積を有するアーム20の対の場合、拡張形態24では約0.02平方インチの面積が治療されてよい。
【0027】
拡張形態24が図1に示されており、この形態ではアーム20a、20bがシャフト14から離れて拡張され、病組織84に対して押し付けられる。病組織は、電極30またはフラッシュポート18から流された導電性流体と接触していた。パワー源60は、病組織84を焼灼するのに十分な時間だけ作動される。拡張型プローブ10が拡張形態24にあるとき、アーム20a、20bは閉じた形態22に折り畳まれ、別の位置に移動されてもよく、このステップが必要に応じた回数だけ繰り返される。手順を、拡張型プローブ10を使った食道内の病組織の焼灼に関して説明したが、治療の場所は食道に限定されない。非限定的な例として、胃の一部、または胃腸管もまた、拡張可能なプローブ10を使って治療できる。
【0028】
上記の図面と開示は、例示のためであり、これらがすべてではない。本説明は、当業者に対して多くの変形形態および代替形態を示唆するであろう。このような変形形態や代替形態はすべて、付属の特許請求の範囲の範囲内に包含されるものとする。当業者であれば、本明細書で説明した具体的な実施形態のその他の均等物を認識でき、これらの均等物もまた、添付の特許請求の範囲により包含されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16