特許第5948849号(P5948849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5948849光変調装置、及び、光変調装置における制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948849
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】光変調装置、及び、光変調装置における制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/03 20060101AFI20160623BHJP
【FI】
   G02F1/03 502
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-276386(P2011-276386)
(22)【出願日】2011年12月16日
(65)【公開番号】特開2013-127519(P2013-127519A)
(43)【公開日】2013年6月27日
【審査請求日】2014年8月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤司 保
【審査官】 廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−056187(JP,A)
【文献】 特開2001−350128(JP,A)
【文献】 特開2000−241778(JP,A)
【文献】 特開2008−092172(JP,A)
【文献】 特開2001−075062(JP,A)
【文献】 特開2011−232553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00− 1/125
1/21− 7/00
H04B 10/00−10/90
H04J 14/00−14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される光を駆動信号によって変調して光信号を出力する変調部と、
データ信号に従った前記駆動信号を前記変調部に印加する駆動部と、
逐次算出するバイアス電圧値に従って、前記駆動信号のバイアス電圧の動作点を前記変調部の変調曲線における光強度が減少する方向に合わせるバイアス制御を行い、
前記バイアス制御の最中に前記データ信号が予め定めた状態と異なる状態になって前記バイアス制御を中断するときは、前記バイアス制御の中断開始時点でのバイアス電圧値に前記バイアス電圧を固定し、
前記バイアス制御の中断中は、その固定したバイアス電圧値を有する前記バイアス電圧を前記変調部に供給し続け、
前記データ信号が前記異なる状態から前記予め定めた状態に戻ったときは、前記固定したバイアス電圧値を初期値として用いて前記バイアス制御を再開する第1バイアス制御部と、を具備し、
前記第1バイアス制御部は、前記データ信号の周波数が所定の範囲外にあるとき、前記データ信号に閾値以上の大きさのノイズが含まれているとき、前記データ信号内に多重されている複数のデータ間における位相差が閾値以上にあるとき、前記複数のデータにおけるマーク率が所定の範囲外にあるとき、前記複数のデータのいずれかの周波数が所定の範囲外にあるとき、または、前記複数のデータのいずれかに閾値以上の大きさのノイズが含まれているときに、前記予め定めた状態と異なる状態であることを示すアラーム信号が入力され、前記アラーム信号に従って前記バイアス制御を中断する、
光変調装置。
【請求項2】
前記第1バイアス制御部は、前記動作点を前記変調曲線における前記光強度が最小になる点に合わせるバイアス制御を行う、
請求項1に記載の光変調装置。
【請求項3】
前記第1バイアス制御部は、前記動作点を前記変調曲線における前記光強度が最大になる点と最小になる点との中間点に合わせるバイアス制御を行う、
請求項1に記載の光変調装置。
【請求項4】
複数のデータを多重して前記データ信号を生成する生成部と、
前記中断の後に前記生成部を初期化する初期化部と、
をさらに具備する請求項1乃至のいずれか一項に記載の光変調装置。
【請求項5】
逐次算出する振幅値に従って前記駆動信号の振幅を逐次変化させる振幅制御を行うとともに、
前記振幅制御の最中に前記データ信号が前記予め定めた状態と異なる状態にあるときは前記振幅制御を中断し、前記中断の後に前記中断の前に算出した振幅値を初期値として用いて前記振幅制御を再開する振幅制御部、
をさらに具備する請求項1乃至のいずれか一項に記載の光変調装置。
【請求項6】
前記変調部は、I成分の光信号を出力するIアーム及びQ成分の光信号を出力するQアームを有し、
逐次算出するバイアス電圧値に従って、前記I成分の光信号と前記Q成分の光信号との位相差がπ/2となるように前記変調部に印加するバイアス電圧を逐次制御するπ/2バイアス制御を行い、
前記π/2バイアス制御の最中に前記データ信号が前記予め定めた状態と異なる状態にあるときは前記π/2バイアス制御を中断し、前記中断の後に前記中断の前に算出したバイアス電圧値を初期値として用いて前記π/2バイアス制御を再開する第2バイアス制御部、をさらに具備する、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の光変調装置。
【請求項7】
入力される光を駆動信号によって変調して光信号を出力する変調部と、データ信号に従った前記駆動信号を前記変調部に印加する駆動部と、を備える光変調装置における制御方法であって、
逐次算出するバイアス電圧値に従って、前記駆動信号のバイアス電圧の動作点を前記変調部の変調曲線における光強度が減少する方向に合わせるバイアス制御を行い、
前記バイアス制御の最中に、前記データ信号の周波数が所定の範囲外にあるとき、前記データ信号に閾値以上の大きさのノイズが含まれているとき、前記データ信号内に多重されている複数のデータ間における位相差が閾値以上にあるとき、前記複数のデータにおけるマーク率が所定の範囲外にあるとき、前記複数のデータのいずれかの周波数が所定の範囲外にあるとき、または、前記複数のデータのいずれかに閾値以上の大きさのノイズが含まれているときに、前記データ信号が予め定めた状態と異なる状態であることを示すアラームに従って前記バイアス制御を中断し、
前記データ信号が前記予め定めた状態と異なる状態になって前記バイアス制御を中断するときは、前記バイアス制御の中断開始時点でのバイアス電圧値に前記バイアス電圧を固定し、
前記バイアス制御の中断中は、その固定したバイアス電圧値を有する前記バイアス電圧を前記変調部に供給し続け、
前記データ信号が前記異なる状態から前記予め定めた状態に戻ったときは、前記固定したバイアス電圧値を初期値として用いて前記バイアス制御を再開する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調装置、及び、光変調装置における制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速光伝送システムを実現する光変調装置ではLN変調器が用いられている。LN変調器は、LD(Laser Diode)等の発光素子から入力される光を駆動信号によって変調して光信号を出力する。
【0003】
また、LN変調器の変調曲線は、2次元座標軸の縦軸を光信号の強度(光強度)、横軸をバイアス電圧とした場合、cos二乗の関数曲線となることが知られている。CS-RZ(Carrier Suppression-Return to Zero)変調方式、光デュオバイナリ変調方式、DPSK(Differential Phase Shift Keying)変調方式、または、DQPSK(Differential Quadrature Phase-Shift Keying)変調方式等を用いるLN変調器では、2Vπの振幅を有するバイアス電圧が用いられる。ここで、VπはLN変調器に入力される光の位相をπだけ変化させることができる電圧である。
【0004】
LN変調器では、図1に示すように、変調曲線が時間の経過とともに横軸方向へ移動するDCドリフトが発生する。よって、時間の経過とともにバイアス電圧の最適値も変化する。そこでLN変調器では、バイアス電圧を最適値に逐次制御するためにフィードバック制御であるABC制御(Auto Bias Control)が行われる。
【0005】
ABC制御では、バイアス電圧に周波数f0のパイロット信号を重畳する。バイアス電圧が最適値にあるときは、LN変調器から出力される光信号にf0成分が発生しなくなり、バイアス電圧が最適値からずれたときに、LN変調器から出力される光信号にf0成分が発生する。そこで、ABC制御では、このf0成分が最小になるようにバイアス電圧が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−092172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LN変調器に印加される駆動信号はLN変調器に入力されるデータ信号を増幅して生成されるものであるため、LN変調器では、データ信号の“0”,“1”に従って“ON”,“OFF”された光信号が出力される。つまり、LN変調器では、LN変調器に入力されるデータ信号を用いたABC制御が行われることとなる。
【0008】
よって、データ信号に異常が発生したときには、ABC制御が不安定となり、バイアス電圧が不定となってしまう。LN変調器の変調曲線は、図1に示すように、谷と山とが周期的に繰り返すcos二乗の関数曲線となるため、バイアス電圧の最適値は複数存在する。図1の例では、V,V,Vの3つの最適値が存在する。よって、データ信号が異常な状態にあるままABC制御が不安定な状態で継続されると、f0成分を含むノイズ等の影響により、バイアス電圧が最適値Vに収束する可能性がある。一方で、LN変調器にバイアス電圧を供給する回路の制約上、バイアス電圧には上限値が存在する。図1の例では、バイアス電圧の上限値をVmaxと示す。
【0009】
このようにバイアス電圧には上限値が存在するため、上限値近傍の最適値にバイアス電圧が収束してしまうと、DCドリフトが発生した場合には、バイアス電圧が上限値を超えてしまうことがある。図1の例では、最適値VがDCドリフトにより上限値Vmaxを超えてしまう。
【0010】
バイアス電圧が上限値を超えてしまうと、最適なバイアス電圧をLN変調器へ供給することができなくなるため、LN変調器において信号に対する適正な変調処理ができなくなってしまう。
【0011】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、新規の方法によってABC制御を安定させることができる光変調装置、及び、光変調装置における制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の開示する光変調装置は、一つの態様において、入力される光を駆動信号によって変調して光信号を出力する変調部と、データ信号に従った前記駆動信号を前記変調部に印加する駆動部と、逐次算出するバイアス電圧値に従って、前記駆動信号のバイアス電圧の動作点を前記変調部の変調曲線における光強度が減少する方向に合わせるバイアス制御を行い、前記バイアス制御の最中に前記データ信号が予め定めた状態と異なる状態にあるときは前記バイアス制御を中断し、前記中断の後に前記中断の前に算出したバイアス電圧値を初期値として用いて前記バイアス制御を再開する第1バイアス制御部と、を具備する。
【0013】
また、本願の開示する制御方法は、一つの態様において、入力される光を駆動信号によって変調して光信号を出力する変調部と、データ信号に従った前記駆動信号を前記変調部に印加する駆動部と、を備える光変調装置における制御方法であって、逐次算出するバイアス電圧値に従って、前記駆動信号のバイアス電圧の動作点を前記変調部の変調曲線における光強度が減少する方向に合わせるバイアス制御を行い、前記バイアス制御の最中に前記データ信号が予め定めた状態と異なる状態にあるときは前記バイアス制御を中断し、前記中断の後に前記中断の前に算出したバイアス電圧値を初期値として用いて前記バイアス制御を再開する。
【発明の効果】
【0014】
本願の開示する光変調装置及び制御方法の上記態様によれば、新規の方法によってABC制御を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、DCドリフトの説明に供する図である。
図2図2は、実施の形態1に係る光変調装置200の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態2に係る光変調装置300の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態2におけるバイアス制御の説明に供するフローチャートである。
図5図5は、実施の形態3に係る光変調装置500の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、実施の形態4に係る光変調装置600の構成例を示すブロック図である。
図7図7は、実施の形態5に係る光変調装置700の構成例を示すブロック図である。
図8図8は、実施の形態5における多重化データ生成部701の構成例を示すブロック図(構成例1)である。
図9図9は、実施の形態5における多重化データ生成部701の構成例を示すブロック図(構成例2)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本願の開示する光変調装置及び制御方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本願の開示する光変調装置及び制御方法が限定されるものではない。また、実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0017】
[実施の形態1]
[光変調装置200の構成]
図2は、実施の形態1に係る光変調装置200の構成例を示すブロック図である。光変調装置200は、ドライバ(駆動回路)201と、LD202と、変調部203と、PD(Photo Diode)204と、BPF(Band Pass Filter)205と、発振器206と、同期検波部207と、バイアス制御部208とを有する。
【0018】
LD202が発生する光は変調部203に入力される。
【0019】
ドライバ201は、入力されるデータ信号を増幅し、データ信号に従った駆動信号を変調部203に印加して変調部203を駆動する。
【0020】
変調部203は、LD202から入力される光を、ドライバ201から印加される駆動信号によって変調する。また、変調部203での変調処理のバイアス制御が、バイアス制御部208から変調部203に供給されるバイアス電圧に従って行われる。バイアス制御部208から供給されるバイアス電圧には、発振器206からバイアス制御部208に入力される周波数f0のパイロット信号が重畳されている。
【0021】
PD204は、変調部203から出力される光信号の一部を受光して電気信号に変換する。
【0022】
BPF205は、PD204から入力される電気信号から周波数f0の成分(f0成分)を抽出する。
【0023】
同期検波部207は、発振器206から入力される周波数f0のパイロット信号を用いて、BPF205から入力されるf0成分を同期検波し、検波結果をバイアス制御部208に出力する。
【0024】
バイアス制御部208は、同期検波部207から入力される検波結果に従って、f0成分を0(ゼロ)に近づけるようにバイアス電圧値を算出し、算出した電圧値を有するバイアス電圧を変調部203に供給する。このバイアス電圧には、バイアス制御部208によって、発振器206から入力される周波数f0のパイロット信号が重畳される。
【0025】
上記の一連の処理が逐次なされることにより、バイアス制御部208は、以下のような制御を行うことになる。すなわち、位相変調の場合には、バイアス制御部208は、逐次算出するバイアス電圧値に従って、駆動信号のバイアス電圧の動作点を変調部203の変調曲線における光強度が減少する方向に逐次合わせるABC制御を行う。より好ましくは、バイアス制御部208は、逐次算出するバイアス電圧値に従って、駆動信号のバイアス電圧の動作点を変調部203の変調曲線における光強度が最小となる点に逐次合わせるABC制御を行う。また、強度変調の場合には、バイアス制御部208は、逐次算出するバイアス電圧値に従って、駆動信号のバイアス電圧の動作点を、変調部203の変調曲線における光強度が最小となる点と最大となる点との中間点に逐次合わせるABC制御を行う。
【0026】
<バイアス制御部208の処理>
バイアス制御部208は、ABC制御の最中にデータ信号が異常な状態にあるときはABC制御を中断する。
【0027】
また、バイアス制御部208は、ABC制御の中断の後に、データ信号の異常が解消されてデータ信号が正常な状態に戻ったときはABC制御を再開する。このとき、バイアス制御部208は、ABC制御の中断前に算出したバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開する。
【0028】
より具体的には、データ信号が異常な状態にあるときは、その旨を示すアラーム信号がバイアス制御部208に入力される。このアラーム信号は、光変調装置200内の図示しない他の構成、または、光変調装置200の外部にある他の構成のいずれから入力されてもよい。アラーム信号は、(1)連続してドライバ201に入力されるデータ信号が中断しているとき、(2)データ信号の振幅が所定の範囲外にあるとき、(3)データ信号の周波数が所定の範囲外にあるとき、(4)データ信号に閾値以上の大きさのノイズが含まれているとき等に、データ信号が異常な状態であることを示すために発せられてバイアス制御部208に入力される。また、複数のデータが多重されてデータ信号が生成される場合には、アラーム信号は、(5)複数のデータの一部が欠落しているとき、(6)複数のデータ間における位相差(位相ずれ)が閾値以上にあるとき、(7)複数のデータにおいて“0”のデータと“1”のデータとの割合を示すマーク率が所定の範囲外にあるとき、(8)複数のデータのいずれかの振幅が所定の範囲外にあるとき、(9)複数のデータのいずれかの周波数が所定の範囲外にあるとき、(10)複数のデータのいずれかに閾値以上の大きさのノイズが含まれているとき等に、データ信号が異常な状態であることを示すために発せられてバイアス制御部208に入力される。また、アラーム信号は、データ信号が上記(1)−(10)等の状態にないとき、すなわち、データ信号が正常な状態にあるときには発せられない。
【0029】
バイアス制御部208は、入力されるアラーム信号に従って、バイアス電圧値の算出及び変調部203へのバイアス電圧の供給を中断する。すなわち、バイアス制御部208は、データ信号が異常な状態にあるときはABC制御を中断する。また、ABC制御を中断する際に、バイアス制御部208は、バイアス電圧値をABC制御中断時の電圧値、すなわち、ABC制御の中断の直前に算出した電圧値に固定する。また、バイアス制御部208は、ABC制御の中断中は、その固定した電圧値を有するバイアス電圧を変調部203に供給する。このように、ABC制御の中断中は固定値のバイアス電圧が変調部203へ供給される一方で、データ信号は異常な状態にあるため、変調器203からはノイズが出力される。
【0030】
そして、バイアス制御部208は、ABC制御の中断後、データ信号が正常な状態に戻ってアラーム信号が入力されなくなったときに、ABC制御中断時に固定したバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開する。
【0031】
よって、例えば、データ信号に異常が発生した時点でのバイアス電圧値が図1のV付近にある場合、ABC制御の中断中は、バイアス電圧値はV付近に固定される。そして、データ信号が正常な状態に戻ってABC制御が再開されるときには、その固定されたV付近のバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御が再開されるため、バイアス電圧値がVに収束するように再びABC制御される。よって、データ信号に異常が発生した場合でも、バイアス電圧値の収束点がVからVまたはVに変化してしまうことを防止できる。
【0032】
[実施の形態1の効果]
以上のように本実施の形態によれば、光変調装置200において、バイアス制御部208が、データ信号が異常な状態にあるときにABC制御を中断するとともにバイアス電圧値を固定する一方で、データ信号が正常な状態に戻ったときに、その固定したバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開することにより、ABC制御を安定させる。
【0033】
これにより、データ信号の異常によってABC制御が不安定となってバイアス電圧が不定となってしまうことを防止できるため、上限値により近い最適値にバイアス電圧が収束してしまうことを防止できる。よって、DCドリフトの影響によりバイアス電圧が上限値を超えてしまうことを防止できる。その結果、DCドリフトが発生しても、変調部203への最適なバイアス電圧の供給が中断せずに継続でき、変調部203での変調処理を確実に継続することができる。
【0034】
また、データ信号に異常が発生した時点でバイアス電池値を固定することにより、ABC制御が不安定になる前にバイアス電圧値を固定することができる。よって、データ信号の異常が解消されたときは、不定になる前のバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開できるため、ABC制御再開後にバイアス電圧を最適値に素早く収束させることができる。
【0035】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る光変調装置は、ABC制御の最中にデータ信号が異常な状態にあるときはABC制御を中断し、ABC制御の中断の後にデータ信号が正常な状態に戻ったときは、ABC制御の中断の前に算出したバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開する点において実施の形態1に係る光変調装置と同一である。一方で、実施の形態2に係る光変調装置は、逐次求めるバイアス電圧値をメモリに記憶し、ABC制御の中断の後にデータ信号が正常な状態に戻ったときは、データ信号が異常な状態になる直前に記憶したバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開する点において実施の形態1に係る光変調装置と異なる。
【0036】
[光変調装置300の構成]
図3は、実施の形態2に係る光変調装置300の構成例を示すブロック図である。図3において、光変調装置300は、バイアス制御部301と、メモリ302とを有する。
【0037】
<バイアス制御部301の処理>
バイアス制御部301は、データ信号が正常な状態にあるとき、逐次求めたバイアス電圧値をメモリ302に書き込んで記憶する。このときバイアス制御部301は、逐次求めたバイアス電圧値を順にメモリ302に記憶してもよく、また、最新のバイアス電圧値でメモリ302を逐次更新してもよい。つまり、メモリ302には、データ信号が正常な状態にあるときの最新のバイアス電圧値が記憶されていればよい。
【0038】
バイアス制御部301は、データ信号が異常な状態にあるときに入力されるアラーム信号に従って、ABC制御を中断するとともに、メモリ302へのバイアス電圧値の記憶を中断する。
【0039】
そして、バイアス制御部301は、ABC制御の中断後、データ信号が正常な状態に戻ってアラーム信号が入力されなくなったときに、メモリ302に記憶された最新のバイアス電圧値、すなわち、データ信号が異常な状態になる直前に算出したバイアス電圧値をメモリ302から読み出し、その読み出した電圧値を初期値として用いてABC制御を再開する。また、バイアス制御部301は、アラーム信号が入力されなくなったときに、メモリ302へのバイアス電圧値の記憶を再開する。
【0040】
<バイアス制御部301によるバイアス制御の処理手順>
図4は、実施の形態2におけるバイアス制御の説明に供するフローチャートである。
【0041】
図4に示すように、データ信号が正常な状態にあるときは(ステップS401:No)、バイアス制御部301は、バイアス電圧値を算出し(ステップS402)、算出した電圧値をメモリ302に書き込んで記憶するとともに(ステップS403)、算出した電圧値を有するバイアス電圧を変調部203に供給する(ステップS404)。データ信号が正常な状態にある間は、ステップS401〜S404の処理が繰り返されることによりABC制御が行われる。
【0042】
データ信号に異常が発生し(ステップS401:Yes)、データ信号が異常な状態である間は(ステップS405:Yes)、ABC制御が中断される。
【0043】
ABC制御の中断後にデータ信号の異常が解消されて、データ信号が正常な状態に戻ったときは(ステップS405:No)、バイアス制御部301は、ABC制御での初回制御であるか否か判定する(ステップS406)。
【0044】
ABC制御での初回制御時には(ステップS406:Yes)、バイアス制御部301は、所定の初期値を有するバイアス電圧を変調部203に供給する(ステップS407,S404)。これによりABC制御が開始される。
【0045】
ABC制御での2回目以降の制御時には(ステップS406:No)、バイアス制御部301は、メモリ302から読み出した電圧値を有するバイアス電圧を変調部203に供給する(ステップS408,S404)。これにより、中断していたABC制御が再開される。
【0046】
[実施の形態2の効果]
以上のように本実施の形態によれば、光変調装置300において、バイアス制御部301が、データ信号が異常な状態にあるときにABC制御を中断する一方で、データ信号が正常な状態に戻ったときに、データ信号が異常な状態になる直前に算出したバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開する。
【0047】
これにより、ABC制御の再開後、データ信号が異常な状態にあることを示すアラーム信号の発生時間以内でのバイアス電圧値の変動の影響を除くことができる。よって、実施の形態1に比べ、バイアス電圧値を最適値にさらに素早く収束させることができる。
【0048】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る光変調装置は、駆動信号の振幅制御を行う点において実施の形態1に係る光変調装置と異なる。
【0049】
[光変調装置500の構成]
図5は、実施の形態3に係る光変調装置500の構成例を示すブロック図である。図5において、光変調装置500は、振幅制御部501を有する。
【0050】
<振幅制御部501の処理>
振幅制御部501には、同期検波部207から検波結果が入力される。振幅制御部501は、同期検波部207から入力される検波結果に従って、f0成分を0(ゼロ)に近づけるように振幅値を算出し、算出した振幅値に応じてドライバ201の増幅率を変化させて駆動信号の振幅を制御する。振幅制御部501は、このようにして逐次算出する振幅値に従って駆動信号の振幅を逐次変化させる振幅制御を行う。
【0051】
振幅制御部501は、振幅制御の最中にデータ信号が異常な状態にあるときは振幅制御を中断する。
【0052】
また、振幅制御部501は、振幅制御の中断の後に、データ信号の異常が解消されてデータ信号が正常な状態に戻ったときは振幅制御を再開する。このとき、振幅制御部501は、振幅制御の中断前に算出した振幅値を初期値として用いて振幅制御を再開する。
【0053】
より具体的には、データ信号が異常な状態にあるときは、その旨を示すアラーム信号が振幅制御部501に入力される。また、アラーム信号は、データ信号が正常な状態にあるときには振幅制御部501に入力されない。
【0054】
振幅制御部501は、入力されるアラーム信号に従って振幅制御を中断する。すなわち、振幅制御部501は、データ信号が異常な状態にあるときは振幅制御を中断する。また、振幅制御を中断する際に、振幅制御部501は、振幅値を振幅制御中断時の振幅値、すなわち、振幅制御の中断の直前に算出した振幅値に固定する。
【0055】
そして、振幅制御部501は、振幅制御の中断後、データ信号が正常な状態に戻ってアラーム信号が入力されなくなったときに、振幅制御中断時に固定した振幅値を初期値として用いて振幅制御を再開する。
【0056】
なお、振幅制御部501は、実施の形態2におけるバイアス制御部301と同様に、逐次求める振幅値をメモリに記憶し、振幅制御の中断の後にデータ信号が正常な状態に戻ったときは、データ信号が異常な状態になる直前に記憶した振幅値を初期値として用いて振幅制御を再開してもよい。
【0057】
[実施の形態3の効果]
以上のように本実施の形態によれば、光変調装置500において、振幅制御部501が、データ信号が異常な状態にあるときに振幅制御を中断する一方で、データ信号が正常な状態に戻ったときは、振幅制御の中断の前に算出した振幅値を初期値として用いて振幅制御を再開する。
【0058】
これにより、データ信号の異常によって駆動信号の振幅値が不安定になってしまうことを防止できる。
【0059】
また、データ信号の異常が解消されたときは、不安定になる前の振幅値を初期値として用いて振幅制御を再開できるため、振幅制御再開後に駆動信号の振幅を最適値に素早く収束させることができる。
【0060】
[実施の形態4]
実施の形態4に係る光変調装置は、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式による変調処理を行う点において実施の形態1に係る光変調装置と異なる。
【0061】
[光変調装置600の構成]
図6は、実施の形態4に係る光変調装置600の構成例を示すブロック図である。図6において、光変調装置600は、変調部601と、ドライバ602(駆動回路)と、モニタ部603と、BPF604と、発振器605と、同期検波部606と、バイアス制御部607とを有する。
【0062】
ドライバ201は、入力されるデータ信号(I)を増幅し、データ信号(I)に従った駆動信号を変調部601のIアームに印加して変調部601のIアームを駆動する。
【0063】
ドライバ602は、入力されるデータ信号(Q)を増幅し、データ信号(Q)に従った駆動信号を変調部601のQアームに印加して変調部601のQアームを駆動する。
【0064】
変調部601は、Iアーム及びQアームの2つのアームを有し、QPSK変調方式による変調処理を行う。変調部601は、LD202から入力される光を、Iアームにおいてドライバ201から印加される駆動信号によって変調し、Qアームにおいてドライバ602から印加される駆動信号によって変調する。また、変調部601での変調処理のバイアス制御が、バイアス制御部208から変調部601に供給されるバイアス電圧に従って行われる。Iアームからは光信号(I)が出力され、Qアームからは光信号(Q)が出力される。また変調部601では、バイアス制御部607によって、光信号(I)と光信号(Q)との位相差がπ/2(π/2シフト)となるようにバイアス制御(π/2バイアス制御)が行われる。よって、変調部601からは、I成分及びQ成分を有する光信号が出力される。
【0065】
図6におけるIアーム側でのABC制御処理は実施の形態1において説明したとおりである。また、実施の形態1において説明したABC制御処理と同一の処理がQアーム側でも行われる。
【0066】
モニタ部603には、PD204から電気信号が入力される。モニタ部603は、PD204から入力される光信号の電力を検出する。
【0067】
BPF604は、モニタ部603から入力される電力のf0成分を抽出する。
【0068】
同期検波部606は、発振器605から入力される周波数f0のパイロット信号を用いて、BPF604から入力されるf0成分を同期検波し、検波結果をバイアス制御部607に出力する。
【0069】
バイアス制御部607は、同期検波部606から入力される検波結果に従って、f0成分を0(ゼロ)に近づけるようにバイアス電圧値を算出し、算出した電圧値を有するバイアス電圧を変調部601に供給する。このバイアス電圧には、バイアス制御部607によって、発振器605から入力される周波数f0のパイロット信号が重畳される。
【0070】
上記の一連の処理が逐次なされることにより、バイアス制御部607は、逐次算出するバイアス電圧値に従って、π/2シフトのABC制御を行う。
【0071】
<バイアス制御部607の処理>
バイアス制御部607は、ABC制御の最中にデータ信号が異常な状態にあるときはABC制御を中断する。
【0072】
また、バイアス制御部607は、ABC制御の中断の後に、データ信号の異常が解消されてデータ信号が正常な状態に戻ったときはABC制御を再開する。このとき、バイアス制御部607は、ABC制御の中断前に算出したバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開する。
【0073】
より具体的には、データ信号が異常な状態にあるときは、その旨を示すアラーム信号がバイアス制御部607に入力される。また、アラーム信号は、データ信号が正常な状態にあるときにはバイアス制御部607に入力されない。
【0074】
バイアス制御部607は、入力されるアラーム信号に従ってバイアス電圧値の算出及び変調部601へのバイアス電圧の供給を中断する。すなわち、バイアス制御部607は、データ信号が異常な状態にあるときはABC制御を中断する。また、ABC制御を中断する際に、バイアス制御部607は、バイアス電圧値をABC制御中断時の電圧値、すなわち、ABC制御の中断の直前に算出した電圧値に固定する。
【0075】
そして、バイアス制御部607は、ABC制御の中断後、データ信号が正常な状態に戻ってアラーム信号が入力されなくなったときに、ABC制御中断時に固定したバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開する。
【0076】
なお、バイアス制御部607は、実施の形態2におけるバイアス制御部301と同様に、逐次求めるバイアス電圧値をメモリに記憶し、ABC制御の中断の後にデータ信号が正常な状態に戻ったときは、データ信号が異常な状態になる直前に記憶したバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開してもよい。
【0077】
[実施の形態4の効果]
以上のように本実施の形態によれば、光変調装置600において、バイアス制御部607が、データ信号が異常な状態にあるときにABC制御を中断する一方で、データ信号が正常な状態に戻ったときは、ABC制御の中断の前に算出したバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開する。
【0078】
これにより、データ信号の異常によってABC制御が不安定となってバイアス電圧が不定となってしまうことを防止できる。
【0079】
また、データ信号の異常が解消されたときは、不定になる前のバイアス電圧値を初期値として用いてABC制御を再開できるため、ABC制御再開後にバイアス電圧を最適値に素早く収束させることができる。
【0080】
[実施の形態5]
実施の形態5に係る光変調装置は、複数のデータを多重してデータ信号を生成する多重化データ生成部を有する点において実施の形態1に係る光変調装置と異なる。
【0081】
[光変調装置700の構成]
図7は、実施の形態5に係る光変調装置700の構成例を示すブロック図である。図7において、光変調装置700は、多重化データ生成部701を有する。また、多重化データ生成部701は、異常検出部702を有する。
【0082】
多重化データ生成部701は、データ1〜Nの複数のデータを多重し、複数のデータが多重されたデータ信号を生成し、生成されたデータ信号をドライバ201へ出力する。
【0083】
異常検出部702は、データ信号の異常を検出し、データ信号が異常な状態にあるときにアラーム信号を発する。
【0084】
<多重化データ生成部701の構成例(構成例1)>
図8は、実施の形態5における多重化データ生成部701の構成例1を示すブロック図である。構成例1に示す多重化データ生成部701は、DDR801−1〜801−Nと、バッファ802−1〜802−Nと、遅延器803−1〜803−Nと、多重化部804と、DDR805と、バッファ806と、デスキュー制御部807と、バッファ初期化部808とを有する。構成例1は、“Serdes Framer Interface Level 5 (SFI-5):Implementation Agreement for 40Gb/s Interface for Physical Layer Devices., OIF-SFI5-01.02, January 29, 2002”(以下「SFI−5」と称する)に準拠したものである。
【0085】
DDR801−1〜801−Nは、データ1〜Nの波形整形を行う。
【0086】
バッファ802−1〜802−Nは、FIFO方式のバッファであり、DDR801−1〜801−Nから順次入力されるデータを一時的に蓄え、蓄えたデータを順に遅延器803−1〜803−N及びデスキュー制御部807に出力する。
【0087】
遅延器803−1〜803−Nは、デスキュー制御部807からの制御に従って、データ1〜Nを遅延させて多重化部804に出力する。
【0088】
多重化部804は、データ1〜Nを多重してデータ信号を生成する。
【0089】
DDR805は、基準信号の波形整形を行う。
【0090】
バッファ806は、FIFO方式のバッファであり、DDR805から順次入力される基準信号を一時的に蓄え、蓄えた基準信号を順にデスキュー制御部807に出力する。
【0091】
デスキュー制御部807は、データ1〜Nの間での位相差を検出し、基準信号に従って遅延器803−1〜803−Nの遅延量を制御することにより、データ1〜Nの間での位相差を調節する。
【0092】
デスキュー制御部807は、データ信号の異常を検出し、データ信号が異常な状態にあるときに、その旨を示すアラーム信号を発する。つまり、デスキュー制御部807は、図7における異常検出部702に該当する。デスキュー制御部807は、例えば、データ1〜Nが実施の形態1に記載した上記(5)〜(10)等の状態にあるときに、データ信号が異常な状態にあるとしてアラーム信号を発する。このアラーム信号に従って、バイアス制御部208(図7)でのABC制御が中断される。また、アラーム信号はバッファ初期化部808に入力される。
【0093】
バッファ初期化部808は、データ信号が異常な状態になった後、すなわち、ABC制御が中断された後、データ信号が再び正常な状態に戻ったときに、デスキュー制御部807からアラーム信号が入力されないことを検出し、バッファ802−1−802−N,806をクリアして初期化する。これにより、異常なデータ信号の元になるデータが削除される。
【0094】
なお、SFI−5では、各々が2.4Gb/sのデータ1〜16を多重して40Gb/sのデータ信号を生成することが規定されている。また、SFI−5では、データ1〜16の信号をブロック毎にコピーして基準信号を生成することが規定されている。また、SFI−5では、データ1〜16の各データ間の位相差(位相ずれ)をパターンマッチにより検出し、1レーンでもマッチングパターンを検出できない場合にOOA(Out Of Alignment)なるアラーム信号をデスキュー制御部807から出力することが規定されている。
【0095】
<多重化データ生成部701の構成例(構成例2)>
図9は、実施の形態5における多重化データ生成部701の構成例2を示すブロック図である。構成例2に示す多重化データ生成部701は、MLD(Multi Lane Distribution)インタフェース901と、誤り訂正符号化器902と、多重化部903とを有する。構成例2は、“Multisource Agreement for 100G Long-Haul DWDM Transmission Module-Electromechanical, IA # OIF-MSA-100GLH-EM-01.0, June 8, 2010”(以下「MSA―100GLH」と称する)の送信部に適用可能なものである。
【0096】
MLDインタフェース901は、100Gb/sイーサネット(登録商標)で用いられる並列伝送のMLD信号を受信するものである。MLDインタフェース901は、データ信号の異常を検出し、データ信号が異常な状態にあるときに、その旨を示すアラーム信号を発する。つまり、MLDインタフェース901は、図7における異常検出部702に該当する。MLDインタフェース901は、データ1〜Nが入力され、例えば、データ1〜Nが実施の形態1に記載した上記(5)〜(10)等の状態にあるときに、データ信号が異常な状態にあるとしてアラーム信号(MLDアラーム)を発する。このアラーム信号に従って、バイアス制御部208(図7)でのABC制御が中断される。
【0097】
誤り訂正符号化器902は、データ1〜Nに対する誤り訂正符号化を行う。
【0098】
データ信号が正常な状態にあるときは、データ1〜Nから抽出したクロックを、MLDインタフェース901及び誤り訂正符号化器902を動作させるクロックとして使用することにより、データの揺らぎに対応することが可能となる。一方で、データ信号が異常な状態にあるときは、外部から入力される基準クロックを一時的に使用し、データ信号が再び正常な状態に戻ったときは、データ1〜Nから抽出したクロックを再び使用する。このように、外部から入力される基準クロックを一時的に使用することにより正常な動作に素早く復帰させることができる。また、データ信号が再び正常な状態に戻ったときに多重化部903を初期化してデータの異常を除去してもよい。
【0099】
多重化部903は、データ1〜Nを多重してデータ信号を生成する。
【0100】
なお、MSA―100GLHでは、各々が11.2Gb/sのデータ1〜10を多重して100Gb/sのデータ信号を生成することが規定されている。
【0101】
[実施の形態5の効果]
以上のように本実施の形態によれば、光変調装置700において、ABC制御の中断の後にデータ信号が正常な状態に戻ったときに、多重化データ生成部701を初期化する。
【0102】
これにより、データ信号を異常な状態から正常な状態に確実に回復させることができる。
【0103】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0104】
なお、実施の形態5は、実施の形態2〜4と組み合わせることも可能である。
【0105】
また、実施の形態3において説明したデータ信号の異常に基づく振幅制御または実施の形態4において説明したデータ信号の異常に基づくバイアス制御を、実施の形態1において説明したデータ信号の異常に基づくバイアス制御と組み合わせることなく、各々個別に実施することも可能である。
【0106】
また、上記説明では、データ信号が、「正常な状態」と「異常な状態」の2つの状態をとるものとした。しかし、2つの状態は「正常な状態」及び「異常な状態」に限定されない。データ信号は、少なくとも、「予め定めた状態」と「予め定めた状態と異なる状態」の2つの状態をとればよい。
【符号の説明】
【0107】
200,300,500,600,700 光変調装置
201 ドライバ
203 変調部
208,301,607 バイアス制御部
302 メモリ
501 振幅制御部
701 多重化データ生成部
702 異常検出部
807 デスキュー制御部
808 バッファ初期化部
901 MLDインタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9