(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
周壁部に形成され、樹脂材が供給される樹脂材供給口部、及び、前記周壁部において前記樹脂材供給口部よりも先端側に形成され、連続する繊維が供給される繊維供給口部を具備する筒形状のバレルと、
軸体、及び、前記軸体の周面に一体に形成された螺旋形状のフライトを具備し、前記バレル内に収容されるスクリュと、
を具備し、
前記バレルは、その軸線が重力方向に対して交差する姿勢で設置され、
前記繊維供給口部の前記バレル内の開口の前記バレルの軸方向に沿う最大長は、前記スクリュにおいて前記バレルの前記軸線に直交する方向に前記繊維供給口部の前記バレル内の前記開口に対向する部分に設けられる前記フライトのピッチの1倍以上であって、かつ、2倍以下である
ことを特徴とする可塑化装置。
前記繊維供給口部を重力方向に見たときの前記繊維供給口部の平面視における、前記繊維供給口部の前記開口の前記軸方向に直交する幅方向の一端は、前記軸線を挟んで前記スクリュの回転方向が重力方向に沿って下方に向かう方向となる範囲内であって、前記バレルの内径をRとすると、前記軸線から前記幅方向に距離√3/2・R離れた位置と距離R離れた位置とを含むこれら2つの位置の間に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の可塑化装置。
前記繊維供給口部を重力方向に見たときの前記繊維供給口部の平面視における、前記繊維供給口部の前記開口の前記幅方向の前記一端は、前記軸線を挟んで前記スクリュの回転方向が重力方向に沿って下方に向かう方向となる範囲内であって、前記軸線から前記距離R離れた位置に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の可塑化装置。
前記繊維供給口部を重力方向に見たときの前記繊維供給口部の平面視における、前記繊維供給口部の前記幅方向の他端は、前記軸線を挟んで前記スクリュの回転方向が重力方向に沿って上方に向かう方向となる範囲内に位置する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の可塑化装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る成形装置10を、
図1〜19を用いて説明する。
図1は、成形装置10を一部切断して示す側面図である。
図1に示すように、成形装置10は、例えば、予備可塑化式射出成形装置である。
【0024】
成形装置10は、例えば、射出装置20、射出装置20により射出された溶融樹脂を受ける金型組80、金型組80を型締めする型締装置90、及び、制御装置100を有している。
【0025】
ここで、成形装置10に、上下方向G、及び、前後方向Lを設定する。重力が作用する方向を下方向として、上下方向Gを設定する。射出装置20が金型組80に向かう方向を前方向として、前後方向Lを設定する。
【0026】
射出装置20は、樹脂材Mを溶融して溶融樹脂を形成し、この溶融樹脂に繊維Fを混練する可塑化部としての可塑化装置30、及び、溶融樹脂を計量し、射出する射出部70を有している。繊維Fは、強化繊維の一例である。
【0027】
可塑化装置30は、樹脂材Mを溶融して可塑化し、かつ、溶融樹脂に強化材としての繊維Fを混練可能に構成されている。可塑化装置30は、バレル40、バレル40の先端に接続された排出部47、ホッパ部46、バレル40を加熱可能なヒータ45、繊維F、バレル40に収容されるスクリュ50、及び、スクリュ50を回転駆動するスクリュ駆動部60を有している。
【0028】
バレル40は、例えば、内孔40aを形成する内部空間を周壁部40dで囲った中空円筒体であり、内部にスクリュ50を収容可能に形成されている。
【0029】
バレル40は、長手方向先端を金型組80側に向け、基端を金型組80とは反対側となるスクリュ駆動部60側に向け、かつ、長手方向に延びる軸線A1が上下方向Gに直交する姿勢で、即ち軸線A1が水平方向に平行となる姿勢で射出部70に連結されている。
【0030】
バレル40は、基端側の周壁部40dに、樹脂材供給口部41が形成されている。また、バレル40は、先端と樹脂材供給口部41との間の部分の周壁部40dに、繊維供給口部42が形成されている。
【0031】
樹脂材供給口部41は、バレル40の周壁部40dの上部に形成されており、周壁部を軸線A1の直交する方向に貫通している。樹脂材供給口部41は、バレル40内と外とを連通している。樹脂材供給口部41には、樹脂材Mを貯留するホッパ部46が設けられている。
【0032】
樹脂材Mは、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、またはABS樹脂などの各種の熱可塑性樹脂である。また、樹脂材Mは、一例として、ペレット状に形成されている。他の例では、樹脂材Mは、連続する形状の樹脂材を、切断装置を用いてペレットと同等な長さに切断した状態のもので構成されてもよい。
【0033】
図2は、バレル40の繊維供給口部42の近傍を、上下方向Gに沿って見た状態を示す平面図である。言い換えると、
図2は、バレル40の繊維供給口部42の近傍を、軸線A1に直交する方向に沿って見た状態を示す平面図である。ここで、幅方向Wを設定する。繊維供給口部42を上下方向Gに沿って見たときの軸線A1に直交する方向を幅方向Wとする。
図3は、バレル40を、軸線A1を通る断面に沿って切断した状態を示す断面図である。
【0034】
図2,3に示すように、繊維供給口部42は、バレル40の周壁部40dの上部に形成されており、軸線A1に直交する方向、言い換えると上下方向Gにバレル40の周壁部を貫通している。繊維供給口部42は、その貫通方向つまり軸線A1に直交する方向に一定形状の断面を有している。
【0035】
すなわち、繊維供給口部42の、バレル40の外周面40bに開口する第1の開口43から、バレル40の内孔40a内に開口する第2の開口44までの上下方向Gに直交する断面形状が、上下方向G(軸線A1に直交する方向)に一定に形成されている。第1の開口43は、バレル40の外周面40bとの交差する部分を示す。第2の開口44は、バレル40の内周面40cとの交差する部分を示す。
【0036】
より具体的には、開口43,44は、上下方向Gに沿って見たときの平面形状が、同形状であり、かつ、同じ大きさである。さらに、第1の開口43の中心と第2の開口44の中心は、軸線A1に直交する方向に並んで配置されている。
【0037】
繊維供給口部42について、さらに具体的に説明する。繊維供給口部42は、その内周面として、第1の内面42a,第2の内面42b,第3の内面42c,及び、第4の内面42dを有している。
【0038】
第1の内面42aは、バレル40の軸方向に基端側に配置されており、軸線A1に直交する平面に形成されている。第2の内面42bは、バレル40の軸方向に先端側に配置されており、軸方向に直交する平面に形成されている。
【0039】
第3の内面42cは、繊維供給口部42の貫通方向及び軸線A1に平行な平面に形成されている。第4の内面42dは、第3の内面42cに対向し、第3の内面42cに平行な平面に形成されている。
【0040】
第1の開口43は、内面42a,42b,42c,42dの外周面側の縁によって構成されている。第2の開口44は、内面42a,42b,42c,42dのバレル40の内孔40a側の縁によって構成されている。
【0041】
繊維供給口部42の第2の開口44の軸線A1に沿う最大長さL1は、スクリュ50の後述される繊維引込部54に設けられるフライト52のピッチPの1倍以上であって、2倍以下のいずれかの長さに設定されている。すなわち、L1は、P≦L1≦2・Pとなる。繊維引込部54は、スクリュ50において、軸線A1に直交する方向に第2の開口44に対向する部分の一例である。
【0042】
なお、本実施形態では、繊維供給口部42の第2の開口44の軸線A1に沿う最大長さL1は、内面42c,42dの軸線A1に沿う長さとなる。さらに、第1の開口43の軸線A1に沿う長さもL1となる。
【0043】
図4は、バレル40及びスクリュ50を、軸線A1に直交する断面に沿って切断した状態を、基端側であるスクリュ駆動部60側から先端側に向かって見た断面図である。
図4に示すように、スクリュ50の回転方向RDを矢印で示す。スクリュ50は、後述するように、スクリュ50の軸線A2がバレル40の軸線A1と同軸に配置される。
【0044】
ここで、バレル40内に、スクリュ50の回転方向に基づいて、第1の範囲R1、及び、第2の範囲R2を設定する。第1の範囲R1は、スクリュ50が下方に向かって回転する範囲とする。第2の範囲R2は、スクリュ50が上方に向かって回転する範囲とする。
【0045】
第2の開口44の軸線A1に沿う縁の少なくとも一方は、第1の範囲R1内に配置されている。言い換えると、本実施形態では、第2の開口44の一部を形成する第3の内面42cのバレル40の内孔40a側の縁42eが、第1の範囲R1内に配置される。つまり、第3の内面42cは、第1の範囲R1内に配置されている。
【0046】
また、第2の開口44の軸線A1に沿う縁において、第1の範囲R1内に配置される縁42eは、以下のように、位置が設定されている。
図5は、第2の開口44の軸線A1に沿う縁のうち、第1の範囲R1内に配置される縁42eの位置を説明する図である。
図5は、バレル40の軸線A1に直交する断面に沿って切断した状態を、基端側から先端側に向かって見た断面図である。
【0047】
図5に示すように、第2の開口44の軸線A1に沿う縁において第1の範囲R1に配置される縁42eは、バレル40の内孔40aの内径をRとすると、軸線A1から幅方向Wに、第1の位置P1及び第2の位置P2を含み、これら位置P1,P2の間のいずれかの位置に配置される。言い換えると、縁42eは、第1の位置P1、第2の位置P2、または、第1の位置P1と第2の位置P2との間の位置に配置される。
【0048】
第1の位置P1は、幅方向Wに、軸線A1から距離
√3/2・R離れた位置である。第2の位置P2は、幅方向に、軸線A1から距離R離れた位置である。すなわち、第1の位置P1は、バレル40の上端P4からスクリュ50の回転方向に60度の位置であり、第2の位置P2は、バレル40の上端P4からスクリュ50の回転方向に90度の位置である。
【0049】
本実施形態では、第2の開口44の幅方向Wの一端は、一例として、上下方向Gに沿って見た平面視において、軸線A1から距離
√3/2・Rの距離の第1の位置P1にある。
【0050】
第2の開口44のうち、軸線A1に沿う他方の縁42fは、本実施形態では、例えば、第2の範囲R2内に配置されている。言い換えると、繊維供給口部42の第4の内面42dは、第2の範囲R2内に配置されている。
【0051】
排出部47は、バレル40の先端に接続されている。排出部47は、バレル40の先端に連続する縮径する円錐状部、及び、この円錐状部に連続する下方に屈曲する曲管部を有している。排出部47は、内部を、上述の、繊維Fを含む溶融樹脂が流動可能に形成されている。
【0052】
ヒータ45は、
図1に示すように、バレル40の外周面40bに設けられている。ヒータ45は、例えば、電流が供給されることにより加熱する。
【0053】
繊維Fは、例えばボビン等に巻回された状態で、繊維供給口部42の上方に設置されている。
【0054】
スクリュ50は、バレル40内に回転可能に収容されている。
図6は、バレル40及びスクリュ50を、一部を切断して示す側面図である。
図6に示すように、スクリュ50は、軸体51、及び、軸体51の外周面に螺旋状に形成されるフライト52を有している。スクリュ50は、軸体51の軸線A2が、バレル40の軸線A1と同軸に配置されている。
【0055】
また、スクリュ50は、樹脂材溶融部53、繊維引込部54、及び、繊維混練部55を有している。樹脂材溶融部53、繊維引込部54、及び、繊維混練部55は、スクリュ50においてスクリュ駆動部60に連結される基端から先端にかけて、順番に形成されている。
【0056】
樹脂材溶融部53は、供給部53a,圧縮部53b、及び、計量部53cを有している。供給部53a,圧縮部53b、及び、計量部53cは、スクリュ50の基端から先端に向かって順番に形成されている。
【0057】
供給部53aの軸体51は、円柱形状に形成されている。圧縮部53bの軸体51は、先端側に向かって広径する円錐形状に形成されている。圧縮部53bの軸体51の円錐形状は、樹脂材Mが溶融することによる体積の減少に伴い、軸体51とバレル40の内周面40cとの間の隙間を小さくするべく、考慮されて形成されている。
【0058】
計量部53cの軸体51は、供給部53aの軸体51の径よりも大径な円柱形状に形成されている。計量部53cの軸体51は、圧縮部53bの軸体51の一端と同径の円柱形状に形成されている。
【0059】
繊維引込部54は、スクリュ50において、軸線A2に直交する方向に、繊維供給口部42に対向する位置に形成されている。繊維引込部54の軸体51は、計量部53cよりも小径な円柱形状に形成されている。
【0060】
繊維引込部54と計量部53cとの境部P3は、軸線A2に直交する方向に、第2の開口44の基端側の縁つまり第1の内面42aのバレル40の内周面側の縁に対向する位置を含んでバレル40の基端側に配置されればよい。本実施形態では、一例として、境部P3は、軸線A2に直交する方向に、第2の開口44の第1の内面42aの内周面側の縁に対向している。
【0061】
繊維引込部54は、繊維Fの溶融樹脂への巻き込みが十分に達成可能な長さを有している。ここで、繊維引込部54の軸線A2に沿う長さL2について説明する。繊維Fは、その先端F1が、スクリュ50の回転方向に上端P4を基点に90度から180度の範囲で、溶融樹脂への巻き込みが開始される。この為繊維Fの溶融樹脂への巻き込みは、繊維引込部54において、軸線A2に直交する方向に第2の開口44の先端側の部分で、開始されることとなる。
【0062】
繊維Fの溶融樹脂への巻き込みが開始されてから、少なくともスクリュ50が1回転すると、繊維Fの溶融樹脂への巻き込みは、十分に達成される。即ち、繊維引込部54が、繊維Fの溶融樹脂への巻き込みが開始される位置からさらにフライト52の1ピッチPの長さを有すると、繊維Fの溶融樹脂へ巻き込みが十分に達成されることとなる。
【0063】
この為、繊維引込部54の軸線A2に沿う長さL2は、L2=(第2の開口44の軸線A1に基端側の縁の繊維引込部54内へのずれ込み長さL3)+(第2の開口44の軸線A1に沿う最大長さL1)+(フライト52の1ピッチの長さP)となる。
【0064】
第2の開口44の軸線A1に基端側の縁の繊維引込部54内へのずれ込み長さL3は、上述のように、軸線A2に直交する方向に見たときに、第2の開口44の軸線A1に基端側の縁が繊維引込部54内へずれ込む長さである。本実施形態では、境部P3は、軸線A2の直交する方向に第2の開口44の第1の内面42aのバレル40の内周面側の縁に対向している。この為、ずれ込み長さL3は、L3=0となる。言い換えると、第2の開口44を通してバレル40内を見たとき、計量部53cが第2の開口44内にずれ込まないこととなる。
【0065】
この為、本実施形態では、繊維引込部54の軸線A2に沿う長さL2は、L2=(L1+P)となる。
【0066】
繊維混練部55は、円錐部55a、及び、本体部55bを有している。円錐部55aの軸体51は、繊維引込部54の軸体51に連続して形成されている。円錐部55aの軸体51は、スクリュ50の先端に向かうにつれて広径する円錐状に形成されている。
【0067】
本体部55bの軸体51は、円錐部55aの軸体51に連続して形成されている。本体部55bの軸体51の径は、繊維引込部54の軸体51の径よりも大径に形成されている。本実施形態では、一例として、本体部55bの軸体51の径は、計量部53cの軸体51と同径に形成されている。
【0068】
フライト52は、上述のように、軸体51の外周面に、螺旋状に形成されている。フライト52は、少なくとも、繊維引込部54に設けられる部分が、等ピッチで形成されている。本実施形態では、一例として、フライト52は、全体的に、軸体51の外周面に螺旋状にピッチPで形成されている。フライト52の径は、一例として一定である。フライト52は、バレル40の内周面との間に、回転時に接触しないだけのわずかな隙間を有している。
【0069】
スクリュ駆動部60は、
図1に示すように、スクリュ50の基端が固定されている。スクリュ駆動部60は、スクリュ50を当該スクリュ50の軸線A2回りに回転可能に構成されている。スクリュ駆動部60は、例えば、電動モータを有しており、電動モータの回転により、スクリュ50を回転する。
【0070】
射出部70は、可塑化装置30で可塑化され、内部に繊維Fを含む溶融樹脂を射出可能に構成されている。射出部70は、射出シリンダ71、射出シリンダ71内に収容される射出プランジャ72、射出部70を金型組80に対して前後方向Lに進退動作させる進退駆動部73、射出プランジャ72を前後動作させるプランジャ駆動部74、及び、ヒータ45を有している。
【0071】
射出シリンダ71は、例えば円筒形状に形成されており、内部に収容空間71aを有している。射出シリンダ71の先端部は、バレル40の排出部47が連結されている。収容空間71aは、排出部47と連通している。
【0072】
また、射出シリンダ71は、その先端部に吐出部71bが形成されている。吐出部71bは、ノズル形状に形成されている。吐出部71bは、繊維Fを含む溶融樹脂が流動可能に形成されている。
【0073】
射出プランジャ72は、収容空間71a内に収容されている。射出プランジャ72は、収容空間71a内を、射出シリンダ71の軸線に沿って移動可能に形成されている。また、射出プランジャ72は、繊維Fを含む溶融樹脂を押し出し可能に形成されている。
【0074】
進退駆動部73は、例えば射出シリンダ71に固定されており、射出シリンダ71を金型組80に近づく方向、及び、離れる方向に沿って前後方向Lに移動可能に構成されている。進退駆動部73は、例えば、ボールねじ装置73a、及び、ボールねじ装置73aのねじ部73bを回転する駆動部73cを有している。ボールねじ装置73aのナット部73dは、射出シリンダ71に固定されている。
【0075】
駆動部73cによりねじ部73bが回転されると、射出部70が前後方向Lに移動される。
【0076】
ヒータ45は、射出シリンダ71の外周面に設けられている。
【0077】
金型組80は、固定金型81、及び、移動金型82を有している。固定金型81と移動金型82とが組み合わさることにより、内部に、成形品を形成するキャビティ83が形成される。固定金型81には、射出シリンダ71の吐出部71bから射出された溶融樹脂が通る貫通孔84が形成されている。
【0078】
型締装置90は、固定プラテン91、移動プラテン92、一端を移動プラテン92に連結されたトグル機構93、トグル機構93の他端が連結されたリンクハウジング95、一端が固定プラテン91に取り付けられ、他端がリンクハウジング95に取り付けられたタイバー96、及び、リンクハウジング95に設けられたトグル機構93を駆動して型締を行わせる型締駆動部94を有している。
【0079】
固定プラテン91には、固定金型81が固定されている。移動プラテン92には、移動金型82が固定されている。トグル機構93は、金型組80の開閉、つまり、固定金型81に対して移動金型82が開閉するように移動プラテン92を移動可能に構成されている。
【0080】
制御装置100は、例えば、ヒータ45、ホッパ部46、スクリュ駆動部60、駆動部73c、プランジャ駆動部74、及び、型締駆動部94を制御可能に構成されている。
【0081】
具体的には、制御装置100は、ヒータ45を加熱することにより、バレル40の温度制御を可能に構成されている。また、制御装置100は、ホッパ部46を制御することにより、樹脂材Mの供給量の制御を可能に構成されている。
【0082】
また、制御装置100は、スクリュ駆動部60を制御することにより、スクリュ50の回転を制御可能に構成されている。また、制御装置100は、駆動部73cを制御することにより、射出部70の進退動作を制御可能に構成されている。また、制御装置100は、プランジャ駆動部74を制御することにより、射出プランジャ72の射出シリンダ71内での進退動作を制御可能に構成されている。
【0083】
次に、繊維供給口部42の第2の開口44を通して見えるスクリュ50のフライト52について説明する。なお、ここで言う、見えるとは、バレル40内に樹脂材Mが供給されていない状態において見えることを示している。
【0084】
図7は、上下方向Gに沿って繊維供給口部42を見た状態を示す平面図である。
図7では、スクリュ50が回転することによって繊維供給口部42内を移動するフライト52が、見かけ上、バレル40の先端側に移動する様子が(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)の順番で示されている。
【0085】
ここで、説明の為、軸線A1に平行な仮想線V1を設定する。仮想線V1は、繊維供給口部42内の任意の位置に配置されている。
図7に示す平面視において、仮想線V1とフライト52との交点を、交点P5とする。
【0086】
交点P5は、スクリュ50が回転することによって、
図7の(a)に示すようにバレル40の基端側から、
図7の(d)に示すように、見掛け上、バレル40の先端に向かって進む。
【0087】
さらに、
図7に(e)に示すように、フライト52が見かけ上先端側に進むことによって、交点P5が第2の開口44の先端側の縁、言い換えると、繊維供給口部42の第2の内面42bより先端側に移動することにより、第2の開口44を通して見えなくなる。
【0088】
しかしながら、繊維供給口部42の軸線A1に沿う長さL1が、P≦L1≦2Pであることによって、フライト52において、仮想線V1上においてバレル40の基端側の部分が第2の開口44を通して現れる為、このバレル40において基端側の部分と仮想線V1との交点P5が新たに現れることとなる。つまり、常に交点P5は、第2の開口44を通して、見える状態となる。
【0089】
スクリュ50がさらに回転することによって、新たに現れた交点P5が、
図7の(f)に示すように、見掛け上、バレル40の先端側に進む。このように、繊維供給口部42のバレル40の軸線A1に沿う最大長さL1が、P≦L1≦2Pであることによって、交点P5は、常に、第2の開口44を通して見えることとなる。
【0090】
なお、
図7に示される仮想線V1の位置は、一例である。仮想線V1は、第2の開口44の幅方向Wのいずれの位置に設定されても、交点P5は、常に、第2の開口44を通して見える状態となる。
【0091】
以下、成形装置10の動作の一例について説明する。制御装置100は、ヒータ45を駆動してバレル40を加熱する。バレル40の温度は温度センサなどにより検出され、制御装置100へと送られる。
【0092】
制御装置100は、バレル40の温度が所定値まで上昇した後に、ホッパ部46を作動させて、樹脂材供給口部41を通してペレット状の樹脂材Mをバレル40内に供給する。
【0093】
さらに、制御装置100は、スクリュ駆動部60を制御して、スクリュ50を回転駆動させる。スクリュ50が回転されることにより、樹脂材Mは、スクリュ50の供給部53aから圧縮部53bに移動する。さらに、樹脂材Mは、ヒータ45による加熱により、圧縮部53bで溶融されて溶融樹脂となり、計量部53cに送られる。
【0094】
溶融樹脂は、バレル40の内周面とフライト52とによって規定される螺旋状の空間内を、スクリュ50の回転にしたがって、排出部47に向かって移送される。
【0095】
次に、溶融樹脂が繊維引込部54に到達するタイミングで、繊維Fを供給する。強化繊維の供給方法としては、例えば、制御装置100により、自動的に行われてもよい。この一例としては、制御装置100の制御により繊維Fが巻回されるボビン等を回転することにより、繊維Fを繊維供給口部42に垂らしてもよい。または、作業者により、強化繊維を繊維供給口部42に垂らしてもよい。
【0096】
図8は、バレル40及びスクリュ50を、軸線A1に直交する断面に沿って切断した状態を、基端側から先端側に向かって見た断面図である。
図8は、繊維Fの先端F1が繊維供給口部42を通してバレル40内に供給された状態を示している。
図8に示すように、繊維Fの先端F1は、スクリュ50の上端P4、または、上端P4の近傍に垂らされることが好ましい。言い換えると、ボビン等に巻回された繊維Fは、繊維Fが垂らされたときに、その先端F1がスクリュ50の上端P4、または、上端P4の近傍に垂らされる位置に、配置されている。
【0097】
繊維Fの先端F1が、上端P4または上端P4の近傍に垂らされ、軸線A2方向に隣り合うフライト52間の溶融樹脂の表面に触れると、繊維Fが溶融樹脂内に入り込む。そして、先端F1が、スクリュ50の回転に沿って螺旋状に流動する溶融樹脂の流れに巻き込まれることにより、繊維F40が繊維供給口部42を通してバレル40内に引き込まれる。
【0098】
図9は、上下方向Gに沿って、繊維供給口部42を見た状態を示す平面図である。
図9は、繊維Fの先端F1が溶融樹脂に巻き込まれて、溶融樹脂の移送に伴って移動する状態を示している。
【0099】
なお、繊維Fの先端F1の位置は、溶融樹脂に巻き込まれることにより、バレル40内を、
図8に示すように、スクリュ50の回転に伴って、第1の領域X1、第2の領域X2、第3の領域X3、第4の領域X4の順番に進む。
【0100】
第1の領域X1は、バレル40の上端P4を基点として、スクリュ50の回転方向に90度までの範囲である。即ち、第1の領域X1は、上端P4を0度として、0度以上であって90度未満の範囲である。
【0101】
第2の領域X2は、上端P4を基点として、スクリュ50の回転方向に、90度以上であって180度未満の範囲である。第3の領域X3は、上端P4を基点として、スクリュ50の回転方向に、180度以上であって、270度未満の範囲である。第4の領域X4は、上端P4を基点として、スクリュ50の回転方向に、270度以上であって0度未満の範囲である。
【0102】
図10は、バレル40及びスクリュ50を、一部を切断した状態で示す断面図である。
図10は、繊維Fがバレル40内に引き込まれている状態を示している。
図9,10に示すように、繊維Fにおいて先端F1以降の部分は、第1の領域X1内では、溶融樹脂上に乗り、フライト52に支持されることによって、溶融樹脂上での姿勢が安定化される。
【0103】
また、第2の開口44のバレル40の軸線A1に沿う長さL1が、P≦L1≦2・Pであることによって、上述の
図7を用いて説明した通り、繊維Fが供給される点を通り軸線A1に平行な線上には、常に、フライト52が現れる。
【0104】
この為、スクリュ50の回転に伴って繊維Fが引き込まれても、繊維Fは、常にフライト52上に乗ることによってフライト52により支持され、領域X1,X2での姿勢が
図9,10に示されるように、定まった姿勢となる。
【0105】
領域X1,X2内での繊維Fの姿勢が常に一定であることによって、スクリュ50の回転に伴う単位時間当たりの繊維Fのバレル40内への引き込み量は、常に一定となる。
【0106】
繊維Fは、第1の領域X1から第2の領域X2に入り込むことにより、幅方向中心に向かって引き込まれるようになる。すなわち、繊維Fは、第2の領域以降に進むことによって、溶融樹脂内に巻き込まれるようになる。
【0107】
また、繊維Fは、第2の領域X2から第3の領域X3に進む際に、その巻き込み方向が、下方へ向かう巻き込み方向から上方へ向かう巻き込み方向へと変化する。この際、繊維Fは、
図10に示すように、フライト52のエッジ52aに強固に引っかかるようになる。
【0108】
この為、スクリュ50の回転に対して繊維Fが滑ることが防止されるので、バレル40内への単位時間当たりの繊維Fの引き込み量がより一層安定する。
【0109】
バレル40内に引き込まれた繊維Fは、繊維引込部54から繊維混練部55に進むと、フライト52によって切断され、溶融樹脂内に混練される。また、繊維混練部55によって、移送される溶融樹脂が計量される。
【0110】
計量された溶融樹脂は、排出部47を通して、射出部70の射出シリンダ71内に送られる。
【0111】
制御装置100は、繊維Fが混練された溶融樹脂が射出シリンダ71内に送られると、
型締駆動部94を駆動してトグル機構93を介して移動プラテン92を移動することにより、金型組80を閉じる。
【0112】
次いで、制御装置100は、進退駆動部73を駆動して、射出部70を金型組80に近接させ、吐出部51bが金型組80のキャビティ83に連通する位置に射出部70を移動する。
【0113】
次に、制御装置100は、所定のタイミングで射出部70のプランジャ駆動部74を駆動して射出プランジャ72を前進動作させることによって、射出シリンダ71内の溶融樹脂を、貫通孔84を通して金型組80内に射出する。
【0114】
制御装置100は、射出動作が終了した後、成形が完了した所定のタイミングで型締駆動部64を駆動して金型組80を開く。
【0115】
次に、制御装置100は、進退駆動部73を制御することによって、射出部70を金型組80から退避させる。
【0116】
以上により射出成形の1サイクルの動作が完了する。連続して射出成形を行う場合は、制御装置100は、進退駆動部73を駆動して射出部70を金型組80に近接させ、吐出部51bが金型組80のキャビティ83に連通する位置まで射出部70を移動することと、連続した射出成形動作の終了時に進退駆動部73を駆動して射出部70を金型組80から退避させることを、それぞれ一回だけ行う。
【0117】
これ以外の他の動作である、金型組80に対する型締動作、溶融樹脂の射出動作(射出充填動作及び保圧動作)、冷却動作(成形固化動作)、金型組80に対する型開動作、成形品の取り出し動作、材料の計量動作は、連続的に繰り返し行われる
このように構成される成形装置10では、繊維供給口部42の第2の開口44の、バレル40の軸線A1に沿う最大長さL1が、L1=P≦L1≦2・Pに設定されている。この為、繊維Fは、常にフライト52上に乗ることによってフライト52により支持され、領域X1,X2での姿勢が
図9,10に示されるように、定まった姿勢となる。繊維Fの姿勢が常に一定であることによって、スクリュ50の回転に伴う単位時間当たりの繊維Fのバレル40内への引き込み量は、常に一定となる。
【0118】
この為、溶融樹脂に含まれる繊維Fの量を均一にすることができるので、強度や剛性等の物性が均一な成形品を形成することができる。
【0119】
さらに、L1≦2・Pとすることによって、上述の効果を得つつ、バレル40の軸線A1に沿う長さが冗長化することを防止できる。さらに、L1≦2・Pとすることによって、第2の開口44自体の長さの冗長化を防止できる為、繊維Fがバレル40内に引き込まれる際の外乱の発生を防止できる。外乱とは、例えば、第2の開口44が大きくなることに起因して溶融樹脂の温度が低下し、それゆえ、溶融樹脂の物性が変化する事等がある。
【0120】
また、繊維供給口部42の第2の開口44において、幅方向Wの一端が、スクリュ50が下方に向かって回転する範囲となる第1の範囲R1内において、第1の位置P1に配置されることによって、繊維Fが第2の開口44の幅方向Wの一端の縁に接触することを防止できる。
【0121】
具体的に説明すると、繊維Fは、スクリュ50の回転によって、幅方向Wに外側に移動する。このとき、繊維Fが第2の開口44の幅方向一端の縁に接触するおそれがある。
【0122】
しかしながら、第2の開口44の幅方向一端が、第1の位置P1にあることによって、繊維Fが、幅方向Wに外側まで移動しても、第2の開口44の縁に接触することが防止される。
【0123】
同様に、第2の開口44の幅方向一端の縁が、第1の位置P1と第2の位置P2との間、または、第2の位置P2にあっても、繊維Fが第2の開口44の幅方向Wの一端の縁に接触することを防止できる。
【0124】
また、スクリュ50の繊維引込部54の軸体51の径は、計量部53cの軸体51の径及び繊維混練部55の径よりも小さい。この為、繊維Fをスクリュ50の周囲の溶融樹脂に巻き込む為に必要な繊維の長さを短くできる。この為、スクリュ50の回転量に対する巻き込み量の割合を大きくすることができるので、繊維Fを効率よく溶融樹脂に巻き込むことができる。
【0125】
さらに、また、スクリュ50の繊維引込部54の軸体51の径は、計量部53cの軸体51の径及び繊維混練部55の径よりも小さいことによって、繊維引込部54では、溶融樹脂に対するフライト52の高さが、スクリュ50の他の部位に対して高くなる。
【0126】
繊維Fは、スクリュ50の回転が下方に向かう回転から上方に向かう回転に変化するとき、即ち、第3の領域R3から第4の領域R4に入り込むときに、フライト52のエッジ52aと溶融樹脂との間に形成される段差部に入り込む。
【0127】
上述のように、繊維引込部54では溶融樹脂に対するフライト52の高さが高くなることによって、フライト52のエッジ52aと溶融樹脂との間に設けられる段差部が大きくなるので、この段差部における繊維Fの保持力が大きくすることができる。
【0128】
また、計量部53cは、軸線A2に直交する方向に第2の開口44を見たときに、第2の開口44内に位置していない。これにより、繊維Fが樹脂材溶融部53に供給されることを防止できる。
【0129】
樹脂材溶融部53では、樹脂材Mの溶融・混練が行われるため、樹脂材Mの粘度が高い。樹脂材溶融部53に繊維Fが供給された場合、樹脂材Mの粘度が高いことから、繊維Fがせん断力を受け、細かく切断され、繊維Fが所定の長さ(寸法)を維持することができない場合がある。
【0130】
この場合、繊維Fの寸法が小さくなりすぎ、強化材としての機能を十分に発揮できない虞がある。成形装置10では、上述したように、繊維Fが樹脂材溶融部53に入り込むことは無いため、繊維Fが必要以上に細かく切断されることはなく、繊維Fを所定の長さに保つことが可能であり、繊維Fは強化材としての機能を十分に発揮することが可能である。
【0131】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成や、各工程における具体的な制御手順等は、上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。さらに、上記実施形態の構成要件のうち一部を省略しても本発明を実現可能である。
【0132】
樹脂材供給口部41から供給される樹脂材Mの形状はペレット状に限定されない。樹脂材Mの形状は、例えば粉末状、粒状、チップ状等、他の形状であってもよい。
【0133】
また、繊維Fとして、炭素繊維、ガラス繊維に限らない。繊維Fは、例えば、アラミド繊維、ボロン繊維、ポリエチレン繊維、等、他の材料から構成されても良い。
【0134】
また、本実施形態では、繊維供給口部42の第2の開口44の幅方向Wの一端は、一例として、バレル40を上下方向Gに沿って見た平面視において、第1の位置P1である、軸線A1から距離
√3/2・Rの距離の位置にある。
【0135】
変形例としては、
図11に示すように、第2の開口44の幅方向Wの一端の縁42eは、上下方向Gに沿って見た平面視において、第2の位置P2である、軸線A1から距離Rの位置にあってもよい。または、
図12に示すように、第2の開口44の幅方向Wの一端の縁42eは、上下方向Gに沿って見た平面視において、第1の位置P1と第2の位置P2との間の位置にあってもよい。
【0136】
また、本実施形態では、繊維供給口部42の第2の開口44の幅方向Wの他端の縁42fは、第1の範囲R1内にある。他の例としては、第2の開口44の幅方向Wの他端の縁42fは、
図13に示すように、第2の範囲R2内にあってもよい。また、第2の開口44の幅方向Wの他端は、
図14に示すように、上下方向Gに沿って見た平面視において、軸線A1から距離
√3/2・R及び距離Rを含み、これら2つの距離間に配置されてもよい。
【0137】
また、本実施形態では、繊維供給口部42は、軸線A1に直交する方向に見た平面視で、第1の開口43及び第2の開口44が矩形となる形状を有している。なお、開口43,44の形状は、矩形に限定されない。他の例としては、繊維供給口部42は、軸線A1に直交する方向に沿って見た平面視で、
図15に示すように、第1の開口43及び第2の開口44が台形となる形状に形成されてもよい。または、
図16に示すように、繊維供給口部42は、例えば、軸線A1に直交する方向に沿って見た平面視で、第1の開口43及び第2の開口44が円となる形状に形成されてもよい。
【0138】
このように、繊維供給口部42の第1の開口43及び第2の開口44がバレル40の軸線A1に直交する方向に見た平面視で、矩形以外の形状であっても、第2の開口44のバレル40の軸線A1に沿う最大長さL1が、P≦L1≦2・Pであり、かつ、スクリュ50の回転方向が下方向となる第1の範囲R1内に配置される第2の開口44の幅方向Wの一端が、上下方向Gに沿って見た平面視で、軸線A1から距離
√3/2・Rの位置及び軸線A1から距離Rの位置を含むこれら2つの位置の間にあれば良い。
【0139】
また、本実施形態では、繊維供給口部42は、バレル40の軸線A1に直交する方向にその断面が一定に形成されている。すなわち、繊維供給口部42の第1の開口43及び第2の開口44は、同形状であって同じ大きさを有している。さらに、第1の開口43の縁と第2の開口44の縁とが、軸線A1に直交する方向に重なるように、互いが配置されている。
【0140】
他の例としては、繊維供給口部42の第1の開口43と第2の開口44とが、互いに異なる形状であってもよい。または、同じ形状であって、異なる大きさであってもよい。または、同じ形状であってかつ同じ大きさであり、それぞれの中心が軸線A1に直交する方向に重ならず、ずれて配置されてもよい。
【0141】
繊維供給口部42がこのような形状であっても、第2の開口44のバレル40の軸線A1に沿う最大長さL1が、P≦L1≦2・Pであり、かつ、スクリュ50の回転方向が下方向となる第1の範囲R1内に配置される第2の開口44の幅方向Wの一端が、上下方向Gに沿って見た平面視で、軸線A1から距離
√3/2・Rの位置及び軸線A1から距離Rの位置を含むこれら2つの位置の間にあれば良い。
【0142】
図17〜19は、繊維供給口部42は、上記の他の例の一例を示している。
図17は、第1の開口43と第2の開口44とが互いに同形状であり、かつ、大きさが異なる繊維供給口部42を、バレル40の軸線A1に直交する方向に見た状態を示す平面図である。
【0143】
図18は、
図17に示すバレル40及びスクリュ50を示す、軸線A1に沿う断面図である。
図19は、
図17に示すバレル40及びスクリュ50を示す、軸線A1に直交する断面に沿って切断した状態を基端側から先端側に向かって見た断面図である。
【0144】
図17〜19に示すように、第1の開口43及び第2の開口44は、矩形である。第1の開口43は、第2の開口44より大きい。第1の開口43の中心と第2の開口44の中心とは、軸線A1に直交する方向に重なって配置されている。言い換えると、第1の開口43は、第2の開口44に同軸に配置されている。この為、内面42a,42b,42c,42dは、いずれも、軸線A1に直交する方向に対して傾斜する傾斜面に形成されている。第2の開口44の軸線A1に沿う長さL1は、P≦L1≦2・Pとなっている。
【0145】
また、
図20は、可塑化装置30の変形例を示す、成形装置10の側面図である。
図20に示すように、可塑化装置30は、バレル40の軸線A1が、水平方向に平行となる姿勢でははく、水平方向に対して傾斜する構造であってもよい、具体的には、バレル40が、その軸線A1が、水平方向に対して傾斜し、それゆえ、側面視で、射出部70とV字形状を構成するで、射出部70に連結されてもよい。
【0146】
このように、バレル40をその軸線A1が水平方向に対して傾斜し、側面視で、射出部70の射出シリンダ71とともにV字形状を形成する構造によって、排出部47を直角な形状とすることがない。
【0147】
排出部47が直角な形状であると、排出部47内での溶融樹脂の流れの抵抗が大きくなるとともに、排出部47に溶融樹脂の滞留が発生しやすくなる場合がある。しかしながら、
図20に示す変形のように、排出部47を直角な形状とすることがないことによって、排出部47内での、強化繊維である繊維Fを含む溶融樹脂の流動性を向上できる。