特許第5948434号(P5948434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948434
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】アプリケーションスイッチャー
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/445 20060101AFI20160623BHJP
   G06F 3/0481 20130101ALI20160623BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20160623BHJP
【FI】
   G06F9/06 650A
   G06F9/06 650D
   G06F3/0481 170
   G06F3/0482
【請求項の数】17
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-549372(P2014-549372)
(86)(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公表番号】特表2015-508531(P2015-508531A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】EP2011074182
(87)【国際公開番号】WO2013097896
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2014年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】コリン リチャード・マイケル
【審査官】 石川 亮
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0276911(US,A1)
【文献】 特開2009−130876(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0242278(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0274858(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/445
G06F 3/048−3/0482
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサと;
コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリを備える装置であって、前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
第1のデバイスにアプリケーションスイッチャーを提供することであって、前記アプリケーションスイッチャーは、第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツを表わす標示を提供し、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、前記第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記アプリケーションスイッチャーを提供することと;
前記アプリケーションスイッチャーからコンテンツをユーザが選択することに応答して、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスで使用されるように提供することと;
を遂行するように構成され、
さらに前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に、前記アプリケーションスイッチャーを用いて、前記第1のデバイス自体で開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツの標示の提供を遂行させるように構成される、
装置。
【請求項2】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記ユーザ選択に応答して、第1のデバイスのアプリケーションを開くこと、ただし、前記第1のデバイスのアプリケーションは、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツが関連する、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションに対するカウンターパート・アプリケーションである、前記第1のデバイスのアプリケーションを開くことを遂行させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
ユーザ選択に応答して、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツが関連する、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションの終了を前記第2のデバイスに対して命令することを遂行させるように構成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記アプリケーションスイッチャーを用いて、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツの標示を提供することであって、前記第2のデバイスは:
前記第1のデバイスとペアリングされたか,前記第1のデバイスも接続されているネットワーク/クラウドサーバと接続されたか,前記第1のデバイスと所定の近接範囲内にあるかの1つ以上である、前記提供することを遂行させるように構成される、請求項1から3の何れかに記載の装置。
【請求項5】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツの1つまたは複数の標示が:
前記第1のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーション;および/または
前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションの何れからのものであるかについて、1つまたは複数の視覚的サインの提供を遂行させるように構成される、請求項1から4のいずれかに記載の装置
【請求項6】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツの選択に応答して、カウンターパートのアプリケーションであって、前記ユーザが選択したコンテンツの少なくとも一部が共有可能である、前記第1のデバイスにおける第1のデバイスのアプリケーションの起動を遂行させるように構成される、請求項1から5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツの選択に応答して、デフォルトのカウンターパートである第1のデバイスのアプリケーションの起動を遂行させるように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツに従って、前記第1のデバイスの前記第1のデバイスのアプリケーションを少なくとも構成することであって、前記コンテンツは、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションに関連する一時的状態情報を含み、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツは、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションに関連する、前記構成を遂行させるように構成される、請求項1から7の何れかに記載の装置。
【請求項9】
前記一時的状態情報は:
未保存データ,スクリーン上のウィンドウ位置,スクリーン上のカーソル位置,スクリーン上の選択標示,スクリーン上のスクロール位置,1つ以上の機能設定,表示情報,仮設定,ユーザ定義の外観,仮データの現行インスタンス,スクリーンの位置,およびズーム率の1つ以上を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記第1のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションを前記第2のデバイスと共有可能にすることであって、前記第1のデバイスで開いているアプリケーションからのコンテンツの少なくとも一部は、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記共有可能にすることを遂行させるように構成される、請求項1から9の何れかに記載の装置。
【請求項11】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記第2のデバイスで開いているアプリケーションの間でコンテンツの同期を維持することであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツは、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションに関連し、前記共有可能なコンテンツは、前記第1のデバイスのアプリケーションに提供される、前記維持を遂行させるように構成される、請求項1から10の何れかに記載の装置。
【請求項12】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記アプリケーションスイッチャーを用いて、複数の他のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツの標示の提供を遂行させるように構成される、請求項1から11の何れかに記載の装置。
【請求項13】
前記装置は:
携帯電子デバイスやラップトップコンピュータ,携帯電話,スマートフォン,タブレットコンピュータ,携帯情報端末,デジタルカメラ,時計,サーバ,前記第1のデバイス,および前項の1つ以上のためのモジュール/回路の1つ以上である、請求項1から12の何れかに記載の装置。
【請求項14】
前記装置は:
非携帯電子デバイス,デスクトップコンピュータ,モニター,サーバ,および前項の1つ以上のためのモジュール/回路の1つ以上である、請求項1から13の何れかに記載の装置。
【請求項15】
第1のデバイスにアプリケーションスイッチャーを提供する手段であって、前記アプリケーションスイッチャーは、第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツを表わす標示を提供し、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、前記第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記アプリケーションスイッチャーを提供する手段と;
前記アプリケーションスイッチャーからコンテンツをユーザが選択することに応答して、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスで使用されるように提供するように構成されるコンテンツを提供する手段と;
を備え、
さらに、前記アプリケーションスイッチャーを用いて、前記第1のデバイス自体で開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツの標示を提供する手段を備える、装置。
【請求項16】
第1のデバイスにアプリケーションスイッチャーを提供することであって、前記アプリケーションスイッチャーは、第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツを表わす標示を提供し、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、前記第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記アプリケーションスイッチャーを提供することと;
前記アプリケーションスイッチャーからコンテンツをユーザが選択することに応答して、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスで使用されるように提供することと;
を含み、
さらに、前記アプリケーションスイッチャーを用いて、前記第1のデバイス自体で開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツの標示を提供することを含む、方法。
【請求項17】
第1のデバイスの処理手段により実行されることにより、前記第1のデバイスに:
第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツを表わす標示を提供すること、ただし前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、前記第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記提供することと;
前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツであって、ユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスでの使用のために提供することと;
前記第1のデバイス自体で開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツの標示を提供することと;
を遂行させるプログラム命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はユーザインタフェースの技術分野に関し、関連する方法,コンピュータプログラムおよび装置に関する。開示される特定の態様/実施形態は、いわゆる携帯電子デバイスといったポータブル電子デバイスに関する。こうした携帯電子デバイスは手で持って使用される(またはクレードルに置いたままで使用されてもよい)。こうした携帯電子デバイスは携帯電話やいわゆる携帯情報端末(PDA),タブレットPCを含む。
【背景】
【0002】
コンピュータ、例えば、マイクロソフト社のWindows(登録商標)オペレーティングシステムを利用するコンピュータでは、ALTとTABキーを同時に押して動作できる機能がある。こうした機能は、その機器でどのアプリケーションが開かれローカルに実行されているかを表わす標示をユーザに見せ、ユーザはこれらのアプリケーションを切替えることができる。
【0003】
本願における公開済み文献または背景の列挙や議論は、こうした文献や背景が当該技術分野の状況の一部であること、または共通の一般知識であることとして必ずしも理解されなくてもよい。本開示の1つ以上の態様/実施形態がこうした背景にある課題の1つ以上を解決してもよく、そうでなくてもよい。
【摘要】
【0004】
第1の態様では、次の装置が提供される:
少なくとも1つのプロセッサと;
コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって、前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
第1のデバイスにアプリケーションスイッチャーを提供することであって、前記アプリケーションスイッチャーは、第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツを表わす標示を提供し、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、前記第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記アプリケーションスイッチャーを提供することと;前記アプリケーションスイッチャーからコンテンツをユーザが選択することに応答して、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスで使用されるように提供することを遂行させるように構成される、装置。
【0005】
前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記ユーザ選択に応答して、第1のデバイスのアプリケーションを開くこと、ただし、前記第1のデバイスのアプリケーションは、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツが関連する、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションに対するカウンターパート・アプリケーションである、前記第1のデバイスのアプリケーションを開くことを遂行させるように構成されてもよい。
【0006】
前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
ユーザ選択に応答して、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツが関連する、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションの終了を前記第2のデバイスに対して命令することを遂行させるように構成されてもよい。
【0007】
前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記アプリケーションスイッチャーを用いて、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツの標示を提供することであって、前記第2のデバイスは:
前記第1のデバイスとペアリングされたか,前記第1のデバイスも接続されているネットワーク/クラウドサーバと接続されたか,前記第1のデバイスと所定の近接範囲内にあるかの1つ以上である、前記提供することを遂行させるように構成されてもよい。
【0008】
前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記アプリケーションスイッチャーを用いて、前記第1のデバイス自体で開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツの標示の提供を遂行させるように構成されてもよい。
【0009】
前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツの1つまたは複数の標示が:
前記第1のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーション;および/または
前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションの何れからのものであるかについて、1つまたは複数の視覚的サインの提供を遂行させるように構成されてもよい。
【0010】
前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツの選択に応答して、カウンターパートのアプリケーションであって、前記ユーザが選択したコンテンツの少なくとも一部が共有可能である、前記第1のデバイスにおける第1のデバイスのアプリケーションの起動を遂行させるように構成されてもよい。
【0011】
前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツの選択に応答して、デフォルトのカウンターパートである第1のデバイスのアプリケーションの起動を遂行させるように構成されてもよい。
【0012】
カウンターパートのアプリケーションのデフォルト設定は、ユーザ設定可能であって、既定でもよく、その両方でもよい。
【0013】
前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記第2のデバイスで開いているアプリケーションの間でコンテンツの同期を維持することであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツは、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションに関連し、前記共有可能なコンテンツは、前記第1のデバイスのアプリケーションに提供される、前記維持を遂行させるように構成されてもよい。
【0014】
前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツに従って、前記第1のデバイスの前記第1のデバイスのアプリケーションを少なくとも構成することであって、前記コンテンツは、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションに関連する一時的状態情報を含み、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツは、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションに関連する、前記構成を遂行させるように構成されてもよい。
【0015】
前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記第1のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションを前記第2のデバイスと共有可能にすることであって、前記第1のデバイスで開いているアプリケーションからのコンテンツの少なくとも一部は、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記共有可能にすることを遂行させるように構成されてもよい。
【0016】
前記一時的状態情報(動作パラメータを含む)は:
未保存データ,スクリーン上のウィンドウ位置,スクリーン上のカーソル位置,スクリーン上の選択標示,スクリーン上のスクロール位置,1つ以上の機能設定,表示情報,仮設定,ユーザ定義の外観,仮データの現行インスタンス,スクリーンの位置,およびズーム率の1つ以上を含んでもよい。
【0017】
前記アプリケーションスイッチャーが提供するコンテンツの標示は、グラフィカル表現および/またはテキスト表現として提供されてもよい。
【0018】
前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
前記アプリケーションスイッチャーを用いて、複数の他のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツの標示の提供を遂行させるように構成されてもよい。
【0019】
前記装置は:
携帯電子デバイスやラップトップコンピュータ,携帯電話,スマートフォン,タブレットコンピュータ,携帯情報端末,デジタルカメラ,時計,サーバ,前記第1のデバイス,および前項の1つ以上のためのモジュール/回路の1つ以上でもよい。
【0020】
前記装置は:
非携帯電子デバイス,デスクトップコンピュータ,モニター,サーバ,および前項の1つ以上のためのモジュール/回路の1つ以上でもよい。
【0021】
別の態様では、次の装置が提供される:
第1のデバイスにアプリケーションスイッチャーを提供する手段であって、前記アプリケーションスイッチャーは、第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツを表わす標示を提供し、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、前記第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記アプリケーションスイッチャーを提供する手段と;
前記アプリケーションスイッチャーからコンテンツをユーザが選択することに応答して、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスで使用されるように提供するように構成されるコンテンツを提供する手段
を備える、装置。
【0022】
別の態様では、次の方法が提供される:
第1のデバイスにアプリケーションスイッチャーを提供することであって、前記アプリケーションスイッチャーは、第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツを表わす標示を提供し、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、前記第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記アプリケーションスイッチャーを提供することと;
前記アプリケーションスイッチャーからコンテンツをユーザが選択することに応答して、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスで使用されるように提供することを含む、方法。
【0023】
別の態様では、次のコンピュータ可読媒体が提供される:コンピュータプログラムコードを格納するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサで実行されると、少なくとも:
第1のデバイスにアプリケーションスイッチャーを提供することであって、前記アプリケーションスイッチャーは、第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツを表わす標示を提供し、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、前記第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記アプリケーションスイッチャーを提供することと;
前記アプリケーションスイッチャーからコンテンツをユーザが選択することに応答して、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスで使用されるように提供すること
を遂行するように構成される、コンピュータ可読媒体。
【0024】
別の態様では、次のコンピュータプログラム製品が提供される:コンピュータと共に用いられるコンピュータプログラムコードを保持するコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムコードは:
第1のデバイスにアプリケーションスイッチャーを提供するコードであって、前記アプリケーションスイッチャーは、第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツを表わす標示を提供し、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、前記第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記アプリケーションスイッチャーを提供するコードと;
前記アプリケーションスイッチャーからコンテンツをユーザが選択することに応答して、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスで使用されるように提供するコード
を含む、コンピュータプログラム製品。
【0025】
別の態様では、前記第1の態様に従う装置を組立てる方法が提供される。
【0026】
別の態様では、次の装置が提供される:
少なくとも1つのプロセッサと;
コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって、前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記装置に:
第1のデバイスのアプリケーションスイッチャーによって、第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツを表わす標示を使用できるように提供することであって、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、前記第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記アプリケーションスイッチャーを提供することと;
前記第1のデバイスのアプリケーションスイッチャーからコンテンツをユーザが選択することに応答して、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスで使用されるように提供すること
を遂行させるように構成される、装置。
【0027】
前記装置は、前記第2のデバイスに提供されてもよく、前記第2のデバイスに関連付けされていてもよい。前記装置は:
携帯電子デバイスやラップトップコンピュータ,携帯電話,スマートフォン,タブレットコンピュータ,携帯情報端末,デジタルカメラ,時計,サーバ,前記第2のデバイス,および前項の1つ以上のためのモジュール/回路の1つ以上でもよい。
【0028】
前記第1のデバイスおよび第2のデバイスの間で開いているアプリケーションを共有する際に使用される各装置を備えるシステムも提供される。
【0029】
本開示は、1つ以上の態様や実施形態,特徴を個別に、または様々な組合せで含んでいる。こうした事項は、その組合せや個別で具体的に(特許請求の範囲を含めて)記述されているかどうかを問わない。議論される機能の1つ以上を遂行するための対応する手段も、本開示の範囲内にある。
【0030】
開示される方法の1つ以上を実装するための対応するコンピュータプログラムも、本開示の範囲内にあり、記載される実施形態の1つ以上によって包含される。
【0031】
前述の摘要は、単なる例示的かつ非限定的事項であることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本願は以下の添付図面を参照して説明される。ただし、これらは一例に過ぎない。
図1】本開示に従う例示的装置を示す。
図2】別の実施例を示す。
図3】別の実施例を示す。
図4a-4b】様々な特徴を有するアプリケーションスイッチャーの例示的実装を示す。
図4c-4d】様々な特徴を有するアプリケーションスイッチャーの例示的実装を示す。
図4e】様々な特徴を有するアプリケーションスイッチャーの例示的実装を示す。
図5】別の例示的変形例を示す。
図6】別の実施例を示す。
図7】本開示の方法の実施例に従うフローチャートを示す。
図8】プログラムを提供するコンピュータ可読媒体の実施例を概略的に示す。
【0033】
【例示的態様/実施形態の説明】
【0034】
多くの消費者が多数の異なる電子デバイスを所有する。例えば、先進国の平均的な人は、携帯電話(その多くはスマートフォン)とデスクトップコンピュータ,ラップトップコンピュータ,携帯音楽プレーヤーを所有し、場合によってはタブレットPCまでも所有している。こうしたデバイスはそれぞれ独自の機能群を持つ。しかし、各デバイスには一部重複した機能があり、こうした機能の一部は共通する。
【0035】
例えば、一部の携帯音楽プレーヤーは主に音楽ファイルの再生用として用いられるが、ビデオの表示や無線ネットワークの閲覧,文書の編集,音楽クリップの記録を行うこともできる。同時に、業務用コンピュータは通常、手近な業務(例えば、秘書向け文書処理やグラフィックデザイナー向け画像編集,音声技術者向けオーディオ習得等)に特化した方法で遂行する装置である。しかし、こうしたコンピュータもまた、ビデオの表示や無線ネットワークの閲覧,文書の編集,音楽クリップの記録を行うこともできる。ここで、前述の列挙は排他的なものではなく、単なる例示であることに留意されたい。
【0036】
デバイスの多機能性により、ユーザは一度に複数のデバイスを利用することがよくある。例えば、ユーザは家ではラップトップでインターネット閲覧をしながら同時に、デスクトップコンピュータで文字文書を開き、携帯音楽プレーヤーで音楽を聴き、机でこうした機器の側にある電話機は待機状態にある状況もありうる。
【0037】
任意の所定のデバイスで実行中の任意のアプリケーションでは、そのアプリケーションが利用できるように作成された多くの情報が存在する。こうした情報のなかには、「永続的」だと見做されるものや、「一時的」だと見做されるものがある。こうしたアプリケーションは「永続的状態(persistent)」および「一時的状態(transient)」にあると呼ぶことができる。「永続的」および「一時的」状態は本技術分野では既知の用語である。
【0038】
永続的状態は、あるアプリケーションにおいて開かれている複数のインスタンスの間で通常持続する状態であると考えられる。永続的状態は、アプリケーションが開かれるときはいつも保存され、見ることができるデータを表わす。一方、一時的状態は、あるアプリケーションにおいて開かれている複数のインスタンスの間で通常持続しないデータである(ただし、実行中のアプリケーションが致命的故障になった後に使用される復旧ファイル用として保存されるものを除く)。
【0039】
例えば、特定のスプレッドシート文書を開いて編集するために、2人のユーザがそれぞれ自分のデバイスの異なるプログラムを使用してもよい。スプレッドシートのサイズや各セルのコンテンツ等の情報の一部は永続的である必要があり、アプリケーション(またはアプリケーションのインスタンス)が閉じられるときに保存され、別のアプリケーション(または同一アプリケーションの別のインスタンス)が開かれるときに再生される。こうした情報は永続的であり、次にスプレッドシートが開かれるときに再現されるように、各アプリケーションによって保存される。アプリケーションがそこで開かれるスプレッドシートを備えるときはいつでも、スプレッドシートの現在の表示範囲や現在選択されている文書の一部,表示の拡大率,ユーザカーソルの位置,現在編集中のセル,テキストキャレットの位置等、アプリケーションが実際に閉じられるときに保存されない情報が多く存在する。こうした情報は一時的状態を作り上げ、通常、所定のアプリケーションによって保存されることはない。
【0040】
第1のデバイスの第1のアプリケーションのユーザが現在スプレッドシートを編集していて、第2のアプリケーション(または同一アプリケーションの代替インスタンス)を備える第2のユーザのデバイスを使おうと切替えたい場合、従来は、最初のユーザが他のデバイスでそれを再び開く前に、自身のデバイスでそのスプレッドシートを保存して閉じる必要があった。これは、同一のアプリケーションにおいて重複する複数のインスタンスが生成されて開かれ、その結果引き起こされる衝突の可能性を避けるためである。そのようにすることで、ユーザが使っていたスプレッドシートとアプリケーションに関連する一時的情報を全て失うことになる。
【0041】
しかし、一時的状態情報の1つ以上の部分が2つのデバイスと2つのアプリケーションで共有されていれば、こうした第1のアプリケーションの一時的状態の部分が第2のアプリケーションで再生されるように、第2のアプリケーションは、第1のデバイスからの一時的情報を用いて設定できる。一時的状態の部分が共有される場合、第2のアプリケーションにおけるユーザ体験の対応する要素は、第1のアプリケーションと等価であるように作られる。したがって、第1および第2のアプリケーション間の遷移は、第1のアプリケーションのコンテンツの大部分が第2のアプリケーションに維持されるほど、ユーザにとってよりスムーズなものである。また、第1のエディタの遷移前の状態に近づけるために、ユーザが第2のエディタを設定する時間の多くを節約できる。
【0042】
2つのアプリケーションは異なるプログラムであり、および/または完全に異なるデバイス(場合よっては、異なるオペレーティングシステムを持つ)で実行されることもある。そして、デバイスが異なるフォームファクターを持つ場合(例えば、携帯電話とラップトップの場合)は特に、プログラムのユーザインタフェースが全く異なっていてもよい。しかし、両アプリケーションがこのように一時的状態を共有するように構成されている限りは、前述の望ましい利点をもたらすように、こうした情報がアプリケーション間で移動できる。こうした設定は、アプリケーションが最初に作成されるときに含められてもよい。あるいは、作成後にこうした機能を追加できるように、プログラムが修正可能であってもよい。
【0043】
次に、別々のデバイスで実行中の異なるアプリケーションを参照して、複数の実施例を説明する。ただし、同じ原理が、別々のデバイスで実行中の同一アプリケーションの異なるインスタンスや、単一デバイスで実行中の異なるアプリケーションまたは同一アプリケーションの異なるインスタンスに対しても適用可能であることは理解されよう。
【0044】
アプリケーション間の同期を実現するために、一時的状態はこれらの間で共有される(例えば、同期されるか、少なくとも通信している)必要がある。そして、これを行うための様々な方法が存在する。ある実施例では、各デバイスで一時的状態情報をローカルに複製することによって実現される。一時的状態情報は必要に応じて(例えば、即座に,変化を検出したときに,アプリケーションスイッチャーのようなアプリケーションの一部として採用されたとき等に)デバイス間で共有されてもよい。
【0045】
前述の背景の節で述べたように、マイクロソフト社のWindows(登録商標)のコンピュータは、ALTとTABキーを同時に押してアクセスできる機能がある。この機能は、そのコンピュータで開いているアプリケーションをトグルし、そのデバイスでどのアプリケーションが開いているかを表わす標示を与えられる。しかし、この機能では、他のデバイスで実行中の(共有可能な)アプリケーションがどれであるかを見ることが許されない。また、ユーザはデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツを別のデバイスと共有するように切替えることも許されない。例えば、ラップトップが音楽ファイルを再生できるとしても、ユーザがアプリケーションを使って音楽を聴いている場合、その機能は通常ラップトップに直接移動させることはできない。すなわち、音楽プレーヤーのアプリケーションが音楽プレーヤーデバイスで開いているために、ラップトップのユーザは単純にそのアプリケーション(またはそのローカルな等価物)にトグルすることができない。
【0046】
場合によっては、アプリケーションスイッチャー(ユーザがアプリケーション、例えば、現在実行中/開いているアプリケーションを切替えられる任意の機能)を用いて、複数のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツをリアルタイムで、これらデバイス間で共有できる利点がある。例えば、第1のデバイス(ラップトップ等)のユーザにとって、第2のデバイス(携帯音楽プレーヤーの音楽プレーヤーアプリケーション)で開いている1つ以上のアプリケーションから第1のデバイスで利用可能なコンテンツの標示が提供可能であることは有益であろう。第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、例えば、第1のデバイスの少なくとも1つのアプリケーション(音楽プレーヤーアプリケーション等)とリアルタイムで共有可能であることが必要である。
【0047】
ユーザが適切に構成されたアプリケーションスイッチャーからコンテンツを選択する場合、第2のデバイスで開いているアプリケーションでユーザが選択した共有可能なコンテンツは、(前述の各実施例のように)第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスで使用されるように提供されてもよい。こうした特徴を提供する様々な実施形態を以降で説明する。
【0048】
まず図1に示すような第1の実施例を説明する。図1は、プロセッサ110とメモリ120,入力I,出力Oを備える装置100を示す。この実施形態では1つのプロセッサと1つのメモリしか図示されていないが、その他の実施形態では複数のプロセッサおよび/または複数のメモリ(同一または異なるプロセッサ/メモリのタイプ等)を利用してもよい。装置100は携帯電子デバイス用の特定用途向け集積回路(ASIC)でもよい。装置100はデバイス用モジュール、またはデバイス自体であって、プロセッサ110が汎用CPUおよびメモリ120が汎用メモリであってもよい。
【0049】
入力Iによって、追加コンポーネントから装置に100に信号を受信できる。出力Oによって、装置に100から追加コンポーネントに信号を提供できる。この実施形態では、入力Iと出力Oは装置100と追加コンポーネントを接続できる接続バスの一部である。プロセッサ110は、コンピュータプログラムコードの形式でメモリ120に格納される命令に従って、入力I経由で受信された情報を実行/処理する専用の汎用プロセッサである。こうした動作によってプロセッサ110から生成された出力信号は、出力Oを経由して追加コンポーネントに送り出される。
【0050】
メモリ120(単一メモリユニットでなくてもよい)は、コンピュータプログラムコードを格納するコンピュータ可読媒体(固体メモリやハードドライブ,ROM,RAM,フラッシュ,その他のメモリ等)である。このコンピュータプログラムコードは、自身がプロセッサ110で実行されるときプロセッサ110によって実行可能な命令を含む。メモリ120とプロセッサ110の間の内部接続は、メモリ120に格納されたコンピュータプログラムコードにプロセッサ110がアクセスできるように、プロセッサ110とメモリ120の間にアクティブ結合を提供するものと理解することができる。
【0051】
この実施形態では、入力Iと出力O,プロセッサ110,メモリ120は各コンポーネントI,O,110,120間で通信できるように内部で電気的に接続されている。この例では、こうしたコンポーネントが単体ASICとして互いに隣接して配置されている。こうしてコンポーネントI,O,110,120は、電子デバイスにインストールできるように、単体チップ/回路に集積させてもよい。他の実施形態では、コンポーネントの1つ以上または全部が(デバイス200,300等の携帯電子デバイス経由で、または「クラウド」等のネットワーク(図5を参照)で)別々に配置されてもよく、および/または、別の機能を提供/サポートしてもよい。
【0052】
装置100の1つ以上の実施例は、図2に示すような別の装置用のコンポーネントとして使用することも可能である。図2は、装置100の機能を別々のコンポーネントを介して備える装置100の変形例を示す。他の実施例では、装置200が、携帯電話やPDA,オーディオ/ビデオプレーヤー等の装置用モジュールとして(任意選択できる破線の箱で示される)装置100を備えてもよい。こうしたモジュールや装置,デバイスは、適切に構成されたメモリとプロセッサを備えるだけでもよい。
【0053】
例示的装置/デバイス200は、液晶ディスプレイ(LCD)やe-lnk,(タブレットPC等の)タッチスクリーン・ユーザインタフェース等のディスプレイ240を備える。デバイス200は、アクセスデータを受取る,含む,および/またはその他の処理を行えるように構成される。例えば、デバイス200は、無線ネットワークおよび/またはポート(図示せず)に接続するアンテナ260と通信する通信ユニット250(受信機,送信機,および/または送受信機等)を備える。デバイス200は、データを格納するメモリ220を備える。データはアンテナ260やユーザインタフェース230経由で受信されてもよい。プロセッサ210はユーザインタフェース230やメモリ220,通信ユニット250からデータを受信してもよい。データはディスプレイデバイス240および/または装置に備わるその他の出力デバイスを介してデバイス200のユーザに出力されてもよい。プロセッサ210は、最新のユーザに関するデータをメモリ220に格納してもよい。デバイスは通信バス280を介して接続されるコンポーネントを備える。
【0054】
通信ユニット250は例えば、受信機,送信機,および/または送受信機であって、ネットワークとの物理的接続を受取るために、無線ネットワークおよび/またはポート(図示せず)に接続するアンテナ260と通信し、データが1種類以上のネットワークを介して受信されるようにしてもよい。通信(またはデータ)バス280は、メモリ(または格納媒体)220に格納されたコンピュータプログラムコードにプロセッサ210がアクセスできるように、プロセッサ210とメモリ220の間にアクティブ結合を提供してもよい。
【0055】
メモリ220は装置100のメモリ120と同様にコンピュータプログラムコードを含むが、その他のデータを含んでもよい。プロセッサ210はユーザインタフェース230やメモリ220,通信ユニット250からデータを受信してもよい。データ元に関係なく、こうしたデータはディスプレイデバイス240および/または装置に備わるその他の出力デバイスを介してデバイス200のユーザに出力されてもよい。プロセッサ210は、最新のユーザに関するデータをメモリ220に格納してもよい。
【0056】
図3に示すデバイス/装置300は、電子デバイス(タブレットPCやデスクトップコンピュータを含む)や携帯電子デバイス,携帯電話,またはこうしたデバイス用のモジュールでもよい。装置100はデバイス300用のモジュールとしてや、デバイス300用プロセッサ/メモリ,デバイス300等のモジュール用プロセッサ/メモリとして提供されることもある。デバイス300はプロセッサ385と格納媒体390を備え、これらはデータバス380によって電気的に接続されている。データバス380は、コンピュータプログラムコードにプロセッサ385がアクセスできるように、プロセッサ380と格納媒体390の間にアクティブ結合を提供できる。
【0057】
図3の装置100は、データバス380を経由して装置100からの出力を受信したり、その出力をデバイス300に送信したりする入出力インタフェース370に電気的に接続される。インタフェース370は、装置100からユーザに情報を提供する(タッチセンサ式またはその他の)ディスプレイ375にデータバス380を介して接続されることもある。ディスプレイ375はデバイス300の一部でも、別々でもよい。デバイス300は、他のデバイスコンポーネントの動作を管理するためにそれらデバイスコンポーネントに信号を提供し、そこから信号を受信することによって、デバイス300だけでなく装置100を通常制御できるように構成される、プロセッサ385も備える。
【0058】
格納媒体390は、装置100の動作を遂行,制御,または可能にするように構成されるコンピュータコードを格納するように構成される。格納媒体390は、他のデバイスコンポーネント用の設定を格納するように構成されてもよい。プロセッサ385は、他のデバイスコンポーネントの動作管理を目的として、コンポーネント設定を読出すために格納媒体390にアクセスしてもよい。格納媒体390は、揮発性ランダムアクセスメモリ等の一時格納媒体でもよい。格納媒体390は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ,不揮発性ランダムアクセスメモリ等の永久格納媒体でもよい。格納媒体390は、同一または異なるメモリタイプの様々な組合せで構成されることもある。以下で説明する様々な実施例は、望ましい技術的目標に応じて、装置100と装置/デバイス200,装置/デバイス300の何れかとして実装され得る。まず、図4aから4eを参照して第1の実装を説明する。
【0059】
図4aは、タブレットPC410である第1のデバイスとデスクトップコンピュータ420である第2のデバイスを示す。デスクトップコンピュータ420は図3で示したようなモジュールとして装置100を備える。一方、タブレットPC410は、図2に示すように、ソフトウェアとハードウェアコンポーネントを介して装置100の機能を備える。タブレットPC410およびデスクトップコンピュータ420の両方とも、プロセッサ,1つまたは複数のメモリ,入出力インタフェース(タブレットPC410はタッチスクリーン式ディスプレイT、デスクトップコンピュータ420は専用物理キーボードKをそれぞれ備える)等を備える。これにより、それぞれ標準のタブレットPCおよびデスクトップコンピュータとして動作できる。こうして、ユーザは各デバイスで複数のアプリケーションを独立に実行できる。図示した実施例は単なる例示であり、様々なデバイス/装置が本開示に従って提供または構成される。こうしたデバイス/装置は携帯電子デバイス,ラップトップコンピュータ,携帯電話,スマートフォン,タブレットコンピュータ,携帯情報端末,デジタルカメラ,時計,非携帯電子デバイス,デスクトップコンピュータ,モニター,サーバ,またはこれらの1つ以上のためのモジュール/回路などの形態を取りうる。同様に、各デバイス/装置が本発明に関して説明した特徴を全て備える必要はない。例えば、デバイスはディスプレイを備えず、外部ディスプレイを利用したり、ユーザに出力を与える何か他の手段(例えば、音声出力等)を利用したりしてもよい。
【0060】
図4aは、タブレットPC410が文書処理アプリケーション401と音楽プレーヤーアプリケーション402を実行している状況を示す。また図4aは、デスクトップコンピュータがウェブブラウザアプリケーション403と地図アプリケーション404、そして(ハイライトされたノートパッドアイコンで示すように)バックグラウンドで実行中のノートパッドアプリケーション405を実行している状況も示す。したがって、タブレットPC410は2つのアプリケーション401,402を実行中だが、デスクトップコンピュータは3つのアプリケーション403,404,405を実行中である。
【0061】
この実施例では、タブレットPC410とデスクトップコンピュータ420は、アドホック無線ネットワーク(例えば、WiFi 802.11 a/b/g/nやブルートゥース等)を経由して互いに直接無線通信することができる。他の実施例では、デバイス410,420間の通信は、ペア通信を介したり、クラウドネットワーク/サーバを介して実現したり(図5を参照)、その他の任意適切な直接的または間接的(別のデバイスを介する)方法を用いて行われたりしてもよい。
【0062】
図4bは、ユーザがタブレットPC410でアプリケーションスイッチャー430を起動した状況を示す。アプリケーションスイッチャー430は、第2のデスクトップコンピュータデバイス420で開いている1つ以上のアプリケーションから第1のタブレットPCデバイス410で利用可能なコンテンツの標示を提供する。この実施例では、アプリケーションスイッチャー430は、第1のタブレットPCデバイス410で開いているアプリケーションによって提供される、タブレットPC410自体で利用可能なコンテンツの標示も提供する。これは、ユーザがアクセスできる利用可能なアプリケーションの照合/集約リストのように示されているが、これ自体は必須ではない。アプリケーションスイッチャー430は、この実施例では、各アプリケーション(401,402,403,405)のウィンドウ表現をリサイズした形態で見えている。
【0063】
アプリケーションスイッチャー430を介して提供される、第2のデスクトップコンピュータデバイス420で開いているアプリケーションは、第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部が、第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能であるアプリケーションだけであることに留意すべきである。この実施例では、デスクトップコンピュータの地図アプリケーション404のコンテンツを共有できるカウンターパート・アプリケーション(すなわちデスクトップコンピュータの地図アプリケーション404と対になるアプリケーション)が、タブレットPCに存在しない。その結果、こうした情報をアクセスまたは共有することができないため、このコンテンツの標示をタブレットPCのユーザに示す必要がない。一方、タブレットPC410およびデスクトップコンピュータ420は、ウェブ閲覧や音楽再生,文書処理,ノート作成のためには、互いにカウンターパート・アプリケーションを持っている(すなわち互いに対となるアプリケーションを持っている)。このように、2つのデバイス410,420で実行中のアプリケーション401-405が計5つあるが、そのうちの4つのアプリケーション401-403,405については、第1のタブレットPCデバイス410で共有/アクセス可能である。したがって、この4つだけが共有可能なコンテンツの標示として提供される。
【0064】
図4bは、タブレットPC410のタッチスクリーンを通じて、アプリケーションスイッチャー430を介して示された共有可能なコンテンツにアクセスするために、これら開いているアプリケーションの何れかをユーザが選択できる状況を示す。この実施例では、ユーザはデスクトップコンピュータ420で実行中のウェブブラウザアプリケーション403を選択している。このユーザ選択は、ジェスチャーを介した(タブレットPC410のタッチスクリーンインタフェースでの)ユーザ入力の形態を取得してもよい。こうしたジェスチャーは、タップやスワイプ,プレス,ホールド,回転ジェスチャー,デバイスのユーザインタフェースに近接する静的ホバリング(static hover)ジェスチャー,デバイスに近接する移動ホバリング(moving hover)ジェスチャー,デバイスの少なくとも一部を曲げる(bending),デバイスの少なくとも一部を絞る(squeezing),マルチフィンガー・ジェスチャー,デバイスを傾ける(tilting),デバイスの反転の1つ以上を含むことがある。あるいは、または加えて、その他の任意適当なジェスチャーが使われてもよい。ウェブブラウザの選択に応答して、ウェブブラウザアプリケーション403が関連するコンテンツがデスクトップコンピュータ420から直接タブレットPC410へ(この実施例では)無線通信される。こうして、カウンターパート・アプリケーション(すなわちウェブブラウザ406)は、タブレットPC410(の特定の範囲)にこのコンテンツを複製することができる。なおここで、ウェブブラウザ406は、ウェブブラウザ403と同一のアプリケーションであってもよく、そうでなくてもよい。
【0065】
この効果は、ユーザが特定のウェブページ、例えばBBCニュースウェブサイトを見ていた場合、アプリケーションスイッチャーを介してタブレットPC410に提供される共有可能なコンテンツの標示を選択することによって、対となるウェブブラウザアプリケーション(カウンターパート・アプリケーション)406がタブレットPC410で起動され、同一のウェブサイトのアドレスが開かれる。共有可能なコンテンツは広範な用語であり、ウェブブラウザアプリケーションの文脈においては、ウェブサイトにアクセスする際、そのウェブサイトに存在するユーザがアクセス可能なテキストや画像,動画,音声コンテンツを含んでもよい。また、ウェブサイトおよびウェブブラウザアプリケーションが提供する機能全般やウェブブラウザアプリケーションの任意のアイコンやグラフ表現を含んでもよい。また、アプリケーションスイッチャーが提供するコンテンツの標示も、アプリケーションに関連するアイコンでもよく、実際には、標示される共有可能なコンテンツ全体の一部でもよい。
【0066】
これに加え、この特定の実施例では、ウェブアドレスの一部として格納される必要のないコンテンツおよび/またはブラウザアプリケーションに関連する一時的状態情報(例えば、ズーム率や音量設定,ページのスクロール位置,閲覧履歴,キャッシュ/クッキー,パスワード,セキュリティ設定等)は、タブレットPC410と通信され、第2のデスクトップコンピュータデバイス420で実行されていた通りにウェブブラウザアプリケーション403の一時的状態を複製するために使用されてもよい(ただし、こうした情報は例えば、デスクトップコンピュータ420で実行されている通りに、開いているアプリケーションの動作パラメータの一部として一時的状態で利用される)。これは、ウェブブラウザアプリケーション403の単一インスタンスが第2のデバイス420から第1のデバイス410に移動(または複製)されたとユーザに認知させるために、ユーザがデスクトップコンピュータ420のウェブブラウザアプリケーション403を使ってやり取りしていた方法がタブレットPC410に移植されることを意味する。
【0067】
一時的状態情報(動作パラメータを含む)は、次の何れか1つ以上を含んでもよい:未保存データ(ユーザによる正式な保存から次の正式な保存までの間のアプリケーションのデータ等),スクリーン上のウィンドウ位置,スクリーン上のカーソル位置,スクリーン上の選択標示,スクリーン上のスクロール位置,1つ以上の機能設定(音量設定等),表示情報,仮設定,ユーザ定義の外観,仮データの現行インスタンス,スクリーンの位置,ズーム率など。
【0068】
これは排他的な列挙ではなく、一時的状態情報および関連する動作パラメータの性質を説明するその他の例も含む。アプリケーションスイッチャー430を用いてデバイス420から別のデバイス410へ提供できる共有可能なコンテンツの性質も同じく考慮される。
コンテンツは特定のデバイスによって提供され利用可能になってもよく、あるデバイスから別のデバイスに提供される際に使用される必要はないことに留意すべきである。このことは以降で詳述する。
【0069】
実際には、アプリケーションスイッチャー430からコンテンツをユーザが選択するのに応答して、アプリケーションスイッチャー430は、第2のデバイス420で開いているアプリケーション(この場合403)でユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーション(この場合406)を用いて第1のデバイス410で使えるように提供してもよい。
【0070】
当然ながら、ユーザは代替として、第1のタブレットPCデバイス410で既に実行中の開いているアプリケーションをアプリケーションスイッチャーから選択し、そのアプリケーションの標準的な開始が行われてもよい。ここで重要な点は、第2のデスクトップコンピュータデバイス420で開いている1つ以上のアプリケーションから第1のタブレットPCデバイス410で利用可能なコンテンツに関する標示を(少なくとも)提供できるということである。ローカルデバイスまたはリモートデバイスから共有可能なコンテンツがどれであるかを表わすために、デバイスの名前/番号など、所定のコンテンツの標示が特定のデバイスに属するという視覚的サインを、共有可能なコンテンツの各標示の左上隅に提供することができる。こうした視覚的サインは、色や形,ハイライト表示の形態が用いられてもよい。
【0071】
この実施例では、共有可能なコンテンツがタブレットPC410に提供されたら、ウェブブラウザアプリケーション403が(ウェブブラウザアプリケーション406として)タブレットPC410に移動してきたとユーザが完全に認知するように、タブレットPC410は、デスクトップコンピュータに対して開いているブラウザアプリケーション403を終了するよう命令する。これは図4cで示されている。図4cは、ウェブブラウザアプリケーション406がリアルタイムで起動され、コンテンツがデスクトップコンピュータ420のウェブブラウザアプリケーション403からタブレットPC410のブラウザ406に提供された方法を示す。
【0072】
所定のデバイスに複数のウェブブラウザアプリケーション(例えば、マイクロソフト社のInternet Explorer(登録商標),Mozilla社のFirefox(登録商標),Apple社のSafari(登録商標),Opera(登録商標)など)があってもよいことも理解されよう。この場合、ユーザが選択した共有可能なコンテンツを見るために、第1のデバイスのアプリケーションを起動するときに用いられるデフォルトのアプリケーションを設定する、デフォルトアプリケーション設定がある。これは既定および/またはユーザが定義したものでもよく、所定のコンテンツに対してどのアプリケーションを利用したいかをユーザに質問する形でもよい。
【0073】
こうした技術によって、アプリケーションとその共有可能なコンテンツがデバイス間で交換される。実際には、特定のアプリケーション自体は特定のデバイスから本当に「交換」されるわけではない。その代わり、1つまたは複数の機能の一部が共通である等価または少なくとも対応するカウンターパートのアプリケーションが他のデバイスで開かれ、ユーザがそれまで使用していたアプリケーションから(共有可能なコンテンツに基づいて)継続できるように構成される。これはユーザに、単一のアプリケーションがあるデバイスから別のデバイスにシームレスに交換されたような認識を与える。
【0074】
前述の議論は、第1のデバイスが第2のデバイスのアプリケーションをアクセスする最初の簡単な実施例から始めたが、当然このシナリオは、他のコンテンツをそれぞれ共有できる複数のデバイスがある可能性も包含して拡張できるものである。
【0075】
図4dは、タブレットPC410のアプリケーションスイッチャー430と実質的に同じ方法で動作するアプリケーションスイッチャー440をデスクトップコンピュータ420も備える形態を示す。このアプリケーションスイッチャー440では、2つのデバイス410,420で実行中の開いているアプリケーションは全て共有可能で、デスクトップコンピュータ420によってある範囲までアクセス可能である。これは、地図アプリケーション404のコンテンツを全く共有できなかったタブレットPC410の実施例とは異なる(こうしたコンテンツは、地図の画像自体や地図に関連する任意の機能を含んでもよい。関連する任意の機能とは、移動の始点と終点に対して地図にマーカを置ける機能や、有料道路を使わない優先度でルートを設定できる機能などである)。結果として、実行中の5つのアプリケーション401-405全てが、ユーザが選択できるようにアプリケーションスイッチャー440によって表示される。
【0076】
この連続した実施例では、アプリケーション401からのコンテンツで第2のデバイス420でも利用できる共有可能な任意のコンテンツを提供するために、ユーザは文書処理アプリケーション401を選択する。文書処理アプリケーションに関連する共有可能なコンテンツは、文書中の任意のテキストや図を含んでもよい。こうしたコンテンツには、文書処理アプリケーションに関連する任意の機能(例えば、ユーザがフォント設定やマージン,ページレイアウトを変更できる機能など)やアプリケーション内のメニュー構造,リストやデスクトップ等でアプリケーションを示すのに使う任意のアイコンも含まれる。ただし、こうした列挙は排他的ではない。その結果、デスクトップコンピュータ420はその文書処理アプリケーションを起動するために選択できる。または、デスクトップコンピュータ420のバックグラウンドで現在実行中のノートパッドアプリケーション405等の代替アプリケーションも利用できる。
【0077】
タブレットPC410の文書処理アプリケーション401の共有可能なコンテンツに対して利用可能なアプリケーションが複数ある可能性もあるため、適切なカウンターパートのアプリケーションが確立される必要がある。この場合、デフォルト設定では、最低限の処理パワーを使うアプリケーションが起動されるべきである。ノートパッドアプリケーション405が既に実行中である場合、文書処理アプリケーションまたは専用データ処理パッケージを起動するよりも、ノートパッドアプリケーション405の新規ウィンドウ407が起動される。他の実施例では、ユーザは起動するアプリケーションの選択を指示されてもよい。別の実施例では、特定のコンテンツに対して既定および/またはユーザが定義したデフォルトアプリケーションがあってもよい。
【0078】
図4aから4cの実施例のような、第1のデバイス410でのアプリケーション401の使用から第2のデバイス420のカウンターパートのアプリケーション407へのシームレスな遷移が行われるように、このカウンターパートのアプリケーションの起動が、タブレットPC410が文書処理アプリケーション401を終了するように、デスクトップコンピュータ420に命令させる。なお、このノートパッドアプリケーション407のフォントタイプやフォント設定,ズーム設定は、第1のデバイス420で実行中だった文書処理アプリケーション401のそれとは異なることに留意すべきである。これは、文書コンテンツと文書処理アプリケーション401で入っていた汎用フォーマットは第2のデバイス420に提供されるが、全てのコンテンツが提供される必要はなく、および/または第2のデバイス420によって使われなくてもよいことを示している。共有可能なコンテンツの少なくとも一部が共有されるが、その全てが共有/使用される必要はない。第2のデバイス420は、受取られるコンテンツの性質や既定/ユーザ定義の設定に応じて、特定のコンテンツや動作設定(例えば、フォントの大きさやスクロール位置など)を無視する選択を行ってもよい。
【0079】
タブレットPC410は文書処理アプリケーション401への文字入力用としてタッチスクリーンしか持たないため、アプリケーション401の一部としてタッチスクリーンキーボードが提供されてもよい。しかし、デスクトップコンピュータ420にはハードウェアキーボードが備わっていてタッチスクリーンがない。そのため、スクリーン上にはキーボードを表示しない代わりに、ハードウェアキーボードが使われる。こうした変形例は、コンテンツに応じて様々なデバイス間、および様々なアプリケーション間でコンテンツが共有されるときに行われてもよい。
【0080】
ユーザがタブレットPC410の音楽プレーヤーアプリケーション402を選択したときは、デスクトップコンピュータ420は、音楽プレーヤーアプリケーション402とは大きく異なるかもしれない自身の音楽プレーヤーアプリケーションを起動する場合もある。しかし、このことはあまり重要ではない。共有可能なコンテンツを形成する音声、および音声が再生された際の一時的状態コンテンツ(例えば、何分何秒というオーディオクリップの再生時間,音量および/またはイコライザの設定など)は、カウンターパートのアプリケーションで使用される必要がなかったとしても、移植することができるからである。
【0081】
図4a図4eを比べると、開いているアプリケーションの数がデバイス410,420間で「入れ替わっている」ことが分かる。デスクトップコンピュータ420で実行中のアプリケーションによっては、カウンターパートのアプリケーションがタブレットPC410での動作を引き継ぎ、その逆も可能である。これによって、デバイス間で直感的にアクセス可能な方法でコンテンツを簡単に共有することができる。こうしたデバイスが異なるオペレーティングシステム(例えば、マイクロソフト社のWindows(登録商標),Linux(登録商標),Apple社のMac OS X(登録商標),iOS(登録商標),BlackBerry OS(登録商標),Symbian OS(登録商標)など)で動作してもよく、異なるタイプのカウンターパート・アプリケーションを持っていてもよい。こうして、異なるまたは同一のオペレーティングシステムを備えるデバイスのアプリケーション間でコンテンツをシームレスかつリアルタイムで共有することができる。
【0082】
(前述の1つ以上の実施例に従う)所定のデバイスに対して他のデバイスは、様々な方法によってアプリケーション間でコンテンツを共有するように設定されてもよい。例えば、第1のデバイスから特定の範囲内にある他のデバイスは、(例えば、近接度に基づいて)アプリケーションスイッチャーの一部としてコンテンツを共有するように設定されてもよい。こうした他のデバイスは、何らかの方法で一緒にペアリングすることによって登録されてもよく、これらを集めたデバイス全てが、「リアルタイム共有」ネットワークといった同一のネットワークの一部となっていてもよい。
【0083】
前述した実施例では、アプリケーションが「交換」される場合、シームレスな遷移(例えば、アプリケーションの「スチール(stealing)」と喩えられる)を行うために、開いていた元のアプリケーションは終了させられる。当然ながら、こうした場合に限らず、対応する第1のデバイスのアプリケーションが開かれても、他のデバイスで開いた元のアプリケーションがアクティブなままであってもよいことも理解されよう。このような実施例では、開いていた元のアプリケーションが第1のデバイスで開かれたままで、2つの(またそれ以上の開いていた)アプリケーション(各デバイスに一つずつある)は、互いに同期された状態にある(例えば、それら全てが一緒に実行されている)。実装により、アプリケーションが相互依存関係にあって、ある結果の変化が、デバイス間でのコンテンツの相互共有を通じて他の結果も同じように変化してもよい。あるいは、こうしたアプリケーションが互いに独立して動作し、一旦元のコンテンツが共有されると、どのアプリケーションも他のアプリケーションに影響を及ぼさなくてもよい。
【0084】
図4aから4eに示した実施例はタブレットPC410とデスクトップコンピュータ420とが直接通信して動作するが、間接的通信でも同じ結果を得られることは理解されよう。図5は、クラウドコンピューティング/ネットワークサービス(これらはまとめて510とラベル付けされているが、仮想/物理サーバやローカル/リモートサーバの任意の組合せであってよい)等によって、2つのデバイスだけに限定されることなく複数のデバイス(AからD)の間でコンテンツの共有を強化できる方法を示す。例えば、アプリケーションのソースコードがクラウドサーバに格納され、各デバイスはそれぞれのアプリケーションの1つ以上を実行するためにそのコードを利用できる。最低でも所定のアプリケーションの一部要素は、所定のデバイスで実行されなくてはならない。
【0085】
第1/第2のデバイスから第1のデバイスのアプリケーションスイッチャーに共有可能なコンテンツの標示を提供するために、適切な機構がなくてはならない。ここで、アプリケーションスイッチャーは第2のデバイスから使用する、開いているアプリケーションを選択するのに用いられる。したがって、第2のデバイスは共有可能なコンテンツがどれであるかを示す標示を提供し、そのコンテンツを第1のデバイスと共有できるようにしなくてはならない。
【0086】
図6は、ユーザが様々なデバイスで様々なアプリケーションにアクセスできるように、アプリケーションスイッチャー640,650,660がそれぞれ3つのデバイス610,620,630に提供される方法を示す。別のデバイスでカウンターパートのアプリケーションが開かれても、各アプリケーションが終了させられる必要はないことは理解されよう。そして、アプリケーションスイッチャーが、開いているアプリケーションであって、そのコンテンツは少なくとも一部がグラフィカル的におよび/またはテキストで共有可能である、開いているアプリケーションを示してもよい。例えば、デバイス610のアプリケーションスイッチャー640は一連のグラフィカルアイコンとして表わされ、各アイコンが3つのデバイス全てで開いているアプリケーションで共有可能なコンテンツを表わしている。デバイス620のアプリケーションスイッチャー650は、3つのデバイスで実行中の各アプリケーションのウィンドウを縮小した表示を提供する。デバイス630のアプリケーションスイッチャー660は、3つのデバイスで実行中のアプリケーションのテキストベースのリストを提供する。リストの各アイテムは、共有可能なコンテンツの標示として選択可能で、各デバイスに提供される。
【0087】
リストされる標示の順序は、3つのデバイス610,620,630全てにおけるアプリケーションの使用順を反映してもよい。あるいは、リモートデバイス(例えば620,630)で開いているアプリケーションのうち、対象となるローカルデバイス(例えば、610)でカウンターパートが既に実行されているものがどれかに基づいていてもよい。
【0088】
図7は、以下のフロー図を示す:
【0089】
710−第1のデバイスにアプリケーションスイッチャーを提供することであって、前記アプリケーションスイッチャーは、第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションから前記第1のデバイスで利用可能なコンテンツを表わす標示を提供し、前記第2のデバイスで開いている1つ以上のアプリケーションのコンテンツの少なくとも一部は、前記第1のデバイスのアプリケーションとリアルタイムで共有可能である、前記アプリケーションスイッチャーを提供すること;
【0090】
720−前記アプリケーションスイッチャーからコンテンツをユーザが選択することに応答して、前記第2のデバイスで開いているアプリケーションのコンテンツであって、前記ユーザが選択した共有可能なコンテンツを、第1のデバイスのアプリケーションを用いて第1のデバイスで使用されるように提供すること。
【0091】
図8は、実施形態に従うプログラムを提供するコンピュータ/プロセッサ可読媒体800を概略的に示す。この実施例では、コンピュータ/プロセッサ可読媒体はデジタル多用途ディスク(DVD)やコンパクトディスク(CD)等のディスクである。他の実施例では、コンピュータ可読媒体は、本発明の機能を遂行するようにプログラムされた任意の媒体でもよい。コンピュータプログラムコードは、複数の同種メモリまたは異種メモリの間で配信されてもよい。こうしたメモリはROMやRAM,フラッシュ,ハードディスク,固体メモリ等である。
【0092】
開示した態様/実施形態の1つ以上に従う携帯電子デバイス/装置は、次のうちの1つ以上の機能を提供してもよい:オーディオ/テキスト/ビデオ通信機能(例えば、電話通信,ビデオ通信,および/またはテキスト通信(ショートメッセージサービス(SMS)/マルチメディアメッセージサービス(MMS)/電子メール)の機能);インタラクティブ/非インタラクティブ表示機能(例えば、ウェブ閲覧,ナビゲーション,テレビ/番組表示の機能);音楽録音/再生機能(例えば、MP3や他のフォーマット,および/または(FM/AM)ラジオ放送の録音/再生);データのダウンロード/設定機能;画像録画機能(例えば、(内蔵の)デジタルカメラ);ゲーム機能。
【0093】
前述した任意の装置/デバイス/サーバ、および/または前述した装置/デバイス/サーバのうちのある特定のものに関する他の特徴は、所望する動作を遂行するように構成される装置によって提供されてもよい。ただし、こうした動作が可能である場合、例えば、電源が入れられているような場合に限る。このような場合、装置は、不可能な状態(例えば、電源が入っていない状態)で適切なソフトウェアをアクティブメモリにロードする必要がなく、可能な状態(例えば、電源が入れられた状態)のときだけ適切なソフトウェアをロードすればよい。装置はハードウェア回路および/またはファームウェアを備えてもよい。装置はメモリにロードされるソフトウェアを備えてもよい。こうしたソフトウェア/コンピュータプログラムは、同一のメモリ/プロセッサ/機能ユニット、および/または1つ以上のメモリ/プロセッサ/機能ユニットに記憶されていてもよい。
【0094】
実施形態によっては、前述の装置/デバイス/サーバのうちの特定のものは、所望する動作を遂行するように適切なソフトウェアで予めプログラムされていてもよい。ここで適切なソフトウェアは、例えば、ソフトウェアと関連機能を解除/有効化するためにユーザが「キー」をダウンロードすることによって利用可能になってもよい。こうした実施形態に関連する利点には、デバイスが追加機能を必要する場合、必要なデータダウンロードを減らせることが含まれる。これは、ユーザが有効化しない機能に関する予めプログラムされたソフトウェアを格納できるだけの十分な容量をデバイスが持っているとされる実施例では、有用となり得る。
【0095】
前述した任意の装置/回路/プロセッサは、前述した機能以外の他の機能を有していてもよく、こうした機能が同一の装置/回路/要素/プロセッサで遂行されてもよい。開示した態様の1つ以上は、関連するコンピュータプログラムの電子配置と、適切なキャリア(メモリ,信号等)に記憶されたコンピュータプログラム(送信元/送信途上で符号化されたものでもよい)を包含してもよい。
【0096】
本願で記載される「コンピュータ」は全て、1つ以上の個別のプロセッサ/処理要素を集めたものを含んでおり、こうしたプロセッサ/処理要素は、同一の回路基板や特定の回路基板における同一の領域/場所、または同一のデバイスに配置されてもよく、そうでなくてもよい。実施形態によっては、前述した任意のプロセッサの1つ以上は、複数のデバイスに分散されていてもよい。同一のまたは別々のプロセッサ/処理装置が本願に記載された機能の1つ以上を遂行してもよい。
【0097】
「シグナリング(signalling)」という用語は、一連の送信および/または受信される電気的/光学的信号として伝送される1つ以上の信号を表わしてもよい。一連の信号は、前記シグナリングを構成するための1,2,3,4,またはそれより多い個別の信号成分または区別可能な信号を含んでもよい。こうした個別の信号の一部または全部が、無線または有線通信によって同時に,順々に,および/またはそれらが時間的に互いに重ね合わさるように、送受信されてもよい。
【0098】
前述した任意のコンピュータおよび/またはプロセッサ、およびメモリ(ROM,CD-ROM等を含む)のあらゆる議論を参照することで、これらがコンピュータプロセッサや特定用途向け集積回路(ASIC),フィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA),および/または本発明の機能を遂行するようにプログラムされたその他のハードウェアコンポーネントを含んでもよい。
【0099】
本願において出願人は、本願に記述された個別の特徴の各々を分けて開示してきたが、こうした特徴を2つ以上組合せてそれらを拡張することは、当業者に共通の一般知識に照らせば本明細書全体に基づいて実行することが可能である。その際、こうした特徴またはその組合せが本願で開示された課題のどれを解決するかには関係なく、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。本出願人は、開示した態様/実施形態が個別の特徴またはその組合せの何れかから成り得ることを示唆している。前述の記載に照らせば、本開示の範囲内で様々な変形が可能であることは、当業者には明白であろう。
【0100】
本願において、望ましい実施形態に適用されるような基本的で新規性を有する特徴が示されたり、記載されたり、指摘されたりしてきたが、記載したデバイスと方法の形態と細部において様々な削除や代用,変更を行うことは、当業者であれば本開示の精神を逸脱しない限り可能であることも理解されよう。例えば、実質的に同じ方法で同一の結果を達成するために、実質的に同じ機能を遂行するこうした要素および/または方法のステップの全ての組合せも本開示の範囲内であることは自明である。また、開示した任意の構造または実施形態に関連して示されたおよび/または記載された構造および/または要素および/または方法のステップは、適宜選択しうる一般的事項として、開示/記述/示唆したその他任意の構造または実施形態に組込まれてもよい。さらに、特許請求の範囲におけるミーンズ・プラス・ファンクションの節は、記載した機能を遂行するものとして本願で記載した構造を包含することを意図しており、構造的な等価物だけでなく等価な構造も包含するものである。釘と螺旋の場合、釘は木材部分を一緒に固定するために円柱面を備えているが、螺旋は木材部分を締付ける環境で螺旋面を備えているから、両者は構造的に等価ではない可能性がある。しかし、このような場合でも、釘と螺旋は等価な構造であるとしてよい。
図1
図2
図3
図4a-4b】
図4c-4d】
図4e
図5
図6
図7
図8