(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の画像形成装置によれば、ルーバーを有する前面カバーの背面に冷却ファンが配置されることになる。装置内の機器を効率的に行うには、一定の空間を装置内に設ける必要がある。また、ルーバーと冷却ファンとの間の距離が近いと、冷却ファンを動作させても空気流が安定的に発生しないことが多い。つまり、意図する量の空気を、装置内に取り入れることができないことが多い。このため、特許文献1の画像形成装置では、前面カバーの背面に大きな空間を取る必要が生じ、画像形成装置の小型化を阻害し、また美観を損ねるという不具合が生じる。
【0006】
本発明の目的は、本体ハウジング内の冷却を効率的に行うことができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、シートに画像形成処理を行う画像形成部と、矩形の平板からなる電気回路基板と、前面を備えたハウジングであって、該ハウジング内の第1内部空間において前記画像形成部を収容する第1ハウジングと、上面と下面とを備え、前記第1ハウジングの前記前面から突設される小ハウジングであって、該小ハウジングは前記第1内部空間に連通する第2内部空間を有し、該第2内部空間内であって前記上面の近傍において前記電気回路基板を収容する第2ハウジングと、前記第1内部空間内に配置され、空気流を発生させるファンと、前記第2ハウジングの前記下面の一定領域に形成され、前記ファンの作動時に空気を取り入れるための吸気口として機能する、左右方向に延びる複数のスリットと、前記吸気口の上部を覆うように前記第2内部空間内に配置されるダクトと、前記ダクトで覆われた空間と前記第2内部空間とを連通させる開口部と、を備え、前記ダクトは、前記第2ハウジングの前記上面と対向する天面片を備え、前記天面片は、矩形の平板部材からなり、前記複数のスリットが形成されている前記一定領域を覆い隠し、且つ、前記電気回路基板が当該天面片の周縁で区画される領域内の上方に収まるような面積を有し
、前記領域内の上方に前記電気回路基板が配置されており、前記第1ハウジングは、画像形成後のシートを外部へ排出する排出口が形成される第1立壁と、前記第1ハウジングの前記前面に沿った第2立壁とを有し、上方に突出した突出ハウジング部と、前記第1立壁に隣接し、前記排出口から排出されたシートを受けるシートトレイと、を備え、前記第2ハウジングは、前記第2立壁から突設されている。
【0008】
この構成によれば、第2ハウジングの下面に吸気口が設けられ、ファンの作動時には、前記吸気口及び前記ダクトを経由して前記第1内部空間内に空気が導かれる。このため、第1ハウジングに余分な空間を形成することなく、前記第1内部空間内に配置されたファンと前記吸気口との間の距離及び空間を充分に取ることができる。これにより、第1ハウジング内の冷却を効率的に行うことができると共に、安定した空気流を発生させることができる。また、前記ダクトによって前記吸気口の上部が覆われているため、前記吸気口を通してユーザーが前記電気回路基板に触れたり、或いは、前記電気回路基板からの落下物が前記吸気口を通して外部に出たりすることを防止できる。さらに、前記開口部を通して、前記第2内部空間内にも空気流を発生させることができる。
また、前記第1ハウジングは、画像形成後のシートを外部へ排出する排出口が形成される第1立壁と、前記第1ハウジングの前記前面に沿った第2立壁とを有し、上方に突出した突出ハウジング部と、前記第1立壁に隣接し、前記排出口から排出されたシートを受けるシートトレイと、を備え、前記第2ハウジングは、前記第2立壁から突設されている。シートトレイには、定着処理直後のシートが排出されるため、その周辺では暖気が発生し易い。このような暖気は、第1ハウジング内の冷却用には不向きである。上記構成によれば、第2ハウジングは、シートトレイからは離間した位置に配置される。従って、第2ハウジングの下面に設けられた吸気口からは、比較的冷温の空気を取り込ませることができる。
【0009】
上記構成において、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングの前記前面に連設される基端部を備え、前記第2ハウジングの前記下面は、前記基端部から前方に向けて先上がりに傾斜する面であることが望ましい。
【0012】
上記構成において、前記ダクトは、前記天面片を支持する複数の側面片をさらに備え、前記開口部は、前記複数の側面片に設けられていることが望ましい。
【0013】
また、前記ダクトは、前記天面片を支持する複数の側面片をさらに備え、前記開口部は、前記天面片に穿孔された孔であることが望ましい。
【0014】
これらの構成に係るダクトは、前記吸気口の上部を確実に覆う機能を有し、且つ、前記開口部を具備したダクトとなる。従って、ダクト及び開口部の構成を簡素化できる。
【0015】
上記構成において、前記天面片は、前記電気回路基板よりも大きな面積を持ち、前記天面片の周縁で区画される領域内の上方に、前記電気回路基板が配置されていることが望ましい。
【0016】
この構成によれば、天面片が前記電気回路基板よりも大きな面積を持つので、上述したユーザーの前記電気回路基板への接触、及び、前記電気回路基板からの落下物の発生防止を、より確実に行わせることができる。
【0017】
上記構成において、前記ダクトは、板金製の部材からなることが望ましい。この構成によれば、板金部材の打ち抜き及び折り曲げ加工により、簡易にダクトを形成することができる。また、前記電気回路基板から万一樹脂溶融物が落下することがあっても、ダクトによって、これを問題なく受け止めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1ハウジング内の冷却を効率的に行うことができる画像形成装置を
提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1を左斜め上の前方から見た斜視図、
図2は、同じ画像形成装置1を右斜め下の前方から見た斜視図である。ここでは、画像形成装置1としてプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
【0021】
画像形成装置1は、前面10F、左側面10L、右側面10R及び後面10Bを備える略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10を含む。装置本体10は、本体ハウジング11(第1ハウジング)と、該本体ハウジング11の右上部に立設された右支柱部12(突出ハウジング部)と、本体ハウジング11の後上部に立設された後支柱部13と、右支柱部12の前面上部に突設された操作部20とを含む。
【0022】
本体ハウジング11の内部には、シートに画像形成処理を行う画像形成部30(
図3)のほか、画像形成装置1の各種構成部品が収容される。本体ハウジング11の上面の、右支柱部12及び後支柱部13が立設されていない領域上の空間は、画像形成後のシートが排出される排紙部14として活用される。
【0023】
本体ハウジング11の上面、つまり排紙部14の空間の底部には、画像形成後のシートを受けるシートトレイ141が形成されている。シートトレイ141は、左側面10Lから右支柱部12の内側立壁121に向けて、緩やかに下る傾斜面を備えている。シートトレイ141の上方における排紙部14の空間には、増設シートトレイ142が取り付けられている。増設シートトレイ142の右端部は、内側立壁121に設けられた支持部によって支持され、左端部は、左側面10L付近から立設された支持片143によって支持されている。
【0024】
右支柱部12は、本体ハウジング11の上面の右側面10R付近において上方に突出したハウジングであり、排紙部14(シートトレイ141)に隣接した内側立壁121(第1立壁)を有する。内側立壁121には、画像形成後のシートを外部へ排出する第1シート排出口122(排出口)及び第2シート排出口123(排出口)が開口されている。これらシート排出口122、123近傍には、シートに搬送力を与える排紙ローラーが配置されている。第1シート排出口122から排出されるシートはシートトレイ141の上に、第2シート排出口123から排出されるシートは増設シートトレイ142の上に積載される。
【0025】
なお、
図4に例示しているように、本実施形態の画像形成装置1においては、増設シー
トトレイ142の装着に代えて、シートトレイ141の直上に搬送ユニットCが装着される使用態様を取ることができる。装置本体10の左側面10Lには、オプションで図略の後処理装置が取り付けられる。後処理装置は、画像形成処理済みのシートに、綴じ孔の穿孔処理、ステイプルの打設処理、中折り処理などの後処理を施す装置である。搬送ユニットCは、右側面10R側の第1シート排出口122から排出されるシートを、左側面10Lに組み付けられた後処理装置まで搬送するユニットである。
【0026】
操作部20は、テンキー、スタートキーなどを含み、ユーザーからの各種の操作指示の入力を受け付ける操作パネル20Pを備えている。ユーザーは、操作パネル20Pを通して、印刷されるシートの枚数等を入力したり、印刷濃度等を入力したりすることができる。操作パネル20Pは、操作部ハウジング21(第2ハウジング)内に収容されている。操作部ハウジング21は、本体ハウジング11の前面10Fに沿った、右支柱部12の前壁12W(第2立壁)の上部から、さらに前方に突出するように設けられている小ハウジングである。操作部ハウジング21の上面近傍において、操作パネル20Pは操作部ハウジング21内に収容され、操作部ハウジング21の下面には吸気口22が設けられている(
図2参照)。この操作部20に関しては、後記で詳述する。
【0027】
続いて、
図3を参照して、画像形成装置1の内部構造を説明する。
図3は、画像形成装置1の内部構造を概略的に示す断面図である。装置本体10の内部には、シートに画像形成処理を行う画像形成部30と、画像形成部30へ搬送されるシートを貯留する給紙部40と、シートを給紙部40から画像形成部30を経由してシート排出口122、123まで搬送する搬送経路50とが収容されている。
【0028】
画像形成部30は、トナー画像を生成しこれをシート上に転写する作像部31と、前記トナー像をシートに定着させる定着部36とを含む。作像部31は、フルカラーのトナー像を形成するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
【0029】
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、露光器323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
【0030】
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0031】
現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置324は、2成分現像剤用のものであり、攪拌ローラー、磁気ローラー、及び現像ローラーを含む。攪拌ローラーは、2成分現像剤を攪拌しながら循環搬送することで、トナーを帯電させる。磁気ローラーの周面には2成分現像剤層が担持され、現像ローラーの周面には、磁気ローラーと現像ローラーとの間の電位差によってトナーが受け渡されることにより形成されたトナー層が担持される。現像ローラー上のトナーは、感光体ドラム321の周面に供給され、前記静電潜像が現像される。
【0032】
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
【0033】
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332、従動ローラー333及びテンションローラー334を備える。中間転写ベルト331は、これらローラー332、333、334に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。駆動ローラー332は中間転写ベルト331を周回させるための駆動力が付与されるローラーであり、その周面に対向して二次転写ローラー35が配置されている。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部35Aとなる。なお、従動ローラー333は、中間転写ベルト331の周回に応じて従動するローラー、テンションローラー334は中間転写ベルト331に所定の張力を付与するローラーである。
【0034】
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
【0035】
定着部36は、誘導加熱方式で加熱される定着ベルトを外周に備えた定着ローラー361と、該定着ローラー361に押圧当接されて定着ニップ部を形成する加圧ローラー362とを含む。上記二次転写部35Aにおいてトナー像が二次転写されたシートは、上記定着ニップ部を通過し、加熱及び加圧されることで定着処理が施され、トナー像がシート表面に定着される。
【0036】
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートを収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前面10Fから前方向に引出可能である。給紙カセット40A、40Bは、自動給紙用に設けられたカセットであるが、装置本体10の右側面10Rには、手差し給紙用の給紙トレイ46も設けられている。給紙トレイ46は、その下端部において装置本体10に対して開閉自在に取り付けられている。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、
図2、
図4に示す通り給紙トレイ46を開き、その上にシートを載置する。
【0037】
給紙カセット40A(40B)は、複数のシートが積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、前記シート束を給紙のためにリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40A(40B)の右端側の上部には、ピックアップローラー43と、給紙ローラー44とリタードローラー45とのローラー対とが配置されている。ピックアップローラー43及び給紙ローラー44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートが1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。一方、給紙トレイ46に載置されたシートは、同様にピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬送経路50へ搬入される。
【0038】
搬送経路50は、給紙部40から作像部31を経由して定着部36の出口までシートを搬送する主搬送路50Aと、シートに対して両面印刷を行う場合に片面印刷されたシートを作像部31に戻すための反転搬送路50Bと、主搬送路50Aの下流端から反転搬送路50Bの上流端へシートを向かわせるためのスイッチバック搬送路50Cとを含む。
【0039】
主搬送路50Aの、二次転写部35Aよりも上流側には、レジストローラー対51が配置されている。シートは、レジストローラー対51にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、二次転写部35Aに送り出される。この他、主搬送路50Aには、シートを搬送するための搬送ローラー52が複数配置されている。他の搬送路50B、50C、50Dも同様である。主搬送路50A、反転搬送路50B及びスイッチバック搬送路50Cの分岐部には、シートの搬送方向を切換えるための分岐ガイド54が設けられている。
【0040】
<操作部の第1実施形態>
続いて、第1実施形態に係る操作部20について詳細に説明する。
図4は、画像形成装置1の、操作部20付近の断面斜視図である。
図5及び
図6は、第1実施形態の操作部20単体の斜視図であって、それぞれ斜視方向を異ならせた図である。
図4に示すように、操作部ハウジング21は、右支柱部12の前壁12Wから前方に突出する、前後方向の断面視で略二等辺三角形の形状を備えたハウジングである。操作部ハウジング21の内部には、略三角柱の内部空間211(第2内部空間)が備えられている。この内部空間211は、右支柱部12の前壁12Wの内側上部に設けられた連通部212を介して、本体ハウジング11内の内部空間101(第1内部空間)と連通している。また、内部空間211内には、ダクト23が配置されている。
【0041】
右支柱部12の前壁12Wの背面に設けられた内部空間101には、冷却ファン60が配置されている。冷却ファン60は、動作電圧が与えられることで可動し、空気流を発生する。詳しくは、冷却ファン60は、操作部ハウジング21の吸気口22を通して空気を吸引し、内部空間211及び連通部212介して前記空気を内部空間101へ取り入れ、定着部36のユニットに沿って前方から後方に流れる空気流を生成する。かかる空気流によって、定着部36及びその周辺の機器が冷却される。なお、
図6において冷却ファン60は、実際の配置位置よりも操作部ハウジング21に接近させて描かれている。
【0042】
操作部ハウジング21は、基端部から前方に向けて先下がりに傾斜する上面201と、逆に基端部から前方に向けて先上がりに傾斜する下面202とを備える。上面201を有する上ハウジングピース203と、下面202を有する下ハウジングピース204とが上下方向に組み付けられることで、操作部ハウジング21が形成されている。
【0043】
操作パネル20P(操作入力部)は、上面201に沿って配置されている。上面201には複数の貫通孔が備えられ、これらの貫通孔から操作パネル20Pの操作ボタン213が上方に突出している。操作ボタン213は、電気回路基板20Bの上に搭載されている。電気回路基板20Bは、矩形の平板であって、上面201の直下に、上面201と略平行に組み付けられている。
【0044】
下面202には、冷却ファン60の作動時に空気を内部空間101へ取り入れるための吸気口22が設けられている。
図5に示すように、吸気口22は、左右方向に延びる複数のスリット22L1、22L2、22L3、22L4を含むルーバーである。本実施形態のように、操作部ハウジング21の下面202に吸気口22を設けることは、冷却に有利な空気の取り込み、及び、美観の観点から好ましい。
【0045】
すなわち、本実施形態では、本体ハウジング11は、画像形成後のシートを外部へ排出するシート排出口122が形成される内側立壁121と、本体ハウジング11の前面10Fに沿った前壁12Wとを有する右支柱部12と、内側立壁121に隣接し、シート排出口122から排出されたシートを受けるシートトレイ141とを備えており、操作部ハウジング21は、前壁12Wから突設されている。シートトレイ141には、定着処理直後のシートが排出されるため、その周辺では暖気が発生し易い。このような暖気は、本体ハ
ウジング11内の冷却用には不向きである。しかし、本実施形態によれば、操作部ハウジング21は、シートトレイからは離間した位置に配置される。従って、操作部ハウジング21の下面202に設けられた吸気口22からは、冷却に有利な比較的冷温の空気を取り込ませることができる。
【0046】
また、本体ハウジング11内に充分な空気を取り込むためには、吸気口22の開口面積は大きい方が好ましい。小開口面積の吸気口であると、冷却ファン60が内部空間101内の空気を吸い込んでしまい、冷却効率が落ちるからである。しかし、大開口面積の吸気口を例えば前壁12Wに設けた場合、ユーザーが当該吸気口を視認することとなり、画像形成装置1の美観上、好ましくない。これに対し本実施形態では、操作部ハウジング21の下面202に吸気口22が設けられるので、ユーザーの通常の視線に吸気口22は曝されることはなく、画像形成装置1の美観を損なうことはない。
【0047】
ダクト23は、吸気口22の上を覆うように内部空間211内に配置され、吸気口22を通してユーザーが電気回路基板20Bに触れること、或いは、電気回路基板20Bからの落下物が吸気口22を通して外部に出ることを防止しつつ、吸気口22から本体ハウジング11の内部空間101へ向かう空気通路23H(ダクトで覆われた空間;
図4参照)を確保する部材である。
図7は、第1実施形態のダクト23の斜視図、
図8はダクト23の上面図である。これらの図において、上ハウジングピース203は取り除かれている。
【0048】
ダクト23は、操作部ハウジング21の上面201と対向する天面片231と、天面片231の左右両側部を支持する左側面片232及び右側面片233と、天面片231の後端部から下方に折り曲げられた垂下片234とを備えている。ダクト23は、板金製の部材で形成されており、加工が容易であって、且つ、充分な剛性及び耐熱性を有している。例えばユーザーが棒状体を吸気口22から挿入しようとしても、ダクト23によって当該挿入は阻止される。また、万一、電気回路基板20Bが高熱を帯びて樹脂部品類が溶融したとしても、ダクトによって受け止められ、吸気口22から前記溶融物が落下することを防止できる。
【0049】
天面片231は、操作部ハウジング21の下面202と略平行に配置される矩形(概ね正方形)の平板部材であり、吸気口22の開口を覆い隠すに充分な面積を備えている。また、天面片231は、電気回路基板20Bよりも大きい面積を有する。天面片231の周縁の四辺で区画される領域内の上方に電気回路基板20Bが配置され、また、下方に吸気口22が存在している。これにより、上述したユーザーの電気回路基板20Bへの接触防止、及び、電気回路基板20Bからの落下物の発生防止が、より確実なものとなる。
【0050】
左側面片232及び右側面片233は、天面片231の左側縁及び右側縁に立設されている。左側面片232及び右側面片233の上縁にはフランジ部232T、233Tが備えられている。各フランジ部232Tは、操作部ハウジング21の上面201の裏面に設けられた取付部(図略)に固定される。一方、
図7に示すように、左側面片232及び右側面片233の下端部は下面202には接しておらず、開口部24が形成されている。この開口部24は、上述の空気通路23Hと、操作部ハウジング21の内部空間211とを連通させるための開口部であって、第1実施形態では左側面片232及び右側面片233の下端と操作ハウジング21の下面202との間に隙間を設けることによって形成されている。
【0051】
垂下片234には、多数の貫通孔234Hが穿孔されている。この貫通孔234Hを通して、空気通路23Hと連通部212とが連通されている。垂下片234の下端付近は、ビス234Bによって下ハウジングピース204に固定されている。
【0052】
以上の通り構成された画像形成装置1において、冷却ファン60が作動すると、操作部ハウジング21の下面202の吸気口22から空気が本体ハウジング11内に入り込む空気流が発生する。吸気口22から取り込まれた空気は、ダクト23で覆われた空気通路23Hに入り、さらにダクト23の左右側面片232、233の下方の開口部24から操作部ハウジング21の内部空間211に至る。そして、前記空気は、連通部212を介して、本体ハウジング11内の内部空間101に導かれる。この際、電気回路基板20Bの発熱により暖気化された内部空間211の空気も内部空間101へ送られる。なお、吸気口22から取り込まれた空気の一部は、垂下片234の貫通孔234Hを通して、直接連通部212に流入する。その後、前記空気は、
図4に矢印Fで示すように、冷却ファン60によって定着部36の外周面に沿って後方へ送られる。しかる後、図略の排気ファンによって、機内の熱と熱交換した空気は本体ハウジング11のへ排気される。
【0053】
本実施形態によれば、操作部ハウジング21の下面202に吸気口22が設けられ、冷却ファン60の作動時に、吸気口22及びダクト23を経由して内部空間101内に空気が導かれる。このため、本体ハウジング11の内部に余分な空間を形成することなく、冷却ファン60と吸気口22との間に充分な距離を取ることができ、また、両者の間に充分な空間を確保することができる。これにより、冷却ファン60の作動によって安定した空気流を発生させることができ、意図する量の空気を取り入れて本体ハウジング11内の内部空間101の冷却を効果的に行わせることができる。
【0054】
<操作部の第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る操作部20Aについて説明する。
図9は、第2実施形態の操作部20Aの斜視図、
図10は、第2実施形態のダクト25の斜視図である。なお、
図9において冷却ファン60は、実際の配置位置よりも操作部ハウジング21に接近させて描かれている。
【0055】
操作部ハウジング21の形態は、上記第1実施形態と同様である。操作パネル20Pが操作部ハウジング21の上面201に配置され、吸気口22が下面202に備えられている。また、電気回路基板20Bが操作部ハウジング21の上面201の背面に沿って配置される点も第1実施形態と同じである。しかし、ダクト25の形態は異なる。ダクト25は、板金製の平板部材の折り曲げ体からなり、操作部ハウジング21の上面201と対向する天面片251と、天面片251の左右側部を下方から各々支持する左側面片252及び右側面片253とを備え、逆U字型の形状を有している。
【0056】
第1実施形態とは異なり、天面片251は電気回路基板20Bの下方の至近に位置している。天面片251の面積は電気回路基板20B及び吸気口22よりも大きく、天面片251の周縁で区画される領域内の上方及び下方に、電気回路基板20B及び吸気口22がそれぞれ配置されている。左側面片252及び右側面片253は、天面片251の左右縁部から下方に延びており、これらの下縁部は操作部ハウジング21の下面202まで至っている。左側面片252と右側面片253との間の間隔は、吸気口22の左右幅よりも長く、ダクト25は吸気口22の上方を完全に覆っている。このダクト25で覆われた空間である空気通路25Hは、
図4に示す連通部212及び内部空間101に連通している。つまり、ダクト25の後面は、連通部212に向けて開口している。
【0057】
天面片251の左右の縁部付近には、前後方向に一列に並んだ複数の貫通孔254(開口部)がそれぞれ設けられている。操作部ハウジング21内のダクト25によって占有されていない領域の内部空間26(第2内部空間)と、空気通路25Hとは、貫通孔254によって連通されている。
【0058】
第2実施形態において、冷却ファン60が作動すると、操作部ハウジング21の下面2
02の吸気口22から空気が本体ハウジング11内に入り込む空気流が発生する。吸気口22から取り込まれた空気は、ダクト25で覆われた空気通路25Hに入り、さらにダクト25の後面開口から連通部212を介して、本体ハウジング11内の内部空間101に導かれる。この際、電気回路基板20Bの発熱により暖気化された内部空間26の空気も、貫通孔254を通して空気通路25Hに流入し、内部空間101へ送られる。その後の前記空気の流れは、
図4に矢印Fで示す方向となる。この第2実施形態によっても、冷却ファン60の作動によって安定した空気流を発生させることができ、意図する量の空気を取り入れて本体ハウジング11内の内部空間101の冷却を効果的に行わせることができる。
【0059】
以上、本発明に係る画像形成装置1の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0060】
(1)上記実施形態では、本体ハウジング11が右支柱部12(突出ハウジング)の前を備え、その前壁12Wに操作部ハウジング21(小ハウジング)が配置される例を示した。これは一例であり、例えば直方体の本体ハウジングの1つの側面に操作部ハウジングを突設させる態様としても良い。
【0061】
(2)上記実施形態では、ダクト23、25の天面片231、251が平面板の例を示した。天面片231、251は、山型の折り曲げ形状、ドーム型の湾曲形状などとしても良い。
【0062】
(3)上記実施形態では、天面片231、251の面積が電気回路基板20B及び吸気口22よりも大きく設定されている例を示した。これらは望ましい例ではあるが、ユーザーの電気回路基板20Bへの接触防止、及び、電気回路基板20Bからの落下物の発生防止を実質的に図ることができれば、天面片231、251の面積は電気回路基板20B及び吸気口22よりも若干小さくても良い。