【実施例】
【0046】
以下、実施例及び比較例により本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において使用した各種特性の評価方法は下記のとおりであり、得られた物性を以下の表1に示す。
【0047】
1.平均単糸繊度(dtex)
製造した不織布の両端10cmを除き、幅方向にほぼ5等分して1cm角の試験片をサンプリングし、顕微鏡で繊維の直径を各20点ずつ測定し、その平均値から平均単糸繊度を算出した。尚、ポリプロピレンの密度は0.91g/cm
3とした。
【0048】
2.目付(g/m
2)
JIS−L1906に準じ、タテ(MD方向)20cm×ヨコ5cmの試験片を任意に5枚採取して質量を測定し、その平均値を単位面積当たりの重量に換算して求めた。
【0049】
3.破断伸度(%)
JIS L−1906に準じ、不織布の布帛試料の両端10cmを除き、幅方向均等になる様に、幅5cm、長さ20cmの試料を5点切り取り、引張試験機で、つかみ間隔10cm、引張速度30cm/分で測定した。破断時の伸度は、サンプルの破断時の伸度を測定した。タテ方向5点の試料を測定し、測定値を平均してタテ方向の破断伸度とした。
【0050】
4.ヒートシール強力
幅25mm長さ20cmの試料を2枚切り取り、熱板加熱式ヒートシール性試験装置にて、熱板温度136℃、ヒートシール接圧70Kgf/cm
2、接着時間1秒の条件で試料の熱シールを実施した。熱シール部分を約5cm(長さ方向)上下方向に剥離し、
図1に示したように、定長引張試験機に180度剥離するように取り付け、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/分で、剥離強度を測定した。
図1において、1はヒートシール試料の上部剥離部であり、2は下部剥離部であり、3はヒートシール部である。測定はタテ方向3カ所測定し最大強度の平均値で示した。
【0051】
5.おむつ着用試験によるヒートシール部強度評価
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、標準体型の男性10人にて、1時間毎に1回着脱動作を行うこととして合計5時間の着用評価を実施した。ヒートシール部で破れが発生した段階で着用試験を中止することとし、着用者10人の最大着脱回数の平均値求めた。
【0052】
6.ヒートシール部の風合い・外観評価
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、ヒートシール部の風合い・外観を官能評価に於いて、風合いが「硬い」又は「柔らかい」の2段階、外観収縮の有無を実施し、評価者10人で同じ評価が2/3以上であった場合、その評価を採用し、それ未満は差なしとした。
【0053】
〔実施例1〕
MFRが60g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン樹脂をスパンボンド法により、ノズル径0.4mm、単孔吐出量0.56g/min・Hole、紡糸温度205℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速気流牽引装置を使用して牽引し、平均単糸繊度1.5dtexの長繊維ウェブを調製した。
次いで、得られたウェブを、フラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して温度135℃と線圧35kgf/cmで繊維同士を接着し、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
【0054】
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、標準体型の男性10人にて、1時間毎に1回着脱動作を行うこととして合計5時間の着用評価を実施した。ヒートシール部で破れが発生した段階で着用試験を中止することとし、着用者10人の最大着脱回数の平均値求めた。評価結果を表1に示す。またヒートシール部の風合い・外観を官能評価に於いて、風合いが「硬い」又は「柔らかい」の2段階、外観収縮の有無を実施し、10人で同じ評価が2/3以上であった場合、その評価を採用し、それ未満は差なしとした。評価結果を表1に示す。
表1に示すように、5回まで着脱動作を実施しても、着用中にヒートシール部で破れが発生することなく、充分な強力を示した。また、ヒートシール部の風合い・外観評価を官能評価に於いて実施し、収縮したり硬くなったりせず、柔軟なおむつを得た。
【0055】
〔実施例2〕
実施例1において吐出量を調整し、平均単糸繊度2.0dtex、目付11g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、着脱5回実施しても、着用中に破れが発生することなく、充分な強力を示した。特に、実施例2に於いては、ヒートシール部でおむつの他の構成部材との接着に於いて、ヒートシール部の接着性が強く剥離しにくいにも拘わらずヒートシール部が柔軟なおむつを得た。
【0056】
〔実施例3〕
実施例1において吐出量を調整し、平均単糸繊度1.1dtex、目付18g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、実施例1と同様の結果を得た。
【0057】
〔実施例4〕
MFRが53g/10分のポリプロピレン樹脂を用い、紡糸の樹脂温度を210℃として実施例1と同様に実施し、吐出量を調整して平均単糸繊度1.1dtex、目付15g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、実施例1と同様に充分な強度のおむつを得た。
【0058】
〔実施例5〕
MFRが60g/10分のポリプロピレン樹脂を用いて実施例4と同様に実施し、吐出量を調整して平均単糸繊度1.1dtex、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、実施例1に比較してヒートシール部の接着性はやや弱いものの。その結果、着用4回までおむつが破れることなく、充分な強度のおむつを得た。
【0059】
〔実施例6〕
MFRが37g/10分のポリプロピレン樹脂を用いて実施例4と同様に実施し、吐出量を調整して平均単糸繊度2.0dtex、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、実施例1と同様の柔軟なおむつを得た。
【0060】
〔実施例7〕
MFRが37g/10分のポリプロピレン樹脂を用い、単孔吐出量を0.3g/min・Holeとし、他の条件は実施例4と同様にして平均単糸繊度1.1dtex、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、実施例1と同様の柔軟なおむつを得た。
【0061】
〔比較例1〕
MFRが65g/10分のポリプロピレン樹脂を用い、紡糸の樹脂温度を210℃とし、他の条件は実施例1と同様にして平均単糸繊度1.8dtexの長繊維ウェブを得た。次いで、得られたウェブを、フラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して温度135℃と線圧15kgf/cmで繊維同士を接着し、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、着脱3回目でヒートシール部に破れが発生した。
【0062】
〔比較例2〕
紡糸の樹脂温度を225℃として比較例1と同様に実施し、吐出量を調整して平均単糸繊度2.0dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果着脱2回目でヒートシール部に破れが発生した。
【0063】
〔比較例3〕
紡糸の樹脂温度を215℃として実施例1と同様に実施し、吐出量を調整して平均単糸繊度1.1dtex、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、着脱3回目でヒートシール部に破れが発生した。
【0064】
〔比較例4〕
MFRが53g/10分のポリプロピレン樹脂を用いて比較例3と同様に実施し、吐出量を調整して平均単糸繊度1.1dtex、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、着脱1回目でヒートシール部に破れが発生し着用評価が実施できなかった。
【0065】
〔比較例5〕
MFRが37g/10分のポリプロピレン樹脂を用いて比較例3と同様に実施し、吐出量を調整して平均単糸繊度3.8dtex、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、着脱3回目でヒートシール部に破れが発生した。
【0066】
〔比較例6〕
MFRが100g/10分のポリプロピレン樹脂を用い、紡糸の樹脂温度を205℃として比較例1と同様に実施し、吐出量を調整して平均単糸繊度1.1dtex、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、その結果、着脱1回目にてヒートシール部で破れが発生し着用評価が実施できなかった。
【0067】
〔比較例7〕
MFRが37g/10分のポリプロピレン樹脂を用い、紡糸の樹脂温度を260℃、単孔吐出量を0.2g/min・Holeとして、比較例3と同様に実施し、平均単糸繊度1.1dtex、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、着脱2回目でヒートシール部に破れが発生した。
【0068】
〔比較例8〕
MFRが25g/10分のポリプロピレン樹脂を用い、紡糸の樹脂温度を260℃として比較例1と同様に実施し、吐出量を調整して平均単糸繊度1.1dtex、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を製造条件と共に表1に示す。
得られたスパンボンド不織布を用いて大人用パンツ型おむつを作製し、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、着脱2回目でヒートシール部に破れが発生した。
【0069】
〔比較例9〕
MFRが65g/10分のポリプロピレン樹脂を用い、紡糸の樹脂温度を210℃とし、他の条件は実施例1と同様にして平均単糸繊度1.8dtexの長繊維ウェブを得た。次いで、得られたウェブを、フラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して温度135℃と線圧15kgf/cmで繊維同士を接着し、目付17g/m
2のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布を用いて、実施例1の大人用パンツ型おむつ作製条件に於いて、生産速度遅くし、ヒートシール部出力を強くした条件で、実施例1と同様の着用評価を実施した。その結果、着脱5回を繰り返しても破れが発生することは無かったが、ヒートシール部で収縮が発生し、風合いが硬くなった。
【0070】
【表1】