(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
〔画像形成方法〕
本発明の画像形成方法は、画像支持体上に光沢調整用トナーによる光沢調整用トナー定着画像により構成された光沢調整層を形成する光沢調整層形成工程と、光沢調整層上にトナーによるトナー定着画像を形成するトナー定着画像形成工程とを経ることにより、光沢度が調整された画像(以下、「光沢調整画像」ともいう。)を得る方法である。
従って、本発明の画像形成方法によれば、形成される画像全面またはその一部を所望の光沢度に制御することができる。
【0020】
本発明の画像形成方法は、光沢調整層形成工程とトナー定着画像形成工程とを連続的に実行することのできる画像形成装置を用いて行ってもよいし、また、光沢調整層形成工程とトナー定着画像形成工程とを別個の画像形成装置を用いて行ってもよい。
【0021】
〔光沢調整層形成工程〕
光沢調整層形成工程において、光沢調整層の形成方法としては、電子写真方式による画像形成方法を採用することができる。例えば、
図1(A)に示すように、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を光沢調整用トナーにより現像することによって形成される光沢調整用トナー像を画像支持体10上に転写し、転写された光沢調整用トナー像を加熱・加圧定着することにより光沢調整用トナー定着画像3が形成され、これにより、光沢調整層3Aが形成される。
光沢調整用トナーとしては、光沢調整層3A上に形成されるトナー定着画像2の色彩に影響を与えないものであれば、特に限定されないが、例えばクリアトナーや画像支持体10と同色のトナーなどを用いることができる。
【0022】
〔トナー定着画像形成工程〕
トナー定着画像形成工程において、トナー定着画像の形成方法としては、電子写真方式による画像形成方法を採用することができる。例えば、
図1(B)に示すように、静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像することによって形成されるトナー像を光沢調整層3A上に転写し、転写されたトナー像を加熱・加圧定着することによりトナー定着画像2が形成される。
【0023】
トナー定着画像形成工程において形成されるトナー定着画像2は、例えば、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナーなどの複数色の有色のトナーにより形成されるものであってよいし、単色の有色のトナーにより形成されるものであってもよい。また、無色のトナーにより形成されるものであってもよい。
【0024】
本発明の画像形成方法においては、光沢調整層形成工程の後に、トナー定着画像形成工程が行われることにより、光沢調整層3A上にトナー定着画像2が形成された光沢調整画像Pが得られる。得られた光沢調整画像Pの表面は、光沢調整層3Aを構成する光沢調整用トナーの付着の有無による凹凸の程度に伴って、光沢調整画像P表面における拡散反射光と正反射光との割合が変動し、これにより、光沢度も変動する。従って、光沢調整層3Aを構成する光沢調整用トナーの付着の有無による凹凸の程度、すなわち後述する光沢調整単位の種類、その大きさまたはその配列方法などが適宜選択されることによって光沢度が調整されることとなり、任意の個所が任意の光沢度に調整された光沢調整画像Pを得ることができる。
【0025】
また、本発明の画像形成方法においては、光沢調整層形成工程の後に、トナー定着画像形成工程が行われることにより、トナー定着画像2が最表面に形成されるので、トナー定着画像2が有する色彩や質感がそのまま維持されることとなり、任意の個所を任意の光沢度に調整しながら、白濁感や違和感の少ない光沢調整画像Pを形成することができる。
【0026】
光沢調整層形成工程において形成される光沢調整層3Aは、光沢調整単位の集合体、すなわち、光沢調整単位が繰り返されて面状に配列された集合体により形成されており、この光沢調整単位が、光沢調整用トナー付着部分と光沢調整用トナー未付着部分とにより形成される境界線が直線であるものにより構成されている。この光沢調整層3Aは、当該光沢調整単位として、選択された種類または大きさのものを用いることによって、光沢度を調整する機能を有し、光沢調整画像Pにおいて任意の個所を任意の光沢度に制御することができる。
なお、本発明において、光沢調整単位とは、光沢調整用トナー付着部分と光沢調整用トナー未付着部分とによって図案化された最小の繰り返し単位をいう。
【0027】
光沢調整層3Aの層厚、具体的には光沢調整用トナー付着部分の厚さは、3〜20μmであることが好ましく、より好ましくは4〜13μmである。
光沢調整層3Aの層厚が上記範囲内であることにより、光沢調整画像Pにおいて、任意の個所を任意の光沢度に確実に調整することができる。
光沢調整層3Aの層厚が過小である場合においては、十分な光沢調整用トナー付着量が確保されないので、光沢調整層3Aに良好な再現性が得られず、光沢調整画像Pにおいて、任意の個所を任意の光沢度に調整することができないおそれがある。一方、光沢調整層3Aの層厚が過大である場合においては、光沢調整用トナーの付着の有無による凹凸差が過大となり、光沢調整層3A上にトナー定着画像2を形成する際に転写不良が発生するおそれがある。
【0028】
〔光沢調整単位〕
本発明において、光沢調整単位は、光沢調整用トナー付着部分と光沢調整用トナー未付着部分とにより構成されており、光沢調整用トナー付着部分と光沢調整用トナー未付着部分とにより形成される境界線が直線とされる。ここで、光沢調整用トナー付着部分と光沢調整用トナー未付着部分とにより形成される境界線が直線とは、書き込みドットまたはトナー形状の一部によるごく微小な曲線は、実質的に直線とみなすものとする。光沢調整用トナー付着部分と光沢調整用トナー未付着部分とにより形成される境界線が直線とされる具体例としては、光沢調整単位の領域中の光沢調整用トナー付着部分が、直線辺からなる多角形形状のものが挙げられる。一方、特開平5−232840号公報および特開平6−273994号公報などの特許文献に提案されているような円形形状のものなどは含まない(
図5参照)。これらの特許文献には、クリアトナーを用いて画像表面を加工して光沢度を付与する方法が提案されているが、クリアトナー付着部分が円形形状であり、これにより形成される画像は、細精性が不十分で、所望の光沢度に調整することができない場合がある。トナー付着部分が円形形状である場合には、定着の際に広がりやすくなるため、光沢調整層の凹凸が少なくなり、光沢制御性が低下する。また、円形形状での書き込みでは、光沢調整単位の大きさの制御が難しいため、トナー付着部分は直線で形成されるものであることが好ましい。
【0029】
光沢調整単位としては、調整すべき光沢度に応じて、その種類や大きさが適宜選択されるが、具体的には、全体が正多角形形状であることが好ましく、特に正方形形状であることが好ましい。
【0030】
正方形形状である光沢調整単位は、一辺の長さが100〜500μmであることが好ましい。
任意の光沢度を調整すべき原画像の任意の個所の面積を一定とし、光沢調整単位が縦横に密に配列された場合において、光沢調整単位の一辺の長さが長くなるに従って、光沢度は高くなり、光沢調整単位の一辺の長さが短くなるに従って、光沢度は低くなる。これは、光沢調整単位の一辺の長さが長くなる、すなわち、光沢調整単位の繰り返し数が少ないことにより、得られる光沢調整画像Pにおける光沢調整用トナーの付着の有無による凹凸も少なくなり、拡散反射光の割合が減少、正反射光の割合が増加し、その結果、光沢度は高くなる。一方、光沢調整単位の一辺の長さが短くなる、すなわち、光沢調整単位の繰り返し数が多いことにより、得られる光沢調整画像Pにおける光沢調整用トナーの付着の有無による凹凸も多くなり、拡散反射光の割合が増加、正反射光の割合が減少し、その結果、光沢度は低くなる。
【0031】
図2に、正方形形状である光沢調整単位の具体例を示す。この
図2においては、黒の塗りつぶし部分が、光沢調整用トナー付着部分5Aを示し、白抜き部分が、光沢調整用トナー未付着部分5Bを示す。
図2(A)は、光沢調整単位の正方形形状の領域を縦横に2等分して形成される4つの正方形のうち、縦または横に並んでいない2つが光沢調整用トナー付着部分5Aとして形成され、その他の2つが光沢調整用トナー未付着部分5Bとして形成されている市松模様状の構成であり、
図2(B)は、光沢調整単位の正方形形状の領域の四辺に沿って伸びる四角枠状部分が光沢調整用トナー付着部分5Aとして形成されている構成であり、
図2(C)は、光沢調整単位の正方形形状の領域を横に2等分して形成される2つの長方形のうち、上側が光沢調整用トナー付着部分5Aとして形成され、下側が光沢調整用トナー未付着部分5Bとして形成されている構成である。
図5(A)は、本発明に用いられるもの以外の光沢調整単位の例、すなわち、光沢調整用トナー付着部分と光沢調整用トナー未付着部分とにより形成される境界線が直線ではない光沢調整単位を示す例であって、光沢調整単位の一辺の長さの1/2の長さを直径とする2つの円形形状の光沢調整用トナー付着部分5Aが形成されている構成である。
【0032】
全体が正方形形状である光沢調整単位としては、
図2(A)に示す光沢調整単位が特に好ましい。光沢度の調整の精細さは、光沢調整単位の領域中の光沢調整用トナー付着部分5Aと光沢調整用トナー未付着部分5Bとの境界線の総距離に依存することが考えられる。従って、
図2(A)に示す光沢調整単位は、例えば
図2(B)および(C)に示す光沢調整単位などに比べ、光沢調整単位の領域中の光沢調整用トナー付着部分5Aと光沢調整用トナー未付着部分5Bとの境界線の総距離が長いため、光沢度を高い精細さをもって調整することができると考えられる。
【0033】
光沢調整単位の領域中の光沢調整用トナー付着部分と光沢調整用トナー未付着部分との境界線の総距離は、光沢調整単位の占有距離に対して100〜400%であることが好ましい。
なお、光沢調整単位の領域中の光沢調整用トナー付着部分と光沢調整用トナー未付着部分との境界線の総距離とは、光沢調整単位が繰り返されて縦横に密に配列された場合において、隣接する光沢調整単位との間に存在する境界線を含めた光沢調整単位当たりが有する光沢調整用トナー付着部分と光沢調整用トナー未付着部分との境界線の総距離をいう。具体的には、
図3において示す破線が光沢調整用トナー付着部分と光沢調整用トナー未付着部分との境界線である。また、光沢調整単位の占有距離とは、ひとつの光沢調整単位が占有する辺の長さをいう。具体的には、
図3において、光沢調整単位の一辺の長さをAとすると、ひとつの光沢調整単位が占有する辺の長さは、占有距離「2A」となる。以下、境界線の総距離を占有距離と比較して説明する。
図3(A)においては、光沢調整単位の占有距離を2Aとすると、境界線の総距離は、破線部分の4Aとなり、占有距離に対して200%となる。
また、
図3(B)においては、光沢調整用トナー未付着部分の一辺の長さを1/2Aとし、光沢調整単位の占有距離を2Aとすると、境界線の総距離は、破線部分の2Aとなり、占有距離に対して100%、
図3(C)においては、光沢調整単位の占有距離を2Aとすると、境界線の総距離は、破線部分の2Aとなり、占有距離に対して100%となる。
さらに、
図5(B)においては、光沢調整単位の占有距離を2Aとすると、境界線の総距離は、破線部分の3.14Aとなり、占有距離に対して157%となる。
【0034】
光沢調整層3Aにおける光沢度の調整は、光沢調整単位の各々の配列方法によっても制御することができる。光沢調整単位の配列方法としては、例えば、光沢調整単位の各々が縦横に密に配列される方法であっても、光沢調整単位の各々が所定の間隔で離間して配列される方法であってもよいが、縦横に密に配列される方法が好ましい。また例えば、光沢調整単位が上下または左右が非対称である場合においては、光沢調整単位の各々が、上下または左右の向きを一定の規則に従って配列、または、光沢調整単位の各々がランダムに配列される方法であってもよい。さらに例えば、2種以上の光沢調整単位を組み合わせて、一定の規則に従って配列、または、ランダムに配列される方法であってもよい。
【0035】
また、光沢調整層3Aは画像支持体10上の全面に形成されるものであってもよいし、局所的に形成されるものであってもよい。
【0036】
〔光沢調整用トナー〕
光沢調整層形成工程において用いられる光沢調整用トナーは、光沢調整層3A上に形成されるトナー定着画像2の色彩に影響を与えないものであれば、特に限定されないが、例えばクリアトナーや画像支持体と同色のトナーなどを用いることができる。
【0037】
光沢調整用トナーを構成する光沢調整用トナー粒子は、その粒径が、体積基準のメジアン径で5〜15μmであることが好ましく、より好ましくは6〜12μmである。
光沢調整用トナー粒子の粒径が上記範囲内であることにより、光沢調整単位の繰り返しによる集合体により形成される光沢調整層3Aに良好な再現性が得られ、光沢調整画像Pにおいて、任意の個所を任意の光沢度に確実に調整することができる。
光沢調整用トナー粒子の粒径が過小である場合においては、良好な現像性が得られず、十分なトナー付着量を確保することができなくなるので、光沢調整単位の繰り返しによる集合体により形成される光沢調整層3Aに良好な再現性が得られず、光沢調整画像Pにおいて、任意の個所を任意の光沢度を調整することができないおそれがある。一方、光沢調整用トナー粒子の粒径が過大である場合においては、光沢調整層3Aに良好な再現性が得られないおそれがある。
【0038】
光沢調整用トナー粒子の体積基準のメジアン径は、「コールターカウンターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出されるものである。
測定手順としては、測定試料(光沢調整用トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20ml(光沢調整用トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、測定試料分散液を作成する。この測定試料分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定器表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャー径を100μmにし、測定範囲である2.0〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メジアン径とする。
【0039】
光沢調整用トナーを構成する光沢調整用トナー粒子は、平均円形度が0.900〜0.980であることがドットの再現性の観点から好ましい。
光沢調整用トナー粒子の平均円形度が上記範囲内であることにより、光沢調整単位の繰り返しによる集合体により形成される光沢調整層3Aに良好な再現性が得られ、光沢調整画像Pにおいて、任意の個所を任意の光沢度に確実に調整することができる。
【0040】
光沢調整用トナー粒子の平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定されるものである。
具体的には、測定試料(光沢調整用トナー)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々の粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各粒子の円形度を加算し、全粒子数で除することにより算出される。
式(T):平均円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
【0041】
光沢調整層形成工程において用いられる光沢調整用トナーは、特にクリアトナーであることが好ましい。
光沢調整層形成工程において用いられるクリアトナーについて、以下具体的に説明する。
【0042】
光沢調整層形成工程において用いられるクリアトナーとは、光吸収や光散乱の作用により色が認識されないトナーをいう。すなわち、クリアトナーは実質的に無色透明であればよく、具体的には、顔料、染料などの着色剤を含まないトナー、前記着色剤を色認識ができない程度に含むトナー、または、クリアトナーを構成する成分、例えば結着樹脂、離型剤および外添剤などの種類や添加量によって透光性が若干低くなっているトナーなどが挙げられる。
【0043】
クリアトナーを構成するクリアトナー粒子は、具体的には、透光性を有する結着樹脂(以下、「透光樹脂」ともいう。)を含有し、必要に応じて離型剤や荷電制御剤などが含有されていてもよい。
【0044】
クリアトナー粒子に含有される透光樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂、などの公知の種々の熱可塑性樹脂や、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。特に、透光性を向上させるために、透光性が高く、溶融特性が低粘度で高いシャープメルト性を有する、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が好適に挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
クリアトナー粒子に含有される離型剤としては、公知のワックスを用いることができる。
ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
【0046】
クリアトナーにおいて、離型剤の含有量は、定着分離性や画像支持体の色彩を阻害しないという観点から、結着樹脂100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましい。
【0047】
クリアトナー粒子に含有される荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々の正帯電制御剤および負帯電制御剤を用いることができるが、無色透明のものが好ましい。
【0048】
クリアトナーは、軟化点温度が85〜140℃であることが、光沢調整層3Aの定着性およびドットの再現性の観点から好ましい。
【0049】
クリアトナーの軟化点温度は、以下のように測定されるものである。
まず、20℃、50%RHの環境下において、測定試料(クリアトナー)1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm
2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度T
offsetが、クリアトナーの軟化点温度とされる。
【0050】
クリアトナーは、ガラス転移点(Tg)が35〜70℃であることが、光沢調整層3Aの定着性およびドットの再現性の観点から好ましい。
【0051】
クリアトナーのガラス転移点(Tg)は、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定されるものである。
測定手順としては、測定試料(クリアトナー)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、本体サンプルホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行う。なお、1st.Heat昇温時は200℃にて5分間保持した。ガラス転移点(Tg)は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
【0052】
クリアトナーを製造する方法としては、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法、カプセル化法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、クリアトナーを製造する方法としては、製造コストおよび製造安定性の観点から、乳化重合凝集法を用いることが好ましい。
【0053】
乳化重合凝集法は、例えば、乳化重合法によって製造されたクリアトナーに含有される透光樹脂よりなる微粒子の分散液を、必要に応じて離型剤などのトナー構成成分の微粒子の分散液と混合し、pH調整による微粒子表面の反発力と電解質体よりなる凝集剤の添加による凝集力とのバランスを取りながら緩慢に凝集させ、平均粒径および粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に、加熱撹拌することで微粒子間の融着を行って形状制御を行うことにより、クリアトナー粒子を製造する方法である。
【0054】
クリアトナーを製造するための方法として、乳化重合凝集法を用いる場合に形成させる微粒子は、組成の異なる透光樹脂よりなる2層以上の構成とすることもでき、この場合、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した第1樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する方法を採用することができる。
【0055】
クリアトナーは、そのままで本発明の画像形成方法に用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、クリアトナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明に係るクリアトナーを構成してもよい。
【0056】
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
【0057】
クリアトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。クリアトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
【0058】
光沢調整用トナーが、画像支持体と同色のトナーである場合においては、当該トナーは、上述したクリアトナーにおいて、着色剤として画像支持体と同色のものを含有することの他は同様の構成のものを用いることができる。着色剤としては、特に限定されず、公知の染料および顔料を用いることができる。
【0059】
〔トナー〕
トナー定着画像形成工程において用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子よりなるものであれば、公知のものを用いることができる。このようなトナーとしては、例えば顔料、染料などの着色剤を含有する有色のトナー、または着色剤を含有しない無色のトナーなどが挙げられるが、画像の視認性という観点から有色のトナーであることが好ましい。
【0060】
トナー粒子に含有される結着樹脂としては、特に限定されず、公知の樹脂を用いることができる。
トナーが粉砕法、乳化分散法などにより製造される場合においては、例えばスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などを用いることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナーが懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法などにより製造される場合においては、トナー粒子を構成する結着樹脂を得るための重合性単量体として、公知の種々の重合性単量体を用いることができ、重合性単量体としては、例えばビニル系単量体などが挙げられ、またイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。また、重合性単量体として多官能性ビニル系単量体を用いることによっては、架橋構造の結着樹脂を得ることもできる。
【0061】
トナー粒子に含有される着色剤としては、特に限定されず、公知の染料および顔料を用いることができる。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
また、マゼンタまたはレッド用の着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
また、オレンジまたはイエロー用の着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
また、グリーンまたはシアン用の着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
【0062】
トナーにおいて、着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。
【0063】
トナー粒子は、必要に応じて離型剤や荷電制御剤などが含有されていてもよい。
【0064】
離型剤としては、公知のワックスを用いることができる。
ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
【0065】
トナーにおいて、離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して20質量部以下であることが好ましい。
【0066】
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々の正帯電制御剤および負帯電制御剤を用いることができる。
【0067】
トナーは、軟化点温度が80〜140℃であることが好ましく、より好ましくは90〜120℃である。
【0068】
トナーの軟化点温度は、以下のように測定されるものである。
まず、20℃、50%RHの環境下において、測定試料(トナー)1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm
2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度T
offsetが、トナーの軟化点温度とされる。
【0069】
トナーは、ガラス転移点(Tg)が20〜70℃であることが好ましく、より好ましくは30〜65℃である。
【0070】
トナーのガラス転移点(Tg)は、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定されるものである。
測定手順としては、測定試料(トナー)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、本体サンプルホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行う。なお、1st.Heat昇温時は200℃にて5分間保持した。ガラス転移点(Tg)は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
【0071】
トナーを構成するトナー粒子は、その粒径が、体積基準のメジアン径で3〜10μmであることが好ましく、より好ましくは5〜8μmである。
【0072】
トナー粒子の体積基準のメジアン径は、「コールターカウンターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出されるものである。
測定手順としては、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、測定試料分散液を作成する。この測定試料分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定器表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャー径を100μmにし、測定範囲である2.0〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メジアン径とする。
【0073】
トナーを構成するトナー粒子は、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.850〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.900〜0.995である。
【0074】
トナー粒子の平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定されるものである。
具体的には、測定試料(トナー)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々の粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各粒子の円形度を加算し、全粒子数で除することにより算出される。
式(T):平均円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
【0075】
トナーを製造する方法としては、例えば、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法、カプセル化法、その他の公知の方法などが挙げられる。
【0076】
トナーは、そのままで本発明の画像形成方法に用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、トナー粒子に対して、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して用いてもよい。
【0077】
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
【0078】
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0079】
トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
【0080】
キャリアは、その粒径が体積基準のメジアン径で20〜100μmであることが好ましく、より好ましくは20〜60μmとされる。
キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定されるものである。
【0081】
本発明の画像形成方法に使用される画像支持体10としては、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
本発明の画像形成方法によれば、画像支持体10上に形成される光沢調整用トナー定着画像3による光沢調整層3Aが光沢調整単位の集合体により形成されており、当該光沢調整単位が、光沢調整用トナー付着部分5Aと、光沢調整用トナー未付着部分5Bとにより構成されており、光沢調整用トナー付着部分5Aと光沢調整用トナー未付着部分5Bとにより形成される境界線が直線であることにより、光沢調整単位として、選択された種類または大きさのものを用いることによって、任意の個所が任意の光沢度に調整された画像を形成することができる。また、光沢調整用トナー付着部分5Aと光沢調整用トナー未付着部分5Bとにより構成される光沢調整単位の集合体である光沢調整層が、トナー定着画像より下層に形成されることにより、角度を変えて画像を見たときに光沢感の相違(違和感)が軽減される画像を形成することができる。
【0083】
〔画像形成装置〕
本発明の画像形成装置は、上記画像形成方法を実行するものであり、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を光沢調整用トナーが含有される現像剤により現像して光沢調整用トナー像を形成する光沢調整用トナー像形成手段と、画像支持体上に光沢調整用トナー像を転写・定着して、光沢調整用トナー定着画像により構成された光沢調整層を形成する光沢調整層形成手段とを有し、前記光沢調整層が、光沢調整単位の集合体により形成されており、光沢調整単位が、光沢調整用トナーが付着した部分と、光沢調整用トナーが付着していない部分とにより構成されており、光沢調整用トナーが付着した部分と、光沢調整用トナーが付着していない部分とにより形成される境界線が直線とされる。このような画像形成装置においては、さらに、静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーが含有される現像剤により現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、光沢調整用トナー定着画像上に前記トナー像を転写・定着してトナー定着画像を形成するトナー定着画像形成手段とを有することが好ましい。すなわち、本発明の画像形成装置においては、光沢調整層形成工程とトナー定着画像形成工程とが連続的に実行されるよう、光沢調整用トナー像形成手段および光沢調整層形成手段と共に、トナー像形成手段およびトナー定着画像形成手段を備える構成であることが好ましい。
【0084】
図4は、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
この画像形成装置は、本発明の画像形成方法における、クリアトナーを用いた光沢調整層形成工程と有色のトナーを用いたトナー定着画像形成工程とを連続的に実行することのできるタンデム型のカラー画像形成装置である。
【0085】
画像形成装置は、複数の有色トナー像形成手段20Y,20M,20C,20K、並びに、有色トナー中間転写ユニット13、二次転写ローラ29Aおよび定着装置50Aよりなる有色トナー定着画像形成手段から構成される有色トナー定着画像形成部60と、光沢調整用トナー像形成手段20S、並びに、光沢調整用トナー中間転写ユニット14、二次転写ローラ29Bおよび定着装置50Bよりなる光沢調整層形成手段から構成される光沢調整用トナー定着画像形成部70と、給紙装置40とから構成される。
【0086】
光沢調整用トナー定着画像形成部70における光沢調整用トナー像形成手段20Sにおいては、光沢調整層を形成すべき光沢調整用トナー像形成、この画像形成装置における例においてはクリアトナー像形成が行われる。
また、有色トナー定着画像形成部60におけるイエロートナー像形成手段20Yにおいては、イエロー色のトナー像形成が行われ、マゼンタトナー像形成手段20Mにおいては、マゼンタ色のトナー像形成が行われ、シアントナー像形成手段20Cにおいては、シアン色のトナー像形成が行われ、黒色トナー像形成手段20Kにおいては、黒色のトナー像が行われる。
【0087】
図4において、21Sは静電潜像担持体である感光体、22Sは当該感光体21Sの表面に一様な電位を与える帯電手段、30Sは一様に帯電された感光体21S上に設定された光沢度に従って選択された種類、大きさおよび配列方法の光沢調整単位による集合体のデータに基づいて露光を行うことにより静電潜像を形成する露光手段、24Sはトナーを感光体21S上に搬送して前記静電潜像を顕像化する現像手段、27Sは一次転写手段としての一次転写ローラ、26Bは中間転写体、29Bは一次転写ローラ27Sにより中間転写体26B上に転写された光沢調整用トナー像を画像支持体10上に転写する二次転写手段としての二次転写ローラ、25Sは一次転写後に感光体21S上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段を示す。
【0088】
また、21Y,21M,21C,21Kは静電潜像担持体である感光体、22Y,22M,22C,22Kは当該感光体21Y,21M,21C,21Kの表面に一様な電位を与える帯電手段、30Y,30M,30C,30Kは一様に帯電された感光体21Y,21M,21C,21K上に画像データに基づいて露光を行うことにより静電潜像を形成する露光手段、24Y,24M,24C,24Kは有色トナーを感光体21Y,21M,21C,21K上に搬送して前記静電潜像を顕像化する現像手段、27Y,27M,27C,27Kは一次転写手段としての一次転写ローラ、26Aは中間転写体、29Aは一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kにより中間転写体26A上に転写された有色トナー像を光沢調整用トナー定着画像形成部70において形成された光沢調整用トナー定着画像上に転写する二次転写手段としての二次転写ローラ、25Y,25M,25C,25Kは一次転写後に感光体21Y,21M,21C,21K上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段を示す。
【0089】
光沢調整用トナー定着画像形成部70における光沢調整用トナー中間転写体ユニット14は、複数のローラ11A,11B,11C,11Dにより巻回され、回動可能に支持された無端ベルト状の中間転写体26Bと、一次転写ローラ27Sと、クリーニング装置12Bとを有する。
同様に、有色トナー定着画像形成部60における有色トナー中間転写体ユニット13は、複数のローラ10A,10B,10C,10Dにより巻回され、回動可能に支持された無端ベルト状の中間転写体26Aと、一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kと、クリーニング装置12Aとを有する。
【0090】
このような画像形成装置においては、まず、光沢調整用トナー定着画像形成部70における光沢調整用トナー像形成手段20Sにおいて、感光体21S上に、帯電手段22Sより帯電、露光手段30Sにより露光、現像手段24Sにより現像を経て光沢調整用トナー像が形成される。次に、一次転写ローラ27Sにより中間転写体26B上に光沢調整用トナー像が転写され、給紙カセット41内に収容された画像支持体10が、給紙搬送手段42により給紙され、複数の給紙ローラ44A,44B,44C,44Dおよびレジストローラ46を経て、二次転写ローラ29Bに搬送されると共に、二次転写ローラ29Bにおいて、当該画像支持体10上に中間転写体26B上に転写された光沢調整用トナー像が転写される。そして、画像支持体10上に転写された光沢調整用トナー像が定着装置50Bにおいて加圧および加熱により定着され、光沢調整用トナー定着画像3が形成される。
【0091】
その後、有色トナー定着画像形成部60における有色トナー像形成手段20Y,20M,20C,20Kにおいて、感光体21Y,21M,21C,21K上に、帯電手段22Y,22M,22C,22Kにより帯電、露光手段30Y,30M,30C,30Kにより露光、現像手段24Y,24M,24C,24Kにより現像を経て各色の有色トナー像が形成される。次に、一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kにより中間転写体26A上に各色のトナー像が順次重ね合わされて転写され、二次転写ローラ29Aにおいて、光沢調整用トナー定着画像形成部70において形成された光沢調整用トナー定着画像3上に中間転写体26A上に転写された有色トナー像が一括して転写される。そして、光沢調整用トナー定着画像3上に転写された有色トナー像が定着装置50Aにおいて加圧および加熱により定着され、有色のトナー定着画像2が形成される。その後、光沢調整用トナー定着画像3上に有色のトナー定着画像2が形成された画像支持体10が機外の排紙トレイ90上に載置される。以上により、画像支持体10上に形成される光沢調整用トナー定着画像3により構成された光沢調整層3A上に有色のトナー定着画像2が形成され、これにより、光沢調整画像Pが得られる。
【0092】
光沢調整用トナー像を中間転写体26Bに転写させた後の感光体21Sは、クリーニング手段25Sにより転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後に、次の画像形成に供される。また、有色トナー像を中間転写体26Aに転写させた後の感光体21Y,21M,21C,21Kは、クリーニング手段25Y,25M,25C,25Kにより転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後に、次の画像形成に供される。
一方、二次転写ローラ29Bにより画像支持体10上に光沢調整用トナー像を転写した後、中間転写体26Bは、クリーニング装置12Bにより残留トナーが除去される。また、二次転写ローラ29Aにより光沢調整用トナー定着画像3上に有色トナー像を転写した後、中間転写体26Aは、クリーニング装置12Aにより残留トナーが除去される。
【0093】
本発明の画像形成装置によれば、本発明の画像形成方法が実行されるので、任意の個所が任意の光沢度に調整された画像を形成することができる。
【実施例】
【0094】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0095】
〔樹脂微粒子分散液の調製例1〕
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4gをイオン交換水3000gに溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)5gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を75℃とした後、
スチレン 567g
n−ブチルアクリレート 165g
メタクリル酸 68gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃で2時間にわたって加熱、
撹拌することによって重合(第1段重合)反応を行うことにより、樹脂微粒子〔A1〕が分散された分散液〔A1〕を得た。
【0096】
(2)第2段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた6Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2gをイオン交換水1270gに溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、80℃に加熱した後、上記の分散液〔A1〕を固形分換算で40g投入し、さらに、
スチレン 123g
n−ブチルアクリレート 45g
メタクリル酸 20g
n−オクチルメルカプタン 0.5g
パラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製) 82gからなる単量体混合液を80℃で溶解させた単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム5gをイオン交換水100gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃で1時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第2段重合)反応を行うことにより、樹脂微粒子〔A2〕が分散された分散液〔A2〕を得た。
【0097】
(3)第3段重合
上記の分散液〔A2〕に、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、
スチレン 390g
n−ブチルアクリレート 143g
メタクリル酸 37g
n−オクチルメルカプタン 13gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第3段重合)反応を行った後、28℃まで冷却することにより、
複合樹脂微粒子よりなる樹脂微粒子〔1〕が分散された樹脂微粒子分散液〔1〕を得た。
この樹脂微粒子〔1〕のガラス転移点は49℃であった。
【0098】
〔クリアトナー1の製造例〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、樹脂微粒子分散液〔1〕を固形分換算で450gと、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2gをイオン交換水1100gに溶解させた界面活性剤溶液とを仕込み、液温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム6水和物60gをイオン交換水60gに溶解した水溶液を、
撹拌下、30℃で10分間かけて添加し、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温し、85℃を保持したまま粒子成長反応を継続し、その状態で「コールターカウンターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が7.4μmになった時点で、塩化ナトリウム200gをイオン交換水860gに溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、さらに、熟成処理として液温度95℃で加熱撹拌することにより融着させ、これを平均円形度が0.90になるまで継続し、その後、液温30℃に冷却した。
そして、バスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械(株)製)を用いて固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥することにより、クリアトナー粒子〔1〕を得た。
このクリアトナー粒子〔1〕に対して、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1質量%と疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm)を0.3質量%添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井鉱山社製)により混合することにより、クリアトナー〔1〕を作製した。
このクリアトナー〔1〕の軟化点は133℃、ガラス転移点は49℃、体積基準のメジアン径は5.3μm、平均円形度は0.910であった。
【0099】
〔クリアトナー2〜5の製造例〕
クリアトナー1の製造例において、会合粒子に加える塩化ナトリウムの添加のタイミングを変更することの他は同様にして、体積基準のメジアン径が7.2μm、14.8μm、3.3μm、20.2μmのクリアトナー〔2〕〜〔5〕を作製した。なお、いずれのクリアトナーも軟化点は133℃、ガラス転移点は49℃、平均円形度は0.910であった。
【0100】
〔実施例1〕
(光沢調整層形成工程)
クリアトナー〔1〕を画像形成装置「bizhub C353」(コニカミノルタビジネステクロノジーズ社製)に投入し、画像支持体「OKトップコート+157g/m
2 」(王子製紙社製)上に、
図2(A)に示す光沢調整単位を使用し、その一辺の長さ(a)を100μmとし、当該光沢調整単位が画像支持体面上で縦横に密に配列された光沢調整用トナー定着画像により構成された光沢調整層を形成した。
【0101】
(トナー定着画像形成工程)
その後、新たな画像形成装置「bizhub C353」(コニカミノルタビジネステクロノジーズ社製)に、市販の「bizhub C353」用の有色のトナー(シアントナーおよび黒トナー)を投入し、画像支持体上に形成された光沢調整層上に、黒ベタのパッチ画像(20mm×50mm)を3つおよびシアンベタのパッチ画像(20mm×50mm)を3つのトナー定着画像を形成し、光沢調整画像を得た。光沢調整単位の一辺の長さ(a)が200μm、300μm、400μm、500μmである場合についてもそれぞれ同様に光沢調整層を形成して下記の評価を行った。
【0102】
〔実施例2〜
5、参考例1〜2〕
実施例1において、クリアトナーおよび光沢調整単位の種類を表1に示す通りに従って変更したことの他は同様にして、光沢調整層を形成して下記の評価を行った。
なお、
参考例1で用いられる、
図2(B)で表わされる光沢調整単位においては、当該光沢調整単位の中心に位置する、当該光沢調整単位の一辺の長さ(a)の1/2の長さを一辺とする正方形を光沢調整用トナー未付着部分として形成されている構成とした。
【0103】
〔比較例1〕
実施例1において、クリアトナーおよび光沢調整単位の種類を表1に示す通りに従って変更し、さらに、光沢調整層形成工程とトナー定着画像形成工程との順序を逆に変えたことの他は同様にして、光沢調整層を形成して下記の評価を行った。
【0104】
〔比較例2〕
実施例2において、光沢調整単位を
図5(A)に示すものに変更したことの他は同様にして、光沢調整層を形成して下記の評価を行った。
【0105】
〔評価1:光沢度の制御性〕
「JIS Z8741」に準拠して、光沢調整画像の光沢度を測定した。
なお、光沢度の測定は、「ガードナー・マイクロ−グロス75°」(東洋精機製作所社製)を用いて、入射角を75°として行った。
得られた光沢調整画像における3つ黒ベタのパッチ画像上の光沢度につき各1箇所、3つのシアンベタのパッチ画像上の光沢度につき各1箇所の合計6箇所の光沢度の平均値を表1に示す。
【0106】
〔評価2:違和感〕
光沢調整単位の一辺の長さ(a)が300μmの光沢調整画像について、真上(0°)からみて、その後、真横(90°)に傾けたとき、部分的な光沢度の差を感じたものを「違和感あり」とし、部分的な光沢度の差を感じなかったものを「違和感なし」としたとき、被験者20人中、15人以上が「違和感なし」と判断したものを「○」、10人以上14人以下が「違和感なし」と判断したものを「△」、9人以下が「違和感なし」と判断したものを「×」として評価した。
【0107】
【表1】
【0108】
以上の結果より、本発明に係る実施例1〜
5によれば、光沢調整単位として、種々の種類または大きさのものを用いることによって、光沢度が調整されることが確認され、また、光沢調整層が最下層に形成されていることにより、光沢度の相違(違和感)が軽減される光沢調整画像が得られることが確認された。
なお、
図5(A)に示す光沢調整単位を用いた比較例2は、光沢調整層の層厚(5μm)が同一である、
図2(A)〜(C)に示す光沢調整単位を用いた実施例2、
参考例1および
2に比べ、光沢度の調整領域が小さいことが確認された。