(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、第2のロック機構97のストッパ体98とストッパブラケット99との係脱によるアッパレール93の所定位置から後方への移動規制・解除は、シート94の車両幅方向の位置に応じて切り替わる。換言すれば、予めシート94が車両幅方向に所定範囲外にあるときは、アッパレール93の所定位置から後方への移動が常に許容されてしまう。しかしながら、シート94の位置調整等に係る要望は多種多様であり、例えばロアレール92に対するアッパレール93の可動範囲の所定位置で常にその移動を規制したい場合もある。具体的には、後部座席の2列目と3列目との間で移動可能なシートにおいて、2列目となる前部領域から3列目となる後部領域へとシートを移動させる際に、利用者に領域の切り替わりを認識させることを目的に、これら前部領域及び後部領域の境界位置でシートを一旦停止させる場合がある。あるいは、着座領域から非着座領域(例えば荷室領域)へとシートを移動させる際に、利用者に領域の切り替わりを認識させることを目的に、これら着座領域及び非着座領域の境界位置でシート本体を一旦停止させる場合もある。
【0007】
一方、これら両領域の境界位置等でシートを一旦停止させるにしても、該境界位置等に向かって移動した元の領域に戻る場合には、両領域の切り替わりが実際に起きるわけではないので、簡易な操作によってアッパレールの移動規制を解除できることが好ましい。つまり、両領域の境界位置等でのアッパレールの移動規制を解除するために、例えば操作レバーの解除操作が必要になると、操作性が低下する可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、操作性の低下を抑制しながらも、アッパレール(シート)の位置調整等を行う利用者に対し、例えば領域の切り替わりを認識させることができる車両用シートスライド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両フロアに固定されるロアレールと、シートに固定され、前記ロアレールに移動可能に連結されたアッパレールと、前記ロアレールに対する前記アッパレールの任意の位置で該アッパレールの移動を選択的に係止するロック機構と、前記ロアレールに設けられたストッパ部及び前記アッパレールに可動に設けられたストッパ部材を有し、前記ロアレールに対する前記アッパレールの所定位置で前記ストッパ部材及び前記ストッパ部を係合させて、一方向に前記所定位置へと向かう前記アッパレールの移動を係止するストッパ機構と、前記ストッパ部材に解除操作力を入力して、前記所定位置で係止された前記アッパレールの前記一方向への移動を許容する操作部材と、前記ストッパ部材に形成され、前記所定位置で係止された前記アッパレールの前記一方向とは逆方向への移動に伴い、前記ストッパ部との係合を解除するように前記ストッパ部材を案内するガイド部とを備えることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、前記ロック機構による前記ロアレールに対する前記アッパレールの移動係止の解除状態で、該アッパレールが前記一方向に前記所定位置へと向かうと、前記ストッパ機構により前記所定位置で前記アッパレールの移動が必ず係止される。従って、前記アッパレール(シート)の位置調整等を行う利用者に対し、例えば領域の切り替わりを認識させることができる。そして、前記アッパレールを前記一方向に更に移動させる場合には、前記操作部材の操作により、前記ストッパ部材に解除操作力を入力して、前記ストッパ部との係合を解除すればよい。一方、前記アッパレールを前記逆方向に移動させる場合には、前記アッパレールの当該移動に伴い、前記ガイド部により前記ストッパ部材を案内させて前記ストッパ部との係合を解除すればよい。このように、例えば領域の切り替わりが実際に起きるわけではない使用形態では、前記操作部材を操作しなくても前記ストッパ部材を解除できるため、操作性を向上させることができる。
【0013】
請求項
1に記載の発明
において、前記ロック機構は、前記ロアレールに前後方向に連続して形成された第1ロック穴と、第1ロック爪を有して前記アッパレールに回動可能に連結された第1ロックレバーとを備え、前記第1ロック爪を前記第1ロック穴に係入させることで、前記ロアレールに対する前記アッパレールの移動を係止する第1のロック機構であり、前記ストッパ機構は、前記ロアレールに形成されたストッパ部としての第2ロック穴と、第2ロック爪を有して前記アッパレールに回動可能に連結されたストッパ部材としての第2ロックレバーとを備え、前記第2ロック爪を前記第2ロック穴に係入させることで、前記ロアレールに対する前記アッパレールの移動を係止する第2のロック機構である
。
【0014】
同構成によれば、前記ロック機構及び前記ストッパ機構として、同一の原理構造のロック機構を採用することができる。
請求項
1に記載の発明
において、前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構は、前記ロアレールの幅方向で互いに異なる側に配置されている
。
【0015】
同構成によれば、例えば前記第1ロック機構の前記第1ロック爪が前記第2ロック機構の前記第2ロック穴に係合することを回避できる。同様に、前記第2ロック機構の前記第2ロック爪が前記第1ロック機構の前記第1ロック穴に係合することを回避できる。このように、前記第1ロック機構又は前記第2ロック機構の誤動作を抑制できるため、例えば前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構の配置自由度を向上させることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用シートスライド装置において、前記ロアレールに対する前記アッパレールの位置は、後部座席の1列目の前後調整領域であるフロント領域及び後部座席の2列目の前後調整領域であるリア領域に区分されており、前記所定位置は、前記フロント領域及び前記リア領域の境界部であることを要旨とする。
同構成によれば、例えば後部座席の1列目から2列目へと前記アッパレール(シート)を移動させる利用者に対し、前記フロント領域及び前記リア領域間の領域の切り替わりを認識させることができる。
請求項
3に記載の発明は、請求項
1又は請求項2に記載の車両用シートスライド装置において、前記第1ロック爪は、前記第2ロック穴に係入不能に成形されており、前記第2ロック爪は、前記第1ロック穴に係入不能に成形されていることを要旨とする。
【0017】
同構成によれば、仮に前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構を、前記ロアレールの幅方向で同一側に配置したとしても、前記第1ロック機構又は前記第2ロック機構の誤動作を抑制できる。
【0018】
請求項
4に記載の発明は、請求項
1〜3のいずれか一項に記載の車両用シートスライド装置において、前記ガイド部は、前記第2ロック爪に形成され、前記アッパレールの前記逆方向への移動に伴い、前記第2ロック穴に押圧されて該第2ロック穴から前記第2ロック爪が外れるように案内する傾斜部であることを要旨とする。
【0019】
同構成によれば、前記ガイド部を、極めて簡易な構造の前記傾斜部とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、操作性の低下を抑制しながらも、アッパレール(シート)の位置調整等を行う利用者に対し、例えば領域の切り替わりを認識させることができる車両用シートスライド装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜
図4を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、例えばワンボックス車やミニバン車等の3列シートの車両の後部座席において、車両フロア1には、鋼板からなるロアレール11が前後方向に延在する態様で固定されるとともに、該ロアレール11には、鋼板からなるアッパレール12がロアレール11に対し前後方向に相対移動可能に装着されている。ロアレール11及びアッパレール12の相対位置は、後部座席の1列目(即ち3列シートの2列目)の前後調整領域である第1領域としてのフロント領域及び後部座席の2列目(即ち3列シートの3列目)の前後調整領域である第2領域としてのリア領域に区分されている。
【0023】
なお、ロアレール11及びアッパレール12は、幅方向(
図1において紙面に直交する方向)でそれぞれ対をなして配設されており、ここでは前方に向かって左側に配置されたものを示している。そして、両アッパレール12には、乗員の着座部を形成するシート2が固定・支持されている。従って、シート2は、フロント領域で位置調整可能な後部座席の1列目のシート、及びリア領域で位置調整可能な後部座席の2列目のシートとして兼用可能となっている。ロアレール11及びアッパレール12の相対移動は基本的に係止状態にあって、該係止状態を解除するための第1解除ハンドル6及び第2解除ハンドル7が設けられている。
【0024】
図3(a)(b)に示すように、ロアレール11は、前後方向に延在する底壁部11aと、該底壁部11aの幅方向両端からそれぞれ立設された側壁部11bと、該両側壁部11bの上端からそれぞれ形成されたロアレールフック部11cとを有する。そして、両ロアレールフック部11cは、幅方向内側(互いに対向する側)に延びる内延部11fと該内延部11fの先端から下方向に延びる下延部11gとを有する。
【0025】
図3(a)に示すように、片側(図示右側)のロアレールフック部11cの下延部11gには、略四角形の第1ロック穴11iが形成されている。
図2に示すように、第1ロック穴11iは、フロント領域及びリア領域に合わせて、長手方向(前後方向)に所定の間隔をもって多数形成されている。なお、第1ロック穴11iは、フロント領域及びリア領域の境界部で非形成となっている。
【0026】
図3(b)に示すように、反対側(図示左側)のロアレールフック部11cの下延部11gには、ストッパ部としての略四角形の第2ロック穴11jが形成されている。
図2に示すように、第2ロック穴11jは、フロント領域及びリア領域の境界部となる所定位置に合わせて形成されている。なお、第2ロック穴11jは、ロアレール11の長手方向において第1ロック穴11iと重なる位置に配置されるものの、幅方向で互いに異なる側に配置されていることで、それぞれの配置に支障を来すことはない。ロアレール11の長手方向において、第2ロック穴11jの開口幅は、第1ロック穴11iの開口幅よりも大きく設定されている。
【0027】
一方、
図3(a)(b)に示すように、アッパレール12は、一対のロアレールフック部11c間に配置される本体壁部12aと、該本体壁部12aの下端から幅方向両外側にそれぞれ形成されたアッパレールフック部12bとを有する。そして、本体壁部12aは、幅方向に延びる天板部12eと該天板部12eの幅方向両端から下方向に延びる一対の取付部12fとを有する。両取付部12fは、上下方向中間部で当接するように幅方向内側に閉じるとともに、該当接部の下側で互いに離隔するよう幅方向外側に開いている。つまり、本体壁部12aは、その上部に略四角形の閉断面構造を有する。また、アッパレールフック部12bは、本体壁部12aの幅方向に開いた下端から幅方向の外側(互いに離間する側)に延びる外延部12cと該外延部12cの先端から上方向に延びる上延部12dとを有する。アッパレールフック部12bは、外延部12cが前記下延部11gの下方に(僅かな隙間を有して)配置されることと上延部12dが下延部11gと幅方向に対向することで、ロアレールフック部11cに対して上方向及び幅方向に係合可能とされ、ロアレールフック部11cからの外れが防止されている。
【0028】
そして、
図2に示すように、アッパレール12には、ロアレール11との上下方向の距離を一定に保ちつつ該ロアレール11に対するアッパレール12の前後方向の移動を可能とする転動体16がアッパレール12の前後方向に一対設けられている。転動体16は、前記上延部12dに対して回転可能に支持され、ロアレール11上を転動可能とされてアッパレール12の前後方向の移動(走行)を可能としている。
【0029】
また、アッパレール12の片側(
図2において紙面に直交する奥側)の取付部12fに第1支持ブラケット21が締結されるとともに、該第1支持ブラケット21に第1ロックレバー22が回動可能に連結されている。詳述すると、
図3(a)に示すように、アッパレール12の両取付部12fには、互いに同等の前後方向の位置で、略四角形の透孔12g,12hがそれぞれ形成されている。そして、透孔12gを有する片側の取付部12fの下端部には、長手方向(前後方向)に複数(3個)の挿通孔12jが前記所定の間隔をもって形成されている。さらに、当該側の上延部12dには、長手方向(前後方向)に複数(3個)の挿通孔12kが前記所定の間隔をもって形成されている。これら挿通孔12j,12kは、透孔12gの配置された前後方向の範囲に合わせて互いに同等の前後方向の位置に設けられている。
【0030】
そして、
図2に示すように、第1支持ブラケット21は、透孔12gを開放するように屈曲されて該透孔12gの前後方向両側にその両端部を延出しており、該両端部において当該取付部12f(アッパレール12)に締結固定されている。また、第1ロックレバー22は、前後方向(アッパレール12の長手方向)に延びる軸線周りに第1支持ブラケット21に回動可能に連結されている。第1ロックレバー22の下部には、挿通孔12j,12kの前後方向の位置に合わせて複数(3個)の第1ロック爪22aが配設されている。
【0031】
図3(a)に示すように、透孔12g,12hに順次挿入された第1ロックレバー22は、その軸線周りの回動に伴い挿通孔12jを貫通する各第1ロック爪22aを第1ロック穴11i及び挿通孔12kに順次挿入可能となっている。そして、第1ロックレバー22の第1ロック爪22aが第1ロック穴11i及び挿通孔12kに挿入されると、フロント領域又はリア領域でロアレール11に対するアッパレール12の移動が係止され、これに支持されるシート2も位置決めされることになる。また、第1ロックレバー22が回動されて、第1ロック爪22aが挿通孔12k及び第1ロック穴11iから抜き取られると、ロアレール11に対するアッパレール12(シート5)の移動が許容されることになる。第1ロック穴11iが非形成のフロント領域及びリア領域の境界部では、第1ロック爪22aの先端が下延部11gに当接してロアレール11に対するアッパレール12の移動が係止不能であることはいうまでもない。
【0032】
なお、
図2に示すように、第1ロックレバー22は、第1支持ブラケット21に一端の係止されたトーションスプリング23の他端が係止されることで、第1ロック爪22aが第1ロック穴11i及び挿通孔12kに挿入される側、即ちロアレール11に対するアッパレール12の移動を係止する側に常時回動付勢されている。また、第1ロックレバー22は、前記第1解除ハンドル6に機械的に連係されており、該第1解除ハンドル6を通じて外部からの解除操作力が入力されることで、トーションスプリング23の付勢力に抗して第1ロック爪22aが挿通孔12k及び第1ロック穴11iから外れる側、即ちロアレール11に対するアッパレール12の移動を許容する側に回動されることになる。第1ロックレバー22及びトーションスプリング23等は、第1ロック穴11iと共にロック機構としての第1ロック機構L1を構成する。
【0033】
また、第1支持ブラケット21の後側で、アッパレール12の反対側(
図2において紙面に直交する手前側)の取付部12fに第2支持ブラケット24が締結されるとともに、該第2支持ブラケット24にストッパ部材としての第2ロックレバー25が回動可能に連結されている。詳述すると、
図3(b)に示すように、アッパレール12の両取付部12fには、互いに同等の前後方向の位置で、略四角形の透孔12m,12nがそれぞれ形成されている。そして、透孔12mを有する片側の取付部12fの下端部には、挿通孔12pが形成されている。さらに、当該側の上延部12dには、挿通孔12qが形成されている。これら挿通孔12p,12qは、透孔12mの配置された前後方向の範囲に合わせて互いに同等の前後方向の位置に設けられている。
【0034】
そして、
図2に示すように、第2支持ブラケット24は、透孔12mを開放するように屈曲されて該透孔12mの前後方向両側にその両端部を延出しており、該両端部において当該取付部12f(アッパレール12)に締結固定されている。また、第2ロックレバー25は、前後方向(アッパレール12の長手方向)に延びる軸線周りに第2支持ブラケット24に回動可能に連結されている。第2ロックレバー25の下部には、挿通孔12p,12qの前後方向の位置に合わせて第2ロック爪25aが設けられている。
図3(b)に示すように、透孔12m,12nに順次挿入された第2ロックレバー25は、その軸線周りの回動に伴い挿通孔12pを貫通する第2ロック爪25aを第2ロック穴11j及び挿通孔12qに順次挿入可能となっている。そして、第2ロックレバー25の第2ロック爪25aが第2ロック穴11j及び挿通孔12qに挿入されると、フロント領域及びリア領域の境界部の前記所定位置でロアレール11に対するアッパレール12の移動が係止される。また、第2ロックレバー25が回動されて、第2ロック爪25aが挿通孔12q及び第2ロック穴11jから抜き取られると、ロアレール11に対するアッパレール12(シート5)の移動が許容されることになる。第2ロック穴11jが非形成のフロント領域及びリア領域等では、第2ロック爪25aの先端が下延部11gに当接してロアレール11に対するアッパレール12の移動が係止不能であることはいうまでもない。
【0035】
なお、
図2に示すように、第2ロックレバー25は、第2支持ブラケット24に一端の係止されたトーションスプリング26の他端が係止されることで、第2ロック爪25aが第2ロック穴11j及び挿通孔12qに挿入される側、即ちロアレール11に対するアッパレール12の移動を係止する側に常時回動付勢されている。また、第2ロックレバー25は、前記第2解除ハンドル7に機械的に連係されており、該第2解除ハンドル7を通じて外部からの解除操作力が入力されることで、トーションスプリング26の付勢力に抗して第2ロック爪25aが挿通孔12q及び第2ロック穴11jから外れる側、即ちロアレール11に対するアッパレール12の移動を許容する側に回動されることになる。第2ロックレバー25及びトーションスプリング26等は、第2ロック穴11jと共にストッパ機構としての第2ロック機構L2を構成する。
【0036】
ここで、
図4に示すように、第2ロックレバー25は、第2ロック穴11jに挿入される第2ロック爪25aの先端部に、ガイド部としての傾斜部25bが形成されている。この傾斜部25bは、第2ロック爪25aの前部に配置されており、第2ロック穴11jへの挿入状態で該第2ロック穴11jを起点に先端に向かうに従い後方に向かうように直線状に傾斜する。従って、第2ロック穴11jに第2ロック爪25aが挿入された状態で、アッパレール12と共に第2ロックレバー25が前方(即ちフロント領域)に移動すると、傾斜部25bが第2ロック穴11jに押圧される。そして、第2ロックレバー25は、傾斜部25bにより、第2ロック爪25aが第2ロック穴11jから外れるように案内される。つまり、この状態では、第2ロックレバー25の解除操作として、第2解除ハンドル7の操作に代えて、アッパレール12(シート2)を前方移動させる操作とすることができる。一方、第2ロック穴11jに第2ロック爪25aが挿入された状態で、アッパレール12と共に第2ロックレバー25が後方(即ちリア領域)に移動しようとしても、第2ロック爪25aが第2ロック穴11jから外れることはない。
【0037】
なお、
図2では、便宜上、第2ロックレバー25の第2ロック爪25aが第2ロック穴11jに挿入された状態にあるとき、第1ロックレバー22の第1ロック爪22aも第1ロック穴11iに挿入されているように描画しているが、実際には第1ロック爪22aの先端が下延部11gに当接して第1ロック穴11iに非挿入の状態となっている。そして、アッパレール12(シート2)の前方移動に伴い、前述の態様で第2ロック爪25aが第2ロック穴11jから外れようとしたとき、第1ロックレバー22の第1ロック爪22aが第1ロック穴11iに直ちに挿入されるように設定されている。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
まず、ロアレール11及びアッパレール12の相対位置がフロント領域の所定前側位置にあって、第1及び第2解除ハンドル6,7の操作が共に解放され、第1ロック機構L1(第1ロックレバー22等)により当該所定前側位置でアッパレール12の移動が係止された状態にあるものとする。このとき、トーションスプリング26に付勢される第2ロックレバー25は、第2ロック爪25aの先端が下延部11gに当接する状態となっている。この状態で第1解除ハンドル6が操作されると、第1ロックレバー22がトーションスプリング23の付勢力に抗して、第1ロック爪22aが第1ロック穴11i等から外れる側の回動方向に回動する。これにより、ロアレール11に対するアッパレール12の移動係止が解除される。従って、アッパレール12は、ロアレール11に対して前方又は後方に移動可能となる。このとき、第2ロックレバー25は、第2ロック爪25aの先端を下延部11gに摺接する。
【0039】
特に、アッパレール12の後方移動に伴い、フロント領域及びリア領域の境界部となる前記所定位置に到達すると、トーションスプリング26に付勢される第2ロックレバー25は、第2ロック爪25aが第2ロック穴11j等に挿入される側の回動方向に回動する。これにより、当該所定位置でアッパレール12の移動が係止される。
【0040】
この状態で、アッパレール12を前方に移動(戻り移動)させると、第2ロックレバー25は、傾斜部25bにより、トーションスプリング26の付勢力に抗して、第2ロック爪25aが第2ロック穴11j等から外れるように案内(回動案内)される。つまり、第2解除ハンドル7を操作しなくても、アッパレール12の前方移動が可能となっている。なお、当該所定位置でのアッパレール12の移動係止状態で、第1解除ハンドル6の操作を解放すると、トーションスプリング23に付勢される第1ロックレバー22は、第1ロック爪22aの先端が下延部11gに当接する。つまり、第1ロック爪22aは、第1ロック穴11iに挿入不能である。ただし、前述のアッパレール12の前方移動が開始されることで直ちに、第1ロック爪22aが第1ロック穴11i等に挿入される。これにより、例えば外力の影響を受けて、アッパレール12が前方移動しようとしたとしても、第1ロック機構L1(第1ロックレバー22等)によりアッパレール12の移動を直ちに係止することができる。このときのロアレール11及びアッパレール12の相対位置は、フロント領域の最後端である。
【0041】
第2ロック機構L2(第2ロックレバー25等)により当該所定位置でアッパレール12の移動が係止された状態で、第2解除ハンドル7が操作されると、第2ロックレバー25がトーションスプリング26の付勢力に抗して、第2ロック爪25aが第2ロック穴11j等から外れる側の回動方向に回動する。これにより、ロアレール11に対するアッパレール12の移動係止が解除される。従って、アッパレール12は、ロアレール11に対して前方又は後方に移動可能となる。
【0042】
ただし、アッパレール12が前方移動する場合には、トーションスプリング23に付勢される第1ロックレバー22によって、アッパレール12の移動がフロント領域の最後端で直ちに係止されることは既述のとおりである。一方、アッパレール12が後方移動する場合には、第1ロックレバー22は、リア領域に到達するまで第1ロック爪22aの先端を下延部11gに摺接する。アッパレール12がリア領域に到達すると、トーションスプリング23に付勢される第1ロックレバー22は、第1ロック爪22aが第1ロック穴11i等に挿入される側の回動方向に回動する。これにより、当該位置(リア領域の最前端)でアッパレール12の移動が係止される。この状態で、第2解除ハンドル7の操作を解放すると、トーションスプリング26に付勢される第2ロックレバー25は、第2ロック爪25aの先端が下延部11gに当接する。つまり、第2ロック爪25aは、第2ロック穴11jに挿入不能である。
【0043】
第1ロック機構L1(第1ロックレバー22等)によりリア領域の最前端でアッパレール12の移動が係止された状態で、第1解除ハンドル6が操作されると、前述の態様でロアレール11に対するアッパレール12の移動係止が解除される。従って、アッパレール12は、ロアレール11に対して前方又は後方に移動可能となる。そして、アッパレール12を後方移動させる場合には、リヤ領域でのアッパレール12(シート2)の前後位置調整が可能となる。このとき、第2ロックレバー25は、第2ロック爪25aの先端を下延部11gに摺接する。一方、アッパレール12を前方移動させる場合には、フロント領域でのアッパレール12(シート2)の前後位置調整が可能となる。このとき、下延部11gに先端を摺接する第2ロック爪25aは、第2ロック穴11jへの到達に伴いこれに進入しようとするものの、前述の態様で傾斜部25bに案内されることで直ちに外れ、その先端を再び下延部11gに摺接する。
【0044】
なお、第2ロック機構L2により前記所定位置でアッパレール12の移動が係止された状態で、少なくとも第1解除ハンドル6が操作されれば、そのままフロント領域でのアッパレール12の前後位置調整が可能となる。一方、第2ロック機構L2により前記所定位置でアッパレール12の移動が係止された状態で、第1及び第2解除ハンドル6,7が共に操作されれば、そのままリア領域でのアッパレール12の前後位置調整が可能となる。
【0045】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、第1ロック機構L1によるロアレール11に対するアッパレール12の移動係止の解除状態で、該アッパレール12がフロント領域からリア領域に向かうと、第2ロック機構L2により境界部となる前記所定位置でアッパレール12の移動が必ず係止される。従って、アッパレール12(シート2)の位置調整等を行う利用者に対し、領域の切り替わりを認識させることができる。そして、アッパレール12をリヤ領域へと移動させる場合には、第2解除ハンドル7の操作により、第2ロックレバー25に解除操作力を入力して、第2ロック穴11jとの係合を解除すればよい。一方、アッパレール12を元の領域(フロント領域)へと移動させる場合には、アッパレール12の当該移動に伴い、傾斜部25bにより第2ロックレバー25を案内させて第2ロック穴11jとの係合を解除すればよい。このように、領域の切り替わりが実際に起きるわけではない使用形態では、例えば第2解除ハンドル7を操作しなくても第2ロックレバー25を解除できるため、操作性を向上させることができる。
【0046】
(2)本実施形態では、後部座席の1列目から2列目へとアッパレール12(シート2)を移動させる利用者に対し、フロント領域及びリア領域間の領域の切り替わりを認識させることができる。
【0047】
(3)本実施形態では、第1ロック機構L1は、フロント領域及びリア領域でロアレール11に前後方向に連続して形成された第1ロック穴11iと、第1ロック爪22aを有してアッパレール12に回動可能に連結された第1ロックレバー22とを備える。そして、第1ロック爪22aを第1ロック穴11iに挿入させることで、ロアレール11に対するアッパレール12の移動を係止する。一方、第2ロック機構L2は、フロント領域及びリア領域の境界部となる前記所定位置でロアレール11に形成された第2ロック穴11jと、第2ロック爪25aを有してアッパレール12に回動可能に連結された第2ロックレバー25とを備える。そして、第2ロック爪25aを第2ロック穴11jに挿入させることで、ロアレール11に対するアッパレール12の移動を係止する。このように、同一の原理構造の第1ロック機構L1及び第2ロック機構L2を採用することができる。
【0048】
(4)本実施形態では、第1ロック機構L1及び第2ロック機構L2は、ロアレール11の幅方向で互いに異なる側に配置されていることで、例えば第1ロック機構L1(第1ロックレバー22)の第1ロック爪22aが第2ロック機構L2の第2ロック穴に係合することを回避できる。同様に、第2ロック機構L2(第2ロックレバー25)の第2ロック爪25aが第1ロック機構L1の第1ロック穴11iに係合することを回避できる。このように、第1ロック機構L1又は第2ロック機構L2の誤動作を抑制できるため、例えば第1ロック機構L1及び第2ロック機構L2の配置自由度を向上させることができる。
【0049】
(5)本実施形態では、仮に第1ロック機構L1及び第2ロック機構L2を、ロアレール11の幅方向で同一側に配置したとしても、第1ロック爪22aは、第2ロック穴11jに挿入不能に成形されている。すなわち、第1ロック爪22aの前後方向の幅は、第2ロック穴11jの前後方向の開口幅よりも小さいものの、当該方向に3個が並設されることで、第2ロック穴11jに挿入不能である。同様に、第2ロック爪25aは、第1ロック穴11iに挿入不能に成形されている。すなわち、第2ロック爪25aの前後方向の幅は、第1ロック穴11iの前後方向の開口幅よりも大きく設定されることで、第1ロック穴11iに挿入不能である。このように、仮に第1ロック機構L1及び第2ロック機構L2を、ロアレール11の幅方向で同一側に配置したとしても、第1ロック機構L1又は第2ロック機構L2の誤動作を抑制できる。
【0050】
あるいは、幅方向で対をなす両ロアレール11を共通化するために、各ロアレール11の幅方向両側に第1及び第2ロック穴11i,11jをそれぞれ形成したとしても、第1ロック機構L1又は第2ロック機構L2の誤動作を抑制でき、部品管理をより簡素化できる。
【0051】
(6)本実施形態では、極めて簡易な構造の傾斜部25bにて、第2ロック穴11jから第2ロック爪25aが外れるように案内することができる。
(7)本実施形態では、第2ロック機構L2によりアッパレール12の移動が係止された状態において、アッパレール12の一方向への移動(即ち後方移動)を規制することができる。
【0052】
(8)本実施形態では、第1及び第2ロック機構L1,L2に個別の第1及び第2解除ハンドル6,7を配設したことで、操作を一連の流れで行うことができ、操作性を向上させることができる。
【0053】
(9)本実施形態では、第1ロック機構L1は、シート2の位置や姿勢(例えばシートバックの前傾やシートクッションのチップアップなど)に依存することなく、第1ロック穴11iの配置設定に応じてアッパレール12(シート2)の移動係止の可否を設定できる。同様に、第2ロック機構L2も、シート2の位置や姿勢に依存することなく、第2ロック穴11jの配置設定に応じてアッパレール12(シート2)の移動係止の可否を設定できる。
【0054】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、第1ロックレバー22の第1ロック爪22aの本数は任意である。また、第2ロックレバー25の第2ロック爪25aの本数は任意である。
【0055】
・前記実施形態において、第1ロック穴11iに挿入可能であれば、第1ロック爪22aの前後方向の幅は任意である。また、第2ロック穴11jに挿入可能であれば、第2ロック爪25aの前後方向の幅は任意である。
【0056】
・前記実施形態においては、第1及び第2ロック機構L1,L2に個別に第1及び第2解除ハンドル6,7を配設した。これに対して、第1及び第2ロック機構L1,L2の解除操作を、共通の解除ハンドルで行ってもよい。この場合、第1及び第2ロック機構L1,L2の解除タイミングを同期させてもよいし、それらの解除タイミングに差を付けておいてもよい。
【0057】
・前記実施形態において、第1及び第2ロック機構L1,L2は、ロアレール11の幅方向で互いに同一側に配置してもよい。このように変形しても、第1ロック爪22a及び第2ロック爪25aは、第2ロック穴11j及び第1ロック穴11iにそれぞれ挿入不能に成形されていることで、第1及び第2ロック機構L1,L2の誤動作を抑制できる。
【0058】
・前記実施形態において、第2ロック機構L2は、第1ロック機構L1によるロアレール11に対するアッパレール12の移動係止の解除状態で、該アッパレール12がリア領域からフロント領域に向かう際に、前記所定位置でアッパレール12の移動を係止するものであってもよい。
【0059】
・前記実施形態において、第2ロック機構L2(第2ロック穴11j及び第2ロックレバー25等)に代えて、ロアレール11に設けられた適宜のストッパ部と、アッパレール12に可動に設けられた適宜のストッパ部材とからなるストッパ機構を採用してもよい。つまり、ロアレール11に対するアッパレール12の移動係止・解除は、穴状のストッパ部に対するストッパ部材の挿脱である必要はない。例えば、ロアレール11に前後一対の突片を形成する。そして、アッパレール12の一方向への移動において、近い側の突片ではストッパ部材の可動範囲で当該移動が許容され、遠い側の突片では当該移動が係止されるように両突片の突出長に差を設定しておく。この場合、両突片に挟まれるこれら突片に対して相対的に凹んだ溝形状がストッパ部となる。要は、所定位置でストッパ部材及びストッパ部を係合させて、一方向に前記所定位置へと向かうアッパレール12の移動を係止できればよい。加えて、前記所定位置で係止されたアッパレール12の逆方向への移動に伴い、ストッパ部との係合を解除するようにストッパ部材を案内するガイド部を有するのであればよい。
【0060】
・前記実施形態において、第2ロック機構L2によるロアレール11に対するアッパレール12の移動係止位置は、複数箇所であってもよい。この場合、例えばロアレール11に対するアッパレール12の位置が3つ以上の領域に区分される場合において、各隣り合う領域の境界部で、アッパレール12の移動を係止すればよい。
【0061】
・前記実施形態において、ロアレール11及びアッパレール12は、シート2に対し各1本ずつ配設される構成であってもよいし、各3本以上ずつ配設される構成であってもよい。
【0062】
・本発明は、着座領域及び非着座領域(例えば荷室領域)間を移動可能なシートに適用してもよい。そして、着座領域及び非着座領域のいずれか一方からいずれか他方へとシートを移動させる際に、利用者に領域の切り替わりを認識させることを目的に、ストッパ機構によりこれら着座領域及び非着座領域の境界位置でシートを一旦停止させてもよい。この場合、特にシートの使用領域における移動量を制限した法規定(具体的には、シートベルトアンカーがボデー付けタイプの車両において、シートベルトの安全性を確保するために、着座状態でのシート移動量を制限した法規定)にも容易に対応できる。
【0063】
あるいは、荷室領域内を一方向にシートを移動させる際に、ストッパ機構により荷室領域の所定中間部でシートを一旦停止させてもよい。この場合、前記一方向にシートを更に移動させることで、操作部材を操作することなくストッパ部材を解除でき、荷室領域を簡易に再調整(拡大又は縮小)できる。
【0064】
・本発明は、エアバッグ装置の作動可能な作動領域及び作動不能な非作動領域間を移動可能なシートに適用してもよい。そして、作動領域及び非作動領域のいずれか一方からいずれか他方へとシートを移動させる際に、利用者に領域の切り替わりを認識させることを目的に、ストッパ機構によりこれら作動領域及び非作動領域の境界位置でシートを一旦停止させてもよい。
【0065】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)車両フロアに固定されるロアレールと、
シートに固定されて前記ロアレールに移動可能に連結され、該ロアレールとの相対位置が互いに異なる第1領域及び第2領域に区分されたアッパレールと、
前記第1領域及び前記第2領域の任意位置で前記ロアレールに対する前記アッパレールの移動を選択的に係止するロック機構と、
前記ロアレールに設けられたストッパ部及び前記アッパレールに可動に設けられたストッパ部材を有し、前記第1領域及び前記第2領域の境界部となる所定位置で前記ストッパ部材及び前記ストッパ部を係合させて、前記第1領域から前記第2領域に向かう前記アッパレールの移動を係止するストッパ機構と、
前記ストッパ部材に解除操作力を入力して、前記所定位置で係止された前記アッパレールの前記第2領域への移動を許容する操作部材と、
前記ストッパ部材に形成され、前記所定位置で係止された前記アッパレールの前記第1領域への移動に伴い、前記ストッパ部との係合を解除するように前記ストッパ部材を案内するガイド部とを備えることを特徴とする車両用シートスライド装置。同構成によれば、前記ロック機構による前記ロアレールに対する前記アッパレールの移動係止の解除状態で、該アッパレールが前記第1領域から前記第2領域に向かうと、前記ストッパ機構により前記境界部となる前記所定位置で前記アッパレールの移動が必ず係止される。従って、前記アッパレール(シート)の位置調整等を行う利用者に対し、領域の切り替わりを認識させることができる。そして、前記アッパレールを前記第2領域へと移動させる場合には、前記操作部材の操作により、前記ストッパ部材に解除操作力を入力して、前記ストッパ部との係合を解除すればよい。一方、前記アッパレールを元の領域(第1領域)へと移動させる場合には、前記アッパレールの当該移動に伴い、前記ガイド部により前記ストッパ部材を案内させて前記ストッパ部との係合を解除すればよい。このように、領域の切り替わりが実際に起きるわけではない使用形態では、例えば前記操作部材を操作しなくても前記ストッパ部材を解除できるため、操作性を向上させることができる。