特許第5948431号(P5948431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘレウス・クルツァー・ゲーエムベーハーの特許一覧

特許5948431歯科用ブリッジ、スーパーストラクチャおよびそれらの製造方法
<>
  • 特許5948431-歯科用ブリッジ、スーパーストラクチャおよびそれらの製造方法 図000002
  • 特許5948431-歯科用ブリッジ、スーパーストラクチャおよびそれらの製造方法 図000003
  • 特許5948431-歯科用ブリッジ、スーパーストラクチャおよびそれらの製造方法 図000004
  • 特許5948431-歯科用ブリッジ、スーパーストラクチャおよびそれらの製造方法 図000005
  • 特許5948431-歯科用ブリッジ、スーパーストラクチャおよびそれらの製造方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948431
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】歯科用ブリッジ、スーパーストラクチャおよびそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/003 20060101AFI20160623BHJP
【FI】
   A61C13/003
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-543934(P2014-543934)
(86)(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公表番号】特表2015-502793(P2015-502793A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】EP2012074252
(87)【国際公開番号】WO2013079723
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2014年11月20日
(31)【優先権主張番号】102011119839.7
(32)【優先日】2011年12月1日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】12165982.5
(32)【優先日】2012年4月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507030634
【氏名又は名称】ヘレウス・クルツァー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100105991
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100117444
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルデゲルギス,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】オルマン,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】フリック,クリストファー
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−500749(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/064257(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0211155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00,13/003
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削機内へと送られる歯科用ブリッジ中間構造体であって、
基準プレートと、距離ピンと、歯科用スーパーストラクチャとを備え、
前記基準プレートが、焼結ピストン上に配置される近位面と、作業表面を有する遠位作業面を備え、
前記距離ピンが、前記作業表面から遠位側に延び、
前記歯科用スーパーストラクチャが、前記距離ピンの遠位端に配置されている、歯科用ブリッジ中間構造体。
【請求項2】
前記距離ピンが、近位から遠位への方向で減少する断面積を有する、請求項1に記載の歯科用ブリッジ中間構造体。
【請求項3】
前記距離ピンが円錐形である、請求項2に記載の歯科用ブリッジ中間構造体。
【請求項4】
焼結した歯科用ブリッジ中間構造体である、請求項1から3のいずれかに記載の歯科用ブリッジ中間構造体。
【請求項5】
前記歯科用スーパーストラクチャの遠位面がインプラント座面を備える、請求項1から4のいずれかに記載の歯科用ブリッジ中間構造体。
【請求項6】
前記インプラント座面がフライス加工される、請求項5に記載の歯科用ブリッジ中間構造体。
【請求項7】
前記基準プレートの前記遠位面が基準手段を備える、請求項1から6のいずれかに記載の歯科用ブリッジ中間構造体。
【請求項8】
前記基準手段が、前記基準プレートの前記遠位面から遠位側に延びる突起である、請求項7に記載の歯科用ブリッジ中間構造体。
【請求項9】
歯科用ブリッジスーパーストラクチャを作製する方法であって、
距離ピンを基準プレートの遠位面上に焼結し、次いでスーパーストラクチャを前記距離ピンの遠位端上に焼結することによって、歯科用ブリッジ中間構造体を形成するステップと、
歯科用ブリッジ中間構造体を切削機に連結するステップと、
前記切削機を用いて前記歯科用ブリッジ中間構造体の遠位面を切削するステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記スーパーストラクチャを前記基準プレートから分離するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記切削するステップが、前記焼結と同じCAD/CAMレンダリングによって案内される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
請求項9から11のいずれかに記載の方法を実施するためのコンピュータプログラムを備える、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、インプラント装置の分野に関し、詳細には、歯科用ブリッジ中間構造体、より詳細には、歯科用ブリッジスーパーストラクチャに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用インプラント技術の分野では、コバルトクロム(CoCr)が一般的に使用される材料である。歯科技工士は、通常、CoCrの歯科用ブリッジスーパーストラクチャを注型し、続いてそれらの上に磁器の表面を焼き付けて、顎の中の歯科用インプラントに付着させることができる歯科補綴物を得る。しかし、注型プロセスは、型を用いたかなりの準備を要するので厄介であり、得られる製品の精度は比較的低い。
【0003】
スーパーストラクチャを作製するための代替方法は、CoCrなどの適切な材料で作られた、直方体または円筒などの原料のフライス加工/切削などを行って、所望の形状にするものである。しかし、この技術は、大量の材料の流出を生じさせ、また材料の強度により、フライス加工/切削に非常に時間が掛かり、フライス加工/切削工具の磨耗が激しい。
【0004】
また、例えば異なる種類の切削機間での変換が不足しているため、後に続く処理ステーションにおいてスーパーストラクチャおよび歯科用ブリッジを処理して、スーパーストラクチャまたは歯科用ブリッジと、それを付着させることが意図される構造体との間の適合を改善させる能力に関して、当技術分野には課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故、歯科用補綴物を作製するための改善された方法が有利であり、特に、柔軟性、コスト効率、またはユーザの利便性、ならびに異なる機械類間での変換を向上させることが可能な方法が有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、好ましくは、当技術分野における上述の欠陥および不利な点の1つまたは複数を、単独でまたはいずれかの組合せで緩和し、軽減し、あるいは排除することを目指し、さらには、切削機内へと移送される歯科用ブリッジ中間構造体であって、基準プレートと、距離ピンと、歯科用スーパーストラクチャとを備え、基準プレートが、焼結ピストン上に配置される近位面および作業表面を有する遠位作業面を備え、前記距離ピンが作業表面から遠位側に延び、前記歯科用スーパーストラクチャが距離ピンの遠位端に配置されている、歯科用ブリッジ中間構造体と、歯科用ブリッジスーパーストラクチャを作製する方法であって、距離ピンを基準プレートの遠位面上に焼結し、次いでスーパーストラクチャを距離ピンの遠位端上に焼結することによって、歯科用ブリッジ中間構造体を形成するステップ、歯科用ブリッジ中間構造体を切削機に連結するステップ、および切削機を用いて歯科用ブリッジ中間構造体の遠位面を切削するステップを含む方法とを提供することによって、少なくとも上述の問題を解決する。
【0007】
本発明の有利な特徴が従属請求項において定義される。
【0008】
本発明によって可能なこれらおよび他の態様、特徴、ならびに利点は、添付図面を参照して本発明の実施形態の以下の説明によって明白かつ明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態によるレーザー焼結のための機器の設定を示す図である。
図2】一実施形態による基準プレートを示す図である。
図3】一実施形態による基準手段を備えた基準プレートを示す別の図である。
図4】一実施形態による距離ピンを示す図である。
図5】一実施形態による歯科用スーパーストラクチャを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明は、歯科用ブリッジスーパーストラクチャなどの歯科用補綴物に適用可能な本発明の一実施形態に焦点を当てている。しかし、方法は、あらゆる種類の小型補綴物の作製に使用されてもよい。
【0011】
本明細書の文脈において、「スーパーストラクチャ」という用語は、歯科用インプラントまたは歯科用アバットメント上に直接付着させるための、固定された歯科用補綴物または他の適切な前装材料に対する保定を提供する、フレーム構造体を意味するものとする。したがって、該用語は、上述のことが当てはまる限り、単一または複数の骨インプラントにより支持される人工歯冠、ブリッジ、義歯、ブリッジなどにおける、かかる構造体を包含する。
【0012】
レーザー焼結などの焼結は、例えば高出力レーザーを用いて小粒子を定着させることによって、三次元構造体を成形する方法である。図1は、レーザー焼結のための機器の設定を示す概略図である。ピストン100は、周囲構造体110を壁とし、ピストン100を底として空間が形成されるようにして、周囲構造体110内に移動可能に設置される。所望の材料120の小粒子は、頂部から空間に添加され、移動可能なレーザー光線130が粒子の最上層の所望部分を焼結して固体構造体とする。次に、ピストンを下方へと移動させ、さらなる材料120が既に焼結された構造体の上に添加され、その後、移動可能なレーザー光線130によって再度運転が行われる。プロセスを繰り返すことによって、三次元構造体140が作られる。
【0013】
焼結プロセスは、歯科用ブリッジスーパーストラクチャの製造に使用するのには精度が十分ではないものと考えられる。これは、焼結プロセスによって多量の熱が発生し、その熱によって、焼結製品が冷える際に製品が歪むという事実による。歯科用インプラントに付着する座面が精度不足に対して非常に敏感であるため、このことは、歯科用スーパーストラクチャ製造の分野において特に問題であると考えられる。このことは、単独で、または焼結三次元構造体140の表面が、歯科用ブリッジスーパーストラクチャのためには十分に微細または平滑ではないという事実と組み合わせて、レーザー焼結などの焼結による歯科用スーパーストラクチャの製造から当業者を遠ざけることにつながっていた。
【0014】
しかし、焼結とその後に続く切削またはフライス加工とを組み合わせることによって、切削プロセスによる余分な流出を伴わずに、かつ改善された精度で、即ち高水準の詳細で、平滑な表面を有する三次元構造体を便利に構築することが可能である。しかし、焼結中に歯科用ブリッジスーパーストラクチャが歪むことにより、製品を焼結ステップから切削またはフライス加工ステップへと移動させるとき、歯科用ブリッジスーパーストラクチャの特定部分の座標を確立し変換することは困難である。したがって、焼結したスーパーストラクチャの境界または縁部は、図面に正確に対応しないことがあり、それによって、これらの境界に基づいて後に続く切削のためにスーパーストラクチャを位置決めすることが難しくなる。
【0015】
三次元構造体を形成する座標の元になる患者の歯の状況に関する立体データは、口腔内または3Dスキャナ由来のものである。立体データはCADソフトウェアで生成される。得られたCADデータは、適切には、インプラント連結構成要素、スペーサ要素、ねじチャネル、ねじ座、インプラント座面などの様々な幾何学形状のライブラリを用いて修正されてもよい。
【0016】
一実施形態によれば、基準プレート200は、図2によれば、焼結ピストン(上述による)の上に設置される。基準プレート200は、切削またはフライス加工ステップを行うフライス盤/切削機に対して知られている形状およびサイズを有する。例えば、フライス盤/切削機について言及する際には、基準プレート200が長方形または正方形であるという情報、ならびにその寸法、即ち厚さ、幅、および長さが提供される。これは、基準プレート200がフライス盤/切削機内で位置決めされると、フライス盤切削機は、基準プレート200およびその上に焼結される構造体を空間内で位置決めするのに、基準プレート200の形状および寸法を使用してもよいことを意味する。焼結およびフライス加工機械の空間内における基準プレート200の位置決めは、光学基準によって、画像解析によって、または基準プレート200の境界と物理的認識手段との間の物理的相互作用によって得られてもよい。したがって、フライス盤/切削機は、フライス盤/切削機にプログラムされた設定値にしたがって、基準プレート上に焼結された構造体をフライス加工/切削することができるようになる。これらの設定値は、焼結ステップを行う元になった値に対応するので、フライス盤/切削機は、便宜上、切削プロセスによる過剰な流出を伴わずに、かつ精度を改善して、平滑な表面を有する三次元構造体を構築することができる。したがって、基準プレート200は、焼結ピストン上に配置される近位面と、作業表面を有する遠位作業面とを有する。好ましくは、作業表面は、焼結ステップからフライス加工ステップへの座標の移送を容易にするため、実質的に平面である。
【0017】
フライス加工/切削ステップと焼結ステップとの間の照合をさらに改善するため、基準プレート200は、図3によれば、形状および/または形状がフライス盤/切削機にはやはり分かっている、空洞または突起などの追加の基準手段201を備えてもよい。これらの空洞および/または突起はまた、基準プレート200をフライス盤/切削機に連結するのを助けてもよい。基準手段201は、焼結ステップの間、基準プレートの遠位面に設けられてもよい。これは、焼結ステップの間に、基準手段201が基準プレート200上で所望の形状および寸法に焼結されてもよいことを意味する。しかし、基準手段201はまた、フライス加工または接着の最中など、焼結前に基準プレート200上にあてがわれてもよい。
【0018】
これらの基準手段201は、焼結および/またはフライス加工機械内において基準プレート200と同じ方法で認識することができる。基準手段201はまた、基準プレート200の近位面上に位置決めすることができる。この場合、基準手段201は、焼結および/またはフライス加工機械内の対応する突起もしくは空洞とそれぞれ相互作用するべき、空洞もしくは突起である。焼結および/またはフライス加工機械上の対応する突起もしくは空洞は、その結果、焼結および/またはフライス加工機械がこれらの突起もしくは空洞をゼロ点として機能するような、焼結および/またはフライス加工機械のゼロ点である。基準プレート200の近位面上の空洞もしくは突起201と、焼結および/またはフライス加工機械上の対応する突起もしくは空洞それぞれとの間の相互作用は、ばね圧を利用して、それら2つの間の先細状のウェッジロックに対抗してくさびを駆動させることができる。空気圧を使用して、ばねが圧縮され、ウェッジロックが解放される。空気圧をチャックから流出させることによって圧締めが達成される。パレタイゼーションを容易にするため、圧締めノブの形態の突起などの基準手段201は、基準プレート200の近位面に付着される。このように、基準プレート200と焼結および/またはフライス加工機械との間の迅速で繰返し可能な圧締めを得ることができる。
【0019】
基準プレート200上には、焼結ステップが進行した後、焼結に使用された小粒子が載置される。
【0020】
本明細書に記載される方法にしたがって歯科用スーパーストラクチャを製造するのに適した材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、コバルトクロム、およびニッケル系合金を含む群から選択される。好ましい材料は、コバルトクロムおよびチタンを含む群から選択されてもよい。粒径は、典型的には、25〜60ミクロンなど、10ミクロン〜150ミクロンである。300〜500Wのレーザーを用いた焼結の際、層厚さは、適切には20ミクロン〜100ミクロンの間である。処理速度は適切には5〜20cm3/hである。生成される構成要素、スーパーストラクチャ203、距離ピン202などは、均質なモノリシック構造を有するとともに、固体形態の出発物質の密度に対してほぼ100%、特に95%〜99.95%、特に好ましくは97%〜99.5%の相対密度を有する。構成要素は好ましくは交互に回転して露出する。即ち、露出される層は、例えば、その前の層に対して90°のオフセットで露出する。これには、電圧成分がより少なく、個々の層間の連結がより良好かつより正確になるという利点がある。
【0021】
基準プレート200上には、図4によれば距離ピン202が、任意に、基準手段201が基準プレート200上に焼結される場合は基準手段201とともに直接焼結される。距離ピン202は円錐形であってもよく、円錐基部は作業表面上の基準プレート200に連結される。距離ピン202間の距離は、好ましくは、1〜2mmなど、3mm未満であってもよい。距離ピン202間のこの距離において、スーパーストラクチャ203の歪みが有効に予防されることが見出されている。それに加えて、距離ピン202は、製造プロセス中の材料消費をさらに減少させるため、中空であってもよい。歯科用スーパーストラクチャ203が歪まないように全体的に支持し、焼結構造とその環境との間での熱交換を改善するため、歯科用スーパーストラクチャ203との連結域における距離ピン202の遠位部分は、好ましくは0.4〜1mmの幅を有するが、円錐基部の幅は、好ましくは1〜3mmの間で選択される。それに加えて、距離ピン202は、これらに対するアクセスを簡単にして、フライス加工ステップが行われた後に距離ピン202を切削することによって歯科用スーパーストラクチャを基準プレート200から簡単に取り外すことを担保するため、1〜4mmの間の近位から遠位への延長部(proximodistal extension)を有する。当然ながら、円筒形または角錐形など、円錐形以外の形状が等しく可能であるが、円錐形が好ましい熱交換および支持特性を提供する。距離ピン202は、基準プレート200と同じ材料内で基準プレート200上に焼結することができる。
【0022】
焼結プロセス中に1つを超える粉末材料を使用することが可能である。第1の粉末部分を使用して、距離ピン202および/または主本体204など、焼結の第1の部分を作製することができ、第2の粉末部分を使用して、スペーサ要素206など、焼結の第2の部分を焼結することができる。
【0023】
歯科用スーパーストラクチャ203は、図5によれば、1つを超える歯科用インプラント座面205を備える主本体204を備えてもよい。インプラント座面205は、主本体204を歯科用インプラント座面205から離す、統合されたスペーサ要素206上に位置決めされて、顎骨の軟組織に対応させてもよい。このように、モノリシックのスーパーストラクチャ203が得られてもよく、前記スーパーストラクチャは、主本体204と、歯科用インプラント座面205と、任意にインプラント座面205をそれぞれ支承するスペーサ要素206とを備える。
【0024】
距離ピン202上に、次いで、歯科用スーパーストラクチャ203が焼結される。スーパーストラクチャ203は、距離ピン202および/または基準プレート200と同じ材料内で、距離ピン202上に焼結することができる。歯科用スーパーストラクチャ203は、ねじ部材チャネル、ネジ部材チャネルの底部にあるねじ部材座面、および/またはインプラント座面205を含めて、モノリシック本体を形成するように焼結することができる。任意に、歯科用スーパーストラクチャ203は、ねじ部材チャネル、ねじ部材座面、およびインプラント座面205を有さずに焼結される。もちろん、これらの組合せは、等しく可能である。完璧な位置決めに対して最も高感度である歯科用スーパーストラクチャ203の部分は、顎骨に面することが意図される歯科用スーパーストラクチャの側面にあるインプラント座面205であるという事実により、意図されるインプラント座面の位置を遠位側に方向付けて、スーパーストラクチャ203を距離ピン上に焼結することが好ましい。これは、焼結ステップが行われた後に高精度でインプラント座面205をフライス加工することができるためである。インプラント座面205を受け入れることが意図される位置が近位側に方向付けられた場合、インプラント座面205を歯科用スーパーストラクチャ上で正確に位置決めするのは非常に困難になり、その後、歯科用スーパーストラクチャ203が距離ピン202から、ひいては基準プレート200および/または基準手段201から除去され、インプラント座面205を最初に歯科用スーパーストラクチャ203からフライス加工することができ、それによって焼結ステップとフライス加工ステップとの間の基準が失われる。他方で、インプラント座面205を受け入れることが意図される位置が焼結後に遠位側に方向付けられると、基準プレート200全体をフライス盤/切削機内へと、したがって基準プレート200および/または基準手段201の形態の適切な基準手段とともに移動させることができる。
【0025】
一実施形態では、スーパーストラクチャ203は距離ピン202上に位置決めされ、それによって、スペーサ要素206および/またはインプラント座面205、あるいは後に続く切削/フライス加工中にインプラント座面を受け入れることが意図される位置は、基準プレート200の作業表面とほぼ同じ面で方向付けられる。このように、スーパーストラクチャをフライス加工して、上面にはねじチャネルなどを形成し、下面にはインプラント座面などを形成し、残りを距離ピン202および/または基準プレート200上に配置することができる。
【0026】
焼結ステップ後、基準プレート200、基準手段201、距離ピン202、またはそれらの組合せを備える中間構造体を、スーパーストラクチャ203とともに、フライス加工/切削ステップに入る前に後処理してもよい。この後処理は、焼結中などに蓄積した、材料中の張力を解放するために行われてもよい。後処理は、適切な不活性ガス中などの保護雰囲気中で、中間構造体を400〜1000℃の温度まで加熱するステップと、例えば50〜250ミクロンの平均粒径を有するAlの細粒を表面に吹き付けることによって、加熱ステップ後に焼結生成物上に形成された酸化物層を廃棄するステップとの2つのステップを含んでもよい。
【0027】
このように、歯科用スーパーストラクチャ中間構造体などの、フライス盤/切削機内へと送られる構造体が得られている。次に、フライス盤/切削機内へと送られる構造体は、焼結ピストン上に配置される近位面と、作業表面を有する遠位作業面とを備える基準プレート200を備える。作業表面から、距離ピン202が遠位側に延び、距離ピン202の遠位端には、歯科用スーパーストラクチャ203が配置され、距離ピンに連結される。歯科用スーパーストラクチャは、上記によれば、好ましくは、インプラント座面205を受け入れることが意図されるスーパーストラクチャ203上の位置が遠位側に方向付けられるようにして、距離ピン202上に位置決めされる。作業表面上には、基準手段201が上記にしたがって任意に位置決めされる。基準プレート200は、焼結ステップからフライス加工ステップへと座標を送るための十分な基準を提供するだけでなく、基準プレート200はまた、距離ピン202とともに、スーパーストラクチャ203がある程度歪むのを防ぐので、スーパーストラクチャ203が意図されるインプラント座面205に対応する位置を備えることを保証することができる。スーパーストラクチャ203が歪み過ぎる場合、意図されるインプラント座面205に対応する位置が実際に、焼結したスーパーストラクチャ203の境界の外側へと変位され、それによってスーパーストラクチャ203と歯科用インプラントとの間の適合を得ることが不可能になるというリスクがあり得る。
【0028】
焼結ステップ後、構造体はフライス盤/切削機へと送られ、フライス盤切削機は、基準プレート203および/または基準手段201のおかげで、焼結したスーパーストラクチャ203を空間内に簡単に位置決めすることができる。次に、スーパーストラクチャおよび意図されるインプラント座面205の意図される座標を受け取った後、フライス盤/切削機は、スーパーストラクチャ203上にインプラント座面205をフライス加工する。任意に、フライス盤/切削機は、スーパーストラクチャ上の到達可能な表面をさらに研磨する。例えば、スペーサ要素の他の部分は、スーパーストラクチャに軟組織と相互作用するための平滑な表面を提供するため、フライス加工/切削される。フライス加工/切削は、例えば、10,000〜40,000rpmの主軸速度で、適切な切削工具を用いて行われる。処理は、冷却を伴って、または伴わずに行うことができる。冷却は、当業者には知られているように、気流を、または空気および追加の冷却要素の流れを用いて行うことができる。
【0029】
フライス加工/切削ステップ後、スーパーストラクチャ203は、基準プレート200および距離ピン202から除去されてもよい。これは、単に距離ピン202を、それらの近位から遠位への延長部を横断する方向で切削することによって行われてもよい。
【0030】
さらに別の実施形態では、切削中のスーパーストラクチャの一部が基準プレート200から切削されるように、距離ピンを省略することができる。したがって、焼結ステップの間に、スーパーストラクチャ203が全く焼結されないか、一部のみが焼結されるか、スペーサ要素206の全体もしくは一部のみが焼結されるか、全く焼結されないか、インプラント座面205が焼結され、スーパーストラクチャ203の残りが、切削ステップの間に基準プレート200から切削されることが可能である。
【0031】
焼結は、図1によるデバイスを用いて、または当業者には知られている他の任意の焼結デバイスを用いて行われてもよい。フライス加工は、CNC切削などの任意の適切な方法にしたがって行われてもよい。
【0032】
その後、距離ピン203に既に連結されたスーパーストラクチャ203の面が研磨またはフライス加工されて、前装材料を適用するための平らな表面が得られてもよい。切削された距離ピン203の残りによって、これらの残りを隠したままで前装材料の適用が可能である場合、この面の研磨またはフライス加工を省略することも可能である。この状況において、距離ピン203の残りは、前装材料のための固着要素として機能してもよい。
【0033】
歯科用スーパーストラクチャ203は、上記にしたがって、レーザー焼結などの焼結プロセスを通じて、コバルトクロム(CoCr)によって作られてもよい。
【0034】
しかし、当業者であれば、スーパーストラクチャ203はまた、プラスチックから焼結され、それに続いてフライス加工されてもよいことを理解するであろう。かかるプラスチック構造体は、前装材料を任意に適用した後の、一時的なブリッジとして使用するのに適しているはずである。これによる利点は、構造体を作製するコストがより少なく、恒久的なブリッジを製造している間、患者が仮ブリッジを受け取ることである。プラスチック材料の仮ブリッジが有利であるが、それは、埋込みの位置および角度に関する正確な調節を、プラスチック材料の可撓性で相殺できるためである。
【0035】
一実施形態では、スーパーストラクチャ203は、焼結または三次元印刷によってプラスチック材料から作られるが、これは当業者には良く知られており、したがってこれ以上は記載しない。
【0036】
基準プレート200に含まれる基準手段201は、上記によれば、基準プレート200を切削機に連結する、穴などの空洞であってもよい。また、基準座標の特定の組の位置が焼結ステップからフライス加工/切削に送られてもよいことを、基準手段201が保証することができ、それによって、スーパーストラクチャ203上における歯科用インプラント連結部を成形し平滑化するために切削/フライス加工作業をどこで行うべきかをフライス加工/切削ユニットが知る限り、切削機上の保持デバイスの把持歯、または切削機上のそれに対応する形状に対応するインデントであってもよい。これは、基準手段201によって得られる。
【0037】
あるいは、基準手段201は、単に、基準プレート200が切削機上で正確に位置決めされてもよいように、切削機上の同様の負の特徴に対応する。追加の代替例は、基準プレート200の位置がフライス盤/切削機で正確に変換されるように、基準手段201が、画像処理ソフトウェアによって認識される少なくとも1つの形状であるものである。次に、ねじ穴および対応するねじまたはボルトなど、別個の取付け手段が、好ましくは、フライス盤/切削機内で基準プレート200を定着させるのに使用される。これによる利点は、基準プレート200を、取り付けられたスーパーストラクチャ203とともに、連結部品によって適所でしっかりと保持できることである。これにより、歯科用スーパーストラクチャ203を、コンピュータ数値制御(CNC)切削機などの工業用切削機によって切削することが可能になる。
【0038】
一実施形態では、基準プレート200は、切削機内で直接締結され、それによって歯科用スーパーストラクチャ203が切削プロセスのための位置で保持され、基準プレート200の位置が確立され、画像処理ソフトウェアを介してフライス盤/切削機に変換される。締結は、従来のチャックによって、または機械によって可能になるような他の任意の手段によって行われてもよい。したがって、製品を焼結ステップから切削またはフライス加工ステップへと移動させるとき、歯科用スーパーストラクチャ203の特定部分の座標を確立し変換することが可能である。具体的には、これは恐らくは、基準が焼結したスーパーストラクチャの境界または縁部に依存しなくなっているためである。その代わりに、描画ならびに基準プレート200および歯科用スーパーストラクチャ203の両方が、この目的のための特定の基準手段を有する。
【0039】
一実施形態では、歯科用スーパーストラクチャ203は、基準プレート200およびスーパーストラクチャ203の位置に基づいて、切削機内で自動的に位置決めされる。
【0040】
基準プレート200および/または基準手段201は、CNC切削機によって基準またはゼロ位置として認識可能なパターンを形成してもよく、その基準またはゼロ位置から、CNC切削機が歯科用スーパーストラクチャ203の縁部の周りを探査することができる。したがって、基準プレート200および/または基準手段201の境界は、スーパーストラクチャ203の描画の両方で生じるコードポイントである。
【0041】
これによる利点は、CNC切削機が、コンピュータ支援設計(CAD)/コンピュータ支援製造(CAM)描画に関連して歯科用スーパーストラクチャ203を向き付け、その結果、切削プロセスを正確に行うことが可能なので、自動切削が可能になることである。これは、CNC切削機がパターンを認識し、パターンをCAD/CAM描画に相関させることによって達成されてもよく、それによって次いで、描画と構造体との間の共通の基準を提供することによって、CNC切削機が、歯科用スーパーストラクチャ203の、より具体的にはスーパーストラクチャ203上のインプラント座面205の、どこを切削するかに関して自動的に案内するが、それは、基準プレート200およびスーパーストラクチャ203、ならびに任意に基準手段201が、同じ描画から同じ部品に作られるためである。したがって、切削機内における歯科用スーパーストラクチャ203の位置を手動で適合させる必要なしに、高水準の詳細を含む切削製品が焼結構造から得られてもよい。
【0042】
焼結の前に、歯科技工士は、所望のブリッジスーパーストラクチャの原型と、歯科用インプラントの位置を含む、患者の顎の形状のモデルとを供給する。原型は、その形状のコンピュータレンダリングまたは描画を得るため、当業者には知られている方法にしたがってスキャンされる。モデルもまた、個々のインプラントの位置のコンピュータレンダリングまたは描画を得るためにスキャンされる。これらのコンピュータレンダリングまたは描画に基づいて、CAD/CAMソフトウェアを使用して、歯科用スーパーストラクチャ203のコンピュータレンダリングまたは描画が設計される。
【0043】
コンピュータレンダリングまたは描画に基づいて、標準的なレーザー焼結デバイスは、粉末状CoCrなどの金属粉末を、距離ピン202を介して基準プレート200に連結された、かつ任意に基準手段201を有する、三次元歯科用スーパーストラクチャ203内に焼結し、基準プレート200は、基準プレート200を切削機に連結するための連結手段と、スーパーストラクチャ203を切削機内で位置決めするための基準プレート200および/または基準手段201などの基準要素とを備える。焼結した歯科用スーパーストラクチャ203は、当業者には良く知られている、焼結プロセスの結果であり得る張力を緩和するため、焼結ステップ後に加熱されてもよい。
【0044】
このプロセス中、基準プレート200および/または基準手段201は、スーパーストラクチャ203の歪みを防ぐかまたは打ち消すと同時に、焼結とフライス加工/切削との間の変換を調整するため、スーパーストラクチャの支持体として役立ってもよい。
【0045】
次に、方法は、スーパーストラクチャ203を含む基準プレート200を、CNC切削機などの機械切削機に連結するステップを含む。これにより、歯科用スーパーストラクチャ203を切削して、構造体の、特に歯科用インプラントに連結するための座面205の、高度な仕上げを得ることが可能になる。また、ねじチャネルもこのプロセスの間に切削されてもよい。ねじチャネルはまた、レーザー溶融プロセスによって形成されてもよい。連結は、チャック、クランプ、または当業者には知られている他の適切なデバイスによって得られてもよい。
【0046】
切削は、基準プレート200または基準手段201によって案内されてもよい。これは有利であるが、その理由として、CNC切削機などの切削機は、これらを基準プレート200および/または基準手段201の位置に相関させることによって、歯科用スーパーストラクチャ203上の切削表面、即ち境界の縁部を簡単に見つけることができ、具体的に、CAD/CAMレンダリングにしたがって構造体を切削することができる。歯科用スーパーストラクチャ203の全体がCAD/CAMレンダリングの一部であるため、当業者には知られているように、すべての座標がCNC切削機に対して簡単にアクセス可能である。
【0047】
方法は、基準プレート200および/または基準手段201によって案内される、切削機を用いて歯科用スーパーストラクチャ203を切削するステップをさらに含む。切削機は、CAD/CAMソフトウェアならびに基準プレート200および/または基準手段201によって案内される、CNC切削機などの任意の切削機であってもよい。
【0048】
切削機は焼結機械と同じCAD/CAMレンダリングによって案内されるので、切削機は、焼結プロセスにおける欠陥によって生じる歯科用スーパーストラクチャ203の表面の部分を切削し、それによって廃棄物が低減されることになる。特に重要なのは、スーパーストラクチャ203を患者の歯科用インプラントに締結するための、精密なインプラント座面205を得ることである。これを容易にするため、スーパーストラクチャ203は、意図されるインプラント座面205の位置が、基準プレート200および距離ピン202の直ぐ遠位側かつ上方であるようにして、距離ピン202上に位置決めされる。
【0049】
切削機は、基準プレート200および/または基準手段201によって案内されるので、歯科用スーパーストラクチャ203を切削機内で位置決めするための手動の調節は不要である。
【0050】
一実施形態では、基準手段201は、「+」記号、「−」記号の形状、または正方形もしくは長方形など、他の認識可能な形状の突起である。このように、基準手段201はまた、基準手段201の、かつしたがって基準プレート200の、かつ結果としてさらにスーパーストラクチャ203の座標を切削機に変換するため、画像処理ソフトウェアによって認識されてもよい。したがって、基準手段201は、歯科用スーパーストラクチャ203の残りに関して切削機に対するゼロ値をマークしてもよい。
【0051】
方法は、距離ピン202を切削することによって、スーパーストラクチャ203を基準プレート200から分離して、歯科用スーパーストラクチャ203を得るステップをさらに含む。
【0052】
切削機内における基準プレート200の締結は、従来のチャックを用いて、または機械によって可能になるような他の任意の手段によって得られてもよい。
【0053】
一実施形態では、切削は、焼結と同じCAD/CAMレンダリングによって案内される。これによる利点は、切削機が歯科用スーパーストラクチャ203の境界を自動的に、即ち手動の測定または較正を伴わずに、見つけることが簡単であることである。したがって、切削ステップはより高速であり、結果として廃棄物材料がより少なくなる。
【0054】
基準プレート200および/または基準手段201の境界、したがって座標は、CNC切削機などの切削機を案内する、歯科用ブリッジスーパーストラクチャ203のCAD/CAMレンダリングに存在するので、切削機は、歯科用スーパーストラクチャ203の境界を自動的に、即ち手動の測定または較正を伴わずに見つけることになる。
【0055】
特定の実施形態を参照して本発明について上記に記載してきたが、本発明は本明細書に説明される特定の形態に限定されないものとする。より正確には、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、上述した特定のもの以外の実施形態が、これら添付の特許請求の範囲内で等しく可能である。
【0056】
特許請求の範囲において、「備える/備えている」という用語は、他の要素またはステップの存在を除外しない。さらに、個別に列挙されるものの、複数の手段、要素、または方法ステップは、例えば単一のユニットもしくはプロセッサによって実現されてもよい。それに加えて、個別の特徴が異なる請求項に含まれることがあるが、これらは場合によっては、有利に組み合わされることがあり、異なる請求項に含まれることは、特徴の組合せが実現可能および/または有利でないことを示唆するものではない。それに加えて、単数の言及は複数を除外しない。「a」、「an」、「第1の」、「第2の」などの用語は複数を除外しない。請求項における参照符号は、単に明瞭な例として提供されるものであり、特許請求の範囲をいかなる形でも限定するものとして解釈されないものとする。
図2
図4
図5
図1
図3