【実施例1】
【0031】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。
図1は本発明の光接続部品同士の結合を示す断面図と光接続部品の凸部の拡大図である。また、
図2は光接続部品を構成する部材の断面図、
図3〜
図6は光接続部品の製造に係る各工程の説明図である。
【0032】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
【0033】
図1において、引用符号21は光ファイバ22同士の低損失接続を実現するためとして用いられる光接続部品を示している。光接続部品21は、光ファイバ22を含む被覆付き光ファイバ23と、この被覆付き光ファイバ23の端末部を収容固定するフェルール24と、フェルール24の後述する先端面36よりも外側に突出する凸部25と、図示しないハウジングとを備えて構成されている。光接続部品21は、凸部25を用いてこれをフィジカルコンタクト接続することにより、光ファイバ22同士の低損失接続を実現できるように構成されている。先ず、上記各構成部材について説明をする。
【0034】
図1及び
図2において、被覆付き光ファイバ23は、コア26及びクラッド27を有する光ファイバ22と、この光ファイバ22を覆う被覆28とを備えて構成されている。被覆付き光ファイバ23は、公知のものが用いられており、ここでの詳細な説明は省略するものとする。
【0035】
被覆付き光ファイバ23の端末部は、所定長さで被覆28が皮剥されて光ファイバ22が露出するように加工されている。この加工に関しては、従来から行われている公知の加工方法が採用されるものとする。所定長さで露出した光ファイバ22の先端部29(先端面)は、切断のみで平滑化されている。尚、平滑に切断できない場合であっても、光ファイバ22の先端部29に後述する接着剤44が付着することから、端面での光散乱を抑えることができるようになっている。すなわち、平滑に切断できない場合であっても問題はない。
【0036】
フェルール24は、本実施例において樹脂成型品であって、後述する接着剤44との接着性が良好なものになっている。このようなフェルール24には、挿入孔30が貫通形成されている。挿入孔30は、被覆付き光ファイバ23に対するファイバ穴であって、細径部31と、太径部32と、これらを連続させるテーパ部33とが形成されている。
【0037】
また、フェルール24には、この上面34を開口させて太径部32に連通する開口部35が形成されている。挿入孔30は、フェルール24の先端面36に細径部31が開口するように、また、フェルール24の後端面37に太径部32が開口するような配置で形成されている。
【0038】
挿入孔30は、この細径部31が光ファイバ22の外径よりも僅かに大きな内径となるように形成されている。また、挿入孔30は、太径部32が被覆付き光ファイバ23の被覆28の外径よりも大きな内径となるように形成されている。挿入孔30のテーパ部33は、光ファイバ22を細径部31へと案内する部分として形成されている。テーパ部33は、被覆付き光ファイバ23の被覆28の端部位置に合わせて配置形成されている。また、テーパ部33は、本実施例において開口部35の近傍となる位置に合わせて配置形成されている。
【0039】
開口部35は、後述する接着剤44の注入部分(充填開始部分)として形成されている。また、開口部35は、接着剤44を所定量溜めることのできる容積に形成されている。
【0040】
フェルール24の先端面36は、挿入孔30の軸に対して直交する方向の平面として形成されている。また、先端面36は、平滑な面として形成されている。さらに、先端面36は、後述する凸部成型部材41の被当接面38として形成されている。このような先端面36(被当接面38)には、溝39が形成されている。
【0041】
溝39は、後述する接着剤44や空気を逃がす部分として形成されている。溝39は、先端面36に開口する細径部31からフェルール24の下面40にかけて真っ直ぐにのびるように形成されている。尚、溝39の深さ及び幅等に関しては、接着剤44や空気を逃がすことができる形状であれば特に限定されないものとする。
【0042】
凸部成型部材41は、光ファイバ22の先端部29に設けられる凸部25を成型するための部材であって、本実施例においては略ブロック状となる形状に形成されている。凸部成型部材41は、後述する接着剤44との接着性がない材料を用いている。このような凸部成型部材41には、フェルール24の先端面36(被当接面38)に当接する当接面42が形成されている。当接面42は、平滑な平面として形成されている。このような当接面42には、凹部43が形成されている。
【0043】
凸部成型部材41は、例えばナノインプリント技術で使用されるPDMS(Polydimethylsiloxane)が採用されている。
【0044】
凹部43は、後述する接着剤44にて凸部25を成型する凹み部分として形成されている。凹部43は、フェルール24の細径部31の位置に合わせて配置形成されている。また、細径部31の内径に合わせて開口(又は光ファイバ22の径に合わせて開口)するように形成されている。凹部43は、凸部25の厚み(突出高さ)が例えば0.01mm〜1mm程度になるように形成されている。凹部43は、本実施例において断面円弧状となる凹み形状に形成されている。
【0045】
凹部43が形成される当接面42は、上記の如くフェルール24の先端面36(被当接面38)に当接するように形成されている。従って、このような当接面42を凹ませて形成される凹部43により成型される凸部25は、先端面36から突出するような凸形状に形成されている。また、凸部25は、凹部43の凹みが断面円弧状となる形状であることから、これに合わせて突出先端面が断面円弧状となる形状に形成されている。
【0046】
接着剤44は、硬化時において透明性のあるものが用いられている。また、接着剤44は、熱により硬化するものやUV照射により硬化するものが用いられている。さらに、接着剤44は、光ファイバ22とフェルール24の細径部31との間に生じる隙間に充填することができるものが用いられている。さらにまた、接着剤44は、硬化時において押圧すると若干変形可能なものが用いられている。
【0047】
次に、光接続部品21の組立てに係る一例について説明をする。ここでは、以下の第一工程から第四工程を順に経ることにより光接続部品21の組立てが完了するような製造方法が採用されるものとする。
【0048】
図3において、第一工程では、フェルール24の先端面36(被当接面38)に凸部成型部材41の当接面42を当接する作業を行う。また、十分に気泡を除去した接着剤44をフェルール24の開口部35に注入することができる状態に準備する作業を行う。さらには、フェルール24の後端面37を介して被覆付き光ファイバ23の端末部を挿入孔30に挿入することができる状態に被覆付き光ファイバ23の端末部を加工する作業を行う。
【0049】
図4において、第二工程では、フェルール24の開口部35を介して接着剤44を注入し、開口部35の近傍に位置するフェルール24の挿入孔30に接着剤44を充填する作業を行う。
【0050】
図5において、第三工程では、フェルール24の後端面37を介して被覆付き光ファイバ23の端末部を挿入孔30に挿入する作業を行う。第三工程においては、被覆付き光ファイバ23の端末部を挿入孔30に挿入すると(本実施例においては光ファイバ22の先端部29がフェルール24の先端面36の位置に来るまで挿入すると)、この挿入に伴って光ファイバ22の先端部29が接着剤44を押し出し、これによって凸部成型部材41の凹部43にも接着剤44が充填される。
【0051】
接着剤44は、光ファイバ22の周囲を埋めるようにして挿入孔30の細径部31に充填されるとともに、余分な接着剤44や空気がある場合には、溝39に逃がされるようになる。
【0052】
また、第三工程では、充填済みとなった接着剤44に対しこれを硬化させる作業を行う。被覆付き光ファイバ23の端末部は、接着剤44の硬化によりフェルール24に対し堅牢に固着される。
【0053】
図6において、第四工程では、凸部成型部材41をフェルール24の先端面36から取り外す作業を行う。凸部成型部材41を取り外すと、光ファイバ22の先端部29には、フェルール24の先端面36よりも外側へ突出し且つ突出先端面の形状が断面円弧状となる凸部25が形成される。凸部25は、フィジカルコンタクト部45として形成される。
【0054】
図1において、光接続部品21の相互接続により凸部25同士が接触し、これらは押圧により変形して平坦化される。このため、光ファイバ22間(凸部25間)に空気層がなくなるようになり、光ファイバ22同士の接続にあっては低損失接続を実現することができる。
【0055】
以上、
図1ないし
図6を参照しながら説明してきたように、光接続部品21によれば、光ファイバ22の先端部29にフェルール24の先端面36よりも突出する凸部25を接着剤44にて形成することから、このような凸部25を用いることにより従来よりも低損失となる接続を実現することができるという効果を奏する。また、光接続部品21によれば、先端面の研磨加工を不要とすることから、組立て工程の簡素化や低コスト化を図ることができるという効果を奏する。すなわち、組立てが容易且つ低コストな光接続部品21を提供することができるという効果を奏する。
【0056】
また、光接続部品21によれば、凸部25の突出先端面をフィジカルコンタクト部45とすることから、光ファイバ22同士の接続時において凸部25間に空気層を生じさせず、以て低損失接続を実現することができるという効果を奏する。また、光接続部品21によれば、上記の如く空気層を生じさせないことから、屈折率整合剤を不要として部材費を削減できることや、端面清掃を容易にすることができるという効果を奏する。すなわち、低コストな光接続部品21を提供することができるという効果を奏する。
【0057】
また、光接続部品21によれば、フェルール24の先端面36を凸部成型部材41の当接面42とすることから、また、凸部成型部材41に凸部25を成型するための凹部43を形成することから、簡単な構造で凸部25を形成することができ、以て組立て工程の簡素化や低コスト化を図ることができるという効果を奏する。
【0058】
また、光接続部品21によれば、接着剤44を充填してから被覆付き光ファイバ23の端末部を挿入孔30に挿入する作業手順を採用することから、光ファイバ22の先端部29まで接着剤44を充填させることができ、以てフェルール24に対し被覆付き光ファイバ23の端末部を堅牢に固着することができるという効果を奏する。これにより、ピストニングの発生を抑制することができるという効果を奏する。
【実施例2】
【0059】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。
図7は他の例となる光接続部品の断面図である。尚、上記実施例1と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
図7において、光接続部品51における光ファイバ22の先端部29には、フェルール24の先端面36よりも外側へ突出する凸部52が接着剤44により形成されている。凸部52は、図示しない凸部成型部材に断面直角三角形状の凹部を形成し、この凹部に充填された接着剤44を硬化させることにより形成されている。凸部52は、本実施例において45度ミラー53を有している。
【0061】
45度ミラー53を有する凸部52は、光路を90度折り曲げることができることから、水平方向に配置された被覆付き光ファイバ23(光ファイバ22)と図示しない基板に面実装された受発光素子(光素子)とを光学的に接続する際に有用な部分になっている。
【0062】
尚、特に図示しないが、凸部に集光レンズやコリメートレンズを形成してもよいものとする。上記集光レンズは、受発光素子との光学的な接続に、また、コリメートレンズは45度ミラー53と組み合わせて面実装された受発光素子との光学的な接続に有効であるものとする。以上のようなレンズにより、光ファイバ22と受発光素子とを低損失に接続することができるのは勿論である。
【0063】
この他、実施例1で挙げたナノインプリント技術を用いると、光ファイバ22の先端部29に形成される凸部に、ナノ構造による反射防止膜を形成することが可能である。反射防止膜を形成すれば、端面損失を低減することができるという効果を奏する。
【0064】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。