(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について以下図面と共に説明する。なお、本明細書では車両の前進方向に向かって左右をそれぞれ左、右といい、前後をそれぞれ前、後ということにする。ここで、本明細書において左右の走行車軸とは、作業車両の進行方向を向いて左右方向の走行車軸をいう。そして、本発明の実施の形態によれば、作業車両の一例であるトラクタを例として以下に説明する。
【0016】
図1には、本発明の実施形態のトラクタ1の左側面図を示し、
図2には
図1のトラクタの正面図(右側部分)を示している。また、
図3には、
図2のボンネット26を外した場合の正面図を示し、
図4には、エンジンE付近の右側面図を示す。更に、
図5には、
図4のマウントブラケット付近の斜視図を示し、
図6には、
図1のトラクタ1の操縦席付近の上面図を示す。
【0017】
トラクタ1は、機体前部のボンネット26内にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース16内のトランスミッション15(変速装置)に伝え、このトランスミッション15で減速された回転動力を走行装置である前輪17と後輪18とに伝えるようにしている。機体上の操縦席22の周りはキャビン19で覆われており、キャビン19の前方左右両側に設けたステップ10から作業者はトラクタ1に乗り降りする。
【0018】
キャビン19の内部で操縦席22前側のメータパネル117を設けたダッシュボード13からステアリングハンドル20を立設し、その左側には、トラクタ1の前進と後進の切り替えを行う前後進レバー120(
図6)や駐車ブレーキ122、PTOチェンジレバー124(2速−N(中立)−1速にチェンジ可能)等を配置している。PTOチェンジレバー124でPTO変速を決め、PTO入り切りスイッチ(PTOクラッチの入り切りスイッチ)126でPTO軸(図示せず)の回転と停止を行う。
【0019】
このエンジンEは、シリンダへの吸気を加圧するターボチャージャー3を備えたディーゼルエンジンであり、上面にシリンダヘッド6(
図8)が締結されたシリンダブロック7(
図8)を備えている。また、エンジンEの空冷用の冷却ファン27(
図4)が配置されている。
図4に示すように、シリンダヘッド6には、ターボチャージャー3が取り付けられている。左右の後輪18,18の間にはヒッチ21と三点リンク(図示省略)を設けてロータリ等の作業機を装着するように構成している。
【0020】
そして、エンジンEには排気装置を接続している。排気装置は、エンジンEの排気マニホールド33(
図8)に接続した排気管41に排気浄化装置35を設けて構成している。
【0021】
排気浄化装置35はDPF(Diesel Particulate Filter)装置36やSCR(Selective Catalytic Reduction)装置38などから構成される。なお、DPFはディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる粒子状物質(以下、PMと言う)を減少させる装置(フィルター)であり、 SCRとは排ガス中の窒素酸化物を浄化する選択性還元NOx触媒である。
【0022】
SCR装置38は触媒となる尿素水溶液の尿素水溶液噴射装置(例えば、インジェクタ)38aと、尿素水溶液噴射装置38aに供給する尿素水溶液を貯留するタンク38bからなる。なお、触媒は尿素に限られない。
【0023】
エンジンEの各気筒から排気マニホールド33に排出された排気ガスは、第1排気管41を介してDPF装置36に送られる。DPF装置36によってPMが捕集された後、排気ガスはSCR装置38に第2排気管42を介して送られる。SCR装置38によって窒素酸化物が無害化された排気ガスは、ミッションケース16の右側のテールパイプ39によってトラクタ1の上方に向けて放出される。
【0024】
SCR装置38の尿素水溶液タンク38bは、エンジンEのシリンダブロック7側部の車体フレーム8に取り付けられたブラケット53により支持している。
図7に示すように、左右の車体フレーム8,8の間にエンジンEのシリンダブロック7の下部が入り込んでおり、ブラケット53は車体フレーム8を介して貫通したボルト(固定手段の一例)でシリンダブロック7に固定されている。
【0025】
尿素水溶液タンク38bをシリンダブロック7の右側面に設けたブラケット53により支持することで、すなわちシリンダブロック7は強度が大きいため、この部分に尿素水溶液タンク38bをボルト57などの固定手段で取り付けると、尿素水溶液タンク38bが安定してトラクタ1に固定される。
【0026】
そして、更にミッションケース16の右側面にマウントブラケット50を連結して、このマウントブラケット50によっても尿素水溶液タンク38bを支持する構成としている。ミッションケース16の右側面にはテールパイプ39が位置しており、テールパイプ39側に尿素水溶液タンク38bを配置することで、エンジンEからの排ガスの配管が短くなる。
【0027】
トラクタや芝刈り機などの比較的小型の作業車両では、スペースがない場合もあり、新規に何らかの部材(尿素水溶液タンク等)を搭載する場合、場所がないため何らかの工夫が必要となる。本実施形態では、シリンダブロック7とミッションケース16からブラケット53やマウントブラケット50等を介して尿素水溶液タンク38bを取り付ける。本構成により、圃場の凹凸などがあって機体が傾いても、尿素水溶液タンク38bを強固に支持できるため安全である。
【0028】
マウントブラケット50は、側面視で階段状(Z型に曲がった形状)であり、下段50aの平面上に尿素水溶液タンク38bを載置し、鉛直面50bに沿って尿素水溶液タンク38bから取り付けステー40を出して取り付けると良い。
【0029】
なお、マウントブラケット50に直接尿素水溶液タンク38bを設けずに、マウントブラケット50に更に補助ブラケット(図示せず)を設け、この補助ブラケットに尿素水溶液タンク38bを設ける構成でも良い。
【0030】
トラクタ1に装備する装置の大きさや種類、またレイアウトによってはマウントブラケット50に直接尿素水溶液タンク38bを設けることが難しい場合もあるため、補助ブラケットを設けることで、汎用的に富み、確実に尿素水溶液タンク38bを固定できる。
また、ブラケットが二重構成になることで、強固に支持できる。
【0031】
そして、マウントブラケット50はブラケット53にスペーサとなる中間ブラケット55を介して取り付けても良い。マウントブラケット50とブラケット53の間に中間ブラケット55を挟んで、ボルト57などの固定手段で固定することで、強固にマウントブラケット50をブラケット53に固定、支持させることができる。したがって、尿素水溶液タンク38bをトラクタ1に安定して支持でき、より強固に支持可能となる。
【0032】
また、この中間ブラケット55の素材や形状を工夫することで、中間ブラケット55は防振材として機能する。防振材とは、運転する機器、装置の振動を吸収するものであり、天然ゴム、シリコン、ウレタン、合成ゴムなどの弾性材を素材として用いたり、スポンジ素材としたりすれば良い。
中間ブラケット55が防振材を兼ねることで、トラクタ1の作業時や走行時の振動を吸収し、作業者にも不快感を与えないため作業性が向上する。
【0033】
そして、
図3に示すように尿素水溶液タンク38bをテールパイプ39の下面に設け、尿素水溶液タンク38bの上面に尿素水溶液のインジェクタ38aを設けると、テールパイプ39内に臨むようにインジェクタ38aを配置できる。なお、インジェクタ38aは尿素水溶液タンク38bの上面ではなく、側面でも良い。
【0034】
テールパイプ39と尿素水溶液タンク38bを近接に配置して、尿素水溶液タンク38bに設けたインジェクタ38aからテールパイプ39内に尿素水溶液を噴射することで、尿素水溶液タンク38bから噴射位置までの距離が短く、コンパクトな構成となる。また、尿素水溶液タンク38bから尿素水溶液の配管を設ける必要もなく、コストも低減され、配管の接続部から尿素水溶液が漏れるなどの不具合も生じない。
なお、本実施形態では、機体の右側に尿素水溶液タンク38bを設けた例を示しているが、テールパイプ39が機体の左側にある場合は、尿素水溶液タンク38bも同様に左側に設けると良い。
【0035】
図8には、
図1のトラクタの尿素水溶液タンク38bの位置を変えた場合の前方部分の左側面図を示す。なお、以下の説明の中で、尿素水溶液タンク38bの位置がエンジンEのシリンダブロック7及びミッションケース16の側方ではない場合は参考例とする。
また、
図9(a)には、
図8のエンジンE付近の右側面図を示し、
図9(b)には
図9(a)のブラケット58の拡大図(斜視図)を示し、
図10には、
図9の背面図を示す。
【0036】
参考例として、エンジンEのシリンダブロック7の後部にブラケット58を設け、このブラケット58に尿素水溶液タンク38bを支持しても良い。なお、尿素水溶液タンク38bを支持できれば形状はどのようなものでも良い。
【0037】
シリンダブロック7は強度が大きいため、この部分から後方にステー(図示せず)を出して尿素水溶液タンク38bをボルトなどの固定手段で取り付けると、尿素水溶液タンク38bが安定してトラクタ1に固定される。エンジンEとトラクタ1のキャビン19との間には空間部があるため、この空間を利用することで、尿素水溶液タンク38bをコンパクトに配置できる。
【0038】
また、
図9(b)に示すように、ブラケット58にシリンダブロック7への取り付け穴58aとミッションケース16への取り付け穴58bを設けて、ブラケット58をシリンダブロック7とミッションケース16に取り付け、シリンダブロック7の後方で且つミッションケース16の上面に尿素水溶液タンク38bを設けると、尿素水溶液タンク38bの周囲が構造体によって囲まれるため、更に安定してトラクタ1に固定される。
【0039】
図11には、
図9(a)の平面図(一部追加した図)を示す。
テールパイプ39はミッションケース16の右側にあるため、この場合は直接尿素水溶液タンク38bに、テールパイプ39内に尿素水溶液を吹き込むインジェクタ38aを設けることができない。したがって、尿素水溶液タンク38bに尿素水溶液噴射ライン(管、チューブなどで良い)52を接続し、尿素水溶液噴射ライン52内の尿素水溶液をインジェクタ38aによってテールパイプ39内に噴射する構成とすれば良い。
【0040】
図12には、
図11のトラクタ1のDPF装置36の配置を変えた場合の平面図を示す。エンジンEの各気筒から排気マニホールド33に排出された排気ガスは、第1排気管41を介してDPF装置36に送られる。通常、DPF装置36は機体の左右中心線Cに沿って真っ直ぐに設けられており、第1排気管41の長さを調節してDPF装置36に配管を繋いでいる。
【0041】
第1排気管41の長さが長いと、排ガスの流路が長くなってカーブ(曲線部分)が形成されるためガス流の抵抗が生じて排ガスが流れにくくなったり、詰まりやすくなったりしてしまう。
【0042】
そこで、排気マニホールド33の出口とDPF装置36の入口間の距離が短くなるように、DPF装置36を左右中心線Cに対して斜めに傾けて配置すると良い。
図12の例では、DPF装置36の後部に排ガスの入口があるため、後部が排気マニホールド33側(図示例では左側)に向くように傾ける。なお、
図11のように排気マニホールド33が機体の左側にあってDPF装置36の左側面に排ガスの入口がある場合は、第1排気管41の長さを比較的短くできるが、この場合も
図12のように傾けることで、より一層第1排気管41の長さを短くできる。
【0043】
第1排気管41の長さをできるだけ短くすることで、排気マニホールド33に排出された排気ガスはスムーズにDPF装置36に流れるため、排ガスの浄化効率も向上する。
【0044】
以上の構成は、排気浄化装置35としてDPF装置36やSCR装置38を設けた場合であるが、それ以外にDOC(Diesel Oxidation Catalyst)装置45を設けても良い。DOCは炭化水素と一酸化炭素を除去する酸化触媒である。DOCは、SOF(Soluble Organic Fraction:有機性可溶成分)の酸化性能も有する。DOC装置45は、DPF装置36の前流に設けることで、まずDOCの触媒作用によってHCは水とCO
2に、COはCO
2に酸化される。また、NOxのうち、NOはNO
2に酸化される。NO
2はDPFに堆積したPMと接触してPMを酸化(燃焼)させる。また、DOC装置45をSCR装置38の前後に設ける場合もある。
【0045】
なお、トラクタ1にこれらDOC装置45、DPF装置36、SCR装置38を全て搭載する必要はなく、排ガス規制が達成されていれば、燃費やコストなどの点から任意の組み合わせで良い。
【0046】
また、
図13には、DOC装置45を搭載したトラクタ1を、向かって左前方から見た場合の斜視図(前側部分のみの簡略図)を示す。この図に示すトラクタ1はDOC装置45とSCR装置38を搭載しており、DPF装置36を設けていない。
【0047】
そして、SCR装置38の尿素水溶液タンク38bの上面がキャビン19のフロア48(
図1)と同じ高さになるように尿素水溶液タンク38bを設けると、尿素水溶液タンク38bが邪魔にならず機体の前方及び前輪17付近の視界が良好となり、作業時の作物の畝などが見やすくなるため、作業性に優れる。
【0048】
また、DOC装置45とSCR装置38の尿素水溶液タンク38bを連結する第2排気管42は、柔軟で自由自在に曲げることができるフレキシブルパイプ(フレキシブルホース、フレキシブルチューブラセン管ともいう)で構成しても良い。DOC装置45とSCR装置38とで異なる振動数の振動が生じた場合でも、そのような振動を吸収でき、応力がかかって排気管が破損するようなことを防止できる。
【0049】
また、テールパイプ39を前側フレーム19aに図示しない固定手段により取り付けて固定し、SCR装置38の尿素水溶液タンク38bとテールパイプ39の間に上記のようなフレキシブルの継ぎ手(図示せず)を設けると、テールパイプ39をキャビン19側で固定でき、テールパイプ39も安定し、強固な取り付け構造となると共に機体の振動にも強い。
【0050】
また、尿素水溶液タンク38bを支持するマウントブラケット50はミッションケースの側面で、且つキャビン19の前方下部に設けても良い。この場合も、従来からあるキャビン19の前方下部を利用して取り付けることで、特別な支持部材を設ける必要がなく安価に製造できる。
【0051】
そして、尿素水溶液タンク38bをキャビン19の前方下部に設けた場合は、前輪17との干渉を防ぐために尿素水溶液タンク38bの前部を一部切り欠いた形状(
図13の丸枠Xで示す)としても良い。尿素水溶液タンク38bの前部を切り欠くことで、前輪17との間に隙間が確保でき、前輪17を大きく設定できる。
【0052】
図14には、DOC装置45を搭載したトラクタの平面図を示す。この例では、尿素水溶液タンク38bをエンジンEの後方に設けている(参考例)。
排気ガスは排気マニホールド33から第1排気管41を通り、DOC装置45に送られて炭化水素、一酸化炭素、SOFなどが除去される。更に、第2排気管42を介してSCR装置38に送られて窒素酸化物が無害化された排気ガスは、テールパイプ39によってトラクタ1上方に向けて放出される。テールパイプ39はキャビン19の前側フレーム19aに沿ってルーフ方向に伸びている。
このような配管構造とすることで、エンジンEから大気中に排出するまでの排気管の長さが総合的にみて短くなるため、安価に製造できる。
【0053】
図15には、
図14とは尿素水溶液タンク38bの位置を変えた場合の平面図を示す。そして、
図15に示すように、尿素水溶液タンク38bをDOC装置45やターボチャージャー3から離れた位置に設けると、尿素水溶液タンク38b内の尿素水溶液が高温になることを防止でき、尿素水溶液タンク38bを断熱材で覆う必要がなくなるため、安価に設置できる。
なお、尿素水溶液タンク38bの位置は、DOC装置45から比較的離れれば、
図13に示す位置でも良い。
【0054】
そして、テールパイプ39を尿素水溶液タンク38bに連結させなくても、尿素水溶液タンク38bに尿素水溶液噴射ライン52を接続し、尿素水溶液噴射ライン52内の尿素水溶液をインジェクタ38aによって第1排気管41内に噴射する構成としても良い。この場合は尿素水溶液タンク38bの機体からの取り外しが容易に行え、メンテナンス性にも優れると共に、尿素水溶液噴射ライン52からの尿素水溶液の噴射位置も適宜変更できるため、尿素水溶液タンク38bの位置の自由度が向上する。
【0055】
また、DOC装置45の前流のみならず、DOC装置45の後流にも尿素水溶液を注入しても良い。この場合は、尿素水溶液タンク38bに設けたインジェクタ38aからテールパイプ39内に尿素水溶液を噴射する構成とすれば良い。
なお、
図16のように、尿素水溶液タンク38bをDOC装置45の後方に設けた場合(
図14の構成)は、尿素水溶液噴射ライン52の距離を短くできる。
【0056】
一方、トラクタ1にはロータリ等の作業機を装着するが、PTO入り切りスイッチ126の切り換えによってPTOクラッチ28(油圧クラッチ)を入り切りすることで、エンジンEから作業機への動力の伝達を行っている。
【0057】
図17には、本実施形態のトラクタ1の制御ブロック図を示す。
尿素水溶液タンク38b内の尿素水溶液が少なくなると、SCR装置38による排気ガス中の窒素酸化物の処理能力が低下するため、作業を続けることは好ましくない。
【0058】
そこで、尿素水溶液タンク38b内の尿素水溶液の残量が少ないこと(例えば、ほぼゼロ)を検出する尿素水センサ54を尿素水溶液タンク38b内に設ける。本機のコントローラ(制御装置)100aに尿素水センサ54からの信号が入力され、尿素水溶液タンク38b内の液量が一定量以下の場合に、PTOのコントローラ100bに信号が出力されることで、PTOクラッチ28のソレノイド56への電流を断ちPTOクラッチ28を切りにする。すなわち、尿素水センサ54によって検出される尿素水溶液タンク38b内の尿素水溶液の残量とPTOクラッチ28の切り動作が連動した構成である。なお、PTOクラッチ28を入りにしようとした場合は、入りを牽制する。
【0059】
PTOクラッチ28が切りとなった場合は尿素水溶液が補給されるまで作業を続行できないが、前輪17や後輪18などの走行系へのエンジンEからの伝動は継続されるため、移動可能である。
【0060】
なお、エンジン回転数(rpm)は、エンジン回転数センサ60によって検出される。エンジン回転数センサ60はエンジンEのクランクシャフトの回転を検出するもので、エンジンEの種類によりエンジン回転数センサ60の位置はいろいろとある。
【0061】
また、トラクタ1のメータパネル117付近に警告装置59を設け、作業者に警告を発する構成でも良い。PTOクラッチ28を切りにすると同時に警告装置59を作動させる構成でも良いし、警告装置59を作動させた後、尿素水溶液噴射装置38aによる噴射を継続している場合に(タイマで計測しても良い)PTOクラッチ28を切りにする構成としても良い。尿素水溶液噴射装置38aはコントローラ100aからの信号によって噴射量が制御されている。NOxは、基本的には燃料噴射量と酸素との関係で変化するため、シリンダ内に噴射される燃料量及び酸素量とを監視してNOx値を算出し、尿素の量を制御するが、他の方法でも良い。警告装置59としては、音声を発するブザー、視覚で認識可能なランプ、モニタなどがある。
【0062】
図18には、DPF装置36の配置を変えた場合のエンジンE付近の側面図を示す。
エンジンEのシリンダブロック7の側面に取り付け用のボス70を設け、このボス70を利用してDPF装置36を取り付けた構成である。強度の大きいシリンダブロック7にDPF装置36を設けることで、機体に安定して固定され、強固な構造体となる。
DPF装置36は重量が重いため、機体の振動とともに取り付けられる部分も振動する。このため、強度の強いシリンダブロック7に取り付ける。
【0063】
図18に示すように、DPF装置36の排気導入側の第一排気管41はエンジンEと排気マニホールド33の側に配置し、排気出口側の第2排気管42はエンジンEの側部に配置することで、第一排気管41と第2排気管42の管長を短くできる。
【0064】
大型のトラックなどでは、キャビン19の下方にエンジンEがあり、そのエンジンEから機体後方に向かって排気管が伸びているため、その排気管の途中(荷台の下方あたり)にDPF装置36を設けている。しかし、小型のトラクタでは、スペースの余裕がないため、DPF装置36はボンネット26で覆われるエンジンルーム内に配置される。
【0065】
図19(a)には、エンジンE付近の側面図を示し(
図4の左側面図に相当する)、
図19(b)には、
図19(a)のDPF部分の断面を前から見た図を示す。
DPF装置36をエンジンEの上部後方に設けた場合に、キャビン19の隔壁19bとエンジンEとの間に更に隔壁72を設けると、DPF装置36の熱がキャビン19側に伝わりにくくなる。したがって、キャビン19内やキャビン19前面のガラスなどに熱がこもることを防止でき、またDPF装置36やエンジンEなどから発生する騒音も伝わりにくくなることから防音効果もある。本構成により、作業者が不快な思いをすることなく快適に作業ができるため、作業性が向上する。
図19に示すように、DPF装置36やエンジンEから発生する熱風はファン27によって
図19の矢印B方向に流れ、隔壁72に当たった後、トラクタ1の外部に排出される。
【0066】
また、隔壁72の下に導風板74を設けると、熱風は導風板74に沿って効果的に横方向(左右方向外側)に排出でき、作物への熱や風による埃の舞い上げを防止できる。導風板74はDPF装置36の左右方向外側に正面視(背面視)でハの字状となるように左右対称に設けることで、熱風はDPF装置36の左右方向外側で且つ下方に向かって流れる。
隔壁72の上部はボンネット26の内面に沿うように形成し、隔壁72の下部にはサイドネット(
図1)に風が抜けるように導風板74を設けることで、効果的に熱を逃がすことができる。
【0067】
図20には、DPF装置36の配置を変えた場合のエンジンE付近の側面図を示す。
排気マニホールド33とターボチャージャー3を繋ぐブラケット76を設け、ターボチャージャー3に直接取り付けたDPF装置36をブラケット76で固定すると、排気圧損を低減できる。DPF装置36に流れる排ガス流によってDPF装置36が不安定になるが、ブラケット76で固定することで安定的に固定支持され、また、ターボチャージャー3とDPF装置36との間に配管がないことで、全体的に排気の圧損(圧力損失)が減る。排気管の長さが短いほど排気圧損が減り、エンジン馬力の低下が抑制される。
【0068】
ブラケット76は、排気マニホールド33の上面に鉛直方向に延びる鉛直ブラケット76aとDPF装置36の下面を支持する連結ブラケット76bから構成される。鉛直ブラケット76aと連結ブラケット76bとの間に弾性体77を設けると、DPF装置36の振動を吸収できる。DPF装置36はマフラーなどに比べて重量が重いので、取り付け部の振動を抑える必要がある。
【0069】
図21(a)には、DPF装置36の配置を変えた場合のエンジンE付近の側面図を示し、
図21(b)には、
図21(a)の平面図を示す。
エンジンEの上部後方に、エンジンEと連結したボンネット26の回動支点78aを持つブラケット78を設け、そのブラケット78にDPF装置36を固定する。ボンネット26の回動支点78aを持つブラケット78を利用して取り付けることで、別の支持部材が不要となる。
【0070】
ブラケット78はエンジンEに固定され、ブラケット78とDPF装置36との間に弾性体80を介しても良い。ブラケット78とDPF装置36との間に弾性体80を設けることで、重量の重いDPF装置36の振動を吸収できる。