(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
該フォーカシングコイルは該第1上板ばねの該外板ばね部および該第2上板ばねの該外板ばね部に電気的に接続してあることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【背景技術】
【0002】
小型カメラは例えば携帯電話やタブレットパソコンなどのモバイル電子デバイスの応用において益々普及してきている。このようなカメラの性能の向上とパッケージのサイズの維持とを両立させることはいつも期待される。このようなモバイル電子デバイスに装着される付属部材と構成要素のために、このような小型カメラの性能の向上の需要とさらなる小型化の需要はいつもある。特に、高品質のイメージを得るためには、光軸に沿うレンズの運動における、他の自由度(特に光軸に垂直する軸線回りに傾斜する)に沿って派生する最小の寄生運動が要求される。この要求を満たすために、サスペンション機構はこのような寄生運動に対して剛性を有する必要がある。しかしながら、1μmの分解能によりレンズの位置を制御するために、このようなサスペンション機構は摩擦を考慮する必要がある。
【0003】
図15はボイスコイルモータ(VCM)に用いられる従来のレンズ駆動装置の主要構造を示す模式図。読者の理解を助けるために、レンズ駆動装置のいくつかの小部品を示していない。
図15に示すように、レンズ駆動装置15は、第1上板ばね1511、第2上板ばね1512、レンズホルダ152、フォーカシングコイル153、光学式手ぶれ補正器(Optical Image Stabilizer:OIS)コイル構造154および可撓性プリント電気回路155を主に含んでいる。
【0004】
レンズ駆動装置15は2つの第1サスペンションワイヤ1561、1562および2つの第2サスペンションワイヤ1563,1564をさらに含んでいる。第1サスペンションワイヤ1561,1562はそれぞれ、一端で可撓性プリント電気回路155に電気的に接続されるとともに、他端で第1上板ばね1511に電気的に接続してある。第2サスペンションワイヤ1563,1564はそれぞれ、一端で可撓性プリント電気回路155に電気的に接続されるとともに、他端で第2上板ばね1512に電気的に接続してある。注意するのは、第1上板ばね1511と第2上板ばね1512は別々に配置されるため、構造的に接続されていない。
【0005】
図16は
図15のレンズ駆動装置のフォーカシングコイルと上板ばねとの間の電気接続を示す部分的拡大上面斜視図である。
図16に示すように、フォーカシングコイル153はさらに、溶接部16により第1上板ばね1511に電気的に接続してある。このほか、フォーカシングコイル153は別の溶接部(図示せず)により第2上板ばね1512に電気的に接続してあることがわかる。
【0006】
図17は
図15のレンズ駆動装置の可撓性プリント電気回路とサスペンションワイヤとの間の電気接続および、上板ばねとサスペンションワイヤとの間の接続を示す部分的拡大底面斜視図である。
図17に示すように、可撓性プリント電気回路155は溶接部171により第1サスペンションワイヤ1561の一端に電気的に接続されるとともに、第1上板ばね1511はさらに溶接部172により第1サスペンションワイヤ1561の他端に電気的に接続してある。このほか、図面に示していないが、理解できるのは、可撓性プリント電気回路155は溶接部により第1サスペンションワイヤ1562の一端に電気的に接続されるとともに、第1上板ばね1511はさらに、別の溶接部により第1サスペンションワイヤ1562の他端に電気的に接続してある。
【0007】
同様に、図面に示していないが、可撓性プリント電気回路155は溶接部により第2サスペンションワイヤ1563の一端に電気的に接続されるとともに、第2上板ばね1512はさらに、別の溶接部により第2サスペンションワイヤ1563の他端に電気的に接続してある。このほか、可撓性プリント電気回路155は溶接部により第2サスペンションワイヤ1564の一端に電気的に接続されるとともに、第2上板ばね1512はさらに、別の溶接部により第2サスペンションワイヤ1564の他端に電気的に接続してある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、溶接部の使用により製造の困難さと構成要素の重量が増加するため、所定寸法のカメラに対し、大きいレンズおよび大きいイメージセンサを取り付けてイメージの品質を向上する必要がある。したがって、部品数を減らすとともに、サスペンションワイヤと上板ばねを接続するための溶接過程を省く必要がある。
【0009】
従来技術における前記問題に対し、本発明の目的は、4つのサスペンションワイヤがいずれも上板ばねと一体的にまたは全体的に形成されることにより、部品数を減らすとともに、溶接過程を省く3D弾性支持構造を有するレンズ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、上板ばね部および複数のサスペンションワイヤを有する弾性支持構造と、光軸を有するレンズを保持するためのレンズホルダと、該光軸に対して該レンズの外周に配置してあるフォーカシングコイルと、複数のコイルを含む光学式手ぶれ補正器(OIS)コイル構造と、該OISコイル構造に電気的に接続されて該OISコイル構造を制御する電気回路構造と、複数の磁石とを含み、前記上板ばね部は少なくとも1つの第1上板ばねと、第1上板ばねから独立して配置された少なくとも1つの第2上板ばねとを含み、それぞれのサスペンションワイヤは該光軸に実質的に平行するように配置しあり、かつそれぞれのサスペンションワイヤは一端で該上板ばね部と一体成型され、他端で該電気回路構造に電気的に接続されたレンズ駆動装置を提供する。
【0011】
好ましくは、該上板ばね部は該光軸に沿って該レンズホルダを弾性的に保持する。
好ましくは、該上板ばね部は該レンズホルダのトップ面上に配置され、フォーカシングコイルは第1上板ばねと第2上板ばねに電気的に接続してある。
【0012】
好ましくは、第1上板ばねは内板ばね部とそれに電気的に接続された外板ばね部とを含み、第2上板ばねは内板ばね部とそれに電気的に接続された外板ばね部とを含み、それぞれの第1サスペンションワイヤは一端で第1上板ばねの外板ばね部と一体成型され、かつ他端で電気回路構造に電気的に接続され、それぞれの第2サスペンションワイヤは一端で第2上板ばねの該外板ばね部と一体成型され、他端で電気回路構造に電気的に接続してある。このほか、フォーカシングコイルは第1上板ばねの内板ばね部および第2上板ばねの内板ばね部に電気的に接続してある。
【0013】
好ましくは、第1上板ばねは内板ばね部と、それと電気的に絶縁された外板ばね部とを含み、第2上板ばねは内板ばね部と、それと電気的に絶縁された外板ばね部とを含み、それぞれの第1サスペンションワイヤは一端で第1上板ばねの外板ばね部と一体成型され、かつ他端で該電気回路構造に電気的に接続され、それぞれの第2サスペンションワイヤは一端で第2上板ばねの外板ばね部と一体成型され、かつ他端で該電気回路構造に電気的に接続してある。このほか、フォーカシングコイルは第1上板ばねの外板ばね部および第2上板ばねの外板ばね部に電気的に接続してある。
【0014】
好ましくは、該OISコイル構造は光軸に垂直する平面上に配置してある。
好ましくは、該複数の磁石は、それぞれが、該フォーカシングコイルに対向する第1表面を有する複数の第1磁石と、それぞれが、該OISコイル構造の個別のコイルに対向する第2表面を有する複数の第2磁石とを含む。
【0015】
好ましくは、該第1磁石と該第2磁石は同じ磁石であり、または、該第1磁石と該第2磁石は異なる磁石である。
好ましくは、該電気回路構造は可撓性プリント電気回路(flexible printed circuit)である。
【0016】
好ましくは、第1サスペンションワイヤの数と第2サスペンションワイヤの数は同じである。
好ましくは、第1サスペンションワイヤの数は2である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、部品数を減らすとともに、溶接過程を省く3D弾性支持構造を有するレンズ駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1はよく見かける電磁方式を利用した本発明に係るレンズ駆動装置を示す模式的斜視図であり、なお、AFコイル(AF:オートフォーカス)、OISコイルおよび磁石のレイアウトを明確に示すために、上板ばね、下板ばねおよびレンズ組立体を省略した。
【
図2】
図2は
図1の模式的平面分解図であり、
図1の構造中の磁場分布を示している。
【
図3】
図3は単独な電磁方式を利用した本発明に係るレンズ駆動装置を示す模式的斜視図であり、なお、AFコイル、OISコイルおよび磁石のレイアウトを明確に示すために、上板ばね、下板ばねおよびレンズ組立体を省略した。
【
図6】
図6は本発明の第1実施例に係るVCM用レンズ駆動装置の主要構造を示す模式図である。
【
図7】
図7は
図6のレンズ駆動装置のサスペンションワイヤと一体成型された上板ばねの部分的拡大上面斜視図である。
【
図8】
図8は
図6のレンズ駆動装置のフォーカシングコイルと上板ばねの間との電気接続を示す部分的拡大上面斜視図である。
【
図9】
図9は本発明の第2実施例に係るVCM用レンズ駆動装置の主要構造を示す模式図である。
【
図10】
図10は
図9のレンズ駆動装置のサスペンションワイヤと一体成型された上板ばねの外板ばね部を示す部分的拡大上面斜視図である。
【
図11】
図11は
図9のレンズ駆動装置のフォーカシングコイルと上板ばねとの間の電気接続を示す部分的拡大上面斜視図である。
【
図12】
図12は本発明の第3実施例に係るVCM用レンズ駆動装置の主要構造を示す模式図である。
【
図13】
図13は
図12のレンズ駆動装置のサスペンションワイヤと一体成型された上板ばねの外板ばね部を示す部分的拡大上面斜視図である。
【
図14】
図14は
図12のレンズ駆動装置のフォーカシングコイルと上板ばねとの間の電気接続を示す部分的拡大上面斜視図である。
【
図15】
図15はボイスコイルモータに用いられる従来のレンズ駆動装置の主要構造を示す模式図である。
【
図16】
図16は
図15のレンズ駆動装置のフォーカシングコイルと上板ばねとの間の電気接続を示す部分的拡大上面斜視図である。
【
図17】
図17は
図15のレンズ駆動装置の可撓性プリント電気回路とサスペンションワイヤとの間の電気接続および、上板ばねとサスペンションワイヤとの間の接続を示す部分的拡大底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施例と図面を参照しながら本発明をより詳しく説明する。図面において、明細書で使用されている構成要素の符号を参考にする。
本発明に係るレンズ駆動装置はボイスコイルモータ構造によるものであり、かつオートフォーカス(AF)機能と光学式手ぶれ補正器(OIS)機能を提供している。これら2つの機能はよく見かける電磁方式または単独な電磁方式により実現される。
図1はよく見かける電磁方式を利用した本発明に係るレンズ駆動装置を示す模式的斜視図であり、なお、AFコイル、OISコイルおよび磁石のレーアウトを明確に示すために、上板ばね、下板ばねおよびレンズ組立体を省略した。
図2は
図1の模式的平面分解図であり、なお、
図1の構造における磁場分布を示している。
【0020】
図1に示すように、本発明に係るレンズ駆動装置は主に、光軸を有するレンズ組立体(図示せず)、オートフォーカスコイル(AFコイル)3、OISコイル組および複数の磁石61x、61y、62x、62yを含んでいる。本発明において、Z軸を光軸と定義している。AFコイル3と磁石61x、61y、62x、62yは光軸に対してレンズ組立体の外周の周りに配置してある。OISコイル組は、光軸に垂直する平面上に配置されている複数のOISコイル91x、91y、92x、92yを含んでいる。それぞれの磁石61x、61y、62x、62yはいずれも内側N極と外側S極を有している。AFコイル3とOISコイル組は磁石61x、61y、62x、62yから構成されるよく見かける磁石を共用している。それぞれの磁石61x、61y、62x、62yはいずれも第1表面と第2表面を有している。それぞれの磁石61x、61y、62x、62yの第1表面がいずれもAFコイル3に対向し、それぞれの磁石61x、61y、62x、62yの第2表面がいずれも、OISコイル91x、91y、92x、92yのうちの1つに対向するように、OISコイル91x、91y、92x、92yは磁石61x、61y、62x、62yの下面に配置されている。AF電流とよく見かける磁石によりAFコイル3に電磁駆動力が発生してオートフォーカス機能を実行する。OIS電流とよく見かける磁石によりOISコイル組に電磁駆動力が発生してOIS機能(すなわち、手ぶれ防止機能)を実行する。
【0021】
具体的には、AFコイル3とそれぞれの磁石61x、61y、62x、62yの第1表面が互いに作用することにより、AFコイル3とレンズ組立体は磁石61x、61y、62x、62yに対し光軸に沿って移動してオートフォーカス機能を実行することができる。OISコイル91xと磁石61xの第2表面が作用する方向と、OISコイル92xと磁石62xの第2表面が作用する方向とは同じである。OISコイル91yと磁石61yの第2表面が作用する方向と、OISコイル92yと磁石62yの第2表面が作用する方向とは同じである。よって、レンズ組立体、AFコイル3および磁石61x、61y、62x、62yは光軸に垂直する方向(すなわち、X軸方向および/またはY軸方向)に沿ってOISコイル91x、91y、92x、92yに対し移動してOIS機能(すなわち、手ぶれ防止機能)を実行することができる。
【0022】
図3は単独な電磁方式を利用した本発明に係るレンズ駆動装置を示す模式的斜視図であり、なお、AFコイル、OISコイルおよび磁石のレイアウトを明確に示すために、上板ばね、下板ばねおよびレンズ組立体を省略した。
図4は
図3の模式的上面斜視分解図である。
図5は
図4の模式的平面図であり、
図3の構造中の磁場分布を示している。
【0023】
図3に示すように、本発明に係るレンズ駆動装置は、光軸を有するレンズ組立体(図示せず)、オートフォーカスコイル(AFコイル)3、OISコイル組、複数のAF磁石63x、63y、64x、64yおよび複数のOIS磁石65x、65y、66x、66yを主に含んでいる。AFコイル3、AF磁石63x、63y、64x、64yおよびOIS磁石65x、65y、66x、66yは光軸に対してレンズ組立体の外周の周りに配置されている。OIS磁石65x、65y、66x、66yはAF磁石63x、63y、64x、64yの下方に位置している。OISコイル組は、光軸に垂直する平面上に配置され、OIS磁石65x、65y、66x、66yの下面に位置する複数のOISコイル91x、91y、92x、92yを含んでいる。OISコイル91x、91y、92x、92yはそれぞれこの順にOIS磁石65x、65y、66x、66yに対向している。それぞれのAF磁石63x、63y、64x、64yはいずれも内側N極と外側S極を有している。
【0024】
AF電流とAF磁石63x、63y、64x、64yによりAFコイル3に電磁駆動力が発生してオートフォーカス機能を実行する。OIS電流とOIS磁石65x、65y、66x、66yによりOISコイル組に電磁駆動力が発生してOIS機能(すなわち、手ぶれ防止機能)を実行する。具体的には、AFコイル3とそれぞれのAF磁石63x、63y、64x、64yが相互に作用することにより、AFコイル3とレンズ組立体はAF磁石63x、63y、64x、64yに対して光軸に沿って移動してオートフォーカス機能を実行する。OISコイル91xとOIS磁石65xが作用する方向と、OISコイル92xとOIS磁石66xが作用する方向とは同じである。OISコイル91yとOIS磁石65yが作用する方向と、OISコイル92yとOIS磁石66yが作用する方向とは同じである。
【0025】
このため、レンズ組立体、AFコイル3、AF磁石63x、63y、64x、64yおよびOIS磁石65x、65y、66x、66yは光軸に垂直する方向(すなわち、X軸方向および/またはY軸方向)に沿ってOISコイル91x、91y、92x、92yに対し移動してOIS機能(すなわち、手ぶれ防止機能)を実行することができる。
【実施例1】
【0026】
図6はレンズ駆動装置の主要構造を示す模式図である。読者の理解を助けるために、レンズ駆動装置の一部の小部品を示していない。
図6に示すように、レンズ駆動装置6は上板ばね部と複数のサスペンションワイヤ661〜664を有する弾性支持構造、レンズホルダ62、フォーカシングコイル63、光学式手ぶれ補正器(OIS)コイル構造64および可撓性プリント電気回路65を主に含んでおり、なお、上板ばね部は第1上板ばね611と第2上板ばね612を含んでおり、また、上板ばね部はレンズホルダ62のトップ面上に配置されて光軸に沿ってレンズホルダ62を弾性的に保持する。
【0027】
第1上板ばね611と第2上板ばね612は別々に配置されるため、両者の間で構造的に接続されていない。レンズホルダ62(図示せず)は光軸を有するレンズの保持に用いられる。フォーカシングコイル63は光軸に対しレンズの外周に配置されている。OISコイル構造64はその上に位置する複数のコイル(図示せず)を含み、かつ光軸に垂直する平面上に配置されている。可撓性プリント電気回路65はOISコイル構造64に電気的に接続されて、OISコイル構造64を電気的に制御する。
【0028】
レンズ駆動装置6は2つの第1サスペンションワイヤ661、662および2つの第2サスペンションワイヤ663、664を含んでいる。第1サスペンションワイヤ661と662はそれぞれ、一端で可撓性プリント電気回路65に電気的に接続され、かつ他端で第1上板ばね611に電気的に接続され、かつ光軸に実質的に平行するように配置されている。注意するのは、第1サスペンションワイヤ661と662がそれぞれ、第1上板ばね611と一体的にまたは全体的に形成されている。
【0029】
第2サスペンションワイヤ663と664はそれぞれ一端で可撓性プリント電気回路65に電気的に接続され、他端で第2上板ばね612に電気的に接続され、かつ光軸に実質的に平行するように配置されている。同様に、第2サスペンションワイヤ663と664はそれぞれ、第2上板ばね612と一体的にまたは全体的に形成されている。
【0030】
図7は
図6のレンズ駆動装置のサスペンションワイヤと一体成型された上板ばね部を示す拡大上面斜視図である。
図7に示すように、第1サスペンションワイヤ661と第1上板ばね611の間は一体成型構造であるため、部品数を減らすとともに、溶接過程を有効に省く。同様に、他のサスペンションワイヤ662〜664と上板ばね611、612との間の一体成型構造は同じ機能を有している。
【0031】
図8は
図6のレンズ駆動装置のフォーカシングコイルと上板ばねの間との電気接続を示す部分的拡大上面斜視図である。
図8に示すように、フォーカシングコイル63は溶接部81により第1上板ばね611に電気的に接続されている。同様に、図面に示していないが、フォーカシングコイル63はさらに、別の溶接部により第2上板ばね612に電気的に接続されている。このため、フォーカシングコイル63は、可撓性プリント電気回路65、4つのサスペンションワイヤ661〜664、上板ばね611と612およびフォーカシングコイル63の電気回路を形成するように第1上板ばね611と第2上板ばね612に接続されている。
【実施例2】
【0032】
図9は本発明に係る第2実施例のVCM用レンズ駆動装置の主要構造を示す模式図である。読者の理解を助けるために、レンズ駆動装置の一部の小部品を示していない。
図9に示すように、レンズ駆動装置9は、上板ばね部と複数のサスペンションワイヤ961〜964を有する弾性支持構造、レンズホルダ92、フォーカシングコイル93、OISコイル構造94および可撓性プリント電気回路95を主に含んでおり、上板ばね部は内板ばね部9111および外板ばね部9112を有する第1上板ばね911と、内板ばね部9121および外板ばね部9122を有する第2上板ばね912とを含んでおり、なお、上板ばね部は、レンズホルダ92のトップ面上に配置されて光軸に沿ってレンズホルダ92を弾性的に保持する。
【0033】
第1上板ばね911と第2上板ばね912は別々に配置されるため、両者の間で構造的に接続されていない。レンズホルダ92(図示せず)は光軸を有するレンズの保持に用いられる。フォーカシングコイル93は光軸に対しレンズの外周に配置されている。OISコイル構造94はその上に位置する複数のコイル(図示せず)を含み、光軸に垂直する平面上に配置されている。可撓性プリント電気回路95はOISコイル構造94に電気的に接続されて、OISコイル構造94を電気的に制御する。
【0034】
レンズ駆動装置9は2つの第1サスペンションワイヤ961、962および2つの第2サスペンションワイヤ963と964を含んでいる。第1サスペンションワイヤ961と962はそれぞれ、一端で可撓性プリント電気回路95に電気的に接続され、他端で第1上板ばね911の外板ばね部9112に電気的に接続され、かつ光軸に実質的に平行するように配置されている。注意するのは、第1サスペンションワイヤ961と962がそれぞれ、第1上板ばね911の外板ばね部9112と一体的にまたは全体的に形成されている。
【0035】
第2サスペンションワイヤ963と964はそれぞれ、一端で可撓性プリント電気回路95に電気的に接続され、他端で第2上板ばね912の外板ばね部9122に電気的に接続され、かつ光軸に実質的に平行するように配置されている。同様に、第2サスペンションワイヤ963と964はそれぞれ、第2上板ばね912の外板ばね部9122と一体的にまたは全体的に形成されている。
【0036】
図10は
図9のレンズ駆動装置のサスペンションワイヤと一体成型された上板ばねの外板ばね部を示す部分的拡大上面斜視図である。
図10に示すように、第1サスペンションワイヤ961と第1上板ばね911の外板ばね部9112との間が一体成型構造であるため、部品数を減らすとともに、溶接過程を有効に省く。同様に、他のサスペンションワイヤ962〜964と第1上板ばね911の外板ばね部9112および第2上板ばね912の外板ばね部9112との間の一体成型構造は同じ機能を有している。
【0037】
図11は
図9のレンズ駆動装置のフォーカシングコイルと上板ばねの間の電気接続を示す部分的拡大上面斜視図である。
図11に示すように、フォーカシングコイル93は溶接部111により第1上板ばね911の内板ばね部9111に電気的に接続されている。同様に、図面に示していないが、フォーカシングコイル93はさらに、別の溶接部により第2上板ばね912の内板ばね部9121に電気的に接続されている。このため、フォーカシングコイル93は第1上板ばね911と第2上板ばね912の内板ばね部を介して第1上板ばね911と第2上板ばね912に接続されて可撓性プリント電気回路95、4つのサスペンションワイヤ961〜964、上板ばね911と912およびフォーカシングコイル93の電気回路を形成する。
【0038】
注意するのは、
図11に示す実施例において、上板ばねの材料が必ず導電的であり、かつ内板ばね部と外板ばね部の間のオーバラップ領域112も必ず導電的である。このため、オーバラップ領域112を介して電気エネルギーを伝えることができる。
【実施例3】
【0039】
図12は本発明の第3実施例のVCM用レンズ駆動装置の主要構造を示す模式図。読者の理解を助けるために、レンズ駆動装置の一部の小部品を示していない。
図12に示すように、レンズ駆動装置12は、上板ばね部と複数のサスペンションワイヤ1261〜1264を有する弾性支持構造、レンズホルダ122、フォーカシングコイル123、OISコイル構造124および可撓性プリント電気回路125を主に含んでおり、なお、上板ばね部は内板ばね部12111および外板ばね部12112を有する第1上板ばね1211と、内板ばね部12121および外板ばね部12122を有する第2上板ばね1212とを含んでおり、なお、上板ばね部はレンズホルダ122のトップ面上に配置されて光軸に沿ってレンズホルダ122を弾性的に保持する。
【0040】
第1上板ばね1211と第2上板ばね1212は別々に配置されるため、両者の間で構造的に接続されていない。レンズホルダ122(図示せず)は光軸を有するレンズの保持に用いられる。フォーカシングコイル123は光軸に対しレンズの外周に配置されている。OISコイル構造124はその上に位置する複数のコイル(図示せず)を含み、光軸に垂直する平面上に配置されている。可撓性プリント電気回路125はOISコイル構造124に電気的に接続されて、OISコイル構造124を電気的に制御する。
【0041】
レンズ駆動装置12は2つの第1サスペンションワイヤ1261、1262および2つの第2サスペンションワイヤ1263と1264を含んでいる。第1サスペンションワイヤ1261と1262はそれぞれ、一端で可撓性プリント電気回路125に電気的に接続され、かつ他端で第1上板ばね1211の外板ばね部12112に電気的に接続され、かつ光軸に実質的に平行するように配置されている。注意するのは、第1サスペンションワイヤ1261と1262はそれぞれ、第1上板ばね1211の外板ばね部12112と一体的にまたは全体的に形成されている。
【0042】
第2サスペンションワイヤ1263と1264はそれぞれ、一端で可撓性プリント電気回路125に電気的に接続され、他端で第2上板ばね1212の外板ばね部12122に電気的に接続され、かつ光軸に実質的に平行するように配置されている。同様に、第2サスペンションワイヤ1263と1264はそれぞれ、第2上板ばね1212の外板ばね部12122と一体的にまたは全体的に形成されている。
【0043】
図13は
図12のレンズ駆動装置のサスペンションワイヤと一体成型された上板ばねの外板ばね部を示す部分的拡大上面斜視図。
図13に示すように、第1サスペンションワイヤ1261と第1上板ばね1211の外板ばね部12112の間が一体成型構造であるため、部品数を減らすとともに、溶接過程を有効に省く。同様に、他のサスペンションワイヤ1262〜1264と第1上板ばね1211の外板ばね部12112および第2上板ばね1212の外板ばね部12122との間の一体成型構造は同じ機能を有している。
【0044】
図14は
図12のレンズ駆動装置のフォーカシングコイルと上板ばねの間の電気接続を示す局部放大仰視図である。
図14に示すように、フォーカシングコイル123は溶接部111’により第1上板ばね1211の外板ばね部12112に電気的に接続されている。同様に、図面に示していないが、フォーカシングコイル123はさらに、別の溶接部により第2上板ばね1212の外板ばね部12122に電気的に接続されている。このため、フォーカシングコイル123は第1上板ばね1211と第2上板ばね1212の外板ばね部を介して第1上板ばね1211と第2上板ばね1212に接続されて可撓性プリント電気回路125、4つのサスペンションワイヤ1261〜1264、上板ばね1211と1212およびフォーカシングコイル123の電気回路を形成する。
【0045】
注意するのは、
図14に示す実施例において、上板ばねの内板ばね部12111と12121の材料が絶縁的であってもよい。なぜなら、フォーカシングコイル123は第1上板ばね1211の外板ばね部12112および第2上板ばね1212の外板ばね部12122に電気的に接続されているからである。このような場合には、内板ばね部と外板ばね部の間のオーバラップ領域112’が導電できないため、電気エネルギーがオーバラップ領域112’を介して伝わることができない。
【0046】
要するに、本発明のレンズ駆動装置はサスペンションワイヤを介して3D弾性支持構造を有するレンズ駆動装置を提供し、サスペンションワイヤがいずれも上板ばねと一体的にまたは全体的に形成されて、部品数を減らすとともに、溶接過程を省く。
【0047】
以上で説明された実施例は例示的であって、本発明の構成を限定するものではない。本発明の趣旨と範囲を逸脱しないとの前提で行う同じ効果を有するすべての改良と変更は添付の特許請求の範囲内に入るべきである。