【課題を解決するための手段】
【0015】
まず、本発明の目的は、アメリシウムを、相P1に存在する他の金属元素から分離するプロセスであって、このプロセスは、
−相P1と該相
P1とは混ざらない相P2との接触と、相P2からの相P1の分離とをそれぞれ含む、一つ以上の工程を含み、相P1及び相P2の一方が、酸性水相であり、
相P1及び相P2の相の他方が、少なくとも一つの抽出剤を有機希釈剤中に含む有機相であって、
−酸性水相が、以下の一般式(I)に適合するエチレンジアミン誘導体を含み、
ここで、同一のまたは異なるA
1、A
2、A
3及びA
4が、以下の一般式(II)のグループを表し、
ここで、Xは窒
素原子を表し、この場合、R
1、R
2及びR
4の一つが、選択肢グループ:-COOH, -SO
3H, -PO
3H
2, -CONH
2 及び -CON(CH
3)
2から選択される錯化剤グループを表し、他のR
1、R
2及びR
4が、互いに独立して、水素原子または選択肢グループ:-OH, -NH
2, -N(CH
3)
2, -COOH, -COOCH
3, -CONH
2, -CON(CH
3)
2, -SO
3H, -SO
3CH
3, -PO
3H
2, -PO(OCH
3)
2, -O(CH
2CH
2)
n-OH 及び -O(CH
2CH
2)
n -OCH
3から選択されるグループを表し、ここで、nは1以上の整数であり、
または、Xは、水素原子またはグループR
3を担持する炭素原子を表し、この場合、R
1、R
2、R
3及びR
4の一つが、選択肢グループ:-COOH, -SO
3H, -PO
3H
2, -CONH
2 及び -CON(CH
3)
2から選択される錯化剤グループを表し、他のR
1、R
2、R
3及びR
4が、互いに独立して、水素原子または選択肢グループ:-OH, -NH
2, -N(CH
3)
2, -COOH, -COOCH
3, -CONH
2, -CON(CH
3)
2, -SO
3H, -SO
3CH
3, -PO
3H
2, -PO(OCH
3)
2, -O(CH
2CH
2)
n -OH 及び -O(CH
2CH
2)
n -OCH
3から選択されるグループを表し、ここで、nは1以上の整数であり、
または、
酸性水相が、エチレンジアミン誘導体の塩
を含むこと、を特徴とするプロセスである。
【0016】
本発明の範囲では、前述したように、一般式(I)において、A
1、A
2、A
3及びA
4が、すべて、一般式(II)のグループを表し、Xが、窒素原子、または、水素原子
、または、エチレンジアミン誘導体の水への溶解性を促進可能なグループ、例えば、-OHグループ、または-O(CH2CH2)n-OHグループを担持する炭素原子を表し、nが1以上の整数であること、が好ましい。
【0018】
また、一般式(II)において、R
1、R
2及びR
4の少なくとも一つが、錯化剤グループ-COOHを表すこと、が好ましい。
【0019】
この場合、他のR
1、R
2及びR
4が、水素原子を表すことが、最も好ましい。
【0020】
さらに、一般式(I)において、A
1、A
2、A
3及びA
4が、互いに同じであること、が好ましく、エチレンジアミンの合成をより一層促進する。
【0021】
これらのすべての好適条件に適合するエチレンジアミン誘導体は、例えば、
−N,N,N',N'-テトラキス[(6-カルボキシピリジ
ン-2-イル)メチル
]エチレンジアミンであり、以下の一般式(Ia)に適合し、
−N,N,N',N'-テトラキス[(6-カルボキシ-4-ヒドロキシピリジン-2-イル)メチル]エチレンジアミンであり、以下の一般式(Ib)に適合し、
−N,N,N',N'-テトラキス[(6-カルボキシ-4-ポリエチレングリコールピリジン-2-イル)メチル]エチレンジアミンであり、以下の特定式(Ic)に適合し、
ここで、nは1から12に含まれ、好ましくは、1、2、4、6、8、10及び12であり、
−N,N,N',N'-テトラキス[(6-カルボキシピラジン-2-イル)メチル]エチレンジアミンであり、以下の特定式(Id)に適合する。
【0022】
これらのエチレンジアミン誘導体において、N,N,N',N'-テトラキス[(6-カルボキシピリジ
ン-2-イル)メチル
]エチレンジアミンが最も好ましく、以下では、より簡単に、H
4TPAENと記す。
【0023】
実際に、この誘導体は、アメリシウムに対する特有の興味深い親和性に加えて、僅かな酸性度、すなわち、実際には1オーダーのpH(硝酸水相の場合では0.1mol/Lオーダーの硝酸濃度に相当)の水相においても、この元素の錯体化の能力を有することが判明している。
【0024】
この最後の特徴は、とりわけ酸性水相のpHの安定化のためのバッファー系を利用することのない実行可能性をもたらすため、非常に有利であり、アメリシウムを他の金属元素から分離するために従来技術で提案され、1.5以上のpHで行われる、二相系には当てはまらない。
【0025】
従って、酸性水相は、望まれる場合、特に特定式(Id)のエチレンジアミン誘導体と、酸及び水とからのみ構成されてもよい。
【0026】
前に述べたように、一般式(I)のエチレンジアミン誘導体は、その酸性形態で、または、ナトリウム塩またはカリウム塩型等のアルカリ金属塩のような塩の形態で、または、マグネシウム塩またはカルシウム塩型等のアルカリ土類金属塩のような塩の形態で、または、ヒドロキシルアミン塩型等の有機塩のような塩の形態で、水相に存在してもよい。
【0027】
本発明の範囲内で、酸性水相は、硝酸濃度が好ましくは0.001から3 mol/L、より良好には、0.01から1 mol/L、より好ましくは0.01から0.3 mol/Lの範囲である、硝酸水相であることが好ましい。
【0028】
また、一般式(I)のエチレンジアミン誘導体またはその塩は、10
-5から10
-1 mol/L、好ましくは10
-4から10
-2 mol/L、より良好には、10
-3から5×10
-2mol/Lの濃度範囲で、酸性水相中に存在することが有利である。
【0029】
有機相に存在する抽出剤は、溶媒抽出剤及びカチオン交換抽出剤から特に選択されてもよい。
【0030】
適した溶媒抽出剤の例としては、以下が挙げられる。
・N,N'-ジメチル- N,N'-ジブチルテトラデシル-マロンアミド(またはDMDBTDMA)、N,N'-ジメチル- N,N'-ジオクチルヘキシルエトキシマロンアミド(またはDMDOHEMA)、N,N'-ジメチル- N,N'-ジオクチルオクチルマロンアミド(またはDMDOOMA)、N,N'-ジメチル- N,N'-ジオクチルヘキシルマロンアミド(またはDMDOHxMA)、N,N'-ジメチル- N,N'-ジオクチルヘプチルマロンアミド(またはDMDOHpMA)、または、N,N'-ジメチル- N,N'-ジブチルドデシルマロンアミド(またはDMDBDDEMA)等のマロンアミド、
・N,N,N’,N’-テトラオクチル-3,6-ジオキサオクタンジアミド(またはDOODA-C
8)、N,N,N’,N’-テトラドデシル-3,6-ジオキサオクタンジアミド(またはDOODA-C
12)等の四座N,N,N’,N’-テトラアルキル-3,6-ジオキサオクタンジアミド抽出剤、
・N,N,N’,N’-テトラオクチル-3-オキサペンタンジアミド(またはTODGA)、N,N,N’,N’-テトラデシル-3-オキサペンタンジアミド(またはTDDGA)、または、N,N,N’,N’-テトラ-2-エチルヘキシル-3-オキサペンタンジアミド(またはTEHDGA)等の親油性ジグリコールアミド(すなわち炭素原子の相和が24より大きい)、
・トリオクチルホスフィン酸化物(またはTOPO)、トリブチルホスフィン酸化物(またはTBPO)、または、略称TRPOで知られるトリアルキルホスフィンの混合物等のアルキルホスフィン酸化物、
・オクチルフェニル-N,N-ジイソブチル-カルバモイルメチルホスフィン(またはCMPO)等のカルバモイルホスフィン酸化物、
・ジヘキシル-N,N-ジエチルカルバモイル-メチルホスホン酸塩(またはDHDECMP)等のカルバモイルホスホン酸塩、
・ジヘキシル硫化物等のジアルキル硫化物、
・ビストリアジニル-1,2,4-ピリジン(またはBTP)等の置換ピリジン、
・2,2’-ジベンズイミダゾール、及び、
・ビスフェニルホスホン酸アルキルエステル。
【0031】
適したカチオン交換抽出剤の例としては、以下が挙げられる。
*ジ(2-エチルヘキシル)リン酸(またはHDEHP)、ジヘキシルリン酸(またはHDHP)、ビス-(1,3-ジメチルブチル)リン酸(またはHBDMBP)、または、ジイソデシルリン酸(またはDIDPA)等のアルキルリン酸、
*p-2-エチルヘキシル-o-2-エチルヘキシルハイドロゲン-ホスホン酸塩(またはPC88A)、p-プロピル-o-ヘプチルハイドロゲンホスホン酸塩、p-ブチル-o-オクチル-ハイドロゲンホスホン酸塩、または、p-ペンチル-o-ヘキシルハイドロゲンホスホン酸塩等のアルキルホスホン酸塩、
*ビス(2,4,4-トリメチ
ルペンチル)ホスフィン酸(またはシアネックス272)等のアルキルホスフィン酸、
*デカン酸またはシアノデカン酸等の親油性カルボン酸、
*ジノニルナフタレンスルホン酸(またはHDNNS)等のスルホン酸、
*ビス(2,4,4-トリメチ
ルペンチル)ジチオホスフィン酸(またはシアネックス301)、チオ亜リン酸、親油性ヒドロキシオキシム等のチオリン酸、チオホスホン酸、チオホシフィン酸、及び、3-フェニル-4-ベンゾイル-5-イソオキサゾロン(またはHPBI)等の親油性β-ジケトン。
【0032】
有機希釈剤としては、トルエン、キシレン、t-ブチルベンゼン、ジ-またはトリ-イソプロピルベンゼン、ケロシン、n-ドデカンまたは水素化テトラプロピレン(またはTPH)等の直線または分岐ドデカン、isane(登録商標)、正常なパラフィン炭化水素(またはNPH)、メタニトロベンゾトリフルオリド、5,5’-[オキシビス(メチレンオキシ)]ビス(1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタン)、1-オクタノール等のアルコール、及びそれらの混合物質等の、照射済み核燃料処理の分野において液体−液体抽出を実現するために利用が提案された、すべての極性または脂肪族有機希釈剤から選択されてもよい。
【0033】
有機相は、偏析により第三の相を形成することなく、この相の負荷能力、すなわち、この相が含む金属元素の最大濃度を増すことができる、一つ以上の相変性剤をさらに含んでもよい。
【0034】
この場合、これらの相変性剤は、トリ-n-ブチルリン酸塩(またはTBP)、または、トリ-n-ヘキシルリン酸塩(またはTHP)等のアルキルリン酸塩、1-オクタノール、1-デカノール、または、イソデカノール等のアルコール、N,N-ジヘキシルオクタンアミド(またはDHOA)、N,N-ジブチルデカンアミド(またはDBDA)、N,N-ジ(エチルヘキシル)アセトアミド(またはD2EHAA)、N,N-ジ(2-エチルヘキシル)プロピオンアミド(またはD2EHPRA)、N,N -ジ(2-エチルメチル)イソブチルアミド(またはD2EHiBA)、または、N,N -ジヘキルデカンアミド(またはDHDA)等のモノアミド、及び、DMDBTDMA、DMDOHEMA、DMDOOMA、DMDOHxMA、DMDOHpMA、または、DMDBDDEMA等のマロンアミド等から特に選択されてもよい。
【0035】
従って、有機相は、液体−液体抽出により、酸性水相から、選択的に、またはランタノイドと共に、アクチニド(III)を回収することを目的とする、先行技術のプロセスで用いられるものと同じタイプのもの、及び、以下を用いるものと同じタイプのものであってよい。
−ジグリコールアミド抽出剤(非特許文献1及び非特許文献5)、
−ジアミド四座抽出剤N,N,N’,N’-テトラアルキル-3,6-ジオキサオクタンジアミド(非特許文献6)、
−マロンアミド抽出剤(非特許文献7及び非特許文献8)、
−マロンアミド抽出剤とアルキルリン酸抽出剤の混合物質(DIAMEX-SANEXプロセス、特許文献3及び非特許文献9)、
−アルキルリン酸抽出剤とカルバモイルホスフィン酸化物抽出剤の混合物質(非特許文献10)、
−アルキルリン酸抽出剤(TALSPEAKプロセス及びその代替、非特許文献11〜非特許文献13;DIDPAプロセス、非特許文献14及び非特許文献15)、
−ビスフェニルホスフィン酸アルキルエステル抽出剤(非特許文献16)、
−アルキルホスホン酸塩抽出剤(非特許文献17)、
−β-ジケトン抽出剤(非特許文献18及び非特許文献19)、
−カルバモイルホスフィン抽出剤(SEFTICSプロセス、特許文献4及び非特許文献20;TRUEXプロセス、非特許文献21及び非特許文献22)、
−アルキルホスフィン酸化物抽出剤(非特許文献23〜非特許文献25)、
−置換ピリジン抽出剤(特許文献5及び非特許文献26)、
−チオホスホン酸抽出剤(非特許文献27〜非特許文献30)。
【0036】
その結果、このプロセスは、先行技術で提案された、液体−液体抽出により、酸性水相からアクチニド(III)を回収するためのプロセスに対して、一ステップとしてそれらのプロセスに統合され、または、補助的なステップとして、すなわち、それらのステップから下流で用いられることで、適用されてもよく、これは、本発明によるアメリシウムの分離プロセスの多数の利点の一つである。
【0037】
従って、酸性水相からアメリシウムを選択的に回収するために、先行技術のこれらのプロセスを用いることができる。
【0038】
従って、本発明の目的は、また、アメリシウムに加えて他の金属元素を含む酸性水相に存在するアメリシウムの選択的な回収プロセスであって、前述したようにアメリシウムを分離するプロセスの実行を含むことを特徴とする。
【0039】
本発明の範囲内で、この酸性水相は、他の金属元素として、少なくとも、キュリウム、及びランタノイドを含む核分裂生成物を含むが、ウラニウム、プルトニウム、及びネプツニウムは含まず、または、これらの三つの元素を微量含むだけ
の硝酸水相であることが好ましい。そのような
硝酸水相は、特に、PUREXまたはCOEX(商標)プロセスの第一の精製サイクルから生じる抽出残液であってもよい。
【0040】
このアメリシウムの選択的な回収プロセスの好ましい第一の実施形態では、プロセスは、少なくとも以下のステップ:
a)アメリシウム、及び、
第一の酸性水相である酸性水相中に存在する他の金属元素の全部または一部を抽出するステップであり、この抽出は、この
第一の酸性水相が、
第一の酸性水相とは非混和性で、有機溶媒中に少なくとも一つの抽出剤を含む、有機相と接触し、続いてこの有機相から分離される、少なくとも一つの工程を含むステップ、
b)ステップa)からの有機相に存在するアメリシウムを選択的に除去するステップであり、この除去は、この有機相が、一般式(I)のエチレンジアミン誘導体またはその塩を含む
第二の酸性水相と接触し、続いてこの
第二の酸性水相から分離される、少なくとも一つの工程を含むステップ、
を含む。
【0041】
従って、この第一の実施形態では、本発明によるアメリシウムの分離プロセスは、有機相からのアメリシウムの選択的な除去に用いられ、このプロセスでは、アメリシウムが他の金属元素の全部または一部と共に事前に抽出される。従って、相P1に相当するのはこの有機相であり、アメリシウムの選択的除去を実現するために用いられる酸性水相が、相P2に相当する。
【0042】
知られているように、ステップa)を受ける
第一の酸性水相は、ある金属元素の抽出を回避できる、または少なくとも制限できる、一つ以上の錯化剤を含んでもよく、ステップa)からの有機相におけるその存在は、ステップb)におけるアメリシウムの選択的除去を妨げることができる。
【0043】
この場合、この錯化剤は、特に、以下から選択されてもよい。
−N,N,N’,N’-テトラメチルジグリコールアミド(またはTMDGA)、N,N,N’,N’-テトラエチルジグリコールアミド(またはTEDGA)、N,N,N’,N’-テトラプロピルジグリコールアミド(またはTPDGA)、または、N,N,N’,N’-テトラ(2-エチルヘキシル)ジグリコールアミド(またはTEHDGA)、等の親水性ジグリコールアミド(すなわち、炭素原子の総数が24を超えない)、
−シュウ酸、マロン酸、または、メソキサル酸(オキソマロン酸としても知られる)等のカルボン酸、
−N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(またはHEDTA)、ニトリロ三酢酸(またはNTA)、または、ジエチレントリアミン五酢酸(またはDTPA)等のポリアミノカルボン酸、
−ジピコリン酸(またはDPA、2,6-ピリジンジカルボン酸として知られる)等のピリジンポリカルボン酸、
−グリコール酸、クエン酸、または、酒石酸等のヒドロキシカルボン酸、
−アミン、1個から8個の炭素原子を含むアルキル鎖が接続されたポリアジン、親水性ヒドロキシオキシム、スルホン酸、ヒドロキサム酸、及び、新水性β-ジケトン、
これは、一方では、有機相に存在する抽出剤に依存し、他方では、抽出を回避または制限する金属元素に依存する。
【0044】
この第一の実施形態の好ましい第一の応用によれば、
−ステップa)が、有機相と
第一の酸性水相の分離後に、
この有機相を、ステップa)を受ける
第一の酸性水
相に存在するものと同じ錯化剤を可能であれば含む
第三の酸性水相で洗浄する、少なくとも一つの工程をさらに含み、及び/または、
−ステップb)が、有機相と
第二の酸性水相の分離後に、
第二の酸性水相をステップa)で用いられるものと同じ組成を有する有機相で洗浄する少なくとも一つの工程をさらに含む。
【0045】
第一の実施形態の好ましい他の応用によれば、アメリシウムの選択的な回収プロセスは、ステップb)に由来する有機相に存在する金属元素を除去するステップであり、この除去は、この有機相が、
第四の酸性水相に接触し、続いてこの
第四の酸性水相から分離される、少なくとも一つの工程を含む、ステップc)をさらに含む。
【0046】
また、この除去に用いられる
第四の酸性水相は、ある金属元素の水相への移動を促進可能な一つ以上の錯化剤を含んでもよい。この場合、この錯化剤は、特に、前述した錯化剤から選択されてもよい。
【0047】
この第一の実施形態の好ましいさらに他の応用によれば、ステップa)で用いられる有機相は、DMDOHEMAとHDEHPの混合物質等の、マロンアミド抽出剤とアルキルホスホン酸抽出剤の混合物質、または、TODGA等のジグリコールアミド抽出剤を含む。
【0048】
本発明によるアメリシウムの選択的な回収プロセスの好ましい第二の実施形態では、このプロセスは、
第一の酸性水相である酸性水相に存在するアメリシウム以外のすべての金属元素を選択的に抽出する少なくとも一つのステップa)を含み、この抽出は、この
第一の酸性水相が、
第一の酸性水相と非混和性で少なくとも一つの抽出剤を有機溶媒中に含む有機相と接触し、続いてこの有機相から分離される、少なくとも一つの工程を含み、一般式(I)の少なくとも一つのエチレンジアミン誘導体またはその塩の
第一の酸性水相への添加の後に、または同時に、行われる。
【0049】
従って、第二の実施形態では、本発明によるアメリシウムの分離プロセスは、アメリシウムを除くすべての金属元素を、アメリシウム及び他の金属元素が最初に存在する
第一の酸性水相から、選択的に除去するために用いられる。従って、この
第一の酸性水相が相P1に相当し、アメリシウムを除くすべての金属元素の選択的抽出を実現するために用いられる有機相が、相P2に相当する。
【0050】
この第二の実施形態における好ましい第一の応用によれば、ステップa)は、有機相と
第一の酸性水相の分離後に、この有機相を前の工程で用いられたものと同じ一般式(I)のエチレンジアミン誘導体を含む
第二の酸性水相に接触させることにより、有機相を洗浄する、少なくとも一つの工程をさらに含む。
【0051】
この第二の実施形態における好ましい応用によれば、プロセスが、ステップa)に由来する有機相に存在する金属元素を除去するステップb)をさらに含み、この除去が、この有機相が
第三の酸性水相と接触し、続いてこの
第三の酸性水相から分離される、少なくとも一つの工程を含む。
【0052】
また、この除去で用いられる
第三の酸性水相は、ある金属元素の
第三の酸性水相への移動を促進可能な、少なくとも一つの錯化剤を含んでもよく、この場合、この錯化剤は、特に、前述した錯化剤から選択されてもよい。
【0053】
この第二の実施形態のさらなる好ましい応用によれば、有機相は、TBPまたはDMDOHEMA等の相変性剤と混合される、例えばHDEHP等のアルキルホスホン酸抽出剤、または、TODGA等のジグリコールアミド抽出剤を含む。
【0054】
アメリシウムの選択的な回収プロセスがどのように実施されるかに関わらず、一般式(I)のエチレンジアミン誘導体は、好ましくは10
-4から10
-2 mol/L、より良好には10
-3から5×10
-2 mol/Lの範囲の濃度で用いられる、H
4TPAENであることが好ましい。
【0055】
本発明によるアメリシウムの選択的な回収プロセスは、多くの利点を有する。特に、
−プロセスは、以下の実施例で示すように、酸性水相に最初に存在するアメリシウムの99%以上を、この酸性水相に最初に存在する他の金属元素の1%以下の付随で、回収可能であり、
−プロセスは、アメリシウムまたは他の金属元素の酸化−還元反応を生じず、従って、そのような反応に関する障害を含まず、
−プロセスは、有機相として、液体−液体抽出により、酸性水相から、選択的に、またはランタノイドと共に、アクチニド(III)を回収することを目的とする、先行技術からのプロセスにおいて利用が提案された有機相を、どのような有機相でも利用でき、従って、これらのプロセスの代わりに、または、これらのプロセスに加えて、簡単に利用可能であり、
−プロセスは、0.1から3 mol/Lの硝酸を通常含む、高い硝酸濃度を有する水相の処理に、これらの水相の酸性度を低減する必要なく、適用可能である。
【0056】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明によるアメリシウムの選択的な回収プロセスの典型的な実施形態と、これらの例の検証を認められた実験的試験とに従い、また関連する、さらなる記述から明らかになるであろう。
【0057】
これらの例は、本発明の目的の図として示されているだけであり、この目的を限定するものとして理解されるものではないことは、明らかである。