特許第5948621号(P5948621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948621
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】太陽光発電システム用集電ボックス
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/34 20140101AFI20160623BHJP
【FI】
   H02S40/34
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-8649(P2012-8649)
(22)【出願日】2012年1月19日
(65)【公開番号】特開2013-149766(P2013-149766A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】松隈 裕史
(72)【発明者】
【氏名】田中 健次
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 弘明
【審査官】 濱田 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−222560(JP,A)
【文献】 特開2010−272559(JP,A)
【文献】 特開2006−114860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 40/34−40/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体への放熱を行う放熱部を備えた機器取付板上に、複数の逆流防止ダイオードを搭載した太陽光発電システム用集電ボックスであって、
筐体内に、逆流防止ダイオード搭載面の端部をコ字状に折り曲げて形成され、背面板上に配置される熱伝導面からなる放熱部を備えた機器取付板を少なくとも2以上備え、これら機器取付板の逆流防止ダイオード搭載面と背面板との間に空間を形成するとともに、複数の逆流防止ダイオードを、各機器取付板に分散して搭載したことを特徴とする太陽光発電システム用集電ボックス。
【請求項2】
隣接する各機器取付板を、空間を持たせて配置したことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電システム用集電ボックス。
【請求項3】
隣接する各機器取付板を、前記筐体内で上下に配置したことを特徴とする請求項1または2記載の太陽光発電システム用集電ボックス。
【請求項4】
前記熱伝導面を背面板上に配置したとき、各機器取付板の該逆流防止ダイオード搭載面が、各々、該背面板から異なる高さに位置することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の太陽光発電システム用集電ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システム用集電ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システム用直流集電ボックス内には、太陽電池の各ストリング、すなわち太陽電池セルを必要な直流電圧が得られるように直列接続したモジュール群毎にそれぞれ開閉器、逆流防止用ダイオードと、それらを集電する集電開閉器を備えている。これらの内部機器のうち、特に逆流防止用ダイオードからの発熱は、周辺部材の寿命を損なう要因となりうる。
【0003】
この問題を回避し、太陽光発電システム用直流集電装置内の放熱効果の向上を図るために、内部機器の取付に使用する内部機器取付板全体を、熱伝導性の高い部材から構成する技術が一般に採用されている。更に、高コストの放熱部材の使用量を抑制しつつ、前記効果を得る技術として、内部機器取付板よりも高い熱伝導率を有し、かつ、内部機器取付板よりもコンパクトな放熱板上に、全ての逆流防止用ダイオードをまとめて搭載した上で、該放熱板を載置した内部機器取付板を筐体に当接させて、筐体全体から放熱を行わせる構造も開示されている(特許文献1)。
【0004】
しかし、従来の構造では、何れも、全ての逆流防止用ダイオードが、一枚の高熱伝導性部材の上に搭載されていたため、高熱伝導性部材を通じて、逆流防止用ダイオード間にも伝熱が生じ、これにより逆流防止用ダイオードの製品寿命が低下する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-272559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記の問題を解決し、機器取付板上に搭載される逆流防止用ダイオード間の伝熱量を低減する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の太陽光発電システム用集電ボックスは、筐体への放熱を行う放熱部を備えた機器取付板上に、複数の逆流防止ダイオードを搭載した太陽光発電システム用集電ボックスであって、筐体内に、逆流防止ダイオード搭載面の端部をコ字状に折り曲げて形成され、背面板上に配置される熱伝導面からなる放熱部を備えた機器取付板を少なくとも2以上備え、これら機器取付板の逆流防止ダイオード搭載面と背面板との間に空間を形成するとともに、複数の逆流防止ダイオードを、各機器取付板に分散して搭載したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の太陽光発電システム用集電ボックスにおいて、隣接する各機器取付板を、空間を持たせて配置したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の太陽光発電システム用集電ボックスにおいて、隣接する各機器取付板を、前記筐体内で上下に配置したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の太陽光発電システム用集電ボックスにおいて、前記熱伝導面を背面板上に配置したとき、各機器取付板の該逆流防止ダイオード搭載面が、各々、該背面板から異なる高さに位置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る太陽光発電システム用集電ボックスは、筐体内に、逆流防止ダイオード搭載面の端部をコ字状に折り曲げて形成され、背面板上に配置される熱伝導面からなる放熱部を備えた機器取付板を少なくとも2以上備え、これら機器取付板の逆流防止ダイオード搭載面と背面板との間に空間を形成するとともに、複数の逆流防止ダイオードを、各機器取付板に分散して搭載する構造により、異なる機器取付板に載置された逆流防止用ダイオードでは、伝熱が生じないようにして、他の逆流防止用ダイオードから発熱される熱に起因した製品寿命の低下率を軽減することができる。
【0012】
逆流防止用ダイオードから発熱される熱は筐体の上方に向かうため、複数の逆流防止ダイオードを、一枚の機器取付板の上下位置に搭載した場合、機器取付板を介する伝熱の影響の他、下方に搭載した逆流防止ダイオードから発生した熱対流により、上方に搭載した逆流防止ダイオードがダメージを強く受け易くなる。これに対し、請求項3記載の発明のように、隣接する各機器取付板を、筐体内で上下に配置し、更に、請求項4記載の発明のように、上方と下方の機器取付板の、逆流防止ダイオード搭載面の高さ位置を異なるものとすることにより、上方に搭載した逆流防止ダイオードに対する、下方に搭載した逆流防止ダイオードからの発熱の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る太陽光発電システム用集電ボックスの内部構造説明図である。
図2図1の正面方向から見た図である。
図3】機器取付板及び逆流防止ダイオードの関係を示す側面図である。
図4】他の実施形態における機器取付板及び逆流防止ダイオードの関係を示す側面図である。
図5】他の実施形態における機器取付板及び逆流防止ダイオードの関係を示す側面図である。
図6】他の実施形態における太陽光発電システム用集電ボックスの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
【0015】
図1には、本発明の太陽光発電システム用集電ボックスの内部構造説明図を示し、図2には、図1の正面図を示している。
【0016】
図1図2に示すように、本発明の集電ボックス1の内部には、内部機器2の取付けに用いる機器取付板3が上下に2枚隣接配置されている。本実施形態では、機器取付板3の材料としてアルミ板を使用しているが、その他にも、銅板等、熱伝導率が高い金属板を材料として使用することができる。
【0017】
各々の機器取付板3は、図3に示すように、内部機器2(21、22、23、24、25)を取り付ける機器取付面31と、機器取付面31の端部をコ字状に折り曲げて形成した熱伝導面32を有し、熱伝導面32が、筐体1内の背面板4上に配置されている。当該構造によれば、内部機器2から発生した熱を、放熱部である熱伝導面32を介して、筐体1内の背面板4から外部に速やかに放熱することができる。本実施形態では、図3に示すように、上下に配置した機器取付板3の熱伝導面32を、各々筐体1の中央部に配置しているが、その他、熱伝導面32を筐体1の端部に配置したり、あるいは、筐体1の中央部と端部の双方に配置する構造としてもよい。また、隣接する各機器取付板3間での伝熱を回避する観点から、隣接する各機器取付板3は、図4に示すように、空間を持たせて配置することが好ましい。
【0018】
なお、逆流防止用ダイオード21から発熱される熱は筐体1の上方に向かうため、複数の逆流防止ダイオード21を、一枚の機器取付板3の上下位置に全て搭載した場合、機器取付板3を介する伝熱の影響の他、下方に搭載した逆流防止ダイオード21から発生した熱対流により、上方に搭載した逆流防止ダイオード21がダメージを強く受け易くなる。本発明では前記のように、隣接する各機器取付板3を、筐体1内で上下に配置することにより、各機器取付板3を介する伝熱の影響の低減を図っているが、更に、図5に示すように、逆流防止ダイオード搭載面となる機器取付面32の高さ位置を、下方の機器取付板は上方の機器取付板より高い位置に形成することにより、下方に搭載した逆流防止ダイオード21から発生した熱対流が直接、上方に搭載した逆流防止ダイオード21にぶつからない構造として、熱対流による影響の低減も合わせて図ることが好ましい。
【0019】
機器取付面32には、逆流防止ダイオード21の他、集電開閉器22、入力開閉器23、銅バー24、銅バー25等の内部機器2が取り付けられており、各々を図示しない電線で接続し形成している。このうち、逆流防止ダイオード21とは、太陽電池からパワーコンディショナー(住宅用分電盤)への一方向にのみ電流が流れるよう設定する機能を有するものであり、内部機器2の中で、最も発熱しやすい特性を備えるものである。
【0020】
逆流防止ダイオード21は、太陽電池のストリング毎に備えられているため、通常、一つの集電ボックス1の内部に複数の逆流防止ダイオード21が存在する。本発明では、これら複数の複数の逆流防止ダイオード21を、2枚の機器取付板3に分けて搭載することにより、1枚の機器取付板3に搭載される逆流防止ダイオード21の数を低減し、同一の機器取付板3上に載置された逆流防止ダイオード21間での伝熱に起因した逆流防止ダイオード21の製品寿命の低下を抑制可能としている。
【0021】
上記実施形態では、機器取付板3を上下に隣接配置しているが、その他の実施形態として、図6に示すように、機器取付板3を左右に隣接配置することもできる。この場合も、隣接する機器取付板3は、図4に示すように、空間を持たせて配置することが好ましい。
【符号の説明】
【0022】
1 集電ボックス(筐体)
2 内部機器
21 逆流防止ダイオード
22 集電開閉器
23 入力開閉器
24 銅バー
25 銅バー
3 機器取付板
31 機器取付面
32 熱伝導面
4 背面板
図1
図2
図3
図4
図5
図6