(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
客が携帯する媒体から当該媒体の識別情報を読み取るための第1読取手段と、客が購入したいアイテムについての決済処理を行うための決済手段と、前記第1読取手段による識別情報の読み取りおよび前記決済手段による決済処理が完了したときに、当該決済処理が完了したアイテムについての複数の購入情報を、前記第1読取手段が読み取った1つの識別情報に関連付けて外部送信する送信手段とを有する決済装置、
前記送信手段によって外部送信された前記購入情報を前記識別情報に関連付けて管理するための管理手段を有する管理ユニット、
客が携帯する媒体の識別情報を読み取るための第2読取手段と、前記第2読取手段が読み取った識別情報に基づいて、当該識別情報に関連付けられた前記購入情報を前記管理ユニットから取得する取得手段とを有する読取ユニット、および、
前記取得手段が取得した購入情報を表示するための表示手段を有する表示ユニットを含むことを特徴とする、取引システム。
前記管理手段が管理する購入情報に関連付けられた識別情報と、前記記憶手段が記憶する一時退場情報に関連付けられた識別情報とを関連付ける手段をさらに含むことを特徴とする、請求項3記載の取引システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、取引システム1の全体構成を示す模式図である。
図1を参照して、この発明に係る取引システム1は、一例として、映画館や遊園地等の施設における入退場エリアに設けられている。取引システム1は、施設の入退場ゲートの外に設けられたチケットコーナーに配置される決済装置2と、入退場ゲートに設けられる受付装置3と、取引システム1におけるデータのやりとりを管理する管理装置4(管理ユニット)とを含む。なお、管理装置4は、入退場エリアに配置されている必要はなく、たとえば、施設の事務室といった管理エリアに配置されていてもよい。
図1では、2台の決済装置2と3台の受付装置3とが示されているが、これらの数は、施設の規模等に応じて任意に変更できる。
【0019】
決済装置2、受付装置3および管理装置4のそれぞれは、独立して存在しているので、少なくとも、受付装置3および管理装置4は、決済装置2に対する外部装置となっている。決済装置2、受付装置3および管理装置4は、無線または有線の通信ライン5を介して、通信可能に接続されている。また、複数台の決済装置2の間でも、通信ライン5を介して通信可能になっていて、複数台の受付装置3の間でも、通信ライン5を介して通信可能になっている。また、施設においてチケットコーナーおよび入退場ゲートが複数箇所に設けられている場合もあり、その場合には、管理装置4は、全てのチケットコーナーおよび入退場ゲートにおける決済装置2および受付装置3を管理している。
【0020】
次に、決済装置2、受付装置3および管理装置4のそれぞれについて、この順番で個別に説明する。
ここで、施設に入場するためのチケットは、客が購入したいアイテムである。決済装置2は、チケットを購入したい客からのアクセスを受けて、当該チケットについての決済処理を行う装置である。なお、ここでのチケットは、決済内容(たとえば、大人1名)が記された紙片等で構成された実物のチケットと、いわゆる電子チケット(客が携帯するICカード等に関連付けられた決済内容そのもの)との両方を指している。
【0021】
決済装置2は、たとえばボックス状であって、その前面(
図1における手前側の側面)には、表示・操作部6(受付手段)と、硬貨投入口7と、紙幣投入口8と、返却口9と、チケット投出口10と、読取部11(第1読取手段、読取手段)とが設けられている。
表示・操作部6は、たとえば、タッチパネル付きの液晶表示器である。表示・操作部6には、施設で扱われるチケットの販売パターンを表したボタン12が、当該販売パターンに応じて複数表示されている。この実施例では、大人1名、大人2名、大人3名、小人1名、小人2名、小人3名といった6つの販売パターンがあり、表示・操作部6には、対応する販売パターンを表すボタン12が6つ表示されている。これらのボタン12は、客が所望するチケットの販売パターンを選択するために操作される。たとえば、大人3名分のチケットをまとめて買いたい場合には、客は、「大人3名」と記されたボタン12を押す。
【0022】
硬貨投入口7には、硬貨が投入される。紙幣投入口8には、紙幣が投入される。返却口9から、釣銭などの貨幣が返却される。チケット投出口10には、客が選んだ販売パターンを構成する紙製のチケット(大人3名分を選んだ場合には3枚の大人用チケット)が投出される。
読取部11は、客が携帯する電子マネー機能付き媒体からその媒体の識別情報や電子マネーの残額を読み取るためのものである。ここでは、当該媒体を、ICカード100とし、媒体の識別情報を、IDm(ICカード100のICチップの製造番号)としている。
【0023】
図2は、決済装置2の電気的構成を示すブロック図である。
図2を参照して、決済装置2には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部13(送信手段)が備えられている。制御部13は、CPUやメモリ(ROM、RAM)などを含んでいる。制御部13は、決済装置2の動作を制御するためのものである。
決済装置2において、制御部13には、前述した表示・操作部6および読取部11のそれぞれが電気的に接続されているとともに、現金決済部14(決済手段、返金手段)、電子マネー決済部15(決済手段、返金手段)、発券部16、記憶部17およびI/F(インターフェース)部18のそれぞれが電気的に接続されている。
【0024】
現金決済部14は、前述した硬貨投入口7や紙幣投入口8(
図1参照)から投入された現金を計数し、客がボタン12を押して選択した販売パターンのチケット代を当該現金から差し引いて釣銭を算出する。つまり、現金決済部14は、客が所望するチケットについて現金での決済処理(現金決済処理)を行うためのものである。
電子マネー決済部15は、読取部11が客のICカード100から読み取った電子マネーの残額から、客が選択した販売パターンのチケット代を差し引いて、当該残額を更新する。つまり、電子マネー決済部15は、客が所望するチケットについて電子マネーでの決済処理(IC決済処理)を行うためのものである。
【0025】
発券部16は、紙製のチケットを発行するものである。
記憶部17は、前述したチケットの販売パターン等の必要な情報を記憶している。
I/F部18を介して、制御部13は、受付装置3や管理装置4と通信することができる。
次に、受付装置3について説明する。
図1を参照して、受付装置3に関連して、施設には、入退場ゲートを構成する複数(
図1では3つだけ図示している)の縦長の台19が横方向に間隔を隔てて配置されている。客は、隣り合う台19の間(
図1では便宜上、狭く見えている)の通路20を通って施設に入場したり、施設から退場したりすることができる。各台19の上に、受付装置3が1台ずつ設置されている。
図1において、各受付装置3は、自身が設置された台19の右隣の通路20を通る客に対応している。なお、
図1における右端の受付装置3は、自身が設置された台19の右隣の通路20を通る客に対応している。
【0026】
受付装置3は、ディスプレー21(表示ユニット)と、読取部22(第2読取手段)とを含んでいる。
ディスプレー21は、施設の従業員および客(少なくとも従業員)が見える位置にある。なお、ディスプレー21は、見やすい位置にあるのであれば、台19に載せられているのではなく、台19から上方へ浮いた位置(入退場ゲートの天井等)に取り付けられてもよい。ディスプレー21は、表示・操作部23(表示手段)を備えている。表示・操作部23は、たとえば、タッチパネル付きの液晶表示器であって、矩形状に形成されている。表示・操作部23には、必要な情報(後述する)が表示される。
【0027】
読取部22は、前述した(客が携帯する)電子マネー機能付きICカード100のIDmを読み取るためのものであり、ディスプレー21に接続されており、前述した台19上において客がアクセスしやすい位置にある。
図3は、受付装置3の電気的構成を示すブロック図である。
図3を参照して、受付装置3には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部24(取得手段、制御手段)が備えられている。制御部24は、CPUやメモリ(ROM、RAM)などを含んでいる。制御部24は、受付装置3の動作を制御するためのものである。
【0028】
受付装置3において、制御部24には、前述した表示・操作部23(ディスプレー21)および読取部22のそれぞれが電気的に接続されているとともに、I/F部25が電気的に接続されている。I/F部25を介して、制御部24は、決済装置2や管理装置4と通信することができる。制御部24および読取部22は、読取ユニットを構成している。
なお、
図3では、制御部24に接続された判別センサ26が図示されているが、判別センサ26については、以降で説明する。
【0029】
管理装置4(
図1参照)は、いわゆるサーバーである。
図4は、管理装置4の電気的構成を示すブロック図である。
図4を参照して、管理装置4には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部27が備えられている。制御部27は、CPUやメモリ(ROM、RAM)などを含んでいる。制御部27は、管理装置4の動作を制御するためのものである。
【0030】
管理装置4において、制御部27には、表示部28、操作部29、記憶部30およびI/F部31のそれぞれが電気的に接続されている。表示部28は、管理装置4のオペレータ(担当の従業員)に対して必要な情報を表示するディスプレー等である(
図1参照)。操作部29は、キーボード等であって(
図1参照)、オペレータは、操作部29を操作することによって、管理装置4に所望の処理を実行させることができる。記憶部30には、必要な情報が記憶される。I/F部31を介して、制御部27は、決済装置2や受付装置3と通信することができる。
【0031】
記憶部30には、前述した必要な情報の一部として、管理テーブル32(管理手段、記憶手段)が記憶されている。
図5A〜
図5Dは、管理テーブル32を示す図である。
図5A〜
図5Dを参照して、管理テーブル32では、ICカード100の識別情報(IDm)に関連付けて、購入情報と、購入日時と、一時退場フラグと、退場情報と、誤購入フラグと、ステータスとがIDm毎に記憶されている。つまり、管理テーブル32では、各IDmの欄(
図5A〜
図5Dでは、IDmを左端の見出しとする左右横長の欄)に、対応するIDmについての、購入情報、購入日時、一時退場フラグ、退場情報、誤購入フラグおよびステータスが登録されている。購入情報とは、たとえば、大人1名のチケットと小人3名のチケットとを購入した(つまり、大人1名分と小人3名分のチケットを購入した)という内容である。購入日時とは、当該購入情報についての決済装置2での決済処理が完了した時である。一時退場フラグ、退場情報、誤購入フラグおよびステータスについては、追って説明する。
【0032】
次に、
図6を参照して、決済装置2において実施される第1の処理を説明する。ここでの処理は、これから入場しようとする客が決済装置2でチケットを購入する場合を想定している。なお、以下における「客」とは、一人だけの場合と、複数のメンバーで構成された1つのグループの場合との両方を指している。
待機状態における決済装置2では、制御部13(
図2参照)が、表示・操作部6におけるいずれかのボタン12を客が押すことによって、客がアイテム(所望するチケット)を選択したか否かを監視している(ステップS1)。
【0033】
客によるアイテム選択があると(ステップS1でYES)、制御部13は、客がチケットレスを選択したか否かを確認する(ステップS2)。表示・操作部6では、ボタン12が押された後に、チケットレス選択ボタン(図示せず)が表示されるようになっていて、客は、チケットレス選択ボタンを押すことによって、実物の紙製チケットを発行してもらうか、前述した電子チケットを発行してもらうかを選択することができる。電子チケットを発行することによって、紙の無駄を省くことができるので、決済装置2を環境に優しい装置とすることができる。
【0034】
チケットレス選択があった場合、つまり、電子チケットを発行してもらうことが選択された場合(ステップS2でYES)、制御部13は、客が今までの選択(アイテム選択およびチケットレス選択)を決定したか否かを確認する(ステップS3)。表示・操作部6では、チケットレス選択ボタン(図示せず)が押された後に、決定ボタン(図示せず)が表示されるようになっていて、客は、決定ボタン(詳しくは、決定ボタンを構成する実行ボタンまたはキャンセルボタン)を押すことによって、今までの選択内容を決定するか、キャンセルするかを選択することができる。なお、この決済装置2がチケットレス専用機であれば、チケットレス選択のステップ(ステップS2)は存在しないことになる。
【0035】
決定があった場合(ステップS3でYES)、制御部13は、客が自分のICカード100を読取部11に読み取らせること(換言すれば、読取部11がICカード100のIDmを読み取ること)によって、ICカード100のタッチがあるか否かを監視する(ステップS4)。このとき、ICカード100のタッチを促すために、表示・操作部6には、「ICカードを読取部にかざしてください」等のメッセージが表示されてもよい。
【0036】
ICカード100のタッチがあった場合(ステップS4でYES)、制御部13は、ステップS1で選択されたアイテムについて決済処理を行う(ステップS5)。具体的には、制御部13の指示によって、電子マネー決済部15(
図2参照)が、ICカード100に記憶された電子マネーから前記アイテムの代金分(たとえば、大人3名の場合には大人3名分のチケット代金)を差し引くことによって、前述したIC決済処理を行う。なお、IC決済処理の場合には、Idmの読取と決済処理とが、ステップS4における1回のICカード100の読み取り(タッチ)で完了する。
【0037】
また、事前に現金が硬貨投入口7や紙幣投入口8に投入されていた場合には、制御部13の指示によって、現金決済部14(
図2参照)が、投入された現金から前記アイテムの代金分を差し引くことによって、前述した現金決済処理を行う。
なお、ここでの決済処理では、IC決済処理および現金決済処理のいずれの場合であっても、チケットレスへのサービスとして、決済額(前述した代金)が割り引かれてもよい。また、IC決済および現金決済以外に、クレジットカード決済もありえる。
【0038】
決済処理が終了すると、制御部13は、購入情報(決済処理の済んだアイテムの内容)およびIDm(ステップS4で読み取られたICカード100のIDm)を、管理装置4に外部送信する(ステップS6)。なお、このときに、制御部13は、表示・操作部6に、「チケットは出ません。お持ちのICカードがチケット代わりになります。」といったメッセージを表示してもよい。そうすれば、紙製チケットが発行されなかったことで客が混乱することを防止できる。
【0039】
そして、管理装置4の制御部27(
図4参照)は、当該購入情報およびIDmを受信し、前述した管理テーブル32に記憶する。
たとえば、IDmが00001のICカード100を携帯する客が、大人1名および小人3名のチケットをチケットレスで決済した場合、その決済を担当した決済装置2から、そのIDm(00001)と、購入情報(大人1名,小人3名)とが管理装置4に外部送信される(ステップS6)。すると、管理装置4の制御部27は、
図5Aに示すように、受信したIDm(00001)について、前述した欄を管理テーブル32に設け、この欄に、今回受信した購入情報(大人1名,小人3名)およびIDm(00001)を新たに登録する(
図5Aの管理テーブル32における上から2段目の欄を参照)。なお、決済装置2から管理装置4に外部送信されたデータには、IDmおよび購入情報の他に、決済処理が完了した時(前述した購入日時)が含まれている。そこで、管理装置4の制御部27は、受信した購入情報およびIDmだけでなく、購入日時も管理テーブル32(対応するIDmの欄)に登録する。また、管理装置4の制御部27は、受信した購入情報、IDmおよび購入日時を管理テーブル32に登録したとき、当該IDmについてのステータスを「購入」とする。つまり、ステータスが「購入」の場合には、チケットの決済処理が完了した直後の状態を指している。
【0040】
このように、管理テーブル32は、決済装置2から受信した(決済装置2の制御部13によって外部送信された)購入情報をIDmに関連付けて管理するためのものである。
そして、管理装置4の制御部27は、購入情報およびIDm(購入日時も含む)を受信すると、その都度、受信したIDm、購入情報、購入日時およびステータスを管理テーブル32に新規登録する。
【0041】
図5Aの管理テーブル32では、IDmが00001の客の購入情報(大人1名,小人3名)、購入日時(2012/3/17 10:00)およびステータス(購入)だけでなく、その後に制御部27が受信した00002〜00004までの各IDm、購入情報、購入日時およびステータスが時系列順(受信されたIDmの順番)で登録されている。
図6を参照して、このように、決済装置2の制御部13は、読取部11によるIDmの読み取り(ステップS4)および決済処理(ステップS5)が完了したときに、当該決済処理が完了したチケットについての購入情報を、読取部11が読み取ったIDmに関連付けて外部送信する(ステップS6)。
【0042】
また、決済処理(ステップS5)は、読取部11によるIDmの読み取り(ステップS4)が完了した場合に、実行される。この場合、読取部11によるIDmの読み取りが完了しなければ決済処理ができないので、客による読取部11でのIDmの読み取りが忘れられることを防止できる。特に、チケットレスが選択された後に現金決済がされる場合において、現金決済後にIDmを読み取らせるとすれば、IDmの読み取りが忘れられる確率が非常に高いので、本発明のようにIDmの読み取りを決済処理の条件としておけば、IDmの読み取りが忘れられることを確実に防止できる。
【0043】
また、購入情報の最小単位は、チケット1名分(ここでは、大人1名または小人1名)であるので、前述したように大人1名および小人3名というように複数名分のチケットが一括購入された場合には、ステップS6において、1つのIDmに対して複数の購入情報が関連付けられて外部送信されることになる。この場合、1つのIDmによって複数のアイテム(複数名のチケット)を購入できるので使い勝手がよい。
【0044】
また、客が、ステップS1およびS2で選択した内容をキャンセルすることにした場合(ステップS3でNO)、制御部13は、当該内容を無効にするキャンセル処理(ステップS7)を行ってから、待機状態に戻る(ステップS1)。
また、アイテム選択後に、チケットレスの選択がなかった場合には(ステップS2でNO)、制御部13は、ステップS3の場合と同様に、客がこれまでの選択を決定したか否かを確認する(ステップS8)。客が決定を選択しなかった場合(ステップS8でNO)、制御部13は、前述したキャンセル処理を行う(ステップS7)。
【0045】
決定があった場合(ステップS8でYES)、制御部13は、ステップS5の場合と同様に、ステップS1で選択されたアイテムについて決済処理を行う(ステップS9)。このとき、客がICカード100を読取部11に読み取らせたのであれば、前述したIC決済処理が行われる。一方、客が現金を硬貨投入口7や紙幣投入口8に投入した場合には、前述した現金決済処理が行われる。なお、現金投入のタイミングは、アイテム選択(ステップS1)より先であってもよい。また、決済装置2では、現金が投入されると、決済方式が現金であると(現金決済が選択されたと)自動的に認識するようにしてもよい。この場合には、電子マネー決済(IC決済)とはならない。
【0046】
そして、決済処理の後、制御部13は、発券部16(
図2参照)に指示を出して、ステップS1で選択されたアイテムに相当する実物の紙製チケットを発行する(ステップS10)。
このように、チケットレスの選択があった場合には(ステップS2でYES)、決済処理後に、実物のチケットが発行されない代わりに、客の購入情報がIDmに関連付けられて管理装置4に外部送信される。一方、チケットレスの選択がなかった場合には(ステップS2でNO)、決済処理後に、実物の紙製チケットが発行されるだけであって、客の購入情報が管理装置4に送信されることはない。紙製チケットの場合、従来通り、客1名に対して1枚ずつ紙製チケットが発行され、紙製チケットを受け取った客は、入退場ゲートで従業員にチケットを見せてから施設に入場する。なお、紙製チケット発行であっても、当該チケットの情報(購入情報やチケット番号等)が決済装置2から管理装置4に送信されてもよく、そうすることで、入退場ゲートでの紙製チケットの確認作業が行えるので、チケットレスの場合と同程度のセキュリティ性(偽造の紙製チケットでの入場等の防止)を保つことができる。
【0047】
次に、
図7を参照して、受付装置3において実施される第1の処理を説明する。ここでは、決済装置2において決済を終えた客が入退場ゲートにやってきたときを想定している。また、ここでの第1の処理に限らず、以下の全ての処理では、チケットレスによる決済をした客を想定している。
待機状態における受付装置3では、制御部24(
図3参照)が、客が自分のICカード100(
図1参照)を読取部22にタッチさせたか否か(読取部22が客のICカード100のIDmを読み取ったか否か)を監視している(ステップS21)。ここでのICカード100は、先程の決済装置2での決済の際に用いられたICカード100と同じである。なお、客がICカード100を読取部22にタッチすることを促すために、待機状態の表示・操作部23(
図1参照)には、「ICカードをかざしてください」といったメッセージが表示されているとよい。
【0048】
ICカード100のタッチがあると(ステップS21でYES)、制御部24は、ステップS21において読取部22が当該ICカード100から読み取ったIDmに基づいて、当該IDmに対応する(当該IDmに関連付けられた)購入情報が管理テーブル32にあるか否かを管理装置4に問い合わせる(ステップS22)。
たとえば、前述したIDmが00001のICカード100がステップS21でタッチされた場合、管理テーブル32には、00001のIDmに関連付けられた購入情報(大人1名、小人3名)が既に管理テーブル32(
図5A参照)に登録されている。この場合、対応する購入情報があるので(ステップS22でYES)、制御部24は、当該購入情報(前述した購入日時も含む)を取得して表示・操作部23に表示する(ステップS23)。つまり、制御部24は、読取部22が読み取ったIDmに基づいて、当該IDmに関連付けられた購入情報を管理装置4(管理テーブル32)から取得し、当該購入情報を表示・操作部23に表示させる。このときの表示・操作部23は、
図8Aに示されており、表示・操作部23には、購入日時(ここでは、2012/3/17 10:00)と、購入情報35(ここでは、大人1名、小人3名)と、OKボタン40と、NGボタン41とが表示されている。
【0049】
このように、決済装置2において読取部11によるIDmの読み取りおよび決済処理が完了したとしても、受付装置3の読取部22が当該IDmを読み取るまでは、ディスプレー21の表示・操作部23には、当該購入情報(購入情報35)が表示されない。つまり、受付装置3の読取部22が当該IDmを読み取ってから(ステップS21でYES)、初めて、当該IDmに対応する購入情報が表示・操作部23に表示される(ステップS23)。そのため、表示・操作部23では、決済装置2においてIDmの読み取りや決済処理が完了した購入情報を全て表示しなくても済むので、表示する情報量を減らせることから、その分、表示・操作部23を小さくすることができる。よって、購入情報が表示される部分(表示・操作部23)の小型化を図ることができる。
【0050】
図7を参照して、入退場ゲートの従業員は、ICカード100を読取部22にタッチさせた客(グループの場合はメンバー構成)が表示・操作部23の購入情報35と一致しているか否かを確認(判定)する(ステップS24)。つまり、IDmが00001である場合には、従業員は、入退場ゲートにいる客のメンバー構成が表示・操作部23の購入情報35(ここでは、大人1名、小人3名であり、
図8A参照)と一致しているか否かを判定する。
【0051】
なお、ステップS24の判定は、従業員によってなされる場合には、受付装置3によって行われる処理ではないが、前述した判別センサ26(
図3参照)が受付装置3に備えられている場合には、受付装置3によって行われる。判別センサ26は、たとえば、カメラを備えた顔認識装置であって、先程のメンバー構成の各メンバーの顔認識を行うことによって、それぞれのメンバーが大人か小人のいずれであるかを判別し、その判別結果に基づいて、制御部24が、メンバー構成が表示・操作部23の購入情報35と一致しているか否かを判定する(ステップS24)。また、判別センサ26は、体重測定装置や身長測定装置(または体重および身長の両方を測定する装置)であってもよく、その場合、体重や身長から、メンバー構成の各メンバーが大人か小人のいずれであるかを簡易的に判別する。
【0052】
そして、従業員が判定する場合(ステップS24)、従業員は、メンバー構成が購入情報35と一致していればOKボタン40(
図8A参照)を押し、一致していなければNGボタン41(
図8A参照)を押す。従業員がOKボタン40を押した場合、つまり、判定結果がOKであった場合には(ステップS25でYES)、制御部24は、表示・操作部23にOK表示をし、今回の取引結果を管理装置4に送信する(ステップS26)。ここでの取引結果とは、判定結果がOKであって、入場手続が無事完了したということである。そのため、客は、入退場ゲートを越えて施設内に入場することができる。
【0053】
OK表示がされた表示・操作部23は、
図8Bに示されている。
図8Aの状態で従業員がOKボタン40を押すと、表示・操作部23の表示内容が
図8Bに示すようになる。
図8Bでは、前述したOKボタン40およびNGボタン41が消え、代わりに、「OK!」と記されたOK表示43が出現する。
また、判定結果がOKであったときに送信された取引結果を受信した管理装置4の制御部27(
図4参照)は、管理テーブル32において、今回の取引があったIDm(ここでは、00001)のステータス(
図5Aでは「購入」)を、
図5Bに示すように「入場」に変更する。
【0054】
図7を参照して、従業員がNGボタン41(
図8A参照)を押した場合、つまり、判定結果がOKではなかった場合には(ステップS25でNO)、制御部24は、表示・操作部23にNG表示をし、今回の取引結果を管理装置4に送信する(ステップS27)。ここでの取引結果とは、判定結果がNGであって、入場手続が完了しなかったということである。そのため、客は、入場できない。
【0055】
たとえば、
図5Aの管理テーブル32における00003のIDmの客の場合、大人1名、小人3名分のチケットが購入されているが、小人3名のうちの1名が、実際、大人(たとえば、中学生であって小人に該当しない)であったとする。この場合、判定結果はNGになるので(ステップS25でNO)、制御部24は、
図8Cに示すように、「NG!」と記されたNG表示44を表示・操作部23に表示させる。このとき、「NG!(小人1名)」の括弧書きで示すように、NG表示44において何がNGなのか(この場合小人1名がNGである)を表示してもよい。また、ここでの取引結果とは、小人1名分が誤購入であって(大人1名とすべきである)、入場手続がキャンセルされたということである。この取引結果を受信した管理装置4の制御部27は、管理テーブル32において、今回の取引があったIDm(ここでは、00003)のステータス(
図5Aでは「購入」)を、
図5Bに示すように「誤購入(小人1名)」に変更するとともに、当該IDmにおける誤購入フラグを「○(ON)」にセットする。つまり、管理テーブル32は、NGである購入情報については、当該購入情報がNGである旨をIDm(ここでは、00003)に関連付けて管理する。
【0056】
なお、判別センサ26の判別によって制御部24が、メンバー構成が購入情報と一致しているか否かを判定する場合(従業員が判定しない場合)、表示・操作部23にOKボタン40およびNGボタン41(
図8A参照)が表示されることはなく、制御部24による判定に応じて、ステップS26またはS27の処理が速やかに実行される。つまり、従業員が判定する場合に比べて、処理時間(特にステップS23からS27までの処理時間)を短縮することができる。
【0057】
また、ICカード100のタッチがあったのに(ステップS21でYES)、対応する購入情報がなかった場合(ステップS22でNO)にも、制御部24は、NG表示をし、取引結果を送信する(ステップS27)。
たとえば、購入情報が当日のみ有効である場合において、2012年3月16日付けの購入情報がある客が、2012年3月17日にICカード100をタッチした場合には、対応する(2012年3月17日付けの)購入情報がない(ステップS22でNO)。そのため、制御部24は、
図8Dに示すように、「NG!(無効)」と記されたNG表示44を表示・操作部23に表示させる(ステップS27)。なお、今回の取引結果を受信した管理装置4の制御部27は、管理テーブル32において、今回の取引があったIDmのステータス(
図5Aでは「購入」)を、たとえば「無効」に変更する。
【0058】
また、たとえば、客が購入時に用いたICカード100とは違うカード(別のカード)でタッチした場合等には、管理テーブル32に、当該別のカードに対応する購入情報自体が存在しない(ステップS22でNO)。この場合、制御部24は、
図8Eに示すように、「NG!(データ無し)」と記されたNG表示44を表示・操作部23に表示させる(ステップS27)。この場合、管理装置4の制御部27は、今回の取引結果を受信しても、管理テーブル32を更新することはない。
【0059】
以上のように、制御部24は、表示・操作部23に表示された購入情報35(
図8A〜
図8C参照)がOKおよびNGのいずれであるのかを、OK表示43またはNG表示44によって、表示・操作部23に表示させる(
図8B〜
図8E参照)。そのため、表示・操作部23には、購入情報35だけでなく、購入情報がOKおよびNGのいずれであるのかという判定結果も表示することができるので、購入情報35の判定結果が把握しやすくなり(特に
図8Bおよび
図8Cの場合)、使い勝手がよい。
【0060】
次に、
図9を参照して、決済装置2において実施される第2の処理を説明する。ここでは、誤購入により受付装置3でNG判定されて入場できなかった客が決済装置2に戻ってきたときを想定している。なお、前提として、当該客は、入退場ゲートの従業員から、決済装置2に戻ってICカード100を読取部11にタッチするように指示を受けている。
待機状態における決済装置2では、制御部13が、客(誤購入した客であり、ここでは、前述したIDmが00003の客)が自分のICカード100を読取部11にタッチしたか否か(読取部11がICカード100のIDmを読み取ったか否か)を監視している(ステップS31)。ここでのICカード100は、先程の決済装置2での決済や受付装置3での取引の際に用いられたICカード100と同じである。
【0061】
ICカード100のタッチがあると(ステップS31でYES)、制御部13は、ステップS31において読取部22が当該ICカード100から読み取ったIDmについて誤購入フラグがONであるか否かを管理装置4(管理テーブル32)に問い合わせる(ステップS32)。管理テーブル32では、00003のIDmについては、誤購入フラグがON(○)になっている(
図5B参照)。
【0062】
誤購入フラグがONである場合(ステップS32でYES)、制御部13は、表示・操作部6に取引画面を表示する(ステップS33)。
図10Aおよび
図10Bには、取引画面が表示された表示・操作部6が示されている。
図10Aの場合、取引画面において、買い直しボタン46および払い戻しボタン47が表示されている。前述したIDmが00003の客の場合、小人1名分が誤購入だったので、誤購入分を買い直すための「小人1名→大人1名に買い直し」と記された買い直しボタン46が表示されている。客は、誤購入分を買い直したい場合には買い直しボタン46を押し、誤購入分の購入をキャンセルしたい場合には払い戻しボタン47を押す。
【0063】
図10Bの場合、取引画面において、全員分(IDmが00003の客の場合には、大人1名と小人3名の4名分)の変更欄54が表示されている。各変更欄54には、該当するチケットの種類(ここでは、大人1名および小人1名のいずれか)と、変更ボタン55と、削除ボタン56とが表示されている。客は、(チケットを購入した)全員分のうち該当するメンバーのチケットの種類を変更したい場合(大人→小人または小人→大人に変更する場合)には、該当する変更欄54における変更ボタン55を押す。また、全員分のうち該当するメンバー(全員分でも構わない)のチケット購入をキャンセルしたい場合には、該当する変更欄54における削除ボタン56を押す。
【0064】
このように、
図10Aおよび
図10Bのいずれにおいても、NGである購入情報に関連付けられたIDmを読取部11が読み取った場合に(ステップS31でYES)、表示・操作部6は、取引画面において、当該購入情報のキャンセルまたは変更を受け付けることができる。
図9に戻り、ステップS33での取引画面表示後、客が買い直しボタン46(
図10Aの場合)を押して買い直しを選択した場合(ステップS34でYES)、つまり、表示・操作部6が誤購入の購入情報の変更を受け付けた場合、制御部13は、現金決済部14や電子マネー決済部15に対して、購入情報の変更に伴う差額についての決済処理を実行させる(ステップS35)。なお、ここでの決済処理は、不足分金額を決済する場合には、前述したステップS5(
図6参照)で説明した手順と同じであるが、過払い金(たとえば、大人→小人に買い直す場合に発生する)を払い戻す場合には、現金決済部14が差額分の現金を返却口9から払い戻したり、電子マネー決済部15が差額分の電子マネーをICカード100にチャージしたりする。また、ステップS33での取引画面表示後、客が
図10Bの取引画面における該当する変更欄54における変更ボタン55または削除ボタン56(一部でも全部でもよい)を押して買い直しを選択した場合にも(ステップS34でYES)、制御部13(厳密には、現金決済部14や電子マネー決済部15)は、差額分の決済処理を行う。
【0065】
図9を参照して、差額分の決済処理(ステップS35)が済むと、制御部13は、今回の処理結果を管理装置4に送信する(ステップS36)。誤購入分だけを買い直した場合には、当該処理結果には、誤購入が解消した旨と、対応するIDmとが含まれている。そのため、この処理結果を受信した管理装置4の制御部27は、管理テーブル32(
図5B参照)において、当該IDm(ここでは、00003)についての誤購入フラグをリセット(OFF)して「○」を削除するとともに、ステータスを「誤購入」から「購入」に変更する。誤購入分を買い直した客は、再び入退場ゲートに行って、ICカード100を受付装置3の読取部22にタッチさせる。これにより、受付装置3では、
図7の処理が行われ、判定がOKだと、当該客は、今度は入場することができる。
【0066】
なお、誤購入分だけでなく他の購入情報についても買い直しがあった場合(
図10Bにおいて複数人分の変更ボタン55や削除ボタン56を押した場合)には、当該処理結果には、誤購入が解消した旨と、対応するIDmと、買い直し後の購入情報が含まれている。そのため、この処理結果を受信した管理装置4の制御部27は、管理テーブル32において、当該IDmについての誤購入フラグをリセット(OFF)して「○」を削除するとともに、ステータスを「誤購入」から「購入」に変更するとともに、購入情報自体を買い直し後の購入情報に変更する。
【0067】
一方、客が払い戻しボタン47(
図10A参照)を押した場合には、つまり、表示・操作部6が誤購入の購入情報(00003のIDmの場合には小人1名分)のキャンセルを受け付けた場合には、買い直し選択がない(ステップS34でNO)。そのため、制御部13は、現金決済部14や電子マネー決済部15に対して、誤購入分のチケット(誤購入の購入情報)について返金処理を実行させる(ステップS37)。この場合、現金決済部14が誤購入分のチケット代(00003のIDmの場合には小人1名分のチケット代)の現金を返却口9から払い戻したり、電子マネー決済部15が当該チケット代の電子マネーをICカード100にチャージしたりする。
【0068】
前述したように、NGである購入情報については、当該購入情報がNGである旨がIDmに関連付けて管理されている(
図5Bの誤購入フラグおよびステータス参照)。そのため、当該IDmを読取部11に読み取らせれば、決済装置2において、当該購入情報についてキャンセルまたは変更することができて便利である(
図10Aおよび
図10B参照)。さらに、決済装置2では、当該購入情報をキャンセルする場合には、当該購入情報についての返金を受けることができ、当該購入情報を変更する場合には、変更に伴う差額についての決済を受けることができる。
【0069】
次に、
図11を参照して、受付装置3において実施される第2の処理を説明する。ここでは、施設に既に入場した客が入退場ゲートを通って施設から一時退場する場合を想定している。
待機状態における受付装置3では、制御部24(
図3参照)が、これから一時退場しようとする客が自分のICカード100(
図1参照)を読取部22にタッチさせたか否か(読取部22が当該ICカード100からIDmを読み取ったか否か)を監視している(ステップS41)。ここでのICカード100は、決済装置2での決済や受付装置3での入場時の取引の際に用いられたICカード100と同じである。
【0070】
一時退場しようとする客によってICカード100のタッチがあった場合には(ステップS41でYES)、制御部24は、表示・操作部23に、
図12に示す退場画面を表示する(ステップS42)。
図12では、前述したIDmが00001の客(
図5A参照)が一時退場する場合を想定していて、退場画面には、当該客のメンバー構成分(大人1名および小人3名の合計4名分)の選択ボタン58が表示されている。各選択ボタン58には、対応するチケットの種類(大人1名または小人1名)が表示されている。客または従業員(客からの依頼を受けた従業員)が、一時退場するメンバー分の選択ボタン58を押すことによって、一時退場するメンバーの選択を完了すると(ステップS43でYES)、制御部24は、今回の取引結果を管理装置4に送信する(ステップS44)。なお、前述した判別センサ26(
図3参照)が一時退場するメンバーを自動認識することによって、一時退場するメンバーの選択が完了してもよい(ステップS43でYES)。
【0071】
たとえば、IDmが00001の客(大人1名および小人3名の合計4名)のうち大人1名が一時退場すると選択された場合(ステップS43でYES)、制御部24は、このIDmと一時退場するメンバー(ここでは大人1名)とを関連付けた取引結果を管理装置4に送信する(ステップS44)。当該取引結果を受信した管理装置4では、制御部27(
図4参照)が、管理テーブル32において、
図5Cに示すように、該当するIDm(ここでは00001)についてのステータスを「入場」から「一時退場」に変更するとともに、一時退場フラグを「○(ON)」にセットし、退場情報として、今回一時退場するメンバー(ここでは、大人1名)を登録する。このように、管理テーブル32は、客が一時退場したという一時退場情報(ステータスや一時退場フラグや退場情報)を、一時退場の際に読取部22がステップS41で読み取ったIDmに関連付けて記憶する。この場合、後述する
図13の処理で説明するように、客が一時退場後に再入場する際、読取部22に対して(一時退場時に読み取られた)IDmを再度読み取らせて照合することによって、一時退場した客と再入場しようとする客とが同一か否かを特定することができる。
【0072】
また、
図11を参照して、ステップS41でタッチするICカード100は、決済時や入場時に用いたICカード100とは別物であってもよい。たとえば、00001のIDmで決済や入場をした客が、00001以外のIDm(ここでは00005のIDm)のICカード100も携帯している場合、このICカード100をタッチしてもよい(ステップS41)。この場合にも、退場画面(ただし、メンバー全員分の選択ボタン58は表示されない)が表示されるので(ステップS42)、客または従業員は、大人および小人が何人一時退場するのかを表示・操作部23の操作(選択ボタン58の押下)によって選択する。これにより(ステップS43でYES)、制御部24は、今回の取引結果を管理装置4に送信する(ステップS44)。
【0073】
たとえば、IDmが00005のICカード100を携帯する客(グループ)のうち大人1名が一時退場すると選択された場合、制御部24は、このIDmと一時退場するメンバー(ここでは大人1名)とを関連付けた取引結果を管理装置4に送信する。当該取引結果を受信した管理装置4では、制御部27が、管理テーブル32において、
図5Dに示すように、今回受信した新たなIDm(ここでは00005)の欄(
図5Dにおける最下欄)を新たに作成する。そして、制御部27は、当該IDm(ここでは00005)についてのステータスを「一時退場」とするとともに、一時退場フラグを「○(ON)」にセットし、退場情報として、今回一時退場するメンバー(ここでは、大人1名)を登録する。
【0074】
ここで、決済時や入場時に用いたICカード100(たとえば、IDmが00001のカード)と、このICカード100とは別のICカード(たとえば、IDmが00005のカード)との両方をステップS41でタッチさせることが考えられる。たとえば、一時退場する者が、当該両方をタッチさせてから、決済時に用いたICカード100を仲間(一時退場しない者)に預け、当該別のICカードを持って一時退場することがある。
【0075】
その場合、前述した選択完了後において(ステップS43でYES)、制御部24は、先程タッチされた両方のカードのIDm(ここでは、00001および00005のIDm)と、一時退場するメンバー(ここでは大人1名)とを関連付けた取引結果を管理装置4に送信する。当該取引結果を受信した管理装置4では、制御部27が、
図5Dに示すように、管理テーブル32において、前述したように新たなIDm(ここでは00005)の欄を新たに作成して当該欄において必要な情報を登録するとともに、元々登録していたIDm(ここでは、00001のIDm)の欄において、退場情報として、当該新たなIDm(00005)を登録する。これにより、管理装置4の制御部27は、管理テーブル32において、00001のIDm(管理テーブル32に管理された購入情報に関連付けられたIDm)と00005のIDm(前述した一時退場情報に関連付けられたIDm)という互いに異なるIDmを関連付けている。そのため、購入情報に関連付けられた(購入時に読み取られた)IDmと、一時退場時に読み取られたIDmとが違っていても、これらのIDmが関連付けられているので、購入者と一時退場者(換言すれば、再入場者)との関連性を把握することができる。
【0076】
次に、
図13を参照して、受付装置3において実施される第3の処理を説明する。ここでは、一時退場した客が再入場するために客が入退場ゲートにやってきた場合を想定している。
待機状態における受付装置3では、制御部24が、再入場しようとする客が自分のICカード100(
図1参照)を読取部22にタッチさせたか否か(読取部22がICカード100のIDmを読み取ったか否か)を監視している(ステップS51)。ここでのICカード100は、一時退場での取引の際に用いられたICカード100と同じである。
【0077】
再入場しようとする客によってICカード100のタッチがあった場合には(ステップS51でYES)、制御部24は、表示・操作部23に、
図14に示す再入場画面を表示する(ステップS52)。
図14では、前述したIDmが00001の客(
図5C参照)のうちの(一時退場した)大人1名が再入場する場合を想定している。制御部24は、タッチされたICカード100から読み取ったIDm(ここでは、00001)についての退場情報を管理テーブル32から呼び出し、当該退場情報に登録された一時退場者(ここでは、大人1名であり、
図5C参照)の情報(一時退場者情報)を、「大人1名(再入場)」として再入場画面に表示する。また、制御部24は、前述したOKボタン40およびNGボタン41も表示する。
【0078】
また、前述したように、一時退場時に用いられたICカード100(たとえば、IDmが00005)が、決済時や入場時に用いられたICカード100(たとえば、IDmが00001)とは別物である場合もある(
図5D参照)。この場合(両方のIDmが関連付けられていても関連付けられていなくてもよい)には、IDmが00005のICカード100のタッチがあると(ステップS51)、制御部24は、00005のIDmについての退場情報を管理テーブル32(
図5D参照)から呼び出す。そして、制御部24は、当該退場情報に登録された一時退場者(ここでは、大人1名であり、
図5D参照)の情報(一時退場者情報)を、「大人1名(再入場)」として再入場画面に表示し、OKボタン40およびNGボタン41も表示する。
【0079】
その後、入退場ゲートの従業員または判別センサ26(
図3参照)によって、先程ICカード100を読取部22にタッチさせた再入場客のメンバー構成が再入場画面における一時退場者情報と一致しているか否かが判定される(ステップS53)。つまり、
図14の場合には、再入場者が大人1名であるか否かが判定される。
判定結果がOKであった場合には(ステップS54でYES)、制御部24は、前述したOK表示43(
図8B参照)を表示・操作部23に表示(OK表示)し、今回の取引結果を管理装置4に送信する(ステップS55)。ここでの取引結果とは、判定結果がOKであって、再入場手続が無事完了したということである。そのため、客は、入退場ゲートを越えて再入場することができる。
【0080】
また、判定結果がOKであったときに送信された取引結果を受信した管理装置4の制御部27は、管理テーブル32において、今回の取引があったIDm(ここでは、00001)について、ステータス(
図5Cでは「一時退場」)を「入場」に変更する。そして、制御部27は、退場情報(
図5Cでは「大人1名」)を削除するとともに、一時退場フラグをリセット(OFF)して「○」を削除する。また、一時退場時に用いられたICカード100(たとえば、IDmが00005)が、決済時や入場時に用いられたICカード100(たとえば、IDmが00001)とは別物である場合には、
図5Dを参照して、制御部27は、管理テーブル32において、IDmが00005の欄(
図5Dにおける最下欄)の全体を削除する。また、00001のIDmと00005のIDmとが関連付けられている場合には、制御部27は、00001のIDmにおける退場情報(IDm:00005という情報)も削除する。
【0081】
図13を参照して、判定結果がOKではなかった場合には(ステップS54でNO)、制御部24は、前述したNG表示44(
図8C参照)を表示・操作部23に表示(NG表示)し、今回の取引結果を管理装置4に送信する(ステップS56)。ここでの取引結果とは、判定結果がNGであって、再入場手続が完了しなかったということである。そのため、客は、再入場できない。なお、管理装置4の制御部27は、この取引結果を受信しても、管理テーブル32において、今回の取引があったIDmについてのデータを更新しない。つまり、再入場手続が無事完了するまでの間、当該IDmについての一時退場情報(ステータスや一時退場フラグや退場情報)は更新されずにいる。
【0082】
以上のように、本発明によれば、ICカード100のIDmを利用することによって、チケットレスで決済をするだけでなく、入退場や誤購入等の様々な状況に幅広く対応することができる。また、複数人分のチケットをチケットレスで決済した場合には、全員分のチケットが、実施的には、決済に用いた1つのICカード100だけになる。つまり、各人がチケットを持っていないので、たとえば一部のメンバーが一時退場する場合等に不具合(メンバー全員が一緒に行動しなければならなくなる)が生じえるのだが、本発明では、このような不具合にも対応することもできるので(
図11および
図13の処理参照)、チケットレスの場合でも客の個別行動が可能となる。
【0083】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
図15は、第1変形例にかかる取引システム1の全体構成を示す模式図である。
図16は、第2変形例にかかる取引システム1の全体構成を示す模式図である。
たとえば、管理装置4は、独立して存在してなくてもよく、
図15に示すように、いずれかの受付装置3が管理装置4の役割を兼ねていてもよい。
図15では、左端の受付装置3が、親機3Aとして、管理装置4の役割を兼ねており、残りの受付装置3が、子機3Bとして、親機3Aとの間で通信するようになっている。
【0084】
また、
図16に示すように、1台ずつの決済装置2および受付装置3によって取引システム1を構成してもよい。つまり、この取引システム1では、決済装置2と受付装置3とは1対1の関係にある。
図17は、変形例にかかる受付装置3の外観を示す斜視図である。
受付装置3は、ディスプレー21と読取部22とを個別に有していたが(
図1参照)、
図17に示すように、ディスプレー21と読取部22とが一体化されていてもよい。
図17の受付装置3は、筐体90を有し、筐体90の上面(水平方向に対して傾斜していてもよい)90Aに、ディスプレー21と読取部22とが並んで配置されている。
【0085】
そして、前述した誤購入による買い直しやキャンセルは、決済装置2だけでなく、受付装置3で実施できてもよい。そうすれば、誤購入した客は、チケットコーナーの決済装置2まで戻らなくても、入退場ゲートの受付装置3で誤購入に対応して、速やかに入場することができる。
また、管理テーブル32(
図5A〜
図5D参照)の記憶内容(各IDmの欄)は、所定のタイミング(たとえば、施設の毎日の閉園時間後)において削除(クリア)されてもよい。
【0086】
また、前述した実施形態の決済装置2では、発券部16(
図2参照)によって紙製チケットを発行できるようになっているが、発券部16を省略してもよい。そうすれば、決済装置2では、紙製チケットを廃止することができるので、紙製チケットが完全に不要となる。
また、1枚のICカードのICチップが複数のアプリケーションを実行可能であって、このICカードにおいて複数種類の電子マネーで決済可能である場合には、IC決済時において、客の所望する種類の電子マネーを選択して、その電子マネーでIC決済できるようにしてもよい。この場合の前提として、決済装置2が複数種類の電子マネーでのIC決済に対応している必要がある。
【0087】
また、本発明において、客の携帯する媒体をICカード100とし、その識別情報をIDmとしたが、識別情報は、IDi(ICカード100のICチップで実行できるアプリケーション(電子マネー決済についてのアプリケーション)に対してICカードの発券者がICカード毎に採番した番号)であってもよい。また、媒体として、携帯電話を用いることができ、この場合、携帯電話の識別情報として、IDmやIDiの他に、携帯電話のメールアドレスや電話番号などを用いることができる。つまり、媒体を特定できる情報であれば、あらゆる情報を、識別情報として用いることができる。
【0088】
また、本発明は、前述した施設の入退場における取引システム1に限らず、食堂における注文システムや銭湯等における備品(タオル等)の貸出システムにも適用可能である。これらの場合には、食券や備品の利用券を紙で用意せずに済む。また、たとえば、食堂の場合には、購入情報が受付装置3(注文の受付カウンタ等に設置されている)に表示されれば、誤購入の判別や、決済完了か否かの判別(客が決済せずに受付カウンタに来た場合)ができる。